説明

水上遊泳船

【課題】水流を利用して船体を推進させる水上遊泳船において、水流に対して斜め上流方向への推進移動だけでなく、例えば簡単な竿操作のみで瞬時に船体を前記推進方向と反対の下流方向へとバック移動させることも可能な水上遊泳船の提供。
【解決手段】基礎コード3の浮き6付き先端をコード案内部5に沿った船体1の前方に連結させた状態で道糸20を引っ張ることで、基礎コード3及び調整コード7により船体1に付与する引っ張り力とこの船体1の水圧板2に付与する水流圧力とにより船体1を水流に対して斜め上流方向に推進させる推進力を生ずるように構成し、且つこの道糸20を緩めて基礎コード3の緊張状態を解除することで、この基礎コード3の前記浮き6付き先端をコード案内部5に沿って船体1の後方に流下移動させると共に前記推進力を消失させ、この船体1を水流に対して下流方向に後退させるバック移動機構を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水流圧力を利用して船体を例えば沿岸から離岸方向へ推進移動させることができ、例えばトローリング釣りなどに使用される水上遊泳船に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特開2005−288128号公報にて水流圧力を利用して推進する水上遊泳船(以下、従来例と呼ぶ)を提案している。
【0003】
この従来例は、船体の底部前後方向に下方突出状態に水圧板を設け、基端を道糸(釣竿から引き出す糸)と連結する基礎コード及び調整コードの先端をこの船体に夫々連結した構成であり、前記道糸を引っ張り基礎コード及び調整コードにより前記船体を引っ張ることで、船体の水圧板が水流と対向する向きとなり且つこの船体の前方側が後方側に比して水流上流側となる船体姿勢(船体向き)に船体を保持し、この際に船体の水圧板に付与する水流圧力と、前記基礎コード及び調整コードによりこの船体に付与する引っ張り力との合力から生ずる推進力によってこの船体を水流に対して斜め上流側に推進させる。
【0004】
即ち、例えば河川にて使用する場合、先ず、釣竿から道糸を引き出しつつ船体を河川の水流に沿って下流側へ流下させ、ある程度の距離を流下させたところで道糸の引き出しを止めて道糸を引っ張り前記船体に連結する基礎コード及び調整コードを緊張させる。これにより、水流圧力を利用して、船体を操作者の立つ沿岸から対岸側へ向かう斜め上流方向へと離岸推進移動させることができる。
【0005】
従って、例えばこの船体により、沿岸から離れた(離岸した)所定の釣りポイントへと釣り仕掛けを運んだり、また、例えば船体にトローリング用ルアーを取り付けてこの船体を漁船などの船舶と並走状態に推進させてトローリング釣りを行ったりできる。
【0006】
ところで、この従来例は、上述の通り船体を例えば沿岸から離岸推進移動させるといったことは良好に行えるものの、この推進移動と逆方向、即ち沿岸に近づくように斜め下流方向へと瞬時に船体をバック移動させることはできない。
【0007】
即ち、例えば上述の通り道糸を引っ張り船体を沿岸から離岸推進移動させた際、道糸を釣竿から引き出して緩めた状態とすれば、その緩めたぶんだけ船体を下流方向へ流下移動させることはできるが、しかし船体を沿岸に近づける方向へと移動させることはできない。従って、船体を沿岸に近づける方向に移動させるには一々道糸を釣竿に巻き戻す作業が必要で、しかもこのように沿岸に近づける方向へと移動させた船体を、再び離岸方向へと推進移動させるには、前記巻き戻した道糸を再び釣竿から引き出さなければならないので非常に厄介で手間がかかるといった問題を有し、よって、瞬時に船体を沿岸に近づける方向にバック移動させたり、再度船体を離岸方向に推進させたりといったスムーズな推進移動操作が困難であるという実用上の欠点を有した。
【0008】
【特許文献1】特開2005−288128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した水上遊泳船について更なる研究開発を重ね、水流圧力を利用して、船体の推進移動だけでなくこの推進方向と逆方向のスムーズなバック移動をも簡単な操作により実現可能とし、秀れた操作性を有するこれまでにない画期的な水上遊泳船を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0011】
船体1の底部前後方向に下方突出状態に水圧板2を設け、基端を道糸20と連結する基礎コード3及び調整コード9の先端を前記船体1に夫々連結し、前記道糸20を引っ張り前記基礎コード3と調整コード9とにより前記船体1に付与する引っ張り力と、この船体1の水圧板2に付与する水流圧力とにより、この船体1を水流に対して斜め上流方向に推進させる推進力を生ずるように構成した水上遊泳船において、前記基礎コード3は先端に浮き6を取り付けると共に、前記船体1の前後方向に設けたコード案内部5に沿ってこの船体1の前後方向に連結位置移動自在にこの基礎コード3の前記浮き6付き先端を連結した構成とし、この基礎コード3の前記浮き6付き先端を前記コード案内部5に沿った船体1の前方に連結させた状態で前記道糸20を引っ張ることでこの船体1に付与する引っ張り力とこの船体1の水圧板2に付与する水流圧力とにより船体1を水流に対して斜め上流方向に推進させる前記推進力を生ずるように構成し、且つこの道糸20を緩めて前記基礎コード3の緊張状態を解除することで、この基礎コード3の前記浮き6付き先端を前記コード案内部5に沿って船体1の後方に流下移動させると共に船体1を水流に対して斜め上流方向に推進させる前記推進力を消失させ船体1を水流に対して下流方向に後退させるバック移動機構を備えた構成としたことを特徴とする水上遊泳船に係るものである。
【0012】
また、前記船体1の前後方向に設けた連結位置調整固定部4に沿って、この船体1の前後方向に連結位置を調整固定自在に前記調整コード9の先端を船体1に連結した構成としたことを特徴とする請求項1記載の水上遊泳船に係るものである。
【0013】
また、前記連結位置調整固定部4は、前記船体1の前後方向に調整棒4Aを横設しこの調整棒4Aに調整コード9の先端を編み付け状態若しくは結び付け状態に連結固定すると共に、この調整棒4Aに対する前記調整コード9の先端の編み付け位置若しくは結び付け位置を調整することでこの調整コード9の先端の連結位置を前記調整棒4Aに沿って船体1の前後方向に調整固定自在に構成したことを特徴とする請求項2記載の水上遊泳船に係るものである。
【0014】
また、基端を前記道糸20に連結する基礎コード3に、前記調整コード9の基端を結束連結してこの基礎コード3を介してこの調整コード9の基端を前記道糸20に連結する構成とすると共に、この調整コード9の基端は、前記基礎コード3に対して連結位置を調整固定自在に連結した構成としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水上遊泳船に係るものである。
【0015】
また、調整コード9の基端は、前記基礎コード3に編み付けて若しくは結び付けてこの基礎コード3に結束連結固定した構成とすると共に、この調整コード9の基端と前記基礎コード3との編み付け位置若しくは結び付け位置を調整することでこの基礎コード3に対して調整コード9の基端の連結位置を調整固定自在としたことを特徴とする請求項4記載の水上遊泳船に係るものである。
【0016】
また、前記調整コード9は、差込ピン10と、この差込ピン10を圧入するピン受け部11とにより圧入差し込み嵌合連結した部位を有し、この調整コード9に瞬時に強い引っ張り力を付与することで前記差込ピン10をピン受け部11から脱嵌して嵌合連結を解除しこの調整コード9の一部を分離させ得るように構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の水上遊泳船に係るものである。
【0017】
また、前記船体1の底部に、釣り仕掛け,ルアーなどの仕掛体21を引っ掛け保持する仕掛け用フック13を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の水上遊泳船に係るものである。
【0018】
また、前記水圧板2は、複数枚の板材を重ね合わせ状態に配して成ると共にこの複数枚の板材同志の重合度合いを可変調整自在に構成し、この水圧板2を構成する複数枚の板材同志の重合度合いを可変調整することでこの水圧板2の板面形状を広狭調整し、この水圧板2に付与する水流圧力を増減調整し得るように構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の水上遊泳船に係るものである。
【0019】
また、前記船体1に、水面より上方に突出状態にポール,旗などの目印体16を設けた構成としたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の水上遊泳船に係るものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上述のように構成したから、道糸を引っ張り基礎コード及び調整コードを緊張させた状態で、船体の水圧板に付与する水流圧力を利用してこの船体を水流に対して斜め上流方向へと推進させることができる。しかもこの際、例えば道糸の基端と連結する釣竿の操作などにより道糸を瞬時に緩めることで、基礎コードの浮き付き先端と船体との連結位置をこの船体の後方へと瞬時に移動させ、これにより前記推進力を消失させこの船体を水流に沿って下流側へと後退(例えば道糸を緊張させつつこの道糸の基端の操作者を中心として弧を描くように斜め下流方向(前記の推進移動方向と逆方向)へとバック移動)させることができる。
【0021】
即ち、例えば船体を沿岸から離岸する斜め上流方向へと推進させたり、反対にこの離岸推進移動させた船体を沿岸に近づける斜め下流方向へとバック移動させたりといったスムーズな進退移動操作を、簡単な道糸の操作のみで瞬時に行うことができる。
【0022】
よって、本発明は、水流に対して斜め上流方向へと船体を推進移動操作できることは勿論、従来困難であった瞬時の船体のバック移動操作をも可能とし、水流圧力を利用して船体の広範囲での自由な進退移動操作を実現し、騒音の問題もなく且つ何ら動力燃料を必要としない無公害にしてスポーツ性の高い遊泳船として、例えば船体の遊泳操作を楽しんだり、また例えば釣り(流し釣りや、漁船などの船舶と本発明品とを並走航走するトローリング釣りなど)を行う場合にも船体をスムーズな進退移動により広範囲に自由に移動操作して広範囲での釣りが可能で、また沿岸から船体を操作して対岸に無人で物資を運搬し、その後、対岸からスムーズに船体を沿岸に戻りバック移動操作させるなど、運搬作業にも良好に使用できるなど、極めて画期的で実用性に秀れた水上遊泳船となる。
【0023】
また、請求項2〜5記載の発明においては、道糸を引っ張って基礎コード及び調整コードを緊張状態とした際におけるこの基礎コードと調整コードとの相対角度の調整(以下、コード角度調整と呼ぶ)が行える。
【0024】
このようにコード角度調整を行うことで、この基礎コードと調整コードとにより船体に付与する引っ張り力の方向も調整設定できる。これにより、この引っ張り力と水流圧力との合力から生ずる前記推進力の方向,大きさなどの調整を図り得、ひいては船体の推進方向角度調整や、船体の移動位置などの移動調整設定を図り得るなど、一層操作性及び実用性に秀れた水上遊泳船となる。
【0025】
特に、請求項3記載の発明においては、船体に対する調整コードの先端の編み付け位置若しくは結び付け位置を調整するだけの簡単な作業で、この調整コードと船体との連結位置の調整固定を実施でき、また請求項5記載の発明においては、基礎コードに対する調整コードの基端の編み付け位置若しくは結び付け位置を調整するだけの簡単な作業で、この調整コードと基礎コードとの連結位置の調整固定を実施できる。即ち、非常にシンプルな構造でありながら、作業性良く簡単に調整コードと船体,基礎コードとの連結位置の調整固定(つまりコード角度調整)を実施でき、それだけ製造容易にして実用性及び量産性に一層秀れた水上遊泳船となる。
【0026】
また、請求項6記載の発明においては、例えば道糸を瞬間的に強く引くなどして、調整コードに瞬時に強い引っ張り力を付与することで、この調整コードの差込ピンとピン受け部とにより連結されている部位を連結解除(ピン受け部から差込ピンを脱嵌)して、この調整コードの一部を分離させることができる。
【0027】
即ち、調整コードの一部を分離させ、この調整コードにより船体に付与する引っ張り力を解放し、この船体が水流に沿って自由にその船体姿勢(向き)を可変できる状態とすることで船体の水圧板に付与する水流圧力を非常に小さくすることができる。
【0028】
よって、本発明は例えば船体を回収(道糸を釣竿に巻き戻して船体を回収)する場合に、簡単な操作で調整コードの一部を分離し、余計な水流圧力を受けることなくスムーズに船体を回収することができ、また例えば、釣り仕掛けやルアーなどの仕掛体を先端に連結したハリス糸を道糸に連結して魚釣りを行う際、このハリス糸の仕掛体に魚がヒットした場合に、前述した簡単な操作で調整コードの一部を分離させれば、余計な水流圧力を受けることなく釣りの醍醐味である魚によるハリスや道糸のヒキを楽しむことができるなど、一層実用性に秀れた水上遊泳船となる。
【0029】
また、請求項7記載の発明においては、例えば道糸に連結した釣り仕掛けやルアーなどの仕掛体を、船体の仕掛け用フックに引っ掛け保持した状態で船体を推進移動させることができる。従って、例えば所定の釣りポイントまで船体を推進移動させる際に、仕掛体が水面下の障害物(石・沈下流木など)にひっかかることを阻止でき、船体を所定の釣りポイントまでスムーズに推進移動させることができる。また、この際、仕掛体は単に仕掛け用フックに引っ掛っているだけなので、所定の釣りポイントまで船体を推進移動させたところで、船体を瞬時にバック移動させるなどして仕掛け用フックから仕掛体を逃がし、その所定の釣りポイントに仕掛体を解放するといった操作も容易に行えるなど、釣りに一層好適で実用性に秀れた水上遊泳船となる。
【0030】
また、請求項8記載の発明においては、水圧板を、複数枚の板材を重合状態に配して成る構成とし、この複数枚の板材の重合度合いを可変調整することでこの水圧板の大きさ(板面)を拡狭調整することができる。
【0031】
従って、同じ強さの水流に対しても水圧板の大きさを調整することでこの水圧板に付与する水流圧力を増減調整できる。よって、水流の強さに応じて水圧板の大きさを適宜調整設定し、様々な水流条件においても良好に対応できる秀れた水圧板の構造を、単に重ね合わせの板材から成る簡単な構造で実現し、実用性及び量産性に秀れた水上遊泳船となる。
【0032】
また、請求項9記載の発明においては、水面より上方に突出状態に設けた目印体によって、船体位置の確認を容易とし、それだけ操作性及び実用性に秀れた水上遊泳船となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0034】
本発明は、船体1の底部前後方向に下方突出状態に水圧板2を設け、基端を道糸20と連結する基礎コード3及び調整コード9の先端を前記船体1に夫々連結し、前記道糸20を引っ張り前記基礎コード3と調整コード9とにより前記船体1に付与する引っ張り力と、この船体1の水圧板2に付与する水流圧力とにより、この船体1を水流に対して斜め上流方向に推進させる推進力を生ずるように構成した水上遊泳船である。
【0035】
詳述すると、上記従来例と同様、船体1の前後に離間した位置に基礎コード3及び調整コード7の先端を夫々連結し、道糸20を引っ張ってこの基礎コード3及び調整コード9を緊張させることで、船体1の水圧板2が水流と対向し且つこの船体1の前方側が後方側に比して水流上流側となるような船体姿勢(向き)にこの船体1を保持し得る構成であり、この基礎コード3及び調整コード7により船体1に付与する引っ張り力と、前述した船体姿勢(向き)に保持された船体1の水圧板2に対して斜め対向方向から付与する水流圧力との合力によって、前記推進力を生ずるように構成したものである。
【0036】
また、本発明の基礎コード3は、先端に浮き6を取り付けると共に、船体1の前後方向に設けたコード案内部5に沿ってこの船体1の前後方向に連結位置移動自在にこの基礎コード3の前記浮き6付き先端と船体1とを連結した構成としている。
【0037】
これにより、本発明は船体1の推進移動だけでなく、この推進移動と逆方向に船体1を瞬時に後退させることが可能なバック移動機構を備えた構成としている。
【0038】
このバック移動機構を備えた本発明の船体1の操作例を説明する。
【0039】
先ず、船体1を例えば沿岸や船舶などから、水流へ浮かべる。
【0040】
図9に図示したように、この基礎コード3の浮き6付き先端を、コード案内部5に沿った船体1の前方位置に配した状態で、道糸20を引っ張って基礎コード3及び調整コード9を緊張させる。
【0041】
これにより、基礎コード3及び調整コード9により船体1に付与する引っ張り力と、この船体1の水圧板2に付与する水流圧力との合力により、船体1を水流に対して斜め上流方向(図9中、右上方向)へ推進させる推進力が生じ、道糸20の基端側に位置する操作者を中心に弧を描くようにして、船体1が斜め上流方向へと推進移動する。
【0042】
この際、図10に図示したように、例えば釣竿操作などにより道糸20を緩めると、基礎コード3の緊張状態が解除されてこの基礎コード3の前記浮き6付き先端が水流圧力により下流側に流され、コード案内部5に沿って船体1の後方へと流下移動することとなる。
【0043】
即ち、図11に図示したように、基礎コード3の浮き6付き先端と船体1との連結位置が、この船体1の後方側へと移動するために、この基礎コード3及び調整コード9により船体1を適正な船体姿勢(向き)に保持することができなくなり、前記推進力が消失することとなる。このように基礎コード3の浮き6付き先端が船体1の後方にて連結された状態で道糸20を引っ張ることで、図11に図示したように、道糸20の基端側の操作者を中心に弧を描くようにして、この船体1を前記推進移動方向とは逆に下流方向(斜め下流方向)へと後退(バック移動)させることが可能である。
【0044】
また、このようにバック移動状態の船体1は、図12に図示したように、釣竿操作などにより道糸20を緩め、続いて釣竿を勢い良く上流側に振るなどして、再び基礎コード3の前記浮き6付き先端と船体1との連結位置をこの船体1の前方へと移動させた上で道糸20を引っ張って緊張させることにより、再び上記推進力を生じさせ船体1を水流に対して斜め上流方向へと推進移動させることが可能である。
【0045】
従って、本発明は、水流圧力を利用して船体1を水流に対して斜め上流方向へ推進移動操作できるだけでなく、例えば簡単な釣竿操作のみで、瞬時に船体1を前記推進方向とは逆に下流方向へと後退させるバック移動操作や、このバック移動状態から再び水流に対して斜め上流方向へと船体1を推進移動させるといった進退移動切替え操作も簡単且つスムーズに実施可能で、よって、簡単な操作のみで船体1の推進移動と後退移動とを瞬時に切替えて船体1を広範囲で良好に移動操作できることとなる。
【実施例】
【0046】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0047】
本実施例は、船体1の底部前後方向に下方突出状態に水圧板2を設け、基端を道糸20と連結する基礎コード3及び調整コード9の先端を前記船体1に夫々連結し、前記道糸20を引っ張り前記基礎コード3と調整コード9とにより前記船体1に付与する引っ張り力と、この船体1の水圧板2に付与する水流圧力とにより、この船体1を水流に対して斜め上流方向に推進させる推進力を生ずるように構成した水上遊泳船において、前記基礎コード3は先端に浮き6を取り付けると共に、前記船体1の前後方向に設けたコード案内部5に沿ってこの船体1の前後方向に連結位置移動自在にこの基礎コード3の前記浮き6付き先端を連結した構成とし、この基礎コード3の前記浮き6付き先端を前記コード案内部5に沿った船体1の前方に連結させた状態で前記道糸20を引っ張ることでこの船体1に付与する引っ張り力とこの船体1の水圧板2に付与する水流圧力とにより船体1を水流に対して斜め上流方向に推進させる前記推進力を生ずるように構成し、且つこの道糸20を緩めて前記基礎コード3の緊張状態を解除することで、この基礎コード3の前記浮き6付き先端を前記コード案内部5に沿って船体1の後方に流下移動させると共に船体1を水流に対して斜め上流方向に推進させる前記推進力を消失させ船体1を水流に対して下流方向に後退させるバック移動機構を備えた構成としたものである。
【0048】
以下、各部を具体的に説明する。
【0049】
船体1は、図1及び図2に図示したように、長さ方向(図1中,左右方向)に略対照な形状としている。図1及び図2中では右側をこの船体1の前方(船首)に設定しているが、船体1と基礎コード3及び調整コード9との連結位置を調整して左側を船体1の前方に設定することもできる。
【0050】
図3に図示したように、この船体1の下部前後方向にして幅方向中央部に鉛直下方向に突出状態に水圧板2を設けている。
【0051】
この水圧板2は、図1〜図3に図示したように、船体1の下部に取り付け固定した一方の板材(以下、上側板材14A)に対して、重ね合わせ状態にもう一枚の板材(以下、下側板材14B)を重合連結している。具体的には、上側板材14Aに挿通配設したボルト15を、下側板材14Bの板面に上下方向に形成した調整用長孔22に連通して、ナット15aを螺着してこの上側板材14Aと下側板材14Bとを締結固定した構成であり、調整用長孔22に沿って上側板材14Aに対して下側板材14Bを上下方向に位置調整固定することにより双方の板の重合度合いを可変調整し得る構成である。
【0052】
このように水圧板2を構成する複数の板材の重合度合いを調整することで、この水圧板2の板面形状(板面積)を拡狭調整でき、よって、水流が強すぎる場合は水圧板2の板面形状を狭め、反対に水流が弱い場合には拡げるなど、水流に応じて水圧板2の形状を調整できる。
【0053】
また、この水圧板2の前後方向には切り込みを形成し、この切り込みをコード案内部5(以下、コード案内切り込み部5と呼ぶ)として構成している。
【0054】
図1及び図2に図示したように、基礎コード3の先端をこのコード案内切り込み部5に挿通したうえでこの先端に浮き6(浮き球)を取り付け固定し、この浮き6がこのコード案内切り込み部5を通過できずに抜け止め作用を発揮する。
【0055】
従って、水流圧力を受けるための水圧板2に切り込みを形成してこれに基礎コード3の先端を挿通し、浮き6で抜け止めする簡単な構造で、この水圧板2の前後方向に形成したコード案内切り込み部5に沿って前記基礎コード3の浮き6付き先端が船体1との連結位置を前後方向に自由移動自在に連結された構成を実現できる。
【0056】
尚、水圧板2の前後端部には基礎コード3の先端を移動固定するための穴7を設けており、一方、前記基礎コード3の浮き6付き先端には前記穴7を挿通し得る止め金具8を設けており、例えば、基礎コード3の先端と船体1との連結位置を自由移動させたくない場合(船体1の推進移動のみでバック移動は不要の場合)、図4に図示したように基礎コード3の先端の止め金具8を前記穴7に挿通しておき、この止め金具8と穴7との引っ掛かり係止により前記基礎コード3をコード案内切り込み部5の端部側に自由移動阻止状態に固定しておくことも可能である。
【0057】
また、図1に図示したように、基礎コード3の基端にはチチワ12を設けており、このチチワ12を道糸20の先端に連結してこの基礎コード3の基端と道糸20とを連結する構成としている。
【0058】
また、船体1には、前後方向に連結位置調整固定部4を設けおり、調整コード9の先端は、この連結位置調整固定部4に沿って船体1の前後方向に連結位置を調整固定自在に連結した構成としている。
【0059】
この連結位置調整固定部4は、図2に図示したように、前記船体1の前後方向に調整棒4A(図2に図示したように船体1の側部に突出状態に設けたコ字状の杆部材)を横設し、この調整棒4Aに調整コード9の先端を編み付け状態若しくは結び付け状態に連結固定すると共に、この調整棒4Aに対する前記調整コード9の先端の編み付け位置若しくは結び付け位置を調整することでこの調整コード9の先端の連結位置を前記調整棒4Aに沿って船体1の前後方向に調整固定自在とする構成である。
【0060】
また、この調整コード9の基端は、図1に図示したように、前記道糸20と連結する基礎コード3に結束連結してこの基礎コード3を介して調整コード9の基端を前記道糸20に連結した構成としている。
【0061】
また、この調整コード9の基端は、前記基礎コード3に対して連結位置を調整固定自在に連結している。具体的には、図1及び図2に図示したように、調整コード9の基端は、前記基礎コード3に編み付けて若しくは結び付けてこの基礎コード3に結束連結固定した構成とすると共に、この調整コード9の基端と前記基礎コード3との編み付け位置若しくは結び付け位置を調整することでこの基礎コード3に対して調整コード9の基端の連結位置を調整固定自在としている。
【0062】
従って、この調整コード9の先端と船体1との連結位置,調整コード9の基端と基礎コード3との連結位置を調整することで、前記道糸20を引っ張って緊張状態とした際の基礎コード3と調整コード9との相対角度を調整できる。
【0063】
このように基礎コード3と調整コード9との角度調整を行うことで、この二本のコード3,9により船体1に付与する前記引っ張り力の方向を調整できる。即ち、コード角度調整より引っ張り力の方向を調整し、この引っ張り力と水流圧力との合力から生ずる推進力の方向,大きさなど種々の調整設定を行うことで船体1の推進移動方向や推進移動位置などを調整設定方向角度調整など、船体1の推進移動方向の調整設定を図る。
【0064】
また、調整コード9の一部には、図1及び図2に図示したように、差込ピン10と、この差込ピン10を圧入するピン受け部11とにより圧入差し込み嵌合連結した部位を有しており、例えば道糸20の基端を連結する釣竿を叩くなどして道糸20を介して前記調整コード9に瞬時に強い引っ張り力を付与することで、前記差込ピン10をピン受け部11から脱嵌して嵌合連結を解除し、この調整コード9の一部を分離させることができる。
【0065】
即ち、例えば図1に図示したように、道糸20の先端と共に、釣り仕掛けやルアーなどの仕掛体21を設けたハリス糸24も前記基礎コード3の基端のチチワ12に連結して、船体1を推進移動させてこの仕掛体21によって釣りを行う場合には、この仕掛体21に魚がヒットした場合には上述のように調整コード9の一部を分離してこの調整コード9による船体1への引っ張り力を解放することで、船体1が自由に船体姿勢(向き)を可変し得る状態となりこの水圧板2に付与する水流圧力2を一挙に低減させることができる。即ち、魚がヒットした場合に船体1を瞬時に水流に解放し、この船体1の水圧板2に付与する余計な水流圧力に邪魔されることなく、通常の釣りと同様に魚によるハリス糸24及び道糸20のヒキを楽しむことができる。
【0066】
また、図2及び図3に図示したように、船体1の底部には、釣り仕掛け,ルアーなどの仕掛体21を引っ掛け保持する仕掛け用フック13を設けている。
【0067】
従って、図1に図示したように道糸20の先端と共に基礎コード3の基端のチチワ12に連結したハリス糸24の先端の仕掛体21を、この船体1の底部の仕掛け用フック13に引っ掛けた状態としてこの船体1を所定の釣りポイントまで推進移動させることで、船体1を前記所定の釣りポイントまで移動させる際に前記仕掛体21が水面下の障害物(石や沈下流木など)に引っ掛ることを阻止し前記船体1のスムーズな推進移動を可能とする。
【0068】
また、この仕掛け用フック13に仕掛体21を強固に取り付け保持するのではなく、単に引っ掛けて保持しているだけなので、推進状態の船体1を瞬時に後退操作することで仕掛け用フック13から仕掛体21を逃がし(振り落とし)、所定の釣りポイントにてこの仕掛体21を水中に解放することも容易に可能である。
【0069】
本実施例では、この仕掛け用フック13は、図2に図示したように偏U字状の引っ掛かりを前後二方向に有する形状に形成しており、この仕掛け用フック13の前後二方向の引っ掛かりのうち、船体1の進行方向の引っ掛りに仕掛体21を引っ掛け、船体1を推進移動させる際にはこの仕掛け用フック13に仕掛体21を良好に引っ掛け保持でき、且つこの船体1を後退操作することこの仕掛け用フック13の引っ掛かりから仕掛体21が容易に係脱して水中に解放されるように構成している。
【0070】
また、船体1には、水面より上方に突出状態にポール,旗などの目印体16を設けた構成としており、本実施例では船体1の上面中央部から垂直上方に突出状態にポールを立設し、これを目印体16として構成している。
【0071】
従って、釣り人(操作者)から離れた位置においても、船体1の位置を前記目印体16によって良好に視認でき、より遠方での船体1の良好な移動操作を可能としている。
【0072】
尚、図5〜図8は本実施例の別例である。詳述すると、図5及び図6は、船体1と水圧板2とを一体に設けた構成とした場合を示すものである。具体的には、板状の船体1に板状の水圧板2を重合して一体固定した構成で、その船体1にして水圧板2の下部にはオモリ17を設け、このオモリ17が下方となるように船体1を水上に(この板状の船体1の殆ど全部が水中に着水状態となるように)浮かべて使用するものである。また、この板状の船体1の側面にして水圧板2の側面にはコード案内部5として上述の切り込みではなく略コ字状の浮き移動棒18を横設した構成とし、この浮き移動棒18(コード案内部5)に、基礎コード3の浮き6付き先端に設けたリング19を被嵌して基礎コード3の先端と船体1とを連結して、この基礎コード3の浮き6付き先端が、この浮き移動棒18(コード案内部5)に沿って船体1の前後方向に連結位置移動自在としたものである。また、図7及び図8は、仕掛体21を連結したハリス糸24を、図1に図示したように基礎コード3の基端のチチワ12に連結して道糸20と連結するのではなく、基礎コード3の途中位置に設けたハリス連結コード23の先端のハリス連結リング23にこのハリス糸24の基端を連結した構成とした場合を示すものである。具体的には、図7及び図8に図示したように、ハリス連結コード23のハリス連結リング23aを介して基礎コード3とハリス糸24とを連結する。そして、このハリス連結リング23aを調整コード9の差込ピン10に被嵌させたうえで、この差込ピン10を図7に図示したようにピン受け部11に圧入嵌合連結する。従って、ハリス糸24の先端に設けた仕掛体21に魚がヒットした際、この魚がハリス糸24を引く力によって自動的に差込ピン10がピン受け部11がから脱嵌し、図8に図示したように調整コード9の一部が分離することとなる。即ち、仕掛体21に魚がヒットした際、道糸20を瞬間的に強く引っ張って調整コード9の差込ピン10とピン受け部11とを脱嵌する釣竿操作を行わずとも、魚の引きによって自動的に双方の脱嵌が為され、調整コード9による船体1の引っ張り力が解放され、これにより船体1の水圧板2に付与する水流圧力に邪魔されることなく、前記ヒットした魚によるハリス糸24び道糸20のヒキを楽しむことができる構造である。
【0073】
次いで、本実施例に係る船体1を河川にて使用する場合の移動操作例を説明する。
【0074】
先ず、船体1を沿岸から水流へ浮かべる。
【0075】
図9に図示したように、この基礎コード3の浮き6付き先端を、コード案内切り込み部5に沿った船体1の前方位置に配した状態で、道糸20を引っ張って基礎コード3及び調整コード9を緊張させる。
【0076】
これにより、基礎コード3及び調整コード9により船体1に付与する引っ張り力と、この船体1の水圧板2に付与する水流圧力との合力により、船体1を水流に対して斜め上流方向(図9中、右上方向)へ推進させる推進力が生じ、道糸20の基端側に位置する操作者を中心に弧を描くようにして、船体1が斜め上流方向、つまり操作者の立つ沿岸から対岸側へと離岸推進移動する。また、このように船体1を推進移動させる途中で、釣竿の竿先を水中に沈めるなどして道糸20を着水させると、この道糸20の着水する部分全体に水流圧力が付与することで、船体1の前記推進移動が停止され、これにより推進移動途中で前記船体1をその場に移動停止するといったことも可能である。
【0077】
尚、船体1が弧を描くようにして推進移動するに伴い、船体1に付与する引っ張り力の方向や、水圧板2に付与する水流圧力の方向などが変化して前記船体1の推進力が減衰し、よってこの推進力が生じ得る所定位置まで前記船体1が水流の斜め上流方向へと推進移動することとなる。この最終的に船体1が推進移動によって到達し得る位置は、上述した調整コード9の先端と船体1との連結位置や、調整コード9の基端と基礎コード3との連結位置の調整によりコード角度調整によって調整が図れる。
【0078】
このように船体1を推進移動させた状態から、次いで図10に図示したように、例えば釣竿操作などにより道糸20を緩めると、基礎コード3の緊張状態が解除されてこの基礎コード3の前記浮き6付き先端が水流圧力により下流側に流され、コード案内部5に沿って船体1の後方へと流下移動することとなる。
【0079】
即ち、図11に図示したように、基礎コード3の浮き6付き先端と船体1との連結位置が、この船体1の後方側へと移動するために、この基礎コード3及び調整コード9により船体1を適正な船体姿勢(向き)に保持することができなくなり、前記推進力が消失することとなる。このように基礎コード3の浮き6付き先端が船体1の後方にて連結された状態で道糸20を引っ張ることで、図11に図示したように、道糸20の基端側の操作者を中心に弧を描くようにして、この船体1を前記推進移動方向とは逆に下流方向(斜め下流方向)へと後退(バック移動)させることが可能である。
【0080】
また、このようにバック移動状態の船体1は、図12に図示したように、釣竿操作などにより道糸20を緩め、続いて釣竿を勢い良く上流側に振るなどして、再び基礎コード3の前記浮き6付き先端と船体1との連結位置をこの船体1の前方へと移動させた上で道糸20を引っ張って緊張させることにより、再び上記推進力を生じさせ船体1を水流に対して斜め上流方向へと推進移動させることが可能である。
【0081】
以上、本実施例は、水流に対して斜め上流方向へと船体1を推進移動操作できることは勿論、従来困難であった瞬時の船体1のバック移動操作をも可能とし、水流圧力を利用して船体1の広範囲での自由な推進移動,移動停止,バック移動操作を実現し、騒音の問題もなく何ら動力燃料を必要とせず無公害にしてスポーツ性の高い遊泳船を提供できる。
【0082】
本実施例の水上遊泳船によれば、例えば船体1の遊泳操作を楽しんだり、例えば船体1により釣り仕掛けやルアーなどの仕掛体21を所定の釣りポイントに運んで仕掛け釣りを行うことができ、広範囲で良好な釣りを実施でき、また所望の釣りポイントで釣りを行うことができ、また例えば漁船などの船舶と本実施例の船体1とを並走航走してトローリング釣り(引きずり漁法)を行う場合にも、漁船などの船舶に対して本実施例の船体1の並走位置を広範囲に調整設定して良好にトローリング釣りを行うことができ、また例えば、沿岸からの船体1の操作により、対岸へ無人で物資を運搬し、その後、対岸から逆に沿岸へ戻りバック移動操作するといった運搬作業にも利用できる極めて画期的で実用性秀れた水上遊泳船となる。
【0083】
尚、本発明は、本実施例によって限定されるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施例に係る水上遊泳船の説明側面図である。
【図2】本実施例に係る水上遊泳船の説明底面図である。
【図3】本実施例に係る水上遊泳船の説明正面図である。
【図4】本実施例に係る水上遊泳船の要部説明図である。
【図5】本実施例に係る水上遊泳船の別例を示す説明側面図である。
【図6】本実施例に係る水上遊泳船の別例を示す説明正面図である。
【図7】本実施例に係る水上遊泳船の別例を示す要部説明図である。
【図8】本実施例に係る水上遊泳船の別例を示す要部説明図である。
【図9】本実施例に係る水上遊泳船の操作説明図である。
【図10】本実施例に係る水上遊泳船の操作説明図である。
【図11】本実施例に係る水上遊泳船の操作説明図である。
【図12】本実施例に係る水上遊泳船の操作説明図である。
【図13】本実施例に係る水上遊泳船の操作説明図である。
【符号の説明】
【0085】
1 船体
2 水圧板
3 基礎コード
4 連結位置調整固定部
4A 調整棒
5 コード案内部
6 浮き
9 調整コード
10 差込ピン
11 ピン受け部
13 仕掛け用フック
16 目印体
20 道糸
21 仕掛体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体の底部前後方向に下方突出状態に水圧板を設け、基端を道糸と連結する基礎コード及び調整コードの先端を前記船体に夫々連結し、前記道糸を引っ張り前記基礎コードと調整コードとにより前記船体に付与する引っ張り力と、この船体の水圧板に付与する水流圧力とにより、この船体を水流に対して斜め上流方向に推進させる推進力を生ずるように構成した水上遊泳船において、前記基礎コードは先端に浮きを取り付けると共に、前記船体の前後方向に設けたコード案内部に沿ってこの船体の前後方向に連結位置移動自在にこの基礎コードの前記浮き付き先端を連結した構成とし、この基礎コードの前記浮き付き先端を前記コード案内部に沿った船体の前方に連結させた状態で前記道糸を引っ張ることでこの船体に付与する引っ張り力とこの船体の水圧板に付与する水流圧力とにより船体を水流に対して斜め上流方向に推進させる前記推進力を生ずるように構成し、且つこの道糸を緩めて前記基礎コードの緊張状態を解除することで、この基礎コードの前記浮き付き先端を前記コード案内部に沿って船体の後方に流下移動させると共に船体を水流に対して斜め上流方向に推進させる前記推進力を消失させ船体を水流に対して下流方向に後退させるバック移動機構を備えた構成としたことを特徴とする水上遊泳船。
【請求項2】
前記船体の前後方向に設けた連結位置調整固定部に沿って、この船体の前後方向に連結位置を調整固定自在に前記調整コードの先端を船体に連結した構成としたことを特徴とする請求項1記載の水上遊泳船。
【請求項3】
前記連結位置調整固定部は、前記船体の前後方向に調整棒を横設しこの調整棒に調整コードの先端を編み付け状態若しくは結び付け状態に連結固定すると共に、この調整棒に対する前記調整コードの先端の編み付け位置若しくは結び付け位置を調整することでこの調整コードの先端の連結位置を前記調整棒に沿って船体の前後方向に調整固定自在に構成したことを特徴とする請求項2記載の水上遊泳船。
【請求項4】
基端を前記道糸に連結する基礎コードに、前記調整コードの基端を結束連結してこの基礎コードを介してこの調整コードの基端を前記道糸に連結する構成とすると共に、この調整コードの基端は、前記基礎コードに対して連結位置を調整固定自在に連結した構成としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水上遊泳船。
【請求項5】
調整コードの基端は、前記基礎コードに編み付けて若しくは結び付けてこの基礎コードに結束連結固定した構成とすると共に、この調整コードの基端と前記基礎コードとの編み付け位置若しくは結び付け位置を調整することでこの基礎コードに対して調整コードの基端の連結位置を調整固定自在としたことを特徴とする請求項4記載の水上遊泳船。
【請求項6】
前記調整コードは、差込ピンと、この差込ピンを圧入するピン受け部とにより圧入差し込み嵌合連結した部位を有し、この調整コードに瞬時に強い引っ張り力を付与することで前記差込ピンをピン受け部から脱嵌して嵌合連結を解除しこの調整コードの一部を分離させ得るように構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の水上遊泳船。
【請求項7】
前記船体の底部に、釣り仕掛け,ルアーなどの仕掛体を引っ掛け保持する仕掛け用フックを設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の水上遊泳船。
【請求項8】
前記水圧板は、複数枚の板材を重ね合わせ状態に配して成ると共にこの複数枚の板材同志の重合度合いを可変調整自在に構成し、この水圧板を構成する複数枚の板材同志の重合度合いを可変調整することでこの水圧板の板面形状を広狭調整し、この水圧板に付与する水流圧力を増減調整し得るように構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の水上遊泳船。
【請求項9】
前記船体に、水面より上方に突出状態にポール,旗などの目印体を設けた構成としたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の水上遊泳船。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−188107(P2008−188107A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23216(P2007−23216)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(504175224)
【Fターム(参考)】