説明

気液混合装置及び気液混合方法

【課題】
気体導入量を制御することで、気液混合装置に導入する気体の導入量を増加させ、気液混合効率を高めることができる気液混合装置を提供する。
【解決手段】
液体を導入する導入経路203aと細管経路204aと導出経路205aと前記細管経路205aと接続された気体導入配管201と気体の導入量を制御する気体導入制御部202とを備えた気液混合装置を用い、気体と液体を導入中に気体導入制御部202により一時的に気体の導入を停止または導入量を低下することで液体にキャビテーションを発生させ、その後、気体の導入を再開、または導入量を増加させることで、気液混合効率を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は気体と液体を混合させ、気液混合体を発生させる気液混合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、気液混合装置は浄水処理、洗浄、医療、化学、製造プロセスなど様々な分野で適用され、注目を集めている。この気液混合装置には、配管内に液体を循環させ、循環中の液体に気体を導入して混合させる気液混合装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1は、流動する液体に気体を導入するために必要な負圧を発生させ、気体の導入を行うことが可能なベンチュリー型の気液混合装置を開示している。この気液混合装置は、導入部、細管部、導出部から構成され、細管部には、外部空間と連通する気体導入口が開設されている。ベルヌーイの定理からわかるように、細管部の液体の流速は増加し、静圧が減少する。このため、流動する液体の静圧は負圧になり、気体導入口を介して外部空間から細管部へ向かい気体が吸引される。その後、導入された気体と液体が混合され、気液混合体として導出部から導出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−23515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の気液混合装置を用い、高い気液混合率で液体中に気体を溶解させるためには、気液混合装置の気体の吸引力を増加させるため、液体に負圧を形成させキャビテーションを発生させる必要があった。このため、流動する液体は比較的速い流速が必要となり、液体を圧送するための大型ポンプなどの装置を設けなければいけなかった。この結果、従来の気液混合装置は小型機器に搭載することが困難であり、また、大量なエネルギーを必要とする問題や高コストといった問題が内在していた。
【0006】
また、気液混合装置を長時間使用した際、気液混合装置に与えられる振動、または流動する液体や気体に含まれるごみなどの影響で、気液混合装置内の圧力が変化し、発生した液体のキャビテーションが消滅してしまうことがある。この場合、気液混合装置の気体の吸引力が低下し、効率的な気液混合が維持できないといった問題があった。
【0007】
本発明は上述の課題を解決するためになされたものであり、その目的は気液混合効率の向上、または高い気液混合効率の復元が可能なため気液混合装置及び気液混合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る気液混合方法は、液体を導入させる導入経路と、前記導入経路に連通しており、かつ前記導入経路より径の小さな細管経路と、前記細管経路と連通しており、かつ前記細管経路より径の大きな導出経路と、前記細管経路と接続され、前記細管経路へ気体を導入する気体導入配管と、前記気体導入配管の気体の導入を制御する気体導入制御手段とを備えた気液混合装置に対して、気体と液体を導入中に、前記気体導入制御部にて気体の導入量を低下させた後に気体の導入量を増加させる気体吸引量増加制御を行う。
【0009】
このため、気体の吸引力が小さい気液混合装置または長時間利用し、気体の吸引力が低下した気液混合装置の吸引力を復元させることができるため、気体の導入量を増加させ気液混合効率を高めることが可能である。
【0010】
本発明に係る気液混合装置は液体を導入する導入経路と、前記導入経路に連通しており、かつ前記導入経路に比べて小さな径を有する細管経路と前記細管経路と連通しており、かつ前記細管経路に比べて大きな径を有する導出経路と、前記細管経路と接続され、前記細管経路へ気体を導入させる気体導入配管とを備え、前記気体導入配管の気体導入量を制御する気体導入制御手段と、前記気体導入制御手段の時間的な制御が可能な時間制御手段が設けられている。
【0011】
このため、長期間使用することで、気液混合装置内の気体の圧力または気体の流量が変化することがあるが、気体の導入量を時間に応じて制御することが可能なため、気液混合装置の低下した吸引力を復元させ気液混合効率を高めることが可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な装置にて気液混合装置に対する気体の導入量の増加または気体導入量を復元することができるため、気液混合効率を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る気液混合装置のブロック図である。
【図2】本発明に係るエゼクタの断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る気液混合装置の動作方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施例に係る気液混合装置の第1の動作方法を示すタイミングチャートである。
【図5】(a)気液混合装置の実験に使用した実験条件の表である。(b)気液混合装置の実験結果図である。
【図6】本発明の第2の実施例に係る気液混合装置のブロック図である。
【図7】(a)本発明に係る流量計を備えた気液混合装置のブロック図である。(b)本発明に係る圧力計を備えた気液混合装置のブロック図である。
【図8】本発明の実施例2に係る気液混合装置の第1の動作方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施例2に係る気液混合装置の第1の動作方法を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の実施例2に係る気液混合装置の第2の動作方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施例2に係る気液混合装置の第2の動作方法を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の実施例2に係る気液混合装置の第3の動作方法を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施例2に係る気液混合装置の第3の動作方法を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
本発明に係る第1の気液混合装置について、図1に基づいて説明する。図1は本発明に係る気液混合装置100を示したブロック図である。気液混合装置100は、導入される気体と液体を混合するエゼクタ101と気液混合装置100に導入する気体を発生する気体発生器102とを備えている。
【0015】
エゼクタ101は、気体を導入する気体導入口と液体を導入する液体導入孔と気体と液体を混合して導出する導出口を備えている。気体導入口は気体導入制御部104を備えたホース、パイプなどの配管系からなる気体導入配管103と接続され、エゼクタ101に導入される気体の流量を制御することが可能である。また、液体導入口はポンプなどにより構成された圧送部105などと配管系を介して接続され、液体が導入される。導入された気体と液体はエゼクタ101で混合され、液体または気液混合体などの流体が導出される。ここで気体導入制御部104は図1では気体導入配管103に設けられているが、気体発生器102に設けられていてもよく、エゼクタ101に対して導入する気体の流量を制御することができる構成であれば、どの位置に設けられていてもよい。
【0016】
ここで、気体導入制御部104は気体導入弁などから構成される。例えば気体導入弁を電子弁として構成し、弁の開閉を電気的なスイッチにより制御できる構成としてもよい。
【0017】
また、気体導入制御部104は時間制御手段を有しており、気体導入制御部による気体導入量の制御を時間に応じて適宜制御することが可能な構成としてもよい。時間的な制御とは一定時間毎に動作をするように制御されたタイマー制御や、あらかじめプラグラムされた時刻に動作をするように制御することが可能な手段を示す。なお、時間制御手段は気体導入制御部104に含めた構成にする必要はなく、独立した時間制御手段を気体導入制御部と接続した構成としてもよい。
【0018】
気体発生器102は、気体導入配管103を介してエゼクタ101に接続され、発生した気体をエゼクタ101に対して導入する。ここで、発生する気体は、例えば殺菌性の高いオゾンガスなどである。その他、洗浄または浄水効果のある酸素ラジカル、OHラジカル、などを発生させても構わない。また、気体発生器102は気液混合効率を高めるため、エゼクタ101の近傍に設けることがよい。
【0019】
次に本発明に係るエゼクタの一実施形態について説明する。図2はエゼクタ200の断面図であり、矢印A1は気液混合装置200に導入する液体の流れを示し、矢印A2は気液混合装置200に導入する気体の流れを示し、矢印A3は気液混合装置200から導出する気体、液体または気液混合体などの流体の流れを示す。
【0020】
図2に示されるエゼクタ200は気体を導入する気体導入配管201と気体の導入量を制御する気体導入制御部202を備え、AA‘端は液体を流動する図示しない配管系と接続され、BB‘端は液体または気液混合体を含む流体を流動する図示しない配管系と接続されている。
【0021】
また、エゼクタは導入経路203aを有する導入部203と、導入経路203aと連通する細管経路204aを有する細管部204と、細管経路204aと連通する導出経路205aを有する導出部205を有している。細管経路204aの断面積は導入経路203a及び導出経路205aの断面積に比べ小さな円柱状の形状をしている。細管経路204aに連通された導出経路205aの断面積は気液混合体の流動する方向に徐々に大きくなる形状をしている。ここで、導出経路205aの形状は図2に示されるような円錐状の形状にしてもよく、段階的に断面積を大きくした形状にしてもよい。
【0022】
細管経路204aの側面は気体導入口206が開設され、気体導入制御部202が設けられた気体導入配管201を介して、気体発生器などと接続される。
【0023】
また、導入部203と接続された細管部204の端面207は、細管経路204aの内周面208との接続部において角部209を形成させてもよい。角部209を形成させることにより、導入経路203aから流動する液体は、細管部204の角部209で衝突し、流れの剥離によって局所的に渦を発生させやすくすることができる。渦の中心には局所的に圧力の低い部位であるキャビテーションの核が発生する。このキャビテーション核は細管経路204aで発達し、キャビテーションが発生する。
【0024】
ここで、キャビテーションとは液体中に気泡が発生する現象である。液体にキャビテーションが発生している場合、キャビテーションが発生していない場合と比べて気体導入口206の静圧が低くなるため、気体導入口206と気体発生器との圧力差が大きくなる。このため、より多量な気体を吸引することが可能となる。また、液体の流れの剥離を効果的に起こすには、角部209の角度を90度以下となるように形成することがよい。
【0025】
気体導入制御部202は例えば、気体導入弁などにより形成され、気体の導入量を停止する気体導入弁の閉状態から気体の導入量が最大にする開状態まで気体導入量を制御することが可能である。
【0026】
≪動作方法≫
本発明の実施例1に係る気液混合装置の吸引する気体量を増加させる気体吸引量増加制御の動作方法を図3及び図4を用いて説明する。図3は本発明の第1の実施例に係る気液混合装置の第1の動作方法を示すフローチャートである。図4は第1の実施例に係る本発明の気液混合装置の第1の動作方法を示すタイミングチャートである。
【0027】
気体流量は気体導入配管を流動する気体の流量を示し、気体導入配管圧力は気体導入配管を流動する気体の圧力を示し、気体導入制御率は、気体導入制御部による気体の流量の制御率を示し、気体導入弁の開口率に比例させ、気体導入弁の開口率が高い場合に気体制御率が高い値を示すように設定している。
【0028】
図3のフローチャートは、気液混合装置に対して液体を導入する工程S11と、気体の導入を停止、または導入量を低下させる工程S12と、気体の導入を再開、または導入量を増加させる工程S13とを含んでいる。
【0029】
工程S11は気液混合装置に対して液体を導入する。このとき、気体導入制御部は開状態となっている。ここで、工程S11の開始は図4における時間t0に該当する。液体は図2のエゼクタ200のAA‘端の導入経路203aから導入され、細管部204の細管経路204aを通過し、BB’端の導出経路205aから導出される。細管経路204aを流動する液体は、ベルヌーイの定理からわかるように、流速が増加する。一般的に液体が高速で流動するとその静圧が低下する。その結果、細管部204の静圧が負圧となるため、気体導入配管201を通じて、矢印A2が示す細管経路204aに向かう方向に気体が吸引される。外部空間または気体発生器から気体導入配管201を通り、気体導入口206から気体が吸引される。導入された液体と吸引された気体は、細管経路204aから導出経路205aへ流動されながら混合された後、導出経路205aから気液混合体として導出される。なお、ここで気液混合装置を流動する液体にキャビテーションは発生していない。
【0030】
工程S12は気体の導入量を制御する気体制御手段202により、気液混合装置に対して導入する気体の導入を停止、または導入量を低下させる。ここで、工程S12は図4における時間t1から時間t2までの期間に該当する。
【0031】
気体導入制御率を下げ、気体の導入を停止、または導入量を低下させると、気体流量及び細管経路の圧力は低下する。このとき、図2の気液混合装置の細管経路204aは導入経路203aから導入された液体のみが流動するため、細管経路204aの圧力は低下する。また、外圧を受けないため、細管部204の気体の静圧が低下し、局所的に飽和蒸気圧付近まで低下する。
【0032】
この結果、局所的に液体の沸騰現象が起こり、キャビテーションが発生する。液体にキャビテーションが発生している場合、キャビテーションが発生していない場合と比べて気体導入口206の静圧が低くなり、気体導入口206と外部空間または気体発生器との圧力差が大きくなる。
【0033】
なお、図4では工程S12の気体導入制御率が0になっているが、気体導入量を停止させず気体導入量を低下させる場合、細管経路の気体の圧力は飽和蒸気圧付近まで低下させることが可能な程度、気体導入量を低下させることがよい。
【0034】
工程S13は気体の導入量を制御する気体制御手段206により、気液混合装置に対して気体の導入を再開または導入量を増加させる。ここで、工程S13は図4における時間t2からt3までの期間に該当する。
【0035】
気体導入制御率を上げ、気体の導入を再開、または導入量を増加させると、気体流量及び、細管経路の気体の圧力は徐々に増加し、安定することとなる。このとき、工程S12により気体導入口206の圧力は外部空間または気体発生器との圧力より小さくなっており、多量の気体を吸引できるため、気体流量L1は気体流量L2に比べて高く、細管圧力P1は細管圧力P2に比べて低い値となる。
【0036】
なお、図2のエゼクタの細管経路204aにおいて、キャビテーションが発生している場合、エゼクタに導入する液体流量を大幅に減少させない限り、キャビテーションが維持され、気体導入口206から多量な気体を導入することができる。この結果、気体導入量が増加した状態が維持され、より多くの気体を低動力で導入することができ、気液混合効率を向上できる。
【0037】
なお、各工程の開始タイミングは、気液混合装置に時間制御手段が設けられ、経過する時間に基づき気体流量制御手段により制御されてもよい。
【0038】
なお、図3における気液混合方法は気体を気液混合装置に対して導入中に気液混合効率を向上させるフローチャートが記載されているが、気体の導入を開始する場合は、図3における工程S12から開始し、工程S12、工程S13を行うだけで、気体導入量を増加させることが可能である。例えば、気体導入制御部が閉じられ、気体が導入されていない気液混合装置に対して液体の導入を開始する場合、液体の導入開始時に時間制御手段が作動されるようにあらかじめ設定しておき、数秒から数十秒の一定時間経過後に気体導入制御部が開かれ、気体が導入される構成としてもよい。この方法により、気液混合装置の立ち上げ時から自動的に気体流量を増加させた状態を形成することができる。
【0039】
なお、長時間、継続して気液混合を行う場合、エゼクタに対する振動や流体の乱れにより、導入する気体流量が減少してしまうことがある。この場合、再度動作させることにより、継続して気液混合効率の高い状態を維持することが可能である。例えば、気体導入制御部に時間制御手段を接続しておき、一定時間ごとに工程S12から工程S13までを繰り返し行うようにプログラムすることが可能である。
【0040】
なお、図4は各工程における気体流量、細管圧力、及び気体導入制御率との関係を模式的に示しているが、気体流量及び細管圧力の変化のタイミングは、装置の関係上、液体及び気体の流動が不安定なため、タイムラグが生じることがある。例えば、気体流量及び細管圧力の変化は、気体導入制御の変化のタイミングに比べて遅れることがある。このため、本発明で説明する各工程のタイミングは、これらのタイムラグを含む概念で使用され、タイムラグ程度のタイミングが異なる実施例も本発明に含まれる。
【0041】
≪実験結果≫
次に本発明に係る実施例1の気液混合装置を用い、第1の動作方法にて行った実験結果について説明する。図5(a)は本発明に係る実施例1の気液混合装置の実験に使用した実験条件のデータである。実験に使用した気液混合装置は図2に開示される気液混合装置と同様の構成であり、オゾン発生器と接続された気体導入配管と、圧送部と接続された気液混合装置と、圧送部と接続された配管を備えている。圧送部は一般的に使用される開放流量1.2L/min、閉切圧力0.7MPa程度のダイヤフラム式ポンプを利用し、オゾン発生器は、一般的に使用されるオゾンガスの発生量が50mg/h程度のものを使用した。
【0042】
配管は、内径8.5mm、長さ50cmのホースからなり、エゼクタから導出される水とオゾンを混合させたオゾン水の溶存オゾン濃度を溶存オゾン濃度計にて測定した。エゼクタの寸法に関する条件は図5(a)のA〜Dに記載した。導出経路205aは図2のように円錐状に形成し、細管経路の径から徐々に大きくなるように形成されている。図2の断面図におけるエゼクタの細管経路の長さを細管経路長さ、導出経路の側壁の長さを円錐状経路長さとし、液体の進行方向と円錐状経路とのなす角を円錐状経路角度とした。
図5(b)は図5(a)の実験条件にて測定された溶存オゾン濃度の測定結果である。
図5(b)の測定値は図5(a)の各測定条件について、複数回測定を行い、平均値を記載した。
【0043】
従来の気液混合方法による各測定データは、気体導入量が155〜230mL/minと少なく、溶存オゾン濃度も0.05〜0.06ppmと低い値でとどまっている。一方、本発明に係る第1の動作方法を用いた測定データは、気体導入量が0.38〜0.55mL/minと多く、溶存オゾン濃度が0.07〜0.10ppmにまで増加している。これは第1の動作方法を用いることで、細管経路内を流動する液体にキャビテーションが発生し、気体導入量が大幅に増加したことに起因している。
【0044】
また、オゾン発生電極を備えたオゾン発生器を用いた気液混合を行う場合、オゾン発生体近傍を多量な気体が流動するため、オゾン発生電極を十分に空冷することができ、オゾン発生効率が向上する。このように、本発明の気液混合装置を用いてオゾン溶解装置を構成することにより、簡易な方法で溶存オゾン濃度を向上させることが可能となる。
【実施例2】
【0045】
本発明の気液混合装置の第2の実施例について、図6に基づいて説明する。図6に本発明に係る気液混合装置の第2の実施例のブロック図を示す。気液混合装置600はエゼクタ601とホース、パイプなどの配管系からなる気体導入配管602と気体導入制御部603と流量計604と圧力計605とを備えている。
【0046】
エゼクタ601は気体導入制御部603が設けられた気体導入配管602と接続され、エゼクタ601に導入される気体の流量を制御することが可能である。気体導入制御部603は気体導入弁などから構成される。例えば気体導入弁を電子弁として構成し、弁の開閉を電気的なスイッチにより制御できる構成としてもよい。
【0047】
また、気体導入制御部603は時間制御手段を有しており、気体導入制御部による気体導入量の制御を時間に応じて適宜制御することが可能な構成としてもよい。時間的な制御とは一定時間毎に動作をするように制御されたタイマー制御や、あらかじめプラグラムされた時刻に動作をするように制御することが可能な手段である。なお、時間制御手段は気体導入制御部603に含めた構成にする必要はなく、独立した時間制御手段を気体導入制御部と接続した構成としてもよい。なお、エゼクタ601は図2のエゼクタ200と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0048】
気体導入配管602は外部空間または気体発生器などと接続され、気体導入配管602を介して、エゼクタ601に対して気体を導入する。ここで、気体導入配管602は、殺菌性の高いオゾンガスなどを発生する気体発生器と接続してもよい。その他、洗浄または浄水効果のある酸素ラジカル、OHラジカル、などを発生させても構わない。また、気体発生器は気液混合効率を高めるため、エゼクタの近傍に設けることがよい。
【0049】
気体導入配管602は気体導入制御部603と流量計604と圧力計605とを備えている。気体導入制御部603は気体導入弁などにより構成され、閉状態から開状態までを調整することにより、エゼクタ601に導入する気体の導入量を制御することが可能である。
【0050】
流量計604は気体導入配管602を流動する気体の流量を測定することができる。測定された気体の流量値は気体導入制御部に送られ、気体導入制御部により気体流量が制御される。圧力計605は気体導入配管602を流動する気体の圧力を測定することができる。測定された気体の圧力値は気体導入制御部に送られ、気体導入制御部により制御される。
【0051】
ここで、気体導入配管602内の圧力と図2のエゼクタの細管経路の圧力とは相関関係があるため、エゼクタ601近傍に圧力計を配置し、細管経路内の気体の圧力の値を測定してもよい。
【0052】
また、気体導入制御部は、圧力値のみ、または、流量値のみ、から気体流量を制御してもよく、圧力値と流量値との両方の値に基づいて、気体流量を制御してもよい。
【0053】
なお、圧力を測定しない場合は、気液混合装置を図7(a)の構成にしてもよく、流量を測定しない場合は、図7(b)の構成にしてもよい。
【0054】
一方、エゼクタ601はポンプなどにより構成された圧送部により、液体が導入される。導入された気体と液体はエゼクタ601で混合され、液体または気液混合体を含む流体が導出される。ここで気体導入制御部603は図7では気体導入配管602に設けられているが、気体発生器に設けられていてもよく、エゼクタ601に対して導入する気体の流量を制御することができる構成であればどの位置に設けられていてもよい。
【0055】
流量計604は図6では気体導入配管602に設けられているが、気体導入制御部603または気体発生器に設けられていてもよく、気体導入配管602または図2のエゼクタの細管経路の気体流量を測定することができる構成であればどの位置に設けられていてもよい。
【0056】
圧力計605は図6では気体導入配管602に設けられているが、気体導入制御部603または気体発生器に設けられていてもよく、気体導入配管602または図2のエゼクタの細管経路の気体の圧力を測定することができる構成であればどの位置に設けられていてもよい。
【0057】
≪動作方法1≫
本発明の第2の実施例に係る気液混合装置の吸引する気体量を増加させる気体吸引量増加制御の第1の動作方法について説明する。図8は本発明の第2の実施例に係る気液混合装置の第1の動作方法を示すフローチャートである。図9は本発明の第2の実施例に係る気液混合装置の第1の動作方法を示すタイミングチャートである。
【0058】
気体流量は気体導入配管を流動する気体の流量を示し、気体導入配管の圧力は気体導入配管を流動する気体の圧力を示し、気体導入制御率は、気体導入制御部による気体の流量の制御率を示し、気体導入弁の開閉率に相関させ、気体導入弁の開口率が高い場合に気体制御率が高い値を示すように設定している。
【0059】
図8のフローチャートは、気液混合装置に対して液体を導入する工程S21と、気体導入配管内の気体の圧力、または気体の流量を測定する工程S22と、気体の導入を停止、または導入量を低下させる工程S23と、気体導入量を再開、または導入量を増加させる工程S24とを含んでいる。
【0060】
工程S21は気液混合装置に対して液体を導入する。このとき、気体導入制御部は開状態となっている。ここで、工程は図9における時間t0に該当する。液体は図2のエゼクタのAA‘端の導入経路203aから導入され、細管部204の細管経路204aを通過し、BB’端の導出経路205aから導出される。
【0061】
図2のエゼクタの細管経路204aを流動する液体は、ベルヌーイの定理からわかるように、流速が増加する。一般的に液体が高速で流動するとその静圧が低下する。その結果、細管部204を流動中の液体の静圧が負圧となるため、気体導入配管201を通じて、矢印A2が示す細管経路204aに向かう方向に気体が吸引される。外部空間から気体導入制御202と気体導入配管201を通り、気体導入口206から気体が吸引される。導入された液体と吸引された気体は、細管経路204aから導出経路205aへ流動されながら混合された後、導出経路205aから気液混合体として導出される。
【0062】
工程S22は気体導入配管内の気体の圧力、または気体の流量を測定する。ここで、工程は図9における時間t0から時間t1までの期間に行われる。工程S21により気液混合装置に気体が導入されるが、長時間経過した場合や導入する液体や気体の一時的な乱れにより、液体の静圧が上昇し、導入する気体の流量が低下してしまう。このため、気体導入配管内の気体流量または気体の圧力を測定する。
【0063】
気体導入配管内の気体の流量の測定は流量計604にて行われ、気体導入制御部に流量値が送られる。流量計604による気体流量の流量値に基づき、気体導入制御部は工程S23を行う。ここで例えば、一定条件とは気体流量の流量値が、あらかじめ設定した閾値L1以下になったときに工程S23に進むように設定してもよい。
【0064】
また、気体の流量値の時間的な変化率を測定し、変化率があらかじめ設定した変化率より大きいときや急激に変化率が増加したときに、工程23に進むように設定してもよい。
【0065】
気体導入配管内の気体の圧力の測定は圧力計605にて行われ、気体導入制御部に圧力値が送られる。圧力計605による気体の圧力の圧力値に基づき、気体導入制御部は工程S23を行う。ここで例えば、一定条件とは気体流量の流量値があらかじめ設定した閾値P2を超えたときに、工程S23に進むように設定してもよい。
【0066】
ここで、あらかじめ設定される圧力の値P2は液体の飽和蒸気圧以上の値になるように設定することが好ましい。大量な気体を導入するためには、キャビテーションを発生させる必要がある。液体のキャビテーションは気体の圧力が飽和蒸気圧付近にまで減少するために発生する現象である。このため、液体にキャビテーションを発生させるため、気体導入配管または細管経路の圧力が飽和蒸気以上になったときに制御することが効果的である。
【0067】
また、気体の圧力値の時間的な変化率を測定し、変化率があらかじめ設定した変化率より大きいときや急激に変化率が増加したときに、工程S23に進むように設定してもよい。
ここで例えば、気体導入配管内の圧力と細管経路の圧力とは、相関関係があり、どちらの値を測定してもよい。
【0068】
ここで圧力測定と流量測定の両方の測定を行ってもよいし、どちらか一方を測定してもよい。圧力測定のみ行う場合は微細気泡発生器に流量計を設けなくてもよく、流量測定のみ行う場合は気液混合装置に圧力計を設けなくてもよい。
【0069】
工程S23は気体の導入量を制御する気体制御手段により、気液混合装置に対して導入する気体の導入を停止、または導入量を低下させる。ここで、工程S23は図9における時間t1から時間t2までの期間に該当する。気体導入制御率を下げ、気体の導入を停止、または導入量を低下させると、気体流量及び細管経路の圧力は低下する。
【0070】
図2の気液混合装置の細管経路204aは導入経路203aから導入された液体のみが流動するため、細管経路204aの圧力は低下する。また、外圧を受けないため、細管部204を流れる液体の静圧が低下し、局所的に飽和蒸気圧付近まで低下する。この結果、局所的に液体の沸騰現象が起こり、キャビテーションが発生する。液体にキャビテーションが発生している場合、キャビテーションが発生していない場合と比べて気体導入口206の静圧が低くなり、気体導入口206と外部空間または気体発生器との圧力差は大きくなる。ここで、気体導入量を停止させず、気体導入量を低下させる場合、細管経路の圧力が飽和蒸気圧付近まで低下させることが可能な程度、気体導入量を低くすることがよい。
【0071】
なお、図9では工程S23の気体導入制御率が0になっているが、気体導入量を停止させず、気体導入量を低下させる場合、細管経路の圧力を飽和蒸気圧付近まで低下させることが可能な程度、気体導入量を低くすることがよい。
【0072】
工程S24は気体の導入量を制御する気体制御手段により、気液混合装置に対して気体の導入を再開、または導入量を増加させる。ここで、工程S24は図9における時間t2からt3までの期間に該当する。気体導入制御率を上げ、気体の導入を再開、または導入量を増加させると、気体流量及び、細管経路の気体の圧力は徐々に増加し、一定値に安定することとなる。
【0073】
このとき、工程S23により気体導入口206の圧力は外部空間または気体発生器との圧力より小さくなっており、多量の気体を吸引できるため、気体流量L1は気体流量L2に比べて高く、細管圧力P1は細管圧力P2に比べて低い値となる。
【0074】
ここで、第4の工程S24は工程S23の開始から一定時間経過後に開始されるように設定してもよい。
【0075】
また、工程S24を開始する前に圧力計605にてエゼクタと連通した気体導入配管または細管経路内の気体の圧力を確認し、一定の圧力を超えたときに、工程S24を開始するように設定してもよい。ここで一定の圧力は飽和蒸気圧以上の値に設定することがよい。このとき、圧力計は細管経路内の圧力を測定する必要があるため、圧力計は気体導入制御部よりエゼクタ側の気体導入配管に配置することがよい。
【0076】
ここで、図2の気液混合装置200の細管経路204aにおいて、キャビテーションが発生している場合、気液混合装置に導入する液体流量を大幅に減少させない限り、キャビテーションが維持され、気体導入口206から多量な気体を導入することができる。この結果、気体導入量が増加した状態が維持され、より多くの気体を低動力で導入することができ、気液混合効率を向上できる。
【0077】
また、例えば気液混合装置の気体導入配管にオゾン発生電極を備えたオゾン発生器を接続し、気液混合を行う場合、オゾン発生体近傍を多量な気体が流動するため、オゾン発生電極を十分に空冷でき、オゾン発生効率が向上するという効果がある。
【0078】
なお、長時間、継続して気液混合を行う場合、エゼクタに対する振動や流体の乱れにより、導入する気体流量が減少してしまうことがある。この場合、再度動作させることにより、継続して気液混合効率の高い状態を維持することが可能である。例えば、気体導入制御部に時間制御手段を接続しておき、一定時間ごとに工程S22から工程S24までを繰り返し行うようにプログラムすることが可能である。
【0079】
≪動作方法2≫
本発明の第2の実施例に係る気液混合装置の吸引する気体量を増加させる気体吸引量増加制御の第2の動作方法について説明する。図10は本発明の第2の実施例に係る気液混合装置の第2の動作方法を示すフローチャートである。図11は本発明の第2の実施例に係る気液混合装置の第2の動作方法を示すタイミングチャートである。
【0080】
気体流量は気体導入配管を流動する気体の流量を示し、気体導入配管圧力は気体導入配管を流動する気体の圧力を示し、気体導入制御率は、気体導入制御部による気体の流量の制御率を示し、気体導入弁の開閉率に相関させ、気体導入弁の開口率が高い場合に気体制御率が高い値を示すように設定している。
【0081】
図10のフローチャートは、気液混合装置に対して液体を導入する工程S31と、気体導入配管内の気体の圧力を測定する工程S32と、気体の導入を停止、または導入量を低下させる工程S33と、気体導入量を再開、または導入量を増加させる工程S34とを含んでいる。
【0082】
工程S31は気液混合装置に対して液体を導入する。ここで、工程S31は図11における時間t0に該当する。工程S31を開始すると、図2のエゼクタの導入経路203aに対して液体を導入する。このとき、気体導入制御部は開状態となっている。
【0083】
液体は図2のエゼクタのAA‘端の導入経路203aから導入され、細管部204の細管経路204aを通過し、BB’端の導出経路205aから導出される。細管経路204aを流動する液体は、ベルヌーイの定理からわかるように、流速が増加する。一般的に液体が高速で流動するとその静圧が低下する。その結果、細管部204を流動中の液体の静圧が負圧となるため、気体導入配管201を通じて、矢印A2が示す細管経路204aに向かう方向に気体が吸引される。外部空間から気体導入制御と気体導入配管を通り、気体導入口206から気体が吸引される。導入された液体と吸引された気体は、細管経路204aから導出経路205aへ流動されながら混合された後、導出経路205aから気液混合体として導出される。
【0084】
工程S32は気体導入配管内の気体の圧力を測定する。ここで、工程S32は図12における時間t0から時間t1までの期間に行われる。第1の工程S31により気液混合装置に気体が導入されるが、長時間経過した場合や導入する液体や気体の一時的な乱れにより、液体の静圧が上昇し、導入する気体の流量が低下してしまう。このため、気体導入配管内の気体の圧力を測定する。気体導入配管内の気体の圧力の測定は圧力計605にて行われ、気体導入制御部に圧力値が送られる。圧力計605による気体の圧力の圧力値に基づき、気体導入制御部は第3工程S33を行う。
【0085】
ここで、例えば、一定条件とは気体流量の流量値があらかじめ設定した閾値P2を超えたときに、工程S33に進むように設定してもよい。ここで、あらかじめ設定される圧力の値P1は液体の飽和蒸気圧以上の値に設定することが好ましい。大量な気体を導入するためには、キャビテーションを発生させる必要がある。キャビテーションは液体の静圧が飽和蒸気圧付近にまで減少するために発生する現象である。このため、液体にキャビテーションを発生させるため、気体導入配管または細管経路の圧力が飽和蒸気以上になったときに制御することが効果的である。
【0086】
また、気体の圧力値の時間的な変化率を測定し、変化率があらかじめ設定した変化率より大きいときや急激に変化率が増加したときに、工程S33に進むように設定してもよい。ここで例えば、気体導入配管内の圧力と細管経路の圧力とは、相関関係があり、どちらの値を測定してもよい。
【0087】
工程S33は気体の導入量を制御する気体制御手段により、気液混合装置に対して導入する気体の導入を停止、または導入量を低下させる。ここで、工程は図12における時間t1から時間t2までの期間に該当する。気体導入制御率を下げ、気体の導入を停止、または導入量を低下させると、気体流量及び細管経路の圧力は低下する。
【0088】
このとき、図2の気液混合装置の細管経路204aは導入経路203aから導入された液体のみが流動するため、細管経路204aの圧力は低下する。また、外圧を受けないため、細管部204を流れる液体の静圧が低下し、局所的に飽和蒸気圧付近まで低下する。この結果、局所的に液体の沸騰現象が起こり、キャビテーションが発生する。液体にキャビテーションが発生している場合、キャビテーションが発生していない場合と比べて気体導入口206の静圧が低くなり、気体導入口206と外部空間または気体発生器との圧力差は大きくなる。
【0089】
なお、図11では工程S32の気体導入制御率が0になっているが、気体導入量を停止させず、気体導入量を低下させる場合、細管経路の圧力を飽和蒸気圧付近まで低下させることが可能な程度、気体導入量を低くすることがよい。
【0090】
工程S34は気体の導入量を制御する気体制御手段により、気液混合装置に対して気体の導入を開始、または導入量を増加させる。ここで、工程S34は図11における時間t2からt3までの期間に該当する。気体導入制御率を上げ、気体の導入を開始、または導入量を増加させると、気体流量及び、細管経路の気体の圧力は徐々に増加し、一定値に安定することとなる。このとき、工程S33により気体導入口206の圧力は外部空間または気体発生器との圧力より小さくなっており、多量の気体を吸引できるため、気体流量L1は気体流量L2に比べて高く、細管圧力P1は細管圧力P2に比べて低い値となる。
【0091】
ここで、工程S34は工程S33の開始から一定時間経過後に開始されるように設定してもよい。
【0092】
また、工程S34を開始する前に圧力計605にてエゼクタと連通した気体導入配管または細管経路内の気体の圧力を確認し、一定の圧力を超えたときに、工程S34を開始するように設定してもよい。ここで一定の圧力は液体の飽和蒸気圧以上になる値に設定することがよい。このとき、圧力計は細管経路内の圧力を測定する必要があるため、圧力計は気体導入制御部よりエゼクタ側の気体導入配管に配置することがよい。
【0093】
なお、図2の気液混合装置の細管経路204aにおいて、キャビテーションが発生している場合、気液混合装置に導入する液体流量を大幅に減少させない限り、キャビテーションが維持され、気体導入口206から多量な気体を導入することができる。この結果、気体導入量が増加した状態が維持され、より多くの気体を低動力で導入することができ、気液混合効率を向上することができる。
【0094】
また、例えば気液混合装置の気体導入配管にオゾン発生電極を備えたオゾン発生器を接続し、気液混合を行う場合、オゾン発生体近傍を多量な気体が流動するため、オゾン発生電極を十分に空冷でき、オゾン発生効率が向上するという効果がある。
【0095】
なお、長時間、継続して気液混合を行う場合、エゼクタに対する振動や流体の乱れにより、導入する気体流量が減少してしまうことがある。この場合、再度動作させることにより、継続して気液混合効率の高い状態を維持することが可能である。例えば、気体導入制御部に時間制御手段を接続しておき、一定時間ごとに工程S32から工程S34までを繰り返し行うようにプログラムすることが可能である。
【0096】
≪動作方法3≫
本発明の第2の実施例に係る気液混合装置の吸引する気体量を増加させる気体吸引量増加制御の第3の動作方法について説明する。図12は本発明の気液混合装置に係る第3の動作方法を示すフローチャートである。図13は本発明の気液混合装置に係る第3の動作方法を示すタイミングチャートである。
【0097】
気体流量は気体導入配管を流動する気体の流量を示し、気体導入配管圧力は気体導入配管を流動する気体の圧力を示し、気体導入制御率は、気体導入制御部による気体の流量の制御率を示し、気体導入弁の開閉率に相関させ、気体導入弁の開口率が高い場合に気体制御率が高い値を示すように設定している。
【0098】
図12のフローチャートは、気液混合装置に対して液体を導入する工程S41と、気体導入配管内の気体の流量を測定する工程S42と、気体の導入を停止、または導入量を低下させる工程S43と、気体導入量を再開、または導入量を増加させる工程S44とを含んでいる。
【0099】
工程S41は気液混合装置に対して液体を導入する。ここで、工程S41は図13における時間t0に該当する。工程S41を開始すると、図2のエゼクタの導入経路203aに対して液体を導入する。このとき、気体導入制御部は開状態となっている。
【0100】
液体は図2の気液混合装置のAA‘端の導入経路203aから導入され、細管部204の細管経路204aを通過し、BB’端の導出経路205aから導出される。細管経路204aを流動する液体は、ベルヌーイの定理からわかるように、流速が増加する。一般的に液体が高速で流動するとその静圧が低下する。その結果、細管部204を流動中の液体の静圧が負圧となるため、気体導入配管201を通じて、矢印A2が示す細管経路204aに向かう方向に気体が吸引される。外部空間から気体導入配管205を通り、気体導入口206から気体が吸引される。導入された液体と吸引された気体は、細管経路204aから導出経路205aへ流動されながら混合された後、導出経路205aから気液混合体として導出される。
【0101】
工程S42は気体導入配管内の気体の流量を測定する。ここで、工程S42は図13における時間t1から時間t2までの期間に行われる。工程S41により気液混合装置に気体が導入されるが、長時間経過した場合や導入する液体や気体の一時的な乱れにより、導入する気体の流量が低下してしまう。このため、気体導入配管内の気体流量を測定する。気体導入配管内の気体の流量の測定は流量計604にて行われ、気体導入制御部に流量値が送られる。流量計604による気体流量の流量値に基づき、気体導入制御部は工程S43を行う。
【0102】
ここで、例えば、一定条件とは気体流量の流量値が、あらかじめ設定した閾値L1以下になったときに工程S43に進むように設定してもよい。
【0103】
また、気体の流量値の時間的な変化率を測定し、変化率があらかじめ設定した変化率より大きいときや急激に変化率が増加したときに、工程S43に進むように設定してもよい。
【0104】
工程S43は気体の導入量を制御する気体制御手段により、気液混合装置に対して導入する気体の導入を停止、または導入量を低下させる。ここで、工程S43は図13における時間t1から時間t2までの期間に該当する。気体導入制御率を下げ、気体の導入を停止、または導入量を低下させると、気体流量及び細管経路の圧力は低下する。
【0105】
このとき、図2の気液混合装置の細管経路204aは導入経路203aから導入された液体のみが流動するため、細管経路204aの圧力は低下する。また、外圧を受けないため、細管部204を流れる液体の静圧が低下し、局所的に飽和蒸気圧付近まで低下する。この結果、局所的に液体の沸騰現象が起こり、キャビテーションが発生する。液体にキャビテーションが発生している場合、キャビテーションが発生していない場合と比べて気体導入口206の静圧が低くなり、気体導入口206と外部空間または気体発生器との圧力差は大きくなる。
【0106】
なお、図13では工程S42の気体導入制御率が0になっているが、気体導入量を停止させず、気体導入量を低下させる場合、細管経路の圧力を飽和蒸気圧付近まで低下させることが可能な程度、気体導入量を低くすることがよい。
【0107】
工程S44は気体の導入量を制御する気体制御手段により、気液混合装置に対して気体の導入を開始、または導入量を増加させる。ここで、工程S44は図13における時間t2からt3までの期間に該当する。気体導入制御率を上げ、気体の導入を開始、または導入量を増加させると、気体流量及び、細管経路の気体の圧力は徐々に増加し、一定値に安定することとなる。このとき、工程S42により気体導入口206の圧力は外部空間または気体発生器との圧力より小さくなっており、多量の気体を吸引できるため、気体流量L1は気体流量L2に比べて高く、細管圧力P1は細管圧力P2に比べて低い値となる。
【0108】
なお、図2の気液混合装置の細管経路204aにおいて、キャビテーションが発生している場合、気液混合装置に導入する液体流量を大幅に減少させない限り、キャビテーションが維持され、気体導入口206から多量な気体を導入することができる。この結果、気体導入量が増加した状態が維持され、より多くの気体を低動力で導入することができ、気液混合効率を向上できる。
【0109】
また、例えば気液混合装置の気体導入配管にオゾン発生電極を備えたオゾン発生器を接続し、気液混合を行う場合、オゾン発生体近傍を多量な気体が流動するため、オゾン発生電極を十分に空冷でき、オゾン発生効率が向上するという効果がある。
【0110】
なお、長時間、継続して気液混合を行う場合、エゼクタに対する振動や流体の乱れにより、導入する気体流量が減少してしまうことがある。この場合、再度動作させることにより、継続して気液混合効率の高い状態を維持することが可能である。例えば、気体導入制御部に時間制御手段を接続しておき、一定時間ごとに工程S42から工程S44までを繰り返し行うようにプログラムすることが可能である。
【0111】
本発明は上述した各実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0112】
100、600 気液混合装置
101、200、601 エゼクタ
102 気体発生器
103、201、602 気体導入配管
104、202、603 気体導入制御部(手段)
105 圧送部(手段)
203 導入部
203a 導入経路
204 細管部
204a 細管経路
205 導出部
205a 導出経路
206 気体導入口
207 端面
208 内周面
209 角部
604 流量計
605 圧力計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を導入させる導入経路と、
前記導入経路に連通しており、かつ前記導入経路より径の小さな細管経路と、
前記細管経路と連通しており、かつ前記細管経路より径の大きな導出経路と、
前記細管経路と接続され、前記細管経路へ気体を導入する気体導入配管と、
前記気体導入配管の気体の導入を制御する気体導入制御手段とを備えた気液混合装置の気液混合方法であって、
前記気液混合装置に気体と液体を導入中に、前記気体導入制御手段にて気体の導入量を低下させた後に気体の導入量を増加させる気体吸引量増加制御を行うことを特徴とする気液混合方法。
【請求項2】
前記気体導入制御部は前記気体導入配管を流動する気体の流量値の変化に応じて前記気体吸引量増加制御を開始することを特徴とする請求項1に記載の気液混合方法。
【請求項3】
前記気体導入制御部は前記気体導入配管を流動する気体の流量値が所定値より低下したときに前記気体吸引量増加制御を開始することを特徴とする請求項1に記載の気液混合方法。
【請求項4】
前記気体導入制御部は前記気体導入配管の気体の圧力値の変化に応じて前記気体吸引量増加制御を開始することを特徴とする請求項1に記載の気液混合方法。
【請求項5】
前記気体導入制御部は前記気体導入配管の気体の圧力値が所定値を超えたときに前記気体吸引量増加制御を開始することを特徴とする請求項1に記載の気液混合方法。
【請求項6】
前記気体導入制御部は前記気体導入配管の気体の圧力値が液体の飽和水蒸気圧の値を超えたときに前記気体吸引量増加制御を開始することを特徴とする請求項1に記載の気液混合方法。
【請求項7】
液体を導入する導入経路と、
前記導入経路に連通しており、かつ前記導入経路に比べて小さな径を有する細管経路と、
前記細管経路と連通しており、かつ前記細管経路に比べて大きな径を有する導出経路と、
前記細管経路と接続され、前記細管経路へ気体を導入させる気体導入配管とを備えている気液混合装置であって、
前記気体導入配管の気体導入量を制御する気体導入制御部と、前記気体導入制御部の時間的な制御が可能な時間制御手段が設けられたことを特徴とする気液混合装置。
【請求項8】
前記気体導入配管の気体の流量を測定する流量計をさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載の気液混合装置。
【請求項9】
前記気体導入配管の気体の圧力を測定する圧力計をさらに備えていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の気液混合装置
【請求項10】
請求項7から9の気液混合装置を内蔵した浄水ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−91075(P2012−91075A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238130(P2010−238130)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】