毛髪化粧料吐出容器、毛髪化粧料吐出具及び毛髪化粧料の吐出方法
【課題】収容袋の出口付近に残存した毛髪化粧料を吐出しやすくする。
【解決手段】染毛剤吐出容器100は、2剤混合式の染毛剤の第1剤及び第2剤が収容されたパウチ111,121と、パウチ111,121の開口を封止し、パウチ111,121の内外を連通する連通穴131及びその連通穴131を開閉する開閉弁132が形成された封止部材130と、内部流路が形成され、封止部材130の連通穴131に挿入されることにより開閉弁132を閉状態から開状態にしてパウチ111,121に収容された染毛剤を内部流路へ流入可能とし、封止部材130の連通穴131から抜き出されることにより開閉弁132を開状態から閉状態にする挿入部材141と、2つの挿入部材141,141を介してパウチ111,121から染毛剤を吸引して吐出する2つのポンプ150,150とを備える。
【解決手段】染毛剤吐出容器100は、2剤混合式の染毛剤の第1剤及び第2剤が収容されたパウチ111,121と、パウチ111,121の開口を封止し、パウチ111,121の内外を連通する連通穴131及びその連通穴131を開閉する開閉弁132が形成された封止部材130と、内部流路が形成され、封止部材130の連通穴131に挿入されることにより開閉弁132を閉状態から開状態にしてパウチ111,121に収容された染毛剤を内部流路へ流入可能とし、封止部材130の連通穴131から抜き出されることにより開閉弁132を開状態から閉状態にする挿入部材141と、2つの挿入部材141,141を介してパウチ111,121から染毛剤を吸引して吐出する2つのポンプ150,150とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容袋から毛髪化粧料を吐出する毛髪化粧料吐出容器、毛髪化粧料吐出具及び毛髪化粧料の吐出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、連通穴及びその連通穴を開閉する開閉弁が形成された封止部材と、内部流路が形成され、封止部材の連通穴に挿入されることにより開閉弁を閉状態から開状態にし、連通穴から抜き出されることにより開閉弁を開状態から閉状態にする挿入部材とからなる連結部材が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ここで、特許文献1に記載の連結部材について、図7〜図10を用いて説明する。
この連結部材は、封止部材を構成する雌部材1及びプラグ3と、挿入部材としての雄部材2とからなる。
【0004】
雌部材1は、雄部材2用の挿入口4から本体を貫通して伸びる円筒状の空洞7を有しており、この空洞7はその両端部で開口している。空洞7の本体から突出する環状壁部8の内周面には、空洞7を環状に延長するプラグ3用の座部が形成されており、このプラグ3が空洞7を封止するために用いられる。
【0005】
雄部材2は、雌部材1の空洞7に適合する筒状端部部材10を有している。図9に示すように、雌部材1の中に雄部材2が完全に挿入されたとき、雄部材2の放射状に突出している停止用鍔部11が雌部材1に当接する。さらに、雄部材2は、端部部材10に連続して、雄部材2の取扱いを可能にするための環状突出部13を有する筒状部12から構成されている。
【0006】
雄部材2は、流体用の内部軸方向通路15を有している。その軸方向通路15は、ホース接続部14の端部で開口しており、他方端は開口していない。これにより、通路15は、端部部材10の先端まで延長しておらず、その先端から少し手前で塞がっている。この雄部材2の内部には4つの横方向通路17が形成されており、この横方向通路17がその塞がれた端部の近傍の軸方向通路15を雄部材2の外周と連絡する。
【0007】
雄部材2の端部部材10の先端は、その先端に円筒形状の突出部24を有する円錐形状の頭部23として構成されている。その先端から遠ざかる方向において頭部23は、まず第一に、外方に傾斜する表面25を有し、そしてこれに隣接して、外側方向により小さい円錐形の角度で傾斜している係合面26を有している。係合面26に隣接して、ショルダー面27が、内側方向に傾斜して設けられ、このショルダー面は、頭部23と、横方向通路17が設けられた雄部材2の部分との間の環状溝部28によって形成される凹所の底面で終了する。頭部23には、2つの正反対に位置する溝部29が設けられ、これらは、端部部材10の先端から頭部23の背後まで延長し、溝状の凹所28の位置で終了する。
【0008】
プラグ3は、環状壁部31と端部壁部32とを有し、これらは、共にプラグ3の空所33を取り囲み、この空所33は挿入口4の方向に開放され、この空所33は雄部材2の頭部23を受容するものである。端部壁部32は筒状の凹所34を形成し、その直径は、頭部23の円筒状突出部24の直径と適合する。
【0009】
プラグ3は、2つの柔軟部材35によって雌部材1の本体と連結している。柔軟部材35の長さは、連結部材が図7に図示した位置にあるときに、雄部材2がプラグ3と連結できる程度のものである。
【0010】
雌部材1の挿入口4に面したプラグ3の端部に、プラグ3は、放射状に拡張し、また縮小する環状カラー40を有し、このカラー40は、プラグ3の全周に形成されている。このカラー40は、その端部から内部方向に傾斜する内周面41を有し、その内周面は、外側方向に向かって傾斜するショルダー面42に接続し、ショルダー面は、次に環状壁部31の内面に接続する。さらに、カラー40は、その端部から外側方向に傾斜する外表面44を有し、その外表面は、内側方向に傾斜する環状のフッキング面45に接続し、そのフッキング面45は、次に環状壁部31の外表面に接続する。
【0011】
さらに、プラグ3は、環状壁部31の外周面の回りに位置し、外側方向に突出する封止用リム46を有している。プラグ3は、また、カラー40から離れて、封止用リム46の横に位置し、外側に突出する環状の停止面47を有している。
【0012】
環状壁部8には、プラグ3がその座部9内にあるとき、プラグ3の停止面47が当接する軸方向端面50を有している。雄部材2の挿入方向から見て、空洞7は、雄部材2が、挿入適合しうるように、その内部に挿入されうる程度の直径をもつ第1の部分を有している。
【0013】
図面番号51において、その第1の部分は、少し小さい直径を有する空洞7の第2の部分に変更して行く。空洞7の浅い環状溝部53(図7参照)は、雄部材2のシールリング(図示なし)が、雌部材1の中に完全に挿入され、この溝部に一部係合するように配置されており、そのため、一方で、信頼できる封止が行われ、他方である種の嵌合連結が行われる。
【0014】
環状壁部8は、挿入口4の方向に端面50から見たとき、プラグ3の封止用リム46の外径よりも少し小さい内径を有する環状シール面54を有している(図10(a)参照)。したがって、封止用リム46を有するプラグ3は、環状壁部8にしっかりと適合することになり、こうして半径方向の密閉が確立される。
【0015】
同一の方向から見て、内方に傾斜する移行面55がシール面54に接続する。この移行面55は、順次、外側に傾斜する空洞7のショルダー面56へと連続する。この円錐状のショルダー面56に、より小さい角度で外側に傾斜し、空洞7の第2の円筒状部分に接続する移行面57が連続する。
【0016】
図10(a)〜図10(e)に基づき連結部材の動作を説明する。
図10(a)は、座部に位置するプラグ3が空洞7をいかに封鎖しているかを示している。プラグ3は、その停止面47が環状壁部8の端面50に対して当接し、封止用リム46を環状壁部8に押圧している。図10(a)において、カラー40は、その第1の位置にあり、プラグ3の環状の滑らかなフッキング面45は、空洞7のショルダー面56に対して弾性的に圧接された状態で係合している。停止面47の端面50に対する接触が空洞7の第2の封止を行っている。カラー40のこの第1の位置において、カラー40の外表面44と空洞7の移行面57との間に空間が存在し、その空間の大きさは、ショルダー面56から挿入口4に向かって増大している。図10(b)は、雄部材2の頭部23がプラグ3の空所33内部に挿入されたときの状態を示す。頭部23の係合面26の最小直径が、カラー40の第1の位置における内周面41の最小直径よりも小さいため、また、カラー40の内周面41の傾斜角度が、頭部23の係合面26の傾斜角度よりも大きいため、頭部23とカラー40との間の接触は、プラグ3のショルダー面42へ向かう内周面41の移行リムの位置で、とりわけ行われるのである。
【0017】
図10(a)及び図10(b)において、プラグ3が座部9内にあるときに、この移行リムは、挿入方向から見て、空洞7のショルダー面56の軸方向前方にあることが分かる。その結果、カラー40は、環状壁部31に接続するカラー40の厚みの薄い接続部において外側に曲がることができる。ショルダー面56の空洞7の表面57は、外側に傾斜しているため、座部の内部に位置するプラグ3のカラー40の回りには、カラー40が、雌部材1からの大きな抵抗を受けることなく、頭部23が空所33内に挿入できるように、放射状に拡張することができる程度の大きさの空間が存在している。したがって、カラー40を拡張させるために必要な力は、とりわけカラー40自体の固さによって決定される。
【0018】
図10(b)において、カラー40は、その第2の位置に存在し、可能な限り外側に押圧されている。カラー40が拡張したため、プラグ3をその座部から押し出すのに必要とされる力は大きくなり、プラグ3がその座部から移動しうる前に、まず頭部23が空所33内に完全に進入しうる。
【0019】
図10(c)は、雄部材2の頭部23がプラグ3の空所33内に完全に入ったときの状態を示している。頭部23の円筒形状の突出部24が凹所34に適合している。さらに、カラー40は、図10(b)に示された第2の位置から第3の位置へ弾性的に引き戻される。この第3の位置は、図10(a)に示された第1の位置よりも更に少し外側に位置しており、したがって、プラグ3のショルダー面42が、頭部23のショルダー面27に対して圧接状態に置かれ、それ故、頭部23をプラグ3の内部に確実に保持する。雄部材2が雌部材1の内部に更に挿入されたとき、空洞7のショルダー面56がカラー40のフッキング面45上に反作用力を及ぼし、この力が、再度環状壁部31にカラー40が接続する厚みの薄い接続部に、カラー40への内側方向への折曲力となる。プラグ3に挿入された雄部材2が、カラー40と同じ位置に環状溝部28を有しているために、カラー40は、容易に半径方向に圧縮され、それ故カラー40の直径が減少する。したがって、フッキング面45が雄部材2の軸とより平行となって、環状壁部8へのフッキング面45から及ぼされる力が、より大きく放射状に拡張させるように環状壁部8に及ぶ。その結果、カラー40は、更に内側に圧縮され、第4の位置におけるように、空洞7のショルダー面56の最小の直径を通過することができ、こうして図10(d)に示した位置に来る。
【0020】
雄部材2が完全に挿入された位置に移動したとき、プラグ3は空洞7から完全に自由となる。先に圧縮されていたカラー40は再度第3の位置に戻るが、頭部23は、プラグ3のショルダー面42によって保持されたままである。図10(e)に示された位置によって、結局、図9に示した状態に至り、ここにおいて雄部材2の横方向通路17がプラグ3のカラー40と雌部材1の環状壁部8との間に位置し、流体の連通が行われる。雄部材2は、図9に示された位置から始まって、雌部材1の空洞7から引き寄せられ、頭部23が空洞7の環状壁部8の方向に沿ってプラグ3を引き寄せる。したがって、カラー40の円錐状の外表面44が、シール面54によって境界づけられる空洞7の部分に進入する。外表面44が環状壁部8と接触するや否や、カラー40は、半径方向に圧縮され、その第4の位置に戻り、その後、プラグ3から頭部23を引き出すのに要する力が、プラグ3が最初にその座部9から完全に引き出されるよりもより大きくなり、次に、カラー40が空洞の移行面55とショルダー面56との間の移行縁部を通過する。プラグ3がその座部9内に入るや否や、頭部23のショルダー面27は、カラー40上に外側方向への折曲力を及ぼす。そのときに、このカラー40は、再度その第2の位置に容易に放射状に拡張しうる。その結果、頭部23は、小さい力でプラグ3から引き出され、その後、カラー40は、その第1の位置へと跳ね戻る。
【特許文献1】特表2001−511416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
前述したような連結部材は、例えば、毛髪化粧料を収容したパウチ等の収容袋の封止に利用することが考えられる。すなわち、毛髪化粧料を収容する収容袋の開口部に、封止部材(前述した雌部材1及びプラグ3)をプラグ3が収容袋内に位置するように取り付ける。そして、毛髪化粧料を使用する際には、挿入部材(前述した雄部材2)を封止部材に挿入した状態で収容袋を手で押すことにより、収容袋内に収容された毛髪化粧料を挿入部材を介して吐出する。このようにすれば、保存安定性を高めることができ、小分け使用するのに便利である。
【0022】
しかしながら、このような連結部材は、構造が比較的複雑であり、収容袋の出口付近でかさばって収容袋をつぶしにくくなるため、出口付近に残存した毛髪化粧料が吐出しにくく、十分に使い切ることができないという問題が考えられる。
【0023】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、収容袋の出口付近に残存した毛髪化粧料を吐出しやすくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するためになされた本発明の請求項1に記載の毛髪化粧料吐出容器は、毛髪化粧料が収容された収容袋と、収容袋の開口を封止し、収容袋の内外を連通する連通穴及びその連通穴を開閉する開閉弁が形成された封止部材と、内部流路が形成され、封止部材の連通穴に挿入されることにより開閉弁を閉状態から開状態にして収容袋に収容された毛髪化粧料を内部流路へ流入可能とし、封止部材の連通穴から抜き出されることにより開閉弁を開状態から閉状態にする挿入部材と、挿入部材を介して収容袋から毛髪化粧料を吸引して吐出するポンプとを備える。なお、ここでいう毛髪化粧料は、直ちに使用可能な状態のものに限らず、例えば複数種類の薬剤を混合して使用するタイプについては混合前の薬剤も含まれる。
【0025】
このような毛髪化粧料吐出容器において、収容袋は、挿入部材が封止部材の連通穴に挿入されていない状態では、封止部材によって密封された状態となっている。そして、挿入部材が封止部材の連通穴に挿入された状態でのみ、収容袋に収容された毛髪化粧料を外部へ吐出可能な状態となる。このため、キャップで開閉する構造のように閉め忘れの問題が無く、毛髪化粧料の保存安定性を向上させることができ、また、小分け使用にも適している。
【0026】
ただし、このような封止部材は、構造が比較的複雑となり、収容袋の開口部分がかさばって収容袋をつぶしにくくなるため、収容袋を外部から圧迫して毛髪化粧料を吐出させようとすると、出口付近に残存した毛髪化粧料が吐出しにくく、十分に使い切ることができないという問題が考えられる。
【0027】
そこで、本発明の毛髪化粧料吐出容器では、収容袋に収容された毛髪化粧料をポンプで吸引して吐出するようにしている。このため、収容袋の出口付近に残存した毛髪化粧料についても吐出しやすくすることができる。
【0028】
ところで、毛髪化粧料としては、複数種類の薬剤を使用直前に混合して毛髪に塗布するタイプのものが知られている。このようなものについては、それぞれ専用の毛髪化粧料吐出容器を用いて別々に吐出した後に混合することも考えられるが、共通の吐出口から同時に吐出された方が使い勝手がよい。
【0029】
そこで、例えば請求項2に記載の毛髪化粧料吐出容器は、封止部材が取り付けられた収容袋を複数備え、複数の収容袋のそれぞれから挿入部材を介して吸引される毛髪化粧料を合流させて共通の吐出口から吐出する。このような毛髪化粧料吐出容器によれば、複数種類の薬剤を別々に保管しつつ、使用時には同時に吐出させることができる。
【0030】
具体的には、例えば請求項3に記載の毛髪化粧料吐出容器は、複数の収容袋のそれぞれから挿入部材を介して毛髪化粧料を吸引する複数のポンプを備え、複数の収容袋から吸引される毛髪化粧料をポンプよりも下流側で合流させる。このような毛髪化粧料吐出容器によれば、複数の薬剤の混合比率を適正なものとすることができる。すなわち、薬剤の種類が異なると、粘度等の特性が異なるため、共通のポンプで吸引する構成では、薬剤の特性(流れやすさ等)によって吸引量のバランスが適正でなくなってしまうことが考えられる。これに対し、収容袋ごとにポンプを備える構成では、各収容袋から所望の量の吸引を行うことができるため、混合比率を適正なものにしやすくなる。
【0031】
一方、例えば請求項4に記載の毛髪化粧料吐出容器では、複数の収容袋のそれぞれから挿入部材を介して吸引される毛髪化粧料をポンプよりも上流側で合流させる。このような毛髪化粧料吐出容器によれば、複数種類の薬剤の混合を促進させることができる。すなわち、一般に、ポンプ内の流路は、その構造上、狭い部分と広い部分とを有しており、乱流が生じやすくなっている。このため、薬剤を合流させた後にポンプを通過させることで、混合専用の部材を別途設けることなく、混合を効率的に促進させることができる。
【0032】
また、例えば請求項5に記載の毛髪化粧料吐出容器では、封止部材は、収容袋に収容される側の形状が円錐状に形成されている。このような毛髪化粧料吐出容器によれば、収容袋内の毛髪化粧料が残り少なくなった際に、封止部材と収容袋との間に生じる容積(毛髪化粧料が残存するスペース)を小さくすることができるため、収容袋の出口付近に残存した毛髪化粧料を一層吐出しやすくすることができる。
【0033】
また、毛髪化粧料としては、例えば請求項6に記載のように、保存安定性が特に問題となる酸化染毛剤、脱色剤又は直接染毛料を用いると、本発明の効果がより顕著となる。
次に、請求項7に記載の毛髪化粧料吐出具は、内部流路が形成され、毛髪化粧料が収容された収容袋の開口を封止し収容袋の内外を連通する連通穴及びその連通穴を開閉する開閉弁が形成された封止部材の連通穴に挿入されることにより、開閉弁を閉状態から開状態にして収容袋に収容された毛髪化粧料を内部流路へ流入可能とし、封止部材の連通穴から抜き出されることにより開閉弁を開状態から閉状態にする挿入部材と、挿入部材を介して収容袋から毛髪化粧料を吸引して吐出するポンプとを備える。
【0034】
このような毛髪化粧料吐出具によれば、請求項1に記載の毛髪化粧料吐出容器を構成することができ、これにより前述した効果を得ることができる。
次に、請求項8に記載の毛髪化粧料の吐出方法は、収容袋の内外を連通する連通穴及びその連通穴を開閉する開閉弁が形成された封止部材によって開口が封止された収容袋から収容物としての毛髪化粧料を吐出させる方法であって、内部流路が形成され、封止部材の連通穴に挿入されることにより開閉弁を閉状態から開状態にして収容袋に収容された毛髪化粧料を内部流路へ流入可能とし、封止部材の連通穴から抜き出されることにより開閉弁を開状態から閉状態にする挿入部材を介して、収容袋から毛髪化粧料をポンプで吸引して吐出することを特徴としている。
【0035】
このような吐出方法によれば、請求項1に記載の毛髪化粧料吐出容器と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の染毛剤吐出容器100の概略構成図である。
【0037】
同図に示すように、この染毛剤吐出容器100は、2剤混合式の酸化染毛剤の第1剤及び第2剤を別々に収容する2つの収容容器(第1収容容器110及び第2収容容器120)と、各収容容器110,120から染毛剤を吸引し、共通の吐出口から吐出する染毛剤吐出具140とを備えている。
【0038】
このうち、第1収容容器110は、染毛剤の第1剤が収容された第1パウチ111と、第1パウチ111の開口を封止する封止部材130とを備えている。また、第2収容容器120は、染毛剤の第2剤が収容された第2パウチ121と、第2パウチ121の開口を封止する封止部材130(第1収容容器110に用いられるものと同一構造)とを備えている。各封止部材130には、封止するパウチ111,121の内外を連通する連通穴131と、その連通穴131を開閉する開閉弁132とが形成されている。なお、パウチ111,121としては、底部が幅広のスタンディングパウチを用いることができる。このようなパウチは自立性がある分、操作性を高くすることができる。
【0039】
一方、染毛剤吐出具140は、各収容容器110,120用の棒状の挿入部材141,141と、挿入部材141,141を介してパウチ111,121から染毛剤(第1剤及び第2剤)を吸引して吐出する2つのポンプ150,150と、利用者が簡単なボタン操作で2つのポンプ150,150を同時に操作できるようにするための吐出ヘッド160とを備えている。
【0040】
なお、各挿入部材141は、軸方向に内部流路が形成されており、封止部材130の連通穴131に挿入されることにより開閉弁132を閉状態から開状態にしてパウチ111,121に収容された染毛剤を内部流路を介してポンプ150へ流入可能とする(図1に示す状態)。また、各挿入部材141は、封止部材130の連通穴131から抜き出されることにより開閉弁132を開状態から閉状態にしてパウチ111,121を密封する。
【0041】
次に、染毛剤吐出容器100における各部の構造について説明する。
図2は、封止部材130の外観形状の説明図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。また、図3は、封止部材130の内部構造の説明図であり、(a)は開閉弁132の開弁状態での断面図、(b)は閉弁状態での断面図である。
【0042】
前述したように、封止部材130の開閉弁132は、連通穴131に挿入部材141が挿入されることにより閉状態(図3(b))から開状態(図3(a))となり、パウチ111,121に収容された染毛剤を挿入部材141の内部流路へ流入可能とし、連通穴131から挿入部材141が抜き出されることにより開状態(図3(a))から閉状態(図3(b))となるように構成されている。なお、このような流路の開閉を実現するための封止部材130及び挿入部材141の具体的な構造は、背景技術の欄で説明したような公知技術を流用可能であるため、説明及び図示を省略し、特徴部分についてのみ説明する。
【0043】
すなわち、この封止部材130は、パウチ111,121に収容される側の面133の形状が円錐状(断面V字形状)に形成されていることを特徴としている。このような形状により、パウチ111,121内の染毛剤が残り少なくなった際に、封止部材130とパウチ111,121との間に生じる容積(染毛剤が残存するスペース)を小さくすることができる。
【0044】
次に、ポンプ150の構造について説明する。
ポンプ150は、手動操作により収容容器から内容物としての流体を吸い上げて吐出するタイプのもの(いわゆるディスペンサーポンプ)である。この種のポンプは、シャンプー容器や化粧品容器等で広く実用化されており、本実施形態においても周知の構造を採用すればよいが、その一例を簡単に説明する。
【0045】
図4は、ポンプ150の内部構造を表す説明図であり、(a)は外力が解放された状態での断面図、(b)は外力が加えられた状態での断面図である。
ポンプ150は、染毛剤の流路を内部に形成する円筒状のハウジング151と、ハウジング151の内周面に沿ってその軸方向に移動可能であって、ハウジング151内の流路と連通する内部流路が形成されたノズル152とを備えている。なお、ノズル152の下端における外周面には、ハウジング151の内周面との間をシールするためのシーリング部材(例えばOリング)が設けられている。
【0046】
そして、ハウジング151の外周面及びノズル152の外周面にはそれぞれ環状の鍔部151a,152aが形成されており、これら鍔部151a,152aの間にスプリング153が挟まれている。これにより、ノズル152に外力が加えられていない状態では、ノズル152がハウジング151から離れる方向(図では上方向)に付勢される(図4(a))。なお、ハウジング151の鍔部151aにおける外縁には、スプリング153を収容するポンプケース154が固定されており、このポンプケース154の天井面にノズル152の鍔部152aが当接することによって、ノズル152の移動可能範囲が規制される。
【0047】
また、ハウジング151の下端には、各収容容器110,120からハウジング151に流入する染毛剤の流路を開閉する逆止弁155が設けられており、ノズル152の下端にも、ハウジング151と連通する流路を開閉する逆止弁156が設けられている。なお、ハウジング151の内部流路には、流路面積を狭めるオリフィス151bが形成されている。
【0048】
このような構造により、ポンプ150は、ノズル152に対してスプリング153の付勢力に反する方向(図では下方向)への外力が加わる(指で押される)と、ノズル152がハウジング151側に移動する(図4(b))。その際、ハウジング151下端の逆止弁155が閉じ、ノズル152下端の逆止弁156が開いてハウジング151内の染毛剤がノズル152側へ押し出される。一方、ノズル152に対する外力が解放される(指が離される)と、スプリング153の付勢力でノズル152がハウジング151から離れる方向に移動する(図4(a))。その際、ノズル152下端の逆止弁156が閉じ、ハウジング151下端の逆止弁155が開いて各収容容器110,120内の染毛剤がハウジング151へ流入する。
【0049】
次に、吐出ヘッド160の構造について説明する。図5は、吐出ヘッド160の分解斜視図である。
この吐出ヘッド160は、断面略楕円状に形成された筒状のヘッド本体161と、ヘッド本体161の中空部にポンプ150,150の押下方向に沿って摺動自在に収納され、ポンプ150,150から排出された染毛剤を外部に排出するノズル部材162と、ヘッド本体161の中空部に収納され、外部からの操作によりノズル部材162を押下方向に押下可能とする操作部材163とを備えている。
【0050】
ヘッド本体161は、その下部に2つのポンプ150,150を収納することができ、その上部にノズル部材162を押下方向に沿って摺動可能に収納することができるように構成されている。
【0051】
ノズル部材162は、中空状のノズル本体164と、このノズル本体164の前方側面に突設され、2つのポンプ150,150から排出された内容物を外部に排出するノーズ部165と、ノズル本体164の下面に設けられ、各ポンプ150のノズル152先端に液密に係合して、各ポンプ150から排出された染毛剤をノズル本体164に送出する一対のポンプ係合部166とからなる。
【0052】
そして、ノズル本体164及びノーズ部165の内部空間には、ポンプ150,150の配列方向に対し左右両側を隔離する仕切板が設けられており、仕切板35により隔離された左右のそれぞれの空間にポンプ係合部166が連通している。なお、ノズル本体164及びノーズ部165には、内部を流動する染毛剤の混合を促進するための混合部材が設けられていてもよい。
【0053】
操作部材163は、主に、操作部本体167と、この操作部本体167にヒンジ部168により揺動自在に取り付けられた揺動部169とからなる。
そして、この吐出ヘッド160は、ヘッド本体161の上部の開口部からノズル部材162、操作部材163を順番に挿入することによって組み立てられる。そして、各ポンプ150のノズル152先端に吐出ヘッド160を固定した状態で揺動部169の上面を押下すると、揺動部169がノズル部材162の上面を押下し、ノズル部材162がポンプ係合部166で各ポンプ150のノズル152を押下する。これにより、2つのポンプ150,150から染毛剤が排出され、吐出ヘッド160内部の流路を通ってノーズ部165の開口(吐出口)から吐出される。
【0054】
以上説明したように、第1実施形態の染毛剤吐出容器100において、パウチ111,121は、挿入部材141が封止部材130の連通穴131に挿入されていない状態では、封止部材130によって密封された状態となっている。そして、挿入部材141が封止部材130の連通穴131に挿入された状態でのみ、パウチ111,121に収容された染毛剤を外部へ吐出可能な状態となる。このため、キャップで開閉する構造のように閉め忘れの問題が無く、染毛剤の保存安定性を向上させることができ、また、小分け使用にも適している。
【0055】
しかも、この染毛剤吐出容器100では、パウチ111,121に収容された染毛剤をポンプ150,150で吸引して吐出するようにしているため、パウチ111,121の出口付近に残存した染毛剤についても吐出しやすくすることができる。
【0056】
特に、第1実施形態の染毛剤吐出容器100では、2つのパウチ111,121のそれぞれから挿入部材141,141を介して染毛剤を吸引する2つのポンプ150,150を備え、2つのパウチ111,121から吸引される染毛剤をポンプ150よりも下流側で合流させるようにしている。このため、第1剤及び第2剤の混合比率(1対1に限らない。)を適正なものとすることができる。すなわち、第1剤及び第2剤は、粘度等の特性が異なるため、共通のポンプで吸引する構成では、薬剤の特性(流れやすさ等)によって吸引量のバランスが適正でなくなってしまうことが考えられるが、パウチ111,121ごとにポンプ150を備える構成では、各パウチ111,121から所望の量の吸引を行うことができるため、混合比率を適正なものにしやすくなる。
【0057】
また、本実施形態の染毛剤吐出容器100では、封止部材130は、パウチ111,121に収容される側の形状が円錐状に形成されているため、パウチ111,121内の染毛剤が残り少なくなった際に、封止部材130とパウチ111,121との間に生じる容積(染毛剤が残存するスペース)を小さくすることができる。この結果、パウチ111,121の出口付近に残存した染毛剤を一層吐出しやすくすることができる。
【0058】
なお、本実施形態の染毛剤吐出容器100では、染毛剤吐出容器100が毛髪化粧料吐出容器に相当し、パウチ111,121が収容袋に相当する。
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態の染毛剤吐出容器200の概略構成図である。
【0059】
同図に示すように、この染毛剤吐出容器200は、第1実施形態の染毛剤吐出容器100と対比すると、第1実施形態の染毛剤吐出具140とは異なる染毛剤吐出具240を備えている点が異なる。
【0060】
具体的には、第1実施形態の染毛剤吐出具140は、2つのパウチ111,121のそれぞれから挿入部材141,141を介して染毛剤を吸引する2つのポンプ150,150を備え、2つのパウチ111,121から吸引される染毛剤をポンプ150よりも下流側で合流させるようにしている。
【0061】
これに対し、第2実施形態の染毛剤吐出具240は、ポンプ150を1つしか備えておらず、2つのパウチ111,121のそれぞれから挿入部材141,141を介して吸引される染毛剤をポンプ150よりも上流側で合流させる点が異なる。
【0062】
このような第2実施形態の染毛剤吐出容器200によれば、第1剤及び第2剤の混合を促進させることができる。すなわち、ポンプ150内の流路は、その構造上、狭い部分と広い部分とを有しており、乱流が生じやすくなっているため、第1剤及び第2剤を合流させた後にポンプ150を通過させることで、混合専用の部材を別途設けることなく、混合を効率的に促進させることができる。
【0063】
[他の形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0064】
例えば、上記各実施形態では、封止部材が取り付けられた2つの収容袋(第1収容容器110及び第2収容容器120)を備え、2つの収容袋のそれぞれから挿入部材を介して吸引される染毛剤を合流させて共通の吐出口から吐出する構成を例示したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、封止部材が取り付けられた収容袋を1つのみ備え、その収容袋から挿入部材を介して吸引される毛髪化粧料をそのまま吐出口から吐出する構成としてもよい。この場合、上記各実施形態で例示したような複数種類の薬剤を使用直前に混合して毛髪に塗布するタイプの毛髪化粧料についても、それぞれ専用の毛髪化粧料吐出容器を用いて別々に吐出した後に混合して使用することが可能である。ただし、上記各実施形態のように、共通の吐出口から同時に吐出された方が使い勝手はよい。
【0065】
また、上記各実施形態では、2種類の薬剤を混合して使用する毛髪化粧料を例示したが、これに限定されるものではなく、3種類以上の薬剤を混合して使用するものを用いてもよく、1種類の薬剤をそのまま使用するものを用いてもよい。また、上記各実施形態では、毛髪化粧料として酸化染毛剤を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば脱色剤や直接染毛料を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1実施形態の染毛剤吐出容器の概略構成図である。
【図2】封止部材の外観形状の説明図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図3】封止部材の内部構造の説明図であり、(a)は開閉弁の開弁状態での断面図、(b)は閉弁状態での断面図である。
【図4】ポンプの内部構造を表す説明図であり、(a)は外力が解放された状態での断面図、(b)は外力が加えられた状態での断面図である。
【図5】吐出ヘッドの分解斜視図である。
【図6】第2実施形態の染毛剤吐出容器の概略構成図である。
【図7】特許文献1に記載の連結部材の説明図である。
【図8】特許文献1に記載の連結部材(プラグが雌部材の空洞を封鎖した状態)の説明図である。
【図9】特許文献1に記載の連結部材(プラグが雌部材の空洞から離脱した状態)の説明図である。
【図10】特許文献1に記載の連結部材の連続的段階を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0067】
100,200…染毛剤吐出容器、110…第1収容容器、111…第1パウチ、120…第2収容容器、121…第2パウチ、130…封止部材、131…連通穴、132…開閉弁、140,240…染毛剤吐出具、141…挿入部材、150…ポンプ、151…ハウジング、151a…鍔部、151b…オリフィス、152…ノズル、152a…鍔部、153…スプリング、154…ポンプケース、155,156…逆止弁、160…吐出ヘッド、161…ヘッド本体、162…ノズル部材、163…操作部材、164…ノズル本体、165…ノーズ部、166…ポンプ係合部、167…操作部本体、168…ヒンジ部、169…揺動部
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容袋から毛髪化粧料を吐出する毛髪化粧料吐出容器、毛髪化粧料吐出具及び毛髪化粧料の吐出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、連通穴及びその連通穴を開閉する開閉弁が形成された封止部材と、内部流路が形成され、封止部材の連通穴に挿入されることにより開閉弁を閉状態から開状態にし、連通穴から抜き出されることにより開閉弁を開状態から閉状態にする挿入部材とからなる連結部材が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ここで、特許文献1に記載の連結部材について、図7〜図10を用いて説明する。
この連結部材は、封止部材を構成する雌部材1及びプラグ3と、挿入部材としての雄部材2とからなる。
【0004】
雌部材1は、雄部材2用の挿入口4から本体を貫通して伸びる円筒状の空洞7を有しており、この空洞7はその両端部で開口している。空洞7の本体から突出する環状壁部8の内周面には、空洞7を環状に延長するプラグ3用の座部が形成されており、このプラグ3が空洞7を封止するために用いられる。
【0005】
雄部材2は、雌部材1の空洞7に適合する筒状端部部材10を有している。図9に示すように、雌部材1の中に雄部材2が完全に挿入されたとき、雄部材2の放射状に突出している停止用鍔部11が雌部材1に当接する。さらに、雄部材2は、端部部材10に連続して、雄部材2の取扱いを可能にするための環状突出部13を有する筒状部12から構成されている。
【0006】
雄部材2は、流体用の内部軸方向通路15を有している。その軸方向通路15は、ホース接続部14の端部で開口しており、他方端は開口していない。これにより、通路15は、端部部材10の先端まで延長しておらず、その先端から少し手前で塞がっている。この雄部材2の内部には4つの横方向通路17が形成されており、この横方向通路17がその塞がれた端部の近傍の軸方向通路15を雄部材2の外周と連絡する。
【0007】
雄部材2の端部部材10の先端は、その先端に円筒形状の突出部24を有する円錐形状の頭部23として構成されている。その先端から遠ざかる方向において頭部23は、まず第一に、外方に傾斜する表面25を有し、そしてこれに隣接して、外側方向により小さい円錐形の角度で傾斜している係合面26を有している。係合面26に隣接して、ショルダー面27が、内側方向に傾斜して設けられ、このショルダー面は、頭部23と、横方向通路17が設けられた雄部材2の部分との間の環状溝部28によって形成される凹所の底面で終了する。頭部23には、2つの正反対に位置する溝部29が設けられ、これらは、端部部材10の先端から頭部23の背後まで延長し、溝状の凹所28の位置で終了する。
【0008】
プラグ3は、環状壁部31と端部壁部32とを有し、これらは、共にプラグ3の空所33を取り囲み、この空所33は挿入口4の方向に開放され、この空所33は雄部材2の頭部23を受容するものである。端部壁部32は筒状の凹所34を形成し、その直径は、頭部23の円筒状突出部24の直径と適合する。
【0009】
プラグ3は、2つの柔軟部材35によって雌部材1の本体と連結している。柔軟部材35の長さは、連結部材が図7に図示した位置にあるときに、雄部材2がプラグ3と連結できる程度のものである。
【0010】
雌部材1の挿入口4に面したプラグ3の端部に、プラグ3は、放射状に拡張し、また縮小する環状カラー40を有し、このカラー40は、プラグ3の全周に形成されている。このカラー40は、その端部から内部方向に傾斜する内周面41を有し、その内周面は、外側方向に向かって傾斜するショルダー面42に接続し、ショルダー面は、次に環状壁部31の内面に接続する。さらに、カラー40は、その端部から外側方向に傾斜する外表面44を有し、その外表面は、内側方向に傾斜する環状のフッキング面45に接続し、そのフッキング面45は、次に環状壁部31の外表面に接続する。
【0011】
さらに、プラグ3は、環状壁部31の外周面の回りに位置し、外側方向に突出する封止用リム46を有している。プラグ3は、また、カラー40から離れて、封止用リム46の横に位置し、外側に突出する環状の停止面47を有している。
【0012】
環状壁部8には、プラグ3がその座部9内にあるとき、プラグ3の停止面47が当接する軸方向端面50を有している。雄部材2の挿入方向から見て、空洞7は、雄部材2が、挿入適合しうるように、その内部に挿入されうる程度の直径をもつ第1の部分を有している。
【0013】
図面番号51において、その第1の部分は、少し小さい直径を有する空洞7の第2の部分に変更して行く。空洞7の浅い環状溝部53(図7参照)は、雄部材2のシールリング(図示なし)が、雌部材1の中に完全に挿入され、この溝部に一部係合するように配置されており、そのため、一方で、信頼できる封止が行われ、他方である種の嵌合連結が行われる。
【0014】
環状壁部8は、挿入口4の方向に端面50から見たとき、プラグ3の封止用リム46の外径よりも少し小さい内径を有する環状シール面54を有している(図10(a)参照)。したがって、封止用リム46を有するプラグ3は、環状壁部8にしっかりと適合することになり、こうして半径方向の密閉が確立される。
【0015】
同一の方向から見て、内方に傾斜する移行面55がシール面54に接続する。この移行面55は、順次、外側に傾斜する空洞7のショルダー面56へと連続する。この円錐状のショルダー面56に、より小さい角度で外側に傾斜し、空洞7の第2の円筒状部分に接続する移行面57が連続する。
【0016】
図10(a)〜図10(e)に基づき連結部材の動作を説明する。
図10(a)は、座部に位置するプラグ3が空洞7をいかに封鎖しているかを示している。プラグ3は、その停止面47が環状壁部8の端面50に対して当接し、封止用リム46を環状壁部8に押圧している。図10(a)において、カラー40は、その第1の位置にあり、プラグ3の環状の滑らかなフッキング面45は、空洞7のショルダー面56に対して弾性的に圧接された状態で係合している。停止面47の端面50に対する接触が空洞7の第2の封止を行っている。カラー40のこの第1の位置において、カラー40の外表面44と空洞7の移行面57との間に空間が存在し、その空間の大きさは、ショルダー面56から挿入口4に向かって増大している。図10(b)は、雄部材2の頭部23がプラグ3の空所33内部に挿入されたときの状態を示す。頭部23の係合面26の最小直径が、カラー40の第1の位置における内周面41の最小直径よりも小さいため、また、カラー40の内周面41の傾斜角度が、頭部23の係合面26の傾斜角度よりも大きいため、頭部23とカラー40との間の接触は、プラグ3のショルダー面42へ向かう内周面41の移行リムの位置で、とりわけ行われるのである。
【0017】
図10(a)及び図10(b)において、プラグ3が座部9内にあるときに、この移行リムは、挿入方向から見て、空洞7のショルダー面56の軸方向前方にあることが分かる。その結果、カラー40は、環状壁部31に接続するカラー40の厚みの薄い接続部において外側に曲がることができる。ショルダー面56の空洞7の表面57は、外側に傾斜しているため、座部の内部に位置するプラグ3のカラー40の回りには、カラー40が、雌部材1からの大きな抵抗を受けることなく、頭部23が空所33内に挿入できるように、放射状に拡張することができる程度の大きさの空間が存在している。したがって、カラー40を拡張させるために必要な力は、とりわけカラー40自体の固さによって決定される。
【0018】
図10(b)において、カラー40は、その第2の位置に存在し、可能な限り外側に押圧されている。カラー40が拡張したため、プラグ3をその座部から押し出すのに必要とされる力は大きくなり、プラグ3がその座部から移動しうる前に、まず頭部23が空所33内に完全に進入しうる。
【0019】
図10(c)は、雄部材2の頭部23がプラグ3の空所33内に完全に入ったときの状態を示している。頭部23の円筒形状の突出部24が凹所34に適合している。さらに、カラー40は、図10(b)に示された第2の位置から第3の位置へ弾性的に引き戻される。この第3の位置は、図10(a)に示された第1の位置よりも更に少し外側に位置しており、したがって、プラグ3のショルダー面42が、頭部23のショルダー面27に対して圧接状態に置かれ、それ故、頭部23をプラグ3の内部に確実に保持する。雄部材2が雌部材1の内部に更に挿入されたとき、空洞7のショルダー面56がカラー40のフッキング面45上に反作用力を及ぼし、この力が、再度環状壁部31にカラー40が接続する厚みの薄い接続部に、カラー40への内側方向への折曲力となる。プラグ3に挿入された雄部材2が、カラー40と同じ位置に環状溝部28を有しているために、カラー40は、容易に半径方向に圧縮され、それ故カラー40の直径が減少する。したがって、フッキング面45が雄部材2の軸とより平行となって、環状壁部8へのフッキング面45から及ぼされる力が、より大きく放射状に拡張させるように環状壁部8に及ぶ。その結果、カラー40は、更に内側に圧縮され、第4の位置におけるように、空洞7のショルダー面56の最小の直径を通過することができ、こうして図10(d)に示した位置に来る。
【0020】
雄部材2が完全に挿入された位置に移動したとき、プラグ3は空洞7から完全に自由となる。先に圧縮されていたカラー40は再度第3の位置に戻るが、頭部23は、プラグ3のショルダー面42によって保持されたままである。図10(e)に示された位置によって、結局、図9に示した状態に至り、ここにおいて雄部材2の横方向通路17がプラグ3のカラー40と雌部材1の環状壁部8との間に位置し、流体の連通が行われる。雄部材2は、図9に示された位置から始まって、雌部材1の空洞7から引き寄せられ、頭部23が空洞7の環状壁部8の方向に沿ってプラグ3を引き寄せる。したがって、カラー40の円錐状の外表面44が、シール面54によって境界づけられる空洞7の部分に進入する。外表面44が環状壁部8と接触するや否や、カラー40は、半径方向に圧縮され、その第4の位置に戻り、その後、プラグ3から頭部23を引き出すのに要する力が、プラグ3が最初にその座部9から完全に引き出されるよりもより大きくなり、次に、カラー40が空洞の移行面55とショルダー面56との間の移行縁部を通過する。プラグ3がその座部9内に入るや否や、頭部23のショルダー面27は、カラー40上に外側方向への折曲力を及ぼす。そのときに、このカラー40は、再度その第2の位置に容易に放射状に拡張しうる。その結果、頭部23は、小さい力でプラグ3から引き出され、その後、カラー40は、その第1の位置へと跳ね戻る。
【特許文献1】特表2001−511416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
前述したような連結部材は、例えば、毛髪化粧料を収容したパウチ等の収容袋の封止に利用することが考えられる。すなわち、毛髪化粧料を収容する収容袋の開口部に、封止部材(前述した雌部材1及びプラグ3)をプラグ3が収容袋内に位置するように取り付ける。そして、毛髪化粧料を使用する際には、挿入部材(前述した雄部材2)を封止部材に挿入した状態で収容袋を手で押すことにより、収容袋内に収容された毛髪化粧料を挿入部材を介して吐出する。このようにすれば、保存安定性を高めることができ、小分け使用するのに便利である。
【0022】
しかしながら、このような連結部材は、構造が比較的複雑であり、収容袋の出口付近でかさばって収容袋をつぶしにくくなるため、出口付近に残存した毛髪化粧料が吐出しにくく、十分に使い切ることができないという問題が考えられる。
【0023】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、収容袋の出口付近に残存した毛髪化粧料を吐出しやすくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するためになされた本発明の請求項1に記載の毛髪化粧料吐出容器は、毛髪化粧料が収容された収容袋と、収容袋の開口を封止し、収容袋の内外を連通する連通穴及びその連通穴を開閉する開閉弁が形成された封止部材と、内部流路が形成され、封止部材の連通穴に挿入されることにより開閉弁を閉状態から開状態にして収容袋に収容された毛髪化粧料を内部流路へ流入可能とし、封止部材の連通穴から抜き出されることにより開閉弁を開状態から閉状態にする挿入部材と、挿入部材を介して収容袋から毛髪化粧料を吸引して吐出するポンプとを備える。なお、ここでいう毛髪化粧料は、直ちに使用可能な状態のものに限らず、例えば複数種類の薬剤を混合して使用するタイプについては混合前の薬剤も含まれる。
【0025】
このような毛髪化粧料吐出容器において、収容袋は、挿入部材が封止部材の連通穴に挿入されていない状態では、封止部材によって密封された状態となっている。そして、挿入部材が封止部材の連通穴に挿入された状態でのみ、収容袋に収容された毛髪化粧料を外部へ吐出可能な状態となる。このため、キャップで開閉する構造のように閉め忘れの問題が無く、毛髪化粧料の保存安定性を向上させることができ、また、小分け使用にも適している。
【0026】
ただし、このような封止部材は、構造が比較的複雑となり、収容袋の開口部分がかさばって収容袋をつぶしにくくなるため、収容袋を外部から圧迫して毛髪化粧料を吐出させようとすると、出口付近に残存した毛髪化粧料が吐出しにくく、十分に使い切ることができないという問題が考えられる。
【0027】
そこで、本発明の毛髪化粧料吐出容器では、収容袋に収容された毛髪化粧料をポンプで吸引して吐出するようにしている。このため、収容袋の出口付近に残存した毛髪化粧料についても吐出しやすくすることができる。
【0028】
ところで、毛髪化粧料としては、複数種類の薬剤を使用直前に混合して毛髪に塗布するタイプのものが知られている。このようなものについては、それぞれ専用の毛髪化粧料吐出容器を用いて別々に吐出した後に混合することも考えられるが、共通の吐出口から同時に吐出された方が使い勝手がよい。
【0029】
そこで、例えば請求項2に記載の毛髪化粧料吐出容器は、封止部材が取り付けられた収容袋を複数備え、複数の収容袋のそれぞれから挿入部材を介して吸引される毛髪化粧料を合流させて共通の吐出口から吐出する。このような毛髪化粧料吐出容器によれば、複数種類の薬剤を別々に保管しつつ、使用時には同時に吐出させることができる。
【0030】
具体的には、例えば請求項3に記載の毛髪化粧料吐出容器は、複数の収容袋のそれぞれから挿入部材を介して毛髪化粧料を吸引する複数のポンプを備え、複数の収容袋から吸引される毛髪化粧料をポンプよりも下流側で合流させる。このような毛髪化粧料吐出容器によれば、複数の薬剤の混合比率を適正なものとすることができる。すなわち、薬剤の種類が異なると、粘度等の特性が異なるため、共通のポンプで吸引する構成では、薬剤の特性(流れやすさ等)によって吸引量のバランスが適正でなくなってしまうことが考えられる。これに対し、収容袋ごとにポンプを備える構成では、各収容袋から所望の量の吸引を行うことができるため、混合比率を適正なものにしやすくなる。
【0031】
一方、例えば請求項4に記載の毛髪化粧料吐出容器では、複数の収容袋のそれぞれから挿入部材を介して吸引される毛髪化粧料をポンプよりも上流側で合流させる。このような毛髪化粧料吐出容器によれば、複数種類の薬剤の混合を促進させることができる。すなわち、一般に、ポンプ内の流路は、その構造上、狭い部分と広い部分とを有しており、乱流が生じやすくなっている。このため、薬剤を合流させた後にポンプを通過させることで、混合専用の部材を別途設けることなく、混合を効率的に促進させることができる。
【0032】
また、例えば請求項5に記載の毛髪化粧料吐出容器では、封止部材は、収容袋に収容される側の形状が円錐状に形成されている。このような毛髪化粧料吐出容器によれば、収容袋内の毛髪化粧料が残り少なくなった際に、封止部材と収容袋との間に生じる容積(毛髪化粧料が残存するスペース)を小さくすることができるため、収容袋の出口付近に残存した毛髪化粧料を一層吐出しやすくすることができる。
【0033】
また、毛髪化粧料としては、例えば請求項6に記載のように、保存安定性が特に問題となる酸化染毛剤、脱色剤又は直接染毛料を用いると、本発明の効果がより顕著となる。
次に、請求項7に記載の毛髪化粧料吐出具は、内部流路が形成され、毛髪化粧料が収容された収容袋の開口を封止し収容袋の内外を連通する連通穴及びその連通穴を開閉する開閉弁が形成された封止部材の連通穴に挿入されることにより、開閉弁を閉状態から開状態にして収容袋に収容された毛髪化粧料を内部流路へ流入可能とし、封止部材の連通穴から抜き出されることにより開閉弁を開状態から閉状態にする挿入部材と、挿入部材を介して収容袋から毛髪化粧料を吸引して吐出するポンプとを備える。
【0034】
このような毛髪化粧料吐出具によれば、請求項1に記載の毛髪化粧料吐出容器を構成することができ、これにより前述した効果を得ることができる。
次に、請求項8に記載の毛髪化粧料の吐出方法は、収容袋の内外を連通する連通穴及びその連通穴を開閉する開閉弁が形成された封止部材によって開口が封止された収容袋から収容物としての毛髪化粧料を吐出させる方法であって、内部流路が形成され、封止部材の連通穴に挿入されることにより開閉弁を閉状態から開状態にして収容袋に収容された毛髪化粧料を内部流路へ流入可能とし、封止部材の連通穴から抜き出されることにより開閉弁を開状態から閉状態にする挿入部材を介して、収容袋から毛髪化粧料をポンプで吸引して吐出することを特徴としている。
【0035】
このような吐出方法によれば、請求項1に記載の毛髪化粧料吐出容器と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の染毛剤吐出容器100の概略構成図である。
【0037】
同図に示すように、この染毛剤吐出容器100は、2剤混合式の酸化染毛剤の第1剤及び第2剤を別々に収容する2つの収容容器(第1収容容器110及び第2収容容器120)と、各収容容器110,120から染毛剤を吸引し、共通の吐出口から吐出する染毛剤吐出具140とを備えている。
【0038】
このうち、第1収容容器110は、染毛剤の第1剤が収容された第1パウチ111と、第1パウチ111の開口を封止する封止部材130とを備えている。また、第2収容容器120は、染毛剤の第2剤が収容された第2パウチ121と、第2パウチ121の開口を封止する封止部材130(第1収容容器110に用いられるものと同一構造)とを備えている。各封止部材130には、封止するパウチ111,121の内外を連通する連通穴131と、その連通穴131を開閉する開閉弁132とが形成されている。なお、パウチ111,121としては、底部が幅広のスタンディングパウチを用いることができる。このようなパウチは自立性がある分、操作性を高くすることができる。
【0039】
一方、染毛剤吐出具140は、各収容容器110,120用の棒状の挿入部材141,141と、挿入部材141,141を介してパウチ111,121から染毛剤(第1剤及び第2剤)を吸引して吐出する2つのポンプ150,150と、利用者が簡単なボタン操作で2つのポンプ150,150を同時に操作できるようにするための吐出ヘッド160とを備えている。
【0040】
なお、各挿入部材141は、軸方向に内部流路が形成されており、封止部材130の連通穴131に挿入されることにより開閉弁132を閉状態から開状態にしてパウチ111,121に収容された染毛剤を内部流路を介してポンプ150へ流入可能とする(図1に示す状態)。また、各挿入部材141は、封止部材130の連通穴131から抜き出されることにより開閉弁132を開状態から閉状態にしてパウチ111,121を密封する。
【0041】
次に、染毛剤吐出容器100における各部の構造について説明する。
図2は、封止部材130の外観形状の説明図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。また、図3は、封止部材130の内部構造の説明図であり、(a)は開閉弁132の開弁状態での断面図、(b)は閉弁状態での断面図である。
【0042】
前述したように、封止部材130の開閉弁132は、連通穴131に挿入部材141が挿入されることにより閉状態(図3(b))から開状態(図3(a))となり、パウチ111,121に収容された染毛剤を挿入部材141の内部流路へ流入可能とし、連通穴131から挿入部材141が抜き出されることにより開状態(図3(a))から閉状態(図3(b))となるように構成されている。なお、このような流路の開閉を実現するための封止部材130及び挿入部材141の具体的な構造は、背景技術の欄で説明したような公知技術を流用可能であるため、説明及び図示を省略し、特徴部分についてのみ説明する。
【0043】
すなわち、この封止部材130は、パウチ111,121に収容される側の面133の形状が円錐状(断面V字形状)に形成されていることを特徴としている。このような形状により、パウチ111,121内の染毛剤が残り少なくなった際に、封止部材130とパウチ111,121との間に生じる容積(染毛剤が残存するスペース)を小さくすることができる。
【0044】
次に、ポンプ150の構造について説明する。
ポンプ150は、手動操作により収容容器から内容物としての流体を吸い上げて吐出するタイプのもの(いわゆるディスペンサーポンプ)である。この種のポンプは、シャンプー容器や化粧品容器等で広く実用化されており、本実施形態においても周知の構造を採用すればよいが、その一例を簡単に説明する。
【0045】
図4は、ポンプ150の内部構造を表す説明図であり、(a)は外力が解放された状態での断面図、(b)は外力が加えられた状態での断面図である。
ポンプ150は、染毛剤の流路を内部に形成する円筒状のハウジング151と、ハウジング151の内周面に沿ってその軸方向に移動可能であって、ハウジング151内の流路と連通する内部流路が形成されたノズル152とを備えている。なお、ノズル152の下端における外周面には、ハウジング151の内周面との間をシールするためのシーリング部材(例えばOリング)が設けられている。
【0046】
そして、ハウジング151の外周面及びノズル152の外周面にはそれぞれ環状の鍔部151a,152aが形成されており、これら鍔部151a,152aの間にスプリング153が挟まれている。これにより、ノズル152に外力が加えられていない状態では、ノズル152がハウジング151から離れる方向(図では上方向)に付勢される(図4(a))。なお、ハウジング151の鍔部151aにおける外縁には、スプリング153を収容するポンプケース154が固定されており、このポンプケース154の天井面にノズル152の鍔部152aが当接することによって、ノズル152の移動可能範囲が規制される。
【0047】
また、ハウジング151の下端には、各収容容器110,120からハウジング151に流入する染毛剤の流路を開閉する逆止弁155が設けられており、ノズル152の下端にも、ハウジング151と連通する流路を開閉する逆止弁156が設けられている。なお、ハウジング151の内部流路には、流路面積を狭めるオリフィス151bが形成されている。
【0048】
このような構造により、ポンプ150は、ノズル152に対してスプリング153の付勢力に反する方向(図では下方向)への外力が加わる(指で押される)と、ノズル152がハウジング151側に移動する(図4(b))。その際、ハウジング151下端の逆止弁155が閉じ、ノズル152下端の逆止弁156が開いてハウジング151内の染毛剤がノズル152側へ押し出される。一方、ノズル152に対する外力が解放される(指が離される)と、スプリング153の付勢力でノズル152がハウジング151から離れる方向に移動する(図4(a))。その際、ノズル152下端の逆止弁156が閉じ、ハウジング151下端の逆止弁155が開いて各収容容器110,120内の染毛剤がハウジング151へ流入する。
【0049】
次に、吐出ヘッド160の構造について説明する。図5は、吐出ヘッド160の分解斜視図である。
この吐出ヘッド160は、断面略楕円状に形成された筒状のヘッド本体161と、ヘッド本体161の中空部にポンプ150,150の押下方向に沿って摺動自在に収納され、ポンプ150,150から排出された染毛剤を外部に排出するノズル部材162と、ヘッド本体161の中空部に収納され、外部からの操作によりノズル部材162を押下方向に押下可能とする操作部材163とを備えている。
【0050】
ヘッド本体161は、その下部に2つのポンプ150,150を収納することができ、その上部にノズル部材162を押下方向に沿って摺動可能に収納することができるように構成されている。
【0051】
ノズル部材162は、中空状のノズル本体164と、このノズル本体164の前方側面に突設され、2つのポンプ150,150から排出された内容物を外部に排出するノーズ部165と、ノズル本体164の下面に設けられ、各ポンプ150のノズル152先端に液密に係合して、各ポンプ150から排出された染毛剤をノズル本体164に送出する一対のポンプ係合部166とからなる。
【0052】
そして、ノズル本体164及びノーズ部165の内部空間には、ポンプ150,150の配列方向に対し左右両側を隔離する仕切板が設けられており、仕切板35により隔離された左右のそれぞれの空間にポンプ係合部166が連通している。なお、ノズル本体164及びノーズ部165には、内部を流動する染毛剤の混合を促進するための混合部材が設けられていてもよい。
【0053】
操作部材163は、主に、操作部本体167と、この操作部本体167にヒンジ部168により揺動自在に取り付けられた揺動部169とからなる。
そして、この吐出ヘッド160は、ヘッド本体161の上部の開口部からノズル部材162、操作部材163を順番に挿入することによって組み立てられる。そして、各ポンプ150のノズル152先端に吐出ヘッド160を固定した状態で揺動部169の上面を押下すると、揺動部169がノズル部材162の上面を押下し、ノズル部材162がポンプ係合部166で各ポンプ150のノズル152を押下する。これにより、2つのポンプ150,150から染毛剤が排出され、吐出ヘッド160内部の流路を通ってノーズ部165の開口(吐出口)から吐出される。
【0054】
以上説明したように、第1実施形態の染毛剤吐出容器100において、パウチ111,121は、挿入部材141が封止部材130の連通穴131に挿入されていない状態では、封止部材130によって密封された状態となっている。そして、挿入部材141が封止部材130の連通穴131に挿入された状態でのみ、パウチ111,121に収容された染毛剤を外部へ吐出可能な状態となる。このため、キャップで開閉する構造のように閉め忘れの問題が無く、染毛剤の保存安定性を向上させることができ、また、小分け使用にも適している。
【0055】
しかも、この染毛剤吐出容器100では、パウチ111,121に収容された染毛剤をポンプ150,150で吸引して吐出するようにしているため、パウチ111,121の出口付近に残存した染毛剤についても吐出しやすくすることができる。
【0056】
特に、第1実施形態の染毛剤吐出容器100では、2つのパウチ111,121のそれぞれから挿入部材141,141を介して染毛剤を吸引する2つのポンプ150,150を備え、2つのパウチ111,121から吸引される染毛剤をポンプ150よりも下流側で合流させるようにしている。このため、第1剤及び第2剤の混合比率(1対1に限らない。)を適正なものとすることができる。すなわち、第1剤及び第2剤は、粘度等の特性が異なるため、共通のポンプで吸引する構成では、薬剤の特性(流れやすさ等)によって吸引量のバランスが適正でなくなってしまうことが考えられるが、パウチ111,121ごとにポンプ150を備える構成では、各パウチ111,121から所望の量の吸引を行うことができるため、混合比率を適正なものにしやすくなる。
【0057】
また、本実施形態の染毛剤吐出容器100では、封止部材130は、パウチ111,121に収容される側の形状が円錐状に形成されているため、パウチ111,121内の染毛剤が残り少なくなった際に、封止部材130とパウチ111,121との間に生じる容積(染毛剤が残存するスペース)を小さくすることができる。この結果、パウチ111,121の出口付近に残存した染毛剤を一層吐出しやすくすることができる。
【0058】
なお、本実施形態の染毛剤吐出容器100では、染毛剤吐出容器100が毛髪化粧料吐出容器に相当し、パウチ111,121が収容袋に相当する。
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態の染毛剤吐出容器200の概略構成図である。
【0059】
同図に示すように、この染毛剤吐出容器200は、第1実施形態の染毛剤吐出容器100と対比すると、第1実施形態の染毛剤吐出具140とは異なる染毛剤吐出具240を備えている点が異なる。
【0060】
具体的には、第1実施形態の染毛剤吐出具140は、2つのパウチ111,121のそれぞれから挿入部材141,141を介して染毛剤を吸引する2つのポンプ150,150を備え、2つのパウチ111,121から吸引される染毛剤をポンプ150よりも下流側で合流させるようにしている。
【0061】
これに対し、第2実施形態の染毛剤吐出具240は、ポンプ150を1つしか備えておらず、2つのパウチ111,121のそれぞれから挿入部材141,141を介して吸引される染毛剤をポンプ150よりも上流側で合流させる点が異なる。
【0062】
このような第2実施形態の染毛剤吐出容器200によれば、第1剤及び第2剤の混合を促進させることができる。すなわち、ポンプ150内の流路は、その構造上、狭い部分と広い部分とを有しており、乱流が生じやすくなっているため、第1剤及び第2剤を合流させた後にポンプ150を通過させることで、混合専用の部材を別途設けることなく、混合を効率的に促進させることができる。
【0063】
[他の形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0064】
例えば、上記各実施形態では、封止部材が取り付けられた2つの収容袋(第1収容容器110及び第2収容容器120)を備え、2つの収容袋のそれぞれから挿入部材を介して吸引される染毛剤を合流させて共通の吐出口から吐出する構成を例示したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、封止部材が取り付けられた収容袋を1つのみ備え、その収容袋から挿入部材を介して吸引される毛髪化粧料をそのまま吐出口から吐出する構成としてもよい。この場合、上記各実施形態で例示したような複数種類の薬剤を使用直前に混合して毛髪に塗布するタイプの毛髪化粧料についても、それぞれ専用の毛髪化粧料吐出容器を用いて別々に吐出した後に混合して使用することが可能である。ただし、上記各実施形態のように、共通の吐出口から同時に吐出された方が使い勝手はよい。
【0065】
また、上記各実施形態では、2種類の薬剤を混合して使用する毛髪化粧料を例示したが、これに限定されるものではなく、3種類以上の薬剤を混合して使用するものを用いてもよく、1種類の薬剤をそのまま使用するものを用いてもよい。また、上記各実施形態では、毛髪化粧料として酸化染毛剤を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば脱色剤や直接染毛料を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1実施形態の染毛剤吐出容器の概略構成図である。
【図2】封止部材の外観形状の説明図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図3】封止部材の内部構造の説明図であり、(a)は開閉弁の開弁状態での断面図、(b)は閉弁状態での断面図である。
【図4】ポンプの内部構造を表す説明図であり、(a)は外力が解放された状態での断面図、(b)は外力が加えられた状態での断面図である。
【図5】吐出ヘッドの分解斜視図である。
【図6】第2実施形態の染毛剤吐出容器の概略構成図である。
【図7】特許文献1に記載の連結部材の説明図である。
【図8】特許文献1に記載の連結部材(プラグが雌部材の空洞を封鎖した状態)の説明図である。
【図9】特許文献1に記載の連結部材(プラグが雌部材の空洞から離脱した状態)の説明図である。
【図10】特許文献1に記載の連結部材の連続的段階を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0067】
100,200…染毛剤吐出容器、110…第1収容容器、111…第1パウチ、120…第2収容容器、121…第2パウチ、130…封止部材、131…連通穴、132…開閉弁、140,240…染毛剤吐出具、141…挿入部材、150…ポンプ、151…ハウジング、151a…鍔部、151b…オリフィス、152…ノズル、152a…鍔部、153…スプリング、154…ポンプケース、155,156…逆止弁、160…吐出ヘッド、161…ヘッド本体、162…ノズル部材、163…操作部材、164…ノズル本体、165…ノーズ部、166…ポンプ係合部、167…操作部本体、168…ヒンジ部、169…揺動部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪化粧料が収容された収容袋と、
前記収容袋の開口を封止し、前記収容袋の内外を連通する連通穴及びその連通穴を開閉する開閉弁が形成された封止部材と、
内部流路が形成され、前記封止部材の前記連通穴に挿入されることにより前記開閉弁を閉状態から開状態にして前記収容袋に収容された毛髪化粧料を前記内部流路へ流入可能とし、前記封止部材の前記連通穴から抜き出されることにより前記開閉弁を開状態から閉状態にする挿入部材と、
前記挿入部材を介して前記収容袋から毛髪化粧料を吸引して吐出するポンプと、
を備えることを特徴とする毛髪化粧料吐出容器。
【請求項2】
前記封止部材が取り付けられた収容袋を複数備え、複数の収容袋のそれぞれから挿入部材を介して吸引される毛髪化粧料を合流させて共通の吐出口から吐出すること
を特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料吐出容器。
【請求項3】
複数の収容袋のそれぞれから挿入部材を介して毛髪化粧料を吸引する複数のポンプを備え、
複数の収容袋から吸引される毛髪化粧料を前記ポンプよりも下流側で合流させること
を特徴とする請求項2に記載の毛髪化粧料吐出容器。
【請求項4】
複数の収容袋のそれぞれから挿入部材を介して吸引される毛髪化粧料を前記ポンプよりも上流側で合流させること
を特徴とする請求項2に記載の毛髪化粧料吐出容器。
【請求項5】
前記封止部材は、前記収容袋に収容される側の形状が円錐状に形成されていること
を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の毛髪化粧料吐出容器。
【請求項6】
前記収容袋に収容される毛髪化粧料は、酸化染毛剤、脱色剤又は直接染毛料であること
を特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の毛髪化粧料吐出容器。
【請求項7】
内部流路が形成され、毛髪化粧料が収容された収容袋の開口を封止し前記収容袋の内外を連通する連通穴及びその連通穴を開閉する開閉弁が形成された封止部材の前記連通穴に挿入されることにより、前記開閉弁を閉状態から開状態にして前記収容袋に収容された毛髪化粧料を前記内部流路へ流入可能とし、前記封止部材の前記連通穴から抜き出されることにより前記開閉弁を開状態から閉状態にする挿入部材と、
前記挿入部材を介して前記収容袋から毛髪化粧料を吸引して吐出するポンプと、
を備えることを特徴とする毛髪化粧料吐出具。
【請求項8】
収容袋の内外を連通する連通穴及びその連通穴を開閉する開閉弁が形成された封止部材によって開口が封止された収容袋から収容物としての毛髪化粧料を吐出させる方法であって、
内部流路が形成され、前記封止部材の前記連通穴に挿入されることにより前記開閉弁を閉状態から開状態にして前記収容袋に収容された毛髪化粧料を前記内部流路へ流入可能とし、前記封止部材の前記連通穴から抜き出されることにより前記開閉弁を開状態から閉状態にする挿入部材を介して、前記収容袋から毛髪化粧料をポンプで吸引して吐出すること
を特徴とする毛髪化粧料の吐出方法。
【請求項1】
毛髪化粧料が収容された収容袋と、
前記収容袋の開口を封止し、前記収容袋の内外を連通する連通穴及びその連通穴を開閉する開閉弁が形成された封止部材と、
内部流路が形成され、前記封止部材の前記連通穴に挿入されることにより前記開閉弁を閉状態から開状態にして前記収容袋に収容された毛髪化粧料を前記内部流路へ流入可能とし、前記封止部材の前記連通穴から抜き出されることにより前記開閉弁を開状態から閉状態にする挿入部材と、
前記挿入部材を介して前記収容袋から毛髪化粧料を吸引して吐出するポンプと、
を備えることを特徴とする毛髪化粧料吐出容器。
【請求項2】
前記封止部材が取り付けられた収容袋を複数備え、複数の収容袋のそれぞれから挿入部材を介して吸引される毛髪化粧料を合流させて共通の吐出口から吐出すること
を特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料吐出容器。
【請求項3】
複数の収容袋のそれぞれから挿入部材を介して毛髪化粧料を吸引する複数のポンプを備え、
複数の収容袋から吸引される毛髪化粧料を前記ポンプよりも下流側で合流させること
を特徴とする請求項2に記載の毛髪化粧料吐出容器。
【請求項4】
複数の収容袋のそれぞれから挿入部材を介して吸引される毛髪化粧料を前記ポンプよりも上流側で合流させること
を特徴とする請求項2に記載の毛髪化粧料吐出容器。
【請求項5】
前記封止部材は、前記収容袋に収容される側の形状が円錐状に形成されていること
を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の毛髪化粧料吐出容器。
【請求項6】
前記収容袋に収容される毛髪化粧料は、酸化染毛剤、脱色剤又は直接染毛料であること
を特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の毛髪化粧料吐出容器。
【請求項7】
内部流路が形成され、毛髪化粧料が収容された収容袋の開口を封止し前記収容袋の内外を連通する連通穴及びその連通穴を開閉する開閉弁が形成された封止部材の前記連通穴に挿入されることにより、前記開閉弁を閉状態から開状態にして前記収容袋に収容された毛髪化粧料を前記内部流路へ流入可能とし、前記封止部材の前記連通穴から抜き出されることにより前記開閉弁を開状態から閉状態にする挿入部材と、
前記挿入部材を介して前記収容袋から毛髪化粧料を吸引して吐出するポンプと、
を備えることを特徴とする毛髪化粧料吐出具。
【請求項8】
収容袋の内外を連通する連通穴及びその連通穴を開閉する開閉弁が形成された封止部材によって開口が封止された収容袋から収容物としての毛髪化粧料を吐出させる方法であって、
内部流路が形成され、前記封止部材の前記連通穴に挿入されることにより前記開閉弁を閉状態から開状態にして前記収容袋に収容された毛髪化粧料を前記内部流路へ流入可能とし、前記封止部材の前記連通穴から抜き出されることにより前記開閉弁を開状態から閉状態にする挿入部材を介して、前記収容袋から毛髪化粧料をポンプで吸引して吐出すること
を特徴とする毛髪化粧料の吐出方法。
【図1】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図4】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図4】
【公開番号】特開2010−35585(P2010−35585A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198309(P2008−198309)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】
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