説明

気体発散包装体

【課題】 気体透過量を制御して、長時間に亘り微量のガスを放出することにより、消臭、殺菌、除菌等の効果を継続して維持し得る気体発散体を提供する。
【解決手段】 反応してガスを発生する化学物質を収容する包装体を、加圧状態にあって通気性を有すると共に液体を通さない性質を備えた樹脂シートで形成し、更に気体透過面に通気性と吸液性を備えた不織布等の気体透過材を配して、気化に伴い発生する水分を吸着させることにより、快適な長時間に亘る、消臭、殺菌、除菌等の効果が継続して提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体透過部において気体の透過量を制限し得る構成とすることにより気体透過量を制御し、消臭、殺菌、除菌等の効果をもたらす気体を長期にわたり大気中に発散させる気体発散包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の、ガス発散袋状体にあっては、消臭・滅菌剤として、ガス透過性を有する外袋内に、例えば亜塩素酸塩もしくは水(溶媒)を密封した易破断性の内袋と、前記亜塩素酸塩もしくは水と反応して二酸化塩素を発生し得る化学物質(触媒)とを収納し、使用に際して内袋を破断させることにより二酸化塩素ガスを発生させてなる消臭・滅菌体が、実公平6−10996号公報に開示されている。
【0003】
一般に、ガス発生期間の調整は、封入した化合物(触媒)や水性溶媒の組成や比率の調整によりなされているが、ガス透過性を有する外袋の透過面積の多少によっても調整されている。
【0004】
上記のように構成された従来の消臭・滅菌体は、気体透過性を有する外袋中で発生させたガスを大気中へ自然に放出させることにより、目的とする消臭・滅菌効果を発現させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平6−10996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように構成された従来の消臭・滅菌体にあっては、ガス発生期間の調整が、封入する化学物質(触媒)並びに水性溶媒の組成や比率の調節によりなされるため、使用する目的や環境に適したガス発散期間を長期に設定することが容易ではなく、また、気体透過性を有する外袋の気体透過能が、ガスの透過量を制御して微量透過させることのできる構成とはなっていないため、長期にわたる安定したガスの発散を望むこともできない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解決するものであり、反応することにより消臭・滅菌等の効果をもたらす化学物質を収納する包装体の気体透過部を、樹脂フィルムもしくはシートにクレーズを生成してなる気体透過性膜にて構成することで、気体の透過量を微量に設定することが容易となり、これによって長期間にわたり安定した気体の発散が継続して行われることを最も主要な特徴とするものである。
【0008】
請求項1に記載の発明は、反応して気化する化学物質を収納するとともに、使用に際し、
化学物質を反応させて気化させた気体を大気中へ放出する、気体発散包装体に関するものであり、該気体発散包装体に形成された、気化した化学物質を大気中に放出する気体透過部を、常態では気体も透過することのない不透過膜であり、気体発散包装体内に内圧が発生することにより空気等の気体は透過するが水等の液体もしくはゲル状流体の透過を阻止し得る機能を有する、樹脂フィルムにクレーズを生成してなる気体透過性フィルムにて構成することにより、気体透過部を透過する加圧状態にある気体が、フィブリル(分子束)とともにクレーズを構成するボイド(微細な連通孔)による気体透過量の制限下において大気中へ徐々に発散されることを特徴とするものである。
【0009】
本発明は、加圧状態の気体をもって大気中に微量の気化物質を徐々に放出することにより、消臭、殺菌、除菌等の効果を長期にわたりもたらす気体発散包装体であり、収納する触媒、溶媒の種別、更には、化合物質を反応させる手段を特に限定するもではない。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記気体透過部を構成する、常態では気体も透過することのない不透過膜であり、気体発散包装体内に内圧が発生することにより空気等の気体は透過するが水等の液体もしくはゲル状流体の透過を阻止し得る機能を有する、樹脂フィルムにクレーズを生成してなる気体透過性フィルムの表面(気体透過面)に、水分が直に付着することを防止する目的をもって、通気性と吸液性を備えた不織布等の気体透過材を貼り付けもしくは載置などして、該気体透過部を積層被覆したことを特徴とするものである。
【0011】
気体透過部を構成する、樹脂フィルムにクレーズを生成してなる気体透過性フィルムの表面(気体透過面)に、通気性と吸液性を備えた不織布等の気体透過材を貼り付けもしくは載置する等して積層被覆することは、大気中へ放出された気体に水分が含まれており、この水分が液化して透過面に直に付着することを防止する目的をもってなされるものであるが、大気中の水分が水滴となって付着することも想定される。
【0012】
通気性と吸液性を備えた気体透過材に水滴を付着させることにより、気体透過面に直接水滴が付着されることなく、気体の透過量が確保される。これは水滴が直に透過面に付着することによる気体透過孔の目詰まりが回避されることによる。また、気化による熱の低下が周辺に及ぼす濡れ現象をも解消されることになる。
【0013】
この発明において、通気性と吸液性を備えた気体透過材として不織布等と記載されているが、水分及び水滴を保留する親水性と気体の自然通過を妨げない程度の通気性を有する素材であれば特に不織布に限定されるものではない。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記気体透過部を構成する樹脂フィルムにクレーズを生成してなる気体透過性フィルムの気体透過量が、クレーズを構成するフィブリル(分子束)とボイド(微細な連通孔)を樹脂フィルムに規格を構成して生成させることにより透過制御されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の気体発散包装体は、包装体の気体透過量を、樹脂フィルムにクレーズを規格化して生成することにより制御するものであり、気体発散期間の調整を、封入した化学物質や水性溶剤の組成や比率の調整に委ねることなく、長期間にわたり安定した気体の発散が継続して行われることから、生鮮食品、鮮魚、生花などの遠距離輸送、また、遺体の保存等、各種の保存媒体として広く活用される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の使用例を示した概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
気体透過部を、樹脂フィルムもしくはシートにクレーズを規格生成してなる気体透過性フィルムにて構成することにより、気体の透過量を制御することが長期にわたる安定した気体の発散につながる。
【0018】
以下、本発明の気体発散包装体を形成するクレーズ生成気体透過性フィルム又はシートの概要を詳細に記載する。
【0019】
[クレーズ生成気体透過性フィルム又はシートの概要]
本発明の気体発散包装体を形成するクレーズ生成気体透過性フィルム又はシート(以下、「クレーズフィルム」と記載する。)は、高分子樹脂フィルムに縞状クレーズ領域を設けたことを特徴とするものである。本発明のもう一つの発明である通気性フィルムの製造方法は、緊張状態に保持された高分子樹脂フィルム面に、該高分子樹脂フィルムの分子配向方向と略平行方向に先端部が鋭角な支持体を当接して、該フィルムを局部的に折り曲げ、
その折り曲げ変形域を、該高分子樹脂フィルムに対して相対的に移動させることにより、
移動方向と略直角の方向に連続的な縞状のクレーズ領域が形成される。
【0020】
高分子樹脂フィルムの素材として使用される高分子樹脂としては、フィルム或いはシートの成形が可能は熱可塑性樹脂であれば特別に制限されるものではない。その様な熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、スチレン系樹脂、ポリカーボネート、ハロゲン含有熱可塑性樹脂、ニトリル樹脂等を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、フィルムやシートへの成形性や経済性の観点から、ポリオレフィン、ポリエステル、スチレン樹脂、ハロゲン含有熱可塑性樹脂を使用することが好ましく、中でもポリオレフィン、スチレン系樹脂、ハロゲン含有熱可塑性系樹脂を使用することが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、高分子樹脂フィルムに透明性を損なわない範囲で、単独で用いても、複合して組成物として用いても、或いは、別の高分子樹脂をブレンドしたりしとも良く、更には二種類以上の樹脂を多層化して用いても良い。また、クレーズの形成の容易さから、該熱可塑性樹脂のガラス転移温度が−45℃以上、好ましくは−30℃以上、特に好ましくは−15℃以上の樹脂を使用することが望ましい。組成物として使用するときや多層化して使用するときは、主な構成成分である熱可塑性樹脂のガラス転移温度が上記範囲内にあることが望ましい。これより低いガラス転移温度を示す熱可塑性樹脂の場合は、柔軟すぎるためにクレーズの効率的な形成が難しい。
【0021】
[ポリオレフィン]
上記ポリオレフィンとしては、α−オレフィンの単独重合体又は他のα−オレフィン及び/又はα−オレフィンを主成分として、他のエチレン性不飽和単量体との共重合体である。ここで共重合体とはブロック、ランダム、グラフト等或いはこれらの複合物でも良い。該エチレン性不飽和単量体としては、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸エチル、マレイン酸である等の不飽和カルボン酸又は無水物等を挙げることができる。有用なポリオレフィンの具体例としては、低密度分岐ポリエチレン、高密度線状ポリエチレン、低密度線状ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(4−メチル−1−1ベンテン)等を挙げることができる。
【0022】
[ポリアミド]
ポリアミドとしては、芳香族又は/及び脂肪族アミド基を有する繰り返しユニットを必須成分として含む縮合生成物である。有用なポリアミドとしては、ナイロン−4、ナイロン−6,6、ナイロン−4,6、ナイロン−12、非結晶性ナイロン等を挙げることができる。中でも、好ましいポリアミドは、ナイロン−6、ナイロン−6,6、非結晶ナイロン等を挙げることができる。中でも、好ましいポリアミドは、ナイロン−6、ナイロン−6,6、非結晶性ナイロンである。
【0023】
[ポリエステル]
ポリエステルとしては、例えば、その一つとして、通常の方法に従って、ジカルポン酸又はその他低級アルキルエステル、酸ハライド若しくは酸無水物誘導体とグリコール又は二価フェノールとを縮合させて製造した熱可塑性ポリエステルを挙げることができる。これらポリエステルの中でも飽和ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリプチエレンテレフタレート、ポリネフタレンテレフタレートを使用することが好適である。
【0024】
[スチレン系樹脂]
スチレン系樹脂としては、ビニル芳香族化合物の重合体であり、該ビニル芳香族化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等を挙げることができ、スチレン系樹脂は、これらビニル芳香族化合物のホモポリマー及び共重合体である。これらの中でもポリスチレンが好ましく、更に、ゴムグラフトポリスチレン(HIPS),アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体を用いることが好適である
【0025】
[ポリカーボネート]
ポリカーボネートは、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、脂肪酸、芳香族ポリカーボネート等を挙げることができる。これらの中でも、2,2−ビス(4−オキシフェニル)アルカン系、ビス(4−オキシフェニル)エーテル系、ビス(4−オキシフェニル)スルフォン、スルフィド又はスルフォキサイド系のビスフェノール類からなる芳香族ポリカーボネートを用いることが好適である。
【0026】
[ハロゲン含有熱可塑性樹脂]
ハロゲン含有熱可塑性樹脂は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ビニルフルオライド等のホモ重合体及び共重合体を挙げることができる。この他にも、ビニリデンクロライドから導かれたホモ重合体および共重合体を挙げることができる。これらの中でも好ましいハロゲン含有熱可塑性樹脂は、ポリ弗化ビニリデンのホモ重合体及びテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンとの共重合体並びにビニリデンクロライドを挙げることができる。
【0027】
[ニトリル樹脂]
ニトリル樹脂としては、α,β−オレフィン系不飽和モノニトリルを50重量%以上含むものである。これらの不飽和モノニトリルの中でも、アクリニトリル及びメタクリロニトリル及びそれらの混合物を使用することが望ましい。
【0028】
[b]フィルム又はシート
[成形]
上記熱可塑性樹脂を用いて得られる高分子樹脂フィルム又はシートは、その製造方法において特別な制約はなく、各種の成形方法を適用することで得ることができるが、一般に広く行われているTダイ押出成形方法やブローアップを行うインフレーション成形方法を適用して得られたものが工業的には有利である。
[厚み]
また、高分子樹脂フィルムの厚みは、一般に0.5〜1,000μm、好ましくは1〜800μm、特に好ましくは2〜500μmのものが使用される。
【0029】
[c]配向
上記高分子樹脂フィルムは、配向度が、複屈折率で0.5×10−3以上、好ましくは1×10−3以上、特に好ましくは1.5×10−3以上にある分子配向度を有することが、クレーズの形成には有効である。この複屈折率が上記範囲外の分子配向度を有するフィルムでは、目的とするクレーズを容易に形成され難い、配向度は、該フィルムの成形時の、樹脂温度、引き取り速度、冷却速度、樹脂の分子量、分子量分布、タクティスティ等の分子構造を、特にTダイ法であればドロー比を、特にインフレーション法であればブローアップ比を、等を変えることにより制御することができるので、これらを適当に制御して目的とする好ましい範囲の配向度のフィルムを製造することができる。ここで言う複屈折率とは、主屈折率間の差として表現されるもので、例えば、フィルムの成形方向の屈折率(n1)とそれと直角方向の屈折率(n2)の差(n1−n2)であり、分子配向の程度を表現するインデックスの一つである。これら複屈折率は、実際には、偏光顕微鏡とコンベンセーターを用いることにより測定することができ、この値が大きいほど異方性が大きくなり、クレーズが生じやすくなる。
【0030】
該縞状のクレーズは、基本的に、高分子樹脂フィルムの分子配向の方向と略平行に、幅が一般に0.5〜100μm、好ましくは1〜50μmのものである。この縞状クレーズが、
フィルムの厚み方向に貫通しているクレーズの数の割合が全クレーズの数に対して10%以上、好ましくは20%以上、特に好ましくは40%以上必要であり、貫通している割合が上記範囲未満であると十分な通気性が得られ難くなる。該クレーズを分子配向の方向と略平行の方向に形成するのは、分子鎖の配向の方向と直角の方向に引っ張ることによってクレーズが形成され、分子鎖の配向の方向と直角の方向にクレーズを形成することが難しいからである。ここで言うクレーズとは、高分子樹脂フィルムの表面に現れる表面クレーズと内部に発生する内部クレーズを含むものであって、微細なひび状の模様を有する領域をいう。このクレーズは分子束(フィブリル)とミクロボイドから構成されており、この部分で各種ガスの通気性が生じることになる。
【0031】
クレーズは高分子樹脂フィルムに形成されるクレーズは、一般に0.1〜1,000μm、好ましくは1〜800μmの間隔で形成され、縞状の領域として認識できる程度の量である。
【0032】
上記のような通気性フィルムの通気性は、用いる樹脂の種類により異なるが、例えばポリ弗化ビニリデンのホモ重合体を用いると、酸素及び窒素ガスのガス透過度で一般に0.3〜100,000×10cm/m・24hr・atmの範囲のものに、透明性が一般に1〜99.5ヘイズ、好ましくは2〜90ヘイズ、特に好ましくは5〜80ヘイズの範囲のものに、引張強度で一般に50〜500kg/cm、好ましくは60〜500kg/cmで、特に好ましくは75〜500kg/cmの範囲のものにすることができる。
【0033】
クレーズフィルムを製造するには、上記高分子樹脂フィルムを引っ張って緊張状態に保持し、この高分子樹脂フィルムの表面に先端部が鋭角な支持体を該高分子樹脂フィルムの分子配向方向と略平行に当接して、該フィルムを局部的に折り曲げ、その折り曲げ角度が140度以下、好ましくは120度以下の変形領域とし、該フィルム中にクレーズの帯を形成した後、該高分子樹脂フィルムを順次相対的に徐々に移動させることにより、移動方向と略直角の方向に連続的な縞状のクレーズ領域を形成させるものである。上記通気性フィルムを製造するのに用いられる高分子樹脂フィルムは、前記複屈折率の範囲で表わされる配向度、並びに、ガラス転移温度が上記範囲の熱可塑性樹脂が使用される。また、高分子樹脂フィルムを緊張状態に保持するように1kg/cm以上の張力で引っ張って、その表面に先端部が鋭角な支持体を該高分子樹脂フィルムの分子配向方向と略平行に当接して、該フィルムを折り曲げ角度140度以下、好ましくは120度以下にて局部的に折り曲げる。そして、該フィルム中にクレーズの帯を形成した後、該高分子樹脂フィルムを上記クレーズの縞の間隔で順次相対的に徐々に移動させることにより、縞状のクレーズ領域を掲載させることができる。
このときに、上記折り曲げ角度が大きいほど、又、引張張力の大きいほど、全クレーズに対するフィルムの厚み方向に貫通しているクレーズの割合が多くなり、通気性の良好なフィルムが得られ易い。しかし、クレーズの幅が大きすぎるとフィルムが破断しやすくなる。
【0034】
クレーズフィルムは、上記縞状のクレーズを有していることから、通気性、透湿性の機能を有している。その機構は、縞状に形成されたクレーズが、フィルムやシートの厚み方向を貫通することにより、酸素や窒素或いは水蒸気等の気体がこのクレーズ帯域を拡散することにより通過し通気性が発言する。
更に、クレーズ中に存在するボイドが光の波長に比べて顕著に小さいため、光の散乱は起こらず、従って、充填剤を添加した樹脂組成物を延伸して細孔を設けた従来技術における通気性フィルムが不透明であるのに対して、本発明の通気性フィルムは透明性を損なわずに通気性を付与した点に最大の特徴を備えたものである。
【0035】
通気性の規格化は、高分子樹脂フィルムを中に形成されたクレーズの幅、クレーズ間の隔たり、クレーズの貫通された数の割合を変えることで調節することができる。
具体的には、高分子樹脂フィルムの分子配向の度合いやクレーズを形成させるときの温度、高分子樹脂フィルムの緊張度(緊張状態における張力)、フィルムの折り曲げ角度等を調節することで、容易に、通気性をコントロールすることができ、使用目的に応じた通気性フィルムを提供することができる。
例えば、クレーズを形成させる時の緊張度を増大させたり、折り曲げ角度を小さくすると、生成するクレーズの間隔は小さくなり、クレーズの貫通された数の割合が増大し、その結果、通気性は増大する。
このようなクレーズの幅、クレーズ間の隔たり、貫通された通気性樹脂フィルムは、前記酸素及び窒素ガスのガス透過度、透湿度、透明性、引張強度等をコントロールすることができる。
【実施例】
【0036】
図1は、本発明の気体発散包装体2の使用例を示した概略説明図である。
気体発散包装体2は、反応して気化する化学物質、例えば溶媒8として易破断性の袋に密封された水と、触媒6として粒状の二酸化塩素を収容する気体透過性包装体2であり、該気体発散包装体2内で人為的に前記物質を反応させることにより発生した加圧状態の二酸化塩素ガスが、該気体発散包装体2に形成された気体透過部より大気中に放出される。
【0037】
気体透過部は、常態では気体も透過することのない不透過膜であり、気体発散包装体2内に内圧が発生することにより、空気等の気体は透過するが水等の液体もしくはゲル状流体の透過を阻止し得る機能を有する、樹脂フィルムにクレーズ4を生成してなる気体透過性フィルムにて構成されており、気体透過部を透過する加圧状態の二酸化塩素ガスが、クレーズを構成するボイド(微細な連通孔)による気体透過量の制限下において大気中へ徐々に発散される。
【0038】
本発明における気体透過量の制限は、フィブリル(分子束)とともにクレーズを構成するボイド(微細な連通孔)の組成と、このボイドを加圧拡張して通過する気体の加圧状態により推移するものであり、透過量の制御はこれらの条件を特定することによってなされる。
【符号の説明】
【0039】
2 気体発散包装体
4 クレーズ
6 触媒
8 溶媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学反応して気化する化学物質を収納する気体発散体であり、化学反応して気化した化学物質を大気中に放出する気体透過部を、常態では気体も透過することのない不透過膜であり、該気体発散体内に内圧が発生することにより空気等の気体は透過するが水などの液体もしくはゲル状流体の透過を阻止し得る機能を有する、樹脂フィルムにクレーズを生成してなる気体透過性フィルムにて構成することにより、透過する気体が、クレーズを構成するボイド(微細な連通孔)による透過量の制限下において大気中に徐々放出されることを特徴とする気体発散包装体。
【請求項2】
前記気体透過性フィルムの気体透過面に、水分が直に付着することを防止する目的をもって、通気性と吸液性を備えた不織布等の気体透過材を貼り付けもしくは載置などして、前記気体透過部を積層被覆したことを特徴とする請求項1に記載の気体発散包装体。
【請求項3】
気体透過部を構成する樹脂フィルムにクレーズを生成してなる気体透過性フィルムの気体透過量が、クレーズを構成するフィブリル(分子束)とボイド(微細な連通孔)を樹脂フィルムに規格生成させることにより透過制御されることを特徴とする請求項1に記載の気体発散包装体。





















【図1】
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【公開番号】特開2012−91812(P2012−91812A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239807(P2010−239807)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(397010446)有限会社中島工業 (28)
【Fターム(参考)】