説明

気相中でイソシアナートを製造する方法

【課題】1つ又はそれ以上の芳香族第一級アミンをホスゲンと気相中で反応させることによる芳香族イソシアナートの製造。
【解決手段】ホスゲン及び第一級芳香族アミンを、流れの方向に対して本質的に回転対称な反応空間を有する反応器中で前記アミンの沸騰温度を上回る温度で反応させ、この本質的に回転対称な反応空間の軸に沿った反応混合物の、イソシアナート基への前記アミン中のアミン基の転化が4〜80%で終了する前記反応空間の区間内の前記反応器の平均断面流速が8m/s以下であり、この本質的に回転対称な反応空間の軸に沿った反応混合物の、前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4〜80%である反応空間の区間内の断面平均流速が、この区間の最初の断面平均流速を常に下回る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族イソシアナートを、相応する第一級アミンとホスゲンとの反応によって製造する気相法に関する。本方法において、ホスゲン及び1つ又はそれ以上の第一級芳香族アミンを、流れ方向に対して本質的に回転対称な反応空間を有する反応器中で前記アミンの沸騰温度を上回って反応させる。この本質的に回転対称な反応空間の軸に沿った反応混合物の、前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4〜80%である反応空間の区間内の断面平均流速は、8m/sec以下である。この本質的に回転対称な反応空間の軸に沿った反応混合物の、反応空間のこの区間内の断面平均流速は、この区間の最初の断面平均流速を常に下回る。
【背景技術】
【0002】
イソシアナートは、大量に製造され、かつポリウレタン製造用の出発物質として主に利用される。それらは普通、相応するアミンとホスゲンとの反応によって製造される。イソシアナートを製造するのに考えられる1つの方法は、前記アミンと前記ホスゲンとの前記気相中での反応である。気相ホスゲン化と通常呼ばれるこの方法は、前記反応条件が、少なくとも反応成分(すなわち、アミン、イソシアナート及びホスゲン)、しかしながら好ましくは全ての出発物質、生成物及び反応中間生成物が、選択された条件で気体であるように選択されることによって特徴付けられる。気相ホスゲン化の利点は、低下されたホスゲンホールドアップ、ホスゲン化し難い中間生成物の回避及び高められた反応収率を含む。本発明は専ら気相ホスゲン化に関する。
【0003】
1つ又はそれ以上のアミンとホスゲンとの前記気相中での反応によるイソシアナートの多様な製造方法が技術水準から知られている。
【0004】
欧州特許出願公開(EP-A)第289 840号明細書には、気相ホスゲン化によるジイソシアナートの製造が記載されており、前記製造において、可動部を有しない円筒空間中で200℃〜600℃の温度の乱流が使用される。可動部を省くことにより、ホスゲン流出の危険が減少される。欧州特許出願公開(EP-A)第289 840号明細書の教示によれば、欧州特許出願公開(EP-A)第289 840号明細書に開示された方法の実施可能性にとって、その管形反応器の寸法及び反応空間中の流速を、欧州特許出願公開(EP-A)第289 840号明細書の教示によれば少なくとも2500、好ましくは少なくとも4700のレイノルズ数により特徴付けられる乱流が、前記反応空間中で支配的であるようにすることが本質的である。欧州特許出願公開(EP-A)第289 840号明細書の教示によれば、この乱れは、気体の反応相手が、前記反応空間を90m/sよりも大きい流速で通過する場合に一般的に保証されている。前記円筒空間(管)中の乱流によって、その壁近くの流体構成要素を無視した場合に、前記管中の相対的に良好な流れの一様分布が、ひいては相対的に狭い滞留時間分布が達成され、このことは欧州特許出願公開(EP-A)第570 799号明細書に記載されたように固体形成の減少をもたらす。欧州特許出願公開(EP-A)第289 840号明細書に開示された方法にとって不利であるのは、必要な高い流速のために、前記アミンの完全反応に必要な滞留時間の実現が、殊に芳香族アミンが使用される場合に、極めて長い混合管及び反応器管中でのみ可能であることである。
【0005】
欧州特許出願公開(EP-A)第570 799号明細書には、芳香族ジイソシアナートの製造方法が開示されており、前記方法において、関連するジアミンと前記ホスゲンとの反応が、管形反応器中で前記ジアミンの沸騰温度を上回って0.5〜5秒の平均接触時間以内で実施される。前記明細書に記載されているように、長すぎる反応時間だけでなく短すぎる反応時間は、望ましくない固体形成をまねく。故に、平均接触時間からの平均偏差が6%未満である方法が開示される。この接触時間の遵守は、前記反応が、4,000を上回るレイノルズ数又は100を上回るボーデンシュタイン数のいずれかにより特徴付けられる管流(tubular flow)中で実施されることによって達成される。前記管流が4000を上回るレイノルズ数により特徴付けられる場合には、ここでも、必要な高い流速のために、前記アミンの完全反応に必要な滞留時間の実現が、極めて長い混合管及び反応器管中でのみ可能であるので、不利である。欧州特許出願公開(EP-A)第570 799号明細書の教示によれば、少なくとも100のボーデンシュタイン数により特徴付けられるその近似的に理想の栓流は、高乱流による代わりに、層流プロフィールの形成に対抗し、かつ平らな流れ前線の形成を生じさせる前記反応管中に組み込まれた構成要素によっても、実現されることができる。三次元の微細メッシュワイヤ格子又は充填体の形の組み込まれた構成要素が開示されている。これらの変法の場合に不利であるのは、前記の組み込まれた構成要素によって、前記反応管中での堆積物の形成の危険が高められることである。これらの堆積物は、閉塞及び/又は得ようとする近似的に理想の栓流の不均一をまねきうる。
【0006】
欧州特許出願公開(EP-A)第699 657号明細書には、芳香族ジイソシアナートの前記気相中での製造方法が記載されており、前記方法において、関連するジアミンと前記ホスゲンとの反応が2つの帯域を有する反応器中で行われる。全反応器容積の約20%〜80%を構成する第一帯域は、理想混合されている。全反応器容積の80%〜20%を構成する第二帯域は、ピストン流により特徴付けられることができる。第二反応帯域は好ましくは管形反応器として設計される。しかしながら前記反応容積の少なくとも20%が理想的に逆混合されているので、望ましくない高められた固体形成をまねきうる不均一な滞留時間分布が生じる。
【0007】
ジェットミキサー原理(Chemie-Ing.-Techn. 44 (1972) p. 1055, 図10)を使用した気相ホスゲン化のための管形反応器の使用の(例えば欧州特許出願公開(EP-A)第 570 799号明細書に開示されているような)最適化は、多数の出願の対象である。
【0008】
欧州特許出願公開(EP-A)第1 362 847号明細書には、前記管形反応器の環状空間を経て供給される出発物質流の均一化及び前記管形反応器中への双方の出発物質流のできるだけ中央での供給が、前記反応帯域の安定性への、ひいては前記気相反応全体への大きくポジティブな影響を有することが教示されている。より安定な反応操作の結果として、観察される温度変動は明らかに低下し、かつそこに開示された措置なしで観察されうる温度分布中の非対称性が事実上完全に消える。欧州特許出願公開(EP-A)第1 362 847号明細書にはまた、温度変動と温度分布中の非対称性とが副生物の形成をまねき、これら副生物は前記反応器中での付着及び閉塞を、ひいては前記反応器の可使時間の短縮をまねくことが教示されている。しかしながら、開示された方法を工業的規模へ転換することについて特別な指摘は、欧州特許出願公開(EP-A)第1 362 847号明細書には開示されていない。
【0009】
欧州特許出願公開(EP-A)第1 555 258号明細書に記載されているように、使用される管形反応器のサイズ拡大の場合に、しばしばスムースジェットノズルとして形成されている混合ノズルのサイズ拡大も必要になる。スムースジェットノズルの直径のサイズ拡大に伴い、しかし中央ジェットの混合の速度も、必要とされるより大きな拡散経路により低下され、かつ逆混合の危険が高められ、このことはそしてまた高分子不純物、ひいては前記反応器中での固体付着物の発生をまねく。欧州特許出願公開(EP-A)第1 555 258号明細書の教示によれば、記載された欠点は、出発物質流の1つが、他の出発物質の流れ中に同心円状に取り付けられているアニュラーギャップを介して、高速で注入される場合に排除されることができる。それにより、前記混合のための拡散経路は小さくなり、かつその混合時間は極めて短くなる。前記反応はついで、所望のイソシアナートへの高い選択率を伴い進行することができる。高分子不純物の発生及び付着物の形成は、それにより低下される。欧州特許出願公開(EP-A)第1 55 258号明細書にはまた、混合位置での前記成分の匹敵しうる速度の使用は、前記反応系中での最大温度の達成のために、常用のスムースジェットノズルの使用の場合よりも明らかに短い反応空間が必要であるという結果を有することが教示されている。
【0010】
欧州特許出願公開(EP-A)第1 526 129号明細書の教示によれば、中央ノズル中の出発物質流の乱れの増加は、反応物の混合への、ひいては気相反応全体へのポジティブな影響を有する。より良好な混合の結果として、副生物を形成する傾向が減少し、かつ必要な滞留時間、ひいては反応器構造長は明らかに低下する。欧州特許出願公開(EP-A)第1 526 129号明細書には、スパイラルコイルが、前記中央ノズル中の乱れを発生させる組み込まれた構成要素として使用される場合に、前記混合区間が当初の長さの42%に短縮されることができることが教示されている。
【0011】
欧州特許出願公開(EP-A)第 1 449 826号明細書には、ジイソシアナートを、相応するジアミンのホスゲン化により製造する方法が開示されており、前記方法において、場合により不活性ガス又は不活性溶剤の蒸気で希釈された蒸気状ジアミン及びホスゲンが、200℃〜600℃の温度に別個に加熱され、かつ管形反応器中で混合されかつ反応される。この方法において、n≧2の数のノズルが前記管形反応器中に管形反応器の軸に平行に配向されて配置されており、前記ジアミンを含有する流れが、前記管形反応器にn個のノズルを介して供給され、かつ前記ホスゲン流が、前記管形反応器に、残った自由空間を介して供給される。欧州特許出願公開(EP-A)第1 449 826号明細書の教示によれば、この方法の利点は、同じ断面積を有するシングルノズル(個々のノズル)に比較して、混合時間の短縮、及びそれに付随した反応器中での必要な滞留時間の短縮(投資コストの利点)を含む。
【0012】
欧州特許出願公開(EP-A)第 570 799号明細書に開示されているような、ジェットミキサー原理(Chemie-Ing.-Techn. 44 (1972) p. 1055, 図10)を使用した気相ホスゲン化用の管形反応器を使用するためのさらなる開発は、国際公開(WO)第2007/028715号の対象である。国際公開(WO)第2007/028715号には、イソシアナートを、混合装置及び反応空間を有する反応器中で相応するアミンを前記気相中でホスゲン化することによって製造する方法が開示されている。国際公開(WO)第2007/028715号の教示によれば、前記反応空間は、前の領域において、場合により不活性媒体と混合された、ガス状出発物質であるホスゲン及びアミンの混合が主に行われる混合空間を含み、これは通例前記反応の開始に付随している。国際公開(WO)第2007/028715号の教示によれば、前記反応空間の下方部分において、本質的にはわずかにのみ前記反応が及びせいぜい副次的に前記混合が、ついで行われる。好ましくは、国際公開(WO)第2007/028715号に開示された方法において、流れ方向に対して回転対称な反応空間が使用され、前記空間は流れの過程で前記反応器の長軸に沿って4つまでの長手区間へ構造的に本質的に分けられることができる。前記長手区間は、貫流断面積のサイズとは相違する。開示された方法の場合に不利であるのは、好ましくは10〜300m/s、より好ましくは40〜230m/s、特に好ましくは50〜200m/s、極めて特に好ましくは150超〜190m/s及び殊に160〜180m/sの、前記ガス状反応混合物が前記反応空間を通過する高い流速である。既に欧州特許出願公開(EP-A)第570 799号明細書に記載されたように、高い流速に基づいて、前記アミンの完全反応に必要な滞留時間の実現は、殊に芳香族第一級アミンを使用する場合に、極めて長い反応器管中でのみ可能である。同様に不利であるのは、反応空間の貫流される断面積の変更が、前記管形反応器中にある容積体によって発生されることであり、開示される反応器構成の工業的規模への転換はそれゆえ構造的に複雑である。さらに、管形反応器中にある容積体にとって不利であるのは、これら並びに欧州特許出願公開(EP-A)第570 799号明細書の教示による組み込まれた構成要素が、前記反応管の堆積物の形成の危険を高めることであり、これらは閉塞、ひいては前記反応器の短縮される可使時間をまねく。
【0013】
国際公開(WO)第2008/055898号には、イソシアナートを、1つの反応器中での相応するアミンの前記気相中でのホスゲン化により製造する方法が開示されており、前記方法において(国際公開(WO)第2007/028715号に類似して)、使用される反応器が、混合装置及び反応空間を有し、かつその回転対称な反応空間は流れの過程で、前記反応器の長軸に沿って4つまでの長手区間へ構造的に本質的に分けられることができ、その際に前記長手区間は、貫流断面積のサイズとは相違する。国際公開(WO)第2007/028715号と比較して、前記貫流断面積の変更はしかしながら、管形反応器中へ組み込まれた容積体によってではなく、前記反応器の外壁の相応する拡張もしくは狭小によって達成される。開示された方法の場合に不利であるのは、好ましくは10〜300m/s、より好ましくは40〜230m/s、特に好ましくは50〜200m/s、極めて特に好ましくは150超〜190m/s及び殊に160〜180m/sの、前記ガス状反応混合物が前記反応空間を通過する高い流速であり、その際に国際公開(WO)第2008/055898号の教示によれば、同じ又は増大する面積の区間内で、この面積は、反応混合物の平均速度が一般的に60m/sよりも大きいように選択されるべきである。確かに、国際公開(WO)第2008/055 898号に開示された方法は、反応空間中にある容積体を回避し、かつそれゆえ国際公開(WO)第2007/028 715号に開示された方法に比較して堆積物の形成の危険は低下するが、しかし高い流速の欠点が残ったままである。高い流速に基づいて、前記アミンの完全反応に必要な滞留時間の実現は、殊に芳香族の第一級アミンを使用する場合に、極めて長い反応空間中でのみ可能である。
【0014】
欧州特許出願公開(EP-A)第1 275 639号明細書にはまた、イソシアナートを、相応するアミンとホスゲンとの前記気相中でのホスゲン化により製造する可能な変法として、前記反応空間が、流れ方向で双方の出発物質を混合した後で、貫流断面積の拡張を有する反応器の使用が開示されている。欧州特許出願公開(EP-A)第1 275 639号明細書の教示によれば、前記反応混合物が貫流する断面積のこの拡張は、突然行われることができ、開示された方法において使用される反応器の反応空間は、貫流断面積のカスケード状の及び/又は連続的な変更も有することができる。欧州特許出願公開(EP-A)第1 275 639号明細書の教示によれば、前記反応混合物の速度経過は、カスケード状の及び/又は連続的な変更を使用する場合に、前記反応器の軸に沿って調節されることができる。欧州特許出願公開(EP-A)第1 275 639号明細書によれば、断面積の狭小又は好ましくは最初の断面積の2倍まで、好ましくは1.5倍までの軽度の拡張は容積の拡大のために、前記反応の間に、前記流れの促進をもたらし、このことは、前記流れを安定化させ、かつ逆流の危険に抵抗する。前記断面積の拡張を適宜選択することにより、前記反応混合物の流速は、反応器の長さ全体でまさに一定に保持されることができる。それにより、前記反応器の長さが同じである場合に、利用できる反応時間が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州特許出願公開(EP-A)第289 840号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開(EP-A)第570 799号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開(EP-A)第699 657号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開(EP-A)第1 362 847号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開(EP-A)第1 555 258号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開(EP-A)第1 526 129号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開(EP-A)第 1 449 826号明細書
【特許文献8】国際公開(WO)第2007/028715号
【特許文献9】国際公開(WO)第2008/055898号
【特許文献10】欧州特許出願公開(EP-A)第1 275 639号明細書
【特許文献11】国際公開(WO-A1)第2007/028 751号
【特許文献12】欧州特許出願公開(EP-A)第1 754 698号明細書
【特許文献13】欧州特許出願公開(EP-A)第1 754 689号明細書
【特許文献14】欧州特許出願公開(EP-A)第0 749 958号明細書
【特許文献15】欧州特許出願公開(EP-A)第1 403 248号明細書
【特許文献16】欧州特許出願公開(EP-A)第1 935 875号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Chemie-Ing.-Techn. 44 (1972) p. 1055
【非特許文献2】"Droplet Separation", A. Buerkholz, VCH Verlagsgesellschaft, Weinheim - New York - Basel - Cambridge, 1989
【非特許文献3】W. Bohl, "Technische Stroemungslehre", 5th revised edition, Vogel-Buchverlag, Wuerzburg, 1982, p. 217以降
【非特許文献4】A. Paschedag, "CFD in der Verfahrenstechnik", Wiley-VCH-Verlag, Weinheim, 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、本発明の課題は、技術水準の欠点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
芳香族イソシアナートを、相応するアミンとホスゲンとの前記気相中でのホスゲン化により製造することが、流れ方向に対して本質的に回転対称な反応空間を有する反応器中で、(a)この本質的に回転対称な反応空間の軸に沿った反応混合物の、前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4〜80%である反応空間の区間内の断面平均流速が、8m/s以下であり、かつ(b)反応空間のこの区間内の(すなわち4%〜80%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率の領域内の)反応混合物の断面平均流速が、この区間の最初の断面平均流速を常に下回る場合に、可能であることが目下見出された。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】例2及び3において使用された反応器の断面平均流速を示すグラフ。
【0020】
芳香族イソシアナートを、相応するアミンとホスゲンとの前記気相中でのホスゲン化により製造することが、流れ方向に対して本質的に回転対称な反応空間を有する反応器中で、(a)この本質的に回転対称な反応空間の軸に沿った反応混合物の、前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4〜80%である反応空間の区間内の断面平均流速が、8m/s以下であり、かつ(b)反応空間のこの区間内の(すなわち4%〜80%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率の領域内の)反応混合物の断面平均流速が、この区間の最初の断面平均流速を常に下回る場合に、可能であることが見出された。本発明による反応条件と組合せでの本発明による反応器の使用の利益は特に意外である、それというのも、高い流速による反応混合物の流れの安定化が欠如するにも拘わらず、並びに反応混合物の一定の又は促進される流速による反応混合物の流れの安定化が欠如するにも拘わらず、芳香族アミンとホスゲンとを反応させて相応する芳香族イソシアナートへ変換する際の高い収率が、前記反応器の長い可使時間と同時に達成されるからである。これは、この形で予測されることはできなかった。本発明による反応条件を用いて、流れ方向に対して本質的に回転対称な反応空間を有する反応器の使用は、工業的規模への本方法の転換に特に有利な反応器の短い構造長さをもたらす。
【0021】
本発明は故に、1つ又はそれ以上の芳香族第一級アミンとホスゲンとの前記気相中での反応による芳香族イソシアナートの製造方法を提供し、前記方法において、ホスゲン及び前記第一級芳香族アミンを、流れ方向に対して本質的に回転対称な反応空間を有する反応器中で、前記アミンの沸騰温度を上回って反応させる。本方法において、
a)この本質的に回転対称な反応空間の軸に沿った反応混合物の、前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4〜80%である反応空間の区間内の断面平均流速が、8m/s以下、好ましくは0.5〜8m/s、極めて特に1〜6.5m/sであり、かつ
b)この本質的に回転対称な反応空間の軸に沿った反応混合物の、前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4〜80%である反応空間の区間内の断面平均流速が、この区間の最初の断面平均流速を常に下回る。
【0022】
a)及びb)において特記された速度条件は、前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4%〜80%である領域内(すなわち前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4%〜80%の範囲内である反応空間の領域内)で重要である、それというのも、前記アミン基のイソシアナート基への最小転化率が達成される場合にのみ、前記反応のエンタルピー並びに反応混合物の体積増加は、前記反応に基づいて反応空間中の流れへの有意な影響を有するからである。ついで前記反応空間中の流れは、前記反応の本質的な特性値により形成される。これは、4%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率から、好ましくはそれどころか既により小さい転化率で、大体において得られている。もちろん、本発明による方法は有利には同じようにして、既に前記アミン基のイソシアナート基への転化率の4%の挙げた下限を達成するまで、ひいては好ましくは80%までの前記アミン基のイソシアナート基への転化率の全範囲内で操作される。
【0023】
本発明の意味での"芳香族イソシアナート"は、少なくとも1つの芳香族環系に結合された少なくとも1つのイソシアナート基を有するイソシアナートである。
【0024】
本発明による方法によれば、ホスゲンと芳香族第一級アミンとの反応は気相中で行われる。前記気相中での反応は、その場合に、出発物質、反応中間生成物及び生成物が並びに場合により計量供給される不活性化合物が、前記反応の過程で、前記反応空間を通過する間に、特に≧95質量%、好ましくは≧98質量%、特に好ましくは≧99質量%、極めて特に好ましくは≧99.8質量%及び殊に≧99.9質量%が、それぞれ反応混合物の質量を基準として、前記気相中に主に残留するように前記反応条件が選択されることであると理解されるべきである。中間生成物はその場合に、例えばジアミンの使用の際に形成されるモノアミノ−モノカルバモイルクロリド、ジカルバモイルクロリド、モノアミノ−モノイソシアナート及びモノイソシアナト−モノカルバモイルクロリド並びにそれぞれのアミノ化合物の塩酸塩である。
【0025】
本発明によるホスゲンと芳香族第一級アミンとの反応は、反応器中に一般的に配置されている少なくとも1つの反応空間中で行われる。"反応空間"は、前記出発物質及び中間生成物の反応が行われる空間であると理解される。"反応器"は、前記反応空間を含有する工業用装置であると理解される。前記出発物質は、場合により不活性物で希釈されて、少なくとも1つの混合装置により前記反応空間に一般的に供給される。
【0026】
好ましくは、本発明による方法において使用される反応空間は、前の領域内で、場合により1つ又はそれ以上の不活性媒体と混合された、ガス状で入る成分であるホスゲン及びアミンの混合が主に行われる少なくとも1つの混合空間を含む。この混合は通例、前記反応の開始により付随している。相違する目的のために、使用されるアミン基のイソシアナート基への転化率が4%より小さい反応空間の領域を"混合空間"と呼ぶ。
【0027】
本発明の意味での"前記アミン基のイソシアナート基への転化率"とは、イソシアナート基を形成するアミン基の消費であると理解されるべきである。この転化率は、前記反応器に沿った試料採取及び直ちにそれぞれの反応空間セグメントから取り出された試料の分析により直接追跡されることができる。この分析は、2270cm-1の範囲内のNCOバンドを評価するFT−IR技術により、かつその中で測定されたイソシアナート基濃度を、前記アミン基のイソシアナート基への完全転化で期待されうるイソシアナート基濃度と相関させることにより実施されることができる。好ましくは、試料採取は、前記反応空間の断面に沿って移動可能なプローブにより行われるので、連続的に前記反応空間から取り出される測定ガスは、ついでできる限り遅延せずに、FT−IR装置の測定セルを貫流する。そのようなプローブ及び技術は技術水準から知られている。前記アミン基のイソシアナート基への転化率は、それゆえ、全てのアミン基がイソシアナート基へ変換される場合に、存在しているイソシアナート基の濃度対理論的に可能なイソシアナート基の濃度の比である。
【0028】
本発明の意味での"流れ方向に対して本質的に回転対称な反応空間の軸に沿った反応混合物の断面平均流速"は、流れ断面積で積分した体積流速及び流れ断面積の商であると理解されるべきである。
【0029】
本発明の意味での"回転対称"は、技術水準(例えば国際公開(WO-A1)第2007/028 751号、3頁28行以降参照)と一致した意味を有し、物体又は空間、ここでは反応空間が、回転軸の周りを回転する際に回転対称を有する。これは、例えば2本の回転軸C2、3本の回転軸C3又は4本の回転軸C4であってよく、又は好ましくは完全な回転対称(C)であってよい。こうして、例えば楕円により区切られた面は、2本の回転軸を有する。別の例として、円により区切られた面は、完全な回転対称を有する。
【0030】
好ましくはないが、しかし原則的に、オーバルの又は任意の閉じた平らな多角形から構成された流れ断面を有する反応空間も、可能である。
【0031】
本発明の意味での"流れ方向に対して本質的に回転対称な反応空間"は、この本質的に回転対称な反応空間が、その性質から回転対称な反応空間のようにまったく主に振る舞うことを意味する。好ましくは、その場合に、前記反応空間の断面積、例えば製造に制約された許容のために、母体となる数学的な回転対称から10%より小さく、好ましくは5%より小さく、極めて特に好ましくは2%より小さく逸脱する。好ましくは、この本質的に回転対称な反応空間は、事実上回転対称である。特に好ましくは、これは、流れ方向で、場合によりまた区間的にのみ、拡張する、同じままである及び/又は低下する貫流断面積を有する管形反応器である。
【0032】
本発明の好ましい一態様において、芳香族イソシアナートは、1つ又はそれ以上の芳香族第一級アミンとホスゲンとの前記気相中での反応により製造される。この好ましい方法において、ホスゲン及び前記第一級芳香族アミンが、流れ方向に対して本質的に回転対称な反応空間を有する反応器中で、前記アミンの沸騰温度を上回って反応され、前記方法において、
a)この本質的に回転対称な反応空間の軸に沿った反応混合物の、前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4〜90%、特に好ましくは4〜99%、極めて特に好ましくは4〜99.5%である反応空間の区間内の断面平均流速が、8m/s以下、好ましくは0.5〜8m/s、極めて特に好ましくは1〜6.5m/sであり、かつ
b)この本質的に回転対称な反応空間の軸に沿った反応混合物の、前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4〜90%、特に好ましくは4〜99%、極めて特に好ましくは4〜99.5%である反応空間の区間内の断面平均流速が、この区間の最初の断面平均流速を常に下回る。
【0033】
好ましくは、前記反応混合物の断面平均流速はまた、0〜4%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率の領域内で既に最大8m/sである。同じように、反応混合物の断面平均流速は好ましくは、>99.5%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率の領域内でも8m/s以下である。
【0034】
本発明による方法のさらに好ましい一実施態様において、この回転対称な反応空間の軸に沿った反応混合物の断面平均流速の低下は本発明による範囲内で、前記反応空間の貫流断面積の少なくとも1つの拡張、好ましくは円錐形の拡張により、達成される。好ましくは、前記反応空間は拡大領域内で、一般的に≦6°、好ましくは≦3.5°、特に好ましくは≦2°の拡大半値角(expanding half-angle)、すなわち反応空間壁と反応空間軸との角度を常に有する。
【0035】
本発明による方法のさらに好ましい一実施態様において、前記反応器は、前記出発物質の混合後に80%、好ましくは90%、特に好ましくは99%、極めて特に好ましくは99.5%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率が達成される反応空間に続き、一定の及び/又は拡張された貫流断面積を有する回転対称な反応空間を有する。
【0036】
本発明のさらに好ましい一実施態様において、前記出発物質の混合後に、80%、好ましくは90%、特に好ましくは99%、極めて特に好ましくは99.5%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率が達成される区間に後接続されている反応空間は、前記アミンと前記ホスゲンとが反応してイソシアナートに変換されるのを停止させるために、少なくとも1つの液体が注入される少なくとも1つの帯域を有する。
【0037】
これに関連して、前記アミン基と前記ホスゲンとが反応して前記イソシアナート基に変換されることの全ては、使用されるアミンの消費だけではなく、同様に使用されるアミンの消費の際に生じる中間生成物の前記イソシアナートへの反応も含む。可能な中間生成物の例は、ジアミンの使用の場合に、モノアミノ−モノカルバモイルクロリド、ジカルバモイルクロリド、モノアミノ−モノイソシアナート及びモノイソシアナト−モノカルバモイルクロリド並びにそれぞれのアミノ化合物の塩酸塩である。工業的規模への気相ホスゲン化の転換の際に、前記イソシアナートへの前記中間生成物の反応に必要な反応条件(例えば反応に必要な反応時間)は、工業装置の設計をかなり決定する。
【0038】
本発明による方法のためには、第一級芳香族アミンが使用されることができる。好ましくは、本質的には分解せずに気相へ変換されることができる第一級芳香族アミンが使用される。
【0039】
好ましい芳香族アミンの例は、トルイレンジアミン(TDA)、特に2,4−TDA及び2,6−TDA及びそれらの混合物、ジアミノベンゼン、ナフチルジアミン(NDA)及び2,2′−、2,4′−又は4,4′−メチレンジフェニルジアミン(MDA)又はそれらの異性体混合物である。トルイレンジアミン(TDA)、特に2,4−TDA及び2,6−TDA及びそれらの混合物が特に好ましい。
【0040】
本発明による方法の実施の前に、前記出発アミンは、通例、蒸発され、かつ200℃〜600℃、好ましくは200℃〜500℃、特に好ましくは250℃〜450℃に加熱され、かつ場合によりN2、He、Arのような不活性ガスで又は不活性溶剤(例えばハロゲン置換を場合により有する芳香族炭化水素、例えばクロロベンゼン又はo−ジクロロベンゼン)の蒸気で希釈されて、前記反応空間に供給される。
【0041】
前記出発アミンの蒸発は、公知のいずれかの蒸発装置中で行われることができる。少ない作業内容物が高い循環出力で流下薄膜型蒸発器を経て導かれることによる蒸発系が好ましく、その際に、前記蒸発過程の前記出発アミンの熱負荷を最小限にするために、上記で説明されたように、場合により不活性ガス及び/又は不活性溶剤の蒸気を供給することで補助される。
【0042】
本発明の特に好ましい一実施態様において、少ない作業内容物が少なくとも1つのミクロ熱交換体又はミクロ蒸発器により循環される蒸発系が使用される。アミンを蒸発させるための相応する熱交換器の使用は、例えば欧州特許出願公開(EP-A)第1 754 698号明細書に開示されている。好ましくは、本発明による方法において、欧州特許出願公開(EP-A)第1 754 689号明細書の段落[0007]〜[0008]及び[0017]〜[0039]に開示された装置が使用される。
【0043】
前記蒸気状アミンは、アミンの蒸発されない液滴(エーロゾル)の含分をなお含有しうる。好ましくは、しかしながら前記蒸気状アミンは、蒸発されないアミンの液滴を本質的に含有しない、すなわち前記アミンの全質量を基準として、前記アミンの0.5質量%以下、特に好ましくは前記アミンの0.05質量%以下が蒸発されない液滴の形で存在し、かつ前記アミンの残りの部分は、蒸気状で存在する。極めて特に好ましくは、前記蒸気状アミンは、蒸発されないアミンの液滴を含有しない。好ましくは、前記蒸発後に、前記蒸気状アミンは、場合により不活性ガスで又は不活性溶剤蒸気で希釈され、後加熱器を経て、所望の使用温度にされる。
【0044】
さらに好ましくは、前記出発アミンの蒸発及び過熱は、蒸気状アミン流中の蒸発されない液滴を防止するために、多段階で行われる。多段階の蒸発工程及び過熱工程が特に好ましく、それらの工程において、蒸発系と過熱系との間に液滴分離器が導入されている及び/又は蒸発装置が、液滴分離器の機能も有する。適した液滴分離器は、例えば"Droplet Separation", A. Buerkholz, VCH Verlagsgesellschaft, Weinheim - New York - Basel - Cambridge, 1989に記載されている。低い圧力損失を引き起こす液滴分離器が特に好ましい。極めて特に好ましくは、蒸発されたアミンは、液滴分離器としても機能する少なくとも1つの後加熱器により所望の使用温度にされる。特に好ましくは、この後加熱器は、前記分離器を常に空にすることを保証するために液体排出口を有する。流れ方向で最後の過熱器を去った後に、その設定温度に予熱された蒸気状アミンは、好ましくは0.01〜60s、極めて特に好ましくは0.01〜30s、特に好ましくは0.01〜15sの平均滞留時間で、前記反応器にもしくはその混合装置に反応のために供給される。技術的措置、例えば放射損失の回避のための十分な断熱により、新たな液滴形成の危険が生じる。前記反応器へ入る前の本質的に液滴不含の蒸気状出発アミン流の発生により、反応器操作時間は明らかに増加する。
【0045】
好ましい一実施態様において、前記反応器もしくはその少なくとも1つの混合装置への蒸気状アミン流の供給が制御装置なしで低い圧力損失で行われるが、しかしながら制御された供給は同様に可能である。前記アミン流の複数の部分流への分配も可能であり、これらの部分流はついで、例えば欧州特許出願公開(EP-A)第1 449 826号明細書の段落[0019]〜[0022]に記載されているように反応空間に、又は例えば国際公開(WO)第2008/055898号、8頁/25行〜15頁/31行及び特に23頁/19〜31行に記載されているように複数の混合装置に供給される。好ましくは、蒸気状アミン流分割の際にも、前記アミン部分流の供給は、追加的な制御装置なしで低い圧力損失で行われる。しかし前記部分流の別個に制御された供給も可能である。
【0046】
本発明による方法の場合に、反応されるべきアミン基を基準として、ホスゲンを過剰量で使用することは有利である。好ましくは、1.1:1〜20:1、好ましくは1.2:1〜5:1のホスゲン対アミン基のモル比で存在する。また、前記ホスゲンは、200℃〜600℃の温度に加熱され、かつ場合によりN2、He、Arのような不活性ガスで又は不活性溶剤、例えばハロゲン置換を有するか又は有しない芳香族炭化水素(例えばクロロベンゼン又はo−ジクロロベンゼン)の蒸気で希釈されて、前記反応空間に供給される。
【0047】
好ましい一実施態様において、前記反応器もしくはその少なくとも1つの混合装置への前記ホスゲン流の制御された供給が行われる。制御装置を有しない低い圧力損失での供給は、しかしながら同様に可能である。前記ホスゲン流の複数の部分流への分配も可能であり、これらの部分流はついで、例えば国際公開(WO)第2008/055898号の8頁/25行〜15頁/31行及び特に23頁/19〜31行に記載されたように、1つの反応器の複数の混合装置に供給される。また、複数の反応器への前記部分流の供給も可能である。好ましくは、前記ホスゲン流の分割の場合に、前記ホスゲン部分流の別個に制御された供給が行われる。
【0048】
本発明による方法は、別個に加熱された反応相手が、少なくとも1つの混合装置により、少なくとも1つの反応空間中へ導入され、混合され、かつ適した反応時間を顧慮しながら、好ましくは断熱反応操作下に反応されるように、実施される。引き続き、前記ガス流の冷却により、前記イソシアナートは凝縮され、その際に、相応するカルバミン酸クロリドの分解温度を上回る温度(例えばTDAの場合のトルイレンモノイソシアナート−モノカルバミン酸クロリド及び/又はトルイレンジカルバミン酸クロリドの分解温度を上回る温度)への冷却が行われる。
【0049】
前記アミン基と前記ホスゲンとを反応させてイソシアナート基に変換するのに必要な滞留時間は、使用されるアミンの種類、開始温度、前記反応空間中の断熱温度増加、使用されるアミン及びホスゲンのモル比、場合により不活性ガスでの前記反応相手の希釈並びに選択される反応圧に応じて、0.05〜15秒である。
【0050】
それぞれの系(使用されるアミン、開始温度、断熱温度増加、前記反応物のモル比、希釈ガス、反応圧)のために、完全反応のために一度計算された最小滞留時間が、20%未満だけ、好ましくは10%未満だけ超える場合には、副次反応生成物、例えばイソシアヌラート及びカルボジイミドの形成は、大幅に回避されることができる。
【0051】
化学反応のために極めて狭いこの接触時間スペクトルの範囲内で、前記反応相手のできるだけ均質な混合並びにさらなる反応が行われなければならない。その場合に、さらなる反応は好ましくは、接触期間の拡大、ひいては望ましくない副生物及び副産物の増加した形成が引き起こされうる逆混合なしに行われる。
【0052】
本方法を実際に実施する際に、前記反応相手の混合に必要な時間による平均接触時間からの逸脱が起こりうる。短い混合時間で実施する方法は原則的に知られている。例えば、可動式混合装置又は固定式混合装置又はノズルを備えた混合ユニット又は混合空間が適している。例えば欧州特許出願公開(EP-A)第1 362 847号明細書、欧州特許出願公開(EP-A)第1 526 129号明細書又は欧州特許出願公開(EP-A)第 1 555 258号明細書に記載されているような、混合空間中でのスタティックミキサーの使用が好ましい。好ましくは、本発明による方法において、欧州特許出願公開(EP-A)第1 362 847号明細書の段落[0008]〜[0014]及び[0023]〜[0026]に、欧州特許出願公開(EP-A)第1 526 129号明細書の段落[0008]〜[0013]及び[0022]〜[0026]に又は欧州特許出願公開(EP-A)第1 555 258号明細書の段落[0007]及び[0024]〜[0025]に、開示された装置が使用される。
【0053】
特に好ましくは、本質的に回転対称な反応空間を有する反応器が使用され、前記反応器中で、前記ガス状出発物質は、場合により不活性物で希釈されて、ジェットミキサー原理(Chemie-Ing. Techn. 44 (1972) p. 1055, 図10)により少なくとも1つの前記混合空間に供給される。好ましくは、その際に、供給される物質流は、2〜20、特に好ましくは3〜15、極めて特に好ましくは4〜12の速度比で、前記反応器の少なくとも1つの混合空間へ入る。好ましくは、その際に、前記反応器の少なくとも1つの混合空間に、前記アミンは、場合により1つ又はそれ以上の不活性物で希釈されて、より高い流速で供給される。
【0054】
好ましくは、前記反応空間も、場合により混合ユニット又は混合空間も、加熱面を有しないか、又は冷却面を有しない。加熱面は、イソシアヌラート形成又はカルボジイミド形成のような副次反応となる熱負荷を生じうる。冷却面は、堆積物となる凝縮を生じうる。前記成分は、例えば、任意の放射損失及び伝導損失を除き、好ましくは断熱的に反応される。その際に、混合ユニット及び反応器もしくは反応器中での断熱温度増加は、前記温度、前記出発物質流の組成及び相対的な計量供給並びに前記混合ユニット及び前記反応器中の滞留時間を通じてのみ調節される。
【0055】
前記反応空間中でホスゲン化反応が行われた後に、好ましくは少なくとも1つのイソシアナート、ホスゲン及び塩化水素を含むガス状反応混合物には、形成されたイソシアナートは含まれていない。これは、例えば、前記反応空間を連続的に去る、好ましくは少なくとも1つのイソシアナート、ホスゲン及び塩化水素を含む混合物が、反応空間を去った後に、既に他の気相ホスゲン化のために推奨されたように(欧州特許出願公開(EP-A)第0 749 958号明細書)、不活性溶剤中での凝縮にかけられることによって、行われることができる。
【0056】
好ましくは、前記凝縮はしかしながら、本発明による方法において使用される反応空間が、使用されるアミン及び前記ホスゲンが反応して相応するイソシアナートに変換されるのを停止させるために、1つ又はそれ以上の適している液体流("急冷液体")が噴霧される少なくとも1つの帯域を有することによって、行われる。これにより、欧州特許出願公開(EP-A)第1 403 248号明細書に記載されたように、前記ガス混合物の急速冷却は、冷たい面を使用することなく実施されることができる。
【0057】
本発明による方法の特に好ましい実施態様において、少なくとも1つの帯域(冷却帯域)は、例えば欧州特許出願公開(EP-A)第1 403 248号明細書に開示されたような、急冷段階へ組み込まれている。本発明の特に好ましい一実施態様において、複数の冷却帯域が使用され、かつ急冷段階とのこれらの少なくとも2つの冷却帯域の組み込み及び操作が行われる。これらの冷却帯域はその構成及び運転に関して欧州特許出願公開(EP-A)第1 935 875号明細書に開示されている。
【0058】
1つの反応器の少なくとも1つの冷却帯域と1つの急冷段階との組み込まれた組合せの代わりに、同様に、急冷段階との、複数の反応器の冷却帯域の相応する組み込まれた組合せは可能である。しかしながら、少なくとも1つの冷却帯域を有する1つの反応器と1つの急冷段階との組み込まれた組合せが好ましい。
【0059】
本発明による方法の好ましい実施態様において、使用される反応器の処理能力は、本発明により必要とされる反応条件の場合に>1tアミン/h、好ましくは2〜50tアミン/h、特に好ましくは2〜12tアミン/hである。特に好ましくは、これらの値はトルイレンジアミンに当てはまる。処理能力は、その場合に、前記反応器中で、毎時のアミンの挙げた処理能力で反応されることができることであると理解されるべきである。
【0060】
選択される冷却の種類から独立して、少なくとも1つの冷却帯域の温度は好ましくは、これらが一方では前記イソシアナートに相応する塩化カルバモイルの分解温度を上回り、かつ他方ではイソシアナートが及び場合により(前記アミン蒸気流及び/又はホスゲン流中で希釈剤として使用される)溶剤と共に大体において凝縮するもしくは大体において前記溶剤中に溶解する一方で、過剰のホスゲン、塩化水素及び(場合により希釈剤として使用される)不活性ガスは凝縮段階もしくは急冷段階を大体において凝縮されずにもしくは溶解されて通過するように選択される。ガス状反応混合物からの前記イソシアナートの選択的な取得のために特に好適であるのは、80〜200℃の温度、好ましくは80〜180℃で保持された溶剤、例えばクロロベンゼン及び/又はジクロロベンゼン、又はこれらの温度範囲内で保持されたイソシアナート又は前記イソシアナートとクロロベンゼン及び/又はジクロロベンゼンとの混合物である。当業者には、物理的なデータに基づいて、与えられた温度、圧力及び組成で、前記イソシアナートのどの質量割合が急冷において凝縮されるもしくはこれが凝縮されずに通過するかが単純に予測されうる。同じように、過剰のホスゲン、塩化水素及び場合により希釈剤として使用される不活性ガスのどの質量割合が、急冷を凝縮されずに通過するかもしくは急冷液体中に溶解するかが単純に予測されることができる。
【0061】
前記反応空間を通る本質的な逆混合なしの流れとして本発明による方法のために好ましいガス状反応混合物の流れの発生は、前記反応空間全体の圧力勾配により保証される。好ましくは、前記圧力勾配は、一方では混合の前の出発物質フィードと、他方では凝縮段階もしくは急冷段階の出口の前と間に存在する。好ましくは、混合の前の前記出発物質フィード中の絶対圧は、200〜3000mbarであり、かつ凝縮段階もしくは急冷段階の後で150〜2500mbarである。本質的であるのは、この場合にしかしながら単に、好ましくは少なくとも50mbarの前記出発物質フィードから前記反応空間を経て凝縮段階もしくは急冷段階の後方までの差圧の維持であり、記載に従う流れ及び出発物質の良好な混合が保証される。
【0062】
前記凝縮段階もしくは急冷段階を去るガス混合物から、適した洗液を用いる後接続されたガス洗浄において、残りのイソシアナートが好ましくは除かれる。このガス混合物から好ましくは引き続きそれ自体として知られた方法で、過剰のホスゲンが除かれる。このことは、コールドトラップ、不活性溶剤(例えばクロロベンゼン又はジクロロベンゼン)中の吸収を用いて又は活性炭上の吸着及び加水分解により、行われることができる。ホスゲン回収段階を通過する塩化水素ガスは、それ自体として公知の方法でホスゲン合成に必要な塩素の回収に再循環されることができる。ガス洗浄のためのその使用後に生じる洗液は、ついで、好ましくは少なくとも部分的にガス混合物の冷却のための急冷液体として、前記反応空間の相応する帯域中で使用される。
【0063】
前記イソシアナートの純物質の製造は、好ましくは引き続き、凝縮段階もしくは急冷段階からの前記溶液もしくは混合物の蒸留による後処理により行われる。
【0064】
本発明は一般的な用語でこうして記載されており、次の実施例は、本発明を説明するために与えられる。
【実施例】
【0065】
前記アミン基のイソシアナート基への転化率の決定は、使用される反応器に沿って試料を採取し、かつそれぞれの反応空間セグメントから取り出された試料を、FT−IR技術を用いて直ちに分析する。そのような技術は2270cm-1の範囲内のNCOバンドを評価する。その場合に、前記試料採取は、前記セグメント中で反応空間セグメントの断面に沿って移動可能なプローブにより行われる。前記反応空間から連続的に取り出された測定ガスは、ついで技術水準により使用されるFT−IR装置の測定セルを貫流する。前記測定位置でのイソシアナート基濃度の測定のためには、前記プローブは、前記測定位置で反応空間断面の半径方向に移動して、局所的なイソシアナート基濃度の相応する測定を複数の位置で得る。こうして得られるイソシアナート基濃度プロフィールから、断面平均のイソシアナート基濃度が計算され、かつその後、前記測定位置での前記アミン基のイソシアナート基への転化率は、前記アミン基のイソシアナート基への完全転化でもたらすイソシアナート基濃度に対する断面平均のイソシアナート基濃度の商として決定される。
【0066】
断面平均流速の測定は、動的圧力の測定のためのプラントル管の使用によって可能であり、例えばW. Bohl, "Technische Stroemungslehre", 5th revised edition, Vogel-Buchverlag, Wuerzburg, 1982, p. 217以降に記載されている。プラントル管を用いて測定される局所的な圧力は、局所的なガス密度の算定下に、局所的な流速へ再計算される。測定位置での断面平均流速の決定のためには、プラントル管は、測定位置で反応空間断面を半径方向に移動して、局所的な速度の相応する測定を複数の位置で得る。こうして得られた速度プロフィールから、ガス体積流速の数値積分により決定される。流れ断面積で積分した体積流速及び流れ断面積の商として断面平均流速は決定される。
【0067】
以下に示される実施例は、ナヴィエ−ストークス方程式の解を基礎とした流動工学的シミュレーションに基づいており、例えばA. Paschedag, "CFD in der Verfahrenstechnik", Wiley-VCH-Verlag, Weinheim, 2004にそれらの本質的な特徴が示されている。このベースモデルにおいて、2,4−TDAとホスゲンとの反応の運動論的データが使用された。
【0068】
例1(比較):
2,4−トルイレンジアミン(TDAと略す) 2500kg/hを、蒸発させ、かつ気体状で410℃の温度で円筒形の管形反応器(直径380mm)に、前記反応器軸上に配置されたノズル(直径70mm)を介して供給した。同時に、それに並行して、気体状ホスゲン8097kg/hを390℃に加熱し、かつ1つのノズル以外の空いている環状空間から同様に、前記管形反応器に供給した。前記流れを、前記管形反応器中で、1400mbar absの操作圧力で混合し、その際に同時に前記アミン基のイソシアナート基への反応が開始する。前記ノズルマウスの下流630mmで、12%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率が達成されており、断面平均流速は、そこで、反応化学量論及び反応発熱の結果として、体積膨張に基づいて有意に上昇し始めた。前記断面平均流速が、12%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率から、すなわちノズルマウスから630mm長さの後に、630mmの長さでの12%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率でよりも常に高い(そこで9.9m/s)。16.3m/sの最終値が反応器出口で達成された。2,4−トルイレンジアミン及びその副産物と前記ホスゲンとの反応が大体において完全に終了するまでに、>99.5%の2,4−トルイレンジイソシアナート収率で、19.9mのノズルマウスからの最小反応空間長が必要であった。
【0069】
例2(比較):
2,4−トルイレンジアミン(TDAと略す) 2500kg/hを、蒸発させ、かつ気体状で410℃の温度で円筒形の管形反応器(直径600mm)に、前記反応器軸上に配置されたノズル(直径110mm)を介して供給した。同時に、それに並行して、気体状ホスゲン8097kg/hを390℃に加熱し、かつ1つのノズル以外の空いている環状空間から同様に、前記管形反応器に供給した。前記流れを、前記管形反応器中で、1400mbar absの操作圧力で混合した。その際に同時に前記アミン基のイソシアナート基への反応が開始した。前記ノズルマウスの下流350mmで、4%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率が達成されており、断面平均流速は、そこで、反応化学量論及び反応発熱の結果として、体積膨張に基づいて有意に上昇し始めた。管形反応器の長さに対する断面平均流速の経過は図1に示されている。前記断面平均流速が、4%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率から、すなわちノズルマウスから350mm長さの後に、350mmの長さでの4%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率でよりも常に高いことが示された。2,4−トルイレンジアミン及びその副産物と前記ホスゲンとの反応が大体において完全に終了するまでに、>99.5%の2,4−トルイレンジイソシアナート収率で、8mのノズルマウスからの最小反応空間長が必要である。
【0070】
例3(本発明による):
2,4−トルイレンジアミン(TDAと略す) 2500kg/hを、蒸発させ、かつ気体状で410℃の温度で円筒−円錐形の管形反応器に、前記反応器軸上に配置されたノズル(直径110mm)を介して供給した。同時に、それに並行して、気体状ホスゲン8097kg/hを390℃に加熱し、かつ1つのノズル以外の空いている環状空間から同様に、前記管形反応器に供給した。前記反応器は、出発物質フィードの領域内で、600mmの直径を有していた。この直径は、前記ノズルマウスの下流350mmの軸の位置まで維持され、その後、円錐形の拡大(拡大半値角、すなわち反応器壁と反応器軸との角度、3.5°)を有する区間が続いた。前記流れを、前記管形反応器中で、1400mbar absの操作圧力で混合した。その際に同時に前記アミン基のイソシアナート基への反応が開始した。前記ノズルマウスの下流350mmで、4%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率が達成されていた。ガス体積流速は、化学量論及び反応エンタルピーに基づいて有意に上昇し始めるが、しかし断面平均流速は、流れ断面積がより大きくなるために、下流に位置されていない位置では、挙げた4%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率の場所で、すなわち350mmの管形反応器の長さでの最初の断面積平均速度を上回る。管形反応器の長さに対する断面平均流速の経過は図1に示されている。前記断面平均流速が、4%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率から、すなわちノズルマウスから350mm長さの後に、4%の前記アミン基のイソシアナート基への転化率で、すなわち350mmの長さでよりも常に低いことが一目瞭然に示されている。2,4−トルイレンジアミン及びその副産物と前記ホスゲンとの反応が大体において完全に終了するまでに、>99.5%の2,4−トルイレンジイソシアナート収率で、4.2mのみのノズルマウスからの最小反応空間長が必要であった。
【0071】
図1は、例2及び3についての断面平均流速の経過を示す。その場合に、前記ノズルマウスの位置はそれぞれ管形反応器の長さでx=0mである。断面平均流速vは、単位m/sで記載されている。E2及びE3は、例2及び例3を示す。
【0072】
本発明は、説明の目的のために前記で詳細に記載されているけれども、そのような詳細が、専らその目的のためであり、かつ変更が、請求の範囲により限定されうるものを除き、当業者により本発明の精神及び範囲から逸脱することなくその中でなされることができることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0073】
x 管形反応器の長さでのノズルマウスの位置、 v 断面平均流速、 E2 例2、 E3 例3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの芳香族第一級アミンをホスゲンと前記気相中で前記アミンの沸騰温度を上回る温度で組み合わせて、反応混合物を形成させ、
b)前記反応混合物を、反応混合物の流れの方向に本質的に回転対称である反応空間を有する反応器中で反応させることによって、
芳香族イソシアナートを製造する方法において、
(i)この本質的に回転対称な反応空間の軸に沿った反応混合物の、前記アミン中のアミン基のイソシアナート基への転化率が4〜80%である反応空間の区間内の前記反応器の平均断面流速は、8m/s以下であり、かつ
(ii)この本質的に回転対称な反応空間の軸に沿った反応混合物の、前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4〜80%である反応空間の区間内の断面平均流速が、この区間の最初の断面平均流速を常に下回る
ことを特徴とする、芳香族イソシアナートを製造する方法。
【請求項2】
前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4〜80%である反応空間の区間内の反応空間が、前記反応空間の拡張された貫流断面積を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4〜80%である区間内の反応空間が、前記反応空間の貫流断面積の少なくとも1つの円錐形の拡大を有し、かつ円錐形の拡大が、≦6゜の拡大半値角を有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4〜80%である区間内の反応空間が、前記反応空間の貫流断面積の少なくとも1つの円錐形の拡大を有し、かつ円錐形の拡大が、≦3.5゜の拡大半値角を有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4〜80%である区間内の反応空間が、前記反応空間の貫流断面積の少なくとも1つの円錐形の拡大を有し、かつ円錐形の拡大が、≦2゜の拡大半値角を有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記アミン基のイソシアナート基への転化率が4〜80%である反応空間の区間の後に、前記反応器が、一定の及び/又は拡張される貫流断面積を有する本質的に回転対称な反応空間を有する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記混合及び前記反応を、等温的に又は少なくとも部分的に断熱的に実施する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
本質的に回転対称な反応空間が、少なくとも1つの液体が前記反応の停止のために注入される少なくとも1つの帯域を有する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの液体が前記反応の停止のために注入される少なくとも1つの帯域の断面積が、反応が行われる反応空間の断面積と同じか又はそれよりも大きい、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記ホスゲン及び前記アミンを、前記反応空間に気体の形でジェットミキサーを用いて供給する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記反応空間に供給されるアミンを含有する流れ又はホスゲンを含有する流れを、前記反応空間に2〜12の平均流速比で供給する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記アミンを含有する流れが、前記反応空間へ、前記ホスゲンを含有する流れよりも高い平均流速で入る、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記アミンがジアミンである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記アミンが2,4−トルイレンジアミン、2,6−トルイレンジアミン又はそれらの混合物である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記反応器が毎時アミン1tを上回る処理能力を有する、請求項1記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−138171(P2010−138171A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−274288(P2009−274288)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(504213548)バイエル マテリアルサイエンス アクチエンゲゼルシャフト (54)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen, Germany
【Fターム(参考)】