説明

水−アルコール組成物の精製方法

【課題】
本発明の課題は、エタノール、1−ブタノール、その他の有機化合物及び水を含む組成物から、エタノールと1−ブタノールとその他成分に分離するために、よりエネルギー消費の少ない効率の良い、精製方法を提供することを目的とする。また、エタノールから1−ブタノールを効率よく製造する方法及び用いられる製造装置を提供することも、本発明のもう一つの目的である。
【解決手段】
エタノール、1−ブタノール、その他の有機化合物及び水を含む組成物(水−アルコール組成物)から、エタノールと1−ブタノールとその他成分に分離するための方法において、該組成物から水を除去する工程を経た後に、蒸留によりエタノール及び/又は1−ブタノールを精製する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水及びエタノール、1−ブタノールを含む組成物から、効率よく1−ブタノールを精製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化防止の観点から、大気中の温室効果ガスの一種である二酸化炭素の増加を防ぐために、化学品の製造に用いられる原料が、石油や石炭などの化石由来原料から植物由来の炭素原料への転換が、研究及び実用化が広く進められている。
【0003】
主に石油を原料とする現在の化学品の製造は、数十年の歴史と共に発展し、エネルギー消費を抑えた洗練された製造プロセスが構築されている。しかし、植物由来の原料は従前の石油由来とは異なる化合物であるため、新たな製造プロセスの構築が必要となっている。
【0004】
糖類から得られる、いわゆるバイオエタノールの製造は既に広く行われている植物由来の化合物の一つであるが、エタノールは炭素が2個の化合物であるため、化学品原料として広く用いるためには、炭素−炭素結合を増やす増炭反応を行う必要がある。
【0005】
エタノールの増炭反応の例として、分子間の脱水反応による1−ブタノールへの製造方法としてヒドロキシアパタイト触媒を用いる方法(特許文献1、特許文献2)や、γ−アルミナに金属硝酸塩を担持した触媒を用いる方法(特許文献3)等が知られている。しかし、原料であるエタノールの転化率をある程度高くすると、1−ブタノールの収率は向上せずに、更に増炭が進んだ副生物が増加してしまうことが開示されている(特許文献2)。
【0006】
従って、目的化合物、例えば1−ブタノールを高純度で収率良く得るためには、低転化率で反応を行い、未転化のエタノール、生成物である1−ブタノール、炭素数が5以上のアルコール等のその他の生成物、及び水を含む組成物から、エタノール、1−ブタノール、その他の生成物、及び水を分離し、エタノールは原料として再利用するのが好ましい製造形態であることがわかる。
【0007】
【特許文献1】国際特許WO99−38822号公報
【特許文献2】国際特許WO2006−059729号公報
【特許文献3】中国特許CN1528727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、エタノール、1−ブタノール、その他の有機化合物及び水を含む組成物から、エタノールと1−ブタノールとその他成分に分離するために、よりエネルギー消費の少ない効率の良い、精製方法を提供することを目的とする。また、エタノールから1−ブタノールを効率よく製造する方法及び用いられる製造装置を提供することも、本発明のもう一つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、エタノール、1−ブタノール、その他の有機化合物及び水を含む組成物(以下、水−アルコール組成物と称することがある)から、エタノールと1−ブタノールとその他成分に分離するための方法を鋭意検討した結果、原料であるエタノールに含まれる水および反応により生成する水が、エタノールや1−ブタノールの精製を困難にしていることを見出し、水―アルコール組成物から少なくとも水を除去させる工程を経た後に、蒸留等の精製工程を施すことで高純度の1−ブタノールを効率よく得られることを見出した。
【0010】
さらに、前記方法を用いることで、エタノールから1−ブタノールを効率よく製造することが出来ることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、前記課題を解決する手段として、下記方法を発明した。
【0011】
(1)エタノール、1−ブタノール、その他の有機化合物及び水を含む組成物(水−アルコール組成物)から、エタノールと1−ブタノールとその他成分に分離するための方法において、該組成物から少なくとも水を除去する工程を経た後に、蒸留によりエタノール及び/又は1−ブタノールを精製する方法。
【0012】
(2)前記水−アルコール組成物から少なくとも水を除去する工程が、分離膜装置、共沸蒸留装置、脱水剤による脱水装置から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする(1)記載の精製方法。
【0013】
(3)前記水−アルコール組成物が、エタノールと固体触媒とを接触させることにより得られた組成物であることを特徴とする(1)または(2)記載の精製方法。
【0014】
(4)(1)または(2)記載の精製方法により得られたエタノールの一部又は全部を、固体触媒での反応の原料にリサイクルする工程を有するエタノールから1−ブタノールを製造する方法。
【0015】
(5)エタノールと固体触媒とを接触させる反応器と、分離膜装置、共沸蒸留装置、脱水剤による脱水装置から選ばれる少なくとも一種の脱水装置と、エタノール及び/又は1−ブタノールを精製する蒸留装置と、該蒸留装置から得られたエタノールをリサイクルするためのリサイクルラインとを有するエタノールからの1−ブタノール製造装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水、エタノール、1−ブタノールを含む水−アルコール組成物から、1−ブタノールを取り出すためにエネルギー消費が少なく効率良く、精製することができる。また、エタノールから1−ブタノールを、効率よく高収率で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明において、水−アルコール組成物とは、少なくともエタノール、1−ブタノール、水を含むものであり、その他に炭素数5以上の脂肪族アルコールや、脂肪族アルデヒド、脂肪族オレフィン、芳香族化合物等が含まれていることがある。
【0018】
前記炭素数5以上の脂肪族アルコールとしては、1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等が例示され、前記脂肪族アルデヒドとしては、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、ヘキサナール等が例示され、前記脂肪族オレフィンとしては、ブテン、ヘキセン、オクテン、ブタジエン等が例示され、前記芳香族化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ベンズアルデヒドなどが例示される。
【0019】
前記水−アルコール組成物から少なくとも水を除去する工程とは、水と1−ブタノールとを分離する工程をいい、前記水−アルコール組成物を水とその他成分とに分離する工程以外に、水及びエタノールと1−ブタノール及びその他成分とに分離する工程も含まれる。
【0020】
前記水−アルコール組成物から少なくとも水を除去する工程を経て得られた脱水組成物中の水の含有量は、5重量%以下が好ましく、4重量%以下がより好ましく、3重量%以下が更に好ましい。前記脱水組成物中の水分は少ない方が好ましいが、後述するエタノール及び/又は1−ブタノールを精製するための蒸留工程でも除去されること、また過度の脱水処理は1−ブタノールが水と共に除去される量が多くなったり、大型の装置が必要になったりする等の問題が発生するので、通常は0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、0.5重量%以上が更に好ましい。
【0021】
前記水−アルコール組成物から水を除去する装置としては、膜分離装置、共沸蒸留装置、脱水剤を用いた脱水装置から選ばれる少なくとも一種の装置を用いることが好ましい。
【0022】
膜分離装置としては、水とアルコールとを分離する能力を有する公知の装置を用いることが出来る。例えば、特開平3−284336号公報に開示されている芳香族ポリイミドからなる非対称性分離膜を用いた浸透気化分離方法や、特開平5−177111号公報に開示されているガス透過性能を有する芳香族ポリイミド製気体分離膜が内蔵されている分離膜モジュールを使用する方法、特開平9−131516号公報に開示されているゼオライト膜を用いた浸透気化脱水精製方法等が例示される。
【0023】
共沸蒸留装置としては、ベンゼンやシクロヘキサン等の水と共沸組成を形成することが知られている疎水性の共沸溶媒を用いて共沸蒸留により、前記水−アルコール組成物から水を除去し、共沸ガスは冷却後に油水分離装置により分離された共沸溶媒を再利用する形態が例示される。
【0024】
脱水剤を用いた脱水装置とは、ゼオライト等の前記水−アルコール組成物に不溶性の脱水剤を用いる形式のものであれば、いかなる形態でも構わないが、脱水剤を充填した複数の脱水処理器を用いて、脱水処理と再生処理を切り替えながら連続的に運転する方法が好ましい。
【0025】
水を除去する工程は、前記装置を一種以上用いればよく、必要に応じて2種類以上を併用しても構わない。
【0026】
前記脱水処理により得られた組成物(以下、脱水組成物と称することがある)を、蒸留操作により、エタノールと、1−ブタノールと、その他の組成物とに分離することにより、精製されたエタノール及び1−ブタノールを得ることが出来る。
【0027】
2以上の蒸留塔を用いて、まずに前記脱水組成物からエタノールと脂肪族オレフィン等の軽沸成分と1−ブタノール及び炭素数5以上の脂肪族アルコール等を含むその他の成分とに分離し、次に該その他の成分から1−ブタノールと炭素数5以上の脂肪族アルコール等の重沸成分とに分離されることで、高純度のエタノールと1−ブタノールが得られる。得られたエタノールや1−ブタノールの純度を高めるために、更に蒸留や脱水処理工程を施しても良く、重沸成分を蒸留塔の精製処理を行うことにより炭素数5以上の脂肪族アルコール等を得ることも出来る。蒸留に必要な用役を削減するため、内部熱交換型蒸留塔を用いることができる。また一つの蒸留塔の塔頂凝縮器を他の蒸留塔のリボイラーとすることもできる。
【0028】
前記水−アルコール組成物は、いかなる方法で得られた組成物でも構わないが、好ましくは、エタノールと固体触媒とを接触させることにより得られた組成物であることが好ましい。
【0029】
前記固体触媒としては、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている特定のヒドロキシアパタイトを含有する触媒や特許文献3に開示されているγ−アルミナに金属の硝酸塩を担持して焼成した触媒が例示される。
【0030】
また、ゼオライトにセシウムなどのアルカリ金属等の塩基性成分を担持させたような弱塩基性の触媒等も例示することが出来る。
【0031】
エタノールと前記固体触媒とを接触させる方法は、エタノールが気体状態であるのが好ましく、該エタノールガスが含まれる原料ガス中には、エタノール以外の成分が含まれていてもよい。
【0032】
前記エタノール以外の成分として、窒素等の非凝縮性ガスが多量に含まれている場合には、エタノールと前記固体触媒とを接触させることで得られた反応ガスに対して、捕集工程を施すことによって、水−アルコール組成物を得ることが出来る。
【0033】
前記捕集工程は、前記反応ガスと捕集液とを接触させる形態であれば、いかなる形態であっても良く、例えば、捕集液の流れと前記反応ガスの流れとを向流または並流で接触させる充填塔、多管式濡れ壁塔、スプレー塔や泡鐘塔、あるいは捕集液中に前記反応ガスを吹き込む気泡塔等の捕集装置を用いる工程が例示される。
【0034】
前記捕集液は、水を多量に含くむものや捕集条件下で不可逆な反応生成物を形成する化合物を含むものでなければ、特に制限されない。前記捕集液は、専用の捕集液をリサイクルしても良く、あるいは1−ブタノールの精製工程で発生した高沸点成分や、精製工程で得られた1−ブタノールまたは純度の低い1−ブタノールの一部または全部を、捕集液として利用することも出来る。前記捕集液と接触させて得られた捕集後の液も、本発明では水−アルコール組成物と称する。
【0035】
前記エタノール以外の成分として、非凝縮性ガスが少ない、あるいはまったく含まない場合には、減圧条件下でエタノールと前記固体触媒とを接触させることができ、該条件下では、前記非凝縮性ガスの含有量は、10容量%以下が好ましく、5容量%以下がより好ましく、1容量%以下が更に好ましい。
【0036】
前記エタノール以外の成分として、凝縮性成分が多量に存在すると、該凝縮性成分のガス化及び液化に多量のエネルギーが必要になるため、該成分の含有量は、50容量%が好ましく、30容量%以下が好ましく、20容量%以下が更に好ましい。
【0037】
前記反応を減圧条件下で反応を行う場合には、前記水を除去する工程を経るまでは、減圧下でガス状態に保持しておき、その後、冷却するとともに圧力を少なくとも常圧まで高めて液化することにより、液体状の脱水組成物を得る形態が好ましいが、前記捕集工程を施しても良い。
【0038】
前記減圧条件の好ましい範囲は、反応器入り口の圧力であらわせば、1kPa〜90kPaであり、より好ましくは5kPa〜85kPaであり、更に好ましくは10kPa〜80kPaであり、最も好ましくは15kPa〜75kPaである。
【0039】
次に、エタノールと固体触媒とを接触させる反応器と、分離膜装置、共沸蒸留装置、脱水剤による脱水装置から選ばれる少なくとも一種の脱水装置と、エタノール及び/又は1−ブタノールを精製する蒸留装置と、該蒸留装置から得られたエタノールをリサイクルするためのリサイクルラインとを有するエタノールからの1−ブタノール製造装置について以下に説明する。
図1には、反応器104で得られた水−アルコール組成物を分離膜装置106により、水等の膜通過成分とエタノールや1−ブタノール等の膜不通過成分とに分離され、膜通過成分中の水は主に捕集管114で捕集された後に排出され、膜不通過成分は捕集管109で捕集された後、反応液移送ポンプ110によりエタノール回収塔111へ送られる。
【0040】
反応器入り口の圧力調整バルブ102から真空ポンプ116吸込部及び捕集管109の気相部までの系内は減圧に保たれており、圧力コントロールバルブ108・115により膜分離装置106の膜の前後の圧力差を調整している。
【0041】
エタノール回収塔111でエタノールが主成分である軽質成分と1−ブタノールが主成分である重質成分とに分離され、軽質成分はエタノールタンク117を介して反応原料としてリサイクルされる。一方、重質成分はブタノール精製塔112により1−ブタノールと高沸点成分とに分離される。
図2は、図1におけるエタノール回収塔111とブタノール精製塔112とを、ペトリューク型蒸留塔で置き換えることにより、トップからエタノールが、中段からブタノールが、ボトムより高沸点成分が、夫々得られる。
図3では、水−アルコール組成物がフラッシュ塔308にて液化回収された後、エタノール回収塔309へ送られ、トップからはエタノール水溶液が、ボトムからは1−ブタノール溶液が、夫々得られる。
【0042】
エタノール水溶液はエタノール精製塔313により水を分離した後に、アルコールタンク314を介して反応原料としてリサイクルされ、一方、1−ブタノール溶液は水分離塔310において1−ブタノール/水共沸成分が相分離槽311により水を分離する脱水処理が施された後、ブタノール精製塔312にて1−ブタノールと高沸成分とに分離される。
図4では、捕集管409により得られた水−アルコール組成物は、反応液移送ポンプ410により共沸蒸留塔411へ移送される。共沸蒸留塔411で分離された水は相分離槽413と共沸溶剤回収塔414を経て、水回収塔415のボトムより排出される。共沸溶剤は相分離槽413から411のトップへリサイクルされ、413から分離されるエタノール水溶液に溶解した残りの共沸溶剤は414のトップからリサイクルされるため系外にはほとんど流出しない。
【0043】
共沸蒸留塔411のボトムから得られるエタノール、1−ブタノール及び高沸点成分からなる組成物は、ペトリューク型蒸留塔416により、エタノール、1−ブタノール、高沸点成分に夫々分離され、エタノールはアルコールタンク417を介して反応原料としてリサイクルされる。
図5では、希釈ガスとして非凝縮性ガスを用いて反応を行い、ブタノール精製塔512から得られる高沸点成分を捕集塔506における捕集液として用いる場合のフローを示したものである。
【0044】
反応器503で得られた水−アルコール組成物と非凝縮性ガスからなるガス状組成物は、捕集塔506において非凝縮性ガスを分離し、反応液移送ポンプ507によりエタノール回収塔509へ送られ、その後、エタノール、水、1−ブタノール及び高沸点成分に分離され、高沸点成分の一部は捕集液として捕集塔506へ送られる。
【0045】
尚、図示していない排ガス燃焼器及び空気導入ラインを、捕集器506上部の非凝縮性ガス排出ラインに設けることで、捕集器506で分離された非凝縮性ガスに同伴されてくる有機物を燃焼させてから、希釈ガスとして用いられるようにすることも可能である。
図6では、反応により得られた水−アルコール組成物を、エタノール・水分離塔612により、水及びエタノールと1−ブタノール及び高沸点成分とに分離し、前者は膜分離装置614により、水とエタノールとに分離された後、エタノールはアルコールタンク620を介して反応原料としてリサイクルされ、後者はブタノール精製塔613により1−ブタノールと高沸点成分とに分離される。尚、図中、真空ポンプ609及び618は1台で兼用することも出来る。
図7では、反応液移送ポンプ710によりエタノール・水分離塔712へ送られた水−アルコール組成物は、水及びエタノールと1−ブタノール及び高沸点成分とに分離され、前者はエタノール選択透過型の膜分離装置714により水とエタノールとに分離された後、エタノールはアルコールタンク721を介して反応原料としてリサイクルされ、後者はブタノール精製塔713により1−ブタノールと高沸点成分とに分離される。尚、図中、真空ポンプ708及び719は1台で兼用することも出来る。
【0046】
エタノール及び1−ブタノールからなるアルコール組成物(組成物1)と、エタノール及び1−ブタノール及び水からなる水−アルコール組成物(組成物2)とから、蒸留により精製することで純度99.9%以上の1−ブタノールを得た場合の1−ブタノールの損失を、Aspen Plus (バージョン2006)を用いてシミュレーションを行った。気−液平衡(VLE)に非ランダム2液(NRTL)液活性係数モデルを用い、理論段数20段、フィード段10段、環流比1の条件で行い、トップからの1−ブタノール損失割合を推算した結果を、表1に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
表1に示すように、水を含む組成物2では供給量の11.6%と大幅な損失が出るのに対して、水を含まないと0.7%とほとんど損失が無いことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態である、脱水処理に水選択透過膜を用いる工程を有するエタノールから1−ブタノールを製造する方法を示す図である。
【図2】本発明の別の実施形態である、ペトリューク型蒸留塔を用いてエタノール回収とブタノール精製を一本の蒸留塔で行う工程を有するエタノールから1−ブタノールを製造する方法を示す図である。
【図3】本発明の別の実施形態である、蒸留と相分離とを組合わせた工程を有するエタノールから1−ブタノールを製造する方法を示す図である。
【図4】本発明の別の実施形態である、共沸蒸留による脱水処理の工程を有するエタノールから1−ブタノールを製造する方法を示す図である。
【図5】本発明の別の実施形態である、非凝縮性ガスを希釈ガスとして用いて、生成する高沸点成分を捕集液として用いる工程を有するエタノールから1−ブタノールを製造する方法を示す図である。
【図6】本発明の別の実施形態である、水−エタノール組成物の脱水処理として水選択透過膜を用いる工程を有するエタノールから1−ブタノールを製造する方法を示す図である。
【図7】本発明の別の実施形態である、脱水処理にエタノール選択透過膜を用いる工程を有するエタノールから1−ブタノールを製造する方法を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
101,201,301,401,501,601,701 エタノール移送定量ポンプ
102,202,302,402,602,702 圧力調整バルブ
103,203,303,403,502,603,703 エタノール加熱用ヒーター
104,204,304,404,503,604,704 反応器
105,205,305、306,405,504,508,606,705 冷却器
106,206,614 分離膜装置
107,113,207,213,406,412,505,607,615,619,706,715,716 凝集器
108,115,208,215,407,608,617,707,718 圧力コントロールバルブ
109,114,209,214,409,610,709 捕集管
110,210,410,507,611,710 反応液移送ポンプ
111,309,509 エタノール回収塔
112,312,512,613,713 ブタノール精製塔
116,216,307,408,609,618,708,719 真空ポンプ
117,217,314,417,514,620,721 アルコールタンク
211,416 ペトリューク型蒸留塔
308 フラッシュ塔
310,510 水分離塔
311,413,511 相分離槽
313,513 エタノール精製塔
411 共沸蒸留塔
414 共沸溶剤回収塔
415 水回収塔
506 捕集塔
612,712 エタノール・水分離塔
714 エタノール選択透過膜
616,717 捕集器
720 回収エタノール送液ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノール、1−ブタノール、その他の有機化合物及び水を含む組成物(水−アルコール組成物)から、エタノールと1−ブタノールとその他成分に分離するための方法において、該組成物から少なくとも水を除去する工程を経た後に、蒸留によりエタノール及び/又は1−ブタノールの精製方法。
【請求項2】
前記水−アルコール組成物から少なくとも水を除去する工程が、分離膜装置、共沸蒸留装置、脱水剤による脱水装置から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする請求項1記載の精製方法。
【請求項3】
前記水−アルコール組成物が、エタノールと固体触媒とを接触させることにより得られた組成物であることを特徴とする請求項1または2記載の精製方法。
【請求項4】
請求項1または2記載の精製方法により得られたエタノールの一部又は全部を、固体触媒での反応の原料にリサイクルする工程を有するエタノールからの1−ブタノールの製造方法。
【請求項5】
エタノールと固体触媒とを接触させる反応器と、分離膜装置、共沸蒸留装置、脱水剤による脱水装置から選ばれる少なくとも一種の脱水装置と、エタノール及び/又は1−ブタノールを精製する蒸留装置と、該蒸留装置から得られたエタノールをリサイクルするためのリサイクルラインとを有するエタノールからの1−ブタノール製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−275019(P2009−275019A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129606(P2008−129606)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】