説明

気体分離装置

【課題】 小型化かつ軽量化が可能であり、かつ、時には無電源でも使用可能な気体分離装置を提供する。
【解決手段】 気密容器の外部と内部とを隔離する隔壁の少なくとも一部が、気体分離膜を含めて構成してある。可動隔壁が、外力の作用により往復移動して気密容器内の一方と他方の気密室との間で内部容積を互い違いに増減可能に構成してある。各気密室が有する気体分離膜は、内部容積減少による増圧によって気体Gから気体Gに含まれていた気体g1を気密容器内に分離導入させる機能を有する。分離導入された気体g1は、他方の気密室の内部容積増加に伴う容積減少によって増圧され、その結果、逆止弁を介して排出される。可動隔壁の往復移動によって、各気密室に分離導入されていた気体g1が逆止弁各々から互い違いに排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体分離膜によって隔離された一方と他方との間に生じさせた圧力差により気体を分離するための気体分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
気体分離膜を用いた気体分離装置として、特許文献1乃至3に開示されたものがある。特許文献1乃至3のそれぞれに開示された気体分離装置(以下、適宜「従来の気体分離装置」と総称する)は、窒素分離膜モジュールに空気圧縮機(コンプレッサー)から圧縮空気を供給して、窒素分離膜の一方側と他方側に生じさせた圧力差により酸素気体と窒素気体とを分離するように構成されている。分離によって得られた窒素気体は、何れも自動車タイヤに充填するために利用される。
【特許文献1】特開2002−1045号公報(段落0014、0015及び図1参照)
【特許文献2】特開2004−17955号公報(段落0010、図1参照)
【特許文献3】特開2003−54918号公報(段落0010、0013、0014及び図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の気体分離装置は、何れも空気圧縮機を必要とすることから、一般的に装置全体が大型化かつ重量化してしまう。構造が複雑である点にも問題がある。従来の気体分離装置は、何れも自動車タイヤへの窒素気体充填を目的とすることから、一般的にガソリンスタンドや自動車修理工場等に設置されるものであって、それが大型化かつ重量化していても使用にさほどの問題はない。しかし、気体分離装置によって分離しようとする気体の種類、気体の濃度、分離量の多少等によって気体分離装置に与えられる使用環境は様々である。たとえば、停電のときや屋外で使用するときに、空気圧縮機を駆動させるための電源を確保できない場合もあり得る。そのように様々な使用環境に対応させるためには、空気圧縮機が邪魔となることがある。本発明は、上述した状況に対応するためになされたものであって、その解決しようとする課題は、小型化かつ軽量化が可能であり、かつ、時には無電源でも使用可能な気体分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために発明者は、気体分離膜を利用して気体分離を行わせるには、その気体分離膜を挟んだ一方側と他方側との間に圧力差が必要なところ、その圧力差を生成するために一部又は全部を気体分離膜により構成した気密容器の容積を増加又は減少させ、これにより気体分離を行わせることを案出した。本発明は、このような観点からなされたものである。その詳しい内容については、項を改めて説明する。なお、何れかの請求項記載の発明を説明するに当たって行う解釈や用語の定義等は、その性質上可能な範囲において他の請求項記載の発明にも適用されるものとする。
【0005】
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明に係る気体分離装置(以下、適宜「請求項1の分離装置」という)は、隔壁によって外部と隔離された気密室を備える気密容器と、当該気密室内にあって、当該気密室を一方の気密室と他方の気密室とに気密分離する可動隔壁と、当該可動隔壁を当該気密室内において往復移動させる駆動構造と、当該一方の気密室と外部とを隔離する隔壁の少なくとも一部を構成する一方の気体分離膜と、当該他方の気密室と外部とを隔離する隔壁の少なくとも一部を構成する他方の気体分離膜と、当該一方の気密室内にある気体を外部に取り出すために当該隔壁に設けられた一方の逆止弁と、当該他方の気密室内にある気体を外部に取り出すために当該隔壁に設けられた他方の逆止弁と、当該可動隔壁が、当該駆動構造による移動によって、当該気密室内における当該一方の気密室と当該他方の気密室との容積比が気密性を保ちつつ変動可能に構成してある。隔壁は、これを、たとえば、金属や合成樹脂によって構成することができ、気密性保持のために必要に応じてパッキン(パッキング)等を用いることもできる。パッキン等は、それらが容器外部と容器内部とを隔離するものであれば、本明細書における隔壁に該当する。駆動構造は、その駆動源として人力の他、たとえば、電気エネルギーや位置エネルギー等を利用した手段を適宜採用することができる。上記構成における当該一方の気体分離膜が、当該一方の気密室内部の全圧Pが当該可動隔壁の移動による容積増大によって全圧P1(P>P1)以下となったときに当該一方の気密室内部に気体Gから当該気体Gに含まれていた気体g1を当該一方の気密室内に分離導入可能に構成してある。また、同じく他方の気体分離膜が、当該他方の気密室内部の全圧P´が当該可動隔壁の移動による容積増大によって全圧P´1(P´>P´1)以下となったときに当該他方の気密室内部に気体Gから当該気体Gに含まれていた気体g1を当該他方の気密室内に分離導入可能に構成してあり、当該一方の逆止弁が、当該可動隔壁の移動による当該一方の気密室内部の容積減少により当該一方の気密室内部の全圧P1がP2(P2>P1)となったときに当該一方の気密室内部と外部とを連通して当該一方の気密室内部にある気体g1を外部に排出可能に構成してあり、当該他方の逆止弁が、当該可動隔壁の移動による当該他方の気密室内部の容積減少により当該他方の気密室内部の全圧P´1がP´2(P´2>P´1)となったときに当該他方の気密室内部と外部とを連通して当該他方の気密室内部にある気体g1を外部に排出可能に構成してある。ここで、上記一方及び他方の「気体分離膜」は、気体分離機能を持った膜の総称である。気体分離膜の形態は特に限定されるものではなく、たとえば、平板型、中空糸型、スパイラル型等が挙げられ、これらを構成する各気体分離膜が、屈曲・湾曲・厚みの変化等により表面に起伏を持っているものであってもよい。気体分離膜を構成する素材には、高分子などの有機材料、シリカ・アルミナ・カーボン等の無機材料、有機材料と無機材料とを組み合わせたハイブリッド材料等があり、これらの材料に吸着剤のような添加物等を含ませたものも含まれる。気体分離膜の性状(たとえば、透過係数、膜厚、膜面積)は、分離装置の使用目的、分離によって得ようとする気体の種類、量、濃度等に合わせて適宜設定するとよい。なお、気体分離膜は、形態的に、また、素材的に同一のものを用いる必要は必ずしもなく、上記例示した形態や素材等を複数組み合わせて用いることもできること、さらに、「全圧」とは、各気体分圧の総和のことをいう。
【0006】
請求項1の分離装置によれば、隔壁の往復移動によって一方の気密室と他方の気密室との間で容積比の変動が繰り返し行われる。一方の気密室の容積が減少した分、他方の気密室の容積が増加するとともに、これとは逆に、一方の気密室の容積が増加した分、他方の気密室の容積が減少する。容積増加方向への隔壁移動によって一方の気密室の容積が増加すると、一方の気密室内の全圧PがP1に減圧する。この減圧による気密容器内外の圧力差が、一方の気密室に気体g1を導入させる。すなわち、気体g1は、気密容器外にあった気体Gから一方の気体分離膜によって透過分離された気体である。気体導入によって、一方の気密室内は気体g1が充満する。他方、先ほどとは逆になる容積減少方向への隔壁移動によって、一方の気密室内の容積が減少して充満する気体g1の全圧が増加する。容積増加の結果、全圧P1がP2に増加したときに、一方の逆止弁が開いて充満している気体g1を外部放出させる。以上により、一方の気密室から気体g1の取り出しが完了する。他方の気密室の容積増減は、一方の気密室の容積増減と逆のタイミングで行われる。容積増加により、他方の気密室内の全圧P´がP´1まで減圧し気体g1を内部に導入し、容積減少により、全圧P´1がP´2に上昇して充満した気体g1を気密容器外部に放出させる。この気体g1の導入は他方の気体分離膜を介して行われ、気体g1の放出は他方の逆止弁を介して行われる。このように請求項33の分離装置によれば、隔壁の往路移動と復路移動のそれぞれにおいて気体g1を取り出すことができるので、一方方向の移動によってのみ取り出そうとする場合に比べて、極めて効率よく気体の取り出しができる。換言すると、往路又は復路の双方の移動によって気体取り出しができるから、いずれか一方の移動のみから気体取り出しができる場合に比べて概略2倍の効率で気体を取り出すことができる。
【0007】
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明に係る気体分離装置(以下、適宜「請求項2の分離装置」という)では、請求項1の分離装置の基本的構成を備えさせた上で、前記駆動構造が、前記気密容器外部に配したジャッキ構造を含めて構成してある。「ジャッキ構造」とは、たとえば、ネジ、歯車、水圧、油圧等を利用することによって、たとえば、人力のような原動力を増大させることのできる構造のことをいう。
【0008】
請求項2の分離装置によれば、請求項1の分離装置の作用効果に加え、ジャッキ構造の働きによって原動力が増大され、増大によって隔壁の移動及び/又は変形させる操作を楽に(又は、小さな力で)行うことができる。すなわち、同じ大きさの外力を作用させるのであれば、ジャッキ構造を用いることにより原動力をより小さなものとすることができるし、同じ大きさの原動力を用いるのであれば、より大きな外力を作用させることができる。
【0009】
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明に係る気体分離装置(以下、適宜「請求項3の分離装置」という)では、請求項1又は2の分離装置の基本的構成を備えさせた上で、前記一方及び他方の気体分離膜が、それぞれ通気性補強膜により補強してある。
【0010】
請求項3の分離装置によれば、請求項13又は2の分離装置の作用効果に加え、通気性補強膜によって気体分離膜が補強される。すなわち、気体分離膜を透過する量(気体透過量)は、一般的に気体分離膜の厚みに反比例するから気体透過量を増やす一つの方法として気体分離膜を薄くする方法がある。気体分離膜を構成する素材自体の強度にもよるが、薄くなれば薄くなるほど気体分離膜の強度は低下する。そこで、薄く形成した気体分離膜は、強度的に見て単独では隔壁を構成不能であっても、通気性補強膜によって補強すれば構成可能とすることができる。
【0011】
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明に係る気体分離装置(以下、適宜「請求項4の分離装置」という)では、請求項1乃至3何れかの分離装置の基本的構成を備えさせた上で、前記駆動構造が、駆動源となるモータ又はソレノイドと、当該モータ又はソレノイドを駆動するための電源と、を含めて構成してある。
【0012】
請求項4の分離装置によれば、請求項1乃至3何れかの分離装置の作用効果に加え、気体g1の取り出しをモータ又はソレノイドの駆動によって行うことができる。モータ又はソレノイドによる駆動であれば、手動駆動に比べて使用者の負担を少なくすることができる。
【0013】
(請求項5記載の発明の特徴)
請求項5記載の発明に係る気体分離装置(以下、適宜「請求項5の分離装置」という)では、請求項4の分離装置の基本的構成を備えさせた上で、前記電源が、充電池と、前記隔壁外周に設置して当該充電池と電気的に接続したソーラーパネルと、を含めて構成してある。
【0014】
請求項5の分離装置によれば、請求項4の分離装置の作用効果に加え、ソーラーパネルの働きにより充電池が充電されるので、充電された分だけエネルギーの節約が図れる。また、太陽光等の多少や使用時間の長短等による違いはあるが、充電池が十分に充電される限りにおいて他のエネルギーの供給を必要としない。たとえば、山中のような無電源地域で長期間使用する場合に、たいへん便利である。
【0015】
(請求項6記載の発明の特徴)
請求項6記載の発明に係る気体分離装置(以下、適宜「請求項6の分離装置」という)では、請求項1乃至5何れかの分離装置の基本的構成を備えさせた上で、前記気体Gが大気であり、前記気体g1が酸素冨化気体である。
【0016】
請求項6の分離装置によれば、請求項1乃至5何れかの分離装置の作用効果に加え、大掛かりな装置を持たなくても手軽に酸素冨化気体を得ることができる。すなわち、酸素ボンベやコンプレッサー等の器具を持たなくても必要なときに酸素冨化気体を得ることができる。たとえば、病人や運動後の人に酸素(酸素冨化気体)を与えようとするときに、酸素ボンベの代わりに使用することができるので、たいへん便利である。
【0017】
(請求項7記載の発明の特徴)
請求項7記載の発明に係る気体分離装置(以下、適宜「請求項7の分離装置」という)では、請求項6の分離装置の基本的構成を備えさせた上で、前記一方及び他方の逆止弁が、当該一方の逆止弁を介して取り出した気体g1と、当該他方の逆止弁を介して取り出した気体g1とを順次人体に供給するための気体供給具に接続してある。「気体供給具」とは、人体の口及び/又は鼻へ吸引可能な状態で気体を供給可能な器具のことをいう。たとえば、口と鼻を覆うマスク形状のものや、口に咥えることできるもの、さらに、鼻の穴に差込可能な管形状のものが、気体供給具に該当する。
【0018】
請求項7の分離装置によれば、請求項6の分離装置の作用効果に加え、一方の逆止弁を介して取り出した酸素富化気体(気体g1)と、他方の逆止弁を介して取り出した酸素富化気体(気体g1)とを気体供給具を介して順次人体に供給することができる。疾患や傷害により酸素吸入を必要とする者、激しい運動した直後の者、高い山の上など空気の薄い場所にいる者等に、酸素富化気体を供給することが可能になる。請求項1の分離装置の作用効果の説明の中で述べたように、往路又は復路の双方の移動によって気体取り出しができるから、いずれか一方の移動のみから気体取り出しができる場合に比べて概略2倍の効率で気体を取り出すことができるから、効率よい人体供給が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る気体分離装置によれば、可動隔壁の往路移動及び復路移動の双方を利用して気体取り出しができる。このため、往路又は復路の何れか一方のみの利用に比べて効率よく気体取り出しを行うことができる。さらに、コンプレッサーを必要としないので小型化かつ軽量化が可能であり、かつ、時には無電源でも使用可能である。したがって、気体分離装置の持ち運びが楽であり、また、小さなスペースがあれば設置可能であるから、分離した気体を必要とする各種器具、装置等に組み込み易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
ここで、本発明を実施するための最良の形態(以下、適宜「本実施形態」という)について説明する。本実施形態は、後述するように、第1乃至第11の変形例を含む。特許請求の範囲に記載した発明は、第7変形例以下に係る発明を主対象としており、本実施形態及び第1乃至6変形例には、第7変形例以下に係る記載を補完する役割を持たせてある。したがって、第7変形例以下の記載について、必要に応じて上記本実施形態等を参酌しながら解釈することができる。なお、本実施形態及び付随する各変形例の説明に当たって、特記のあるなしに関わらず大気から酸素を分離することを前提としているが、大気以外の気体からそれに含まれる気体を分離する場合にも適用可能であることは言うまでもない。
【0021】
(気体分離装置の概略構造)
図1及び2を参照する。図1は、気体分離装置の平面図であり、図2は、図1に示す気体分離装置のA−A断面図である。気体分離装置1は、隔壁3によって容器外部2bと隔離された容器内部2aを備える気密容器2と、気体取出弁として機能するリリーフ弁11と、気密容器2の外部から内部に気体を導入するための逆止弁9と、隔壁3の一部を構成する気体分離膜13と、から概ね構成してある。隔壁3は、図2の上下方向に対向する一対の対向隔壁5,6と、対向隔壁5と対向隔壁6との間に配した蛇腹隔壁7と、により構成してある。対向隔壁5,6は、それぞれが、たとえば、金属又は硬質合成樹脂により構成した同じ大きさの平面視円形の板、すなわち、円盤である。
【0022】
蛇腹隔壁7は、薄い軟性合成樹脂フィルム又は金属箔(又は、これらを併用したもの)を内外方向互い違いに折り返して復帰可能に変形する円筒蛇腹状に形成したものであり、その折り返し部分の屈伸により軸心方向(長さ方向)に伸縮可能に構成してある。蛇腹隔壁7の一端は対向隔壁5の対向隔壁6に面する側の面(対向面)に、同じく他端は対向隔壁6の対向隔壁5に面する側の面(対向面)に、それぞれ密着させてある。蛇腹隔壁7の対向隔壁5,6への密着により、逆止弁9とリリーフ弁11が閉鎖されたときに気密容器2の容器内部2aが常圧時(使用していないとき)に気密状態となり容器外部2bから隔離される。蛇腹隔壁7の伸縮、すなわち、気密容器2の変形は、伸長又は収縮の方向に働く外力により主として行われ、本実施形態では、その外力として人力を予定している。すなわち、対向隔壁5,6の何れか一方又は双方を互いに他方の隔壁に対して近づく方向に手動押圧することにより蛇腹隔壁7が長さ方向に縮んで容器内部2aの容積を減少させ、逆に、遠のく方向に手動牽引することにより長さ方向に伸びて容器内部2aの容積を復帰させ得るように構成してある。気密容器2の変形のために人力を予定したのは、人力を外力とする限り、空気圧縮装置はもとより外力を得るために特別な装置を必要としないからである。つまり、気体分離装置1自体を簡素な構造とすることができること、無電源であっても使用可能に構成できること、が人力を予定した主な理由である。もっとも、気密容器2の変形のために電気エネルギーや位置エネルギー等を用いることを妨げる趣旨ではなく、気体分離装置1の用途、分離対象となる気体の種類、また、対象気体の多寡等の関係から必要であればそのようなエネルギーを用いることができる。
【0023】
対向隔壁5には、単数又は複数(本実施形態では4個)の通気孔5a,・・と、1個の導気孔5hと、をそれぞれ厚み方向に貫通形成してある。各通気孔5aは、何れも円形に形成してあり、図1から明らかなように、平面視したときに円周方向に等間隔となるように配してある。各通気孔5aは、これを円形としたのは、対向隔壁5が円形であることに合わせたデザイン上の理由であって、機能的に本件発明の目的を達成し得る範囲であれば、その形状や個数、さらに、設ける位置等に何ら制限はない。各通気孔5aの常圧時における気密閉鎖は、対向隔壁5の対向面側に貼り付けた気体分離膜13に行わせてある。すなわち、気体分離膜13は、気密容器2の容器外部2bと容器内部2aとを隔離する隔壁3の一部を構成している。導気孔5hは、対向隔壁5の略中央に形成した貫通孔である。導気孔5hを気密閉鎖する役目は、逆止弁9が担っている。逆止弁9の構造は、後述する。リリーフ弁11は、弁本体11aと弁本体11aの外周に回転自在に設けられた調整リング11bとを備え、気密容器2内部の全圧が所定圧力を超えたときに開放して気密容器2の内部と外部とを連通する機能を有している。リリーフ弁11は、調整リング11bを回転させることにより気密容器2の内部と外部とを連通させるときの全圧P2を可変設定可能に構成してある。全圧が所定圧力を下回ると、リリーフ弁11は閉鎖して気密容器2の内部と外部との連通を遮断する。リリーフ弁11は、気密容器2内部への外気流入を阻止する逆止機能を兼ね備えている。対向隔壁5,6及びこれに伴う蛇腹隔壁7の形状は何れも平面視円形としたが、気体分離装置1の使用用途や気体分離装置1の設置環境等に合わせて適宜変更可能である。なお、対向隔壁5に設けた気体分離膜13,・・は、対向隔壁5の代わりに対向隔壁6に設けてもよいし、対向隔壁6にも併せて設けてもよい。同じ大きさ同じ個数の気体分離膜13であれば、対向隔壁5と対向隔壁6の双方に設けたほうが気体分離膜13全体の面積を広くすることができるので、効率のよい気体分離の観点から有利である。
【0024】
(気体分離膜の構造)
気体分離膜13は、前述したように、対向隔壁5の各通気孔5aを常圧時において気密閉鎖可能とするための膜(フィルム、シート)である。気体分離膜13は、圧力を受けたときに圧力の高い側にある気体に含まれる所定気体を圧力の低い側に透過させるという気体分離機能を有している。この点も、既に述べた。気体分離膜13を構成する素材は、分離前の気体(たとえば、大気、特定の混合気)や、その分離前の気体から分離しようとする気体の種類(たとえば、酸素、水素、二酸化炭素、蒸気)、さらには、分離しようとする気体量、これらに加え、使用目的や使用環境等を総合的に考慮した上で選択する。分離効率をよくするためには、同じ種類の気体分離膜を使用するのであれば、その気体分離膜の面積をできるだけ広く、同じく厚みをできるだけ薄くすることが必要である。ただ、広く、かつ、薄くすることにより、一般的に気体分離膜の強度を保ちづらくなる。このため、通気を妨げないような補強部材により気体分離膜を補強しておくことが望まれる。本実施形態における気体分離膜13は、大気から酸素(酸素富化気体)を分離して窒素(窒素富化気体)を取り出すことを目的として、シリコーンゴム(ジメチルポリシロキサン加硫弾性体)によって構成してある。シリコーンゴムを採用したのは、シリコーンゴムが比較的入手しやすく安価であること、また、シリコーンゴムの耐薬品性、耐温度性、耐蒸気性、さらに、人体に対する安全性等は既に立証されており食品に対してさえも安心して使用できること、がその主たる理由である。大気から酸素を分離する目的であるなら、シリコーンゴムの代わりに、又は、シリコーンゴムとともに、ポリ;poly(1−トリメチルシリルー1−プロピン;1−trimethylsilyl−1−propyne)やアモルファステフロン(商標;DuPont社製)等を充分に使用可能である。さらに、これら例示した素材は、大気から水素及び/又は二酸化炭素を分離する目的のためにも好適に用いることができる。また、気体分離膜13は、いわゆる平型に形成してあるが、気密容器の形態が許すのであれば中空糸型やスパイラル型等に形成することを妨げない。
【0025】
(逆止弁の構造)
図2に示すように、逆止弁9は、対向隔壁5略中央の導気孔5hを密着面を介して気密閉鎖可能な形状(図示していないが、本実施形態では円形)弁体9aと、弁体9aの密着面とは反対側の面(保持面)から僅かに突き出す環状支持部9bと、環状支持部9bにその一端を収納された押圧バネ9cと、弁体9aと押圧バネ9cを収納してこれらを対向隔壁5に取り付けるための有底円筒体9dと、有底円筒体9dの底部9eの環状支持部9b対向面から僅かに突き出す環状支持部9fと、から概ね構成してある。環状支持部9fは、押圧バネ9cの他端を収納可能に構成してあり、環状支持部9bとともに押圧バネ9cを支持し、押圧バネ9cが弁体9aを対向隔壁5に充分な押し付け力を作用させられるように構成してある(図2(b)拡大図参照)。底部9eには、厚み方向に複数の貫通する貫通孔9h,・・を設けてある。各貫通孔9hは、有底円筒体9dの内部と気密容器2の容器内部2aとを、ひいては、容器外部2bと容器内部2aとを、連通させるためのものである。
【0026】
逆止弁9は、気密容器2の容器内部2aの全圧が容器外部2bの全圧に対して負圧になり容器外部2bの全圧(全圧力)が押圧バネ9cの押圧力に勝ったときに押圧バネ9cが縮み、これに伴い、弁体9aが対向隔壁5に対して後退するようになっている。弁体9aの後退は、導気孔5hを開放し容器外部2bにある気体が開放した導気孔5hから有底円筒体9dの貫通孔9h,・・を介して容器内部2aへの流入を許容する。外気流入は、容器外部2bの全圧が容器内部2aの全圧に勝っている間継続され、内外全圧が等しくなったとき、又は、容器外部2bの全圧(全圧力)が押圧バネ9cの押圧力に負けたとき遮断される。外気の遮断は、押圧バネ9cが伸長して弁体9aを対向隔壁5に押し付けて導気孔5hを閉鎖することにより行われる。導気孔5hの閉鎖により、気密容器2は元の状態に復帰する。
【0027】
(気密容器を用いた気体分離方法)
図2に基づいて、気体分離装置1を用いて実施する気体分離方法について説明する。図2(a)に示すのは、気体分離方法を実施するために用意した気体分離装置1である(第1工程)。気体分離装置1の気密容器2を構成する対向隔壁5,6は、一方の手で対向隔壁5を、他方の手で対向隔壁6を、それぞれ持って両者を互いに遠のく方向に移動させる。この移動により、蛇腹隔壁7が伸長して気密容器2の容器内部2aの容積が増加する。蛇腹隔壁7自身が、それ自身の弾性力等により自動伸長可能に構成してある場合は、その弾性力により、又は、その弾力性に補助されて容積が増加する。容積増加によって内部全圧Pが容器外部2bの全圧(すなわち、大気圧)に対して負圧(大気圧のほうが圧力が高い)になる。この内外圧力差により、逆止弁9が開放して外気、すなわち、大気が気密容器2の容器内部2aに導入される。大気の導入により、容器内部2aの全圧Pと容器外部2bの全圧とが均衡すると逆止弁9が閉鎖して大気導入を遮断する。この時点で、逆止弁9とともにリリーフ弁11も閉鎖しているから、気密容器2の容器内部2aの大気は密封状態にある。対向隔壁5,6同士の遠のく方向への移動が既に行われ容器内部2aに大気が既に導入されている場合は、上記した移動作業は省略してよい。
【0028】
次は、用意した気密容器2の容器内部2aの全圧Pを、増圧して全圧P1の状態を形成する(第2工程)。具体的には、図2(b)に示すように対向隔壁5を押圧して対向隔壁6に近づける方向に移動させ併せて蛇腹隔壁7を縮み変形させることによって、容器内部2aの容積を減少させる。容器内部2aは気密状態にあるから密封された大気の全圧Pが増圧して全圧P1になる。全圧P1は、リリーフ弁11を開放させるには十分な圧力ではない。全圧P1になったところで容器内部2a内にある大気に含まれる酸素g1が気体分離膜13を透過して容器外部2bに分離排出される。酸素g1の透過は、容器内部2aの全圧がP1に達したときに突然生じるわけではなく気密容器2の内外に大きさを問わず圧力差が生じたときから始まる。すなわち、全圧P1は、常圧時の全圧Pよりも高い圧力であって、リリーフ弁11を開放させる圧力P2に満たない圧力のことをいう(P<P1<P2)。容器外部2bへ酸素g1が分離排出されることによって、気密容器2の容器内部2aには窒素富化気体g2が残る。一般的に窒素は大気の体積の略80%を占めているので、窒素富化気体g2はより高い窒素の占有率を占めることになる。なお、容器内部2aの容積減少は、上記した対向隔壁5の押圧とともに対向隔壁6を押圧することにより、また、対向隔壁5の押圧の代わりに対向隔壁6を押圧することにより、行うようにしてもよい。この点、後述するリリーフ弁11を開放するための押圧についても同じである。
【0029】
次に、気密容器2の容器内部2aに残った窒素富化気体g2をリリーフ弁11から取り出す(第3工程)。具体的には、図2(c)に示すように、対向隔壁5をさらに押圧して、容器内部2aの容積を減少させることによって全圧P1をさらに増圧して全圧P2の状態を形成する。全圧P2は、リリーフ弁11を開放可能な圧力である。容器内部2aにある窒素富化気体g2が増圧により全圧P2に至るとリリーフ弁11が開放して容器内部2aと容器外部2bとが連通する。連通した状態におけるさらなる押圧は、窒素富化気体g2を容器外部2bに押し出す。ここで、リリーフ弁11に供給先となる密封容器(図示を省略)等を接続しておけば、窒素富化気体g2を上記密封容器等内へ取り出すことができる。リリーフ弁11は、対向隔壁5が押圧され続けている間、すなわち、容器内部2aの全圧がP2を下回らない間は開放したままであり、下回ったときに閉鎖して容器内部2aと容器外部2bとの間の連通を遮断する。対向隔壁5の押圧を一時中断したことによって全圧がP2を下回り、その結果閉鎖したリリーフ弁11であっても、押圧を再開して全圧をP2に至らせれば再開放して窒素富化気体g2の再取り出しを可能とする。
【0030】
以上述べた3工程によって窒素富化気体g2の取り出しは完了するが、取り出しを完了した気密容器2は、これを再利用可能とするために、元の状態に戻しておくことが好ましい。すなわち、窒素富化気体g2の取り出しを完了したときの対向隔壁5,6は押圧によって互いに近づけられた状態にあるが、ここで、一方の手と他方の手を使って対向隔壁5,6を互いに遠のく方向に移動させる。対向隔壁5,6の移動に伴い蛇腹隔壁7も伸長して気密容器2の容器内部2aの容積が増加する。すなわち、容器内部2aの全圧が容器外部2bの全圧に対して負圧となる。この結果、図2(d)に示すように逆止弁9が開放して導気孔5h経由で流れこんできた外気(大気)を容器内部2aに導入させる。逆止弁9は、容器内部2aの全圧と容器外部2bの全圧との差に対して押圧バネ9cのバネ力が勝ったときに閉鎖する。このとき、容器内部2aには大気が充満しており、対向隔壁5を押圧することにより、上述した手順で酸素g1を分離して窒素富化気体g2を取り出すことのできる状態にある。前記した窒素富化気体g2を取り出すための3工程と、上記した再利用のための復帰工程と、を併せれば、気体分離装置1を繰り返して使用可能となるので極めて経済的であり、かつ、便利である。
【0031】
(気体分離装置の第1変形例)
図3乃至5を参照しながら、第1変形例に係る気体分離装置1−1について説明する。図3は、気体分離装置1−1の平面図であり、図4及び5は、図3に示す気体分離装置1−1のB−B断面図である。気体分離装置1−1が、前述した気体分離装置1と異なるのは、主として後者では対向隔壁に設けた気体分離膜を前者では蛇腹隔壁に設けた点である。ここで、気体分離装置1−1を説明するにあたって、気体分離装置1と共通する部材については後者で使用した符号と同じ符号を使用するにとめ、共通する部材についての説明は省略する(後述する他の気体分離装置についても適宜同じとする)。
【0032】
気体分離装置1−1は、隔壁3−1によって容器外部2b−1と隔離された容器内部2a−1を備える気密容器2−1と、気体取出弁として機能するリリーフ弁11と、気密容器2−1の外部から内部に気体を導入するための逆止弁9と、から概ね構成してある。隔壁3−1は、図2の上下方向に対向する一対の対向隔壁5−1,6−1と、対向隔壁5−1と対向隔壁6−1との間に配した蛇腹隔壁7−1と、により構成してある。対向隔壁5−1,6−1は、それぞれが、たとえば、金属又は硬質合成樹脂により構成した同じ大きさの平面視円形の板、すなわち、円盤である。符号8は、対向隔壁5−1と対向隔壁6−1とを互いに遠のかせる方向に押圧する復帰バネを示している。復帰バネ8は、対向隔壁5−1が手動押圧される(外力が作用する)と縮んで押圧が解除される(外力が取り除かれる)と伸長して対向隔壁5−1を元の位置に自動復帰させるための復帰部材として機能する。
【0033】
蛇腹隔壁7−1は、薄いフィルム状の通気性補強膜7a−1と、通気性補強膜7a−1の容器内側に貼り付けた薄膜状の気体分離膜7b−1と、により構成してある。通気性補強膜7a−1は、たとえば、ポリスルホン(polysulfon)製やポリイミド(polyimide)製の多孔質弾性樹脂フィルム(弾性補強膜)により構成してあり、シリコーンゴム製の気体分離膜7b−1に対する通気性を確保しつつ気体分離膜7b−1を補強する機能を担っている。蛇腹隔壁7−1は、通気性補強膜7a−1と気体分離膜7b−1とを貼り合わせたシート状のものを内外方向互い違いに折り返して円筒蛇腹状に形成したものであり、その折り返し部分の屈伸により軸心方向(長さ方向)に伸縮可能に構成してある。蛇腹隔壁7−1の一端は対向隔壁5−1の対向隔壁6−1に面する側の面(対向面)に、同じく他端は対向隔壁6−1の対向隔壁5−1に面する側の面(対向面)に、それぞれ密着させてある。蛇腹隔壁7−1の対向隔壁5−1,6−1への密着により、逆止弁9とリリーフ弁11が閉鎖されたときに気密容器2−1の内部が常圧時(使用していないとき)に気密状態となり外部から隔離される。対向隔壁5−1,6−1の何れか一方又は双方を互いに他方の隔壁に対して近づく方向に手動押圧することにより蛇腹隔壁7−1が長さ方向に縮んで気密容器2−1内部の容積を減少させ、手動押圧を停止することにより主として復帰バネ8のバネ力が作用して押圧された隔壁3−1を元の位置に復帰させる。隔壁3−1の復帰により気密容器2−1の容器内部2a−1の容積も復帰する。容器内部2a−1の容積減少により全圧が上昇し、これによって、容器内部2a−1内にある大気から含まれていた酸素g1が気体分離膜7b−1を透過して容器外部2b−1に分離排出される。通気性補強膜7a−1は、その通気性により、気体分離を邪魔することがないか、あっても僅かである。蛇腹隔壁7−1の気体分離膜7b−1によれば、蛇腹状に形成してあるため前述した気体分離膜13,・・よりも広い表面積を確保することができる。したがって、気体分離装置1−1によれば、より効率のよい気体分離が実現可能である。なお、気体分離装置1に気体分離機能を持った気体分離装置1−1の蛇腹隔壁7−1を設けること、又は、後者に気体分離機能を持った前者の対向隔壁5を設けることを妨げない。なお、図示は省略するが、上記の押圧作業を、ジャッキ構造を介して行えば、押圧作業による負担を軽減することが可能である。
【0034】
(気体分離装置の第2変形例)
図6及び7を参照しながら、第2変形例に係る気体分離装置1−2について説明する。図6及び7は、気体分離装置1−2の縦断面図である。気体分離装置1−2が、前述した気体分離装置1又は気体分離装置1−1と異なるのは、主として後二者が1個であった気密容器を前者が2個である点にある。ここでは、前述した気密容器2−1に副気密容器2−1´を直列接続した場合について説明する。
【0035】
図6に示す気密容器2−1の構造は前述した通りであり、副気密容器2−1´は、気密容器2−1と基本的に同じ構造を有しており、異なるのは次の3点である。すなわち、副気密容器2−1´の対向隔壁5−1´に上述の連通逆止弁17を設けた点、導気孔(逆止弁)を設けていない点、及び、復帰バネを設けていないので蛇腹隔壁7−1´が常態において縮んでいる点において副気密容器2−1´は気密容器2−1と異なっている。連通逆止弁17は、気密容器2−1のリリーフ弁11と連通パイプ15を介して連通可能に、かつ、リリーフ弁11から供給された気体g2を副気密容器2−1´内に受け入れるも副気密容器2−1´内の気体の逆流を許さないように構成してある。すなわち、気密容器2−1から副気密容器2−1´への一方通行である。気密容器2−1の気体分離機能によりリリーフ弁11から取り出された窒素富化気体g2は連通パイプ15及び連通逆止弁17を介して副気密容器2−1´内に送られる。このとき、気密容器2−1の操作は1回(蛇腹隔壁7−1の伸縮1回)でもよいし複数回でもよい。複数回の操作を行えば、複数回分の気体g2が副気密容器2−1´に送られることになる。
【0036】
気体g2が供給されると、供給された気体g2の全圧によって副気密容器2−1´の蛇腹隔壁7−1´が伸長させられて副気密容器2−1´の内部容積が増加する。内部容積の増加は、窒素富化気体g2の供給停止とともに停止する。ここで、副気密容器2−1´の対向隔壁5−1´を気密容器2−1の対向隔壁5−1と同様の手順で押圧すると、副気密容器2−1´内にある気体g2の全圧が上昇して大気圧より高くなる。すなわち、副気密容器2−1´内外に圧力差が生じる。生じた圧力差は、副気密容器2−1´内の窒素富化気体g2から気体分離膜7b−1を介してさらに酸素g1を分離排出し、これにより窒素濃度の高い窒素富化気体g3を生成する。ここで、対向隔壁5−1´をさらに押圧すると、副気密容器2−1´内の窒素富化気体g3の全圧はさらに増圧し、これが、副気密容器2−1´のリリーフ弁11´を開放させ窒素富化気体g3を取り出し可能とする。以上から理解されるように気体分離装置1−2によれば、副気密容器2−1´を直列接続したことによって気密容器2−1から取り出す窒素富化気体g2よりもより濃度の高い窒素富化気体g3を取り出すことができる。
【0037】
なお、気体分離装置1−2は、直列接続した2個の気密容器を含めて構成してあるが、上記した副気密容器2−1´のリリーフ弁11´に、1又は2以上の気密容器を別途接続することにより、さらに高濃度の窒素富化気体を得ることができる。さらに、図7に示すように、気密容器2−1の対向隔壁6−1を共通隔壁として構成することによって、副気密容器2−1´の対向隔壁5−1´及び連通パイプ15を省略した気体分離装置1´−2することも可能である。気体分離装置1´−2は、多数の通気孔10hを備え上部開口の通気容器内に収納してある。
【0038】
(気体分離装置の第3変形例)
図8を参照しながら、第3変形例に係る気体分離装置1−3について説明する。図8は、気体分離装置1−3の縦断面図である。気体分離装置1−3は、隔壁21により内外が隔離された気密容器22を備えている。隔壁21は、中空部24を有する筒状の固定隔壁23と、中空部24内にあり固定隔壁23の内周面23eに対して中空部24の長さ方向(図8の上下方向)に往復摺動可能な可動隔壁25と、を含めて構成してある。固定隔壁23は、金属や合成樹脂により全体構成した円形の底部23aと、底部23aの外周から起立する環状周壁23bと、を備えている。底部23aの形状を円形に構成したのは円形であれば内周面23eとの間の気密性担保が比較的簡単であると考えたからであるところ、気密容器22内にある中空部24の気密性が確保できるのであれば円形以外の形状でもよい。底部23aの形状を円形にしたことから、これに対応して環状周壁23bの形状も円形としてある。なお、符号23cは、環状周壁23bの上端部にネジ固定可能な蓋体を示している。
【0039】
可動隔壁25の外周には環状パッキン26を密着固定してあり、環状パッキン26の働きにより可動隔壁25と内周面23eとの間の密着性を担保しつつ摺動を可能としている。密着性担保によって気密容器22の内部23jの気密性が保持される。環状パッキン26も、気密容器22の内部23jと外部23kとを隔離する機能を有しており、隔壁21の一部を構成する。可動隔壁25には複数の通気孔21h,・・を厚み方向に貫通形成してあり、各通気孔21hを気体分離膜21m,・・により閉鎖してある。すなわち、各気体分離膜21mは、気密容器22の内外を隔離する機能を有しており、隔壁21の一部を構成する。蓋体23cの中央には滑り軸受23dを埋め込み固定してあり、この滑り軸受23dは、符号25sで示す操作棒25sを蓋体23cの厚み方向(可動隔壁25の可動方向)に往復スライドさせるための部材である。操作棒25sの気密容器22内部側一端は可動隔壁25に固定してあり、気密容器22外部側一端には操作盤25pを固定してある。操作棒25sは、その往復スライドにより気密容器22内にある可動隔壁25を往復摺動させられるように、すなわち、可動隔壁25によって閉鎖した中空部24の容積を増減させられるように構成してある。なお、符号23h,23hは、蓋体23cの厚み方向に形成した気体抜き孔を示している。各気体抜き孔23hは、蓋体23cと可動隔壁25との間の空間23k´を連通させる機能を有しており、この連通によって上記空間23k´は気密容器22の外部23kの一部となる。また、符号27はリリーフ弁を、符号28は外気の流入のみを許す逆止弁を、それぞれ示している。
【0040】
ここで、気体分離装置1−3の使用方法を説明する。操作盤25pを手で持ち図8(a)に示す矢印(1)方向に引き上げると、それに伴い操作棒25sとともに可動隔壁25が同方向に摺動する。これによって、気密容器22の内部23jの容積が増加して外部23kに対して負圧になるため、逆止弁28が開いて大気を気密容器22の内部23jに導入する。このとき、リリーフ弁27は閉鎖したままである。次に、操作盤25pを図8(b)に示す矢印(2)方向に押し下げて可動隔壁25を同方向に摺動させると気密容器22の内部23jの容積が減少してPであった全圧がP1にまで増圧され、気体分離膜21mを介して内部23j内の大気から酸素g1(白矢印で示す)が外部23k´へ分離排出される。気密容器22の内部23jには、窒素富化気体g2が残る。ここで、可動隔壁25をさらに押し下げて窒素富化気体g2の全圧をP2にまで増圧すると、リリーフ弁27が開放して窒素富化気体g2が押し出される。リリーフ弁27に密封容器(図示を省略)等を接続しておけば、窒素富化気体g2を取り出すことができる。上記した密封容器の代わりに自転車や自動二輪車等のゴムタイヤ53の充填口に、リリーフ弁27を直接的又は充填部材等(図示を省略)を介して間接的に接続しておけばゴムタイヤ53に窒素冨化気体g2を充填することができる。ここで、操作盤25pを矢印(1)方向に再度引き上げることにより、可動隔壁25が同方向に摺動し逆止弁28を介して内部23jに大気が導入され、次の気体分離作業が可能な状態となる。
【0041】
(気体分離装置の第4変形例)
図9を参照しながら、第4変形例に係る気体分離装置1−4について説明する。図9は、気体分離装置1−4の縦断面図である。気体分離装置1−4は先に説明した気体分離装置1−3と類似した構成を備えていて、両者間で異なるのは、後者では容器外部に排出していた酸素g2を取り出し可能に構成した点である。このため、両者間で共通する部材については図8に示した符号を図9に示すにとめ、それらについての説明は可能な限り省略する。
【0042】
気体分離装置1−4は、隔壁21により内外が隔離された気密容器22を備えている。隔壁21は、中空部24を有する筒状の固定隔壁23と、中空部24内にあり固定隔壁23の内周面23eに対して中空部24の長さ方向(図9の上下方向)にパッキン26を介して往復摺動可能な可動隔壁25と、を含めて構成してある。固定隔壁23は、金属や合成樹脂により全体構成した円形の底部23aと、底部23aの外周から起立する環状周壁23bと、を備えている。ここまでは、気体分離装置1−3の構造と異ならない。図9に示す符号29は、環状周壁23bの上端部にネジ固定可能な蓋体を示している。蓋体29は、中空部24を気密閉鎖可能に構成してあり、これにより、気密容器22内には、可動隔壁25によって仕切られた気密容器内部23jと気密空間23j´が併存することになる。換言すると、固定隔壁23、可動隔壁25及びパッキン26により気密筒体が構成され、さらに、換言すると、気密容器22と、気密容器22に密封された気体から分離した気体を密封する分離気体用気密容器とが、気体分離膜21mを隔てて併設された状態にある。ここで、気密容器内部23jと気密空間23j´とを合わせた容積は一定であるから、両者を仕切る可動隔壁25(気体分離膜21m)の摺動により前者を増加させれば後者が減少し、逆に前者を減少させれば後者が増加する。なお、蓋体29には、気密空間23j´内にある気体(酸素)g1の外部への通過のみ許す分離気体取出弁(リリーフ弁30)を設けてある。ここで、リリーフ弁30にはノズル構造30aを備えさせてあり、このノズル構造30aを介して、たとえば、鼻に装着して酸素供給するための気体供給具51を接続すれば人体に酸素供給をすることができる。
【0043】
気体分離装置1−4の使用方法について説明する。操作盤25pを手で持ち図9(a)に示す矢印(1)方向に引き上げると、それに伴い操作棒25sとともに可動隔壁25が同方向に摺動する。これによって、気密容器内部23jの容積が増加して外部23k´に対して負圧になるため、逆止弁28が開いて大気を気密容器内部23jに導入する。このとき、リリーフ弁27は閉鎖したままである。次に、操作盤25pを図9(b)に示す矢印(2)方向に押し下げて可動隔壁25を同方向に摺動させると気密容器内部23jの容積が減少してPであった全圧がP1にまで増圧され、気体分離膜21mを介して気密容器内部23j内の大気から酸素g1(白矢印で示す)が気密空間23j´へ分離排出される。気密容器内部23jには、窒素富化気体g2が残る。ここで、可動隔壁25を引き上げると、気密空間23j´内の酸素g1の全圧が増圧してリリーフ弁30を開放させ酸素g1を取り出すことができる。酸素g1の取り出しの前又は後に可動隔壁25を最下端まで押し下げて気密容器内部23j内の窒素富化気体g2の全圧をP2にまで増圧すると、リリーフ弁27が開放して窒素富化気体g2が押し出される。リリーフ弁27に密封容器(図示を省略)等を接続しておけば、窒素富化気体g2を取り出すことができる。ここで、操作盤25pを矢印(1)方向に再度引き上げることにより、可動隔壁25が同方向に摺動し逆止弁28を介して気密容器内部23jに大気が導入され、次の気体分離作業が可能な状態となる。
【0044】
(気体分離装置の第5変形例)
図10乃至12を参照しながら、第5変形例に係る気体分離装置1−5について説明する。図10乃至12は、気体分離装置1−5の縦断面図である。気体分離装置1−5は、大径部と先細り部とを有する無花果形状に類似する形状の気密容器31を備えている。気密容器31は、隔壁32を備え、隔壁32は、その面積方向全部(一部でもよい)が、通気性があり復帰可能に変形する弾性補強膜33と、弾性補強膜33の内壁に貼り付けた気体分離膜35と、から構成してある。弾性補強膜33に通気性を持たせたのは、気体分離膜35に対する通気性を確保することによって気体分離膜35の気体分離機能を発揮可能にするためである。気密容器31大径部に該当する隔壁32には逆止弁37を、同じく先細り部先端には気体取出弁(リリーフ弁39)を、それぞれ設けてある。逆止弁37は、気密容器31内への気体導入のみを許容するように構成してある。リリーフ弁39には針状のノズル39aを一体化してあり、ノズル39aは、サッカーボール等の球技用ボール41の空気取入口に差込可能に構成してある。なお、隔壁32はその全体を弾性補強膜33と気体分離膜35とにより構成してあるが、この隔壁32の一部を上記二者の代わりに弾性材により構成することを妨げない。この場合の弾性材は気体分離機能を有しないことになるが、たとえば、気密容器31の形態や強度等の関係から気体分離膜を用いることの出来ない部位が存するという問題がある場合に、弾性材を用いることにより当該問題を解決できる。
【0045】
図10乃至12に基づいて、気体分離装置1−5の使用方法を説明する。図11に示すように、気体分離装置1−5を握り押圧すると隔壁32が変形して気密容器31の内部容積が減少する。容積減少により、気密容器31内部にある大気の全圧Pが増圧され全圧P1となる。ここで、大気に含まれる気体(酸素)g1が気体分離膜35を透過して外部に分離排出され、内部には窒素富化気体g2が残る。気密容器31をさらに押圧すると、内部の全圧P1が増圧して全圧P2となる。全圧がP2になるとリリーフ弁39が開放して窒素富化気体g2がノズル39aの先端から押し出される。ノズル39aを球技用ボール41の空気取入口に挿し込んでおけば、窒素富化気体g2を球技用ボール41に充填することができる。押圧している手を離せば隔壁32は、その弾性力により復帰して内部容積を復帰させる。内部容積の復帰により内部の全圧は大気圧に対して負圧となるから、逆止弁37が開放して大気を気密容器31内部に導入する。この押圧と押圧解除の操作は、繰り返して行うことができ、その度に所定量の窒素富化気体を充填することができる。
【0046】
(気体分離装置の第6変形例)
図13乃至15を参照しながら、第6変形例に係る気体分離装置1−6について説明する。図13は、気体分離装置1−6の平面図であり、図14及び15は、図13に示す気体分離装置1−6のC−C断面図である。気体分離装置1−6は、隔壁44によって内外を隔離する気密容器45を備え、この気密容器45は内部に食品等の保存物を収納可能に構成してある。すなわち、隔壁44は、上端開口の下容器46と、下端開口の上容器47と、蓋体49と、から概ね構成してあり、何れの部材も合成樹脂を主素材として構成してある。下容器46は底部46aと、底部46aの周縁から起立する周壁46bと、から概ね構成してあり、容器内部には保存物を収納する空間が形成してある。他方、上容器47は、平面視矩形の天板部47aと、天板部47aの周縁から垂下する周壁47bと、により概ね構成してあり、下容器46に被せられる形状及び大きさに形成してある。被せたときの下容器46の周壁46bは、被せられた上容器47の周壁47bの内側に位置するように構成してある。これとは逆に周壁46bを周壁47bの外側に位置させることも可能であるが、そのように構成すると周壁47bを下容器46内に入り込ませることになり周壁47bと下容器46内の保存物との接触が起こり得る。接触は被せ作業に悪影響を与えかねないので、上容器47の周壁47bを下容器46の周壁46bの外側に位置させるようにしたのである。下容器46に被せた上容器47は、両者をロックするためのロック機構48によってロック可能に構成してある。
【0047】
上容器47の天板部47aには、通気孔47h,・・と、各通気孔47hを気密閉鎖する気体分離膜47mと、を設けてある。つまり、各気体分離膜47mは、内外を隔離する隔壁44の一部を構成する。周壁47bの下端内側(下容器46に面する側)には、周壁47bを一回りする断面横向きU字状の環状溝47gを形成してあり、この環状溝47gには、環状パッキン47pを密着固定してある。環状パッキン47pは、環状溝47gから幅方向僅かにはみ出すように形成してある。上容器47を下容器46に被せたときに、環状パッキン47pのはみ出し部分が下容器46の周壁46b外周面に密着して気密性を保持しつつ前者に対する後者の摺動を可能にするためである。蓋体49は、上容器47の天板部47aより僅かに小さな平面視矩形の蓋本体49aと、蓋本体49aの下面(嵌めたときに通気孔47hに向く面)から下方に突き出す閉鎖突起49b,・・と、から概ね構成してある。閉鎖突起49bの数は通気孔47hの数と同数であり、各閉鎖突起49bは、蓋体49を天板部47aに嵌めた(被せた)ときに気体分離膜47mに接触せずに通気孔47hを気密閉鎖可能な形状に形成してある。蓋体49の気密閉鎖は、気体分離膜47mを気体が透過することを抑制する。すなわち、蓋体49は気体分離膜47mを気密被覆して気体分離膜47mの代わりに隔壁44の一部を構成することになる。蓋体49は、気体分離膜47mを気密容器45の外部から被覆可能に構成してあるが、この蓋体49の代わりに気密容器45の内部から気体分離膜47mを被覆可能な構造を採用することも可能である。
【0048】
気体分離装置1−6の使用方法を説明する。まず、図14(a)に示すように保存物を入れた下容器46の上から上容器47を被せる。このとき、環状パッキン47pの働きによって、下容器46と上容器47を合体された気密容器45が形成される。気密容器45内部は大気雰囲気である。次に、上容器47を押圧すると気密容器45の内部容積が減少して内部の全圧が高まり、これによって、気密容器45内の大気から少なくとも酸素が分離排出される(図14(b)参照)。このとき、気密容器45の内部は窒素冨化雰囲気になっている。ロック機構48を操作して下容器46と上容器47とをロックしたら、図15に示すように、蓋体49を天板47aに被せて各通気孔47hを気密閉鎖する。蓋体49の被せにより、気体分離膜47mを介した気体透過はなくなるか、また、あっても無視可能な量となる。気密容器45内の保存物は窒素雰囲気内に収納されているので、大気に曝されている場合に比べて酸化(劣化)される可能性は極めて低い。したがって、気密容器45内に収納した保存物を、まったく、又は、ほとんど劣化なく保存物を長期保存することが可能になる。
【0049】
食品には、たとえば、コーヒーや紅茶のような液体、顆粒状調味料のような固体、ゼリーのような流動体、さらに、これらの混合体がある。このような食品を窒素富化雰囲気の気密容器内に収納しておけばその酸化(劣化)を可及的に抑制することができ、同じ食品であっても大気中に保存する場合に比べて、それらの味や鮮度等を長時間に渡って保持することができる。また、食肉、鮮魚、野菜等の生鮮食品も食品に含まれることはいうまでもないところ、これらの食品を窒素雰囲気の気密容器内に収納しておくことは品質低下の抑制のために好ましいと考えられる。他方、まだ、研究段階ではあるが、これらの生鮮食品は呼吸をしておりある程度の酸素が必要と考えられるから、気密容器内部の酸素濃度を幾分高めに、すなわち、酸素の分離排出量を少なめに設定することが必要であろう。
【0050】
(気体分離装置の第7変形例)
図16を参照しながら、第7変形例に係る気体分離装置1−7について説明する。図16は、気体分離装置1−7の断面図である。気体分離装置1−7は、隔壁21−7により内外が隔離された気密容器22−7を備えている。隔壁21−7は、気密室24−7を有する筒状の固定隔壁23−7と、気密室24−7内にあり固定隔壁23−7の内周面23e−7に対して気密室24−7の長さ方向(図16の左右方向)に往復摺動可能な可動隔壁25−7と、を含めて構成してある。可動隔壁25−7の往復摺動は、駆動構造(図示を省略)によって行われる。固定隔壁23−7は、金属や合成樹脂により全体構成した環状周壁23b−7と、環状周壁23b−7の両端を閉鎖する円形の側壁部23a−7R,23a−7Lと、から構成してある。側壁部23a−7R,23a−7Lの形状を円形に構成したのは円形であれば内周面23e−7との間の気密性担保が比較的簡単であると考えたからであるところ、気密容器22−7内にある気密室24−7の気密性が確保できるのであれば円形以外の形状でもよい。側壁部23a−7R,23a−7Lの形状を円形にしたことから、これに対応して環状周壁23b−7の形状は円筒状としてある。なお、図16において符号24−7Rは、気密室24−7内における可動隔壁25−7よりも、図に向かって右側の気密室を、同じく符号24−7Lは、同じく左側の気密室を示している。図16(a)及び(e)は気密室24−7Rの容積が略ゼロの状態(可動隔壁25−7が側壁部23a−7Rの近傍に位置した状態)を、図16(c)は気密室24−7Lの容積が略ゼロの状態(可動隔壁25−7が側壁部23a−7L近傍に位置した状態)を、それぞれ示している。
【0051】
可動隔壁25−7の外周には環状パッキン26−7を密着固定してあり、環状パッキン26−7の働きにより可動隔壁25−7と内周面23e−7との間の密着性(気密性)を担保しつつ摺動を可能としている。密着性担保によって気密容器22−7の内部、すなわち、気密室24−7(気密室24−7R,気密室24−7L)内の気密性が保持される。環状パッキン26−7も、気密容器22−7の気密室24−7と外部とを隔離する機能を有しており、隔壁21−7の一部を構成する。側壁部23a−7R,23a−7Lには複数の通気孔(図示を省略)を厚み方向に貫通形成してあり、各通気孔を気体分離膜21m−7R,21m−7Lにより閉鎖してある。すなわち、気体分離膜21m−7R,21m−7Lは、気密容器22−7の内外を隔離する機能を有しており、隔壁21−7の一部を構成する。符号27−7R,27−7Lは、リリーフ弁(逆止弁)を示している。
【0052】
ここで、気体分離膜21m−7Rが、気密室24−7R内部の全圧Pが可動隔壁25−7の移動による容積増大(すなわち、減圧)によって全圧P1(P>P1)以下となったときに気密室24−7R内部に気密容器22−7の外部にある気体G(たとえば、大気)から気体Gに含まれていた気体g1(たとえば、酸素冨化気体)を気密室24−7R内に分離導入可能に構成してある。また、同じく他方の気体分離膜21m−7Lが、気密室24−7L内部の全圧P´が可動隔壁25−7の移動による容積増大によって全圧P´1(P´>P´1)以下となったときに気密室24−7L内部に気体Gから気体Gに含まれていた気体g1を気密室24−7L内に分離導入可能に構成してある。さらに、リリーフ弁27−7Rが、可動隔壁25−7の移動による気密室24−7R内部の容積減少により気密室24−7R内部の全圧P1がP2(P2>P1)となったときに気密室24−7Rの内部と外部とを連通して気密室24−7R内部にある気体g1を外部に排出可能に構成してあり、他方のリリーフ弁27−7Lが、可動隔壁25−7の移動による気密室24−7L内部の容積減少により気密室24−7L内部の全圧P´1がP´2(P´2>P´1)となったときに気密室24−7Lの内部と外部とを連通して気密室24−7L内部にある気体g1を外部に排出可能に構成してある。なお、酸素冨化気体g1を気密室24−7R(気密室24−7L)から外部排出するためには、リリーフ弁27−7R(リリーフ弁27−7L)を開放させるための全圧P2(P´2)が気密容器22−7の外部圧よりも高くなくてはならない(外部圧の方が高いとリリーフ弁が開かない)。この内外圧力差は、気密室24−7R(気密室24−7L)内にある酸素冨化気体g1を、気体分離膜21m−7R(気体分離膜21m−7L)経由で外部排出させる場合もあり得よう。しかし、そのような場合であっても、リリーフ弁27−7R(リリーフ弁27−7L)経由の排出と、気体分離膜21m−7R(気体分離膜21m−7L)経由の排出と、では、前者経由の酸素冨化気体g1の排出量の方が遥かに多く後者経由の排出量はごく僅かである。したがって、実質的な酸素冨化気体g1の排出は、リリーフ弁27−7R(リリーフ弁27−7L)を介して行われることになる。この点は、後述する他の変形例においても同じである。なお、気体分離膜21m−7R,気体分離膜21m−7Lは、加圧や減圧に耐えられるように一体化させた通気性補強膜によって補強してある。気体分離膜を通気性補強膜によって補強する点は、以下に説明する各変形例についても同じである。もっとも、気体分離膜自体が充分な強度を備えているのであれば、第7変形例を含め本明細書で紹介するいずれの気体分離膜も通気性補強膜を省略して単独使用することを妨げない。
【0053】
ここで、気体分離装置1−7の使用方法を説明する。可動隔壁25−7の往復移動によって一方の気密室24−7Rと他方の気密室24−7Lとの間で容積比の変動が繰り返し行われる。気密室24−7Rの容積が減少した分、気密室24−7Lの容積が増加するとともに、これとは逆に、一方の気密室24−7Rの容積が増加した分、気密室24−7Lの容積が減少する。容積増加方向への可動隔壁25−7の移動によって気密室24−7Rの容積が増加すると、気密室24−7R内の全圧PがP1(<P)に減圧する。この減圧による気密容器22−7内外の圧力差が、気密室24−7Rに気体g1を導入させる(図16(b))。すなわち、気体g1は、気密容器22−7外にあった気体Gから一方の気体分離膜21m−7Rによって透過分離された気体である。気体導入によって、気密室24−7R内には気体g1が充満する。他方、上記とは逆となる容積減少方向への可動隔壁25−7の移動によって、気密室24−7R内の容積が減少して充満する気体g1の全圧が増圧する。容積増加の結果、全圧がP1からP2に達したときに、リリーフ弁27−7Rが開いて充満している気体g1を外部放出させる(図16(d))。以上により、一方の気密室24−7Rから気体g1の取り出しが完了する。他方の気密室24−7Lの容積増減は、一方の気密室24−7Rの容積増減と逆のタイミングで行われる。容積増加により、他方の気密室24−7L内の全圧P´がP´1まで減圧し気体g1を内部に導入し(図16(d))、容積減少により、気密室24−7L内の全圧P´1がP´2にまで増圧して充満した気体g1を気密容器22−7外部に放出させる(図16(b))。この気体g1の導入は他方の気体分離膜21m−7Lを介して行われ、気体g1の放出は他方のリリーフ弁27−7Lを介して行われる。このように気体分離装置1−7によれば、可動隔壁25−7の往路移動と復路移動のそれぞれにおいて気体g1を取り出すことができるので、たとえば、一方方向の移動によってのみ取り出そうとする場合に比べて、略2倍の効率で気体の取り出しができる。もっとも、上記使用方法は、可動隔壁25−7の空往復移動を数回程度行って気密室24−7R(気密室24−7L)内に既存していた気体(大気)を気体g1に置換してから行うことが好ましい。使用開始直後の排出気体は、気体g1と既存気体との混合気体である可能性が高いから、そのような混合気体を空往復により前もって排出することにより純度の高い気体g1を得られるようにするためである。この点は、後述する他の変形例においても同じである。
【0054】
(気体分離装置の第8変形例)
図17乃至20を参照しながら、第8変形例に係る気体分離装置1−8について説明する。図17は、気体分離装置1−8の斜視図である。図18は、気体分離装置1−8の平面図である。図19は、気体分離装置1−8の底面図である。図20は、気体分離装置1−8の縦断面図である。気体分離装置1−8は、気体分離装置1−7と基本構造を共通にする。構造的には分離対象とする気体等の種類を問わないこと、大気Gから酸素冨化気体g1を分離することを前提とすることは、前述したとおりである。ここで紹介する気体分離装置1−8もその例外ではないが、その説明に当たりより理解し易くするために、気体g1の代わりに酸素冨化気体g1と記載する。
【0055】
気体分離装置1−8は、隔壁21−8により内外が隔離された気密容器22−8を備えている。隔壁21−8は、気密室(中空部)24−8を有する筒状の固定隔壁23−8と、気密室24−8内にあり固定隔壁23−8の内周面23e−8に対して気密室24−8の長さ方向(図20の上下方向)に往復摺動可能な可動隔壁25−8と、を含めて構成してある。つまり、気密室24−8は、可動隔壁25−8によって、気密室24−8aと気密室24−8bに分割されている。固定隔壁23−8の両端は、後述する蓋体23a−8と、円形の底部23b−8と、によって常態において気密保持可能に構成してある。つまり、蓋体23a−8及び底部23b−8も固定隔壁としての機能を有している。底部23b−8の形状を円形に構成したのは円形であれば内周面23e−8との間の気密性担保が比較的簡単であると考えたからであるところ、気密容器22−8内にある気密室24−8の気密性が確保できるのであれば円形以外の形状でもよい。底部23b−8の形状を円形にしたことから、これに対応して固定隔壁23−8の形状は円筒状に形成してある。なお、蓋体23a−8は、固定隔壁23−8の上端部にネジ固定可能に構成してある。ネジ固定可能としたのは、蓋体23a−8を固定隔壁23−8に対して容易に取り付け取り外しできるようにするためであり、取り外し可能としたのは、たとえば、気密容器22−8内部に可動隔壁25−8を組み入れたり、必要に応じて内部保守を可能にしたりするためである。
【0056】
可動隔壁25−8の外周には環状パッキン26−8を密着固定してあり、環状パッキン26−8の働きにより可動隔壁25−8と内周面23e−8との間の密着性を担保しつつ摺動を可能としている。密着性担保によって気密室24−8の気密性が保持される。環状パッキン26−8も、隔壁21−8の一部を構成する。蓋体23a−8には複数の通気孔23a−8h,・・が、底部23b−8には複数の通気孔23b−8h,・・が、それぞれ厚み方向に貫通形成してある。通気孔23a−8h,・・は気体分離膜23a−8m,・・により、通気孔23b−8h,・・は気体分離膜23b−8m,・・により、それぞれ気密閉鎖してある。すなわち、各気体分離膜23a−8m及び各気体分離膜23b−8mは、いずれも気密容器22−8の内外を隔離する機能を有しており、隔壁21−8の一部を構成する。蓋体23a−8の中央には滑り軸受23d−8を埋め込み固定してあり、この滑り軸受23d−8は、符号25s−8で示す操作棒を蓋体23a−8の厚み方向(可動隔壁25−8の可動方向)に外力を加えて往復スライドさせるための部材である。操作棒25s−8の気密容器22−8の内部側一端は可動隔壁25−8に固定してあり、気密容器22−8外部側一端には操作盤25p−8を固定してある。操作棒25s−8は、その往復スライドにより気密容器22−8内にある可動隔壁25−8を往復摺動させられるように、すなわち、可動隔壁25−8によって閉鎖した気密室24−8の容積に変化はないが、可動隔壁25−8を往復摺動させることによって気密室24−8aと気密室24−8bとの間で、一方が増加した分他方が減少するというように容積を相対的に変化させられるように構成してある。なお、符号27−8aは気密室24−8aと外部とを連通可能にするリリーフ弁を、符号27−8bは気密室24−8bと外部とを連通可能にするリリーフ弁を、それぞれ示している。さらに、符号23b−8gは、底部23b−8の下端面中央から垂下させたグリップ(握り部)を示している。グリップ23b−8gは、使用者に片手(図20に2点鎖線で表示)で握らせ、これによって、気密容器22−8を起立保持させられるようにするためのものである。片手で保持できれば、空いた他の片手で操作棒25s−8(操作盤25p−8)を操作できるので、気体分離装置1−8の使い勝手を向上させることができる。また、手動操作によるものであって無電源で使用可能である気体分離装置1−8は、たとえば、山頂や災害地のような電源を得づらい状況下で使用するのに適している。
【0057】
ここで、気体分離装置1−8の使用方法を説明する。操作盤25p−8を手で持ち図20の下方向に押し下げると、それに伴い操作棒25s−8とともに可動隔壁25−8が同方向に摺動する。これによって、気密室24−8aの容積が増加して内部の全圧がPからP1まで減圧される。減圧の結果、外部(大気圧)に対して負圧となり、この圧力差が、気体分離膜23a−8mを介して大気Gから酸素冨化気体g1を気密室24−8a内に分離導入させる。このとき、リリーフ弁27−8aは閉鎖したままである。次に、操作盤25p−8を図20の上方向に引き上げて可動隔壁25−8を同方向に摺動させると気密室24−8aの容積が減少してP1であった酸素冨化気体g1の全圧がP2にまで増圧してリリーフ弁27−8aを開放させ、この結果、酸素冨化気体g1が外部に排出される。他方、上記操作盤25p−8の押し下げは、気密室24−8b内の全圧P´1をP´2にまで増圧させてリリーフ弁27−8bを開放させる。この結果、気密室24−8b内にある酸素冨化気体g1が外部に排出される。上記操作盤25p−8の引き上げは、気密室24−8b内の容積増加に伴い全圧P´をP´1に減圧させる。減圧による内外圧力差が、気体分離膜23b−8mを介して大気Gから酸素冨化気体g1を気密室24−8b内に分離導入させる。以上述べた操作盤25p−8の押し下げと引き上げは、これらを繰り返すことによって、リリーフ弁27−8aとリリーフ弁27−8bとから交互に酸素冨化気体g1を取り出すことができる。押し下げ又は引き上げのいずれか一方の動作のときだけの取り出しに比べて、双方向動作によって酸素冨化気体g1取り出すことができるためたいへん効率がよい。リリーフ弁27−8aとリリーフ弁27−8bとを、たとえば、図20に示すような気体供給具(酸素マスク)51−8等に管連結しておけば、人体に対して連続的かつ効率的に酸素冨化気体の供給を行うことができる。
【0058】
(気体分離装置の第9変形例)
図21乃至24を参照しながら、第9変形例に係る気体分離装置1−9について説明する。図21は、気体分離装置1−9の斜視図である。図22は、気体分離装置1−9の平面図である。図23は、気体分離装置1−9の底面図である。図24は、気体分離装置1−9の縦断面図である。気体分離装置1−9は、上記した気体分離装置1−8に改良を加えたものである。気体分離装置1−9が気体分離装置1−8と異なるのは、可動隔壁の駆動構造のみである。このため、以下においては、気体分離装置1−9の特徴についてだけ説明し、気体分離装置1−8と共通する部材・構造については図17乃至20で使用した符号等を図21乃至24においても使用するに止め、それらの説明は省略する。
【0059】
すなわち、気体分離装置1−9に係る可動隔壁25−9の駆動構造は、可動隔壁25−9の中央を貫通するネジ孔25−9nと、ネジ孔25−9nと螺合可能なスクリューシャフト25−9sと、スクリューシャフト25−9sの天板部23a−9側(図24の上側)一端を軸支する軸受23d−9aと、スクリューシャフト25−9sの蓋体23b−9側(図24の下側)一端を軸支する軸受23d−9bと、スクリューシャフト25−9sを可逆回転させるためのモータ25−9mと、モータ駆動のための電池25−9bと、から概ね構成してある。モータ25−9mの駆動軸は、図24では見えないが軸受23d−9bに軸支されたスクリューシャフト25−9sに接続して一体回転可能に構成してある。モータ25−9mと電池25−9bは、蓋体23b−9中央から垂下するグリップ23b−9gの中に収納してある。電池25−9sは、充電可能電池でも充電不能電池でもかまわない。図示は省略するが、モータ25−9mの駆動スイッチや回転方向の切替スイッチも取り付けてある。このように、グリップ23b−9gは、握り部としての機能とモータ等の収納部としての機能とを兼ね備えている。モータ25−9mを駆動してスクリューシャフト25−9sを回転させると、それに螺合するネジ孔25−9n(可動隔壁25−9)との間にネジ作用が働きその回転方向に合わせて可動隔壁25−9を往復移動(図24において上下動)させる。上述したネジ孔25−9nと、スクリューシャフト25−9sと、軸受23d−9aと、軸受23d−9bと、は、モータ25−9mの原動力を増大させるジャッキ構造として機能するように構成してある。可動隔壁25−9の上下動による酸素冨化気体g1の排出作用は、前述した可動隔壁25−8の排出作用と異ならない。モータ25−9mによる駆動を行う気体分離装置1−9は、手動による駆動を行う気体分離装置1−8に比べて労力が小さくて済む、という利点を備えている。
【0060】
(気体分離装置の第10変形例)
図25及び26を参照しながら、第10変形例に係る気体分離装置1−10について説明する。図25は、気体分離装置1−10の斜視図である。図26は、気体分離装置1−10の縦断面図である。気体分離装置1−10は、先に述べた気体分離装置1−9に改良を施したものである。改良点は、気体分離装置1−9が有しなかったソーラーパネルを気体分離装置1−10に設けた点である。したがって、以下の説明はソーラーパネルと、その関連部材についてのみ行う。なお、気体分離装置1−9と気体分離装置1−10との間で共通する部材については、図21乃至24で使用した符号と同じ符号を図25及び26に記すに止め、それらの部材についての説明は省略する。
【0061】
すなわち、気体分離装置1−10が備える電池25−10bは、充電可能な電池により構成してあり、その充電は、気密容器22−10の隔壁21−8の外周に設けたソーラーパネル22−10pによって行われるように構成してある。気体分離装置1−10によれば、グリップ23b−9gを握りソーラーパネル22−10pに光を当てれば発電された電気が電池25−10bに充電されるので、電池の入れ替えが不要となる。山頂や災害地等の電源を得づらい場所においても、長時間に渡る使用が可能になる。
【0062】
(気体分離装置の第11変形例)
図27及び28を参照しながら、第11変形例に係る気体分離装置1−11について説明する。図27は、気体分離装置1−11の斜視図である。図28は、天板を省略した気体分離装置1−11の平面図である。気体分離装置1−11は、平面視扇型の気密容器22−11と、気密容器22−11の扇型中心部に配した駆動構造22a−11と、電源部22b−11と、から外観構成してある。
【0063】
気密容器22−11は、扇型の天板部22−11a、同じく扇型の底板部22−11bと、天板部22−11aの円弧辺と底板部22−11bの円弧辺とを連結する円弧側壁部22−11cと、天板部22−11aの直線辺と底板部22−11bの直線辺とを連結する側壁部22−11d,22−11dと、から構成してあり、上記各部材は固定隔壁として機能する。各側壁部22−11dは、略全体を占める気体分離膜23a−11mと、気体分離膜23a−11mを保持するための枠体23a−11fと、から概ね構成してある。上記各部材全体が気密容器22−11の隔壁を、気密容器22−11内部が気密室24−11を、それぞれ構成する。気密容器22−11内には、気密室24−11(24−11a,24−11b)を気密分断可能な可動隔壁25−11を配してある。可動隔壁25−11は、平面視一端を駆動構造22a−11に回動可能に支持させ、同他端は横向きU字パッキン26−11を介して円弧側壁部22−11c内壁に摺動可能に当接させてある。パッキン26−11は、天板部22−11a及び底板部22−11bと可動隔壁25−11との間を摺動可能に気密閉鎖する機能を兼ね備えている。各枠体23a−11fには、リリーフ弁27−11aを取り付けてあり、それぞれが気密室24−11a,24−11bと外部とを連通可能に構成してある。可動隔壁25−11は、上述した天板部22−11a等により構成される固定隔壁とともに、第11変形例における隔壁を構成する。
【0064】
駆動構造22a−11は、基部に配したロータリーソレノイド22s―11を主要部材として構成してあり、電源部22b−11から電気の供給を受けたロータリーソレノイド22s−11が機構部22k−11を介して可動隔壁25−11を円弧辺に沿って往復回動させる機能を有している。駆動構造22a−11を中心とした可動隔壁25−11の回動は、先端部を円弧側壁部22−11cに沿って往復移動させる。この往復移動が、気密室24−11aと気密室24−11bとの間の相対容積を増減させる。相対容積の増減は、気体分離装置1−7の動作原理と同じ原理により気体分離膜23a−11m,23a−11mを介して分離導入した酸素冨化気体g1をリリーフ弁27−11a,27−11aから外部排出する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態に係る気体分離装置の平面図である。
【図2】図1に示す気体分離装置のA−A断面図である。
【図3】本実施形態の第1変形例に係る気体分離装置の平面図である。
【図4】図3に示す気体分離装置のB−B断面図である。
【図5】図3に示す気体分離装置のB−B断面図である。
【図6】本実施形態の第2変形例に係る気体分離装置の縦断面図である。
【図7】本実施形態の第2変形例に係る気体分離装置の縦断面図である。
【図8】本実施形態の第3変形例に係る気体分離装置の縦断面図である。
【図9】本実施形態の第4変形例に係る気体分離装置の縦断面図である。
【図10】本実施形態の第5変形例に係る気体分離装置の縦断面図である。
【図11】本実施形態の第5変形例に係る気体分離装置の縦断面図である。
【図12】本実施形態の第5変形例に係る気体分離装置の縦断面図である。
【図13】本実施形態の第6変形例に係る気体分離装置の平面図である。
【図14】本実施形態の第6変形例に係る気体分離装置のC−C断面図である。
【図15】本実施形態の第6変形例に係る気体分離装置のC−C断面図である。
【図16】本実施形態の第7変形例に係る気体分離装置の断面図である。
【図17】本実施形態の第8変形例に係る気体分離装置の斜視図である。
【図18】本実施形態の第8変形例に係る気体分離装置の平面図である。
【図19】本実施形態の第8変形例に係る気体分離装置の底面図である。
【図20】本実施形態の第8変形例に係る気体分離装置の縦断面図である。
【図21】本実施形態の第9変形例に係る気体分離装置の斜視図である。
【図22】本実施形態の第9変形例に係る気体分離装置の平面図である。
【図23】本実施形態の第9変形例に係る気体分離装置の底面図である。
【図24】本実施形態の第9変形例に係る気体分離装置の縦断面図である。
【図25】本実施形態の第10変形例に係る気体分離装置の斜視図である。
【図26】本実施形態の第10変形例に係る気体分離装置の縦断面図である。
【図27】本実施形態の第11変形例に係る気体分離装置の斜視図である。
【図28】本実施形態の第11変形例に係る天板省略の気体分離装置の平面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 気体分離装置
2 気密容器
2a 容器内部
2b 容器外部
2−1´ 副気密容器
3 隔壁
5,6 対向隔壁
5a 通気孔
5h 導気孔
7 蛇腹隔壁
7a−1 通気性補強膜
7b−1 気体分離膜
8 復帰バネ
9 逆止弁
9a 弁体
9b 環状支持部
9c 押圧バネ
9d 有底円筒体
9e 底部
9f 環状支持部
9h 貫通孔
10 通気容器
10h 通気孔
11 リリーフ弁
11a 弁本体
11b 調整リング
13 気体分離膜
15 連通パイプ
17 連通逆止弁
21 隔壁
21h 通気孔
21m 気体分離膜
22 気密容器
23 固定隔壁
23a 底部
23b 環状周壁
23c 蓋体
23d 軸受
23e 内周面
23h 気体抜き孔
23j 内部
23j 気密容器内部
23j´ 気密空間
23k 外部
23k´ 空間
24 中空部
25 可動隔壁
25p 操作盤
25s 操作棒
26 環状パッキン
27 リリーフ弁
28 逆止弁
29 蓋体
30 分離気体取出弁(リリーフ弁)
30a ノズル構造(ノズル)
31 気密容器
32 隔壁
33 弾性補強膜
35 気体分離膜
37 逆止弁
39 気体取出弁リリーフ弁
39a ノズル
41 球技用ボール
44 隔壁
45 気密容器
46 下容器
46a 底部
46b 周壁
47 上容器
47a 天板部
47b 周壁
47g 環状溝
47h 通気孔
47m 気体分離膜
47p 環状パッキン
48 ロック機構
49 蓋体(被覆部材)
49a 蓋本体
49b 閉鎖突起
51 気体供給具
53 ゴムタイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁によって外部と隔離された気密室を備える気密容器と、
当該気密室内にあって、当該気密室を一方の気密室と他方の気密室とに気密分離する可動隔壁と、
当該可動隔壁を当該気密室内において往復移動させる駆動構造と、
当該一方の気密室と外部とを隔離する隔壁の少なくとも一部を構成する一方の気体分離膜と、
当該他方の気密室と外部とを隔離する隔壁の少なくとも一部を構成する他方の気体分離膜と、
当該一方の気密室内にある気体を外部に取り出すために当該隔壁に設けられた一方の逆止弁と、
当該他方の気密室内にある気体を外部に取り出すために当該隔壁に設けられた他方の逆止弁と、
当該可動隔壁が、当該駆動構造による移動によって、当該気密室内における当該一方の気密室と当該他方の気密室との容積比が気密性を保ちつつ変動可能に構成してあり、
当該一方の気体分離膜が、当該一方の気密室内部の全圧Pが当該可動隔壁の移動による容積増大によって全圧P1(P>P1)以下となったときに当該一方の気密室内部に気体Gから当該気体Gに含まれていた気体g1を当該一方の気密室内に分離導入可能に構成してあり、
当該他方の気体分離膜が、当該他方の気密室内部の全圧P´が当該可動隔壁の移動による容積増大によって全圧P´1(P´>P´1)以下となったときに当該他方の気密室内部に気体Gから当該気体Gに含まれていた気体g1を当該他方の気密室内に分離導入可能に構成してあり、
当該一方の逆止弁が、当該可動隔壁の移動による当該一方の気密室内部の容積減少により当該一方の気密室内部の全圧P1がP2(P2>P1)となったときに当該一方の気密室内部と外部とを連通して当該一方の気密室内部にある気体g1を外部に排出可能に構成してあり、
当該他方の逆止弁が、当該可動隔壁の移動による当該他方の気密室内部の容積減少により当該他方の気密室内部の全圧P´1がP´2(P´2>P´1)となったときに当該他方の気密室内部と外部とを連通して当該一方の気密室内部にある気体g1を外部に排出可能に構成してある
ことを特徴とする気体分離装置。
【請求項2】
前記駆動構造が、前記気密容器外部に配したジャッキ構造を含めて構成してある
ことを特徴とする請求項1記載の気体分離装置。
【請求項3】
前記一方及び他方の気体分離膜が、それぞれ通気性補強膜により補強してある
ことを特徴とする請求項1又は2記載の気体分離装置。
【請求項4】
前記駆動構造が、駆動源となるモータ又はソレノイドと、
当該モータ又はソレノイドを駆動するための電源と、を含めて構成してある
ことを特徴とする1乃至3何れか記載の気体分離装置。
【請求項5】
前記電源が、充電池と、
前記隔壁外周に設置して当該充電池と電気的に接続したソーラーパネルと、を含めて構成してある
ことを特徴とする請求項4記載の気体分離装置。
【請求項6】
前記気体Gが大気であり、前記気体g1が酸素冨化気体である
ことを特徴とする請求項1乃至5何れか記載の気体分離装置。
【請求項7】
前記一方及び他方の逆止弁が、当該一方の逆止弁を介して取り出した気体g1と、当該他方の逆止弁を介して取り出した気体g1とを順次人体に供給可能とする気体供給具に接続してある
ことを特徴とする請求項6記載の気体分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2007−90334(P2007−90334A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231771(P2006−231771)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(599068463)
【Fターム(参考)】