説明

水の気化熱エンジン

【課題】揮発性の液体の温度変化による蒸気圧変化に起因した液体移動により生じる反復運動を利用して、使いやすく、かつ、用途をより拡大できるコップの要らない反復運動体を提供することである。更に、近未来、反復運動体としての玩具に止まらず、動力の取り出せる水の気化熱エンジンを提供することにある。
【解決手段】管状の首部の一端は内部に揮発性の液体を密封した胴部に挿入定着され、該首部の他端はふくれて閉じられた頭部になっており、かつこれらから構成される反復運動体の近傍に液体を入れるサイホン式給水タンクが別置きされ、さらにその液体を頭部に導く特殊導水体を設けたことを特徴とする従来のようなコップが要らない水の気化熱エンジンとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は揮発性の液体の温度変化による蒸気圧変化に起因した液体移動により生じる反復運動体に関する分野の発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の反復運動体としてよく知られている反復運動玩具は、揮発性の液体の蒸気圧変化を生じさせるために、頭部に付けたくちばしをその下に置いたコップ中の水に漬け、頭部を冷やすことによって生じさせている。
【0003】
更に進化した最近の反復運動玩具として、コップの代わりに水タンクを本体に背負い、くちばしの代わりに導水材を用いたものもあるが重心不安定でタンク容量20cc(約36時間90度角の反復運動が可能)が限度である。
【0004】
また、水皿の上にだるまのごとき本体を置き、該本体の中に反復運動体を組み込み、その皿の水を導水体で頭部まで導く考案もあるが、本体の中は容積が非常に狭いので、直ぐに水が気化して高湿の状態となるのと、皿面から頭部までの導水体が非常に長いという短所により、試してみると途中水切れする欠点があり現実的ではない。
【特許文献1】実公昭27−3912号公報
【特許文献2】実開昭48−60693号公報
【特許文献1】特開昭50−19545号公報
【特許文献2】特公開2004−255045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようにコップが不可欠であると以下のような問題が残る。まず、反復運動体本体とコップの2物体が必要であり、コップの高さ調整が反復運動体の動きに微妙に影響するが、低学年生ではコップの高さ合わせが困難である。次に、反復運動体の前面にコップという障害物があることやコップの水がこぼれても良いところでしか使用できないという欠点があり、市販されている水飲み鳥のごとき装飾的玩具のようなごく限られた用途にしか採用できていない。
【0006】
また、水タンクを本体に背負った反復運動玩具については、運動時間が最大でも約36時間の反復運動が限度であり、玩具としては素晴らしいが玩具の領域を出るものではない。長時間(例えば、1週間あるいは1ヶ月以上)反復運動させ、該運動動作から動力を取り出すことが本発明が解決しようとする最終の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明は、請求項1に記載したように、管状の首部の一端は内部に揮発性の液体を密封した胴部に挿入定着され、該首部の他端はふくれて閉ざされた頭部になっており、かつ請求項2及び請求項3に記載したように、頭部とタンクの給水口の距離が最短即ち導水体の長さが絶えず一定で最短とし、更に長時間の反復運動を可能ならしめるためのサイホン式給水タンクを組み込み頭部とサイホン式タンクの給水口を繋ぐ特殊導水体の途中からの水の蒸発を防ぐことを考慮して両端部以外はパイプで覆った水の気化熱エンジンにすることで課題を解決した。また、反復運動体の一部に広告等取り付けることを可能にした。
【0008】
すなわち、該発明は、液体を入れる容器を管状の首部の近傍に別置きする液体容器内の液体を特殊導水体で毛細管現象を利用して頭部に導くようにしたので、液体を供給するためのコップが不要になる。頭部には吸水性の布が取り付けてあるので液体は頭部全体に素早く広がる。液体の入ったサイホン式給水タンクの吸水口は小さいので不要に蒸発しないし、倒れても液体は殆どこぼれることがない。従って低学年生でも容易に取り扱うことができる。特殊導水体は該給水口に絶えず挿入しているので、液体は全くなくなるまで吸い上げられる。液体の注入は、サイホン式給水タンクを給水タンク受け台から外し更にキャップを外すと簡単に注水できる。
【0009】
首部および可動部には広告を取り付けることが可能であり、宣伝用として利用することができる。反復運動体の前面にコップがないのでよく見え効果的な宣伝ができ、かつ可動部の動きを動力として利用することも可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
1)サイホン式給水タンクに液体を注ぐだけで長時間動きだすので、子供から老人まで確実に動かすことが可能であり、電動式と違って反復運動が早く動いたり、ゆっくり動いたりするので癒しの効果が十分にある。
2)サイホン式給水タンクの給水口が小さいので、液体が不要に蒸発しないし、また特殊導水体で容器内の液体が最後の一滴まで連続的に頭部に供給されるので長時間安定した反復運動ができる。該サイホン式給水タンクでは、内容積が大きいので液体(水道水)を満タンにすると、屋内や屋外の太陽光の下でも約1週間スムーズに動き続けた。更に、1ヶ月間以上のものも簡単に作ることが可能である。水1.5リットルもあれば150日以上昼夜動き、単三乾電池1ヶ分並のエネルギーが取り出せる。まさに水の気化熱エンジンである。
3)科学的データーによれば水が1cc蒸発する時、584カロリー/25°Cの熱移動がある。これを仕事量に換算すると1カロリーは4.18ジュールで584x4.18=2,441ジュールとなる。1ジュールは1kgのものを10cm持ち上げる仕事量で、584カロリー=2,441ジュール=1kgのものを244.1m持ち上げられるので、極めて大きな仕事量であることがわかる。
4)コップやくちばしがないので、任意の広告を首部または回転軸に取り付けることができ、効果的な宣伝ができ、またその動きを動力源としての活用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
図1は該発明で水の気化熱エンジンの全体構造図である。大別すると反復運動体1と特殊導水体2、サイホン式給水タンク3、液(水)4、給水タンク受け台5、共通台6、広告7から構成されている。更に反復運動体1は頭部1a、首部1c、エーテル1dを密封した胴部1b、これらを回転軸1fで支える支持台1e及びストッパ1gで構成されており、次のような形で反復運動する。
【0013】
該発明のコップの要らない、また、本体に背負った水タンクの要らない反復運動体1である(水飲み鳥ではなく水吸い揚げによる水の気化熱エンジンと言ってもよい)。コップの代わりに水4を入れるサイホン式給水タンク3を管状の首部1cの近傍に別置きし、サイホン式給水タンク3内の水4を給水口3aから特殊導水体2で毛細管現象を利用して頭部1aに導くようにした。頭部1aには吸水性の布が取り付けてあるので水4は頭部1a全体に素早く広がる。反復運動をする原理は従来品と同じであるが、断続的にコップから水を頭部に供給する従来品と比べ、本発明品では特殊導水体2により連続的に頭部1aに水4が供給されるため安定した反復運動ができる。
【実施例2】
【0014】
図2は特殊導水体2とパイプ2aの関係図である。該発明の長時間の反復運動を可能ならしめるためにサイホン式給水タンク3を組み込み頭部1aとサイホン式タンク3の給水口3aを繋ぐ特殊導水体2の途中からの水の蒸発を防ぐことを考慮して該特殊導水体2の両端部以外はパイプ2aで覆った。
【実施例3】
【0015】
また、図3はその回転軸1fに広告7を取り付けた状態を示している。従来品のようなコップがないので、前面からよく見える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】水の気化熱エンジンの全体構造図
【図2】特殊導水体とパイプの関係図
【図3】広告取り付け図
【符号の説明】
【0017】
1 反復運動体
1a 頭部
1b 胴部
1c 首部
1d エーテルや塩化メチレンなど低温で気化しやすい液体
1e 支持台
1f 回転軸
1g ストッパ
2 特殊導水体
2a パイプ
3 サイホン式給水タンク
3a 給水口
3b キャップ
4 水
5 給水タンク受け台
6 共通台
7 広告



【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の首部の一端は内部に揮発性の液体を密封した胴部に挿入定着され、該首部の他端はふくれて閉じられた頭部になっており、かつこれらから構成される反復運動体の近傍に液体を入れるサイホン式給水タンクが別置きされ、さらにその液体を頭部に導く特殊導水体を設けたことを特徴とする水の気化熱エンジン。
【請求項2】
頭部とタンクの給水口の距離が最短即ち特殊導水体の長さが絶えず一定で最短となることを考慮し更に長時間の反復運動を可能ならしめるようにサイホン式給水タンクに給水タンク受け台を設け給水口の高さを調整したことを特徴とする水の気化熱エンジン。
【請求項3】
頭部とサイホン式タンクの給水口を繋ぐ特殊導水体の途中からの水の蒸発を防ぐことを考慮して、特殊導水体の両端部以外はパイプで覆ったことを特徴とする水の気化熱エンジン。
【請求項4】
更に、反復運動体の一部に広告等を取り付けることを可能にしたことを特徴とする水の気化熱エンジン。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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