説明

殺虫マット及び加熱蒸散用害虫防除液

【課題】害虫を防除すること。
【解決手段】2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及びα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンを含有する害虫防除液が、繊維状担体又は多孔質担体に保持されてなる殺虫マットにより害虫を防除することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は殺虫マット及びそれに用いる加熱蒸散用害虫防除液に関する。
【背景技術】
【0002】
害虫防除のため、繊維質担体又は多孔質担体に害虫防除液を保持させて作製される殺虫マットを加熱し、害虫防除液を蒸散させる方法が用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】家庭用殺虫剤概論(日本殺虫剤工業会、1991年)、第19頁〜第21頁。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、害虫、特に蚊等の飛翔性害虫を防除するために有用な殺虫マット及びそれに用いる加熱蒸散用害虫防除液を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、これらの課題を解決すべく検討した結果、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及びα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンを含有する害虫防除液が繊維状担体又は多孔質担体に保持されてなる殺虫マットが害虫に対して優れた防除効力を有することを見出し、本発明に到った。
即ち、本発明は以下の〔1〕〜〔11〕の通りである。
〔1〕 2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及びα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンを含有する害虫防除液が、繊維状担体又は多孔質担体に保持されてなる殺虫マット。
〔2〕 害虫防除液が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート1重量部に対して、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートが1〜5重量部、且つα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンが2〜20重量部の割合で含有する害虫防除液である〔2〕記載の殺虫マット。
〔3〕 害虫防除液が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及びα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンをあわせて5〜40重量%含有する害虫防除液である〔1〕又は〔2〕記載の殺虫マット。
〔4〕 害虫防除液が、溶剤を50〜95重量%含有する害虫防除液である〔3〕記載の殺虫マット。
〔5〕 害虫防除液の保持量が、繊維状担体又は多孔質担体2.2cm3あたり20〜800mgである〔1〕〜〔4〕いずれか一項記載の殺虫マット。
〔6〕 2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及びα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンを含有する加熱蒸散用の害虫防除液。
〔7〕 2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート1重量部に対して、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートが1〜5重量部、且つα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンが2〜20重量部の含有量である〔6〕記載の害虫防除液。
〔8〕 2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及びα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンをあわせて5〜40重量%の割合で含有されてなる〔6〕又は〔7〕記載の害虫防除液。
〔9〕 溶剤を50〜95重量%含有されてなる〔8〕記載の害虫防除液。
〔10〕 殺虫マットによる加熱蒸散用である〔6〕〜〔9〕いずれか一項記載の害虫防除液。
〔11〕 繊維状担体又は多孔質担体に保持させて、加熱蒸散により害虫を防除するための〔6〕〜〔10〕いずれか一項記載の害虫防除液の使用。
【発明の効果】
【0006】
本発明の害虫防除液が繊維質担体又は多孔質担体に保持されてなる本発明の殺虫マットにより害虫を防除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の殺虫マットは、繊維状担体又は多孔質担体に2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及びα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンを含有する本発明の害虫防除液が保持されてなるものである。
【0008】
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートは、例えば特開2001−11022号公報に記載される化合物であり、該公報記載の方法で製造することができる。
【0009】
本発明の害虫防除液に用いられる2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及びα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンの含有量は、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート1重量部に対して2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート通常1〜5重量部、好ましくは1〜3重量部であり、α−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンが通常2〜20重量部、好ましくは2.5〜10重量部である。
本発明において、害虫防除液は2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及びα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンをあわせて、害虫防除液全量に対して、通常5〜40重量%含有され、さらに溶剤、色素、酸化防止剤、協力剤、安定化剤、香料等が適宜含有されてなるものである。
【0010】
かかる溶剤としては例えば、エステル系溶剤及び炭化水素系溶剤が挙げられる。エステル系溶剤の具体例としては、例えばジイソデシルフタレート、ジ2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルアジペート、ジn−オクチルセバケート、ジイソノニルアジペート、ジ2−エチルヘキシルセバケ−ト、ジ2−エチルヘキシルアゼレート、ジn−ヘキシルアゼレート、ジ2−エチルヘキシルドデカノエート、ジブトキシエトキシエチルアジペート、イソプロピルパルミテート、ジオクチルアジペート、ジn−ブチルセバケート、アセチルトリブチルシトレート、ジ2−エチルヘキシルマレート、及びイソプロピルミリステートが挙げられる。炭化水素系溶剤としては、例えばノルマルパラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、及びナフテン系溶剤が挙げられる。具体的には、ノルマルパラフィン系溶剤としては例えば、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ノルパー13(商品名、エクソンモービル有限会社製)、ノルパー15(商品名、エクソンモービル有限会社製)、ノルマルパラフィン グレードM(商品名、新日本石油株式会社製)、ノルマルパラフィン グレードH(商品名、新日本石油株式会社製)、ネオチオゾール(商品名、中央化成株式会社製)が挙げられ、イソパラフィン系溶剤としては例えば、アイソパーM(商品名、エクソンモービル有限会社製)、アイソパーV(商品名、エクソンモービル有限会社製)、IPソルベント2028(商品名、出光興産株式会社製)、IPソルベント2835(商品名、出光興産株式会社製)、シェルゾールTM(商品名、シェルケミカルズジャパン株式会社製)が挙げられ、ナフテン系溶剤としては例えば、エクソールD80(商品名、エクソンモービル有限会社製)、エクソールD110(商品名、エクソンモービル有限会社製)、エクソールD130(商品名、エクソンモービル有限会社製)が挙げられる。また、灯油も用いることができる。
本発明の害虫防除液には、通常これらの溶剤の1種又は2種以上が含有される。その含有量は本発明の害虫防除液全量に対して通常50〜95重量%程度である
を併用して50〜95重量%含有される。
【0011】
色素としては例えば、1,4−ジブチルアミノアントラキノン、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン、1,4−ビス(2,6−ジエチル−4−メチルフェニルアミノ)アントラキノン、1−メチルアミノ−4−オルトトリルアミノアントラキノン、1−メチルアミノ−4−メタトリルアミノアントラキノン、1−メチルアミノ−4−パラトリルアミノアントラキノン等のアントラキノン系青色色素が挙げられる。これらの色素は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよく、また色目の異なる他の色素と混合して用いてもよい。
【0012】
酸化防止剤としては例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等のフェノール系化合物が挙げられ、協力剤としては例えば、ビス−(2,3,3,3−テトラクロロプロピル)エーテル、N−(2−エチルへキシル)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドが挙げられ、安定化剤としては例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤が挙げられる。
【0013】
本発明の殺虫マットは、通常本発明の害虫防除液を繊維質担体又は多孔質担体に含浸等により保持させることにより製造することができる。
繊維質担体としては例えば、パルプ、セルロース、綿等の天然繊維、ポリエステル、アクリル等の合成繊維、ガラス繊維、石綿等の無機繊維が挙げられ、多孔質担体としては例えば、ケイソウ土等の多孔質無機物質、素焼等の多孔質磁性物質、発泡ウレタン、発泡ポリプロピレン等の多孔質樹脂が挙げられる。
本発明に用いられる繊維状担体又は多孔質担体の大きさは、害虫防除液を保持させる前の見かけ体積で通常2.0〜2.5cm3(例えば2.2cm×3.5cm×0.28cm(約2.2cm3)程度)の範囲であり、本発明の殺虫マットは、繊維状担体又は多孔質担体2.2cm3あたり、害虫防除液が通常20〜800mg保持される。
【0014】
このようにして得られる本発明の殺虫マットは、殺虫マットの通常の使用方法で使用することができる。すなわち、本発明の殺虫マットを室内等の害虫の生息場所やその近傍に設置されたホットプレート上に置き、該ホットプレートを約140〜200℃に加熱することにより、殺虫マットに保持された害虫防除液中の2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及びα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエン等が揮散する。
【0015】
本発明により防除される害虫としては、各種の有害昆虫、ダニ類等の節足動物を挙げることができ、特に有害飛翔性害虫、例えば、アカイエカ、コガタアカイエカ、ネッタイイエカ、チカイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類等の双翅目害虫が挙げられる。
【0016】
本発明の害虫防除液には、他の害虫防除活性化合物や、忌避剤等を適宜含有することができ、これにより効力をさらに向上させることが期待できる。
他の害虫防除活性化合物としては、例えば、アレスリン、テトラメスリン、フェノトリン、レスメトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、トラロメトリン、シフルトリン、フラメトリン、イミプロトリン、エトフェンプロックス、フェンバレレート、フェンプロパスリン、シラフルオフェン、トランスフルスリン、テラレトリン、ビフェントリン、エンペントリン、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−シクロペント−2−エニル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート等のピレスロイド化合物、ジクロルボス、フェニトロチオン、テトラクロロビンホス、フェンチオン、クロルピリホス、ダイアジノン等の有機燐化合物、プロポキサー、カルバリル、メトキサジアゾン、フェノブカルブ等のカーバメート化合物、ルフェヌロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、ジフルベンズロン、シロマジン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]ウレア等のキチン形成阻害物質、ピリプロキシフェン、メトプレン、ハイドロプレン、フェノキシカルブ等の幼若ホルモン様物質、ネオニコチノイド系化合物、N−フェニルピラゾール系化合物等を挙げることができる。
忌避剤としては、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド、リモネン、リナロール、シトロネラール、メントール、メントン、ヒノキチオール、ゲラニオール、ユーカリプトール、インドキサカルブ、カラン−3,4−ジオール、MGK−R−326、MGK−R−874、BAY−KBR−3023等を挙げることができる。
【実施例】
【0017】
以下、本発明を製造例、試験例等によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
まず、製造例を示す。なお部とは重量部を表す。
【0018】
製造例1
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、化合物Aと記す。)4部、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、化合物Bと記す。)4部、α−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエン(以下、化合物Cと記す。)10部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)71.5部を混合することにより害虫防除液を得た。得られた害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより本発明の殺虫マットを得た。
【0019】
製造例2
化合物A1部、化合物B5部、化合物C20部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)63.5部を混合することにより害虫防除液を得た。得られた害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより本発明の殺虫マットを得た。
【0020】
製造例3
化合物A4部、化合物B4部、化合物C8部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)73.5部を混合することにより害虫防除液を得る。前記の操作で得られる害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより本発明の殺虫マットを得る。
【0021】
製造例4
化合物A4部、化合物B4部、化合物C8部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、アセチルトリブチルシトレート20部及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)53.5部を混合することにより害虫防除液を得る。前記の操作で得られる害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより本発明の殺虫マットを得る。
【0022】
製造例5
化合物A4部、化合物B4部、化合物C8部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、ジイソノニルアジペート20部及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)53.5部を混合することにより害虫防除液を得る。前記の操作で得られる害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより本発明の殺虫マットを得る。
【0023】
製造例6
化合物A4部、化合物B4部、化合物C8部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、アセチルトリブチルシトレート10部、ジイソノニルアジペート10部及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)53.5部を混合することにより害虫防除液を得る。前記の操作で得られる害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより本発明の殺虫マットを得る。
【0024】
製造例7
化合物A4部、化合物B4部、化合物C10部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、アセチルトリブチルシトレート20部、及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)51.5部を混合することにより害虫防除液を得る。前記の操作で得られる害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより本発明の殺虫マットを得る。
【0025】
製造例8
化合物A4部、化合物B4部、化合物C10部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、ジイソノニルアジペート20部及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)51.5部を混合することにより害虫防除液を得る。前記の操作で得られる害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより本発明の殺虫マットを得る。
【0026】
製造例9
化合物A4部、化合物B4部、化合物C8部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、アセチルトリブチルシトレート10部、ジイソノニルアジペート10部及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)53.5部を混合することにより害虫防除液を得る。前記の操作で得られる害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより本発明の殺虫マットを得る。
【0027】
製造例10
化合物A1部、化合物B5部、化合物C20部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、アセチルトリブチルシトレート10部、及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)53.5部を混合することにより害虫防除液を得る。前記の操作で得られる害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより本発明の殺虫マットを得る。
【0028】
製造例11
化合物A1部、化合物B5部、化合物C20部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、ジイソノニルアジペート10部及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)53.5部を混合することにより害虫防除液を得る。前記の操作で得られる害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより本発明の殺虫マットを得る。
【0029】
製造例12
化合物A1.5部、化合物B1.5部、化合物C30部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)56.5部を混合することにより害虫防除液を得る。前記の操作で得られる害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより本発明の殺虫マットを得る。
【0030】
製造例13
化合物A1部、化合物B5部、化合物C2部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、アセチルトリブチルシトレート30部及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)51.5部を混合することにより害虫防除液を得る。前記の操作で得られる害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより本発明の殺虫マットを得る。
【0031】
製造例14
化合物A1部、化合物B5部、化合物C2部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、ジイソノニルアジペート30部、及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)51.5部を混合することにより害虫防除液を得る。前記の操作で得られる害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより本発明の殺虫マットを得る。
【0032】
製造例15
化合物A1部、化合物B5部、化合物C2部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、アセチルトリブチルシトレート15部、ジイソノニルアジペート15部、及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)51.5部を混合することにより害虫防除液を得る。前記の操作で得られる害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより本発明の殺虫マットを得る。
【0033】
次に比較例に用いる殺虫マットの参考製造例を示す。
参考製造例1
化合物A4部、化合物C5部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)80.5部を混合することにより害虫防除液を得た。得られた害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより比較用の殺虫マットを得た。
【0034】
参考製造例2
化合物B4部、化合物C5部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)80.5部を混合することにより害虫防除液を得た。得られた害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより比較用の殺虫マットを得た。
【0035】
参考製造例3
化合物A1部、化合物C10部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)78.5部を混合することにより害虫防除液を得た。得られた害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより比較用の殺虫マットを得た。
【0036】
参考製造例4
化合物B5部、化合物C10部、ジブチルヒドロキシトルエン10部、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5部、及びシェルゾールTM(イソパラフィンを中心とする炭化水素系溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社)74.5部を混合することにより害虫防除液を得た。得られた害虫防除液100mgを2.2cm×3.5cm×0.28cmのパルプ及びコットンリンターからなる繊維質担体に含浸することにより比較用の殺虫マットを得た。
【0037】
本発明が優れた害虫防除効力を有することを試験例に示す。
【0038】
試験例1
アカイエカ(Culex pipiens pallens)雌成虫5頭を入れたガラス管(高さ12cm、内径4cm、両端を16メッシュナイロンネットで閉じたもの)を2本準備した。高さ80cm、直径20cmの試験用シリンダーの上部に直径方向、中心部分に巾7.8cmの金属製の上記ガラス管用台座を渡した。この台座にはシリンダーの中心より4cmの位置にガラス管内径と同じ直径4cmの穴が対称に2個開いており、この台座にアカイエカ雌成虫を入れた上記ガラス管を置き、試験用シリンダーの下からの気流がガラス管内を通り抜ける状態とした。直径20cm、高さ30cmの観察用の透明樹脂製円筒を試験用シリンダーの上部に、両者の外径が重なるように設置した。
製造例1で得られた本発明の殺虫マットを市販の殺虫マットヒーターを用いて予め160〜170℃で12時間加熱しておいたものを前記の試験用シリンダー底面に移動した。5分後にノックダウンしたアカイエカ雌成虫数をカウントした。比較のため、参考製造例1及び2で得られた殺虫マットについても同様の試験を行なった。
その結果を〔表1〕に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
試験例2
ネッタイイエカ(Culex quinquefasciatus)雌成虫5頭を入れたガラス管(高さ12cm、内径4cm、両端を16メッシュナイロンネットで閉じたもの)を2本準備した。高さ80cm、直径20cmの試験用シリンダーの上部に直径方向、中心部分に巾7.8cmの金属製の上記ガラス管用台座を渡した。この台座にはシリンダーの中心より4cmの位置にガラス管内径と同じ直径4cmの穴が対称に2個開いており、この台座にネッタイイエカ雌成虫を入れた上記ガラス管を置き、試験用シリンダーの下からの気流がガラス管内を通り抜ける状態とした。直径20cm、高さ30cmの観察用の透明樹脂製円筒を試験用シリンダーの上部に、両者の外径が重なるように設置した。
製造例2で得られた本発明の殺虫マットを市販の殺虫マットヒーターを用いて予め160〜170℃で12時間加熱しておいたものを前記の試験用シリンダー底面に移動した。5分後にノックダウンしたネッタイイエカ雌成虫数をカウントした。比較のため、参考製造例3及び4で得られた殺虫マットについても同様の試験を行なった。
その結果を〔表2〕に示す。
【0041】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及びα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンを含有する害虫防除液が、繊維状担体又は多孔質担体に保持されてなる殺虫マット。
【請求項2】
害虫防除液が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート1重量部に対して、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートが1〜5重量部、且つα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンが2〜20重量部の割合で含有する害虫防除液である請求項1記載の殺虫マット。
【請求項3】
害虫防除液が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及びα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンをあわせて5〜40重量%含有する害虫防除液である請求項1又は2記載の殺虫マット。
【請求項4】
害虫防除液が、溶剤を50〜95重量%含有する害虫防除液である請求項3記載の殺虫マット。
【請求項5】
害虫防除液の保持量が、繊維状担体又は多孔質担体2.2cm3あたり20〜800mgである請求項1〜4いずれか一項記載の殺虫マット。
【請求項6】
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及びα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンを含有する加熱蒸散用の害虫防除液。
【請求項7】
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート1重量部に対して、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートが1〜5重量部、且つα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンが2〜20重量部の含有量である請求項6記載の害虫防除液。
【請求項8】
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及びα−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ〕−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエンをあわせて5〜40重量%の割合で含有されてなる請求項6又は7記載の害虫防除液。
【請求項9】
溶剤を50〜95重量%含有されてなる請求項8記載の害虫防除液。
【請求項10】
殺虫マットによる加熱蒸散用である請求項6〜9いずれか一項記載の害虫防除液。
【請求項11】
繊維状担体又は多孔質担体に保持させて、加熱蒸散により害虫を防除するための請求項6〜10いずれか一項記載の害虫防除液の使用。


【公開番号】特開2007−191422(P2007−191422A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10828(P2006−10828)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】