毛成長調節方法及びその装置
【課題】低出力光の照射で副作用が殆どないにもかかわらず毛の成長を調節することができる毛成長調節方法及びその装置を提供する。
【解決手段】キセノンフラシュランプ10a、コンデンサ10b、充電放電回路10c、反射板10d、バンドパスフィルタ26からなる光源10により波長が400nm以上600nm以下であり且つエネルギーが0.01J/cm2以上1J/cm2以下の低エネルギーの光を毛根部付近に照射してその周囲に存在する体内既存の光吸収成分に光吸収させることで毛の成長を調節する。
【解決手段】キセノンフラシュランプ10a、コンデンサ10b、充電放電回路10c、反射板10d、バンドパスフィルタ26からなる光源10により波長が400nm以上600nm以下であり且つエネルギーが0.01J/cm2以上1J/cm2以下の低エネルギーの光を毛根部付近に照射してその周囲に存在する体内既存の光吸収成分に光吸収させることで毛の成長を調節する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光によって毛の成長を調節する毛成長調節方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野において光照射による脱毛が知られている。これは高出力(クラス4)レーザを用いて、毛根部(及び毛包部)の細胞を破壊するネクローシスにより脱毛を行うもので、細胞の破壊を伴うために火傷、シミ等の副作用が起きやすく、そのため専門の医師によってのみその施術が可能となっている。
【0003】
脱毛や発毛・育毛等に関しては、家庭で手軽に行えるものが望まれているが、このような要望に応えることができるものは存在していないのが現状である。なお、発毛や育毛を補助する器具として、特表2002−541906号公報に頭皮に微細振動を与えるとともに光照射を行うものが存在しているが、これは毛乳頭に栄養補給する育毛剤の頭皮への浸透を補助するための光照射であり、発毛・育毛に光照射が作用するものではない。また、特表2005−519692号公報では低パワーの光で毛の成長を抑制する手法が提案されているが、ここで示された技術だけでは十分な効果が得られていない。
【特許文献1】特表2002−541906号公報
【特許文献2】特表2005−519692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、低出力光の照射で副作用が殆どないにもかかわらず毛の成長を調節することができる毛成長調節方法及びその装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る毛成長調節方法は、波長が400nm以上600nm以下であり且つエネルギーが0.01J/cm2以上1J/cm2以下の低エネルギーの光を毛根部付近に照射してその周囲に存在する体内既存の光吸収成分に光吸収させることで毛の成長を調節することに特徴を有している。
【0006】
このような光は、毛根部付近のメラニンを含む体内成分で吸収された時、
○活性酸素等のラジカルを生成させてDNA・タンパク質・膜脂質等を変性させることで細胞増殖の停止や細胞死への誘導
○発生した熱に起因するストレス応答タンパク質(ヒートショックプロテイン)の生成による細胞死への誘導
○転写調節因子であるmycとp53タンパク質が動員または活性化されて毛の成長が停止
○毛母細胞の数が減少して再生する毛の太さや長さが変化
○色素細胞に光が当たることで、メラニン生成過程で生じるドーパキノン、ドーパクロームの漏洩を防止する酵素の働きが抑制され、細胞毒性を有するドーパキノン、ドーパクローム等が漏洩することで細胞死が発生
○毛の排出
○毛の毛周期における成長期から休止期への移行
といった事象を発生させるもので、従来の医療用光脱毛技術のように細胞の破壊ではなく、体内で起きている通常の細胞の変化あるいは通常は毛周期の退行期に働く生理的細胞死(アポトーシス)を人為的に発生させることで毛の成長調節を行うものであり、しかもその光を吸収する成分を対外から供給するのではなく、元から体内に存在しているメラニン等の成分に光を吸収させて、熱的・化学的な変化を起こすために副作用が少ないものである。
【0007】
なお、エネルギーが0.01J/cm2未満であれば、光照射による効果を確認することができず、1J/cm2超であれば人体に対する他の影響が懸念される。
【0008】
照射する光は、1200nm以上1500nm以下の波長帯を含んでいないことが望ましい。水分の吸収範囲が上記波長帯にあるために、この波長帯の光がないものとすることで、体内での水分への光エネルギー吸収を抑制することができて、人体に対する悪影響を少なくすることができる。
【0009】
また照射する光の照射時間の半値幅は1ms以下であることが望ましい。上記エネルギーは照射パワーと照射時間との積であるが、照射パワーとの関係で半値幅が1msを越える場合、十分な効果を得ることができない。
【0010】
そして本発明に係る毛成長調節装置は、上記毛成長調節方法に係る光を照射する光照射部を備えていることに特徴を有している。
【0011】
また、人体に400〜600nmの波長分布を有する光を照射して波長に対する吸収スペクトルを測定する測定手段と、該測定手段で測定した吸収スペクトルにおける吸収ピーク値と既存の基本吸収スペクトルとを比較して照射する光の波長とパワーと照射時間とを制御する制御手段と、この制御手段による制御下で対象とする毛の毛周期における成長期もしくは休止期に光を照射する光源とからなるものに特徴を有している。毛の毛周期における成長期に光を照射することで発毛を抑制することができ、毛の毛周期における休止期に光を照射することで発毛を促進することができる。
【0012】
ここにおける制御手段は、照射する光のエネルギーが一定となるように少なくともパワーと照射時間とを制御するものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、火傷等副作用を招くことのない低出力光の光照射によって、毛の成長調節を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明すると、図1は毛の成長調節のための光を照射する光源10の構成を示しており、キセノンフラッシュランプ10a、コンデンサ10b、充電・放電回路10c、反射板10d、そして400nm〜900nmのバンドパスフィルター26からなる。
【0015】
この光源10は、その照射エネルギーが0.01J/cm2以上1J/cm2以下で、照射時間が半値幅で600ns程度の光を出力するものであり、この光出力を毛根部付近に照射して、皮膚内部に存在するメラニン等に光を吸収させることで、毛の成長調節を行う。
【0016】
ここで光吸収成分の主要な一つであるメラニンは図2に示すような分光吸収特性をもっていることから、メラニンの吸光ピーク波長である567nmを含む400〜600nmの光を照射する。この波長域は、医療分野では酸化ヘモグロビンの吸光波長であるために血管内壁に影響が出るといわれているが、照射エネルギーが小さいために血管内壁に影響を及ぼすことはなく、メラニンの吸光により低エネルギーで効率よく毛の成長調節についての効果を出すことができる。
【0017】
成長している毛の毛根部付近に上記光を照射した時に毛根部で生ずる細胞死の様子を図3に示す。図3(a)は照射10時間後の細胞の様子で、細胞死(アポトーシス)を誘導する成分であるCaspase3の活性化の状況を現しており、毛母の上半分(皮膚表面に近い側)で活性化している。また、毛母での細胞死(アポトーシス)を起こしている部分を確認すると、図3(b)に示すように毛母の中心付近に確認することができる。しかし、照射10時間後の細胞形態を示している図3(c)から明らかなように、形態上の変化は無いことから、皮膚内部において組織あるいは細胞破壊は起こっていないことがわかる。
【0018】
そして、照射10時間後及び24時間後のサイトカインの分析を行ったところ、炎症性サイトカインの活性化が確認された。成長中の毛根部はメラニンを毛に送り込む機能を有してメラニンが多数存在していることから、光照射による毛の成長調節に係る作用を毛根部で効率良く起こすことができる。ただし、皮膚上面より照射しているため毛根部の上半分のみに細胞死を起こす。上半分でほとんどの光が吸収されるため下半分では細胞死は起きない。また、図4は、光照射の24時間後に毛母周囲で細胞分裂活性化が生じていること(赤色点が細胞分裂活性のある細胞)を示しており、更に図5は光照射72時間後に毛の排出が生じていることを示している。
【0019】
上記のような事象が生ずる理由として、次のことが考えられる。すなわち、メラニンが光を吸収→炎症性サイトカイン活性→p53タンパク質とmycタンパク質の比率あるいは比活性が変化→p53優位でp53活性化の状態となり細胞死誘導(照射後約10時間以内)→p53優位の状態が解消してmycタンパク質の比活性が上昇→細胞分裂が活性化(照射後約24時間)→細胞死を起こした毛根部が毛とともに排出(照射後約72時間)。
【0020】
上記の過程に関して更に説明すると、反応開始はメラニンが光を吸収し光熱反応および光化学反応を起こすことでp53とmycのバランス変化を起こしている。バランスの変化をきたす前に炎症性サイトカインが活性化するが、その誘導要因としては毛母のメラニンの光熱反応により毛母上半分の局所の温度上昇を起こすことあるいは酸化還元状態が変化すること等により、ストレス応答タンパク質であるヒートショックプロテインが生成あるいは活性化されることに伴う転写の調節や分子シャペロン効果が考えられる。
【0021】
p53は細胞死を誘導するタンパク質で細胞中に常時存在するが、光照射に対する反応としてp53の活性化が起きている。正常状態の細胞はp53とmycのバランスが保たれているが、光照射によりp53が優位となるため、数時間後にはこのアンバランスな状態を解消するためmycが増加あるいは活性化する。このために照射10時間後には細胞死がみられるのに対し、24時間後には細胞増殖活性がみられるようになる。
【0022】
また、細胞死を誘導するもうひとつの要因として皮膚内部に存在する成熟色素細胞(メラノサイト)に対する光照射の効果がある。メラニンの生成細胞であるメラノサイト内でのメラニンの生成過程においては、ドーパ、ドーパクローム、ジヒドロキシインドールなどが生成されているが、これらの成分は細胞毒性がある。正常な生成過程ではこの毒性を抑制するための酵素が機能しているものの、生成過程に光を照射して既に生成されているメラニンに光を吸収させると、上記酵素の働きが抑制されてしまい、ドーパクロームやジヒドロキシインドールなどが細胞に影響する状況を作りだす。このために細胞死が誘導される。
【0023】
活性酸素も細胞死を誘導する要因の一つである。ヘモグロビンは中心にFeをもつテトラピロール環の構造をしているが、この構造は可視光を吸収して活性酸素を生じることが知られている。成長している毛の周辺には血管(この血管量は後述の毛周期において、成長期の方が休止期よりも多い:図6参照)があり、血管内の血液の構成成分であるヘモグロビンがその活性酸素を生み出す。よって、血中のヘモグロビンに光を吸収させることで活性酸素を生じさせて細胞にダメージを与える。なお、使用している光源のエネルギーは小さく抑えているために、この効果は毛母がある皮膚下約4mm程度までであり、より深いところにある血管への影響はない。図7に複数波長での組織の深さ方向の光到達率を示す。
【0024】
図8にマウスで行った光照射の効果を示す。毛の成長が遅れているところが光を照射した部分である。この光照射による効果は人体においても既に確認されている。なお、毛の成長(長さと太さ)は毛芽細胞の数によって規定され、この数は毛母細胞の数と相関関係があるため、毛母細胞が細胞死により減少した状態では次に再生してくる新しい毛はより少ない数の毛芽細胞から作られることになる。このために光照射で毛母細胞の細胞死を誘導し、毛排出前の毛母細胞の数を減らすことで新しく生えてくる毛の太さをより細く且つ成長期間の短いものとすることができる。従って毛母細胞の減少効果を繰返すことで、最終的には毛がほとんど皮膚表面に出てこない毳毛型毛周期に変化させることができる。
【0025】
つまり、毛(体毛)は成長期から退行期、休止期というサイクルで変化する毛周期(図9参照)を有することが知られているが、上記の光照射の繰り返しによって成長期が短い毛周期とすることができるために、皮膚表面の毛を細く且つあまり伸びない状態に変化させることができるものである。なお、このような毛周期の変化は周期パターンの変化に過ぎず、毛周期サイクルに伴う一連の組織変化は人体にとって正常なものであるために人体に悪影響を及ぼすことはない。
【0026】
図10は上記光源10を備えた毛成長調節装置1を示している。キセノンフラッシュランプを光源10とするこの毛成長調節装置1は、皮膚の反射特性計測のための投光用としての白色LED20と、ミラー27を介して皮膚9に投光した際の拡散反射光を皮膚入射方向と45°の方向から受光する受光素子21と、RGBの各色フィルタを有する上記受光素子21から得られたRGBの各輝度信号を処理するRGB信号コンパレート部22とを備えている。なお、家庭用機器としての構成を考えて、RGBの色フィルターを使用しているが、分光反射率計測装置のような高度な分析装置を用いてもよいのはもちろんである。
【0027】
前記コンパレート部22は、上記輝度信号を基に光源10による皮膚9への光照射を上記皮膚9に対して行うかどうかの判断並びに照射に際しての照射時間Sと照射パワーPとの決定をこれらの設定部23,24と協働して行う。そして決定された照射時間Sと照射パワーPに基づき、キセノンフラッシュ点灯回路25がキセノンフラッシュランプ10aを発光させて、バンドパスフィルター26を透過した光を皮膚9に照射する。
【0028】
図12に上記判断及び決定についての動作を示す。受光したRGB信号において、各輝度の総和Σが予め設定したしきい値より小さい場合、日焼けで皮膚が黒くなり反射率が低下していると判断する。日焼けにより黒くなった皮膚ではメラニン量が多く、また,皮膚全体に広がっており光を吸収しやすい状態にあるため照射パワーPを低減する。
【0029】
次にRとGの輝度比をみる。日焼けしていない皮膚の場合、通常G/Rはある程度大きな値となるが、日焼けによって赤くなった皮膚の場合、G/Rの値が小さくなる。この赤い日焼けの場合、皮膚内部で炎症が起きているために照射対象とはしない。
【0030】
更にR,G,Bの各輝度の信号を比較してGの輝度が最小でない場合、皮膚以外の目等、照射すべき部位ではないと判断し照射しない。
【0031】
これらの安全上の確認ステップを経た後、照射を行うのであるが、この時、照射パワーPはGの輝度が予め設定した値よりも大きい場合、効果を出すためにパワーアップとそれに伴う照射時間短縮を行う。具体的には図12に示した点灯回路25において、照射時間を制御するインダクタンスIの値を変化させ、またコンデンサ容量を変化させる。
【0032】
皮膚の分光反射率は、日本人の場合、図13に示した3人の分光反射率の分布からもわかるように400〜600nm付近で反射率が低下しており、この波長域の光を吸収しやすい特性をもっている。これは皮膚に存在するメラニンの影響が大きい。なお、メラニン単体の吸光率の分光特性(図2参照)は前述の通りであり、567nmで照射光の39%を吸収する。
【0033】
このために上記光照射に際しては、400〜600nmという皮膚が吸収しやすい波長帯の光を使用することで、低出力の光で毛に刺激を与えることができる。なお、皮膚に有害な400nm以下の紫外線は前記UVカットフィルター26によってカットしている。
【0034】
キセノンフラッシュランプである光源10による照射光量としては150万〜700万luxの光を閃光時間(ピークパワーの半値)100〜700μsで照射を行う。照射時間S及び照射パワーPは、照射対象となる皮膚の分光反射率に応じて前述のように制御するが、照射パワーP(照射光量)及び照射時間S(閃光時間)は上記の範囲に限定するものではない。
【0035】
また、照射エネルギーK(J/cm2)は、照射パワーP(W)と照射時間S(秒)との積であり、この照射エネルギーKは0.01J/cm2以上1J/cm2以下となるように照射パワーP(W)と照射時間S(秒)とを制御する。1回/日の照射を何日かの間隔をおいて行う場合と、1回/日の照射を5〜10日程度連続して繰返す場合とでは、後者の方がより低パワーの光源10を使用することができる。
【0036】
ここにおいて、前述の毛周期における成長期に上記光照射を行えば、上述のように毛の成長が効果的に抑制されるとともに、火傷等の副作用発生が無いことが人体においても確認されている。なお、毛周期の変化に効果が出た400〜600nmの分光反射率を基準とし,光照射対象の皮膚の分光反射率の変化率に応じて前記照射パワーPを変化させるものとする。基準となる特定波長の反射率をR0、照射する皮膚の反射率をR1とし、R0の皮膚に対し炎症性サイトカインの活性を達成した光源のパワーをP0とすると、求める照射パワーPは、
P=Rl/R0×P0
で求めることができる。そして毛周期に影響を及ぼすエネルギーKは一定値となるために、皮膚の分光反射率が高い場合は照射パワーPを高くして照射時間Sを短くすればよい。
【0037】
また、毛周期における休止期に光を照射すれば、逆に毛周期における成長期における毛の成長が早く進むこともマウス及び人体において確認している。従って上記光照射は、脱毛(毛の成長抑制)に限らず、発毛・育毛についても効果を有するものとなっている。
【0038】
なお、毛周期における成長期と退行期と休止期の各期間は腕,頭髪等、場所により異なっているために、毛の成長の促進または抑制を行いたい場所に応じて毛周期における休止期にあるのか成長期にあるのかを見定めた上で、光照射を行う。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明において用いる光源を示しており、(a)は概略横断面図、(b)は概略縦断面図である。
【図2】メラニンの吸光度を示す説明図である。
【図3】(a)(b)(c)は光照射の10時間後の毛母の細胞についての顕微鏡写真である。
【図4】光照射の24時間後の毛母の細胞についての顕微鏡写真である。
【図5】光照射の72時間後の毛排出がなされている毛母の細胞についての顕微鏡写真である。
【図6】毛を作る器官である毛包周辺の血管についての説明図である。
【図7】皮膚内部への光到達度を示す説明図である。
【図8】マウスによる実験結果を示す説明図である。
【図9】毛周期の説明図である。
【図10】本発明に係る毛成長調節装置のブロック図である。
【図11】同上のフローチャートである。
【図12】同上の点灯回路の一例の回路図である。
【図13】3人の皮膚の分光反射率の測定結果の説明図である。
【符号の説明】
【0040】
1 毛成長調節装置
10 光源
【技術分野】
【0001】
本発明は、光によって毛の成長を調節する毛成長調節方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野において光照射による脱毛が知られている。これは高出力(クラス4)レーザを用いて、毛根部(及び毛包部)の細胞を破壊するネクローシスにより脱毛を行うもので、細胞の破壊を伴うために火傷、シミ等の副作用が起きやすく、そのため専門の医師によってのみその施術が可能となっている。
【0003】
脱毛や発毛・育毛等に関しては、家庭で手軽に行えるものが望まれているが、このような要望に応えることができるものは存在していないのが現状である。なお、発毛や育毛を補助する器具として、特表2002−541906号公報に頭皮に微細振動を与えるとともに光照射を行うものが存在しているが、これは毛乳頭に栄養補給する育毛剤の頭皮への浸透を補助するための光照射であり、発毛・育毛に光照射が作用するものではない。また、特表2005−519692号公報では低パワーの光で毛の成長を抑制する手法が提案されているが、ここで示された技術だけでは十分な効果が得られていない。
【特許文献1】特表2002−541906号公報
【特許文献2】特表2005−519692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、低出力光の照射で副作用が殆どないにもかかわらず毛の成長を調節することができる毛成長調節方法及びその装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る毛成長調節方法は、波長が400nm以上600nm以下であり且つエネルギーが0.01J/cm2以上1J/cm2以下の低エネルギーの光を毛根部付近に照射してその周囲に存在する体内既存の光吸収成分に光吸収させることで毛の成長を調節することに特徴を有している。
【0006】
このような光は、毛根部付近のメラニンを含む体内成分で吸収された時、
○活性酸素等のラジカルを生成させてDNA・タンパク質・膜脂質等を変性させることで細胞増殖の停止や細胞死への誘導
○発生した熱に起因するストレス応答タンパク質(ヒートショックプロテイン)の生成による細胞死への誘導
○転写調節因子であるmycとp53タンパク質が動員または活性化されて毛の成長が停止
○毛母細胞の数が減少して再生する毛の太さや長さが変化
○色素細胞に光が当たることで、メラニン生成過程で生じるドーパキノン、ドーパクロームの漏洩を防止する酵素の働きが抑制され、細胞毒性を有するドーパキノン、ドーパクローム等が漏洩することで細胞死が発生
○毛の排出
○毛の毛周期における成長期から休止期への移行
といった事象を発生させるもので、従来の医療用光脱毛技術のように細胞の破壊ではなく、体内で起きている通常の細胞の変化あるいは通常は毛周期の退行期に働く生理的細胞死(アポトーシス)を人為的に発生させることで毛の成長調節を行うものであり、しかもその光を吸収する成分を対外から供給するのではなく、元から体内に存在しているメラニン等の成分に光を吸収させて、熱的・化学的な変化を起こすために副作用が少ないものである。
【0007】
なお、エネルギーが0.01J/cm2未満であれば、光照射による効果を確認することができず、1J/cm2超であれば人体に対する他の影響が懸念される。
【0008】
照射する光は、1200nm以上1500nm以下の波長帯を含んでいないことが望ましい。水分の吸収範囲が上記波長帯にあるために、この波長帯の光がないものとすることで、体内での水分への光エネルギー吸収を抑制することができて、人体に対する悪影響を少なくすることができる。
【0009】
また照射する光の照射時間の半値幅は1ms以下であることが望ましい。上記エネルギーは照射パワーと照射時間との積であるが、照射パワーとの関係で半値幅が1msを越える場合、十分な効果を得ることができない。
【0010】
そして本発明に係る毛成長調節装置は、上記毛成長調節方法に係る光を照射する光照射部を備えていることに特徴を有している。
【0011】
また、人体に400〜600nmの波長分布を有する光を照射して波長に対する吸収スペクトルを測定する測定手段と、該測定手段で測定した吸収スペクトルにおける吸収ピーク値と既存の基本吸収スペクトルとを比較して照射する光の波長とパワーと照射時間とを制御する制御手段と、この制御手段による制御下で対象とする毛の毛周期における成長期もしくは休止期に光を照射する光源とからなるものに特徴を有している。毛の毛周期における成長期に光を照射することで発毛を抑制することができ、毛の毛周期における休止期に光を照射することで発毛を促進することができる。
【0012】
ここにおける制御手段は、照射する光のエネルギーが一定となるように少なくともパワーと照射時間とを制御するものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、火傷等副作用を招くことのない低出力光の光照射によって、毛の成長調節を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明すると、図1は毛の成長調節のための光を照射する光源10の構成を示しており、キセノンフラッシュランプ10a、コンデンサ10b、充電・放電回路10c、反射板10d、そして400nm〜900nmのバンドパスフィルター26からなる。
【0015】
この光源10は、その照射エネルギーが0.01J/cm2以上1J/cm2以下で、照射時間が半値幅で600ns程度の光を出力するものであり、この光出力を毛根部付近に照射して、皮膚内部に存在するメラニン等に光を吸収させることで、毛の成長調節を行う。
【0016】
ここで光吸収成分の主要な一つであるメラニンは図2に示すような分光吸収特性をもっていることから、メラニンの吸光ピーク波長である567nmを含む400〜600nmの光を照射する。この波長域は、医療分野では酸化ヘモグロビンの吸光波長であるために血管内壁に影響が出るといわれているが、照射エネルギーが小さいために血管内壁に影響を及ぼすことはなく、メラニンの吸光により低エネルギーで効率よく毛の成長調節についての効果を出すことができる。
【0017】
成長している毛の毛根部付近に上記光を照射した時に毛根部で生ずる細胞死の様子を図3に示す。図3(a)は照射10時間後の細胞の様子で、細胞死(アポトーシス)を誘導する成分であるCaspase3の活性化の状況を現しており、毛母の上半分(皮膚表面に近い側)で活性化している。また、毛母での細胞死(アポトーシス)を起こしている部分を確認すると、図3(b)に示すように毛母の中心付近に確認することができる。しかし、照射10時間後の細胞形態を示している図3(c)から明らかなように、形態上の変化は無いことから、皮膚内部において組織あるいは細胞破壊は起こっていないことがわかる。
【0018】
そして、照射10時間後及び24時間後のサイトカインの分析を行ったところ、炎症性サイトカインの活性化が確認された。成長中の毛根部はメラニンを毛に送り込む機能を有してメラニンが多数存在していることから、光照射による毛の成長調節に係る作用を毛根部で効率良く起こすことができる。ただし、皮膚上面より照射しているため毛根部の上半分のみに細胞死を起こす。上半分でほとんどの光が吸収されるため下半分では細胞死は起きない。また、図4は、光照射の24時間後に毛母周囲で細胞分裂活性化が生じていること(赤色点が細胞分裂活性のある細胞)を示しており、更に図5は光照射72時間後に毛の排出が生じていることを示している。
【0019】
上記のような事象が生ずる理由として、次のことが考えられる。すなわち、メラニンが光を吸収→炎症性サイトカイン活性→p53タンパク質とmycタンパク質の比率あるいは比活性が変化→p53優位でp53活性化の状態となり細胞死誘導(照射後約10時間以内)→p53優位の状態が解消してmycタンパク質の比活性が上昇→細胞分裂が活性化(照射後約24時間)→細胞死を起こした毛根部が毛とともに排出(照射後約72時間)。
【0020】
上記の過程に関して更に説明すると、反応開始はメラニンが光を吸収し光熱反応および光化学反応を起こすことでp53とmycのバランス変化を起こしている。バランスの変化をきたす前に炎症性サイトカインが活性化するが、その誘導要因としては毛母のメラニンの光熱反応により毛母上半分の局所の温度上昇を起こすことあるいは酸化還元状態が変化すること等により、ストレス応答タンパク質であるヒートショックプロテインが生成あるいは活性化されることに伴う転写の調節や分子シャペロン効果が考えられる。
【0021】
p53は細胞死を誘導するタンパク質で細胞中に常時存在するが、光照射に対する反応としてp53の活性化が起きている。正常状態の細胞はp53とmycのバランスが保たれているが、光照射によりp53が優位となるため、数時間後にはこのアンバランスな状態を解消するためmycが増加あるいは活性化する。このために照射10時間後には細胞死がみられるのに対し、24時間後には細胞増殖活性がみられるようになる。
【0022】
また、細胞死を誘導するもうひとつの要因として皮膚内部に存在する成熟色素細胞(メラノサイト)に対する光照射の効果がある。メラニンの生成細胞であるメラノサイト内でのメラニンの生成過程においては、ドーパ、ドーパクローム、ジヒドロキシインドールなどが生成されているが、これらの成分は細胞毒性がある。正常な生成過程ではこの毒性を抑制するための酵素が機能しているものの、生成過程に光を照射して既に生成されているメラニンに光を吸収させると、上記酵素の働きが抑制されてしまい、ドーパクロームやジヒドロキシインドールなどが細胞に影響する状況を作りだす。このために細胞死が誘導される。
【0023】
活性酸素も細胞死を誘導する要因の一つである。ヘモグロビンは中心にFeをもつテトラピロール環の構造をしているが、この構造は可視光を吸収して活性酸素を生じることが知られている。成長している毛の周辺には血管(この血管量は後述の毛周期において、成長期の方が休止期よりも多い:図6参照)があり、血管内の血液の構成成分であるヘモグロビンがその活性酸素を生み出す。よって、血中のヘモグロビンに光を吸収させることで活性酸素を生じさせて細胞にダメージを与える。なお、使用している光源のエネルギーは小さく抑えているために、この効果は毛母がある皮膚下約4mm程度までであり、より深いところにある血管への影響はない。図7に複数波長での組織の深さ方向の光到達率を示す。
【0024】
図8にマウスで行った光照射の効果を示す。毛の成長が遅れているところが光を照射した部分である。この光照射による効果は人体においても既に確認されている。なお、毛の成長(長さと太さ)は毛芽細胞の数によって規定され、この数は毛母細胞の数と相関関係があるため、毛母細胞が細胞死により減少した状態では次に再生してくる新しい毛はより少ない数の毛芽細胞から作られることになる。このために光照射で毛母細胞の細胞死を誘導し、毛排出前の毛母細胞の数を減らすことで新しく生えてくる毛の太さをより細く且つ成長期間の短いものとすることができる。従って毛母細胞の減少効果を繰返すことで、最終的には毛がほとんど皮膚表面に出てこない毳毛型毛周期に変化させることができる。
【0025】
つまり、毛(体毛)は成長期から退行期、休止期というサイクルで変化する毛周期(図9参照)を有することが知られているが、上記の光照射の繰り返しによって成長期が短い毛周期とすることができるために、皮膚表面の毛を細く且つあまり伸びない状態に変化させることができるものである。なお、このような毛周期の変化は周期パターンの変化に過ぎず、毛周期サイクルに伴う一連の組織変化は人体にとって正常なものであるために人体に悪影響を及ぼすことはない。
【0026】
図10は上記光源10を備えた毛成長調節装置1を示している。キセノンフラッシュランプを光源10とするこの毛成長調節装置1は、皮膚の反射特性計測のための投光用としての白色LED20と、ミラー27を介して皮膚9に投光した際の拡散反射光を皮膚入射方向と45°の方向から受光する受光素子21と、RGBの各色フィルタを有する上記受光素子21から得られたRGBの各輝度信号を処理するRGB信号コンパレート部22とを備えている。なお、家庭用機器としての構成を考えて、RGBの色フィルターを使用しているが、分光反射率計測装置のような高度な分析装置を用いてもよいのはもちろんである。
【0027】
前記コンパレート部22は、上記輝度信号を基に光源10による皮膚9への光照射を上記皮膚9に対して行うかどうかの判断並びに照射に際しての照射時間Sと照射パワーPとの決定をこれらの設定部23,24と協働して行う。そして決定された照射時間Sと照射パワーPに基づき、キセノンフラッシュ点灯回路25がキセノンフラッシュランプ10aを発光させて、バンドパスフィルター26を透過した光を皮膚9に照射する。
【0028】
図12に上記判断及び決定についての動作を示す。受光したRGB信号において、各輝度の総和Σが予め設定したしきい値より小さい場合、日焼けで皮膚が黒くなり反射率が低下していると判断する。日焼けにより黒くなった皮膚ではメラニン量が多く、また,皮膚全体に広がっており光を吸収しやすい状態にあるため照射パワーPを低減する。
【0029】
次にRとGの輝度比をみる。日焼けしていない皮膚の場合、通常G/Rはある程度大きな値となるが、日焼けによって赤くなった皮膚の場合、G/Rの値が小さくなる。この赤い日焼けの場合、皮膚内部で炎症が起きているために照射対象とはしない。
【0030】
更にR,G,Bの各輝度の信号を比較してGの輝度が最小でない場合、皮膚以外の目等、照射すべき部位ではないと判断し照射しない。
【0031】
これらの安全上の確認ステップを経た後、照射を行うのであるが、この時、照射パワーPはGの輝度が予め設定した値よりも大きい場合、効果を出すためにパワーアップとそれに伴う照射時間短縮を行う。具体的には図12に示した点灯回路25において、照射時間を制御するインダクタンスIの値を変化させ、またコンデンサ容量を変化させる。
【0032】
皮膚の分光反射率は、日本人の場合、図13に示した3人の分光反射率の分布からもわかるように400〜600nm付近で反射率が低下しており、この波長域の光を吸収しやすい特性をもっている。これは皮膚に存在するメラニンの影響が大きい。なお、メラニン単体の吸光率の分光特性(図2参照)は前述の通りであり、567nmで照射光の39%を吸収する。
【0033】
このために上記光照射に際しては、400〜600nmという皮膚が吸収しやすい波長帯の光を使用することで、低出力の光で毛に刺激を与えることができる。なお、皮膚に有害な400nm以下の紫外線は前記UVカットフィルター26によってカットしている。
【0034】
キセノンフラッシュランプである光源10による照射光量としては150万〜700万luxの光を閃光時間(ピークパワーの半値)100〜700μsで照射を行う。照射時間S及び照射パワーPは、照射対象となる皮膚の分光反射率に応じて前述のように制御するが、照射パワーP(照射光量)及び照射時間S(閃光時間)は上記の範囲に限定するものではない。
【0035】
また、照射エネルギーK(J/cm2)は、照射パワーP(W)と照射時間S(秒)との積であり、この照射エネルギーKは0.01J/cm2以上1J/cm2以下となるように照射パワーP(W)と照射時間S(秒)とを制御する。1回/日の照射を何日かの間隔をおいて行う場合と、1回/日の照射を5〜10日程度連続して繰返す場合とでは、後者の方がより低パワーの光源10を使用することができる。
【0036】
ここにおいて、前述の毛周期における成長期に上記光照射を行えば、上述のように毛の成長が効果的に抑制されるとともに、火傷等の副作用発生が無いことが人体においても確認されている。なお、毛周期の変化に効果が出た400〜600nmの分光反射率を基準とし,光照射対象の皮膚の分光反射率の変化率に応じて前記照射パワーPを変化させるものとする。基準となる特定波長の反射率をR0、照射する皮膚の反射率をR1とし、R0の皮膚に対し炎症性サイトカインの活性を達成した光源のパワーをP0とすると、求める照射パワーPは、
P=Rl/R0×P0
で求めることができる。そして毛周期に影響を及ぼすエネルギーKは一定値となるために、皮膚の分光反射率が高い場合は照射パワーPを高くして照射時間Sを短くすればよい。
【0037】
また、毛周期における休止期に光を照射すれば、逆に毛周期における成長期における毛の成長が早く進むこともマウス及び人体において確認している。従って上記光照射は、脱毛(毛の成長抑制)に限らず、発毛・育毛についても効果を有するものとなっている。
【0038】
なお、毛周期における成長期と退行期と休止期の各期間は腕,頭髪等、場所により異なっているために、毛の成長の促進または抑制を行いたい場所に応じて毛周期における休止期にあるのか成長期にあるのかを見定めた上で、光照射を行う。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明において用いる光源を示しており、(a)は概略横断面図、(b)は概略縦断面図である。
【図2】メラニンの吸光度を示す説明図である。
【図3】(a)(b)(c)は光照射の10時間後の毛母の細胞についての顕微鏡写真である。
【図4】光照射の24時間後の毛母の細胞についての顕微鏡写真である。
【図5】光照射の72時間後の毛排出がなされている毛母の細胞についての顕微鏡写真である。
【図6】毛を作る器官である毛包周辺の血管についての説明図である。
【図7】皮膚内部への光到達度を示す説明図である。
【図8】マウスによる実験結果を示す説明図である。
【図9】毛周期の説明図である。
【図10】本発明に係る毛成長調節装置のブロック図である。
【図11】同上のフローチャートである。
【図12】同上の点灯回路の一例の回路図である。
【図13】3人の皮膚の分光反射率の測定結果の説明図である。
【符号の説明】
【0040】
1 毛成長調節装置
10 光源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長が400nm以上600nm以下であり且つエネルギーが0.01J/cm2以上1J/cm2以下の低エネルギーの光を毛根部付近に照射してその周囲に存在する体内既存の光吸収成分に光吸収させることで毛の成長を調節することを特徴とする毛成長調節方法。
【請求項2】
照射する光が1200nm以上1500nm以下の波長帯を含んでいないものであることを特徴とする請求項1記載の毛成長調節方法。
【請求項3】
照射する光の照射時間の半値幅が1ms以下であることを特徴とする請求項1または2記載の毛成長調節方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の毛成長調節方法に係る光を照射する光照射部を備えていることを特徴とする毛成長調節装置。
【請求項5】
人体に400〜600nmの波長分布を有する光を照射して波長に対する吸収スペクトルを測定する測定手段と、該測定手段で測定した吸収スペクトルにおける吸収ピーク値と既存の基本吸収スペクトルとを比較して照射する光の波長とパワーと照射時間とを制御する制御手段と、この制御手段による制御下で対象とする毛の毛周期における成長期に光を照射する光源とからなることを特徴とする毛成長調節装置。
【請求項6】
人体に400〜600nmの波長分布を有する光を照射して波長に対する吸収スペクトルを測定する測定手段と、該測定手段で測定した吸収スペクトルにおける吸収ピーク値と既存の基本吸収スペクトルとを比較して照射する光の波長とパワーと照射時間とを制御する制御手段と、この制御手段による制御下で対象とする毛の毛周期における休止期に光を照射する光源とからなることを特徴とする毛成長調節装置。
【請求項7】
上記制御手段は、照射する光のエネルギーが一定となるように少なくともパワーと照射時間とを制御するものであることを特徴とする請求項5または6記載の毛成長調節装置。
【請求項1】
波長が400nm以上600nm以下であり且つエネルギーが0.01J/cm2以上1J/cm2以下の低エネルギーの光を毛根部付近に照射してその周囲に存在する体内既存の光吸収成分に光吸収させることで毛の成長を調節することを特徴とする毛成長調節方法。
【請求項2】
照射する光が1200nm以上1500nm以下の波長帯を含んでいないものであることを特徴とする請求項1記載の毛成長調節方法。
【請求項3】
照射する光の照射時間の半値幅が1ms以下であることを特徴とする請求項1または2記載の毛成長調節方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の毛成長調節方法に係る光を照射する光照射部を備えていることを特徴とする毛成長調節装置。
【請求項5】
人体に400〜600nmの波長分布を有する光を照射して波長に対する吸収スペクトルを測定する測定手段と、該測定手段で測定した吸収スペクトルにおける吸収ピーク値と既存の基本吸収スペクトルとを比較して照射する光の波長とパワーと照射時間とを制御する制御手段と、この制御手段による制御下で対象とする毛の毛周期における成長期に光を照射する光源とからなることを特徴とする毛成長調節装置。
【請求項6】
人体に400〜600nmの波長分布を有する光を照射して波長に対する吸収スペクトルを測定する測定手段と、該測定手段で測定した吸収スペクトルにおける吸収ピーク値と既存の基本吸収スペクトルとを比較して照射する光の波長とパワーと照射時間とを制御する制御手段と、この制御手段による制御下で対象とする毛の毛周期における休止期に光を照射する光源とからなることを特徴とする毛成長調節装置。
【請求項7】
上記制御手段は、照射する光のエネルギーが一定となるように少なくともパワーと照射時間とを制御するものであることを特徴とする請求項5または6記載の毛成長調節装置。
【図1】
【図2】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図2】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2008−29811(P2008−29811A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94806(P2007−94806)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【出願人】(504155293)国立大学法人島根大学 (113)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【出願人】(504155293)国立大学法人島根大学 (113)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]