説明

気液混合装置、気液混合システムおよび気液混合システムを用いた気体成分含有水の製造方法

【課題】 簡単な構成で高出力ポンプ等を使用しなくとも所定の流量で微細気泡と液体との混合物を連続的に製造できる気液混合装置および気液混合システムを提供する。
【解決手段】 液体中に気体の気泡を微細泡として分散する気液混合装置1は、耐圧性または耐熱・耐圧性の密閉容器から構成される気密な気液混合容器本体101と、前記容器本体に設けられた液体圧入口102と、気液混合体の排出口103と、排出口に接続された微細気泡発生用のノズル104と、を備えている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液混合装置および気液混合システムに関する。より詳しく述べると、本発明は、非常に簡単な構成でなおかつ送液量が低くても気体を液体中に微細気泡として混合するための気液混合装置および気液混合システムに関する。本発明は、さらに気液混合システムを用いた水素等の気体成分を微細気泡として多量に含む気体成分含有水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロバブル、ナノバブルといわれている微細気泡は、水中に直径50μm以下の気泡が生じている状態をいい、直径10μm程度あるいはそれ以下の微細気泡が1ml当たり水中等に数1000個存在すると牛乳のような白濁した状態となる。
【0003】
このような微細気泡が発生すると下記特性が生じる。
上昇速度 通常の気泡は、急激に水液中を上昇し最終的に液面で破裂する。しかし、微細気泡は気泡体積が微細であるため、上昇速度が遅く長い間、水液中に滞在し続ける。例えば、直径10μmの気泡は1分間に3mm程度の上昇しかない。
【0004】
自己加圧効果 界面は気相と液相、液相と液相、液相と固相、固相と固相の二相間で形成される。この界面間で界面張力により加圧が生じる。この界面張力はヤングラプラスの式で導かれ、気泡の大きさに反比例して気泡に加わる圧力が高まる。このため、微細気泡は圧力により一層小さくになり、さらに圧力が高まる。理論上、無限の圧力が生じる。また、加圧効果により効果的に気体が水中に溶解する。
【0005】
表面電位特性 微細気泡はコロイドとしての側面があり、負に帯電をしている。このため、微細気泡同士は反発し合う。この性質のため、微細気泡同士の結合がなく、気泡濃度が減ることがない。
【0006】
自己圧壊 微細気泡の自己圧壊作用により、水や窒素などが分解されラジカルが生成される。生成メカニズムに関しては、諸説あり未だ決着が着いていない。
【0007】
このような微細な気泡を含む気泡液を生成するものとして、例えば以下の特許文献1または2に記載のものがある。
【0008】
特許文献1は、気泡液中の気泡を更に微細化するための気泡微細化器に関するもので、本出願人の提案に係るものである。
この気泡微細化器は、圧力ポンプの吸圧力によって液体に気体を混合して発生させた気泡液を他の気泡微細化器によって微細化した後に、この気泡液中に含まれる気泡を更に微細化するためのものである。
【0009】
この気泡微細化器は、送液方向上流側に複数の液流入孔を穿設した隔壁を形成し、送液方向下流側が開口した外筒体と、この外筒体内に同軸的に配置され、送液方向に沿う所定の範囲にわたり一定の断面積にした太径部と、上流側気泡液路の下流側に、上流側から下流側に向けて次第に断面積が縮小する縮径部とを有する軸体とを備え、外筒体と軸体の間に気泡液路を形成するものとなっている。
【0010】
この気泡微細化器によって気泡液中の気泡を微細化するには、圧力ポンプにより圧送される気泡液を、液流入孔から外筒内に流入させ、前記気泡液路を通過させることになり、このとき、外筒体の隔壁によって気泡液に対する圧力が上昇した状態で、液流入孔から気泡液を外筒体内部に流入させ、その後、送液方向上流側から下流側に向けて次第に間隔が広くなる気泡液路を通過させることによって気泡液に対する圧力が変化するのを利用して、気泡液中の気泡を破壊し、微細化するものとなっている。
【0011】
一方、特許文献2に記載の発明は、微細な気泡を含む気泡液を発生させるものとして旋回流を利用した微細気泡発生装置となっている。
この微細気泡発生装置は、一端が閉口された円筒形の容器の閉口側に気体導入孔を開設し、前記円筒形の内壁円周面の一部にその接線方向に加圧液体導入口を開設するものとなっている。
【0012】
この微細気泡発生装置は、使用時に加圧液体導入口から円筒内に加圧液体を圧送してその内部に旋回流を生成することによって、円筒の中心軸の近傍に負圧部分を形成し、この負圧によって気体導入孔から円筒内に気体を吸い込み、圧力が最も低い中心軸上を気体が通過することによって、細い旋回気体渦を形成するものとなっている。そして、この円筒内で旋回流が加圧液体導入口から開口側へ向かって形成され、この旋回に伴って、液体と気体の比重差から液体には遠心力、気体には向心力が同時に働くことにより、液体部と気体部の分離された状態で、気体が開口側で噴射され、その噴射と同時に周囲の静液によって旋回が急激に弱められることにより、急激な旋回速度差が発生し、この旋回速度差によって旋回気体渦が切断されて、その結果として大量の微細気泡が発生し、開口側から放出される、とされたものである。
【0013】
また、特許文献3には、微細な気泡を効率良く大量に生成することのできる気泡微細化器を提供する目的で、上流側となる一端を閉塞し、下流側となる他端に放出口を設けてなる発生筒体には筒体外部から筒体の壁部を通して内壁周面に、この内壁周面に対して描かれる仮想の接線に並行する仮想線に沿って斜めに気泡液を噴射させる主噴射口と、該主噴射口からの噴射方向に対して発生筒体の軸心に近付くように変位させて気泡液を噴射させる従噴射口とを開設し、前記発生筒体の内部において、前記主噴射口から噴射される気泡液によって主旋回流を作る一方、該主旋回流に対して前記従噴射口から噴射される気泡液によって作られる従旋回流を交錯交流させることにより微細気泡を発生させることを特徴とした気泡微細化器が開示されている。
【0014】
また、特許文献4には、気体が加圧溶解された加圧液が導入されるシャワーヘッド本体部と、シャワーヘッド本体部のホース接続部分に設けられ、導入された加圧液を減圧することにより気体を析出させて微細気泡を発生させるための固定絞り(第1の絞り)と、シャワーヘッド先端のヘッド部に設けられ、固定絞りから導入された微細気泡を含む液体をシャワーヘッド外部に噴出させるための複数のノズル孔(第2の絞り)とからシャワーヘッド4を構成する。固定絞り4aの有効断面積sは、各噴出孔の総有効断面積sよりも小さくなっている微細気泡発生用のシャワーヘッドが開示されている。
【0015】
このような微細気泡は、殺菌、洗浄分野などの種々の用途に使用されている。これらの微細気泡の用途として注目されているのが、水素水の製造である。
【0016】
水素水は、水素分子(水素ガス)を含む水のことであり、活性酸素種を消去する作用があり、健康増進に期待されている。
【0017】
例えば、特許文献5には気液混合ポンプで水素ガスと水を混合して所定の圧力で吐出し、流路途中に水素混入水を攪拌して気泡を微細化する攪拌部を通した後、流速を緩めて滞流させて余剰水素を放出させ、飲用水や風呂用水等に使用される飽和水素水を連続製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】 特開2007−144421号公報
【特許文献2】 特開2006−116365号公報
【特許文献3】 特開2009−273992号公報
【特許文献4】 特開2009−72664号公報
【特許文献4】 特開2008−006365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来技術における微細気泡発生装置は、装置が大型であり、微細気泡を発生させるためにはかなり高性能のポンプが必要であった。そのため装置が非常に高価になってしまう。
【0020】
また、例えば特許文献4等の小型化した微細気泡発生装置は、ごく少量の微細気泡しか発生せず多量の微細気泡を発生させるのは困難であった。
【0021】
さらに、微細気泡を水素水に応用した特許文献4は、気液混合ポンプで水素ガスと水を混合して所定の圧力で吐出し、流路途中に水素混入水を攪拌して気泡を微細化する攪拌部を通した後、流速を緩めて滞流させて余剰水素を放出させ、飽和水素水を連続製造する方法であり、例えばシャワーなどで水素水を利用したいという要求には合致しないものであった。
【0022】
したがって、本発明の課題は、簡単な構成で高出力ポンプ等を使用しなくとも所定の流量で微細気泡と液体との混合物を連続的に製造できる気液混合装置および気液混合システムを提供することである。
【0023】
本発明の別の課題は、このような気液混合システムを利用して水素濃度の高い水素水を連続して製造できる水素水の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の課題は、下記項目により達成される。
(1) 液体中に気体の気泡を微細泡として分散する気液混合装置であって、耐圧性または耐熱・耐圧性の密閉容器から構成される気密な気液混合容器本体と、前記容器本体に設けられた液体圧入口と、気液混合体の排出口と、前記排出口に接続された微細気泡発生用のノズルと、を備えていることを特徴とする気液混合装置。
【0025】
なお、本発明で使用する用語は、下記の意義を有する。
本発明で言う気液混合体とは、液体中に気体を微細気泡が微分散した状態で混ざっている気体と液体の混合体を意味する。液体圧入口とは、水等の液体を気液混合容器に所定の流量で導入する導入口であり、例えば、ポンプ、水道の蛇口などとホースなどの液体導管と接続するための接続口を意味する。
【0026】
排出口に接続された微細気泡発生用のノズルとは、容器内部あるいは、容器の外側に接続される少なくとも1つの微細気泡発生用のノズルを意味する。
耐圧性密閉容器本体とは、使用時に気密・液密に密閉可能であり、少なくとも使用時に混合する気体の圧力により変形または破損しない程度の耐圧性を有している容器を言う。耐熱性も同様に使用時に液体または気体あるいは混合物の温度により変形または破損しない程度の耐熱性を言う。
【0027】
(2) 前記液体圧入口は、前記容器本体の頂部・底部または側面に配置され、前記排出口は、前記容器の底部・頂部または側面に配置されていることを特徴とする1に記載の気液混合装置。
【0028】
(3) 前記気体が液体と接触することによって所定の気体を発生する気体発生体であり、前記容器本体の内部に気体発生体を配置する気体発生体配置手段を有していることを特徴とする1または2に記載の気液混合装置。
【0029】
(4) 前記密閉容器本体は、前記気体を前記密閉容器本体内に導入するための少なくとも1つの気体導入口を有することを特徴とする1から3のいずれか1項に記載の気液混合装置。
【0030】
(5) 液体中に気体の気泡を微細泡として分散する気液混合装置であって、気体と液体とを導入するための開放系の容器本体と、前記開放系の容器本体内に液体を圧送するための液体圧送手段と、前記開放系の容器本体で発生した気体と液体とを排出する排出管と、前記排出管に設けられた微細気泡発生用のノズルと、から構成されることを特徴とする気液混合装置。
【0031】
(6) 1から5に記載の気液混合装置と、前記気液混合装置の液体圧入口とホースを介して所定流量で水または温水を容器本体に導入するための水源と接続するアタッチメントと、から構成された気液混合システム。
【0032】
(7) 前記容器本体の排出口側にホースを介してシャワーヘッドと接続するためのアタッチメントを有することを6に記載の気液混合システム。
【0033】
(8) 1から7に記載の気液混合装置と、前記液体圧入口とホースを介して接続された液体供給源と、前記排出口に設けられたホースと、前記液体圧入口側または前記排出口側のホースに設けられ、前記密閉容器に液体を導入するための液体導入手段と、から構成された気液混合システム。
【0034】
(9) 7または8に記載の気液混合システムを備えた足湯または入浴システム。
【0035】
(10) 7または8に記載の気液混合システムを用いて、気液混合物を製造する方法であって、液体圧入口から密閉容器内に液体を導入するとともに密閉容器内に気体を導入または液体容器内で気体を発生させる工程と、前記液体と気体を微細気泡発生用のノズルを通過させて液体中に気体を微細気泡として微分散させる工程と、を含む気液混合物の製造方法。
【発明の効果】
【0036】
本発明の気液混合装置によると、耐圧性または耐熱・耐圧性の密閉容器から構成される気密な気液混合容器本体と、前記容器本体に設けられた液体圧入口と、気液混合体の排出口と、前記排出口に接続された微細気泡発生用のノズルと、という簡単な構成で気体を液体中に微細気泡として高い濃度で混合することが可能である。特に耐圧性の気密容器内で所定の圧力を有する気体と所定の流量(圧力)を有する液体とを混合するので容器内は導入または発生した気体により圧力が増加する。この増加した圧力により、従来の高性能のポンプによる液体を圧送する必要がなくなった。
【0037】
このような本発明の気液混合装置を例えば、容器本体の液体圧入口を家庭用の水源(水道・給湯口)と接続し、排出口側をシャワーヘッドに接続すると高密度で気体を微細気泡として含む気体混合溶液を連続的に所定の流量で排出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】 本発明の気液混合装置の一例を示す図面。
【図2】 本発明の気液混合装置の一例を示す図面。
【図3】 本発明の気液混合システムの一例を示す図面。
【図4】 本発明の気液混合システムの別の一例を示す図面。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(気液混合装置1)
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の気液混合装置の一例を示す図面である。
図1に示す本発明の気液分離装置1は、耐圧性または耐熱・耐圧性の密閉容器から構成される気密な気液混合容器本体(以下、容器本体)101と、容器本体101に設けられた液体圧入口102と、気液混合体の排出口103と、排出口103に接続された微細気泡発生用のノズル104とから主として構成されている。
【0040】
本実施形態は、容器本体101の内部に気体発生体105を導入した場合を示す実施形態である。
【0041】
容器本体101は、内部に液体圧入口102からの液体(例えば水)と気体(本実施形態においては内部に配置された気体発生体より発生する気体、例えば水素)とを混合するためのものである。そして、容器本体101は、気体発生体106を容器本体101の内部に配置するための容器本体分割部105を有している。
【0042】
そのため容器本体101は、発生した気体による圧力により変形しない材質であり内部を液密・気密に保持できるものであれば特に形状や材質に限定されるものではない。また、発生する気体の種類や内部温度に応じて適宜耐腐食性、耐熱性の材質が選択される。例えば、容器本体101は、ステンレス鋼やプラスチック製である。
【0043】
また、容器本体分割部105は、例えばパッキンを介して螺合や嵌合などの手段により容器本体101の内部を分割できるものであれば特に限定されるものではないが、内部に相当量の圧力が加わることを考慮すると螺合が好ましい。
【0044】
液体圧入口102は、図示しない液体供給源からホース等を介して所定流量で液体を導入する液体導入口であり液体供給源と液蜜に接続できるものであれば特に限定されるものではない。
【0045】
液体排出口103は、所定圧力を有する液体と気体の混合物を排出するための排出口である。例えば、給湯設備からの温水を気体と混合してホースを介してシャワーとして排出する場合にはシャワー側のホースと液蜜に接続される接続口である(以下、排出系という)。排出口も排出側のホース等の配管と液蜜・気密に接続でき使用圧力で外れなければ特に限定されるものではない。
【0046】
微細気泡発生ノズル104は、微細気泡発生用のノズルであれば特に限定されるものではなく、従来公知のノズル、例えばベンチュリ型ノズル、オーラジェット式ノズル、キャビテーション型ノズルなどから適宜選択して使用できる。
【0047】
なお、図1に示す実施形態では微細気泡発生ノズル104を容器本体内部101に設けたが、本発明は微細気泡発生ノズル104の配置位置は、排出系のいずれからの位置にあればよく、特に限定されるものではない。
【0048】
また、本実施形態における気液混合装置1は、容器本体101の内部に気体発生体を設けているが、このような気体発生体は、内部に圧入される液体と反応して所望の気体を所定の圧力で発生するものであれば特に限定されるものではない。
【0049】
例えば、株式会社パル・コーポレーションから「ナチュレ水素」の商品名で販売される水素発生体や各種入浴剤製造メーカから販売される炭酸ガス発生体などを用いることができる。また、複数の気体発生体105を容器本体101の内部に配置してもよい。
【0050】
本発明者の実験によると、ハーブ、漢方薬、お茶などと株式会社パル・コーポレーションから「ナチュレ水素」の商品名で販売される水素発生体とを組み合わせて配置することにより、効率よくハーブ、漢方薬、お茶などの成分を抽出できることが判った。
【0051】
(気液混合装置2)
次に、本発明の別の実施形態を図2に基づいて説明する。図2は、本発明の気液混合装置の別の一例を示す図面である。なお図2に示す本発明の気液分離装置2は、気体を容器外部から取り入れる以外は図1に示す実施形態と同様であるので同一部材は同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図2に示す気液混合装置1’は、図示しない気体発生源と気密に接続される少なくとも1つの気体導入口107を有しておりこの気体導入口108から所定の圧力で容器本体101に気体が所定の圧力で導入される。この際の気体発生源は、特に限定されるものではなく、エア、酸素、二酸化炭素、水素その他のボンベであってもよく、あるいは酸素濃縮装置、オゾン発生装置であってもよい。
【0053】
以上説明した、図1および図2に示す本発明の気体混合装置1,1’は、容器本体101内部で一旦所定の流量の液体と所定圧力の気体とが混合された後に液体排出口103から気体・液体混合物が所定の流量(圧力)で排出される。この液体排出口から排出される所定流量(圧力)の気体・液体混合物を微細気泡発生ノズル104によって混合物中の気体成分を微細気泡化するので、簡単な構成で所望の気液混合物を連続的に製造することが可能である。
【0054】
しかも、混合物の流量(圧力)を利用するので、例えば家庭用の水道や給湯設備などの少ない流量でも十分に高濃度の気体を微細気泡として含む気液混合物を連続的に製造することが可能となる。あるいは、比較的低い能力のポンプなどの液体圧送手段を使用しても従来の高い能力の液体圧送手段と同等の効果が得られる。
【0055】
さらに、例えば家庭用のシャワー等に本発明の気液混合装置を用いる場合、省スペースで(従来のエアの微細気泡を含む気液混合装置に匹敵するサイズで)各種気体の微細気泡を高濃度で含む気液混合物を連続して出力することが可能である。
【0056】
次に、本発明の気液混合システムを図3および図4に基づいて説明する。図3は、本発明の気液混合システムの一例を示す図面であり、図4は本発明の気液混合システムの別の一例を示す図面である。
【0057】
図3に示す気液混合システムは、本発明の気液混合装置1の液体圧入口102(図1ままたは図2参照)を家庭用の給湯口(液体供給源2)と接続し、本発明の気液混合装置1の液体排出口103をホース3を介してシャワーヘッド4と接続した気液混合システムを示す実施形態である。図3に示す気液混合システムは、内部に気体発生体を入れて液体供給源2から液体(温水)を供給した場合、後述の実施例に示す通り、白濁した気液混合物が連続的にしかも体感的にシャワーの水圧が実質的に損なわれずに排出できることが判った。
【0058】
すなわち、本発明の気液混合装置は、家庭用の水供給源(水道や給湯設備)の水量(水圧)でも外部にポンプを設けなくとも十分に適用可能である。
【0059】
図4にシステムは、ポンプPを介して本発明の気液混合装置1に水槽5(液体供給源)から液体を供給し、高濃度の気体を微細気泡として含有する気液混合物を気液混合装置1から水槽5に戻す循環式システムの例を示している。
【0060】
本発明は、このような循環式システムにも適用可能である。なお、本実施形態では吸引式ポンプPの上流側に微細気泡発生ノズル104を設けている。
【0061】
図4に示す通り、本発明の気液混合装置は、このような循環式のシステムにも採用可能である。
【実施例】
【0062】
次に本発明の実施例を示す。
図3に記載のシステムにおける気液混合装置の内部に株式会社パル・コーポレーションから「ナチュレ水素」の商品名で販売されている水素発生体10gを挿入し、10分、20分、30分後に液体供給源から水温約40度で液体を通流させて排出される液体の流量および微細気泡の発生の様子を目視観察した。
【0063】
その結果、シャワーヘッド4から排出される気液混合物の流量は約14.5L/分であり、30分後の液体も白濁しており、30分間連続して適用可能であることが判った。
【0064】
次に、図3に記載のシステムにおける気液混合装置の内部に株式会社パル・コーポレーションから「ナチュレ水素」の商品名で販売されている水素発生体10gを挿入し、水温40℃の温水140Lを充填した浴槽に水温約40℃で60Lの気液混合物を追加して全量200Lとして静置し、微細気泡の保持状態を30分間目視評価した。その結果、30分以上微細気泡に由来する白濁が観察された。
【0065】
以上の結果から、水素発生体などの気体発生体を内部に充填して本発明のシステムを使用すると、所望の気体が高濃度で含有する気液混合物をシャワーや入浴用途などに好適に適用可能であることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の気液混合装置および気液混合システムは、少ない流量でも高濃度の気体を微細気泡として含有する気液混合物を簡単な構成で構築することが可能である。そのため、高濃度で水素等の気体を含有する温水など広範囲に適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1、1’ 気液混合装置
2 液体供給源
3 ホース
4 シャワーヘッド
5 液体供給源(水槽)
101 容器本体
102 液体圧入口
103 液体排出口
104 微細気泡発生ノズル
105 容器本体分割部
106 気体発生体
107 気体導入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中に気体の気泡を微細泡として分散する気液混合装置であって、
耐圧性または耐熱・耐圧性の密閉容器から構成される気密な気液混合容器本体と、
前記容器本体に設けられた液体圧入口と、
気液混合体の排出口と、
前記排出口に接続された微細気泡発生用のノズルと、
を備えていることを特徴とする気液混合装置。
【請求項2】
前記液体圧入口は、前記容器本体の頂部・底部または側面に配置され、
前記排出口は、前記容器の底部・頂部または側面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の気液混合装置。
【請求項3】
前記気体が液体と接触することによって所定の気体を発生する気体発生体であり、前記容器本体の内部に気体発生体を配置する気体発生体配置手段を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の気液混合装置。
【請求項4】
前記密閉容器本体は、前記気体を前記密閉容器本体内に導入するための少なくとも1つの気体導入口を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の気液混合装置。
【請求項5】
液体中に気体の気泡を微細泡として分散する気液混合装置であって、
気体と液体とを導入するための開放系の容器本体と、
前記開放系の容器本体内に液体を圧送するための液体圧送手段と、
前記開放系の容器本体で発生した気体と液体とを排出する排出管と、
前記排出管に設けられた微細気泡発生用のノズルと、
から構成されることを特徴とする気液混合装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5に記載の気液混合装置と、
前記気液混合装置の液体圧入口とホースを介して所定流量で水または温水を容器本体に導入するための水源と接続するアタッチメントと、
から構成された気液混合システム。
【請求項7】
前記容器本体の排出口側にホースを介してシャワーヘッドと接続するためのアタッチメントを有することを特徴する請求項6に記載の気液混合システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7に記載の気液混合装置と、
前記液体圧入口とホースを介して接続された液体供給源と、
前記排出口に設けられたホースと、
前記液体圧入口側または前記排出口側のホースに設けられ、前記密閉容器に液体を導入するための液体導入手段と、
から構成された気液混合システム。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の気液混合システムを備えた足湯または入浴システム。
【請求項10】
請求項7または請求項8に記載の気液混合システムを用いて、気液混合物を製造する方法であって、
液体圧入口から密閉容器内に液体を導入するとともに密閉容器内に気体を導入または液体容器内で気体を発生させる工程と、
前記液体と気体を微細気泡発生用のノズルを通過させて液体中に気体を微細気泡として微分散させる工程と、
を含む気液混合物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−194390(P2011−194390A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86504(P2010−86504)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(306016523)株式会社菊池エコアース (11)
【出願人】(504442735)株式会社パル・コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】