説明

水を殺菌する装置と方法

処理すべき流体中に直接配置される、殺菌剤/酸化性生成物の現場生成のための装置、および、汚染水を酸化/殺菌して、システムの保健衛生の問題または効率低下の問題をもたらしうる微生物増殖現象が避けられるようにする方法。必要濃度の酸化性/殺菌剤生成物の現場生成により水を殺菌するこの装置は、化学反応物のための貯蔵タンク、ポンプと接続のためのパイプ、ならびに殺菌すべき水に浸漬される殺菌剤および酸化性生成物の発生源を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化性/殺菌剤生成物を現場生成して水を殺菌する装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包括的な言葉“水”は、殺菌すべき水、たとえば一般に、生活廃水および工業廃水、川、湖または海からの冷却水、飲料用水、ならびにプロセス水を言うのに使用する。
【0003】
水の殺菌は、保健衛生の問題あるいはシステムの効率の低さのために生じる問題を引き起こしうる、微生物たとえば病原菌および環境細菌、菌類、藻類の増殖を防ぐために必要である。
【0004】
水殺菌のために反応物から殺菌剤/酸化性化学生成物を得るための化学反応として少なくとも三つのものが知られている。すなわち、次の三つである。亜塩素酸ナトリウムと塩酸を、二酸化塩素、塩化ナトリウムおよび水に転換する反応、硫酸の存在下で、亜塩素酸ナトリウムから、二酸化塩素、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムおよび水を生成させる転換反応、ならびに塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび硫酸を、二酸化塩素、塩素、硫酸ナトリウムおよび水に転換させる反応、である。
【0005】
二酸化塩素を生成する方法と装置は公知である。
【0006】
たとえば、US4,534,952号明細書には、二酸化塩素の生成に必要な反応物を満たした閉じた反応領域内で、二酸化塩素を現場生成することが開示されている。そのような反応領域は、二酸化塩素がその可能な爆発により連続気相を生成することを防ぐのに十分な圧力とされる。
【0007】
US4,534,952号明細書に記載されている方法の欠点は、二酸化塩素の気相への変化によって生じる爆発の危険を避けるために、反応媒質の圧力を常に維持する必要がある、ということである。
【0008】
US-A-2003/0138371号(McWhortherほか)明細書には、アルカリ金属塩素酸塩の水溶液に無機酸を制御しつつ投入することによって、この無機酸を当該アルカリ金属塩素酸塩の水溶液と反応させることにより生成される、二酸化塩素と塩素の気相混合物を生成させる方法と装置が開示されている。殺菌剤生成物は、蒸気とともに、反応器のヘッドスペースで生成され、生成物は、ここから取り出されて、水に溶解され、生成物流が得られる。
【0009】
US-A-2003/0138371号明細書には、特に、生物に有害な副生物を含んではいけない飲料用水を製造するための生成物を作るための方法が開示されている。この方法は、気相手段によって殺菌剤生成物を除去する必要があることから生じる当然の複雑さを有する。
【0010】
US-A-2005/0244328号明細書には、二酸化塩素ガスを製造する反応器と方法とが開示されており、この場合、反応物は、高圧で、所定温度範囲内で作動する反応チャンバー内で反応させられる。
【0011】
そのようなシステムの一つの問題は、過剰な圧力が二酸化塩素の安定性に有害である、ということである。
【0012】
もう一つの問題は、高圧で作業することによって生じる安全性の問題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の包括的目的は、各用途の必要に応じてそれぞれの濃度で、現場での直接殺菌のために使用時にただちに化学生成物を得ることができる水を殺菌する装置と方法を提供することである。
【0014】
本発明の一つの個別目的は、反応器が浸漬される媒質の外部圧力とは無関係に、一定の制御された圧力条件で、反応器内で酸化剤/殺菌剤混合物を生成させることである。
【0015】
本発明のもう一つの個別目的は、過剰圧力により生成物混合物の分解と不均化がもたらされるのを防ぐことにより、システムの固有安全性を向上させることである。
【0016】
本発明のもう一つの個別目的は、その特別な構造特性により、使用時の信頼性と安全性に関して最大限の保証を与えることのできる装置を提供する、ということである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
以下でさらに十分に理解される前記包括的目的ならびに前記およびその他の個別目的は、
水を殺菌する装置であって、化学反応物が供給される、殺菌剤および酸化性生成物を生成するのに適した少なくとも一つの第一の反応器を有する装置において、
水が供給される、当該供給水と混合した当該殺菌剤および酸化性生成物を殺菌すべき水に投入するのに適した少なくとも一つの第二の反応器を有し、当該第一および第二の反応器が殺菌すべき当該水に浸漬されること、
を特徴とする装置、
によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のその他の特徴と利点とは、本発明の好ましい非限定的実施形態に関する以下の説明によってよりよく理解されるであろう。この実施形態を非限定例として添付の図面に示す。
【0019】
ここに示す図において、本発明の装置の全体を引用番号1で示す。装置1は、第一の反応器2を有し、当該反応器は、支持体3によって支持板6に取り付けられ、また第二の反応器4に接続されている。第二の反応器4は、放出器5を有し、当該放出器からは、生成物Pが必要な濃度で放出される。
【0020】
反応物は、管状構造物7によって第一の反応器2に供給される。管状構造物7は、支持板6を貫通しており、かつ支持板6に固定されている。管状構造物7は、一つ以上の柔軟チューブ8を有するが、図には一つだけ示されている。
【0021】
管状構造物7は、供給ダクト9に接続され、このダクトは水を第二の反応器4に供給するのに適している。
【0022】
柔軟チューブ8内を、対応する貯蔵タンク(図示せず)に接続されたポンプによって供給される反応物が流れ、チューブ8は、水が流れる管状構造物7に挿入されている。
【0023】
実際には、反応物および対応する貯蔵タンクの数は、二つではないようにすることができる。
【0024】
水供給ダクト9は、そのはじめの部分7に、反応物の供給のための柔軟チューブ8が挿入され、供給水が下記の条件に合う流量で流れる。
- a)酸化性/殺菌剤生成物の濃度は、0.1〜5 g/l好ましくは0.5〜2 g/lであり、
- b)水供給ダクト9内の水圧p1は、処理すべき水の圧力pに対して、1〜10 bar好ましくは2〜4 barの超過圧となるような値を有する。
【0025】
この装置は、第二の反応器4の出口にサンプリング口を備えている。このサンプリング口は、二酸化塩素溶液を抜き取ってその分析純度を検査するのに有用である。
【0026】
第一の反応器2の反応チャンバーは、好ましくは3〜4000 mlの容積を有する。
【0027】
第一の反応器2の反応チャンバーの寸法は、得られる生成物およびその量の関数として定められ、5〜1200秒、好ましくは15〜300秒の反応時間となるようにする。
【0028】
酸化性/殺菌剤生成物の一時間あたりの生成量に柔軟性を与えるために、第一の反応器2は、多段とすることができる。すなわち、図2に示すように、複数のモジュール式チャンバー22からなるか、または並列配置されかつ第二の反応器4および対応する放出器5によって制御される一連の小さなチャンバーからなるようにすることができる。
【0029】
第一の反応器2のこの形態により、反応の効率が最大限に達する。
【0030】
第一の反応器2は、好ましくは0.5〜50好ましくは2〜10の高さ対直径比を有する。
【0031】
第一の反応器2の内部形状は、反応物の最適混合を保証し、反応物と生成物との間(したがって、液体と溶解ガスとの間)で均一状態が生じないようにし、反応物の入口23から上がるにつれて、気相/液相比が増大するように、すなわち生成物/反応物比が増大するようにする。
【0032】
随意に、第一の反応器2が、硫酸の予備混合のためのチャンバー(図示せず)を有するようにする。
【0033】
第一の反応器2のチャンバーの製造に使用する材料は、殺菌剤/酸化剤の溶液との完全な親和性と機械的強度とを保証するものであり、好ましい材料は、たとえばPVC、PTFE、PVDF、PRFV、ガラス、その他である。
【0034】
生成装置は、10 g/h〜200 kg/h、好ましくは20 g/h〜100 kg/hの酸化剤/殺菌剤を製造することができる。
【0035】
第一の反応器2に続いて、第二の反応器4が配置され、第二の反応器4は、酸化剤/殺菌剤の水による希釈のための混合チャンバーを与え、前記条件まで、必要な高い安全性基準が維持されるようにする。
【0036】
酸化性/殺菌剤生成物は、水で希釈されたあと、適当な濃度の液体溶解相として第二の反応器4から出て、ただちに、本発明の装置が挿入されている、パイプ10内を流れる処理すべき水に接触する。
【0037】
工業用水、飲料用水、プロセス水、その他を、生成装置に導いて、生成物を希釈して必要な濃度となるようにし、あるいは反応物の濃度を適当に希釈する。
【0038】
この最後の場合、好ましくは、処理すべき水と異なる性質のものであってもよいから、殺菌剤を使用する必要のない水を使用する。
【0039】
本発明の装置は、二酸化塩素の高純度溶液、または二酸化塩素と塩素との混合物の高純度溶液を、下記の化学量論比にしたがって、生成する。

【0040】
したがって、本発明は、反応物から、水の殺菌のための殺菌剤/酸化性化学生成物を得るために、主として下記の化学反応のうち少なくとも一つを使用する。すなわち、亜塩素酸ナトリウムと塩酸の二酸化塩素、塩化ナトリウムおよび水への転換反応、硫酸の存在下で亜塩素酸ナトリウムから二酸化塩素、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムおよび水を生成させる転換反応、ならびに、塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび硫酸の二酸化塩素、塩素、硫酸ナトリウムおよび水への転換反応、のうち少なくとも一つの反応を使用する。
【0041】
“純度(純粋性)”という言葉は、反応の転換率または効率ではなく、ここでは、生成システムによって生成または持ち込まれる不純物が存在しないということを意味する。そのような不純物は、前記反応と並行して起こる、反応物と生成物との両方が関与しうる寄生反応によって生成される。
【0042】
殺菌剤/酸化剤として二酸化塩素を生成する、反応(1)および(2)の場合、ここで純粋性というのは、生成される二酸化塩素溶液中の望ましくない不純物(亜塩素酸塩、塩素酸塩、塩素)が存在しないということである。そのような純度は、溶液の完全な分析によって決定され、この分析は、二酸化塩素と塩素(中性および酸性pHによるヨウ素還元滴定−AWWA標準法4500-ClO2−による)、亜塩素酸塩と塩素酸塩(溶液の脱ガス後のイオンクロマトグラフィー−EPA 300.1−による)を測定することを含み、純度は、ここでの不純物の濃度と二酸化塩素濃度とのパーセント数の総和と100との差として表現される。
【0043】
反応(3)の場合、人の消費を意図しない水の処理用途に使用できる、二酸化塩素と塩素の混合物が生成され、この反応は、この反応で示されるモル比での二つの酸化剤の生成と、同時に最終混合物中の塩素酸の非存在とを意味する、塩素酸塩転換というのがより適切である。
【0044】
反応物は、必要に合わせて配合して、次のようにすることができる。
- 2〜35%好ましくは10〜30%の塩化ナトリウム溶液、
- 3〜33%好ましくは8〜31%の亜塩素酸ナトリウム溶液、
- 3〜50%好ましくは25〜40%の塩素酸ナトリウム溶液、
- 3〜37%好ましくは10〜33%の塩酸溶液、
- 3〜98%好ましくは50〜98%の硫酸溶液、
百分率はwt%である。
【0045】
以下、本発明を実施するいくつかのやり方を例として示す。
【実施例1】
【0046】
25%の亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液と33%の塩酸水溶液とを作製した。これらの溶液を、投入ポンプによって、それぞれのタンクに投入した。二つの反応物の流量は、1:0.8の亜塩素酸塩:酸体積比となるように調節した。二つの反応物は、この比で、殺菌に必要な量だけ、150-mlの反応チャンバーに送られ、ここに、反応の完了に必要な時間15〜30秒滞在する。酸化剤の添加(demand)なしで、放出器に水が4 barの圧力で供給され、1.5 barの反対圧力(処理すべき水のパイプ内圧力)が出口に加えられる。駆動水(driving water)の流量は、二酸化塩素を約1 g/lの濃度まで希釈するようなものである。分析によれば、この溶液は、ClO2=1083 mg/l、亜塩素酸塩=なし、塩素=なし、塩素酸塩=26 mg/lの濃度を有する。したがって、純度は97.6%である。
【0047】
次に、生成された二酸化塩素を、未処理水溜め水を飲用に適するようにする予備酸化のプロセスで使用した。これには、2時間で1.5 mg/lの二酸化塩素を必要とした。これは、前記流量、予備酸化タンク内の滞留時間により、清澄化凝降(clariflocculation)プロセスを促進する目的で、溶解有機物分子の構造を変化させ、また人の消費を意図する水に必要な保健衛生レベルを保証するためのものである。
【0048】
入口と出口とにおける細菌カウント数を含むこの例の主な特徴を、表1に示す。
【表1a】


【表1b】

【実施例2】
【0049】
25%の亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液と33%の塩酸水溶液とを作製した。これらの溶液を、投入ポンプによって、それぞれのタンクに投入した。二つの反応物の流量は、1:0.8の亜塩素酸塩:酸体積比となるように調節した。二つの反応物は、この比で、殺菌に必要な量だけ、30-mlの反応チャンバーに送られ、ここに、反応の完了に必要な時間15〜30秒滞留する。酸化剤の添加なしで、放出器に水が7 barの圧力で供給され、4 barの反対圧力(処理すべき水のパイプ内圧力)が出口に加えられる。駆動水の流量は、二酸化塩素を約1.2 g/lの濃度まで希釈するようなものである。分析によれば、この溶液は、ClO2=1224 mg/l、亜塩素酸塩=なし、塩素=8 mg/l、塩素酸塩=30 mg/lの組成を有する。したがって、純度は96.9%である。
【0050】
次に、生成された二酸化塩素を、0.5 mg/l投入量で、すでに飲用に適するようにしてある水の供給網に使用した。水の保健衛生特性を不変に保ち、危険な微生物再成長を防止することが目的である。
【0051】
この例の主要特性を表2に示す。
【表2】

【実施例3】
【0052】
31%の亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液と33%の塩酸水溶液とを作製した。これらの溶液を、投入ポンプによって、それぞれのタンクに投入した。二つの反応物の流量は、1:1の亜塩素酸塩:酸体積比となるように調節した。二つの反応物は、この比で、殺菌に必要な量だけ、1200-mlの反応チャンバーに送られ、ここに、反応の完了に必要な時間15〜30秒滞在する。酸化剤の添加なしで、放出器に水が3 barの圧力で供給され、0.5 barの反対圧力(投入点の深さでの圧力)が出口に加えられる。駆動水の流量は、二酸化塩素を約1.8 g/lの濃度まで希釈するようなものである。分析によれば、この溶液は、ClO2=1815 mg/l、亜塩素酸塩=なし、塩素=なし、塩素酸塩=65 mg/lの組成を有する。したがって、純度は96.4%である。
【0053】
次に、生成された二酸化塩素を、火力発電所の冷却回路に使用する海水の処理において防汚剤(antifouling agent)として使用した。システムは、一日二回各1時間の投入を行うようにプログラムした。このときの濃度は、あらかじめ算出した水必要量に合う0.8 mg/lである。入口および出口における細菌のカウント数を含むこの例の主要特性を、表3に示す。
【表3a】


【表3b】

【実施例4】
【0054】
25%の塩素酸ナトリウムと13.5%の塩化ナトリウムとを含む水溶液(混合物A)、および濃硫酸溶液を作製した。後者は、75%の必要濃度まで、10 mlの容積の予備混合チャンバー内で希釈した。投入ポンプによって、流量を、混合物と濃硫酸とが1:1.05の比となるように調節した。二つの反応物は、この比で、殺菌に必要な量だけ、150-mlの反応チャンバーに送られ、ここに、20〜90秒の反応時間だけ滞在する。
【0055】
反応(3)の転換率は、>95%塩素酸塩であった。二酸化塩素と塩素とのモル比は1.92である。
【0056】
酸化剤の添加なしで、放出器に水が3 barの圧力で供給され、0.5 barの反対圧力(投入点の深さでの圧力)が出口に加えられる。分析によれば、この溶液は、ClO2=650 mg/l、亜塩素酸塩=なし、塩素=356 mg/l、塩素酸塩=38.2 mg/lの組成を有する。
【0057】
殺菌剤の混合物(塩素と二酸化塩素)を、適当に水で希釈してから、工業用の使用のために、地表水の殺菌/防汚処理に使用した。ここでは、約0.2 mg/lの総殺菌剤量の連続投入とした。入口と出口における細菌カウント数を含む、この例の主要特性を、表4に示す。
【表4】

【実施例5】
【0058】
16%の亜塩素酸ナトリウムと20%の塩化ナトリウムを含む水溶液(混合物A)と50%の希釈された硫酸溶液とを作製した。投入ポンプによって、流量を、当該混合物と硫酸との比が1:0.8となるように調節した。これら二つの反応物を、前記比と殺菌に必要な量とで、1500-ml反応チャンバーに送り、反応時間が5〜50秒となるようにした。
【0059】
酸化剤の添加なしで、放出器に、3 barの圧力で水を供給し、出口に、0.5 barの反対圧力(投入点の深さにおける圧力)を加えた。駆動水の流量を、二酸化塩素の濃度が約1.4 g/lに希釈されるようなものとした。分析によれば、この溶液は、ClO2=1432 mg/l、亜塩素酸塩=なし、塩素=12 mg/l、塩素酸塩=23 mg/lの組成を有する。したがって、純度は、97.6%である。
【0060】
次に、生成された二酸化塩素を火力発電所の冷却回路に使用される海水の処理における防汚剤として使用した。未処理海水の二酸化塩素平均必要量30分間で0.8 mg/lに対して、0.28mg/lの連続投入を行った。入口および出口における細菌カウント数を含む、この例の主要特性を、表5に示す。
【表5】

【0061】
以上のように、本発明は、浸漬生成装置に関するものであり、この生成装置は、一連の可能な前駆物質を使用することにより、当該生成装置が浸漬される流体によって加えられる圧力とは無関係に、反応速度と生成溶液の純度とを最大化するのに好都合なように低下させられた圧力で動作する。
【0062】
実現される動作条件は、システム固有の安全性を高めるように動作するという利点を有する。気相の二酸化塩素が危険な状態になることはないからである。
【0063】
この生成装置は、大きな柔軟性で作動することができ、生産能力とは無関係に、同じ効率と安全性で維持することができる。というのは、単一チャンバー、または多段モード、または並列モードで作動させることができるからである。
【0064】
実際にわかったところでは、本発明は意図する包括的かつ個別的目的を達成するものであり、殺菌すべき水に必要な濃度で液相であらかじめ溶解した酸化性/殺菌剤生成物を得ることのできる方法と装置を提供する。
【0065】
この装置特に第一の反応器2は、最大の反応速度、反応速度の最適制御、最終生成物の最高の安定性、不純物生成の最小化、およびシステムの安全性の向上が得られるように、首尾よく設計することができる。
【0066】
この目的を達成することのできる設計変数は、接触時間の調節、気相と液相との間の正しい一定の比の維持、温度制御および適当な圧力条件の維持である。
【0067】
本発明の装置は、先行技術システムに対していくつかの重要な利点を有する。
【0068】
この装置は、二酸化塩素の安定性に有害でありうる過剰圧力の発生を防止するように構成される。
【0069】
本発明の装置は、高圧での動作に伴う安全性の問題を生じない。
【0070】
本発明においては、装置は、反応チャンバーの周囲の流体のどのような圧力条件にも、たとえば溜めの水のように非常に低い圧力にも、たとえば給水本管または給水管におけるような非常に高い圧力にも、適するように構成される。
【0071】
また、放出器5は、圧力を調節して、第一の反応器の反応チャンバーから第二の反応器によって形成される混合チャンバーへの二酸化塩素の一定かつ均一な流れを与える。したがって、水は、内部圧力閾値に達したときだけに開放される弁を備えた通常の装置で起こりうる場合と異なり、適当な投入量で均一に処理される。
【0072】
本出願は、イタリア特許出願第MI2007A002388号(2007年12月19日出願)の優先権を主張するものである。同出願の出願明細書の記載事項を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】殺菌すべき水が流れているパイプ内に挿入された殺菌剤および酸化性生成物の生成装置の模式正面図である。
【図2】第一の反応器の実施形態の構造を示す模式斜視図である。
【符号の説明】
【0074】
1 本発明の装置
2 第一の反応器
3 支持体
4 第二の反応器
5 放出器
6 支持板
7 管状構造物
8 柔軟チューブ
9 供給ダクト
10 パイプ
22 モジュール式チャンバー
23 反応物の入口
P 生成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を殺菌する装置であって、化学反応物が供給される、殺菌剤および酸化性生成物を生成するのに適した少なくとも一つの第一の反応器を有する装置において、
供給水が供給される、当該供給水と混合した当該殺菌剤および酸化性生成物を殺菌すべき水に投入するのに適した少なくとも一つの第二の反応器を有し、当該第一および第二の反応器が殺菌すべき当該水に浸漬されること、
を特徴とする装置。
【請求項2】
当該第一の反応器と当該第二の反応器とが支持体に固定され、当該第二の反応器が放出器を有し、当該放出器から、供給水と殺菌剤および酸化性生成物との当該混合物が出て行くことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
当該化学反応物が管状構造物によって当該第一の反応器に供給され、当該管状構造物が当該支持体に取り付けられていて、当該化学反応物を貯蔵するためのタンクに接続された一つ以上の柔軟チューブを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
当該管状構造物が水を当該第二の反応器に供給するのに適した供給ダクトに接続されていることを特徴とする請求項1から3の中のいずれか一つに記載の装置。
【請求項5】
当該供給水が当該管状構造物に流入し、当該管状構造物のはじめの部分に当該柔軟供給チューブが挿入され、このとき、当該水の流入が、下記の条件、
- 酸化性/殺菌剤生成物の濃度が0.1〜5 g/l好ましくは0.5〜2 g/lであり、
- 水供給ダクト内の水の圧力が、処理すべき水の圧力に対して、1〜10 bar好ましくは2〜4 barの超過圧にあるような値を有すること、
を満たすものであること、
を特徴とする請求項1から4の中のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
当該第二の反応器の出口にサンプリング口を有していて、二酸化塩素溶液を抜き取ってその分析純度を検査することを特徴とする請求項1から5の中のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
当該第一の反応器が、容積が3〜4000 mlの反応チャンバーを有し、当該チャンバーの寸法が、得られる生成物とその量との関数として定められ、反応時間が5〜1200秒、好ましくは15〜300秒となるようになっていることを特徴とする請求項1から6の中のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
当該第一の反応器が多段のものであり、すなわち、複数のモジュール式チャンバーからなるか、または並列配置されかつ当該第二の反応器および対応する放出器によって制御される一連の小さなチャンバーからなることを特徴とする請求項1から7の中のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
当該第一の反応器が好ましくは0.5〜50好ましくは2〜10の高さ対直径比を有することを特徴とする請求項1から8の中のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
当該第一の反応器の内部形状が、反応物の最適混合を保証するようなものであり、反応物と生成物との間(したがって、液体と溶解ガスとの間)で均一状態が生ぜず、反応物入口から上がるにつれて、ガス相/液体相比すなわち生成物/反応物比が増大するようになっていることを特徴とする請求項1から9の中のいずれか一つに記載の装置。
【請求項11】
当該第一の反応器が硫酸の予備混合のためのチャンバーを有することを特徴とする請求項1から10の中のいずれか一つに記載の装置。
【請求項12】
当該第一の反応器の当該チャンバーが、殺菌剤/酸化剤の溶液と完全に親和し、機械的強度を有する材料で作られており、当該材料がたとえばPVC、PTFE、PVDF、PRFV、ガラス、その他から選択されることを特徴とする請求項1から11の中のいずれか一つに記載の装置。
【請求項13】
10 g/h〜200 kg/h好ましくは20 g/h〜100 kg/hの酸化剤/殺菌剤を生成させることができることを特徴とする請求項1から12の中のいずれか一つに記載の装置。
【請求項14】
当該第一の反応器に続いて、当該第二の反応器が配置され、当該第二の反応器が酸化剤/殺菌剤を水と混合し、希釈して、前記の条件まで、必要な高い安全性基準を維持する混合チャンバーを与えることを特徴とする請求項1から13の中のいずれか一つに記載の装置。
【請求項15】
プロセス用水、工業用水、飲料用水その他を当該装置に導入し、生成された当該生成物を必要濃度まで希釈し、または反応物の濃度を適当に希釈する手段を有することを特徴とする請求項1から14の中のいずれか一つに記載の装置。
【請求項16】
二酸化塩素の高純度溶液、または二酸化塩素と塩素との混合物の高純度溶液の生成が、下記の化学量論比、


で行われることを特徴とする請求項1から15の中のいずれか一つに記載の装置。
【請求項17】
下記のwt%
- 2〜35%好ましくは10〜30%の塩化ナトリウム溶液、
- 3〜33%好ましくは8〜31%の亜塩素酸ナトリウム溶液、
- 3〜50%好ましくは25〜40%の塩素酸ナトリウム溶液、
- 3〜37%好ましくは10〜33%の塩酸溶液、
- 3〜98%好ましくは50〜98%の硫酸溶液、
の組成の反応物を使用することを特徴とする請求項1から16の中のいずれか一つに記載の装置。
【請求項18】
水を殺菌する方法であって、
亜塩素酸ナトリウムと塩酸の二酸化塩素、塩化ナトリウムおよび水への転換反応、硫酸の存在下で亜塩素酸ナトリウムから二酸化塩素、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムおよび水を生成させる転換反応、ならびに、塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび硫酸の二酸化塩素、塩素、硫酸ナトリウムおよび水への転換反応、のうち少なくとも一つの反応による方法において、
反応物が、第一の反応器に投入され、当該反応器が、殺菌剤および酸化性生成物を生成し、かつ第二の反応器内で当該殺菌剤および酸化性生成物を水と混合するのに適しており、これらの作業がすべて殺菌すべき水の中で実施されること、
を特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−508661(P2011−508661A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538433(P2010−538433)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010685
【国際公開番号】WO2009/077160
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(510165633)カッファロ キミカ エス.アール.エル. イン リクイダシオン (1)
【Fターム(参考)】