説明

水から汚染物質を除去するための希土類で被覆された多孔性かつ耐久性のセラミックフィルタモノリス

本発明は、一般には、流体から汚染物質を除去するための、とりわけ水から1つ以上の汚染物質を除去するための、1つ以上の希土類含有組成物によって被覆された多孔性かつ耐久性のセラミック繊維モノリスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本願は、「水から汚染物質を除去するための酸化セリウムで被覆した多孔性かつ耐久性セラミックフィルタモノリス」という名称で2009年3月16日に出願された米国仮出願番号61/160,611、「水性流からヒ素を除去するためのプロセス」という名称で2009年3月16日に出願された61/160,620、および「有機材料を含有する水性溶液を処理するための装置およびプロセス」という名称で2009年9月28日に出願された61/246,342に利益を主張し、それぞれその全内容を参照により本願に組み込む。
【0002】
本発明は、一般には、流体から汚染物質を除去するための、特に水から1つ以上の汚染物質を除去するための、1種以上の希土類含有組成物で被覆された多孔性かつ耐久性のセラミックフィルタモノリスに向けられている。
【背景技術】
【0003】
全世界的には、多様な要因により、きれいな空気と飲料水の利用が限られている。ヒ素、ウィルスまたは微生物などの汚染物質の存在は、水源を、飲料水としては不適切なものにしてしまうであろう。さらに、大気中に化学および工業汚染物質、ウィルス、菌類、細菌または他の微生物が存在すると、空気を吸うことが体に害を及ぼすことになる。汚染された水の摂取および/または汚染された空気を吸うことによって、様々な健康上の危機がもたらされる。
【0004】
ヒ素は、地球上では、様々な結合した形で天然に存在する毒性元素である。天然水中に存在する場合は、たとえば、地球化学反応、工業廃棄物、および過去におけるヒ素含有農薬の農業使用に源を発するかもしれない。高濃度のヒ素が存在すると、生体に発癌や他の有害な影響をもたらすおそれがあるので、米国環境保護庁(EPA)および世界保健機関は、飲料水中のヒ素に対する最大汚染濃度(MCL)を10ppb(パーツバイビリオン)に設定している。廃水、地下水、地表水、および地熱水中のヒ素濃度はしばしばこの水準を超える。したがって、現行のMCLおよび、2.0ppbまで下がるかもしれない将来的な引き下げのために、飲料水、井戸水、および工業用水から経済的かつ効率的にヒ素を除去する新しい技術の必要性が生まれている。
【0005】
液体および/またはガス状流体から汚染物質を除去するための基本的な方法としては、物理的ろ過、活性炭などの固体吸着剤上への吸着、電気集塵、化学変換、および、熱、紫外線、およびマイクロ波を含む様々な形態の放射線による処理が挙げられる。ろ過による方法は、フィルタの細孔径によって制限されがちであり、一般的には多くの生物および化学汚染物質を除去することができない。さらに、超微小細孔径やフィルタ上の微粒子による目詰まりが、多くの用途に対してフィルタ通過時に許容できない圧力降下をもたらしうる。粒子の電気集塵は、粒子を帯電させて、該粒子を流体から回収板などの帯電面上へ取り除くことにより行う。この技術は、高速流体流、揮発性化学汚染物質またはそれ以外でも帯電しにくい汚染物質には適していない。化学反応は、大量流体流などを有した多くの用途に対して実用的でない。加熱は、流体から多くの種類の生物および化学汚染物質を除去するために有効ではあるが、より高速の流体流に対しては有効でない傾向にある。紫外線も有効ではあるが、光が、光源のすぐ傍の流体流の部分における汚染物質に対してのみ有効である傾向にあるため、より大きな流体体積に対しての実施は難しいかもしれない。
【0006】
流体および汚染物質のいずれか一方または両方に特化して合わせる場合、吸着剤が、汚染物質の除去に対して有効でありうる。たとえば、活性炭では、炭素粒子の特性を吸着させる汚染物質の特性に合わせる必要がある。
【0007】
必要とされるのは、細菌、ウィルス、神経物質、びらん剤、農薬、殺虫剤、および他の毒性の高い化学物質などの生物および化学汚染物質の種々の組み合わせを、様々な流体流から除去するための組成物と方法である。さらに、そうした組成物および/または方法は、様々な流体処理装置および/またはプロセスに容易に組み込まれるものでなければならない。
【0008】
流体流から汚染物質を除去するために酸化セリウムを用いることができる。たとえば、それぞれ参照によりその全体を本願に組み込まれる特許文献1および特許文献2。Withamらに付与された特許文献1は、セリウムを用いて水性流からヒ素を除去するためのプロセスを開示している。McNewらに付与された特許文献2は、希土類を用いて水性流からオキシアニオンを除去するためのプロセスを開示している。すべて2007年10月31日に出願され、そのそれぞれの全体を参照により本願に組み入れる米国特許出願番号11/932,837、11/932,702、11/931,616、11/932,543。Burbaらの米国特許出願番号11/932,837は、ヒ素などの汚染物質を含む水性溶液流を処理するための装置を開示している。Burbaの米国特許出願番号11/932,702は、組成物および該組成物の製造プロセスであって、組成物、とりわけ集合組成物を、1つ以上の汚染物質、特に1つ以上の化学および/または生物汚染物質を含む流体を処理する際の使用に適するようにすることを開示している。Burbaらの米国特許出願番号11/931,616は、流体、とりわけ水性流体中の細菌やウィルスを除去および不活性化するためのプロセスおよび装置を開示している。Burbaらの米国特許出願番号11/932,543は、流体を処理するための、とりわけ、溶液を処理して、溶液中の1つ以上の汚染物質を除去および/または無毒化するためのプロセスおよび装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,863,825号
【特許文献2】米国特許第7,338,603号
【発明の概要】
【0010】
本発明の一態様は、複数の相互接続細孔と、流体の進入面および退出面とを有した透過性モノリスと、相互接続細孔内の不溶性希土類組成物とを含む装置である。進入面と退出面は、相互接続細孔を介して流体連通している。相互接続細孔は、汚染物質含有流体が相互接続細孔内を流れることを可能にする。相互接続細孔は、約0.05μm〜約1.0μmの平均細孔径を有する。汚染流体は、進入面から装置に流入し、退出面から流出する。
【0011】
固体希土類組成物は、好ましくは、不溶性固体、塗膜、粒子、ナノ粒子、サブミクロン粒子、および/または粉末などの任意の適切な形態である。不溶性固体は、高分子結合剤および/または塗膜によって相互接続してもよい。随意で、希土類組成物は、1つ以上の流れ助剤および固定剤を含む。不溶性希土類組成物は、好ましくは酸素含有希土類組成物の形態であり、より好ましくは希土類酸化物またはオキソ組成物の形態である。1つの応用において、不溶性固体は、ランタノイド、特にセリウムである。セリウムは、典型的にはセリウム(IV)の酸化物または、たとえば、セリウム(III)および/または(IV)の塩でありうるセリウム種の形態である。
【0012】
好ましい実施形態において、固体希土類組成物は、不溶性希土類組成物の形態である。より具体的には、固体レア組成物は、流体流中において不溶である。好ましくは、不溶性希土類組成物は、固体希土類組成物を含む約1重量%〜約65重量%のモノリスからなる。不溶性希土類組成物を含むモノリスの重量%は、下記の式(1)によって求められる。
【0013】
不溶性希土類の重量%=100×(モノリスによって含まれる不溶性希土類の重量)/(モノリスの重量+モノリスによって含まれる固体希土類組成物の重量)(1)
より好ましくは、希土類で被覆されたモノリスの約10重量%〜約40重量%が、不溶性希土類組成物からなる。さらに好ましくは、不溶性希土類組成物の重量%は、希土類で被覆された固体希土類組成物含有モノリスの約15〜25重量%である。
【0014】
好ましくは、不溶性希土類組成物は、薄膜および/または複数の粒子の一方または両方の形態でモノリスによって含有される。一実施形態において、不溶性希土類組成物は、約0.5nm〜約500nmの平均膜厚を有してもよい。好ましくは、不溶性希土類組成物の平均膜厚は約2nm〜約50nmである。さらに好ましくは、不溶性希土類組成物の平均膜厚は、約3nm〜約20nmである。
【0015】
好ましくは、複数の不溶性希土類組成物粒子は、少なくとも約1m/gの平均表面積を有する。用途に応じて、より大きな平均表面積が望まれるかもしれない。具体的には、不溶性希土類粒子は、少なくとも約5m/g、他の場合では約10m/gを超える、他の場合では約70m/gを超える、他の場合では約85m/gを超える、さらに別の場合では115m/gを超える、さらに他の場合では約160m/gを超える表面積を有していてもよい。さらに、より大きな表面積を有する不溶性希土類粒子がより効率的であることが予想される。当業者であれば、不溶性希土類粒子の表面積が、不溶性希土類粒子を含有するモノリス内での流体力学的特性に影響を与えるであろうことを理解するであろう。その結果、粒子の表面積の増大による利益と、起こりうる圧力降下などの流体力学との均衡をとる必要があるかもしれない。
【0016】
汚染物質は、不溶性希土類組成物によって汚染物質含有流体から除去される。不溶性希土類組成物は、単一の不溶性希土類含有化合物の限られる必要はなく、2つ以上の不溶性希土類含有化合物を含んでいてもよい。そのような化合物は、同一または異なる希土類元素を含んでいてもよいし、価数または酸化状態が入り混ざったものであってもよい。不溶性希土類含有化合物は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびルテチウムを含む1つ以上の希土類からなる。いくつかの実施形態において、不溶性希土類含有化合物は、セリウム、ランタンまたはプラセオジムのうちの1つ以上からなる。好ましくは、不溶性希土類組成物は、セリウムからなる。一例として、不溶性希土類含有化合物がセリウムからなる場合、その組成は好ましくは、1つ以上のCeO(IV)やCe(III)などの酸化セリウムからなる。不溶性希土類含有化合物が酸化セリウムからなる実施形態において、CeOが、その実質的な水中での不溶性と流体中での相対的耐摩耗性のために一般的に好ましい。不溶性希土類含有化合物は、市販されており、当業者によって知られる任意の供給源から、または任意のプロセスを経て得られるものであってよい。
【0017】
一実施形態において、不溶性希土類含有化合物は、希土類塩の沈殿から誘導される。別の実施形態において、不溶性希土類含有化合物は、希土類の炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アニオン性ハロゲン酸化物(XOなど。ここでXは塩素、臭素またはヨウ素のいずれかひとつ)または希土類シュウ酸塩から誘導される。
【0018】
不溶性希土類含有化合物がセリウム含有化合物からなる好ましい実施形態において、セリウム含有化合物は、セリウム塩の沈殿から誘導することができる。別の実施形態において、不溶性セリウム含有化合物は、炭酸セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム、セリウムアニオン性ハロゲン酸化物(XOなど。ここでXは塩素、臭素またはヨウ素のいずれかひとつ)またはシュウ酸セリウムから誘導される。好ましい実施形態において、不溶性セリウム含有化合物は、炭酸セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム、塩素酸セリウム、臭素酸セリウム、ヨウ素酸セリウム、またはシュウ酸セリウムのいずれか1つを、空気の存在下、炉内にて、約250℃〜約900℃、好ましくは約300℃〜約700℃の温度で熱分解することによって調製することができる。さらに好ましくは、不溶性セリウム含有化合物を形成するための熱分解温度は、約500℃〜約700℃である。随意で、不溶性セリウム含有化合物は、該不溶性セリウム含有化合物中に含有および/または結合したあらゆる炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、塩素酸塩、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、および/またはシュウ酸塩を除去するために、酸処理および/または洗浄される。さらに別の実施形態において、不溶性希土類含有化合物は、対応するセリウム塩について上述したように、希土類炭酸塩、希土類硝酸塩、希土類硫酸塩、希土類アニオン性ハロゲン酸化物(ClO、BrOおよび/またはIO)またはシュウ酸希土類から誘導することができる。
【0019】
モノリスは、セラミック材料からなる。セラミック材料は、無機晶質酸化物材料、無機非晶質酸化物材料、またはそれらの組み合わせのいずれか1つである。好ましくは、セラミック材料は、石英、長石、カオリン粘土、陶土、粘土、アルミナ、シリカ、ムライト、シリケート、カオリナイト、球状粘土、骨灰、ステアタイト、ペツンツエ、アラバスター、ジルコニア、炭化物、ホウ化物、ケイ化物、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上である。より好ましくは、セラミック材料は、シリカ、アルミナおよびそれらの組み合わせのうちの1つからなる。
【0020】
好ましい実施形態において、1つ以上の汚染物質を流体から十分に除去して精製された流体流を得るため、および、不溶性希土類で被覆されたモノリスを流れる十分な流体流を維持するためのいずれか一方または両方のために、モノリスは、希土類含有組成物によって十分に被覆される。すなわち、好ましい実施形態において、希土類含有モノリスは、希土類含有モノリスを通る流体流、最小限の圧力降下、および汚染物質除去効率のうちの1つ以上を提供する。
【0021】
好ましくは、希土類含有モノリスは、対向する進入流体面と退出流体面とを有する連続相ろ過要素からなる。希土類含有モノリスの1つの利点は、流体流からモノリスを分離するためにろ過工程を必要としないことである。好ましい実施形態において、希土類含有モノリスは、多孔性および/または透過性セラミックモノリスからなる。多孔性および/または透過性セラミックモノリスは、もしあったとしても非常に小さい圧力ビルドアップで水性流から懸濁された粒状固体を除去することができる。本発明のさらに別の実施形態は、モノリスの動作使用中に、モノリスによって捕捉された固体粒子を除去するための洗浄工程を含む。
【0022】
別の実施形態において、希土類含有モノリスは、化学的および/または物理的に耐久性のある材料からなる。化学的および/または物理的耐久性とは、モノリスが動作期間中に実質的に減成および/または分解しないことを意味する。好ましくは、実質的な減成および/または分解なしでの動作期間は、少なくとも約2年、より好ましくは少なくとも約5年、さらにより好ましくは少なくとも約10年である。さらにより好ましくは、モノリスは、少なくとも約20年の動作期間のあいだ実質的に減成および/または分解しない。
【0023】
本発明の別の態様は、複数の相互接続された細孔を有するモノリスを希土類含有溶液と接触させて、希土類含浸モノリスを形成することと、該含浸モノリスを焼成して、希土類被覆モノリスを形成することとを含む方法である。相互接続細孔は複数の流体経路を形成する。希土類被覆モノリスは、複数の希土類被覆経路を有する。経路を被覆する希土類は、不溶性希土類組成物の形態である。
【0024】
希土類含有溶液は、流体経路の実質的に全長に沿って含浸される。希土類含有溶液は、希土類の炭酸塩、硝酸塩、ヨウ素酸塩、硫酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、およびシュウ酸塩のうちの1つである。好ましくは、希土類含有溶液は、セリウムの炭酸塩、硝酸塩、ヨウ素酸塩、硫酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、およびシュウ酸塩のうちの1つからなる。好ましい実施形態において、希土類含有溶液は水溶液である。
【0025】
一実施形態において、接触工程は、スプレー塗布、カーテン塗布、浸漬、キス塗布、および大気圧を超える圧力下での塗布のうちの1つである。好ましくは、モノリスは希土類含有溶液中に浸漬される。モノリスを希土類含有溶液中に浸漬する時間は、約1時間〜約48時間である。
【0026】
本方法は、接触工程の後かつ焼成工程の前に、随意で、含浸モノリスを乾燥させて、モノリスの相互接続細孔内に乾燥した希土類薄膜を形成することを含む。好ましくは、乾燥時間は約10分〜約24時間である。
【0027】
焼成工程は、殆どまたは全部ではないにせよ、少なくともいくらかのモノリスの相互接続細孔内に、不溶性希土類組成物を形成する。焼成工程は、モノリスを約250℃〜約900℃の温度に加熱する工程を含む。好ましくは、モノリスは酸素および/または空気の存在下で加熱される。
【0028】
本発明のさらに別の態様は、不溶性希土類組成物を有する多孔性モノリスの進入面を汚染物質含有流体と接触させることと、汚染物質含有流体を、精製された流体が退出する退出面までモノリスを通過させることとを含むプロセスである。この汚染物質含有流体がモノリスを通過することにより、汚染物質含有流体中に含まれる1つ以上の汚染物質が実質的に除去され、精製流体と汚染物質装荷希土類組成物が形成される。好ましくは、このプロセスは、汚染物質含有流体を進入面と接触させる前および/またはその最中に熱および圧力の一方または両方をかけることをさらに含んでいる。汚染物質含有溶液中に含まれる1つ以上の汚染物質は、不溶性希土類組成物によって除去される。1つ以上の汚染物質のうちの少なくとも1つは、化学汚染物質、生物汚染物質、マイクローブ、微生物およびその混合物のうちの1つである。汚染物質含有流体は、液状流体、ガス状流体、および液状流体とガス状流体の組み合わせのうちの1つである。
【0029】
一実施形態において、汚染物質装荷希土類は、REXおよび/またはREOXからなる。好ましい実施形態において、汚染物質装荷希土類組成物は、セリウムからなり、好ましくは、CeXおよび/またはCeOX、およびそれらの組み合わせのうちの1つからなる。REは、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびルテチウムのうちの1つからなり、Oは、O2−からなる。Xは、ヒ素、ヒ酸塩、オキシアニオン、有機リン酸塩、カルボン酸塩、変性タンパク質、ハロゲン化物、フッ化物、アミン、有機アミン、農薬および/または農薬の残留物、兵器剤(warfare agent)および/または兵器剤の残留物、神経物質および/または神経物質の残留物、薬剤および/または薬剤の残留物、生物物質および/または生物物質の残留物、微生物および/または微生物の残留物、およびウィルスおよび/またはウィルスの残留物のうちの1つ以上からなるものであってよい。残留物という用語は、当該薬剤および/または化学物質の化学的および/または構造的断片を意味する。汚染物質がヒ素からなる場合、XはAsO2−であり、汚染物質装荷希土類は、REAsOからなり、より好ましくは、流体流が水からなる場合、REAsO・(HO)(式中0<X≦10)である。
【0030】
本発明のさらに別の態様は、筐体と該筐体内に配置された多孔性かつ透過性のモノリスとを有する容器からなるシステムであり、該多孔性かつ透過性のモノリスは、多孔性モノリス内に延びる複数の流体経路によって退出面と相互接続された進入面を有する。多孔性かつ透過性のモノリスは、相互接続経路内に、汚染物質含有流体から1つ以上の汚染物質を除去して、精製流体を形成するための不溶性希土類組成物を有する。汚染物質含有流体は、入口から流入して、進入面、複数の流体経路、および出口から精製流体を排出するための退出面を通って流れる。進入面および退出面は、モノリスの相互接続経路を介して流体連通する。精製流体と汚染物質含有流体のあらゆる接触が、モノリスの相互接続経路内で起こる。すなわち、汚染物質含有流体は、進入面と接触するが、退出面および/または精製流体とは接触しない。
【0031】
多孔性かつ透過性のモノリスは、対向する第1の端部および第2の端部、入口、出口、および入口と出口の間で流体流路を包囲する第1の端部と第2の端部の間に延びる外壁を有する。進入面は、入口に動作可能に相互連結されており、退出面は、出口に動作可能に連結されている。1つの構成において、容器は、直列、並列およびそれら任意の組み合わせで構成された1つ以上のモノリスを有する。好ましくは、容器は、金属、プラスチック、PVCおよびアクリルのいずれか1つからなる。
【0032】
本明細書において、流体とは、液相、気相、または液相と気相の両方を含む二相系を意味する。本明細書において、気相とは、流体が不定に広がってもよく、互いに分離され、自由な経路を有し、体積および形状のいずれも規定せず、圧縮されてもよい成分を意味する。本明細書中で用いる液体とは、流体が自由に動き、自由に流れ、実質的に圧縮に耐え、表面張力値を有し、体積を規定するが、その体積は定形状を有する必要のない成分を意味する。
【0033】
「汚染物質」という用語は、「化学汚染物質」、「生物汚染物質」、「マイクローブ」、「微生物」、およびその混合物のうちの1つを意味する。
「化学汚染物質」は、限定はされないが、金属、半金属、オキシアニオン、化学兵器剤、工業化学物質および材料、農薬、神経物質、薬剤、殺虫剤、除草剤、殺鼠剤、および肥料からなる。「生物汚染物質」、「マイクローブ」、「微生物」などの用語には、細菌、菌類、原生生物、ウィルス、藻類、および流体中に見られる他の生物的実体および病原性種が含まれる。
【0034】
一実施形態において、開示した装置およびプロセスは、特に高濃度の汚染物質を含む流体から効果的にヒ素を除去する。開示した装置およびプロセスは、汚染物質を、該流体に人間が暴露(人による摂取および/または流体の吸入など)されても安全な水準まで効果的に減少させる。たとえば、流体がヒ素を含む場合、開示した装置およびプロセスは、ヒ素の水準を約20ppb未満、場合によっては約10ppb未満、他では約5ppb未満、およびさらに他では約2ppb未満の量まで効果的に低下させる。
【0035】
別の実施形態において、開示した装置およびプロセスは、特に高濃度の生物汚染物質を含む流体から、効果的に生物汚染物質を除去する。本装置およびプロセスは、汚染物質含有流体中に含まれる1つ以上の生物汚染物質を約1Log10〜約10Log10、より好ましくは約3Log10〜約7Log10、さらにより好ましくは約4Log10〜約6Log10効果的に低下させることができる。
【0036】
本発明の例示的実施形態を以下に記載する。明確化のために、実際の実施形態のすべての特徴を本明細書中に記載するわけではない。もちろん、任意のそのような実際の実施形態を開発するにあたって、実施ごとに変わるシステム関連の制約と商業関連の制約の順守といった、開発者の特別な目的を達成するためには実施に特有の数多くの決定を行わなければならないことが認識されよう。さらに、このような開発努力は煩雑かつ時間のかかるものであるが、この開示の利益を得る当業者にとっては常套的に行われることであることが認識されよう。
【0037】
本明細書中に記載する組成物、プロセス、装置または物品は、流体中の生物および化学汚染物質を除去、不活性化、および/または無毒化するために用いることができることが理解されよう。適切な流体の例としては、限定はされないが、水性液体および空気などの呼吸に適したガスが挙げられる。戦場などの開放環境において、離れたまたは隔離された場所において、建物や同様の構造物などの囲まれた空間において、航空機、宇宙船、船舶または軍用車両などの車両内で、そしてそのような汚染物質が認められるあらゆる場所で、このような汚染物質を含む流体を処理する必要性があるかもしれない。記載のプロセス、装置および物品は、様々な体積および流速特性を有する流体からそのような汚染物質を除去、不活性化、または無毒化するために用いることができることができ、様々な固定、可動および携帯可能な用途において適用することができる。
【0038】
「除去する」という術語には、たとえば細菌、ウィルス、菌類および原生生物などの病原性および他の微生物、ならびにガス中に存在するかもしれない化学汚染物質の吸着、沈殿、変換および殺すことが含まれる。
【0039】
「不活性化する」または「不活性化」、「無毒化する」または「無毒化」、および「中和する」という用語には、たとえば、微生物を殺すか、化学物質を非毒性の形態または種に変換することによって、生物または化学汚染物質を非病原性または、人間または他の動物に対して良性のものにすることが含まれる。
【0040】
本明細書中で用いる「吸収」とは、ある物質を別のものの内部構造中に浸透させることをいい、吸着とは区別される。
本明細書中で用いる「吸着」とは、原子、イオン、分子、多原子イオン、または他のガスまたは液体の物質が、吸着剤と呼ばれる別の物質の表面に付着することをいう。吸着のための引力は、たとえば、イオン性、共有結合性、または静電力、たとえば、ファンデルワールスおよび/またはロンドン力でありうる。
【0041】
本明細書中で用いる「組成物」は、分子、多原子イオン、化学化合物、配位錯体、配位化合物などの1つ以上の原子で構成される1つ以上の化学単位のことをいう。組成物は、共有結合、金属結合、配位結合、イオン結合、水素結合、静電力(たとえば、ファンデルワールス力やロンドン力)などの様々なタイプの結合および/または力によって一緒に保持されることができることが認識されよう。
【0042】
本明細書中で用いる「不溶性」とは、水中で固体であるか、固体のままであることが意図される材料のことをいい、カラムなどの機器中に保持されることができるか、ろ過などの物理的手段を用いてバッチ反応から容易に回収されることができる。不溶性材料は、数週間または数ヶ月にわたる長い時間、ほとんど質量損失がなく(<5%)水にさらすことができるべきである。
【0043】
本明細書中で用いる「オキシアニオン」またはオキソアニオンは、一般式Az−(Aは酸素以外の化学元素を示し、Oは酸素原子を示す)を有する化学化合物である。標的材料含有オキシアニオンにおいて、「A」は金属、半金属、および/または(非金属である)Se、原子を示す。金属系オキシアニオンに対する例としては、塩素酸塩、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、アルミン酸塩、ジルコン酸塩などが挙げられる。半金属系オキシアニオンの例としては、ヒ酸塩、亜ヒ酸塩、アンチモン酸塩、ゲルマン酸塩、ケイ酸塩などが挙げられる。
【0044】
本明細書中で用いる「粒子」は、1μm未満から100μmを超える大きさを有し、形状には何の制約もない固体またはマイクロカプセル化された液体のことをいう。
本明細書中で用いる「沈殿」は、不溶性種の形態での汚染物質除去のみならず、不活性組成物上または中への汚染物質の固定化のこともいう。たとえば、「沈殿」は、吸着および吸収などのプロセスも含む。
【0045】
本明細書中で用いる「希土類」とは、イットリウム、スカンジウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウムのうちの1つ以上のことをいう。ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウムは、ランタノイドとして知られていることが認識されよう。
【0046】
本明細書中で用いる「可溶」とは、水に容易に溶解する材料のことをいう。本発明の目的のために、可溶性化合物の溶解は、日単位ではなく分単位で行う必要があると見込まれる。その化合物が可溶性であるとみなすには、5g/L以上の化合物が溶液中で安定になるように相当に高い溶解性生成物を有する必要がある。
【0047】
本明細書中で用いる「吸着吸収する(sorb)」とは、吸着および/または吸収のことをいう。
以上、本発明のいくつかの態様の理解のために本発明を簡単に要約した。この要約は、本発明およびその様々な実施形態の広範囲にわたる概要でも包括的概要でもない。本発明の鍵となるまたは重要な要素を同定することも、本発明の範囲の輪郭を描くことも意図しないが、発明の選ばれた概念を簡略化された形で、以降に示すより詳細な説明の導入として与えるものである。上記列挙したまたは以下で詳述する1つ以上の特徴を単独または組み合わせて利用した本発明の他の実施形態が可能であることが認識されよう。
【0048】
本明細書中で用いる「少なくとも1つの」、「1つ以上の」および「および/または」は、機能において、接続的および選言的のいずれでもある非制限表現である。たとえば、「A、BおよびCのうちの少なくとも1つ」「A、BまたはCの少なくとも1つ」、「A、BおよびCのうちの1つ以上」、「A、BまたはCのうちの1つ以上」および「A、B、および/またはC」という表現のそれぞれが、A単独、B単独、C単独、AとB共に、AとC共に、BとC共に、またはA、BおよびC共にを意味する。さらに、本明細書中で用いる「1つ以上の」および「少なくとも1つの」は、X、YおよびZまたはX〜X、Y〜YおよびZ〜Zなどのいくつかの要素または元素のクラスの前置きのために用いる場合には、XまたはYまたはZ、同一のクラスから選択される元素の組み合わせ(XおよびXなど)、ならびに2つ以上のクラスから選択される元素の組み合わせ(YおよびZnなど)をさすことが意図される。
【0049】
本明細書中、不定冠詞「1つの」を付した実体は、1つ以上の当該実体のことをさす。そのようなものとして、「1つの」、「1つ以上」、および「少なくとも1つの」という用語は、ここでは互換的に用いることができる。また用語「からなる」、「含む」および「有する」という用語は、互換的に使用しうるものとする。
【0050】
上記および他の利点は、本明細書に含まれる発明の開示から明確になるであろう。
添付の図面は、本発明のいくつかの例を説明するために明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、明細書とともに、本発明の原理を説明する。図面は、本発明がどのように行われ、使用されうるかの好適および代替例を簡単に説明するものであり、発明を図示および記載された例のみに限定するものとして解釈されるべきではない
さらなる特徴および利点は、以下に参照する図面によって示されるような、本発明の様々な実施形態の以下の、より詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】腐植酸の化学的構造を示す図。
【図2】本発明の実施形態によって装置を作成するためのプロセスを示す図。
【図3】本発明の別の実施形態に従って、図2のプロセスによって作成された装置を用いるためのプロセスを示す図。
【図4】図2の装置の適切な形状の非限定的な例を示す図。
【図5】実施例Iによるセリア被覆アルミナ上への腐植酸保持の百分率を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の一態様は、流体流から1つ以上の汚染物質の除去するための装置である。流体流は、液相、気相、または、液相と気相とを有する2相流からなるものであってよい。好ましい実施形態において、流体流は、水性流体流からなる。別の好ましい態様において、流体流は、ガス状流からなる。ガス状流は、空気などの呼吸に適したガス状流からなるものでありうる。
【0053】
1つ以上の汚染物質は、化学汚染物質、化学兵器剤、生物汚染物質、マイクローブ、微生物、およびその混合物のうちの少なくとも1つからなる。化学汚染物質は、限定はされないが、金属、半金属、オキシアニオン、化学兵器剤、工業化学物質および材料、農薬、神経物質、薬剤、殺虫剤、除草剤、殺鼠剤、および肥料からなるものであってよい。
【0054】
金属および半金属汚染物質は、限定されることはないが、ヒ素、アンチモン、アルミニウム、カドミウム、ビスマス、亜鉛、スズ、チタン、セレニウム、テルル、水銀、ポロニウム、鉛、インジウム、ゲルマニウム、ガリウム、クロミウム、ニッケル、銅、コバルトおよびそのオキシアニオンからなる。
【0055】
化学兵器剤は、限定はされないが、「びらん」または「水疱形成」物質として知られ、高用量において致死的でもありうる2,2’−ジクロロジエチルスルフィド(HD、マスタード、マスタードガス、Sマスタードまたは硫黄マスタード)などの有機硫黄系化合物からなるものである。他の化学兵器剤としては、O−エチルS−(2−ジイソプロピルアミノ)エチルメチルホスホノチオレート(VX)、2−プロピルメチルホスホノフルオリデート(GBまたはサリン)および3,3’−ジメチル−2−ブチルメチルホスホノフルオリデート(GDまたはソマン)などの有機リン系(「OP」)化合物が挙げられるが、これらは、中枢神経系を攻撃して、短時間の間にまひや死をもたらす可能性があるために、一般には「神経」物質と呼ばれている。さらに、化学汚染物質としては、限定はされないが、o−アルキルホスホノフルオリデート、たとえばo−アルキルホスホルアミドシアニデート、たとえばタブン、o−アルキル、s−2−ジアルキルアミノエチルアルキルホスホノチオレートおよび対応するアルキル化またはプロトン化塩、たとえばVX、2−クロロエチルクロロメチルスルフィドを含むマスタードガス、ビス(2−クロロエチル)スルフィド、ビス(2−クロロエチルチオ)メタン、1,2−ビス(2−クロロエチルチオ)エタン、1,3−ビス(2−クロロエチルチオ)−n−プロパン、1,4−ビス(2−クロロエチルチオ)−n−ブタン、1,5−ビス(2−クロロエチルチオ)−n−ペンタン、ビス(2−クロロエチルチオメチル)エーテル、およびビス(2−クロロエチルチオエチル)エーテル、2−クロロビニルジクロロアルシンを含むルイサイト、ビス(2−クロロビニル)クロロアルシン、トリス(2−クロロビニル)アルシン、ビス(2−クロロエチル)エチルアミン、およびビス(2−クロロエチル)メチルアミン、サキシトキシン、リシン、アルキルホスホニルジフルオリド、アルキルホスホナイト、クロロサリン、パラチオン、パラオキソン、クロロソマン、アミトン、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−1−プロペン、3−キヌクリジニルベンジラート、メチルホスホニルジクロライド、ジメチルメチルホスホネート、ジアルキルホスホルアミドジハライド、アルキルホスホロアミダート、ジフェニルヒドロキシ酢酸、キヌクリジン−3−オール、ジアルキルアミノエチル−2−クロライド、ジアルキルアミノエタン−2−オール、ジアルキルアミノエタン−2−チオール、チオジグリコール、ピナコリルアルコール、ホスゲン、塩化シアノゲン、シアン化水素、クロロピクリン、オキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リンアルキル、亜リン酸アルキル、三塩化リン、五塩化リン、亜リン酸アルキル、一塩化硫黄、二塩化硫黄、タンニン、腐植酸および塩化チオニルが挙げられる。
【0056】
腐植酸 (図1に示す)は、複合多環式化合物である。腐植酸は、リグニンの分解産物であるとされている。リグニンは、植物糖質の脱ヒドロキシル化から誘導されるポリフェノールのファミリーに属する。
【0057】
さらに、工業化学物質および材料、殺虫剤、除草剤、および殺鼠剤は、リン酸塩、硫酸塩、および硝酸塩などのアニオン性官能基、塩化物、フッ化物、臭化物、エーテルおよびカルボニルなどの電子陰性官能基を有する材料からなる。具体的な例としては、限定はされないが、アセトアルデヒド、アセトン、アクロレイン、アクリルアミド、アクリル酸、アクリロニトリル、アルドリン/ジエルドリン、アンモニア、アニリン、ヒ素、アトラジン、バリウム、ベンジジン、2,3−ベンゾフラン、ベリリウム、1,1’−ビフェニル、ビス(2−クロロエチル)エーテル、ビス(クロロメチル)エーテル、ブロモジクロロメタン、ブロモホルム、ブロモメタン、1,3−ブタジェン、1−ブタノール、2−ブタノン、2−ブトキシエタノール、ブチルアルデヒド、二硫化炭素、三塩化炭素、硫化カルボニル、クロルデン、クロルデコン、およびマイレックス、クロルフェンビンホス、塩素化ジベンゾ−p−ジオキシン(CDDs)、塩素、クロロベンゼン、クロロジベンゾフラン(CDFs)、クロロエタン、クロロホルム、クロロメタン、クロロフェノール、クロルピリホス、コバルト、銅、クレオソート、クレゾール、シアン化物、シクロヘキサン、DDT、DDE、DDD、DEHP、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、ジアジノン、ジブロモクロロプロパン、1,2−ジブロモエタン、1,4−ジクロロベンゼン、3,3’−ジクロロベンジジン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,3−ジクロロプロパン、ジクロルボス、フタル酸ジエチル、メチルホスホン酸ジイソプロピル、フタル酸ジ−n−ブチル、ジメトエート、1,3−ジニトロベンゼン、ジニトロクレゾール、ジニトロフェノール、2,4−および2,6−ジニトロトルエン、1,2−ジフェニルヒドラジン、ジ−n−オクチルフタレート(DNOP)、1,4−ジオキサン、ジオキシン、ジスルフォトン、エンドスルファン、エンドリン、エチオン、エチルベンゼン、酸化エチレン、エチレングリコール、エチルパラチオン、フェンチオン、フッ化物、ホルムアルデヒド、フレオン113、ヘプタクロルおよびヘプタクロルエポキシド、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジェン、ヘキサクロロシクロヘキサン、ヘキサクロロシクロペンタジェン、ヘキサクロロエタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサン、2−ヘキサノン、HMX(オクトーゲン)、油圧油、ヒドラジン、硫化水素、ヨウ素、イソホロン、マラチオン、MBOCA、メタミドホス、メタノール、メトキシクロル、2−メトキシエタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルメルカプタン、メチルパラチオン、メチルt−ブチルエーテル、メチルクロロホルム、塩化メチレン、メチルレンジアニリン、メタクリル酸メチル、メチル−tert−ブチルエーテル、マイレックスおよびクロルデコン、モノクロトホス、N−ニトロソジメチルアミン、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソジ−n−プロピルアミン、ナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロフェノール、ペルコロエチレン、ペンタクロロフェノール、フェノール、ホスファミドン、リン、ポリ臭素化ビフェニル(PBBs)、ポリ塩素化ビフェニル(PCBs)、多環芳香族炭化水素(PAHs)、プロピレングリコール、無水フタル酸、ピレスリンおよびピレスロイド、ピリジン、RDX(シクロナイト)、セレニウム、スチレン、二酸化硫黄、三酸化硫黄、硫酸、1,1,2,2−テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、テトリル、タリウム、四塩化物、トリクロロベンゼン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン(TCE)、1,2,3−トリクロロプロパン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリニトロベンゼン、2,4,6−トリニトロトルエン(TNT)、酢酸ビニル、および塩化ビニルが挙げられる。
【0058】
生物汚染物質は、マイクローブ、微生物、細菌、菌類、原生生物、ウィルス、藻類、および流体中に見られる他の生物的実体および病原性種のうちの1つ以上からなる。生物汚染物質の具体例としては、限定はされないが、大腸菌(Escherichia coli)、大便連鎖球菌(Streptococcus faecalis)、シゲラ種、レプトスピラ、レジオネラ・ニューモフィラ(Legimella pneumophila)、エンテロコリチカ菌(Yersinia enterocolitica)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、クレブシエラ・テリゲナ(Klebsiella terrigena)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)および腸チフス菌(Salmonella typhi)などの細菌、A型肝炎、ノロウィルス、ロタウィルス、およびエンテロウィルスなどのウィルス、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、ジアルディア、クリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)などの原生生物が挙げられる。開示した装置およびプロセスによって効果的に除去しうるウィルスの具体例としては、限定はされないが、dsDNAウィルス;ssDNAウィルス;dsRNAウィルス;(+)ssRNAウィルス;(−)ssRNAウィルス;ssRNA−RTウィルス;dsDNA−RTウィルス;アデノウィルス、ヘルペスウィルス、ポックスウィルス、パルボウィルス、レオウィルス、ピコルナウィルス、トガウィルス、オルソミクソウィルス、ラブドウィルス、レトロウィルス、ヘパドナウィルス、水痘帯状疱疹ウィルス(varicella zosert)、エボラウィルス、AIDSウィルス、SARSウィルス、ヘルペスウィルス、肝炎ウィルス、パイピローマウィルス、エプスタイン−バーウィルス、T−リンパ向性ウィルス、およびMRSAウィルスが挙げられる。生物汚染物質は、一般的には病原性ではないが、除去したほうが有益な菌類または藻類などの様々の種を含んでいるかもしれない。そのような本発明の生物汚染物質が流体中にいかにして存在するようになったか、天然に存在するものなのか、意図的または意図的でない混入によるものなのかは、本発明では限定されない。
【0059】
一実施形態において、開示した装置およびプロセスは、特に高濃度の汚染物質を含有する流体から、1つ以上の汚染物質を効果的に除去する。開示した装置およびプロセスは、汚染物質を、該流体に人間および/または他の生物が該流体に暴露(摂取および/または流体の吸入など)されても安全な水準まで減少させるのに効果的である。たとえば、装置は、流体中の1つ以上の汚染物質の水準を、少なくとも約100ppm、好ましくは少なくとも約10ppmまで実質的に低下させることができる。いくつかの実施形態において、装置は、1つ以上の汚染物質の水準を実質的に約1ppm以下にまで低下させることができる。
【0060】
好ましい実施形態において、本装置は、1つ以上の汚染物質の水準を約100ppb以下、より好ましくは、約20ppb未満の量まで実質的に低下させることができる。さらにより好ましい実施形態において、流体中に含有される1つ以上の汚染物質の低下した水準は、約10ppb未満であり、その他の場合では約5ppb未満であり、さらに他の場合では約2ppb未満である。1つ以上の汚染物質が流体中で低下される水準は、i)流体中の初期汚染物質水準、ii)汚染物質(たとえば、限定はされないが、汚染物質の化学的および/または物理的性質);iii)汚染物質と装置を接触させる条件(たとえば、限定はされないが、接触温度および/または接触時間の長さのうちの1つ以上);iv)装置の物理的性質(たとえば、限定はされないが、装置の大きさ、透過性、および/または孔構造);およびv)それらの組み合わせのうちの1つ以上に依存しうることが認識されよう。
【0061】
図2は、装置110を作成するためのプロセス100を示す。装置110は、モノリスからなる。好ましくは、モノリスは、対向する流体進入面および退出面を有する連続相ろ過要素からなる。モノリスは、空隙容量と複数の孔を有する。装置110は、わらにモノリスの孔および/または空隙容量内に含有される不溶性希土類組成物からなる。好ましくは、不溶性希土類組成物は、薄膜および/または複数の粒子からなるものであってよい。希土類薄膜および/または複数の粒子は、モノリスの孔および/または空隙容量内に実質的に位置する。
【0062】
工程103において、希土類含有溶液を調製する。一実施形態において、希土類含有溶液は、希土類金属および/または希土類含有材料を溶液中に溶解および/または分散させて、希土類含有貴液を生成することによって調製することができる。好ましい実施形態において、希土類含有溶液は、希土類金属および/または希土類含有材料を酸性溶液に溶解することによって調製される。酸性溶液は、好ましくは、鉱酸、たとえば、限定はされないが塩酸(HCl)、硝酸(HNO)、ヨウ素酸(HIO)、塩素酸(HClO)、臭素酸(HBrO)、臭化水素酸(HBr)、フッ化水素酸(HF)、硫酸(HSO)、リン酸(HPO)、およびその混合物からなるものであってよい。別の実施形態において、希土類含有材料は、水などの溶媒中に溶解されて、希土類含有貴液を形成する。好ましくは、希土類含有貴液は、実質的に溶解した形態の希土類材料からなる。いくつかの例において、希土類含有貴液は、および/または希土類材料の懸濁物および/または分散物からなる。
【0063】
好ましい実施形態において、希土類溶液は、希土類の炭酸塩、硝酸塩、ヨウ素酸塩、硫酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、またはシュウ酸塩のうちの1つからなる希土類からなる。さらに好ましい実施形態において、希土類溶液は、炭酸セリウム、硝酸セリウム、ヨウ素酸セリウム、硫酸セリウム、塩素酸セリウム、臭素酸セリウム、酢酸セリウム、ギ酸セリウム、およびシュウ酸セリウムのうちの少なくとも1つからなる。
【0064】
好ましい実施形態において、希土類含有貴液の全希土類含量は、希土類酸化物として測定して、希土類含有貴液全体の少なくとも約0.1質量%である。さらに好ましい実施形態において、希土類含有貴液の全希土類含量は、希土類含有貴液全体の少なくとも約1質量%である。さらに好ましい実施形態において、貴液の希土類含量は、希土類酸化物として測定して、希土類含有貴液の全質量の約5%をなす。
【0065】
好ましくは、貴液の希土類含量は、CeOなどの希土類酸化物として測定して、希土類含有貴液の約10%〜約90質量%をなす。より好ましくは、希土類含有貴液の全希土類含量は、希土類酸化物として測定して、約20%〜約75質量%である。さらにより好ましくは、希土類含有貴液の全希土類含量は、希土類酸化物として測定して、約25%〜約45質量%である。さらにより好ましい実施形態において、希土類含有貴液の全希土類含量は、希土類酸化物として測定して、約35%〜約40質量%である。さらにより好ましい実施形態において、希土類含有貴液の全希土類含量は、限定はされないがCeOなどの希土類酸化物として測定して、約40質量%である。
【0066】
希土類含有貴液の濃度は、モノリスの孔および孔容量の少なくともいくらかを実質的に被覆するのに十分なように濃縮されていることが認識されよう。さらに、一方で、希土類含有貴液の濃度は十分に希薄なので、形成された被覆が、被覆モノリスの透過性を実質的に減少させることはない。
【0067】
接触工程104において、モノリスが希土類含有貴液で被覆されて、湿被覆含浸モノリスを形成する。一実施形態において、モノリスは希土類含有貴液中に沈められるが、この沈水は攪拌しながら、または攪拌なしのいずれで行ってもよい。沈水時間は、約0.1時間〜約48時間、好ましくは、約1時間〜約24時間であってよい。
【0068】
随意で、支持体を希土類含有貴液に接触させる最中または前に熱および圧力の一方または両方が加えられる。好ましくは、少なくとも熱が、接触工程の前および/または最中に希土類含有貴液に加えられる。希土類含有貴液へ熱を加えることによって、希土類含有貴液の表面張力および粘性の一方または両方を実質的に低下されることができる。表面張力および/または粘性の低下は、実質的にモノリスの希土類含有貴液のより良好な含浸および/または湿潤を可能にする。さらに、圧力の付加は、モノリスの希土類含有貴液のより良好な含浸および/または湿潤を可能にする。たとえば、圧力は、希土類含有貴液とのモノリスの接触の最中に貴液に加えられる陽圧であってもよいし、および/または、圧力は、モノリスを希土類含有貴液と接触させる前にモノリスに加えられる陰圧であってもよい。
【0069】
一実施形態において、希土類含有溶液は、限定はされないが、界面活性剤、湿潤剤および粘度調整剤などの1つ以上の流れ添加剤を含んでいてもよい。該1つ以上の流れ添加剤は、沈水過程の前または最中に希土類含有貴液に添加することができる。1つ以上の添加剤は、希土類含有溶液をモノリスに含浸させてモノリスの孔および/または空隙容量を浸潤させることを補助することができる。
【0070】
さらに別の実施形態において、希土類含有貴液のモノリスへの接触は、スプレー塗布、カーテン塗布、浸漬(全体的または部分的)、キス塗布、および大気圧より高い圧力での塗布による。技術上周知の他の塗布方法も同様に適切であることがわかるであろう。
【0071】
モノリスは好ましくは、ろ過および/または分離要素として機能しうる単一の支持構造物である。好ましい実施形態において、モノリスは、透過性材料からなる。透過性材料は、固体、シリンダ、シート状、および/または管状材料であってよい。
【0072】
モノリスは、1つ以上の外面と、複数の孔と、空隙容量と、全かさ容量と、孔隙率と、透過性とを有する。空隙容量は、モノリス内に含まれる複数の孔によって占められる容量からなり、全かさ容量はモノリスの容量である。言い換えると、空隙容量はモノリスの全かさ容量内に含まれる孔(すなわち空隙)空間の容量である。全かさ容量に対する空隙容量の比率が、モノリスの孔隙率である。モノリスの孔隙率は、流体によって占められることのできるモノリス容量の割合である。空隙容量は、相互接続空隙容量と非相互接続空隙容量の一方または両方からなる(すなわち、相互接続および非相互接続細孔)。
【0073】
相互接続細孔は、全相互接続孔表面積を有する。一実施形態において、モノリスの全相互接続孔表面積は、被覆されていないモノリス1グラムあたり少なくとも約0.5m(ここではm/gと表現する)である。好ましい実施形態において、モノリスの全相互接続孔表面積は、少なくとも約1m/gである。さらに好ましい実施形態において、モノリスの全相互接続孔表面積は、少なくとも約5m/gである。相互接続孔表面積は、いくつかの実施形態においては、少なくとも10m/gの大きさ、さらに別の実施形態においては、少なくとも約50m/gの大きさである。
【0074】
モノリスの透過性は、流体が相互接続空隙容量(すなわち、相互接続細孔)を流れる容易さの尺度である。すべてではないにしても、実質的に殆どの空隙容量が相互接続されている高い孔隙率のモノリスは、同じ孔隙率を有しながらも、すべてではないにしても実質的に殆どの空隙容量が相互接続されていない別のモノリスに比べて、実質的により高い透過性を有することになる。
【0075】
モノリスの孔隙率と透過性を構成する複数の孔は平均細孔径を有する。好ましくは、平均細孔径は約0.05μm〜約1.0μmである。より好ましくは、平均細孔径は約0.1μm〜約0.5μmである。さらに、モノリスは、有効孔径を有する。有効孔径は、容量内に保持される平均最小粒子の尺度である。小粒子は、1つ以上の分散力(ロンドン力またはファンデルワールス力など)によって、あるいは、曲がりくねって相互接続された空隙容量の迷路内に保持されることによって、空隙容量内に保持および捕捉されうる。有効孔径は、ポロメトリによって測定される平均細孔径よりもはるかに小さい。一実施形態において、モノリスの孔の少なくとも約95%が、約0.05μmより大きい。好ましい実施形態において、モノリスの孔の少なくとも約95%が、約0.1μmよりも大きい。
【0076】
一実施形態において、モノリスはセラミック材料からなる。セラミック材料は、無機晶質酸化物材料、無機非晶質酸化物材料、またはそれらの組み合わせのうちの1つであってよい。無機晶質酸化物材料の例としては、限定はされないが、石英、長石、カオリン粘土、陶土、粘土、アルミナ、シリカ、ムライト、シリケート、カオリナイト、球状粘土、骨灰、ステアタイト、ペツンツエ、アラバスター、ジルコニア、炭化物、ホウ化物、ケイ化物、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上からなるセラミックが挙げられる。無機非晶質酸化物材料の例としては、限定はされないが、殆どではなくとも、少なくともいくらかが無定形の性質を有する、石英、長石、カオリン粘土、陶土、粘土、アルミナ、シリカ、ムライト、シリケート、カオリナイト、球状粘土、骨灰、ステアタイト、ペツンツエ、アラバスター、ジルコニア、炭化物、ホウ化物、ケイ化物、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上からなるセラミックが挙げられる。好ましくは、モノリスは、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭化物および/またはホウ化物セラミック材料のうちの1つからなる。より好ましくは、モノリスは、シリカおよび/またはアルミナセラミック材料のうちの1つからなる。
【0077】
湿式被覆含浸モノリスは、モノリスの少なくともいくらかの孔および空隙容量の一方または両方に含まれる希土類含有溶液を含む。好ましくは、湿式被覆含浸モノリスは、モノリスのすべてではないにせよ殆どの孔および空隙容量に含まれる希土類含有溶液を含む。希土類含有貴液が希土類材料の懸濁液および/または分散液からなる場合には、モノリスの外側孔と外側空隙容量は、懸濁および/または分散された希土類材料を実質的に含浸している。湿式被覆含浸モノリスは、モノリスの相互接続細孔の殆どまたは全部でないにせよ少なくともいくらかを含浸および/または湿潤の一方または両方を行うことにより、希土類含有貴液によって形成される。
【0078】
工程105において、含浸モノリスは焼成されて装置110を形成する。
随意で、焼成工程103の前に、乾燥工程(プロセス100には図示せず)を含めてもよい。乾燥工程は、周囲温度以上で行うことができる。乾燥時間は、1分未満または約1週間を超えることもある。好ましくは、乾燥時間は、約10分〜約24時間である。さらに好ましくは、乾燥時間は、約30分〜約12時間であり、さらにより好ましくは、約1時間〜約8時間である。別の構成において、熱エネルギーを与える時間は、約3時間〜約6時間である。随意の乾燥工程が、周囲温度よりも高い温度である場合、乾燥温度は、約20℃〜約200℃、好ましくは約80℃〜約100℃である。乾燥工程は、全てではないにせよ殆どの溶液液相を実質的に除去し、モノリスの孔および/または空隙容量表面上に乾燥希土類材料薄膜を形成する。
【0079】
焼成工程103は、含浸モノリスおよび/または乾燥希土類材料薄膜を有するモノリスを炉内で加熱することを含む。好ましくは、焼成工程103は、空気および/または酸素の存在下で加熱することをさらに含む。モノリスは、約250℃〜約900℃の温度、好ましくは約300℃〜約700℃の温度まで炉内で加熱される。
【0080】
希土類組成物がセリウムからなる状況において、焼成工程103の温度および圧力条件は、セリウム含有出発材料の組成および不溶性セリウム含有化合物の所望の物理的性質に応じて変えてもよい。不溶性希土類含有化合物が酸化セリウムからなる実施形態において、不溶性希土類含有化合物は、CeOなどの酸化セリウムを含んでいてもよい。炭酸セリウム、硫酸セリウム、ヨウ素酸セリウム、塩素酸セリウム、臭素酸セリウムおよびシュウ酸セリウムに対する反応は、以下のようにまとめることができる。
【0081】
Ce(CO+1/2O→2CeO+3CO (2)
1/2Ce(NO+3/2O→1/2CeO+3NO (3)
Ce(C+2O→2CeO+6CO (4)
1/2Ce(SO+1/2O→1/2CeO+3SO (5)
Ce(XO→CeO+3X+7/2O (6)
式中、Xは、F、Cl、BrおよびIのうちの1つである。
【0082】
焼成により、モノリス多孔および空隙容量の一方または両方内に不溶性希土類酸化物薄膜および/または粒子が生成し、好ましくは、実質的に相互接続細孔の少なくともの殆どの中に不溶性希土類酸化物薄膜および/または粒子がある。モノリスの孔および/または空隙容量内の不溶性希土類粒子は、モノリスの透過性を実質的に悪化させないように十分に小さい。好ましくは、焼成工程後のモノリスの透過性は、モノリスを希土類含有溶液と接触させる前のモノリスの透過性の実質的に少なくとも約50%以上である。さらに好ましくは、焼成工程後のモノリスの透過性は、モノリスを希土類含有溶液と接触させる前のモノリスの透過性の実質的に少なくとも約75%以上である。さらに好ましくは、焼成工程後のモノリスの透過性は、モノリスを希土類含有溶液と接触させる前のモノリスの透過性の実質的に少なくとも約90%以上である。
【0083】
不溶性希土類組成物は、相互接続細孔内に不溶性レア薄膜を形成する。不溶性希土類薄膜は、平均膜厚を有する。好ましくは、平均膜厚は、約0.5nm〜約500nmである。より好ましくは、不溶性希土類組成物の平均膜厚は、約2nm〜約50nmである。さらに好ましくは、不溶性希土類組成物の平均膜厚は、約3nm〜約20nmである。
【0084】
言い換えると、装置110を構成する相互接続細孔の全てではないにせよ、少なくともいくらかは、約0.5nm〜約500nmの不溶性希土類組成物の平均膜厚を有する。さらに好ましい実施形態において、不溶性希土類組成物の平均膜厚は、約2nm〜約50nmである。さらに好ましい実施形態において、相互接続細孔の全てではないにせよ、少なくともいくらかを被覆する不溶性希土類組成物の平均膜厚は、約3nm〜約20nmである。
【0085】
相互接続細孔内に含まれる不溶性希土類薄膜は、全不溶性希土類薄膜表面積を有する。一実施形態において、装置の全不溶性希土類薄膜表面積は、非被覆モノリス1グラムあたり少なくとも約0.5m(または、50グラムの非被覆モノリスに対して少なくとも約25m)である。好ましい実施形態において、装置の全不溶性希土類薄膜表面積は、非被覆モノリス1グラムあたり少なくとも約1m(または、50グラムの非被覆モノリスに対して少なくとも約50m)である。さらに好ましい実施形態において、装置に対する全不溶性希土類薄膜表面積は、非被覆モノリス1グラムあたり少なくとも約5m(または、50グラムの非被覆モノリスに対して少なくとも約250m)である。全不溶性希土類薄膜表面は、いくつかの実施形態においては、非被覆モノリス1グラムあたり、少なくとも10mの大きさであり、さらに他の実施形態においては、少なくとも約50mの大きさである(または、それぞれ、50グラムの非被覆モノリスに対して、少なくとも約500mまたは2,500mである)。
【0086】
さらに、不溶性希土類組成物は、少なくとも約1m/gの平均表面積を有する粒子からなる。用途によっては、より大きな平均表面積が望ましいかもしれない。特に、不溶性希土類粒子は、少なくとも約5m/g、他の場合には約10m/gを超える、他の場合には約70m/gを超える、他の場合には約85m/g超える、さらに他の場合には115m/gを超える、そしてさらに他の場合には約160m/gを超える表面積を有していてもよい。さらに、より大きな表面積を有する不溶性希土類粒子の方が効果的であることが証明されている。当業者であれば、不溶性希土類粒子の表面積は、希土類含有モノリス内の流体力学的特性に影響を与えることを理解するであろう。その結果、粒子表面積の増加から得られる利益と、起こりうる圧力降下などの流体力学との均衡をとる必要があるであるかもしれない。
【0087】
別の好ましい実施形態において、装置110は、約276kPa(約40psi)において約0.5L/分を超える流速を有する。さらに好ましい実施形態において、装置110の流速は、約276kPa(約40psi)において約1L/分を超える。他の構成において、装置110は、約276kPa(約40psi)において約5L/分を超える流速を有する。
【0088】
さらに別の好ましい実施形態において、装置110は、約10Lmh/6895Pa(約10Lmh/psi)〜約500Lmh/6895Pa(約500Lmh/psi)の透過性を有する。さらに好ましい実施形態において、装置110の透過性は、約50Lmh/6895Pa(約50Lmh/psi)〜約200Lmh/6895Pa(約200Lmh/psi)である。さらに好ましい実施形態において、装置110は約100Lmh/6895Pa(約100Lmh/psi)〜約150Lmh/6895Pa(約150Lmh/psi)の透過性を有する。
【0089】
好ましい実施形態において、モノリスの内面および外面のうちの一方または両方が、汚染物質含有流体流から1つ以上の汚染物質を実質的に除去するために不溶性希土類含有薄膜および/または粒子によって十分に被覆されている。さらに、被覆モノリスは、該被覆モノリスを通過する十分な流体流を実質的に維持する。すなわち、希土類含有モノリスは、圧力降下が殆どない被覆モノリスを通る流体流速と、汚染物質含有流体流からの1つ以上の汚染物質の実質的に効果的な除去とのうちの1つ以上を提供する。流体の流速および圧力降下は、流体に応じて変わることが認識されよう。たとえば、液体流体は、典型的にはガス状流体よりも流体流に対して耐性が高い。
【0090】
モノリスの相互接続細孔を不溶性希土類組成物で被覆することにより、装置110上および/または内に、実質的に大きく、反応性のある不溶性レア組成物表面積が提供される。さらに、不溶性希土類薄膜平均膜厚は、装置の透過性を実質的に維持するのに十分なほどに小さく、したがって、装置は、流体に接触する際に、最小の圧力降下と高い流速の一方または両方を有する。装置110は、不溶性希土類含有粒子ベッドからなるフィルタベッドよりも、流体チャネリングを実質的に受けにくい。さらに、装置110は、フィルタベッドの場合のようなベッド分離が起こりにくい。
【0091】
装置110は、実質的により大きい希土類1グラムあたりの不活性レア組成物表面積、および/または、実質的により効率的および/または効果的な不溶性希土類組成物との流体流との接触のうちの1つ以上を提供する。特定の理論に拘束されることなく、モノリスの相互接続細孔内の不溶性希土類薄膜内の流体流の接触は、希土類含有粒子からなるベッド容量よりも、流体と不溶性希土類組成物とのより効率的かつ効果的な接触であるに違いない。
【0092】
焼成工程103後に、装置110は、残っている炭酸塩、硝酸塩、および/またはシュウ酸塩を除去するために、酸処理または洗浄されてもよい。様々な特徴を有するセリウム酸化物を産生するための熱分解プロセスは、米国特許第5,897,675号(比表面積)、米国特許第5,994,260号(均一なラメラ構造を有した孔)、米国特許第6,706,082号(特定の粒径分布)、および米国特許第6,887,566号(球状粒子)に記載されており、それらの開示は参照により本願に組み込む。炭酸塩、硝酸塩、および/またはシュウ酸塩を含むセリウム化合物は、市販されており、当業者によって知られる任意の供給源から得られるものであってよい。さらに、硝酸セリウムは、たとえば、セリウム金属または適当なセリウム塩(炭酸セリウムなど)を硝酸中に溶解して、Ce(NOを形成することによって調製してもよい。
【0093】
別の態様において、希土類含有多孔性モノリシックセラミックフィルタは、化学的および/または物理的に耐久性のある材料からなる。化学的および/または物理的耐久性とは、モノリシックセラミックフィルタが、動作期間中に、実質的に減成および/または分解しないことを意味する。好ましくは、実質的に減成および/または分解の起こらない動作期間は、少なくとも約2年、より好ましくは少なくとも約5年、およびさらにより好ましくは少なくとも約10年である。さらにより好ましくは、モノリシックセラミックフィルタは、少なくとも約20年の動作期間のあいだ、実質的に減成および/または分解しない。
【0094】
図3は、汚染物質含有流体流中に含まれる1つ以上の汚染物質を除去するために、装置110を使用するためのプロセス200を示す。
工程203において、汚染物質含有流体流を、装置110の進入面112に接触させる。図4は、対向する進入面112と退出面114とを有する装置110の適切な幾何学形状の非限定的な例を示す。装置110は、任意の適切な大きさおよび/または形状のものであってよい。好ましい実施形態において、装置110は直径301および高さ302を有する円筒310形状を有する。別の実施形態において、シリンダ320は、シリンダの軸305に沿って配置された空隙303と、対向する内面322および外面324を有する。装置の進入面112と退出面114は、相互接続可能であることが認識されよう。たとえば、構成において、外面324を進入面112とし、内面322を退出面114とすることができ、別の構成において、進入面112を内面322とし、退出面114を外面324とすることができる。
【0095】
汚染物質含有流体流を、汚染物質含有流体が進入面112から退出面114へ装置110内を流れ、精製流体208が退出面114において退出するのに対する十分な圧力で装置110と接触させる。精製流体208は、汚染物質含有流体に含まれる1つ以上の汚染物質の少なくとも1つの含有量が実施的に減っている。好ましい実施形態において、殆どではないにせよ、少なくともいくらかの1つ以上の汚染物質が汚染物質含有流体から取り除かれ、実質的に流体を人間および/または他の生物によって使用されるのに適したものにする。汚染物質含有流中に含まれる1つ以上の汚染物質のそれぞれに対する汚染物質除去水準は、該1つ以上の汚染物質と、汚染物質含有流に含まれる1つ以上の汚染物質のそれぞれの濃度によることが認識されよう。特定の例に拘束されることなく、殆どの化学兵器剤に対して、全てではないにせよ、少なくとも殆どの化学兵器剤汚染物質が除去されて、精製流を人間および/または他の生物にとって実質的に安全なものにする。
【0096】
孔隙率および透過性は、装置110内の流体流を達成するのに必要な接触圧力に影響を及ぼしうる。汚染物質含有流体は、重力、圧力または他の手段の影響下に、攪拌または混合されながら、またはされずに、装置110内を流れることができる。特定の理論に限定されることなく、汚染物質含有流体が装置110を流れるための接触圧力は、装置110の孔隙率および透過性のうちの大きい方または両方を低下させる。
【0097】
汚染物質含有流体は、ある時間にわたって装置110と接触する。好ましくは、接触時間は、わずか10秒でありうる。別の実施形態において、接触時間は、約1〜約20分でありうる。さらに別の実施形態において、接触時間は、約0.5時間〜約12時間でありうる。接触時間は、装置110の形状および大きさ、装置110の孔隙率および/または透過性、接触圧力、流体特性(粘性、表面張力など)および汚染物質ならびに汚染物質含有流体中での汚染物質濃度のうちの1つ以上に応じて変化しうる。開示した装置110およびプロセス200は、汚染物質含有流体から1つ以上の汚染物質を効果的に除去することができる。汚染物質含有流体が液体流体からなる場合、装置110は、極端なpH値も含めて、広い範囲のpHレベルにわたって1つ以上の汚染物質を除去することができる。多くの従来の汚染物質除去技術とは対照的に、この能力により、1つ以上の汚染物質を除去する際に、液体流体のpHを狭い範囲に変更および/または維持する必要がなくなる。さらに、汚染物質含有流体から1つ以上の汚染物質を除去する際にpHを調製および維持する必要性を無くすことで、有意なコスト上の利点が与えられる。
【0098】
装置110は、周囲温度にある汚染物質含有流体から1つ以上の汚染物質を除去することができるが、汚染物質含有溶液から1つ以上の汚染物質を除去および/または吸着するための不溶性希土類含有材料を有する装置110の容量を、装置110の温度を高めることによって増加させることができることが見いだされている。一実施形態において、汚染物質含有流体および装置110の一方または両方を接触工程203の前および/または最中に加熱する。汚染物質含有流体および/または装置110は、技術上周知の任意の加熱プロセスによって加熱することができる。熱は、汚染物質除去の速度、および汚染物質含有流体から除去される汚染物質の量の一方または両方を増加させることができることが見いだされている。その結果、装置110を収容する容器に、加熱ジャケットまたは、容器と装置110を所望の温度に維持するための他の加熱方法を設けることができる。
【0099】
本発明の別の態様は、汚染物質含有流体から1つ以上の汚染物質を除去するためのシステムを提供する。システムは、第1の端部、第1の端部に対向する第2の端部、入口、および出口を有する筐体を含む容器からなる。入口と出口の間の流体流路を封止する第1および第2端部の間に外壁が延びる。装置110は、容器を通る汚染物質含有流体の流れを処理するための流体流経路内の筐体の内部に配置される。入口は、進入面112に動作可能に相互接続され、出口は退出面に動作可能に接続される。一実施形態において、装置110は、装置110と入口の間、装置110と出口の間、および、装置110と外壁の間の1つ以上の空間を規定するために、入口、出口および外壁のうちの1つ以上と間隔をおいている。
【0100】
別の実施形態において、容器は、流体透過性外壁および/または入口に隣接して、装置110の前にプレフィルタをさらに含んでいてもよい。粒子は、流体透過性外壁および/またはプレフィルタによって、汚染物質含有流体から除去される。様々な継ぎ手、接続部、ポンプ、弁、多岐管などを、装置110および容器の一方または両方を流れる流体流を制御するために用いることができる。
【0101】
別の実施形態において、容器は精製流体208のさらなる研磨のための後処理システムをさらに含んでいてもよい。後処理システムは、それぞれ参照によりその全体を本願に組み込む、米国特許第6,863,825号、および2009年11月11日出願の米国特許出願番号12/616,653;それぞれ2007年10月31日出願の11/932,837、11/931,616、11/932,702および11/931,543;および2007年12月18日出願の11/958,644、11/958,968および11/958,602において検討されるような希土類組成物および固定剤のうちの1つ以上からなるものであってよい。精製流体208の研磨は、上記引用した特許および/または特許出願において検討されているような、精製流体208内に含まれる毒素および/または他の種をさらに除去することができる。随意の後処理システムは、米国特許第5,922,926号に記載されるような遷移金属およびアルカリ金属、米国特許出願公報2005/0159307Alに記載されるようなポリオキソメタレート、米国特許第5,689,038号および第6,852903号に記載されるような酸化アルミニウム、米国特許第5,859,064号に記載されるような四級アンモニウム錯体、米国特許第6,537,382号に記載されるようなゼオライト、および、米国特許第7,067,294号に記載されるような酵素を含んでいてもよい。言及した引例中のこれらの除染剤の記載を参照により本願に組み込む。
【0102】
容器は、カラム、様々な槽および反応器、フィルタ、フィルタベッド、ドラム、カートリッジ、流体透過性容器などを含む様々な形態をとりうる。いくつかの実施形態において、容器は、その内部で汚染物質含有流体が1つ以上の装置110のそれぞれと接触するように、直列、並列およびそれら任意の組み合わせで構成される1つ以上の容器110を含む。容器は、指定された流体入口と流体出口とを有する単一の通り抜け設計を有しうる。より剛性の高い容器構造が好ましい場合には、容器は、金属、PVCまたはアクリルなどのプラスチック、または使用条件下において所望の形状を維持する他の不溶性材料から製造することができる。
【0103】
システムは、随意で、装置110を交換または再生する時期を示すための可視的表示器、容器から流出する流出物を検知するためのセンサ、および装置110を滅菌および/または再生するための方法のうちの1つ以上を含んでいてもよい。容器は、装置110の使用と交換を容易にするために、処理システムまたは処理流中に挿入し、そこから除去されるように構成することができる。容器の入口および出口は、処理システムまたはプロセス流から除去される時、またはいずれにせよ使用されていない時に、封止されて、容器および装置110の安全な取り扱い、輸送および補完を可能にするように構成することができる。
【0104】
装置110を滅菌するための方法は、装置110を加熱することと、装置110を照射することと、技術上知られるような化学酸化剤を流体流路に導入することのうちの1つ以上を含みうる。装置110を周期的に滅菌する場合、装置110および容器は、処理システムから外して、装置110を容器から取り外す必要なしに、ユニットとして滅菌するとよい。
【0105】
一実施形態において、装置110を汚染物質含有流体の流れに暴露した後、プロセスは、筐体を廃棄のために着座させるために、装置110と入口の間、装置110と出口の間、および装置110と外壁の間の空間の1つ以上に封止剤を導入することをさらに含む。封止剤は、容器を実質的に永久的に封止する任意の材料からなるものであってよい。好ましい封止剤は、熱硬化性高分子材料からなる。さらに、容器は、長期保管を提供するように、または汚染物質含有流体から除去された汚染物質に対する廃棄ユニットとして機能するように、構築することもできる。
【0106】
別の態様において、装置110は、1つ以上の汚染物質を汚染物質含有流体から除去した後に再生することができる。1つの応用において、再生溶液はアルカリ性であり、強塩基からなるものである。強塩基は、アルカリ金属水酸化物、およびアンモニア、アミド、および一級、二級、三級または四級アミンのI族の塩からなるものであってよいが、アルカリ金属水酸化物が好ましく、アルカリ金属水酸化物がさらにより好ましい。特定の理論に拘束されることなく、水酸化物イオンは、高濃度において、不溶性希土類組成物上に吸着した汚染物質の殆どではないにせよ、少なくともいくらかと競争して、交換を行うとされている。一実施形態において、再生溶液は、好ましくは約1〜約15重量%の範囲、より好ましくは約1〜約10重量%の範囲、およびさらにより好ましくは約2.5〜約7.5重量%の範囲、より好ましくは約5重量%の量の原因化合物を含んでいる。
【0107】
再生溶液の好ましいpHは、好ましくは1つ以上の汚染物質が不溶性希土類組成物上に吸着されたpHよりも大きい(たとえば、より塩基性)。再生溶液のpHは好ましくは少なくとも約pH10、より好ましくは少なくとも約pH12、さらにより好ましくは少なくとも約pH14である。
【0108】
別の応用において、第1の再生溶液は、吸着された1つ以上の汚染物質に比べて、不溶性希土類組成物によって、広いpH範囲にわたって、優先的に吸着吸収される、シュウ酸塩またはエタンジオエートからなる。シュウ酸イオンを脱着するための1つのプロセスの変形において、不溶性希土類組成物を、少なくとも約pH9の好ましいpHを有する、さらにより好ましくは少なくとも約pH11の第2の再生溶液に接触させて、シュウ酸塩および/またはエタンジオン酸イオンを、水酸化物イオンによって脱着する。第2の再生溶液に対しては強塩基が好ましい。あるいは、吸着吸収されたシュウ酸塩および/またはエタンジオン酸アニオンは、該吸着吸収されたシュウ酸塩および/またはエタンジオン酸イオンを熱分解して、不溶性希土類組成物から除去するために、少なくとも約500℃の好ましい温度まで加熱してもよい。
【0109】
別の応用において、第1の再生溶液は、リン酸塩、ケイ酸塩、酸化バナジウム、またはフッ化物などのオキシアニオンを強力に吸着させて、吸着吸収された汚染物質を置換することを含む。第1の再生溶液は、比較的高濃度の交換オキシアニオンまたはフッ化物を有する。交換オキシアニオンまたはフッ化物の脱着は、第1の再生溶液とは異なる(より高い)pHおよび/または交換オキシアニオン濃度において行われる。たとえば、脱着は、強塩基を含み、第1の再生溶液中のオキシアニオン濃度よりも低い交換オキシアニオン濃度を有する第2の再生溶液によって行ってもよい。あるいは、交換オキシアニオンを熱分解させて、不溶性希土類組成物を再生してもよい。あるいは、交換オキシアニオンは不溶性希土類組成物または交換オキシアニオンの酸化または還元によって脱着してもよい。
【0110】
別の応用において、再生溶液は、鉄イオン、水素化アルミニウムリチウム、発生期水素、ナトリウムアマルガム、水素化ホウ素ナトリウム、すずイオン、亜硫酸化合物、ヒドラジン(ウォルフ・キッシュナー還元)、亜鉛−水銀アマルガム、水素化ジイソブチルアルミニウム、リンドラー触媒、シュウ酸、ギ酸およびカルボン酸(たとえば、アスコルビン酸などの糖酸)などの、希土類に吸着吸収された標的材料および/または吸着吸収された標的材料含有オキシアニオンを還元するための還元体または還元剤を含む。特定の理論にも例示にも拘束されることなく、不溶性希土類組成物の表面還元は、セリウム(IV)をセリウム(III)に還元し、これにより標的材料およびオキシアニオンとの相互作用の強さが弱まることになるかもしれない。不溶性希土類組成物の表面還元に続いて、または同時に、1つ以上の汚染物質を脱着させるためにpHを高める。
【0111】
別の応用において、再生溶液は、たとえば、ペルオキシゲン化合物(たとえば、過酸化物、過マンガン酸塩、過硫酸塩など)、オゾン、塩素、次亜塩素酸塩、フェントン試薬、分子状酸素、リン酸塩、二酸化硫黄などの、吸着された1つ以上の汚染物質を酸化し、その後pH調整と脱着プロセスが行われる、酸化体または酸化剤を含む。不溶性希土類組成物からの1つ以上の汚染物質の脱着は、たとえば、典型的には少なくとも約pH12、より典型的には少なくとも約pH14のpHで起こる。
【0112】
本発明の別の態様は、1つ以上の不溶性希土類含有組成物を含む膜である。膜は、任意の中空繊維膜であってよい。そのような膜の例としては、逆浸透膜、限外濾過膜などが挙げられる。不溶性希土類含有膜は、モノリスについて上述したように、膜に可溶性希土類含有組成物を含浸させることによって調製することができる。一構成において、少なくとも不完全真空を膜にかけて、希土類含有貴液(上述のような)を減圧下において膜内に吸い込ませることができる。次に希土類含有膜を1)希土類を沈殿させて不溶性希土類を形成する、および2)含浸希土類をさらに反応させてCeOなどの希土類酸化物を形成する、のうちの1つ以上の処理を行う。含浸レアを沈殿させて不溶性希土類を形成する例としては、限定はされないが、含浸希土類膜を水酸化物で処理して、膜内に希土類沈殿を形成することがある。含浸膜をさらに反応させる例としては、限定はされないが含浸膜を強力な酸化体と反応させて、含浸希土類組成物を希土類酸化物に変換することがある。
実施例I
それぞれ25グラムのセリア被覆アルミナを含む4枚のフィルタを20mg/Lのタンニン酸を含むpH約9の30リットルのNSFP231「一般試験水2」で公隙した。セリア被覆アルミナプレフィルタは、水の酸化体要求量を約41ppm(NaOCl)から平均12ppm(NaOCl)まで減少させた。セリア被覆アルミナプレフィルタで処理した水の酸化体要求量は、約75%減少した。この減少した要求量は、4Log10ウィルス除去を与えるのに必要なハロゲン化樹脂の量の減少と言い換えられる。図4は、6mg/Lおよび10分の接触時間によって調査した20gのセリア被覆アルミナ上の腐植酸の保持のグラフ表示である。
実施例II
セリア吸収性媒体は、腐植酸やタンニン酸などの大量の天然有機物を除去するのに有効であることが示されている。有機材料は、速い水流速で、広いpH値の範囲にわたって約30秒未満の短い接触時間で除去された。有機物は、約50m/g以上、約100m/g以上、および約130m/g以上の表面積を有するセリア酸化物粉末によって、水性溶液から除去した。さらに、有機物は、約200m/g以上の表面積を有する酸化セリウム被覆アルミナによって水性流から除去した。さらに、他の支持媒体上に被覆された酸化セリウムまたは約75m/g以上の表面積を有する凝集酸化セリウム粉末は、腐植酸および/またはタンニン酸を水性流から除去した。各例において、セリウム含有材料は、水性流から効果的に有機物を除去して、無色透明の溶液を産生した。しかしながら、有機物含有水を、中空繊維ミクロフィルタとそれに続く活性炭充填ベッド媒体によって処理するか、中空繊維ミクロフィルタによって処理した場合には、有機物含有水中に有機物が実質的に残っていた。上記いずれの場合においても、処理された水は、濁りおよび着色のいずれか一方または両方であり、水中に有機物が存在していることが分かった。中空繊維ミクロフィルタは、約0.2μmの孔径を有していた。
実施例III
フィルタに硝酸セリウム水溶液を含浸させ、含浸フィルタを焼成してCeOを形成することにより、55グラムの珪藻土フィルタに11グラムのCeOを装荷した。珪藻土フィルタは、該フィルタが硝酸セリウム溶液で実質的に飽和されるまで、約1時間〜約24時間、硝酸セリウム溶液で含浸させた。含浸フィルタを温条件下において乾燥させて、硝酸セリウム含浸フィルタから水を蒸発させた。乾燥させたフィルタを2つの異なる条件下で焼成した。
【0113】
一方組の乾燥フィルタは、酸化雰囲気中、約500℃で1時間焼成した。フィルタに、被覆フィルタの質量の約30%に相当するCeOである、約18グラムのCeOを装荷した。フィルタは、約345kPa(50psi)において流速約600mL/分を有し、これは非被覆フィルタに比べて約30%の流速の減少であった。最初のウィルス汚染物質試験は、ウィルス汚染物質除去に対して100%の有効性を示した。フィルタの汚染物質除去容量は、約50リットルの汚染物質含有水を処理した後には失われていた。処理容量の減少は、硝酸セリウムから酸化セリウムへの不完全な変換によるものである違いない。
【0114】
他方組の乾燥フィルタは、700℃で2時間焼成した。フィルタには、約18グラムのCeOを装荷した。フィルタの流速は、約345kPa(約50psi)において約800mL/分であった。一方のCeO装荷フィルタは、約160リットルのウィルス汚染物質含有溶液に対して、約100%のウィルス除去効率を有していた。もう一方のCeO装荷フィルタは、ウィルスと細菌の両方を有する汚染物質含有水によって調べたところ、フィルタは、約60リットルの汚染物質含有水を処理した後に汚染物質の破過を示した。
【0115】
非被覆フィルタの水銀ポロシメトリにより、フィルタが6m/gの孔面積を有すること、すなわち、フィルタが被覆のために利用できる約3,000,000cmを有することが示された。フィルタ上に装荷されたCeOの質量と密度に基づくと、フィルタ上の平均CeO皮膜厚さは約0.005μmである。フィルタの水銀ポロシメトリにより、フィルタの孔の殆ど(すなわち、約95%)が少なくとも約0.1μmであることが示された。CeO平均皮膜厚さとフィルタの孔径を所与として、被覆された孔は、約0.09μmの最小径を有すると予想される。さらに、このデータは、CeO装荷を、装荷フィルタの全質量の約40〜50%を含み、少なくとも殆どが約0.08μmの径を有するように、少なくとも倍加させることができることを示す。
実施例IV
400mLの140mg/L腐植酸溶液(NSFP248要件の5倍を超える)を約12.3cmの容積の酸化セリウムを含むカラムに通過させた。カラム流出物は、視認できる色はもたず、流出物の分光光度計分析により、腐植酸除去容量は約93%であることが示された。バッチ分析実験からは、16.41cm(約1立方インチ)の酸化セリウムベッド深さあたり、約175mgの腐植酸除去容量であることが示された。
【0116】
本発明の多数の変形および変更を用いることができる。他のものを与えることなく、本発明のいくつかの特徴を提供することができるであろう。
液体に言及して様々なプロセスについて検討してきたが、プロセスは、ガスなどの他の流体に適用することができることが認識されよう。ヒ素含有ガスの例としては、精錬排ガスおよび焙焼排ガス、ならびに実用排煙などが挙げられる。
【0117】
本発明は、様々な実施形態、構成または態様において、様々な実施形態、構成、態様、それらのサブコンビネーション、およびサブセットを含む本明細書に実質的に図示および記載した、要素、方法、プロセス、システムおよび/または装置を含む。当業者であれば、本開示を理解した後に、本発明の作成および使用の仕方を理解するであろう。本発明は、様々な実施形態、構成または態様において、本明細書中に図示および/または記載のない項目の非存在下において、または、たとえば性能を高めるため、容易さを達成するため、および/または実施のコストを低減するために、前述の装置またはプロセスにおいて使用されたかもしれない、そのような項目の非共存下を含めた、様々な実施形態、構成、または態様において、装置およびプロセスを提供することを含む。
【0118】
本発明の上記の議論は、説明と記載の目的で行ってきた。上記は、本発明を本明細書中に開示した形態に限定することは意図しない。たとえば上述の詳細な説明において、本発明の様々な特徴が、開示の合理化を目的として、1つ以上の実施形態、構成または態様においてグループ化されている。本発明の実施形態、構成または態様の特徴は、上記で議論したのとは別の実施形態、構成、または態様において組み合わせてもよい。この開示の方法は、特許請求の範囲に記載の発明が各請求項において明白に列挙した以上の特徴を要求するという意図を反映するものと解釈されるものではない。そうではなく、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の態様は、単一の上記開示された実施形態、構成、または態様のすべての特徴未満のところにある。したがって、以下の特許請求の範囲は、この詳細な説明に組み込まれるが、各請求項は本発明の別個の好ましい実施形態としてそれ自身の上に立っている。
【0119】
さらに、本発明の記載は、1つ以上の実施形態、構成または態様および特定の変形および変更の説明を含んでいたが、他の変形、組み合わせ、および変更は、たとえば、本開示を理解した後に当業者の技術および知識の範囲内となりうる、本発明の範囲内である。代替の実施形態、構成または態様を許容される程度まで含む権利を得ることが意図され、特許請求の範囲に記載されたものに対する代わりの交換可能および/または同等の構造、機能、範囲または工程を、該代わりの交換可能および/または同等の構造、機能、範囲または工程が本明細書に開示されているか否かにかかわらず含むことを意図し、任意の特許性のある主題を公然とささげることは意図していない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
複数の相互接続された細孔、進入面、および退出面を有する透過性モノリスであって、汚染物質含有流体が、退出面を通して排出されるように相互接続細孔内を流れることができるように、進入面と退出面とが相互接続細孔を介して連通する透過性モノリスと、
汚染物質含有流体から汚染物質を除去する、相互接続細孔内の不溶性希土類組成物とを含む装置。
【請求項2】
不溶性希土類は、薄膜および複数の粒子のうちの少なくとも一方の形態である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
不溶性希土類は薄膜からなり、薄膜は約2nm〜約50nmの厚みを有する請求項1に記載の装置。
【請求項4】
不溶性希土類は、モノリス1グラムあたり少なくとも約5mの薄膜表面積を有する薄膜からなる請求項1に記載の装置。
【請求項5】
不溶性希土類組成物は、約115m/gを超える平均表面積を有する粒子からなる請求項1に記載の装置。
【請求項6】
不溶性希土類組成物はセリウムからなる請求項1に記載の装置。
【請求項7】
不溶性希土類組成物は、セリウム(IV)酸化物(CeO)およびセリウム(III)酸化物(Ce)のうちの少なくとも一方からなる請求項1に記載の装置。
【請求項8】
不溶性希土類組成物は、装置の約1重量%〜約65重量%を構成する請求項1に記載の装置。
【請求項9】
不溶性希土類組成物は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびルテチウムのうちの1つ以上からなる請求項1に記載の装置。
【請求項10】
モノリスは、セラミック材料からなる請求項1に記載の装置。
【請求項11】
セラミック材料は、無機晶質酸化物材料、無機非晶質酸化物材料、またはそれらの組み合わせのうちの1つである請求項10に記載の装置。
【請求項12】
セラミック材料は、石英、長石、カオリン粘土、陶土、粘土、アルミナ、シリカ、ムライト、シリケート、カオリナイト、球状粘土、骨灰、ステアタイト、ペツンツエ、アラバスター、ジルコニア、炭化物、ホウ化物、ケイ化物、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上からなる請求項10に記載の装置。
【請求項13】
セラミック材料は、シリカ、アルミナおよびそれらの組み合わせのうちの1つからなる請求項10に記載の装置。
【請求項14】
相互接続細孔は、約0.05μm〜約1.0μmの平均細孔径を有する請求項1に記載の装置。
【請求項15】
方法であって、
複数の相互接続された細孔を有するモノリスを希土類含有溶液と接触させて、希土類含浸モノリスを形成する工程であって、相互接続細孔は複数の流体経路を形成し、希土類は流体経路の実質的に全長にわたって含浸される工程と、
含浸モノリスを焼成して、複数の希土類被覆経路を有する希土類被覆モノリスを形成する工程であって、被覆希土類は不溶性希土類組成物の形態である工程とを含む方法。
【請求項16】
希土類含有溶液は、希土類の炭酸塩、硝酸塩、ヨウ素酸塩、硫酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、およびシュウ酸塩のうちの1つを含み、希土類含有溶液は水性溶液である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
希土類含有溶液は、セリウムの炭酸塩、硝酸塩、ヨウ素酸塩、硫酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、およびシュウ酸塩のうちの1つを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
接触工程は、スプレー塗布、カーテン塗布、浸漬、キス塗布、および大気圧を超える圧力下での塗布のうちの1つからなる請求項15に記載の方法。
【請求項19】
接触工程は、モノリスを希土類含有溶液中に浸漬することからなる請求項15に記載の方法。
【請求項20】
浸漬工程は、約1時間〜約48時間の期間である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
接触工程の後かつ焼成工程の前に、含浸モノリスを乾燥させて、モノリスの相互接続細孔内に乾燥レア薄膜を形成する工程をさらに含み、乾燥時間は約10分〜約24時間である請求項15に記載の方法。
【請求項22】
焼成工程は、モノリスを約250℃〜約900℃の温度に加熱することを含み、モノリスは酸素の存在下に加熱される請求項15に記載の方法。
【請求項23】
焼成工程は不溶性希土類組成物を形成し、不溶性組成物はモノリスの相互接続細孔内にあり、不溶性希土類組成物は、被覆モノリスの約1重量%〜約65重量%を構成する請求項15に記載の方法。
【請求項24】
不溶性希土類組成物は薄膜からなり、薄膜は約2nm〜約50nmの薄膜厚を有する請求項23に記載の方法。
【請求項25】
不溶性希土類組成物は、モノリス1グラムあたり少なくとも約5mの薄膜表面積を有する薄膜からなる請求項23に記載の方法。
【請求項26】
不溶性アース組成物は粒子からなり、粒子は約115m/gを超える平均表面積を有する請求項23に記載の方法。
【請求項27】
不溶性希土類酸化物薄膜はセリウムからなる請求項23に記載の方法。
【請求項28】
方法であって、
不溶性希土類組成物からなる多孔性モノリスの進入面を汚染物質含有流体と接触させる工程と、
モノリス内において、汚染物質含有流体を退出面まで通過させる工程とを含み、モノリス内に汚染物質含有流体を通過させる工程は、汚染物質含有流体内に含まれる汚染物質の1つ以上を実質的に除去して、精製流体と汚染物質装荷希土類組成物とを形成し、精製流体は退出面においてモノリスを退出する方法。
【請求項29】
i)接触工程前に汚染物質含有流体を加熱する工程、および
ii)接触工程中に汚染物質含有流体およびモノリスを加熱する工程
のうちの少なくとも一方をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
接触工程中に流体に圧力を加えることをさらに含む請求項28に記載の方法。
【請求項31】
汚染物質含有流体に含まれる1つ以上の汚染物質は、不溶性希土類組成物によって除去される請求項28に記載の方法。
【請求項32】
不溶性希土類組成物は、セリウム(IV)酸化物(CeO)およびセリウム(III)酸化物(Ce)のうちの少なくとも一方からなる請求項28に記載の方法。
【請求項33】
1つ以上の汚染物質のうちの少なくとも1つは、化学汚染物質、生物汚染物質、マイクローブ、微生物およびそれらの混合物のうちの1つからなる請求項28に記載の方法。
【請求項34】
汚染物質装荷希土類組成物は、REXおよびREOXのうちの1つからなり、ただし、REは希土類元素からなり、OはO2−からなり、Xは汚染物質または汚染物質の残留物のうちの1つからなる請求項28に記載の方法。
【請求項35】
汚染物質含有流体は、液体流体、ガス状流体、および液体流体とガス状流体の組み合わせのうちの1つからなる請求項28に記載の方法。
【請求項36】
多孔性モノリスは、複数の孔および空隙容量を有する多孔性セラミックからなる請求項28に記載の方法。
【請求項37】
不溶性希土類組成物は、モノリスの孔および空隙容量内にあり、不溶性希土類組成物は、モノリスの約1重量%〜約65重量%を占め、不溶性希土類組成物は、約1nm〜約50nmの薄膜厚、およびモノリス1グラムあたり少なくとも約5mの薄膜表面積のうちの少なくともいずれか一方を有する薄膜からなる請求項28に記載の方法。
【請求項38】
システムであって、
対向する第1の端部および第2の端部、入口、出口、および第1の端部と第2の端部との間に延び、入口と出口との間の流体経路を包囲する外壁を有する筐体からなる容器と、
筐体内に配置された不溶性希土類組成物を含む多孔性かつ透過性のモノリスと
を含み、多孔性かつ透過性のモノリスは、汚染物質含有流体を処理するための不溶性希土類組成物と、進入面と、退出面とを含み、進入面および退出面は多孔性モノリスを通って延びる複数の流体経路によって相互接続され、進入面は入口に動作可能に相互接続され、退出面は出口に動作可能に接続されることにより、汚染物質含有流が入口から進入面を通り、複数の流体経路を通り、精製流体が出口から排出するように退出面へ流れるシステム。
【請求項39】
不溶性希土類組成物は、セリウム(IV)酸化物(CeO)およびセリウム(III)酸化物(Ce)のうちの少なくとも一方からなり、不溶性希土類組成物は、モノリスの流体経路内にあり、不溶性希土類組成物はモノリスの約1重量%〜約65重量%を構成し、不溶性希土類組成物は、約2nm〜約50nmの薄膜厚、およびモノリス1グラムあたり少なくとも約5mの薄膜表面積のうちの少なくともいずれか一方を有する薄膜からなる請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
不溶性希土類組成物は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびルテチウムのうちの1つ以上からなる請求項38の記載のシステム。
【請求項41】
モノリスはセラミック材料からなり、セラミック材料は、無機晶質酸化物材料、無機非晶質酸化物材料、またはそれらの組み合わせのうちの1つである請求項38に記載のシステム。
【請求項42】
容器は、直列、並列およびそれらの任意の組み合わせで構成された1つ以上のモノリスからなる請求項38に記載のシステム。
【請求項43】
容器は、金属、プラスチック、PVCおよびアクリルのうちの1つからなる請求項38に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−520764(P2012−520764A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500892(P2012−500892)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/027497
【国際公開番号】WO2010/107804
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(510120056)モリーコープ ミネラルズ エルエルシー (5)
【氏名又は名称原語表記】MOLYCORP MINERALS LLC
【Fターム(参考)】