説明

気泡混合軽量土及びそれを用いた盛土

【課題】盛土等の土木構造物の材料として用いられる気泡混合軽量土であって、土木構造物に荷重等の負荷が加わったときに、クラックの発生を効果的に抑制することのできる気泡混合軽量土を提供する。
【解決手段】本発明の気泡混合軽量土は、セメントと、補強用繊維と、起泡剤と、水と、必要に応じて配合される砂または砂質土を含む。補強用繊維は、長さが5〜50mmであり、かつ、円形換算直径が0.01〜1.0mmである合成樹脂繊維である。気泡混合軽量土中の補強用繊維の体積割合は、0.1〜0.7%である。本発明の気泡混合軽量土は、例えば、舗装道路3の拡幅部Aを形成するための盛土5の材料として用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の拡幅、新設等の工事の際に盛土等の土木材料として用いられる気泡混合軽量土に関し、特に、補強用の金網を用いなくても、施工後の荷重等によるクラックの発生を効果的に抑制することのできる気泡混合軽量土に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の拡幅、新設等の工事の際に、アスファルト舗装等の路面構造の下方の土台として、盛土を形成することがある。
この盛土の材料として、気泡混合軽量土を用いることが知られている。
気泡混合軽量土は、セメント、水、気泡、及び必要に応じて原料土(例えば、建設現場で発生する砂質土等)を混合して得られる軽量土木材料である。気泡混合軽量土は、(a)軽量であるため、打設後の周囲の構造物(例えば、擁壁等)への土圧が小さくなり、擁壁等が崩壊し難くなる、(b)流動性に優れるため、ポンプによる長距離(例えば、500m程度)の圧送や、狭小な空間への充填が可能であり、また、打設後の締固めも不要である、(c)打設後に硬化して自立する性質を有するため、大きな厚み(高さ)を有する盛土を形成することができる、(d)各材料の配合割合を変えることによって、重量や強度を容易に調整することができる、等の利点を有する。
【0003】
しかし、気泡混合軽量土を用いて盛土を形成する場合、盛土の上面に、自動車の通過等による荷重が加わると、上面から下方に長く延びる多数のクラックが発生することがある。
そのため、気泡混合軽量土からなる盛土の上面から所定の深さの地点に、補強用の金網を水平に延びるように埋設して、クラックの発生を抑制することが行なわれている(非特許文献1、非特許文献2)。
しかし、この方法は、(a)補強用の金網を敷設する工程が加わるため、盛土の作業の効率が低下する、(b)盛土全体が均一に補強されるわけではなく、強度上の不均一が生じる、(c)盛土の上面における自動車の走行等によって、埋設した補強用の金網が振動し、補強用の金網の周囲にクラックが生じるおそれがある、等の問題がある。
一方、コンクリート中に合成繊維を混合することによって、曲げ強度等の機械的特性を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−180757号公報
【非特許文献1】「気泡混合軽量土を用いた軽量盛土工法の設計・施工指針」(第41〜42頁、監修:日本道路公団、発行:財団法人道路厚生会、平成8年9月発行)
【非特許文献2】「FCB工法技術資料」(第29〜31頁、編集発行:FCB研究会、平成12年12月14日発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、盛土等の土木材料として用いられる気泡混合軽量土であって、土木構造物に荷重等の負荷が加わったときに、クラックの発生を効果的に抑制することのできる気泡混合軽量土を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、気泡混合軽量土の中に補強用繊維を配合することによって、機械的強度(曲げ強度等)が向上して、盛土等の土木構造物におけるクラックの発生を効果的に抑制することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
[1] セメントと補強用繊維と起泡剤と水とを含むことを特徴とする気泡混合軽量土。
[2] 前記補強用繊維は、長さが5〜50mmであり、かつ、円形換算直径が0.01〜1.0mmである前記[1]の気泡混合軽量土。
[3] 前記補強用繊維は、親水性の表面を有する合成樹脂繊維である前記[1]又は[2]の気泡混合軽量土。
[4] 前記気泡混合軽量土中の前記補強用繊維の体積割合が0.1〜0.7%である前記[1]〜[3]のいずれかの気泡混合軽量土。
[5] 砂または砂質土を含む前記[1]〜[4]のいずれかの気泡混合軽量土。
[6] 前記[1]〜[5]のいずれかの気泡混合軽量土からなることを特徴とする盛土。
【発明の効果】
【0006】
本発明の気泡混合軽量土は、従来の気泡混合軽量土が有する優れた物性(軽量性、流動性、自立性等)を保持すると共に、盛土等の土木材料として用いた場合に、盛土等の土木構造物における荷重等の負荷によるクラックの発生を、該土木構造物全体で均一かつ効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の気泡混合軽量土について詳しく説明する。
本発明の気泡混合軽量土は、セメントと、補強用繊維と、起泡剤と、水と、必要に応じて配合される砂、砂質土等を含むものである。
ここで、セメントとしては、特に種類が限定されることはなく、例えば、普通ポルトランドセメント、高炉セメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等が挙げられる。中でも、普通ポルトランドセメント及び高炉セメントは、好ましく用いられる。
補強用繊維としては、例えば、ビニロン繊維、ポリオレフィン繊維(ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等)、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維等の合成繊維や、鋼繊維、ステンレス繊維等の金属繊維や、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維等が挙げられる。なお、補強用繊維は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
補強用繊維は、繊維素材が親水性でない場合(例えば、ポリオレフィン繊維)には、表面が親水性となるように表面処理したものを用いることが好ましい。
ビニロン繊維は、繊維の化学構造中に水酸基を有することから親水性であり、セメントマトリックスに対する付着性に優れているため、本発明において好ましく用いられる。
【0008】
補強用繊維の長さは、好ましくは5〜50mm、より好ましくは8〜40mm、特に好ましくは10〜35mmである。該長さが5mm未満では、機械的強度の向上の効果が不十分となることがある。該長さが50mmを超えると、セメント、水等との混練時にファイバーボールが生じ易くなり、混練物中における分散性が悪化するなどの不都合がある。
補強用繊維の円形換算直径は、好ましくは0.01〜1.0mm、より好ましくは0.05〜0.7mm、特に好ましくは0.08〜0.5mmである。該円形換算直径が0.01mm未満では、機械的強度の向上の効果が不十分となることがある。該円形換算直径が1.0mmを超えると、混練物中でセメントマトリックスに対する付着力が低下し、機械的強度が低下することがある。
ここで、円形換算直径とは、補強用繊維の断面積と同じ面積を有する円形の直径を意味する。
【0009】
補強用繊維のアスペクト比(長さ/円形換算直径の比)は、好ましくは20〜200、より好ましくは40〜170、特に好ましくは60〜140である。該比が20未満では、補強用繊維の単位量当たりの機械的強度の向上の効果が低下することがある。該比が200を超えると、セメント、水等との混練時にファイバーボールが生じ易くなり、混練物中における分散性が悪化するなどの不都合がある。
補強用繊維の断面の形状は、特に限定されず、例えば、扁平な形状(矩形または楕円形に近似する扁平なもの)、円形、略正方形等が挙げられる。
気泡混合軽量土中の補強用繊維の体積割合は、好ましくは0.1〜0.7%、より好ましくは0.2〜0.6%、特に好ましくは0.2〜0.5%である。該体積割合が0.1%未満では、機械的強度の向上の効果が不十分となる。該体積割合が0.7%を超えると、セメント、水等との混練が困難になることがある。
【0010】
起泡剤としては、例えば、合成界面活性剤系の起泡剤や、蛋白質系の起泡剤等が挙げられる。
起泡剤の配合量(希釈前)は、気泡混合軽量土の単位体積当たりの質量、および必要とされる一軸圧縮強さを考慮して、気泡混合軽量土中の気泡の量(体積割合)を定めた後、この気泡の量に応じて定められる。
具体的には、起泡剤の配合量(希釈前)は、「気泡の量/(起泡剤の希釈倍率×発泡倍率)」の計算式から求められる。なお、起泡剤の希釈倍率および発泡倍率は、起泡剤の種類、製造元等によって標準的な値が定められている。
気泡の量(空気の量)は、気泡混合軽量土1m当たり、好ましくは0.25〜0.70m、より好ましくは0.35〜0.70m、特に好ましくは0.45〜0.70mである。該量が0.25m未満では、軽量性が得難くなる。該割合が0.70mを超えると、一軸圧縮強さが小さくなり、自立性が得難くなる。
水の量は、フレッシュ状態の気泡混合軽量土の流動性に応じて定められる。
気泡混合軽量土のフロー値(流動性)は、平滑板上に載置した円筒形シリンダー(φ80mm×高さ80mm)に気泡混合軽量土を充填し、次いで、この円筒形シリンダーを引き上げた後に、流動して変形した気泡混合軽量土の最大直径(A)およびそれに直交する直径(B)を測定し、これら2つの測定値の平均値((A+B)/2)を算出することによって得られる。
気泡混合軽量土のフロー値は、好ましくは140〜300mm、より好ましくは160〜220mm、特に好ましくは160〜200mmである。フロー値が140mm未満では、流動性が低下し、ポンプによる圧送が困難になるとともに、施工性が悪くなる。フロー値が300mmを超えると、材料分離が起こり易く、気泡の保持が困難となる。
【0011】
本発明の気泡混合軽量土には、必要に応じて砂、砂質土等を配合することができる。
砂としては、山砂、川砂、海砂、砕砂、これらの2種以上からなる混合砂等が挙げられる。
砂の配合量は、セメント100質量部当たり、好ましくは30〜600質量部、より好ましくは70〜400質量部である。
砂質土としては、建設現場等で発生する建設残土や、購入土等が挙げられる。
砂質土の配合量は、該砂質土に含まれる砂分の量が、前記の砂の好ましい配合量の数値範囲(セメント100質量部当たり、30〜600質量部、より好ましくは70〜400質量部)内となるように定めることが好ましい。
本発明においては、砂と砂質土を併用してもよい。この場合、砂及び砂質土の合計量中の砂分の量は、セメント100質量部当たり、好ましくは30〜600質量部、より好ましくは70〜400質量部である。
本発明においては、上述の各材料に加えて、他の材料を配合してもよい。他の材料としては、例えば、フライアッシュ、石灰石粉末、砕石残渣、汚泥焼却灰等の混和材が挙げられる。他の材料(混和材)の配合量は、セメント100質量部当たり、好ましくは50〜1,000質量部、より好ましくは100〜300質量部である。
【0012】
本発明の気泡混合軽量土の硬化後の物性は、次のとおりである。
一軸圧縮強さ(q)は、好ましくは300kN/m以上、より好ましくは500kN/m以上である。
曲げ強さ(σ)は、好ましくは150kN/m以上、より好ましくは175kN/m以上、特に好ましくは300kN/m以上である。
強さ比(σ/q)は、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.35以上、特に好ましくは0.40以上である。
【0013】
次に、本発明の気泡混合軽量土の製造方法について説明する。図1は、本発明の気泡混合軽量土の製造方法の一例を示すフロー図である。
まず、セメント、混練水、及び必要に応じて配合される砂または砂質土(原料土)等をミキサー内で混練して、セメントミルク(砂及び砂質土を含まない場合)、またはセメントモルタル(砂または砂質土を含む場合)を得る。得られたセメントミルクまたはセメントモルタルに補強用繊維を加えて更に混練し、繊維含有セメントミルクまたは繊維含有セメントモルタルを得る。
一方、起泡剤と希釈水を混合してなる希釈液と、圧縮空気とを発泡機に供給して、この発泡機の発泡ノズルから気泡を吐出させる。この気泡と、上述の繊維含有セメントミルクまたは繊維含有セメントモルタルを混合して撹拌すると、本発明の気泡混合軽量土が得られる。気泡混合軽量土は、ポンプによってホース内を圧送され、盛土等の工事現場で打設される。
本発明の気泡混合軽量土を用いた盛土の施工例を、図2に示す。図2中、軟弱地盤1の上に造成された既設の盛土2の上面の舗装道路3は、拡幅工事によって拡幅部Aの部分だけ拡幅されている。拡幅部Aは、軟弱地盤1の上に立設した擁壁(壁材)4と、既設の盛土2の間に、本発明の気泡混合軽量土を用いて新たな盛土5を形成した後、盛土5の上面を舗装することによって形成されている。なお、図中、盛土5の側方には家屋6がある。
盛土5は、軽量で機械的強度に優れ、擁壁4と一体化しているため、土圧が発生しない。また、盛土の上面の縁辺部分に過大な荷重が加わっても、クラックの発生が抑止され、分離転倒が生じ難い。
【実施例】
【0014】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内において種々実施形態の変更が可能である。
[使用材料]
次の材料を用いた。
(a)セメント:高炉セメントB種(太平洋セメント社製)
(b)起泡剤:合成界面活性剤系の起泡剤(商品名:OFA−2;小野田ケミコ社製)
(c)補強用繊維:ビニロン繊維(商品名:クラテック;品番:RFS100、RFS400、RFS1500;クラレ社製)
(d)水:水道水
(e)砂:千葉県市原市万田野産山砂(密度:2.58g/cm
【0015】
[補強用繊維]
使用した補強用繊維を表1に示す。
【表1】

【0016】
[実施例1〜9、比較例1]
砂を使用しない実験例を示す。
[1.調製方法]
まず、表2に示す量のセメント及び混練水を混練し、セメントスラリーを得た。このセメントスラリーに対して、表3に示す補強用繊維(表1参照)を表3に示す配合量で加えた後、補強用繊維が均一に分散した状態になるまで混練し、繊維含有セメントスラリーを得た。
一方、表2に示す量の起泡剤及び希釈水を用いて、希釈液(希釈率:100倍)を得た。この希釈液と圧縮空気を同時に発泡機内に供給し、この発泡機の発泡ノズルの吐出口から、希釈液の25倍の体積に膨張した気泡を吐出させた。そして、この気泡と上述の繊維含有セメントスラリーを混合して、気泡混合軽量土を得た。
得られた気泡混合軽量土のフロー値は、180±20mmの範囲内であった。
【0017】
[2.評価方法]
得られた気泡混合軽量土(実施例1〜9、比較例1)について、次のように一軸圧縮強さ及び曲げ強さを測定した。
(a)一軸圧縮強さ
気泡混合軽量土を型枠内に打設した後、20℃で28日間、湿空養生し、成形体(φ10cm×20cm)を得た。得られた成形体(3本)について、JIS A 1216に準拠して一軸圧縮強さを測定した。成形体(3本)の測定値の平均値を一軸圧縮強さとした。結果を表3に示す。
(b)曲げ強さ
気泡混合軽量土を型枠内に打設した後、20℃で28日間、湿空養生し、成形体(4cm×4cm×16cm)を得た。得られた成形体(3本)について、支点間の距離が12cmで中央荷重となるようにして、曲げ強さを測定した。結果を表3に示す。
【0018】
【表2】

【0019】
【表3】

【0020】
表3から、補強用繊維を配合した気泡混合軽量土(実施例1〜9)は、1450kN/m以上の一軸圧縮強さと、520kN/m以上の曲げ強さと、0.35以上の強さ比(曲げ強さ/一軸圧縮強さ)を有し、盛土等の土木材料として用いた場合にクラックの発生を効果的に抑制し得ることがわかる。
一方、補強用繊維を配合しない気泡混合軽量土(比較例1)は、曲げ強さ及び強さ比が小さく、クラックが発生する可能性があることがわかる。
【0021】
[実施例10〜18、比較例2]
砂/セメントの質量比が3となる量で、砂を使用した実験例を示す。
[1.調製方法]
まず、表4に示す量のセメント、混練水、及び砂を混練し、セメントモルタルを得た。このセメントモルタルに対して、表5に示す補強用繊維(表1参照)を表5に示す配合量で加えた後、補強用繊維が均一に分散した状態になるまで混練し、繊維含有セメントモルタルを得た。
一方、表4に示す量の起泡剤及び希釈水を用いて、希釈液(希釈率:100倍)を得た。この希釈液と圧縮空気を同時に発泡機内に供給し、この発泡機の発泡ノズルの吐出口から、希釈液の25倍の体積に膨張した気泡を吐出させた。そして、この気泡と上述の繊維含有セメントモルタルを混合して、気泡混合軽量土を得た。
得られた気泡混合軽量土のフロー値は、180±20mmの範囲内であった。
[2.評価方法]
得られた気泡混合軽量土(実施例10〜18、比較例2)について、実施例1と同様にして一軸圧縮強さ及び曲げ強さを測定した。結果を表5に示す。
【0022】
【表4】

【0023】
【表5】

【0024】
表5から、補強用繊維を配合した気泡混合軽量土(実施例10〜18)は、1570kN/m以上の一軸圧縮強さと、560kN/m以上の曲げ強さと、0.36以上の強さ比(曲げ強さ/一軸圧縮強さ)を有し、盛土等の土木材料として用いた場合にクラックの発生を効果的に抑制し得ることがわかる。
一方、補強用繊維を配合しない気泡混合軽量土(比較例2)は、曲げ強さ及び強さ比が小さく、クラックが発生する可能性があることがわかる。
【0025】
[実施例19〜27、比較例3]
砂/セメントの質量比が1となる量で、砂を使用した実験例を示す。
[1.調製方法]
まず、表6に示す量のセメント、混練水、及び砂を混練し、セメントモルタルを得た。このセメントモルタルに対して、表7に示す補強用繊維(表1参照)を表7に示す配合量で加えた後、補強用繊維が均一に分散した状態になるまで混練し、繊維含有セメントモルタルを得た。
一方、表6に示す量の起泡剤及び希釈水を用いて、希釈液(希釈率:100倍)を得た。この希釈液と圧縮空気を同時に発泡機内に供給し、この発泡機の発泡ノズルの吐出口から、希釈液の25倍の体積に膨張した気泡を吐出させた。そして、この気泡と上述の繊維含有セメントモルタルを混合して、気泡混合軽量土を得た。
得られた気泡混合軽量土のフロー値は、180±20mmの範囲内であった。
[2.評価方法]
得られた気泡混合軽量土(実施例19〜27、比較例3)について、実施例1と同様にして一軸圧縮強さ及び曲げ強さを測定した。結果を表7に示す。
【0026】
【表6】

【0027】
【表7】

【0028】
表7から、補強用繊維を配合した気泡混合軽量土(実施例19〜27)は、1800kN/m以上の一軸圧縮強さと、630kN/m以上の曲げ強さと、0.35以上の強さ比(曲げ強さ/一軸圧縮強さ)を有し、盛土等の土木材料として用いた場合にクラックの発生を効果的に抑制し得ることがわかる。
一方、補強用繊維を配合しない気泡混合軽量土(比較例3)は、曲げ強さ及び強さ比が小さく、クラックが発生する可能性があることがわかる。
このように、本発明の気泡混合軽量土(実施例1〜27)によれば、従来のように補強用の金網を用いなくても、荷重等の負荷による盛土のクラックの発生を効果的に抑制し得ることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の気泡混合軽量土の製造方法の一例を示すフロー図である。
【図2】本発明の気泡混合軽量土を用いた盛土の施工例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 軟弱地盤
2 既設の盛土
3 舗装道路
4 擁壁
5 本発明の気泡混合軽量土からなる盛土
6 家屋
A 拡幅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントと補強用繊維と起泡剤と水とを含むことを特徴とする気泡混合軽量土。
【請求項2】
前記補強用繊維は、長さが5〜50mmであり、かつ、円形換算直径が0.01〜1.0mmである請求項1に記載の気泡混合軽量土。
【請求項3】
前記補強用繊維は、親水性の表面を有する合成樹脂繊維である請求項1又は2に記載の気泡混合軽量土。
【請求項4】
前記気泡混合軽量土中の前記補強用繊維の体積割合が0.1〜0.7%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の気泡混合軽量土。
【請求項5】
砂または砂質土を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の気泡混合軽量土。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の気泡混合軽量土からなることを特徴とする盛土。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−46060(P2006−46060A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186049(P2005−186049)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000185972)小野田ケミコ株式会社 (58)
【Fターム(参考)】