説明

水に不溶な活性剤を含む医薬的成形

医薬組成物を調製する方法が、第1の溶媒、第2の溶媒、活性剤、および賦形剤を含む。第2の溶媒が第1の溶媒より極性が低く、そして賦形剤が活性剤より水中において有意な溶解性がある。第1及び第2の溶媒が、溶液から除去され活性剤及び賦形剤を含む粒子を成形する。1方法において賦形剤が、アミノ酸及び/又はリン脂質を含む。本発明の1方法により成形された医薬成形物が、活性剤、および活性剤を少なくとも1部包含する賦形剤を含む粒子を含み、ここで賦形剤が活性剤より水中で有意な溶解性がある。薬剤を含み、好ましくは水に不溶な薬剤を含むアルコール水溶性溶液、アミノ酸、そして/又はリン脂質が、噴霧乾燥される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本発明は、一般な水に不溶な活性剤を含む微粒子薬剤導入組成物、およびその導入組成物の製造方法に関する。本発明は、医薬的に適用する粒子の生成に特に適している。
患者へ効果的な治療処置が必要性なため、各種の医薬成形物の導入技術が、発展してきた。従来の関係技術の1つは、錠剤、カプセル、エリキシル剤などの形状にて、医薬成形物を経口導入することである。
【0002】
しかしながら、経口導入が望ましくない場合がある。たとえば多くの医薬成形物が、体内に有効に吸収される前に、消化管で分解される場合がある。患者の呼吸器官へ成形物を導入するよう、噴霧される医薬成形物が、患者へ経口又は鼻より吸入されるような、吸入可能な薬剤の導入は、特に有効でそして/又は所望の選択肢であることがわかった。たとえば、1の吸入技術では、噴霧化された医薬成形物が、喘息、肺気腫、及び嚢胞性線維症など肺疾患の治療に、肺などの呼吸気管部へ局部的な療法的治療又は予防処置を提供する。別の吸入技術における医薬成形物は、患者の肺内深く導入され、その成形物が、疾患の総合的な治療又は予防のため血流内に吸収できる。
【0003】
多くの種類が存在する噴霧化デバイスでは、医薬成形物の乾燥粉末を噴霧するデバイス、プロペラント内に又はプロペラントにより保持された液体又は粉末医薬成形物を含むデバイス、液体又は懸濁医薬成形物を噴霧するための圧縮気体を使用するデバイス、およびそれらの類似デバイスがあげられる。しかしながら安定で再生可能に噴霧でき、水に不溶な活性剤の成形物が、難しい作業であることが分かった。
【0004】
たとえば不溶な活性剤を含む液体成形物では、治療剤の投与容量を容易にするために濃度を十分高くして導入することができない。不溶性薬剤を含む医薬成形物の製造でこれまでの試みでは、微細化、ミーリング、高圧による均質化、および超音波により薬剤の結晶サイズを減少させるか、又はエマルジョン、マイクロエマルジョン、固体脂質超微細粒子、およびシクロデキストリンの使用など、溶解性の悪い薬剤を溶解できるようにすべき薬剤導入担体又は複合体を生成させることが、あげられる。しかしながらこれらの溶液は、しばしば非常に高価であり、そしてしばしば悪い結果となる。
【0005】
不溶な活性剤を含む医薬的成形物を成形する技術の1は、不溶な活性剤の小粒子をマトリックス物質中に組み入れることを含み、それがPCT/US2003/041703に記載され、その全体において引用により本明細書に取り入れられている。
【0006】
次にマトリックス物質を、液体供給材料(feedstock)中で懸濁し、噴霧乾燥し、マトリックス物質と不溶な活性剤の粒子を含む固体粒子が形成される。しかしながらこの方法は、しばしばミ-リング(milling)工程、又はその外に活性剤の粒子サイズを減少させる工程を含む。特定活性剤に対し所望の量でサイズを減少させることが困難である。加えて特定活性剤に対するサイズ減少方法が、活性剤を変化させ、さらに活性剤の安定性を減少させる可能性がある。
【0007】
疎水性活性剤そして/又はエタノール及び水などの共-溶媒を含む供給材料(feedstock)の噴霧乾燥が、たとえば米国特許番号5,976,574,5,985,248,及び6,001,336に記載されており、その全てが、引用によりその全体を本明細書に組み入れられている。しかしながら水溶性の乏しい幾つかの活性剤を、共-溶媒噴霧にて乾燥させると、しばしば所望する粒子特性より劣る粒子特性となる。たとえば、成形に使用できる適切な賦形剤の選択が限定されていることにより、共溶媒の噴霧乾燥により生成された水溶性に乏しい活性剤を含む粒子が、所望の噴霧特徴より劣っていることを示した。
【0008】
それに加えさらに被覆層で被覆された活性剤を含む粒子を提供することが、時には望ましい。被覆層が粒子の分散性の改良に有効である。さらに被覆層は、活性剤が、経口にて溶解する錠剤として又は噴霧可能な粉末として、経口投与用量の形状にて投与される場合、活性剤の味を遮断ために提供できる。さらに、活性剤の持続される放出特性を提供するように、被覆処理を活性剤へ適用することができる。しかしながら、水に不溶な活性剤を被覆することが困難である。
【0009】
そのために、水に不溶な活性剤、とより水溶性の高い賦形剤を含む医薬成形物を調製できることが望ましい。水に不溶な活性剤を、高い分散性、噴霧化能力、そして/又は被覆方法で成形することがさらに望ましい。水に不溶な活性剤を、活性剤の安定性を増大させる方法で成形することがさらに望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の要約
本発明はこうした要望を満たすものである。本発明の1の観点において改良された方法が、水に不溶な活性剤を含む粒子を製造するために提供される。
本発明の1の観点において医薬成形物を調製するための方法は、第1の溶媒、第2の溶媒、活性剤及び賦形剤を含む溶液を提供することを含み、ここで第2の溶媒が第1の溶媒より低い極性で、ここで賦形剤が活性剤より水に良く溶け、さらに賦形剤がアミノ酸、および/又はリン脂質を含み、そして第1の溶媒及び第2の溶媒を除去し活性剤及び賦形剤を含む粒子を成形する。
【0011】
本発明の別の観点において、医薬成形物を調製する方法は、第1の溶媒、第2の溶媒、活性剤及び賦形剤を含む溶液を提供することを含み、ここで第2の溶媒は第1の溶媒より極性が低く、そしてここで賦形剤が活性剤より水中で有意に溶解し、そして第1の溶媒及び第2の溶媒を除去し活性剤及び賦形剤を含む粒子を形成し、ここで少なくとも20%の粒子が、Anderson Cascade Impactorにおいて重量的に決定された時に、3.3μmより小さい空気力学的直径を有する。
【0012】
本発明の別の観点において、医薬成形物が、活性剤及び活性剤を少なくとも1部カプセル化した賦形剤を含む粒子を含み、ここで賦形剤が活性剤より水に有意に溶解する。
本発明の別の観点において、医薬成形物が、第1の溶媒、第2の溶媒、活性剤及び賦形剤を含む溶液を提供することを含み、ここで第2の溶媒は第1の溶媒より極性が低く、そしてここで賦形剤が活性剤より水中で有意に溶解し、そして第1の溶媒及び第2の溶媒を除去し活性剤及び賦形剤を含む粒子を成形し、ここで少なくとも20%の粒子が、Anderson Cascade Impactorにおいて比重量的(gravimetrically)に決定された時に、3.3μmより小さい空気力学的直径を有する。
【0013】
説明
本発明は、水に不溶な活性剤を含む微粒子薬剤導入組成物、およびこれらの製造方法に関する。本発明は、特に医薬的に適用する粒子の成形に特に適している。本方法が、噴霧化及び経口投与の医薬成形物の内容を図示されているが、本発萌は別の方法で使用することができ、本明細書に提供される例に限定すべきでない。
【0014】
定義
ここで使用されるように、「活性剤」とは、ある種の薬理的で、しばしば有益な効果を提供する作用薬、薬物、化合物、組成物の組成物又はその混合物を含む。本効果は、治療効果や予防効果などの医療的効果である。これには、食料、食料補助剤、栄養物、薬物、ワクチン、ビタミン、および他の有益な薬剤などがあげられる。本明細書に使用されるように「活性剤」は、患者の局部的又は全身的な効果を形成するいずれかの生理学的に、又は薬理学的な活性物質を含む。
【0015】
たとえば導入可能な活性剤は、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗癩痛剤、鎮痛剤、抗炎症剤、気管支拡張剤、及びウイルスを含み、末梢神経、アドレナリン作動受容体、コリン受容体、骨格筋、心血管系、平滑筋、血液循環系、シナプス部位、神経効果器接合部位、分泌とホルモン系、免疫系、生殖系、骨格系、オータコイド系、消化と排泄系、ヒスタミン系、および中枢神経系に作用する薬物を含む無機および有機化合物にて可能であるが、これに限定されるものではない。たとえば適切な薬剤が、多糖類、ステロイド類、催眠薬と鎮静剤、精神賦活薬、精神安定剤、抗痙攣薬、筋弛緩薬、抗パーキンソン作用薬、抗炎症薬、筋肉収縮薬、抗菌物質、抗マラリア薬、避妊薬を含むホルモン作用薬、交感神経興奮剤、ポリペプチド、そして、生理的影響を誘発する蛋白質、利尿剤、脂質調節剤、抗男性ホルモン作用薬、駆虫剤、新生物類、抗新生物薬、低血糖薬、栄養的な作用薬と補助食品、成長補助食品、脂肪、抗腸炎作用薬、電解質類、ワクチン、および診断剤から選択することができる。
【0016】
この発明に有用な活性剤の例としては、ボセンタン、フオルモテロール、ロラチジン、サルメテロール、などの呼吸器支持剤としての活性剤;ブデソニド、テストステロン、メチル・テストステロン、黄体ホルモン、ジヒドロキシエピアンドロステロン、メドロキシプロゲステロン、エストロゲン、フルニソリド、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルテカゾン、モメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾンなどのステロイド類及びそれらの塩;シクロスポリンやその他水に不溶なペプチドなどのペプチド類;全シス・レチノイン酸、全トランス・レチノイン酸、13一トランス・レチノイン酸、および他のビタミンA、およびβカロチン誘導体などのレチノイド;ビタミンD、E、とK、および水に不溶な前駆体及びその誘導体; プロスタグランジン及びロイコトリエンそしてプロスタサイクリン(エポスタノール)、およびプロスタグランジンEl及びE2を含むこれらの活性剤と抑制剤;テトラヒドロカンナビノール、メタドン、ニコチン、アンフェタミン;肺界面活性脂質、脂質可溶性酸化防止剤);アシクロビル、アドリアマイシン、アルベンダゾール、アンホテリシンB、アムプレナビル、アジスロマイシン、セフジニル、セフティシジム、セフタジジム、シプロフロキサシン、クラリトリロマイシン、ジダノシン、ジリスロマイシン、エファビレンツ、ガンシクロビル、ゲンタマイシン、イントラコルチゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、メフロキン、メトロニダゾール、ミコナゾール、ネルフィナビル、ノルフィオクサチン、リトナビル、サキナビル、テノフォビル、ボリコナゾールなどの抗感染性で化学療法的薬物;クロザピン、クロナゼパム、エンタカポン、フルフェナジンデカノエート、フルボキサミン、イミプラミン、ミダゾラム、オランザピン、パロキセチン、セルトラリン、スルピンド、トリアゾラム、ザレプロンなどの中枢神経系活性剤;エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン酒石酸塩、エルゴロイド、エルゴタミン・フェンタニル;スマトリプタン、ゾルミトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、フロバトリプタン、などのトリプタン類とそれらの塩類;ツァフィルカスト、モンテルカストとツィロイトンなどの受容器拮抗阻害剤;セレコキシブ、ジクロフェナク、イブプロフェン、ナブメトン、トラマドールなどの鎮痛薬;アレンドロネート、アミオダロン、カンデサルタン、カルベディロール、クロピドグレル、ディピリダモール、エポサルタン、フェロジピン、フロセミド、イスラディピン、メトラゾン、プロパフェノン、キナプリル、ラミピプリル、スピロノラクトン、トラドールアプリル、バルダルタンなどの心血管徴候用活性剤;セリビスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチンなどのスタチン類;アザチオプリン、カルボプラチンIV、シスプラチン、ドセタキセル、エポトシド、フルオロウラシル、イリノテカン、レトロゾール、メルファラン、ミトタン、パクリタキセル、ピメクロリムス、シロリムス、タクロリムス、バイルビシンなどの腫瘍学と免疫抑制に使用される活性剤などがあげられるがそれに限定されず、他の活性剤としては、アクトレチン、アトムオグルセミド、アンフェタミン、アトバクオン、バクロフェン、ベネゼプリル、ベンゾナテート、ビカルタニド、ブプロピオン、ブスルファン、ブテナフイン、カルシフェジオール、カルシプロテイエン、カルシトリオール、カムプトセカン、カルバメゼピン、カロチン、チオールフェニラミン、コレカルシフェローヲレ、シロスタゾール、シメチジン、シンナリジン、シサプリド、シトリジン、クレマスチン、クロミフェン、クロミプラミン、コデイン、ダントロレン、デクスクロフェニラミン、ジクマリン、ジゴキシン、ジヒドロタキステロール、ドネペジル、ドロナビノール・エルゴカルシフェロール、エチニル・エストラジオール、エトドラック、エトポシド、ダナゾール、ファモチジン・フェノフィブレート、フェンタニル、フェクソフェナジン、フィナステリド、フルカナゾール、フルルビプロフェン・フォリトロピン、ホスフェニチオン、フラゾリドン、ガバペンチン、ゲムフィプロジル、グリベンクラミド、グリピジド・グリブリド、グリメプリド、グリセオフルビン、ハロファントリン、イルベサルタン、イソソルビディデナトレート・イソトレチノイン、アイバメクチン、ケトロラック、ラモトリジン、ラノスプラゾー・ル、レフルノミド、リシノプリル、ロペラミド、L一チロキシン、メフェプリストン、メゲストロル、メトキサレン、ミグリトル、ミノキシジル、ミトキサントロン・モダフィニル・ニモジピン、ナルブフィン、ニフェジピン、ニルソルジピン、ニルウタニド、ニトロフラントイン、ニザチジン・オメプラゾール、オプレベルキン、オステラジオール、オキサプロジン、パリカルシトル、ペンタゾシン、ピオグリタゾン、ピゾフェチン、プロブコル、プロポフォル、疑似エフェドリン、ピリドスチグミン、ラベプラゾール、プロキシフェン・レフォコキシブ、レパグリニド、リファブチン、リファペンチン、リメクソロン、ロシギルタゾン、シブトラミン・シルデナフイル、タクリン、タモキシフェン、タムスロシン、タルグレチン、タザロテン、テルミザルタン、テニポシド・テルビナフィン、テルゾシンサリドマイド、チアガビン、チクリドピン、チロフィブラン、チザニジン、トピラメート・トポテカン、トレミフェン、トレチノイン、トログタゾン、トロバフロキサシン、ベンラファクシン、ベルトポルフィン・ビガバトリン、ゾルピデム、ゾピクロン、およびその組合せがあげられるが、それに限定されない。
【0017】
活性剤は又は分子複合体又は医薬的に受け入れ可能な塩類の成分を、荷電分子か又は非荷電分子など様々の形態にて可能である。活性剤が天然に形成する分子でも良く、あるいは再組み合わせにより生成された分子でも良く、あるいは、1又は複数のアミノ酸を追加又は削除された天然に生成されるか又は再組み換えにて生成された活性剤の類似物でも良い。
本発明の活性剤は、医薬的担体や賦形剤を結合せることができる。こうした担体や賦形剤は、患者に導入される粉末にて濃縮した活性剤を減少したい場合に単に混合剤(bulking agents)として用いるか、又は味覚の隠蔽を処理する前に、そして/又は粉末の安定性及び/又は分散性を改良するために活性剤に添加できる。
【0018】
他の例において賦形剤は、たとえば臨床試験において活性剤でなく偽薬として、肺経路より導入可能である。こうした賦形剤は、(a)炭水化物、例えば果糖、ガラクトース、グルコース、D一マンノース、ソルボースなどの単糖類;ラクトース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類;2-ヒドロキシプロピール-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン;ならびにラフィノース、マルトデキストリン、デキストランなどの多糖類;(b)アラニン、プロリン、グリシン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、リジン、ロイシン、トリロイシンなどのアミノ酸;(c)クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸ナトリウム、トロメサミン塩酸塩などの有機酸と有機塩基から調製された有機塩類;(d)アスパルテーム、人間の血清アルブミン・ゼラチンなどのペプチドとタンパク質;(e)マニトール、キシリトールなどのアルジトール;(f)ポリビニルピロリドンまたはセルロース誘導体などの生物的に分解可能な重合体、そして、(g)飽和および不飽和脂質、非イオン洗剤、非イオンブロック共重合体、イオン界面活性剤、およびその組合せ物質などのフッ素化および非フッ素化化合物を含む界面活性剤があげられるが、それに限定されない。
【0019】
好ましい賦形剤の群には、ラクトース、トレハロース、ラフィノース、マルトデキストリン、グリシン、アラニン、プロリン、ロイシン、トリロイシン、クエン酸ナトリウム、人間の血清アルブミン、マニトール、およびリン脂質があげられ、それらは、好ましくは約40℃より高い温度にて液晶相へゲルを遷移させる自然資源と合成資源との両方からものである。好ましいリン脂質は、比較的長い連鎖(すなわちC16-C22)の飽和脂質、より好ましくは飽和リン脂質を含み、最も好ましくは、16:0または18:0(パルミトイルとステアロイル)のアシル鎖の長さを有する飽和ホスファチジルコリンである。
【0020】
典型的リン脂質は、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステロイルホスファチジルコリン、ジアラキドイルホスファチジルコリン、ジベヘノイルフホスファチジルコリン、ジホスファチジルグリセロール、短鎖ホスファチジルコリン、長鎖飽和ホスファチジルエタノールアミン、長鎖飽和ホスファチジルセリン、長鎖飽和ホスファチジルグリセロール、および長鎖飽和ホスファチジルイノシトールのようなホスホグリセリドを含む。
【0021】
本明細書に用いられる用語「乾燥」とは、粉末粒子が、室温にて物理的及び化学的に保存が安定である湿気そして/又は残留する溶媒含量を有する意味である。特定の例において、粒子の湿気及び残留する溶媒含量が、10重量%以下である。特別な例において、水分の含水量が5重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、または約1重量%より低いか、あるいはそれ以下でも良い。湿気及び残留の溶媒含量は、以下詳細に記載されているように、通常乾燥条件によって調節される。
【0022】
本明細書に用いられる用語「放出投与量」又は「ED」は、粉末ユニット又は保存器から放出又は分散が行われた後、適切な吸入器から乾燥粉の導入を測定することを指す。EDは、名目上の投与量(すなわち、放出の前に適切な吸入器装置に入れられた単位投与量当りの粉末の重量)対吸入器装置にて導入される投与量との比(以下詳細に記載)として定義される。EDは実験的決定量であり、一般的に患者への投与を擬似的に構成するin-vitroデバイスを用い、典型的に決定される。ED値を決定するために、乾燥粉末の名目的な投与量(上記定義のように)を、適切な乾燥粉末吸入器に入れ、次に作動させて、そしてその粉末を分散させる。
その結果生ずる噴霧クラウド(aerosol cloud)は、装置から真空にて吸引され、ここでその噴霧クラウド(aerosol cloud)が、装置の口金に取り付けられた平衡秤量フイルター(tared filter)上に捕捉される。フイルターに達する粉末質量は、導入投与量を構成する。吸入器デバイスに入れられた乾燥粉末を含むブリスター包装で、例えば5mgの場合、もし粉末の分散により上記平衡秤量フイルター(tared filter)上の粉末の回収が4mgとなった場合、乾燥粉末組成物のためのEDが、4mg(導入された投与量)/5mg(名目投与量)x100% = 80%である。本発明による組成物が、少なくとも40%の放出投与量を含み、好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは少なくとも75%を含む。
【0023】
本明細書に使用される用語「質量の中央値の空体力学直径」(「MMAD」)が、分散した噴霧粒子の空気力学的サイズの測定である。この空気力学的直径は、その動きを安定化させるため噴霧化された粒子の記載に用いられ、そして質問における粒子として、一般的に空気中において、同じ安定速度を有する単位密度の球体の直径である。空気力学的直径が、粒子の形状、密度、および物理的サイズを包含する。
【0024】
MMANが、カスケード衝撃により決定される噴霧された粒子の採集した空気力学的粒子サイズの分布における中間点又は中間値を指している。本発明の極微細な乾燥粉末は、MMADで望ましくは1-5μmの範囲内を含む。
本明細書に用いられる用語「受動式乾燥粉末吸入器」は、患者の吸入努力により装置内に含まれる薬剤成形物の分散させ、そして噴霧化させる吸入デバイスで、そして圧縮気体及び振動素子又は回転素子などの薬剤成形物を分散及び噴霧するためのエネルギーを提供する手段を含まない吸入デバイスを指している。
【0025】
本明細書に使用されるように、用語「極微細な乾燥粉末」は、以下に記載する特徴を有する複数の個別乾燥粒子を含む粉末組成物の意味である。特に乾燥粒子では、平均粒子サイズが、50μm以下、望ましくは10μm以下、そしてもっとも望ましくは0.4.5μmの範囲など5μmより小さいサイズとなる。粉末の平均粒子サイズは、質量中央値直径(MMD)として従来技術にて測定される。粉末は吸入デバイス内で容易に分散可能であり、次に粒子が肺内に貫通できるように患者が続けて吸入することができる。選択肢として極微細乾燥粉末は、経口投与される場合、経口投与の用量形状から個々の微粒子へ容易に分散可能である。
【0026】
本発明の例により生成される極微細乾燥粉末組成物は、全身的に作用する薬剤を肺へ導入する肺の肺胞領域を標的とすることができ、そして/又は局部作用薬剤として肺中心及び上部気道を標的とすることを可能にする分散可能な粒子サイズを有することである。都合の良いことにこうした組成物が、さらにサイズを分類することなく単位投与用量に、そして他の形状に組み入れることができる。
【0027】
一例において、極微細乾燥粉末が、少なくとも90重量%の粉末が、0.1μm乃至7μmの範囲の平均サイズを有し、望ましくは少なくとも95%が、0.4μm乃至5μmの範囲にある粒子を含むサイズ分布を有する。さらに本例において、粒子サイズの分布が、極めて微細な平均粒直径、すなわち0.4μmより小さい、又はより大きな直径、すなわち10μmを超える粒子を過剰量有することを回避ことが望ましい。本明細書に使用されるように、用語「水に不溶な活性剤」または「不溶性活性剤」は、25℃の水に5mg/mlより少なく、好ましくはl mg/mlより少なく、最も望ましくは0.l mg/mlより少ない溶解性を有する活性剤を指している。
【課題を解決するための手段】
【0028】
詳細な説明
本発明により、水に不溶な活性剤を含む医薬成形物を調製する。1の形態において、水に不溶な活性剤及び1又は複数の賦形剤を、液体又はスラリーに溶解又は1部溶解する。次に液体を除去し水に不溶な活性剤及び賦形剤を含む粒子を形成する。1の形態において、賦形剤が活性剤より水における溶解性がある。本形態において、液体は、不溶な活性剤と賦形剤を最適に溶解するよう選択された比率にて2以上の溶媒を含む。
【0029】
1の形態において液体が、第1の溶媒と第2の溶媒を含み、第1の溶媒が比較的高い極性を有し、そして第2の溶媒が第1の溶媒より低い極性を有す。たとえば1の形態において、第1の溶媒が水及び/又は酢酸などの有機酸を含み、そして第2の溶媒は、アルコール、アミン、アルデヒド、ケトン、エステル、ハライド、アロマテック、および/又はアルカンを含む。
【0030】
第1の溶媒が、水及びC1乃至C6のアルコール、又はアセトンなどのヒドロキシ溶媒を含む。1の特定の形態において、活性剤及び1又は複数の賦形剤を最適に溶解するよう選択された割合において、第1の溶媒が水であり、そして第2の溶媒がエタノールである。
いったん溶液が形成されると、液体を除去し活性剤及び1又は複数の賦形剤を含む粒子を形成する。たとえば液体を噴霧乾燥し、液体を凍結乾燥し、液体を抽出することにより、又は粒子を液体から沈殿させることにより除去できる。液体の除去条件が、所望の特徴を有する粒子を生成するために選択できる。
【0031】
本発明の1の形態により、水に不溶な活性剤含有粒子を、噴霧乾燥することで調製した。吸入のための微細粉末を生成する噴霧乾燥方法が、米国特許番号5,976,574; 5,985,248; 6,001,336; 6,051,256; 6,077,543; 6,423,344; 5,622,657; 5,723,269; 6,149,941及び6,165,511、およびPCT公開広報 WO96/32149; WO99/16419; WO 0l/00312; WO 0l/85136;WO 02/09669およびWO 97/13503に開示され、そしてその全てがこれら全体において引用により本明細書に組み入れられている。
【0032】
噴霧乾燥が、種々の液体及びスラリー開始物質から乾燥した粒状固体を生成するために用いられるユニット操作方法である。本発明において、液体又はスラリー開始物質が、上記第1及び第2溶媒、水に不溶な活性剤、および所望による1又は複数の賦形剤を含む。第1及び第2の溶媒が、乾燥粉末に特徴付けられる所望の粒子を与えるための噴霧乾燥処理中に、組成物の共沸点又は共沸点近辺の組成物で保持される。
【0033】
供給材料(feedstock)の共沸条件による制御が、噴霧乾燥処理パラメータに基づく供給材料(feedstock)を成形することにより、あるいは選択肢として供給材料(feedstock)成形に基づく噴霧乾燥処理パラメータの設定により提供される。本発明の本実施例の共溶媒系による噴霧乾燥処理の制御により、乾燥粉末に特徴付けられる所望の粒子を操作することができる。たとえば安定性、分散性、味の封入性、生物的利用性、そして/又は調節された放出など粒子の特徴付けを、所望の用途に基づく粉末に仕上げることができる。本発明の組成物が、肺、経口、局所又は注射できることを含む多様な薬剤導入の適用として使用することができる。
【0034】
粒子の処理能力及び/又は粒子の噴霧化能力が、粒子へ分散性強化剤を加えることにより改良することができる。したがって1形態において、分散性強化剤を含む水に不溶な活性剤
及び賦形剤を、第1及び第2の溶媒に溶解し、そして液体をその溶液から除去して、水に不溶な活性剤及び分散性を強化剤を含む粒子を提供する。特に有効な分散性強化剤が、
1又は複数のアラニン、ロイシン、トリロイシン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、およびジステロイルホスファチジルコリンなどのアミノ酸、および/又はリン脂質であることが見出された。更に分散強化剤が、PCT WO 96/32149、および米国特許番号 6,358,530、6,372,258、および6,518,239に開示され、それらの全部が本明細書に引用として組み入れられている。
【0035】
本発明の別の形態において、水に不溶な活性剤を、その保存安定性を増大させる方法で成形する。本形態により液体供給材料(feedstock)の成形は、活性剤及び/又は賦形剤の物理、化学的特徴付け、および噴霧乾燥方法の乾燥条件に基づいて決定される。活性剤のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定法(DSC)、又は他の周知の分析技術により測定される。このTg、そして活性剤の溶解性に基づき、ガラス安定化賦形剤が選択される。
【0036】
Tgをあげるために55℃より高温へ、好ましくは70℃より高温へ、ガラス安定化賦形剤の必要量が、フォックス式(Fox,T.G.J.ApPl.Phy3.21:581-591(1950))などの一般に受け入れられる式を利用して計算される。これにより、乾燥粒子のためのガラス安定化賦形剤/活性剤の比率、R1を推定することができる。それ自体に適切なTgを有する活性剤は、何らかのガラス安定化賦形剤のない場合でも成形できるが、その結果として値がゼロとなる。従ってR1が、0≦R1<30の範囲内にある。
【0037】
本発明の使用に適切なガラス安定化賦形剤が、一般的に少なくとも55℃の、好ましくは少なくとも75℃、最も好ましくは少なくとも100℃のTgを有し、そして医薬的に受け入れ可能である。エタノー一ル/水の共溶媒系へ明示された好ましい実施形態によれば、適切な成形物が、エタノー一ル/水の共溶媒系において1mg/mlより多く、より好ましくは20mg/mより多い溶解性を含む。適切なガラス成形物が、1又は複数のトリロイシン、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ポリビニルピロリドン、マニトール、サッカローズ、トレハロース、ラクトース、プロリン及びポビドンを含むがそれに限定されない。
追加的にガラス成形賦形剤の例は、米国特許番号 RE 37,872、5,928,469、6,258,341、および6,309,671に開示され、それら全てを本明細書に引用として組み入れられる。(a)比率R1にて提供される所望量のガラス安定化賦形剤および活性剤を溶解するために、そして(b)活性剤及びガラス安定化賦形剤が沈殿するまで、蒸発処理の過程を介して共溶媒の比率を維持するために必要な共溶媒系の比率は、選択された共溶媒系における活性化剤及びガラス安定化賦形剤それぞれの溶解性のデータに基づいて計算され、その結果、共溶媒体積比がR2となる。
【0038】
エタノール-水の共溶媒系に明示された好ましい実施の形態が、約65-95の体積%のエタノール、および35-5の体積%の水を含み、それは、R2 = 1.85-20と等しい。好ましい実施の形態が、約70-85の体積%のエタノール、および30-15の体積%の水を含み、R2 = 2.25-5.75とほぼ等しい。次に比率R1のガラス安定化賦形剤と活性剤、および比率R2の共溶媒系を含む供給材料(feedstock)が、以下記載のように調製されそして噴霧乾燥される。本発明は、ガラス性マトリックスへ水に不溶な活性剤の安定化組成物を生成するだけの本実施の形態により実施することがきるか、又は最終生成物に特徴付けられる別の所望粒子が与えられるよう、以下記載のいずれかの実施例を組み合わせて実施できる。
【0039】
他の形態により医薬組成物の粒子を、最終粒子に対し所望の表面特性が得られるよう、
処理(engineered)する。本実施例により種々の表面特性が、微粒子組成物の意図する用途により影響される場合がある。肺へ投与するよう考えられた微粒子組成物の場合、組成物の分散性強化における被覆処理を提供することが望ましい。経口薬剤の導入適用として、錠剤、ロゼンジ又はカプセルなど経口投与の用量を形状的に形成した後、粒子を元の原粒子に容易に分散し、さらに提供できることが望ましい。他の所望適用は、微粒子組成物へ味を遮蔽する被覆を提供するか、又は標的とされそして/又は調節される放出活性剤のための被覆層を提供することである。
【0040】
本形態により意図される影響がどのようなものであれ、供給材料(feedstock)が、少なくとも1の被覆材料にて成形される。与えられた共溶媒系における活性剤の溶解性が、共溶媒の比率の関数として測定される。活性剤の本溶解性のデータ及び所望の適用(たとえば分散性、味の遮断、そして/又は制御された放出)に基づいて被覆材料が選択され、そして活性剤をカプセル化し、そして粒子表面を修飾するために必要な被覆材料の量が計算される。これにより、乾燥粒子に対する活性剤/被覆材料の比率R3が得られる。
【0041】
たとえば、改良された分散性が、適切な表面活性賦形剤の薄層にて、粒子を被覆することで実現できる。この場合少量の賦形剤しか必要でない。本発明によりR3の値が、この場合20<R3<1000の範囲内である。さらに改良された分散性は、それがより多い皺を有し、又はより低い密度を有するよう粒子の形状を変えることで実現できる。この場合において分散性強化剤の量が、a)蒸発処理中に活性剤の前に沈殿し、そしてb)構造的に安定な核の形成するために十分な量で存在するように計算される。本発明によりR3の値が、0.02<R3<50、好ましくは0.1<R3<30の範囲内である。
【0042】
本発明の形態により被覆材料を組み入れる場合、共溶媒系比率R4は、(a)被覆材料が、供給材料(feedstock)中にその飽和濃度の50%以内に、好ましくはその飽和濃度の25%以内に提供されるよう、比率R3で提供される活性剤と被覆材料の所望量を溶解するため、そして(b)被覆材料が活性剤の前に沈殿するように、蒸発過程を介して最初の比率に近く共溶媒の比率を維持するに十分である。
【0043】
この比率R4が、選択された共溶媒系における活性剤と被覆材料それぞれに対する溶解性のデータ、および処理条件に基づいて決定される。エタノール-水の共溶媒系に示された好ましい例によれば、供給材料(feedstock)が、65-98容量%のエタノール、および35-2容量%の水を含み、エタノール-水の体積比R4が約1.85-49、好ましくは2.25-5.75にほぼ等しい。比率R3の活性剤と被覆材料、および比率R4の共溶媒系を含む供給材料(feedstock)が、さらに以下記載のように調製され、そして噴霧乾燥される。もし組成物のTgを増大させることが必要であれば、ガラス安定化賦形剤を、上記技術にしたがって供給材料(feedstock)中で成形する。
【0044】
エタノール-水の共溶媒系を含む本発明の態様によれば、適切な被覆材料が、エタノール-水の共溶媒系において0.1-40 mg/ml、好ましくは0.5-20 mg/ml、より好ましくは1-10 mg/mlの範囲の溶解性を含む。粒子を被覆するための分散性強化剤が、上記の分散性強化剤を含むがそれに限定されない。粉末を肺へ適用する場合において、分散性強化剤により粉末が、噴霧導入デバイスから容易に分散することができ、あるいは経口式薬剤導入の適応例として水性環境との接触により、原粒子に容易に分散することができる。
【0045】
苦い味の活性剤の味を隠す味隠蔽作用剤としては、モノー、ジー、または多糖類、糖アルコール類、またはラクトース、ブドウ糖、ラフイノース、メレジトース、ラクチトール、マンニトール、マルチトール、トレハロース、庶糖と澱粉のような他の多価アルコー一ル類;エチルセルロース、メチルセルロース、ハイドロキシプロピルセルロース、ハイドロキシプロピルメチルセルロース、ハイドロキシブチルメチルセルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、フタル酸酢酸セルロース、カルボキシメチル・セルロース、セルロース・トリアセテート、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸ポリエチル、メタクリル酸ポリフェニル、ポリアクリル酸メチル、ポリイソプロピルアクリル酸塩、ポリイソプロピルアクリル酸塩、メタクリル酸ポリイソブチル、メタクリル酸ポリヘキシル、メタクリル酸ポリフェニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン・テレフタル酸塩、酸化ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオクラデシルアクリル酸塩、ポリ塩化ビニル、および、ポリビニルピロリドン。好ましい味隠蔽賦形剤は、ポリビニルピロリドン、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどがあげられるがそれに限定されない。
【0046】
発明の本観点による被覆剤には、たとえばフタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリエチルアセチル、トリアセチン、クエン酸トリブチル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、セバシン酸ジブチル、ヒマシ油など技術的に周知な少なくとも1の可塑剤があげられる。
活性剤の所望の割合又は放出部位に提供する経口薬剤導入適応例として適切な被覆材料が、米国特許番号5,378,474、5,500,227、5,648,096、5,651,990、5,667,806、6,149,941、6,503,927、およびPCT WO 98/47493にて開示されているように、技術的に周知であり、その全てが、本明細書に全体にわたり引用として組み入れられている。
【0047】
本発明を行うことにより、主に図1a-cに示される多くの形状的に異なる粒子が形成される。図1aに示すように、こうした粒子の1に、形状的に中空粒子が含まれ、その中空粒子が、層1を含む活性剤により囲まれる中心に隙間を有している。図1aに示すようにマイクロカプセルを生成するために、上記のように成形される活性剤3、及びガラス安定化賦形剤(必要であれば)を含む供給材料(feedstock)が、その後以下記載のように噴霧乾燥される。得られたマイクロカプセルが、粉末のTgにより測定されるように安定に保存される。こうしたマイクロカプセルが、肺、注射により、又は経口として適用することを含む種々の薬剤導入用途として使用することができる。
【0048】
別の実施の形態により、図1bに示すように多層マイクロカプセルが提供される。被覆材料が上記の供給材料(feedstock)に組み入れられた時、こうした粒子の形状となる。追加層が本発明の技術により組み入れられたとしても、図1bが、ふたつの層5及び9にて囲まれた中心空隙を含む中空マイクロカプセルを示す。層5は、好ましくは活性剤7を結晶形、又は非晶形の形状にて含み、そして最も好ましくはガラス安定化賦形剤にてガラス・マトリックスにも組み入れられた活性剤を含む。層9は、所望の適応例により選択された被覆材料の個別層を含む。
【0049】
別の粒子形態を図1cに示す。図1cに示すように固体粒子が提供され、そこで被覆材料12が活性剤10を囲みそしてカプセル化される。活性剤10が、結晶形又は非結晶形、あるいは非晶質形にて可能である。1の形態において、活性剤が、ガラス成形賦形剤と混合され、そして非結晶形状である。被覆層12が活性剤をカプセル化し、そして所望により活性剤又は第2活性剤を含むことができる。 本発明の好ましい形態によれば、図1bに示される型の超微細乾燥粉末のマイクロカプセルが提供される。本例により内部層5が活性剤7を含み、好ましくは非晶質ガラス安定化賦形剤と混合して含む。本例により層9は、粉末が噴霧導入デバイスから容易に分散できる分散性強化賦形剤を含む。
【0050】
本発明を実施することにより、任意数の所望の用途にマイクロカプセルが作成されるが、それは肺に適用することに限定されない。例えば別の好ましい実施例は、経口投与のために組成物へ、そしてこうした組成物を作成する方法を対象としている。本例により本発明は、味を遮断する組成物を提供するため実施でき、そして経口導入のための組成物放出を調節できる。
【0051】
本実施の形態により粒子組成物が、活性剤及び所望によりガラス安定化賦形剤を含む内部コア層を含むよう加工され、その層が少なくとも1の被覆材料にて少なくとも1部被覆されている。ガラス安定化賦形剤が、上に詳細に記載されている原理に従う活性剤のTgが増大する必要がある時使用される。活性剤のTgが、それ自体で十分な場合、こうしたガラス安定化賦形剤を必要としない。
【0052】
さらに別の形態において、本発明がを実施し、不溶な活性剤として生物的利用性が増大する様実施できる。本例によれば不溶分子の生物的利用性は、薬剤が薬剤の溶解性および本質的な分解率の増大により非晶質としてのガラス・マトリックスから投与される時増大する。被覆材料が、所望の適用により上記のように組み入れることができる。
【0053】
ガラス状マトリックス粒子の放出形態が、ガラス状マトリックスの粒子サイズの分布により調節できる。通常溶解率は、表面積が増大するにつれ増大し、従って粒子が小さくなると、非常に速い溶解となる。細長い粒子サイズの分散が、適当な噴霧化、および乾燥を介して行われ、それが米国特許番号6,051,256に開示され、そして特許出願PCT WO 01/00312及びWO 02/09669に公開され、その全てが、本明細書にその全体を引用により組み入れられる。所望の放出形状に合せ複数モデルの粒子サイズ分布が、PCT公開WO 01/00312に開示され、本明細書にその全体を引用により組み入れられる、多重噴霧化ノズルを用い、単一の噴霧乾燥方法にて作成できる。
【0054】
別の形態では、表面積が増大することにより、生物的利用性が増大することを対象としている。本例による噴霧乾燥方法では、直径が10μより小さく、好ましくは5μより小さく、そして最も好ましくは1μより小さいサイズを有する粒子を生成することが、開示されている。本図2を参照すると、本発明による水に不要な活性剤の粉末を調製する噴霧乾燥方法では、液状媒体の小滴(droplets)物を生成する噴霧化工程10が含まれ、その次に乾燥工程20にて乾燥される。乾燥工程20が、単一の乾燥室でも又は複数段階の工程であっても良い。液状小滴(droplets)を乾燥し、個別粒子の形成し、その個別粒子が、次に分離工程30にて収集される乾燥粉末組成物を形成する。これら単位工程が、以下に詳細に記載されている。
【0055】
噴霧化工程10が、従来の幾つかの噴霧形状のいずれか1つを利用することができる。噴霧化処理により、開始液体の表面積が増大する。液体の表面エネルギーが微粉末化により増大し、その強度は、表面積の増大と正比例する。このエネルギー源が、使用される噴霧器の型により増大する。何らかの微粉末化装置(遠心式、音波式、圧力、2液体)を、使用し、約100μmより小さく、より好ましくは20μmより小さいマスメヂアン直径(mass median diameter)の小滴(droplets)物を生成できる。好ましいのは本発明のため、2の液体微粉末装置を使用し、ここで液体培地が、高圧気体流と並行してノズルから導入される。
【0056】
微粉末化気体は、通常微粒子やその他の汚染物を除去するためのフイルタにかけるか、そうでなければ清浄にした窒素気体である。選択肢として空気などのその他の気体を使用しても良い。噴霧化気体を、典型的に5 psig以上の圧力で、好ましくは10psigの圧力になるよう圧縮して、噴霧化ノズルから導入される。噴霧気体の流量、噴霧気体の圧力、液体の流量などを含む噴霧条件が、その平均直径が、相ドプラー粒子サイズ分析器(Phase Doppler Particle Size analyzer(空気計測法(Aerometrics))を用いるなどの、相ドプラー粒子サイズ分析法(PDPA)により測定され、実施の形態により20μm又は10μmより小さい平均直径を有する液状小滴(droplets)物を形成するよう制御される。幾つかの例において、噴霧小滴(droplets)物は、平均直径が約5μmから11μmの範囲で、そして1例において6μmから8μmである。好ましい例において、気体と体重量流量との比を2以上に、好ましくは3から15の範囲に維持できる。
【0057】
供給材料(feedstock)は、適切な共溶媒系において医薬剤の溶液、懸濁液、コロイド系、及び別の分散形状でも良い。好ましい例において、不溶な活性剤が、エタノール-水の共溶媒系における溶液として提示される。本発明によるエタノール-水の共溶媒系が、好ましくは上記のように65-98容量%のエタノール、および35-2容量%の水として提供される。他の適切な有機溶媒としては、メタノー一ルなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、イオン化した非プロトン性溶媒、塩化メチレンなどの水素付加炭化水素、シクロヘキサンなどの炭化水素、及びその混合物があげられる。
【0058】
エタノールは好ましい有機溶媒である。最終的に乾燥粒子中に存在する不溶な活性剤、および他の担体、賦形剤などを含む、全体が溶解された固体が、広範囲な濃度にて存在可能であり、典型的に0.1重量%から10重量%で存在できる。しかしながら、通常吸入サイズ範囲の粒子を生成する固体濃度を最大にし、そして典型的に固体濃度範囲を0.5%から10% w/v. 、より狭い範囲では1.0%から5% w/v.で、所望の分散特性を有することが好ましい。本明細書に使用される用語「供給材料(feedstock)」が、溶液、スラリー、懸濁液、エマルジョン、マイクロ・エマルジョン、複合エマルジョン、および逆エマルジョンなど広く用いられ、そしてその混合物を包含することが理解できよう。比較的低濃度の活性剤を含む供給材料(feedstock)により、より詳細な以下の記載のように比較的小粒径の乾燥粒子となろう。
【0059】
微粉末工程10により生成された小滴物(droplets)から液体を蒸発させるために次の乾燥工程20が行われる。通常乾燥処理では、水や他の液状媒体を蒸発させる加熱気体と小滴(droplets)物と混合することにより、小滴物(droplets)へエネルギーの導入があげられる。
1の例において、混合処理が、噴霧乾燥器又は加熱された気体流が導入される同等の部屋にて行われる。加熱気体流が、微粉末化された液体と並行して流すことができるが、反対に流れる流れ、交差して流れる流れ、又はその他の流れの形状を用いることも可能である。さらにWO 01/00312により詳細に記載され、上記に引用した複数段階の乾燥工程に行うことができる。
【0060】
乾燥工程を制御し、上記引用の米国特許番号6,051,256に記載のように、2以上の皺が多いなどの特定の特徴付けを有する乾燥粒子を提供することができる。皺は、表面の回旋を測定することである。数値が高くなると、表面の異常性の高い度合いを示す。本発明の範囲を何らかの方法で限定する意図がなく、皺により測定されたように、表面の異常が増大すると、隣接する粒子間の粘着性が減少することになる。選択肢として、乾燥工程が、平滑な表面か又は実質的に平滑な表面を有する粒子を生成するように調節される。
【0061】
小滴(droplets)サイズの分布、気体流の流入温度、気体流の排出温度、および液状小滴(droplets)の流入温度など多くの変化に基づいて、そして微細化した噴霧流、および熱乾燥気体を混合する方法により、乾燥率を調節することができる。1つの例において、乾燥気体の温度が、少なくとも70℃の流入温度を有し、少なくとも120℃、少なくとも135℃、少なくとも145℃にて可能であり、そしてしばしば175℃より高い場合があり、あるいは200℃の高さの場合さえ可能であり、それは乾燥活性剤による。少なくとも1部、加熱された気体乾燥流の流入口の温度は、処理された乾燥剤の変化に依存する。排出口の温度は、通常約50-100℃の範囲である。乾燥気体を、従来のブロアーや圧縮機を用い、システムを介し移動させる。
【0062】
分離工程30は、乾燥工程20により生成された粒子の極めて高い収集効率を実現するよう選択される。幾つかの例において分離処理が、サブミクロンの粒子の確実に収集するために変更できたとしても、従来の分離工程を用いることができる。例示的な実施例において、分離することを、膜媒体(bag filter)、含浸金属線維フイルターなどフイルター媒介物を使用して行われる。選択肢として分離は、サイクロ(登録商標)ン分離装置用い実現できる。分離工程では、全ての粒子のうち少なくとも70%の収集を、幾つかの例において、こうした粒子の85%より多く、さらに90%より多く、また95%よりさらに多く収集が行われる。
【0063】
現段階で図3を参照すると、例示的噴霧乾燥器システムが記載されている。そのシステムは噴霧乾燥器50を含み、それは これらが、Buchi, Niro, APV, Yamato Chemical Company, Okawara Kakoki Company, and othersなどの供給者から入手できる商業的な噴霧乾燥器である。噴霧乾燥器50は、供給ポンプ、フイルター54、および供給ライン56を介して供給材料(feedstock)が提供される。供給ライン56が、複数ノズルの2つの流体の微粉末装置57に接続されている。微粉末化する空気が、圧縮機58、フイルター60、およびライン62から、微粉末装置57へ供給される。さらに乾燥空気が、加熱器65及びフイルター66を介して噴霧乾燥機50へ提供される。
【0064】
噴霧乾燥機50からの乾燥粒子が、導管70を通る空気流によりフイルター・ハウジング72へ移送される。そのフイルター・ハウジング72は、複数の内部フイルター要素74を含み、それが、Smale Manufacturing Chemist,p.29,Apr.1992に記載された型の焼結製ステンレス鋼線維フイルターなどのバグ・フイルター(bag filters)又は金属線維フイルターにして良い。選択肢としてのフイルター媒体(media)とし、バッグフィルター、布フィルター、およびカートリッジ・フィルターが、あげられる。
【0065】
全ての場合において、乾燥粒子を移送する気体流が、分離ハウジングの核 (shell) 内へ流れ、そして移送気体が、フイルター要素74を通す。しかしながら、乾燥粒子の経路が、フイルター要素により妨害(blocked)され、そして乾燥粒子が重力によりハウシング72の底部へ落下し、ここで乾燥粒子が、粒子収集キャニスター76に収集される。キャニスター76が周期的に取り出され且つ置き換えられ、そしてそのキャニスター76中の乾燥粉末を、単位投与容量又は他の形状に装填するために使用できる。移送気体が、分離ハウジング72の頭頂部からライン80と排出ファン84を介し排出する。
【0066】
フイルター82が、フイルター媒体74を間違って通過する粒子を収集する。高圧気体の資源90が、フイルター媒体74を通る逆流空気のパルス(pulsed)流を周期的に生成するために提供される。こうしたパルス(pulsed)空気の逆方向の流れが、フイルター媒体の流入口側に付着する粒子を除去し、ケイキの形成を防止することである。本発明は、さらにそこに何ら制限されることなく以下の例の支援により、より詳細に示される。
【実施例1】
【0067】
被覆材料としてLロイシン(L Leucine)を用いた被覆ブデソニド粒子が設計された。エタノール-水系でLロイシン(L-Leucine)とブデソニド(Budesonide)との溶解性に基づいて、Lロイシン(L-Leucine)が、共溶媒体積比R4を5.7(85容量%のエタノール)に、そして被覆材料対活性剤の比率R3を4.7(82.5%のブデソニド(Budesonide)/17.5%のLロイシン)にて、ブデソニド(Budesonide)を被覆すると効果的である。粒子を本発明による噴霧乾燥方法により調製した。ブデソニド(Budesonide)603.68mg(Industriale Chimica s.c.l.,#502595)及びLロイシン(L-Leucine)128.03mg(Sigma,#L-8000)を、85容量%のエタノールである87.7gのエタノール-水混合液にて溶解した。
【0068】
得られた溶液を、B-190 Mini Spray-Drier(Buchi,Flawil,Switzerland)上に噴霧乾燥するための供給材料(feedstock)として使用する。噴霧条件では以下のように、すなわち吸入 = 100%、吸入口の温度 = 85℃、排出口の温度 = 60 ℃、供給ポンプ流量 = 5mL min-1、微粉砕化装置の圧力 = 40psig、微粉砕化装置の気体流量率 = 0.2scfm、全気体流量率 = 14scfmの条件を用いた。
【0069】
図4は、得られた粒子の走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。粒子が不規則な表面と多くの皺を有し、そしてブデソニド(budesonide)の適切な被覆を示す。
比較のため、生のブデソニド(budesonide)が、上記同一処理条件下、共溶媒体積比率R4が5.7(85%容量エタノール)にて、エタノール-水の共溶媒系から乾燥された噴霧体である。図5は、粒子を示すSEMである。図5に示すように皺の少ない球状粒子が、噴霧体を賦形剤なしに乾燥した時形成される。これらの粒子は、表面が平滑な球状体であり、そしてある種の粒子の融合が観察される。これらの特性が、薬剤の肺導入とそて考えられる乾燥粉末成形物の成形にあまり好ましくない。
【0070】
さらに比較として、ブデソニド-ロイシン粒子を、上記のように被覆物質対同一活性剤の比率R3を4.7 (82.5%のブデソニド/17.5%のL-ロイシン)とし、しかし共溶媒体積費R4を1(50%容量のエタノール)として使用し調製した。エアタノール-水系において、L-ロイシンとブデソニドとの溶解性に基づいて、L-ロイシンは、この共溶媒体積比にてブデソニドの被覆に有効でない。これらの条件下にてブデソニドが、粒子の成形を支配すると予測される。粒子を以下の手順に従って調製した、605.65mgのブデソニド(Industriale Chimica s.c.1.,#502595)、および129.5mgのL-ロイシン(Sigma,#L-8000)を、50容量%のエタノールによるエタノール-水の混合液97.2g中で溶解した。
【0071】
得られた溶液を、B-190 Mini Spray-Drier(Buchi,Flawil,Switerland)上にて、噴霧乾燥するための供給材料(feedstock)として使用した。噴霧条件を以下のように、すなわち吸入 = 100%、吸入口の温度 = 85℃、排出口の温度 = 56℃、供給ポンプ流量 = 5mL min-1、微粉砕化装置の圧力 = 40psig、微粉砕化装置の気体流量率 = 0.2scfm、全気体流量率 = 14scfmの条件を用いた。図6は、これらの条件下L-ロイシンが、ブデソニドの被覆に有効であるが、図4に示される形態よりあまり有効でない。ある領域の粒子が、皺の少ない平滑な球状体を保持する。
【実施例2】
【0072】
被覆材料としてL-ロイシンが用いられるように被覆ブデソニド粒子を設計した。被覆材料対活性剤の比率R3が4.7の3つのロットA,B,及びCを生成した。
BとCの2つのロットでは、共溶媒体積比R4が3である。エタノール-水系にてL-ロイシンとブデソニドの溶解性に基づいて、L-ロイシンが、共溶媒体積比でブデソニドの被覆に有効である。ロットCは、7mg/mlとしてのロットBとAと比較し、供給溶液中で固体内容物が12.5mg/mlと増大して噴霧乾燥されたものである。
【0073】
連続した蒸発処理中に、共溶媒体積率が、エタノールを優先して蒸発することにより減少する。供給溶液の固体内容物を増大させると、蒸発過程における早期の段階で分散性強化剤を沈殿する方へシフトする。従って、分散性強化剤の有効性を改良することで、沈殿する点での共溶媒体積比が、ロットBに対するよりロットCに対する方がより高い。
ロットAは、コントロールとして使用する。それは、共溶媒比R4が1(50容量%のエタノール)である。エタノール-水系におけるL-ロイシンとブデソニドの溶解性に基づいて、L-ロイシンが有効であるが、この共溶媒体積率でブデソニドの被覆において有効でない。
【0074】
粒子を、所定の実施例1と同じ処理パラメータを用い、本発明により噴霧乾燥方法により調製した。そのロットを、X線光電子分光法を用い表面組成物に対し分析した。粉末の分散性は、米国特許4,995,385に記載され、本明細書にその全体を引用により組み入れられた、受動DPI吸入器などの受動乾燥粉末吸入器(DPI)を用い試験した。その試験を、DPIの吸入口へ真空システムを接続することで行った。真空システムを制御し、容量及び流量に関してヒトの吸入に良く似たDPIによる空気流を提供する。粉末15mgをカプセル内に充填しDPI内に装填した。DPIに分散した後、噴霧物質をアンダーソン・カスケード・インパクター(Anderson Cascade Impactor)に吸引し、そして、空気動力学的中央粒子直径(Mass(Median Aerodynamic Diameter(MMAD))及び33μm(FPF<3.3μm)より小さい空体力学的直径の粒子画分を、重量的に決定した。
【0075】
表1は、分析結果を示す。より有効な共溶媒体積比(B及びC)を伴うロットは、コントロール・ロットAに対し増大したL-ロイシン表面濃度が増大したものである。L-ロイシン濃度の増強が、B及びCに対し200%より高くなった。供給溶液中の固体内容物が増大すると、カプセル化効果をさらに改良するという効果が予測される。より有効な共溶媒体積比によるロットのMMAD(B及びC)が、コントロールに対し減少し、改良された分散性が、L-ロイシンの表面濃度の増大により達成されたことを実証した。これは、ロットに対しFPF<3.3μmの増大で確認された。ロットCは、供給溶液中で有意に高い固体内容物を噴霧乾燥し、それが、個々の乾燥粒子の約20%大きい空気力学的粒子にしている。しかしながら噴霧MMADがロットBに対しさらに減少し、そしてFPF < 3.3μmと増大した。これはロットBに対し表面上のL-ロイシン濃度の増大することで、粉末の分散性が更に改良したことを示している。
表1
【表1】

【0076】
本発明が、ある種の好ましい形態に関して、かなり詳細に記載されているが、他の形態も可能であり、そして示された実施形態の変化、置き換え、および等価態様が、明細書の読み込み、そして図面の検討により当業者に明らかになるであろう。たとえば共同成分が逆方向でも、あるいは追加数又はわずかな数で提供されてもよい。さらに本明細書における実施形態の種々の特性(features)が、種々の方法で組み合わせる本発明の追加形態を、提供することができる。さらに説明を明確にするために特定の専門用語が用いられるが、本発明を限定するものではない。そのため添付された請求項が、本明細書に含まれる好ましい実施形態の記載を限定すべきでなく、そして本発明の真の精神及び範囲内となるように、こうした変化、置き換え、および等価態様の全てを包含すべきである。
【0077】
本発明のこれらの特徴、観点および本発明の利点が、以下の記載、添付されたクレーム、および本発明の例示的に特徴を示す添付図面に関し、よく良く理解されるであろう。しかしながら、それぞれの特徴が、一般的に本発明にて使用可能であり、特定図面の単なる内容だけでなく、本発明がこれら以下何らか特徴付ける組み合わせを含むことが、理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図la乃至1Cは、本発明の観点による粒子形態の側面断面の概略図である。
【図2】図2は、本発明の1つの観点による有用な噴霧乾燥処理を操作する主要ユニットを概略的に図示するブロック図である。
【図3】図3は、本発明の1つの観点による有用な噴霧乾燥処理を示す詳細な系統図である。
【0079】
【図4】図4は、本発明の1方法により作成されたブデソニド及びロイシンを含む粒子を示す走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図5】図5は、比較例によりすっきりしたブデソニド粒子を示す走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図6】図6は、本発明の別の1方法により生成されたブデソニド、およびロイシンを含む粒子を示す走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図1A】

【図1B】

【図1C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬成形物を調製する方法において、
第1の溶媒、第2の溶媒、活性剤、及び賦形剤を含む溶液を提供する工程、ここで、第2の溶媒が第1の溶媒より低い極性で、そして賦形剤が活性剤より水によく溶け、さらに賦形剤がアミノ酸及び/又はリン脂質を含み;そして
第1の溶媒及び第2の溶媒を除去し活性剤及び賦形剤を含む粒子を生成する工程、
を含む方法。
【請求項2】
賦形剤が、1又は複数のアラニン、ロイシン、トリロイシン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、およびジステロイルホスファチジルコリンを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
賦形剤がロイシンまたはトリロイシンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
溶液がさらにガラス成形賦形剤を含む、請求1記載の方法。
【請求項5】
ガラス成形賦形剤が、トリロイシン、クエン酸ナトリウム、燐酸ソーダ、アスコルビン酸、ポリビニルピロリドン、マニトール、庶糖、トレハロース、ラクトース、プロリン、およびポビドンを含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
第1の溶媒対第2の溶媒の比率が1より大きい、請求項1記載の方法。
【請求項7】
第1の溶媒対第2の溶媒の比率が10:90から90:10である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第1の溶媒対第2の溶媒の比率が約80:20である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
第1の溶媒が水である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
第2の溶媒がヒドロキシ溶媒を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
第2の溶媒が、C1乃至C6のアルコールを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
第2の溶媒がアセトンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
第1の溶媒が水を含み、そして第2の溶媒がエタノールを含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
活性剤の溶解性がl mg/mlより少ない、請求項1記載の方法。
【請求項15】
賦形剤の水中における溶解性がl mg/mlより大きい、請求項1記載の方法。
【請求項16】
第1および第2の溶媒が、溶液を噴霧乾燥することで除去される、請求項1記載の方法。
【請求項17】
第1および第2の溶媒が、溶液を凍結乾燥することで除去される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
噴霧可能な医薬成形物を調製する方法において、
第1の溶媒、第2の溶媒、活性剤、及び賦形剤を含む溶液を提供する工程で、そこにおける第2の溶媒は第1の溶媒より低い極性で、さらにそこにおける賦形剤は、水中における溶解性が活性剤より高く;そして
第1の溶媒及び第2の溶媒を除去し、活性剤及び賦形剤を含む粒子を生成する工程で、そこにおける少なくとも20%の粒子が、アンダーソン・カスケード・インパクター(Anderson Cascade Impactor)にて重量的に決定された場合、3.3μより小さい空気力学的直径を有する;
ことを含む方法。
【請求項19】
賦形剤がアミノ酸及び/又は燐脂質を含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
賦形剤が、1又は複数のアラニン、ロイシン、トリロイシン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、およびジステロイルホスファチジルコリンを含む、請求項18記載の方法。
【請求項21】
賦形剤がロイシンまたはトリロイシンを含む、請求項18記載の方法。
【請求項22】
さらに溶液がガラス成形賦形剤を含む、請求項18記載の方法。
【請求項23】
ガラス成形賦形剤が、1又は複数のトリロイシン、クエン酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、アスコルビン酸、ポリビニルピロリドン・マンニトール、庶糖、トレハロース、ラクトース、プロリン、およびポビドンを含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
第1の溶媒が水を含み、第2の溶媒がエタノールを含む、請求項18記載の方法。
【請求項25】
水中における活性剤の溶解性がl mg/mlより少ない、請求項18記載の方法。
【請求項26】
第1および第2の溶媒が、溶液を噴霧乾燥することで除去される、請求項18記載の方法。
【請求項27】
活性剤及び活性剤を少なくとも1部カプセル化した賦形剤を含む粒子を含み、ここで水中における賦形剤の溶解性が、活性剤より高いことを含む医薬成形物。
【請求項28】
粒子が、100μmより小さいマス・メデアン直径(mass median diameter)を有する、請求項27記載の医薬成形物。
【請求項29】
粒子が20μmより小さいマス・メデアン直径(mass median diameter)を有する、請求項27記載の医薬成形物。
【請求項30】
粒子が10μmより小さいマス・メデアン直径(mass median diameter)を有する、請求項27記載の医薬成形物。
【請求項31】
粒子が5μmより小さいマス・メデアン直径(mass median diameter)を有する、請求項27記載の医薬成形物。
【請求項32】
賦形剤が分散強化剤を含む、請求項27記載の医薬成形物。
【請求項33】
分散強化剤が、1又は複数のアラニン、ロイシン、トリロイシン、ジパルミトイルホスファチジルコリンとジステロイルホスファチジルコリンを含む、請求項32記載の医薬成形物。
【請求項34】
アンダーソン・カスケード・インパクター(Anderson Cascade Impactor)で、少なくとも20%の粒子が、重量的に決定される場合、3.3μより小さい空気力学的な直径を有する、請求項27記載の医薬成形物。
【請求項35】
賦形剤に少なくとも1部カプセル化された追加成分をさらに含む、請求項27記載の医薬成形物。
【請求項36】
追加成分がガラス成形賦形剤(a glass forming excipient)を含む、請求項35記載の医薬成形物。
【請求項37】
ガラス成形賦形剤(a glass forming excipient )が、1又は複数のトリロイシン、クエン酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、アスコルビン酸、ポリビニルピロリドン・マニトール、庶糖、トレハロース、ラクトース、プロリン、およびポビドンを含む、請求項362記載の医薬成形物。
【請求項38】
第1の溶媒、第2の溶媒、活性剤、及び賦形剤を含む溶液を提供する工程で、ここで、第2の溶媒は第1の溶媒より極性が低く、さらに水中における賦形剤の溶解性が活性剤より高く、そして
第1の溶媒及び第2の溶媒を除去し、活性剤及び賦形剤を含む粒子を生成する工程で、ここで少なくとも20%の粒子が、アンダーソン・カスケード・インパクター(Anderson Cascade Impactor)で重量的に決定された場合、3.3μより小さい空気力学的な直径を有する、
ことを含む方法にて生成される医薬成形物。
【請求項39】
賦形剤がロイシンまたはトリロイシンを含む、請求項38記載の医薬成形物。
【請求項40】
活性成分は、水中における溶解性が1 mg/mlより少ない、請求項38記載の医薬成形物。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−500234(P2007−500234A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533441(P2006−533441)
【出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/016696
【国際公開番号】WO2005/000267
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(597148884)ネクター セラピューティクス (30)
【Fターム(参考)】