説明

水中オメガ−3強化された魚油型非経口栄養エマルション

油成分及び水成分を含むエマルションであって:
該油成分は該油成分の質量に基いて約60%乃至約90%の量の魚油トリグリセリド、及び少なくとも1種の中鎖トリグリセリドを含み:
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリド脂肪酸の全質量に基いて少なくとも60%の量の、トリグリセリドとして表される、オメガ−3脂肪酸を含み;
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%の、トリグリセリドとして表されるEPA及びDHAの全量を含み;
該少なくとも1種の鎖脂肪酸トリグリセリドの全量は、該油成分の質量に基いて約10%乃至約40%であるところのエマルションが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願との相互参照
この出願は優先権の利益を主張し、及び2009年3月11日に提出した米国出願番号12/382,196の一部継続出願であり、その全ての内容はここで参照されることによって包含される。
【0002】
本開示は、少なくともオメガ−3酸トリグリセリド及び中鎖トリグリセリドを含有するエマルション及び組成物に関する。このエマルションは水中油型エマルションであり得る。このエマルション及び組成物は、例えば、非経口投与に使用できる。
【背景技術】
【0003】
水中油型非経口エマルションは栄養の及び医療の目的のために臨床的に使用されている。使用された油の様々な種類について、歴史的に大豆油がほぼ50年前に初めて導入され、従って最も多くの臨床経験を有している。
【0004】
非経口エマルションは国際公開第97/19683号パンフレット、米国特許第5,874,470号明細書及び米国特許出願公開第2004/0247693号明細書に記載されている。
【0005】
米国特許出願公開第2004/0247693号明細書には、エマルション中の脂質の全量、但しエマルションは植物油を含まない場合、に基いて、(i)約60乃至約95質量%の中鎖トリグリセリド、及び(ii)約5乃至40質量%の魚油を含有する等張脂質エマルションが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第97/19683号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,874,470号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0247693号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの例となる態様によると、油成分及び水成分を含むエマルションであって:
該油成分は該油成分の質量に基いて約60%乃至約90%の量の魚油トリグリセリド、及び少なくとも1種の中鎖トリグリセリド油を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも60%の量の、トリグリセリドとして表されるオメガ−3脂肪酸を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%の、トリグリセリドとして表されるEPA及びDHAの全量を含み、
該少なくとも1種の中鎖トリグリセリド油の全量は該油成分の質量に基いて約10%乃至約40%であるところのエマルションが提供される。
【0008】
別の例示的な態様によると、水中油型エマルションの油成分としての使用に適した油組成物であって、
該油組成物は、該組成物の質量に基いて約60%乃至約90%の量の魚油トリグリセリド、及び少なくとも1種の中鎖トリグリセリド油を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも
60%の量の、トリグリセリドとして表される、オメガ−3脂肪酸を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%の、トリグリセリドとして表される、EPA及びDHAの全量を含み、
該少なくとも1種の中鎖トリグリセリド油の全量は該組成物の質量に基いて約10%乃至約40%であるところの油組成物が提供される。
【0009】
別の例示的な態様によると、油成分及び水成分を含むエマルションであって、
該油組成分は、エマルションの油成分の質量に基いて50%より多く乃至約90%の量の魚油トリグリセリド、及び中鎖トリグリセリド油を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも60%の量の、トリグリセリドとして表される、オメガ−3脂肪酸を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%の、トリグリセリドとして表される、EPA及びDHAの全量を含むところのエマルションが提供される。
【0010】
別の例示的な態様によると、油成分及び水成分を含むエマルションであって、
該油成分は、該エマルションの油成分の質量に基いて、約31%乃至約90%の量の、魚油トリグリセリド、及び中鎖トリグリセリドを含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも60%の量の、トリグリセリドとして表される、オメガ−3脂肪酸を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%の、トリグリセリドとして表される、EPA及びDHAの全量を含み、
該エマルションは水中油型エマルションであり、該エマルション中の油成分の濃度は5g/100mL以上乃至20g/100mL未満であるか、又はエマルション中の油成分の濃度は20g/100mLより大きく乃至30g/100mLであるところのエマルションが提供される。
【0011】
別の例示的な態様によると、油成分及び水成分を含むエマルションであって、
該油成分は、該エマルションの油成分の質量に基いて約31%乃至約90%の量で存在する該魚油トリグリセリド、中鎖トリグリセリド油、及び植物油を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも60%の量の、トリグリセリドとして表されるオメガ−3脂肪酸を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%の、トリグリセリドとして表されるEPA及びDHAの全量を含むところのエマルションが提供される。
【0012】
別の例示的な態様によると、油成分及び水成分を含むエマルションであって、
該油成分が該エマルションの油成分の質量に基いて約31%乃至約90%の量で存在する魚油トリグリセリド、及び中鎖トリグリセリドを含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも60%の量の、トリグリセリドとして表されるオメガ−3脂肪酸を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%の、トリグリセリドとして表されるEPA及びDHAの全量を含み、
該エマルションは水中油型エマルションであり、該エマルション中の油成分の濃度は5g/100mL乃至17.5g/100mLであるか、又は該エマルション中の油成分の濃度は22.5g/100mL乃至30g/100mLであるところのエマルションが提供される。
【0013】
別の例示的な態様によると、
a)脂肪酸でエステル化されたグリセロールよりなる魚油トリグリセリドであって、
該脂肪酸が該脂肪酸の少なくとも45質量%の量のEPA及びDHAを含み及びオメガ−3脂肪酸の全量は該脂肪酸の少なくとも60質量%であるところの魚油トリグリセリド、及び
b)少なくとも1種の中鎖トリグリセリド油
を含む水中油型エマルションであって、
該魚油トリグリセリドは油成分の全質量に基いて少なくとも51質量%の量で存在し、及び該中鎖トリグリセリドは油成分の全質量に基いて10乃至49質量%の量で存在するところの水中油型エマルションが提供される。
【0014】
別の例示的な態様によると、魚油トリグリセリドは油成分の全質量に基いて51乃至90質量%の量で存在する。
【0015】
別の例示的な態様によると、油成分はさらに植物油を含む。
【0016】
別の例示的な態様によると、植物油は水中油型エマルションの油成分の全質量に基いて、10質量%までの量で、好ましくは2乃至8質量%の量で存在する。
【0017】
別の例示的な態様によると、植物油は大豆油及び紅花油並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0018】
別の例示的な態様によると、水中油型エマルションは該エマルションの5乃至30g/100mLの範囲の量の、好ましくは15乃至25g/100mLの範囲の量の、例えば、20g/100mLの量の油成分を含む。
【0019】
別の例示的な態様によると、水中油型エマルションは、好ましくは卵又は大豆由来のリン脂質の群から選択される、少なくとも1種のリン脂質乳化剤成分を更に含む。
【0020】
別の例示的な態様によると、リン脂質乳化剤成分はホスファチジルコリンである。
【0021】
別の例示的な態様によると、リン脂質乳化剤成分は、0.05乃至0.07、好ましくは0.06の範囲であるトリグリセリドに対するリン脂質の質量比で存在する。
【0022】
別の例示的な態様によると、水中油型エマルションは好ましくは20乃至25g/Lの濃度範囲の等張剤を更に含む。
【0023】
別の例示的な態様によると、水中油型エマルションは等張剤としてグリセロールを含む。
【0024】
別の例示的な態様によると、水中油型エマルションはpH調節剤を含む。
【0025】
別の例示的な態様によると、水中油型エマルションはpH調節剤としてオレイン酸ナトリウムを含む。
【0026】
別の例示的な態様によると、pH調節剤は3g/Lまでの濃度で存在する。
【0027】
別の例示的な態様によると、エマルションのpH値は、6乃至9、好ましくは6乃至8.5、より好ましくは7.5乃至8.5の範囲である。
【0028】
別の例示的な態様によると、水中油型エマルションは好ましくは1g/Lまでの濃度で存在する抗酸化剤を更に含む。
【0029】
別の例示的な態様によると、抗酸化剤はα−トコフェロールである。
【0030】
別の例示的な態様によると、エマルションは非経口で適用できる。
【0031】
別の例示的な態様によると、加重平均液滴径は、20℃で250nm未満、好ましくは240nm未満である。
【0032】
別の例示的な態様によると、水中油型エマルションを含む又はからなる医薬組成物が提供される。
【0033】
別の例示的な態様によると、医薬組成物は全身性炎症反応症候群(SIRS)、呼吸窮迫症候群(RDS)、栄養及び/又は食事に関する原因の肝疾患、医原性の原因の肝疾患、病理学的原因の肝疾患、免疫調節、頭部外傷、術後手術ストレス、心筋梗塞及び嚢胞性線維症からなる疾病群の予防又は治療の使用に提供される。
【0034】
別の例示的な態様によると、天然源と比較して高い割合の生体活性オメガ−3脂肪酸を含む、栄養価を高められた“加工された油”であるヨーロッパ薬局方1352仕様書による強化された魚油含有組成物が提供される。
【0035】
別の例示的な態様によると、オメガ−6EFAは炎症促進性の脂肪酸メディエーターの過剰摂取から負の臨床的影響を最小限にする量で存在する、オメガ−3必須脂肪酸(EFA)及び魚油のオメガー6EFAを含む組成物が提供される。
【0036】
別の例示的な態様によると、最終の水中油型エマルション濃度が約5g/100mL乃至約30g/100mL、例えば、約20g/100mLの濃度であるところのエマルションが提供される。
【0037】
別の例示的な態様によると、中鎖脂肪酸が魚油の代謝クリアランスを促進するのに有効な量で存在するところの、中鎖トリグリセリド(MCT)油の中鎖脂肪酸(FA)を含む組成物が提供される。例えば、MCTは長鎖トリグリセリドの代謝クリアランスを促進するのに有効である量で存在できる。
【0038】
別の例示的な態様によると、患者の炎症過程の代謝の影響なしに、MCTは、長鎖トリグリセリドへのその窒素節約特性と少なくとも等しいか又は同程度である適したエネルギー源として役割をはたす。
【0039】
別の例示的な態様によると、エマルションの安定性を維持するために有効な量のMCTを含有する組成物が提供される。
【0040】
別の例示的な態様によると、炎症、耐糖能障害及び/又はインスリン耐性のような不都合な臨床的効果の減少をもたらし得るエマルションの油源中の飽和長鎖脂肪酸(LCFA)の濃度の減少がある。
【0041】
別の例示的な態様によると、エマルションの油相の組成物は、静脈栄養補助への対応を最適に調整され得る。
【0042】
別の例示的な態様によると、所望の薬理学的作用、例えば、有害な炎症反応に効く又は重要な臓器機能を保つ作用を与えるために有効である量のn3−FAを含み得る、エマルションの油相の組成物が提供される。
【0043】
別の例示的な態様によると、従来の水中油型エマルションの非経口投与から生じ得る毒性を減少させる又は除外するためにトリグリセリドの所望のバランスを含み得る組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0044】
例となる実施態様は、長鎖オメガ−3(n−3)脂肪酸(n3−FA)で高度に強化された比較的高濃度の魚油トリグリセリド由来の油の、比較的低濃度の中鎖トリグリセリド(MCT)由来の中鎖脂肪酸、及び所望により長鎖オメガ−6(n−6)脂肪酸(n6−FA)を含む新規な非経口脂質エマルション組成物に向けられる。
【0045】
ここで使用される、用語“魚油(fish Oil)”及び“魚油ら(fish oils)”は、例えば魚油中に存在するトリグリセリドなどの成分、及び例えば魚油由来の誘導体又は魚油から得られる生成物であるトリグリセリドなどの成分に関連する。例となる実施態様において、ここで記載されている魚油トリグリセリドは魚油から誘導した又は合成したトリグリセリドを含む。例えば、魚油トリグリセリドは再エステル化された魚油から誘導されたオメガ−3脂肪酸を含む合成的に誘導された油を含有し得る。例えば、合成的に誘導された油は、例えば、特定の望ましくない脂肪酸(例えば、飽和長鎖FA)から望ましい脂肪酸(例えば、オメガ−3脂肪酸、例えばEPA及びDHA)を分離するために有効である濃縮プロセスに従って魚油から誘導され得る。このような濃縮プロセスの例は、分子蒸留及び/又は分子ろ過による分離である。1つの実施態様において、合成的に誘導された油は、後述されるヨーロッパ薬局方1352と一致する方法で誘導できる。
【0046】
魚油に由来する油は、自然源に生じるよりも高い濃度でn3−FAを含み得る。中鎖トリグリセリド(MCT)からの中鎖脂肪酸は飽和中鎖脂肪酸であり得る。n6−FAは、例えば、EFAの要件を満たすために、植物油から与えられる。1つの実施態様において、例えばエマルションなどの組成物は安定であり得、及び、自然代謝クリアランスを有し、及び/又は患者によって許容性がある。例えば、エマルションは水中油型(o/w)エマルションであり得る。
【0047】
典型的な油は魚に由来し、並びに多価不飽和及び生物活性のオメガ−3脂肪酸に富み得る。エマルションの油成分は魚油トリグリセリド、例えば、オメガ−3酸トリグリセリドを豊富に含み得る。魚油トリグリセリドは、エマルションの油成分の全質量に基いて、約31%乃至約90%、もしくは約41%乃至約90%、もしくは約45%乃至約90%、もしくは50%より多く約90%以下、もしくは約51%乃至約90%、もしくは約55%乃至約90%、もしくは約60%乃至約90%、もしくは約61%乃至約90%、もしくは約70%乃至約90%、もしくは約71%乃至約90%、もしくは約80%乃至約90%、もしくは約40%乃至約80%、もしくは約50%乃至約70%、もしくは約60%乃至約65%で存在し得る。例えば、魚油トリグリセリドの典型的な範囲を使用することによって、人体に運ばれるエステル化オメガ−3脂肪酸の量が増加され得る。例えば、出願人は、オメガ−3脂肪酸の無制限の摂取の臨床的有意性を認め、及び、オメガ−3脂肪酸の無制限の摂取は、例えば魚油トリグリセリドの典型的な範囲を使用することによって増加できる。例えば、出願人は、少なくとも幾つかの投与、例えば心臓血管の健康の兆候において、オメガ−3脂肪酸の無制限な摂取が、オメガ−6脂肪酸に対するオメガ−3脂肪酸の比よりも一般的な有効性のより正確な指標になり得る。例えば、2007年のスタンリーらのを参照する。
【0048】
魚油トリグリセリドは20乃至22炭素化合物であり得及び長鎖脂肪酸(LCFA)分子のメチル基末端から3番目の位置に3以上の二重結合を含有し得る。様々な脂肪酸(FA)のための標準的な表記は、1)炭素原子数、続いて、2)二重結合の数、及び最後に
3)メチル基に対する二重結合の位置(又は魚油からのLCFAの場合に“n3”)を含む。特に、海産油は2つの主要なn3−FA、即ちエイコサペンタエン酸或いはEPA(20:5n3)、及びドコサヘキサエン酸或いはDHA(22:5n3)で高く強化できる。海産油はドコサペンタエン酸或いはDPA(22:6n3)のような他のn3−FAのより少量を含み得る。水中油型非経口脂質エマルションの魚油は、以下の種類:カタクチイワシ科(例えば、カタクチイワシ)、鯵科(例えば、鯖)、ニシン科(例えば、ニシン)、キュウリウオ科(例えば、スメルト)、サケ科(例えば、サケ)及びサバ科(例えば、マグロ)からのような、魚の群の混合物からの油を表し得る。
【0049】
ヨーロッパ薬局方(EP)において、魚油に関する2つの論文(即ち、表題「オメガ−3酸トリグリセリド」ヨーロッパ薬局方1352、及び表題「オメガ−3酸に富む、魚油」、ヨーロッパ薬局方1912)がある(ヨーロッパ薬局方1352、ヨーロッパ薬局方1912、2008年)。ヨーロッパ薬局方1352の論文は、ヨーロッパ薬局方1352のn3−FAの生物活性の組成及び要件がヨーロッパ薬局方1912よりも高い点で、ヨーロッパ薬局方1912とは実質的に異なっている(ヨーロッパ薬局方1352:EPA+DHA(45%、全量n3−FA(60%、に対してヨーロッパ薬局方1912:EPA(13%;DHA(9%;全量n3−FA(28%)。ヨーロッパ薬局方1912におけ
るn3−FAの水準は自然界に見出されるこれらと一致する。ヨーロッパ薬局方1352と比べると、n3−FA濃度は実質的には高くなっており、存在する所望でないLCFA、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸などを取り除くところの分子蒸留のなどの強化方法によって得ることができる。その際、存在する全てのFA、及び特にn3−FAの濃度は比例して高くなる(ドリスコル、2008a)。
【0050】
例となる実施態様において、魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも60%の量で、トリグリセリドとして表されるオメガ−3脂肪酸を含有できる。例となる実施態様において、魚油トリグリセリドは魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%のトリグリセリドとして表されるEPA及びDHAの全量を含有し得る。例となる実施態様において、魚油トリグリセリドは魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%のトリグリセリドとして表されるEPA及びDHAの全量を含有し得る。例えば、トリグリセリドとして表される脂肪酸はエステル型脂肪酸として言及できる。例えば、ここで説明する脂肪酸及びオメガ−3脂肪酸(例えば、EPA及びDHAのような)は、ヨーロッパ薬局方1352に従って、魚油トリグリセリド中の酸等の構成成分に言及する。例えば、脂肪酸及びオメガ−3脂肪酸(例えばEPA及びDHAのような)は、上記の魚油トリグリセリド中に存在するとき、それらのエステル形態であり得る。
【0051】
魚油トリグリセリドは少なくとも1種のn6−FA、例えば複数のn6−FAを含有できる。少なくとも1種のn6−FAは、例えば、アラキドン酸或いはAA(20:4n6)及びリノール酸或いはLA(18:2n6)を含み得る。さらに又は代わりに、n3−FA、アルファリノレン酸或いはALA(18:3n3)が存在し得る。例えば、少なくとも1種のn6−FAの全量は、前記エマルションの油成分の質量に基いて約0.1%乃至約1.0%、もしくは約0.2%乃至約0.9%、もしくは約0.3%乃至約0.8%、もしくは約0.4%乃至約0.7%、もしくは約0.5%乃至約0.6%であり得る。
【0052】
エマルションの油成分の典型的な第2成分は、少なくとも1種の中鎖トリグリセリド(MCT)油、例えば、複数の典型的なMCT濃度を含み得る。例えば、少なくとも1種のMCT油は、エマルションの油成分の全質量に基いて約10%乃至約69%、もしくは約10%乃至約40%、もしくは約10%乃至約30%、もしくは約10%乃至約20%、もしくは約10%乃至約15%、もしくは約20%乃至約60%、もしくは約30%乃至約50%、もしくは約40%乃至約45%で存在し得る。例えば、MCT濃度の典型的な
範囲を採用することによって、人体に運ばれるエステル化したオメガ−3脂肪酸の量は増加し得る。例えば、典型的なMCT濃度を採用することによって、エマルションの有益な代謝クリアランス及び物理化学的安定特性をまだ達成しているとき、人体に運ばれるエステル化したオメガ−3脂肪酸の量は比較的少量のMCTの利用と共に増加する。
【0053】
例えば、少なくとも1種のMCT油は飽和中鎖脂肪酸、例えば、複数の飽和中鎖脂肪酸を含み得る。例となる実施態様において、MCTは6乃至12個の炭素原子を有する脂肪酸の混合物を含み得る。MCT油は果実もしくは野菜等の植物、例えば複数の植物から誘導され得る。MCT油はカプリル酸(例えば、MCT油の約50%乃至約80質量%の量)、炭素原子数8の飽和FA(8:0)を含み得る。MCT油はカプリン酸(例えば、MCT油の約20%乃至約50質量%の量)、炭素原子数10の飽和FA(10:0)を含み得る。例えば、中鎖トリグリセリドはMCT油の少なくとも90質量%の量のカプリル酸及びカプリン酸を含み得る。本公開で用いるMCT油の種類は、ヨーロッパ薬局方論文0868、表題“トリグリセリド、中鎖”(トリグリセリド(Triglycerida)飽和媒体)(ヨーロッパ薬局方0868、2008年)の要件を満たす。
【0054】
油成分は所望の植物油を含み得る。植物油は、例えば大豆油、紅花油又はそれらの組合せを含み得る。植物油は、例えば、n6−FA、LAが豊富であり、及び/又はより少量のn3−FA、ALAを含み得る。
【0055】
エマルションは所望により少なくとも1種の付加成分として補助薬を含有し得る。少なくとも1種の付加成分としては、例えば、卵リン脂質、オレイン酸ナトリウム、グリセロール、アルファ−トコフェロール及び水酸化ナトリウム及び/又は滅菌水を含有し得る。このような成分としては、例えばエマルションの安定化及び薬局方収載の仕様書に従う静脈内投与のためのその使用を適切にする。
【0056】
水中油型非経口エマルションは栄養の及び医療の目的のために臨床的に使用できる。各種の油の使用について、歴史的に見て大豆油が、ほぼ50年前から臨床の場で第1の成功裏に導入され、それ故に最も多くの臨床経験を持つが、しかしより近年の調剤ではMCT油、魚油及びオリーブ油のような他の油が増加してきた。栄養補助食品としては、水中油型非経口エマルションは、例えば、“短腸症候群”として知られる疾患を引き起こす、重度の小腸切除を要求される腸膜間動脈血栓症に由来する機能障害を起こした消化管を有する患者に使用するためのものである。その結果として、そのような患者は不十分な腸を有し、及びそれ故、十分な栄養素(蛋白質、炭水化物及び脂肪)及び微量栄養素(電解質、ビタミン及びミネラル)を吸収することができない。また生涯にわたって静脈栄養が必要であり得る、静脈栄養のための他の臨床的適応(例えば、放射線腸炎、腸閉塞症、高出力回腸造痩術など)がある。他の臨床例において、静脈栄養は一時的な治療手技として、例えば、負傷や感染への体の代謝応答を補助するための重病患者に使用される。経口摂取がない場合には、これら異化作用の疾患は、生命維持に必要な体の蛋白質及び広範囲のエネルギー不足の大規模な日々の損失を生じ得る。もし、長期の又は既存の栄養失調を伴う場合には、栄養学的介入がないことには、重大な臨床上の罹患率や死亡率の危険性を増加し得る(ドリスコル、2008b)。
【0057】
魚油を含有する水中油型非経口エマルションにおいて、これらエマルションは、体内で合成できない、n−3FA、EPA、DHA及びn−6FA、AAのいずれの必須脂肪酸(EFA)を提供できる。大豆油を含む非経口水中油型エマルションの場合、これらエマルションはn3−FAのためのALA及びn6−FAのためのLAの形でこれらEFAに前駆体を提供できる。さらに、歴史的に、大豆油の導入は、EFA不足を防ぐための、ALAの十分な濃度(7乃至11%)及びとても多量のLA(50乃至55%)を供給することに基いていた。大豆油系非経口エマルションで必要なEFAを十分に満たすために、
日々、最低カロリーの1乃至4%が必須である。(ビストリアン、2003)。従って、EFA必要量を満たすためには、例えば、2000kcalの成人の食生活で、カロリー摂取の1%(LA又は大豆油の〜50%として)は約40kcalに、又は1日当たり最低限3.5gの大豆油(20%脂質エマルションの175mLに等しい)に置き換えれるだろうし;100kcalの新生児の食生活にとって、カロリー摂取の1%は2kcal(一日当たり約0.2g、又は大豆油エマルションの0.1mL)に置き換えれるだろう。
【0058】
EFAを生み出すものであることに加えて、非経口脂質エマルションは日々のエネルギー又はカロリーを生み出すものとして処方され、しばしば、炭水化物(水和デキストロース又はグルコース)として提供されるカロリーの一部の代わりとして、静脈内投与される。エネルギー源(又は“混合栄養系”)としてグルコース及び脂質の両方を処方する診療は、大量のブドウ糖の静脈注射に関係する重大な代謝性合併症を避けるために行うことができる。これらは高血糖及び感染リスクの増加、肝臓におけるグルコースから脂肪への代謝返還に由来する肝障害、肝機能障害の患者における肝臓の脂肪合成に関連して生産された過剰の二酸化炭素に由来する呼吸器疾患の増加、及び他の副作用を含む。毎日のカロリー源として、非経口脂質エマルションからの脂質摂取は、一般的に全カロリー摂取の20乃至40%の範囲の量で処方される。それ故、例えば、2000kcalの成人の規定食において、これは20%の水中油型エマルションの1日当たり約220乃至440mLに相当する、1日当たり400乃至800kcal又は約44g乃至88gで表される。1日当たり100kcalの新生児の規定食にとって、これは20乃至40kcal又は1日当たり約2.2乃至4.4gに等しく、1日当たり約10乃至20mLの同じ20%脂質エマルションに等しい。
【0059】
大豆油ベースの非経口エマルションは1961年に第一に採用された安全な静脈注射の水中油型分散液であり、及びそれ故、世界中で最も幅広く使用される処方であるけれども、大豆油は臨床の場で使用される最適な脂質ではない。植物由来の長鎖トリグリセリド(LCT)として、この油から摂取できる最も豊富な“オメガ”脂肪酸は、ポリ不飽和の必須の(前駆体)n6−FA、LA(50−55%)、続いて、単不飽和の非必須のn9−FA、オレイン酸(18:1n9)(24−26%)、続いて、多価不飽和の必須(前駆体)n3−FA、ALA(7乃至11%)である。n6−FA、LAの主要な存在のため、そして炎症促進の役割及びプロスタグランジン及びトロンボキサンを含む高い血管作動性の“2組の”エイコサノイド、同様に強力な免疫調節の“4組の”ロイコトリエンへの前駆体という事実を考慮すれば、大豆油は全身炎症反応を逆に強める可能性が有り、及び/又は重要臓器の特定機能の低下を悪化させる可能性がある。全身性炎症反応症候群(SIRS)と同時に起こる重症疾患の間に、例えば、大豆油系非経口エマルションの点滴から生じる“2組の”エイコサノイドは、患者に呼吸窮迫症候群をともなう肺機能を悪化させ得る。成人の場合、例えば大豆油系脂質エマルションの点滴は、点滴の頻度依存性を示す、肺に2つの異なる不都合な効果を生じさせる。ある場合には、10時間にわたる、20%大豆油系非経口エマルションの100gの点滴(即ち500mL)は、おそらくプロスタグランジン媒介性の肺血管拡張を経て点滴前の水準からシャント率の著しい増加と関連する。この作用は、低酸素性肺血管収縮反応として知られている呼吸困難の間、肺の具合の悪い酸素を供給する部分に比例して血流が減少するとき、正常な生理反応に反する。これは、肺における正常な安定した換気及びかん流間の非生理的な不一致をもたらし、身体は今や肺の不十分な換気領域にかん流させる無益な試みをする。対照的に、同じ点滴、しかし今は5時間のみの点滴が、低酸素性肺血管収縮反応を増強させ、潜在的に病的割合(例えば肺高血圧症)によって呼吸機能もまた悪化し得、平均肺動脈圧の著しい増加によって明らかになった反対の影響、即ち血管収縮を生じることを示す。同様の不都合な肺反応は、乳児にn6−FAの豊富な非経口脂質エマルションの点滴と関連する。
【0060】
潜在的な悪影響を実証するその他の臨床例として、肝臓毒性に含まれる炎症促進n6−FAが豊富である慣用の大豆油系非経口エマルションの投与と関係がある。例えば、SIRSによる急性疾患の幼児において、大豆油系非経口エマルションの長期にわたる点滴は、非経口の栄養関連の肝疾患又はPNALDとして知られる病的状態を誘導する。PNALD疾患はしばしば幼児に長期間にわたる非経口栄養摂取を使用することで生じ、並びに肝不全及び肝移植の必要性の原因となり得る。血液成分の異常な上昇を含むPNALDに関連した臨床所見は、最終的に臓器不全に至る、肝臓の脂肪蓄積のおかげで、血清トランスアミナーゼ、ビリルビン及びアルカリホスファターゼのような肝機能試験によって観測される(グーラら、2006年)。肝臓損傷の機構は完全にわかっていないが、“ツーヒット”理論(“two−hit” theory)によって生じると提案されている。最初の“ヒット”が肝臓において脂肪の蓄積又は肝脂肪変性の間に起こる。最終的に肝組織の損傷を引き起こす、酸化的ストレスを引き起こす活性酸素種又は過酸化生成物の生産に続いて、炎症及び細胞変性を発端に一連の連続ステップにおいて、続いて第二の“ヒット”が起こる(パクォート(Paquot)ら、2005年)。PNALDが生じている幼児において、診断の一年以内の死亡率は100%に達している(ウェールズら、2005年)。大豆油非経口エマルションの慢性暴露から肝臓への副作用は、成人になってから長期間にわたる非経口栄養摂取の必要性を有する(リングら、2001年)。
【0061】
それ故、明らかに、例となる実施態様において、n6−FAに富んだ多量のトリグリセリドを含む非経口脂質エマルションは最適ではなく、及び静脈栄養を必要とする患者における重大な有害事象と関係がある。それ故、n−FAの濃度及び付随の炎症促進効果を減らす代替の脂質源の開発はすばらしい臨床的有益性をもたらし得る。炎症促進性を減少させる単不飽和の脂肪酸のようなオリーブ油中に見出されたn9−FAの使用は重大な利益をもたらし得る。しかしながら、“3族”のエイコサノイドを生産する多価不飽和脂肪酸のようなn3−FAの使用は、最大の臨床的有益性であり得る。実際には、大きな期待を示し及び最小の炎症促進である、後者の重要なオメガ族の脂肪酸由来のn3−FAは、重要臓器に好ましい効果を有することを示し、及び重要な免疫調節効果を生み出す(ワンテン(Wanten)、2007年)。従って、理想的な非経口の脂質エマルションは、特に急性疾患の間、安定で、EFAの十分な供給を与え、濃厚なエネルギー又はカロリー源を与え、炎症促進FAからの副作用を最小にし、需要臓器の機能を強化し、及び特に治療に有益な免疫調節効果を所有しているものである。
【0062】
ここで開示される例示的な実施形態は、新規な多種の飽和中鎖脂肪酸(例えば炭素原子数8乃至10のMCFA)及び、生物学的に重要なn3及びn6族由来の必須のFA由来の主となる飽和長鎖脂肪酸(例えば、炭素原子数18乃至22のLCFA)とともに、例えばMCT及びLCT由来の油を含有する物質の新規組成物を採用する。非経口の水中油型脂質エマルションの最終油組成物において、結果として生じる油相は、所望の油の単なる“物理的な”混合又はブレンドとして製造され得る。かわりに、“構造化”トリグリセリドの特注製造混合物は異なる油のグリセロール骨格由来のFAの加水分解、続いて所望の及び類似のトリグリセリドの組み合わせを作り出すランダムエステル交換を経て製造され得る。または、“構造化”トリグリセリドは、化学的に規定された構造のトリグリセリドの純粋な形を産出する、例えばsn−1及びsn−3位、並びFA−特有の領域特異的である選択されたリパーゼによって酵素合成を経て製造され得る。それらが調合された方法に関係なく、結果としてエマルションは、様々なトリグリセリド及び主として魚油及びMCT油由来の脂肪酸の混合物からなり、並びに固有の割合で混合される。いずれにせよ、表1の範囲及び仕様内であれば、この配合は1)濃厚なカロリー源として役にたち、2)重要な脂質源として高濃縮の魚油、3)最小の、しかし十分な量のオメガー6脂肪酸、4)静脈内点滴に対してその代謝クリアランスを促進するために十分な量のMCT油、5)エマルションの安定性を容易にするために十分な量のMCT油、及び/又は6)所望により、要求されるオメガ−6の代わりに必須の脂肪酸のさらなる源としてのほんの僅かの
大豆油、を含む新規な決定的な脂質混合物を生じさせることができる。
【0063】
例となる実施態様において、エマルション中の油の濃度は任意の適した濃度であり得る。例えば、配合中の油の最終濃度は100mLのエマルションあたり20%水中油又は20gであり得る。より一般的には、例えば、水中油型エマルション中の油成分の量は5g/100mL乃至30g/100mLであり得る。例となる実施態様において、水中油型エマルション中の油成分の量は5g/100mL乃至17.5g/100mLであり得、または該エマルション中の油成分の量は22.5g/100mL乃至30g/100mLであり得る。
【0064】
最終的な配合物の組成は、多様な臨床的又は調剤的問題に対処するために全ての含有物の割合を最適化するために特注製造できる。加えて、得られた配合物はまた、1種以上の特定の内科的疾患に対処するための目的及び/又は調剤的目的に対処する目的のために、望ましくは特定の成分、又は特定の成分の組合せを含んでも良く、それ故に、それぞれ異なる配合物を製造するために、組成物中の特定の変化を所持し得る。例えば、全身性炎症反応症候群で重病の患者の治療において、比較的の多量のオメガ−3酸トリグリセリドを与えることが、例えば過度の炎症の有害な影響を無効にし得る。同様に、薬効は高濃度の生体活性のn3−FAを含んでいる魚油由来であり得、例えば、腎臓毒性のような重要な末端臓器に作用する薬の効果を無効にするための薬剤担体媒体として使用した場合、その結果、“2族”由来の有害な虚血効果に対して“3族”由来のプロスタグランジンの対抗する効果によって、腎臓の血流が維持できる。魚油及びMCT油濃度の例となる範囲は表1に記述している。エマルション成分の特定の濃度は所望の治療に依存し得る。
【0065】
表2は、互いのトリグリセリドの質量パーセントとして表される、様々な油の組合せの試料を与える。例となる実施態様において、現在の適用において、ヨーロッパ薬局方文献1352(ヨーロッパ薬局方1352、2008年)に従う高濃縮の魚油のみは、全脂質分画(例えば、100Lのエマルションあたり20gのオイル)を含むための、ヨーロッパ薬局方文献0868(ヨーロッパ薬局方0868、2008年)に従う一定量のMCT油と同様に魚油源であり得る。例となる実施態様において、飽和LCFAの低減された濃度は、重病に関心を引くひとつの臨床的問題となり得る、インスリン耐性のような潜在的な合併症を避けるために採用され得る(リーら、2006年)。
【0066】
例となる実施態様において、エマルションの油成分は植物油を含み得る。植物油は、例えば大豆油、紅花油及び/又はそれらの組合せを含み得る。植物油は、エマルションの油成分の質量に基いて10%までの量で、又は約1%乃至約10%、又は約2%乃至約9%、又は約3%乃至約8%、又は約4%乃至約7%、又は約5%乃至約6%で存在し得る。例えば大豆油のような植物油の2gは、100mLのエマルションあたりの全油の20gにつき存在し得る。
【0067】
万一その使用が、与えられた配合物中におけるオメガ−6FAの投与量の増加のために、臨床的に有利又は必要とみなされるなら、大豆油のような植物油は使用される。例えば、大豆油のような植物油の使用は、さらに栄養補給を与えるために有利であり得る。例えば、大豆油のような植物油は、生涯にわたる静脈栄養補給を必要としている患者の治療に使用でき、例えば魚油−MCT混合物中の魚油によってのみこれら患者のn6−FAの要求に対処することは、特に、全ての栄養成分が静脈注射の経路の投与によってのみ与えられている場合に、欠乏状態を避けるのに十分ではないかもしれない。
【0068】
現在の配合物において、、エマルションの油成分の植物油の濃度は典型的には20乃至100質量%に変化するのに対して、例となる実施態様において、(例えば、大豆油及び/又は紅花油のような)植物油の量は、全油成分のわずか約10質量%を超えない量しか
含まれないように減らし得る。例えば、植物油はエマルションの油成分の全質量に基いて、約0%乃至10%、又は約1%乃至約9%、又は約2%乃至約8%、又は約3%乃至約7%、又は約4%乃至約6%で存在し得る。本組成物由来であり得る多くの組合せ及び順列がある。それ故に、表2に表されたこれら特定の組合せは、単に代表的な組合せを説明することを目的としており、及び全てを含んでいる又は何らかの制限することを意味しないことは理解できるであろう。従って、更なる変化の可能性は当業者にとって明らかであろう。
【0069】
例えば、本出願に表される魚油エマルションは血液中の脂質並びに細胞膜の構造及び機能を変化させることによって、幅広い範囲の潜在的に臨床的な有益を最も実現でき、生体活性に重要なn3−FAのできるだけ高濃度又は最高濃度で含むものであり得る。例えば、心臓血管の健康の改善のためにn3−FAの無制限の摂取を増加することは、例えば、従来考えられていたn6:n3比率の治療(スタンリー ジェイシーら、2007年)に基づいてより臨床的に有益であり得、及び他の炎症状態において同様に臨床的な有益を達成するのに有効であり得る。n6−FAの摂取に関して多量のn3−FAを与えることは、EPAによって、並びに高い血管作動性及び炎症促進の“2族”のエイコサノイドを止めて、より少ない血管作動性の“3族”のおかげで、細胞膜中のAAの転移を生じ得る。これらの作用は、損傷及び感染、特に様々な急性病患者治療の状況(例えば、多重臓器不全、頭部外傷、敗血症、やけど及び炎症性大腸炎)の様々な状況において、好ましい代謝変調及び免疫反応を導く。それ故に、この出願に表される魚油の源(及び続く投与量)は実質的に及び臨床的に有益な効果を有し得る。魚油トリグリセリドは魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて少なくとも60%の量のトリグリセリドとして表されるオメガ−3脂肪酸を含むことができる。魚油トリグリセリドは魚油トリグリセリド脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%のトリグリセリドとして表されるEPA及びDHAの全量を含み得る。例となる実施態様において、魚油トリグリセリドは魚油トリグリセリド脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%の、トリグリセリドとして表されるEPA及びDHAの全量を含み得る。例えば、特定された最小濃度は、n3−FA分布の45%以上((45%)の、トリグリセリドとして表されるEPA及びDHAの合計量及び選択された
魚油源から60質量%以上((60質量%)の全n3−FA内容物(例えば、EPA+D
HA+DPA)と等しくすることができる。この明細書は、ヨーロッパ薬局方文献1352(ヨーロッパ薬局方1352、2008年)の要件と一致する。3種の現行の魚油を含んでいる市販製品ついて、2つはヨーロッパ薬局方文献1912(ヨーロッパ薬局方1912、2008年)に関係がある下限値(即ち、EPA(13%;DHA(9%;全n3−FA(28%)に適合する。ヨーロッパ薬局方1352に対応した、唯一現在市販されて
いる配合物における魚油の濃度はエマルションの油成分の10質量%だけであるのに対して、本願、例えば特定の高濃縮の魚油源に含まれるエマルションの油成分の最小の質量パーセントは31%であり得る。本開示に記載された魚油中の生活活性のn3−FAの量は、2つの異なるヨーロッパ薬局方文献に基づく油の質量によって特定された、臨床用途にとってより一般的に見出されているものより2倍以上の量であり得る(例えば、ヨーロッパ薬局方1352、全n3−FA:60%以上((60%);に対して、ヨーロッパ薬局
方1912、全n3−FA:20%以上((28%))。
【0070】
典型的な配合物の一態様は、例えば、重病の患者に特徴的に見出される、全身性炎症反応症候群或いはSIRSのような様々な臨床症状においてn3−FAの臨床的有益性を最大限にするために、例えば、高い基準又は最高薬局方基準に対応した入手可能な最高濃度を有する高い濃度に濃縮した魚油トリグリセリドを実現させる。実際、C反応性タンパクの、SIRSのバイオマーカーの血中濃度はn6−FAとして脂質を受け入れているこれら患者と比べると、n3−FAを受け入れている膵炎の重病の患者において著しく減少していることが見出される(ワン、2008年)。急性代謝ストレスの全種類に伴う炎症として、高濃度n3−FAの放出が、炎症を減少し得、及び多くの内科的疾患の治療の結果
を好転し得る。更にその上、過剰輸液はまた、集中治療室において深刻な問題であるので、高濃度のn3−FAの使用は多くの負担、重病の患者の看護において重要な臨床的な問題を減らしただろう(ローエルら、1990年)。加えて、与えられた脂質の総量は、ヨーロッパ薬局方1352のより高い水準の仕様に対応した、この出願に記載されているような魚油源を使用することに対して、ヨーロッパ薬局方1912に従う現在のエマルションに関してこれに開示による量のわずか半分であり、従って、例えば、過剰量の脂質摂取(与えられた脂肪酸の量及び質のいずれも)を減らすこと又は避けることは代謝クリアランスに影響を与える。
【0071】
この公開に説明された例となる配合例は、
1)n3族、即ち、EPA(20:5n3)、DHA(22:6n3)及び少量のその前駆体、リノレン酸(18:3n3);及び
2)オメガー6族、又はn6族、アラキドン酸(20:4n6)、又はAA、同様にその少量の前駆体、リノール酸(18:2n6)
に関連する(又はから得られる)十分な量の必須FA含むように計画されている。必須n3−FA要求の対応に関しては、ヨーロッパ薬局方1352の詳述どおり、この目標は、処方中の魚油の望ましい濃度、同様にn3−FAの高濃縮源由来のいずれによっても、容易に対応できる。使用された必須n6−FAの量は、特に例となる配合物中に最小となるように計画できるが、しかし少量であっても、EFA欠乏症を防ぐためにまだ十分に多い。例えば、魚油中に含まれているAAの平均量は約0.5%であるという事実により、n−6FA要求に対応することは魚油−MCT混合物の使用によって達成できる。それゆえ、もし、その前駆体を通して供給されれれば、AAとして必要なFAの量は要求された量の約10分の1であるので、LA、EFA要求はこのように充足される。例えば、非経口投与を用いたLA供給によるEFA欠乏症を防ぐために、1日の総カロリー摂取の少なくとも1%は与えられるべきだ(ビストリアン(Bistrian)、2003年)。前述のように、1日の食事あたり2000kcalのうち、LAの最小限の摂取は、1日あたり2.2g、又はおおよそ3.5gの大豆油(〜55%LA)であり、AAの観点から、同じ食事条件は、1日あたりおよそ0.2gであり;1日の食事あたり1500kcalのうち、1日あたりLAの1.6g、又はAAの〜0.16gが必要であり;1日の食事あたり1000kcalのうち、1日あたりLAの1.1g、又はAAの〜0.11gが必要であり;1日の食事あたり500kcalのうち、1日あたりLAの0.55g、又はAAの〜0.05gが必要であり;及び最終的に1日の食事あたり100kcalのうち、1日あたりLAの0.11g、又はAAの〜0.01gが必要であるだろう。魚油−MCT混合物のみの試料組成物を与える表3に示すように、魚油中のAAから生じるn6−FAのEFA要求は、提示される80%魚油−20%MCT油混合物において対応されるだろう。これは、魚油中に一般的に存在するLAから生じるn6−FAの更なる源を含まない。また、例えば、この記載から導き出される製品の特定の組成又は処方は、例えばEFA欠乏症の影響を受け易い患者よりはむしろ、重症疾患中に短期間のあいだの非経口投与を対象とすることができるものと認められる。他の事例では、EFA補充の臨床的問題である場合、代わりの配合物は全油相のとても少量の大豆油(例えば、10%まで)を含有するものを与えることができる。表4は、1乃至5%の範囲で、大豆油の分画の増加を伴う、MCT油に対する魚油の比を60:40で固定して使用した配合例を提示する。表4中に示された“固定された”魚油−MCT比は単に実例となるものであり、この公開に基いて可能な、様々な油比について何らかの排他又は制限することを意味するものではない。
【0072】
例となる配合物中の油の例となる最終濃度は、20%水中油型エマルション(100mLエマルションあたり20gの油混合物)である。この全油濃度は、臨床的に使用され、投与された脂質エマルション中の油濃度と一致させることができ、及び非経口脂質エマルションに関する最適なリン脂質−トリグリセリド(PL:TG)比率は約0.06(1.
2gPL:20gTG)で表されるような、“10%”の配合物と比較して、良い血漿クリアランスと関係があり得る(ディスコールら、2001)。それにもかからわず、0.06のPL:TG比を維持する限りにおいて、例となる実施態様に与えられ得る混合物中の油の最終濃度に多様な変化がある。可能な配合物のサンプルは表5に示されている。
【0073】
多様に可能な配合物中のMCT油の濃度は、他の混合物に生じる事が示されている魚油中の長鎖トリグリセリド(炭素原子数20のEPA及び炭素原子数22のDHA)のクリアランスを促進にするのに十分である。本出願において、例となるMCTのオメガ−3LCTに対する(質量)比は、これらオイルの両方を含んでいる他の非経口脂質エマルション混合物中に含まれているものと異なることができる。従って、この出願に記載された例となる量は特有であり、及び結果として生じる配合物はMCTの存在中のLCTsの血漿クリアランスへの有益な影響を確認するための評価によって利益を得ることができる。加えて又は代えて、これら配合物のクリアランスは、その一般的な代謝クリアランスに従って、所望の点滴速度の最適化によって促進できる。
【0074】
様々に可能な配合物中のMCT油の濃度は、他の混合物中に生じる事が示されている魚油中の長鎖トリグリセリド(炭素原子数20のEPA及び炭素原子数22のDHA)の物理化学的安定性を促進するのに十分であり得る(ドリスコルら、2002年)。本出願に記載されたMCTのオメガ−3LCTに対する例となる(質量)比はこれら油の両方を含有する他の非経口脂質エマルション混合物と異なることもできる。従って、本出願で使用されるそれぞれの種類のオイルの相対量及び絶対量は特有であり、及び結果として生じる配合物はMCTの存在下でLCTのエマルションの安定性に対する好ましい効果を確かめるための評価によって利益を受けることができる。
【0075】
例となる実施態様において、エマルション中の飽和LCFAの量が、例えば天然源中に存在するものからその濃度が低くなるように改質できる。例えば、パルミチン酸(16:0)のような、LCFAの濃度の特異的減少は、急性疾患の患者に特に関係するインスリン耐性の危険性を減らすことを助けることができる(Leeら、2006年)。加えて、例えばヨーロッパ薬局方1352に準拠したEPA(20:5n3)及びDHA(22:6n3)のような高濃縮された多価不飽和(polynsaturated)のn3−FAの比率の効果的な増加によって及び記載されているようにエマルションの油成分中の高濃縮された魚油トリグリセリドの比率の増加によって、潜在的に有害な副作用を生じ得る飽和LCFAの濃度を減少できる。
【0076】
例えば、非経口脂質エマルションは魚油中に既に存在する量に加えて、n6−FAの添加源として植物油を所望により含むことができる。例えば、大豆油はとても少しの部分(エマルションの油成分の質量で)として存在することができる。大豆油は、例えば、必須脂肪酸の欠乏が生涯にわたる、非経口栄養管理をうけている患者のような、重要な臨床的危険性をもたらしていると考えられる場合に使用される。このような患者集団において、例えば、もし経口摂取を経て栄養の消化管吸収を殆どできないのならば、栄養不足が発症する可能性がある。この場合は、非経口脂質エマルションによるn6−FAの高摂取は望ましいであろう。表4は、大豆油含有量がエマルションの油成分の5質量%の濃度まで徐々に増加している、可能性のある配合物の例となる試料が提示されている。加えて、様々な可能性のある配合物中の高い3−FA比率(90%まで)の使用は、例えば、6−FA摂取を増加できる。
【0077】
ここで記載の製造した例となる配合物は、例えば、慣用の又は現行の非経口脂質エマルションなどと同様に窒素不足である唯一の、しかし濃い、カロリー源を予定している。最終の非経口脂質配合物は、可能であれば小容量で提供できる、理想的な等張エネルギー源である可能性がある。このことは、例えば、血圧、腎機能及び静脈内投与の蘇生又は維持
に関するような、医療目的の多数の静脈内輸血を受けている結果としてその人体に負担をかける量かもしれない急性疾患の患者の場合に特に有利であろう。
【0078】
1つの例となる態様によると、脂質源として強化された魚油トリグリセリドを含む組成物が提供される。
【0079】
別の例示的な態様によると、組成物は、組成物の全質量に基いて、トリグリセリドとして表される少なくとも45質量%のEPA及びDHA、並びにトリグリセリドとして表される少なくとも60質量%のn3−FAを含む。
【0080】
別の例示的な態様によると、組成物はエマルションの油成分の約31質量%乃至約90質量%の強化された魚油由来の油を有する水中油型エマルションである。
【0081】
別の例示的な態様によると、(例えばエマルションのような)組成物を投与する方法は人体へ組成物を投与することからなることを提供するものであって、エマルションの油成分は有効な投与量を提供するための十分な濃度のn3−FAを含む。
【0082】
他の例示的な態様によると、n3−FAの投薬量は全身性炎症反応症候群(SIRS)の安全な治療ができ;この量は呼吸窮迫症候群(RDS)の安全な治療ができ;この量は栄養摂取の/食事の原因の肝疾患の安全な治療ができ;この量は医源性の原因の肝疾患又は腎疾患の安全な治療ができ;この量は医源性の病理学的原因の肝疾患又は腎疾患の安全な治療ができ;この量は免疫調節の安全な治療ができ;この量は頭部外傷の安全な治療ができ;この量は術後手術ストレスの安全な治療ができ;この量は心筋梗塞の安全な治療ができ;及び/またはこの量は嚢胞性線維症の安全な治療ができる。
【0083】
別の例示的な態様によると、組成物は魚油のオメガ−3必須脂肪酸及びオメガ−6必須脂肪酸を含むものを提供でき、必須脂肪酸は過剰量の炎症促進脂肪酸の与える影響を最小限にするために有効な量で存在している。
【0084】
別の例示的な態様によると、組成物の投与方法は組成物を人体に投与することからなることを提供する。
【0085】
別の例示的な態様によると、オメガ−6必須脂肪酸の量は、魚油の範囲が大豆油非存在のエマルションの油成分の31質量%乃至90質量%である場合は、必須脂肪酸の欠乏を軽減する又は防ぐために安全な治療ができる。
【0086】
別の例示的な態様によると、オメガ−6必須脂肪酸の量は、魚油トリグリセリドの濃度の範囲が、大豆油のないエマルションの油相の約31質量%乃至約90質量%である場合、必須脂肪酸の欠乏の軽減又は防止のための安全な治療ができる。さらに必須脂肪酸の欠乏を軽減又は防止するためには、魚油のその範囲が31%乃至90%である場合、追加の大豆油の濃度をエマルションの油成分の1乃至10質量%にできる。
【0087】
別の例示的な態様によると、オメガ−6必須脂肪酸の量はエイコサノイド代謝に関する臨床的に有意な副作用なしに、内科的疾患の安全な治療をすることができる。
【0088】
別の例示的な態様によると、オメガ−6必須脂肪酸の量は存在するn3−FAの量に妨げられない又は無効にされない。
【0089】
別の例示的な態様によると、組成物はMCT油の中鎖脂肪酸を含むことを提供し、中鎖脂肪酸は魚油の代謝クリアランスを促進するために有効な量で存在する。
【0090】
別の例示的な態様によると、MCT油はエマルションの油成分の約10質量%乃至約69質量%の量で存在し、及びMCT油の量は魚油の安全な血漿クリアランスをを可能にさせる。
【0091】
他の例示的な態様によると、点滴された脂質の投与量は細胞膜に組み入れられ;点滴された脂質の投与量は3族のエイコサノイドを生じ;及び/または点滴された脂質の投与量は臨床的に重要な高トリグリセリド血症を生み出さない。
【0092】
別の例示的な態様によると、油の中鎖トリグリセリドを含む組成物が提供され、中鎖トリグリセリドは安定性を容易にするために効果的な量で存在する。
【0093】
別の例示的な態様によると、MCT油濃度はエマルションの油成分の約10質量%乃至約69質量%であり、及び魚油濃度はエマルションの油成分の約31質量%乃至約90質量%であって、並びにその濃度は約18乃至約24ヶ月の間、組成物の物理化学的安定性を可能にさせるところの組成物が提供される。
【0094】
別の例示的な態様によると、MCT油の濃度はエマルションの油成分の約10質量%乃至約69質量%であり、魚油の濃度はエマルションの油成分の約31質量%乃至約90質量%であり、及び大豆油の濃度はエマルションの油成分の約10質量%までであり、並びにその濃度は約18乃至24ヶ月の間、その新たな容器中の組成物の物理化学的安定性を可能にさせる。
【0095】
別の例示的な態様によると、MCT油の濃度はエマルションの油成分の約10質量%乃至約69質量%であり、及び魚油の濃度はエマルションの油成分の約31質量%乃至約90質量%であり、並びにその濃度は40℃までの温度で、12時間まで即席で調合されたシリンジ中で使われる組成物の物理化学的安定性を可能にさせる。
【0096】
別の例示的な態様によると、MCT油の濃度はエマルションの油成分の約10質量%乃至約69質量%であり、及び魚油の濃度はエマルションの油成分の約31乃至約90質量%であり、及び大豆油の濃度はエマルションの油成分の約10質量%まで、例えば5質量%までであり、その濃度は40℃までの温度で12時間までの間、即席で調合されたシリンジ中で使われる組成物の物理化学的安定性を可能にさせる。
【0097】
別の例示的な態様によると、MCT油の濃度はエマルションの油成分の約10質量%乃至約69質量%であり、及び魚油の濃度はエマルションの油成分の約31質量%乃至約90質量%であり、及びその濃度は40℃までの温度で24時間までの間、即席のTPN混合剤としての組成物の物理化学的安定性を可能にさせる。
【0098】
別の例示的な態様によると、MCT油の濃度はエマルションの油成分の約10質量%乃至約69質量%であり、及び魚油の濃度はエマルションの油成分の約31質量%乃至約90質量%であり、及び大豆油の濃度はエマルションの油成分の約10質量%までであり、並びにその濃度は40℃までの温度で24時間までの間、即席で調合されたTPN混合剤として使われる組成物の物理化学的安定性を可能にさせる。
【0099】
別の例示的な態様によると、組成物は大豆非経口水中油型エマルションとして均等に窒素の不足したカロリー源を提供する。
【0100】
別の例示的な態様によると、組成物はエマルションを安定させるために、トリグリセリド油相に比例して十分な量の卵リン脂質を提供する。
【0101】
別の例示的な態様によると、組成物は、点滴した脂質液滴のクリアランス又は分解を妨げないために、トリグリセリド油相に比例して十分な量の卵リン脂質を提供する。
【0102】
別の例示的な態様によると、組成物は高い多価不飽和n−3脂肪酸の存在を保護するために抗酸化剤として十分な量のα−トコフェロールを提供する。
【0103】
別の例示的な態様によると、組成物は魚油及び中鎖トリグリセリドの脂肪酸を含むことを提供し得、その組成物は油相及び水相を含む水中油型エマルションである。
【0104】
別の例示的な態様によると、強化された魚油はエマルションの油成分の約31質量%乃至約90質量%の量で存在する。
【0105】
別の例示的な態様によると、中鎖トリグリセリドはエマルションの油成分の約10質量%乃至約69質量%の量で存在する。
【0106】
別の例示的な態様によると、組成物の非経口投与の方法は人体に組成物を非経口で投与することを含むことを提供する。
【0107】
ここで記載されている例は、包括的であることを意味するものでないが、代わりに本公開の例示的な実施態様を形成するために役立たせたものである。当然のことながら、例えば、特定の濃度範囲の中でそれぞれの含有物の特定の組成及び割合を含む、全含有物の特定の濃度の操作は、特定の所望の効果を達成するために有利な可能性がある。本公開において、例示的な態様は特定の医療目的に適している特有の非経口脂質エマルションを生じさせる。
【0108】
すでにここに記載されているように、例示的なエマルションはエマルションの出願書類の詳述に応じて様々な最終的な組成又は特徴を有することができる。例示される実施態様において、エマルションは、米国薬局方(United States Pharmacopoeia)(USP)の第729章、表題“液体注入可能なエマルション中の小球寸法分布”(米国薬局方、2009年)に記載された仕様に従うことができ、これに含まれる内容は参照することによって包含される。二つの典型的な粒子寸法制限は、
1)動的な又は静的な光散乱方法によって得られた500ナノメーターより小さい強度の加重平均液滴径;及び
2)単一粒子光学的検出方法を使用した光減衰によって得られる0.05%より小さい5マクロメーターを超える脂肪の体積加重パーセント或いはPFAT5、
を含む。
【0109】
エマルションは、液滴径、及びpH、遊離脂肪酸などのような、任意の適した物理的及び化学的特性を有し得る。例えば、エマルションは非経口投与の適用にその使用を容易にする物理的特性を有し得る。例となる実施態様において、エマルションは、例えば500nmよりも小さい、又は250nmよりも小さい、又は240nmよりも小さい、又は230乃至240nmの平均液滴径を有し得る。例となる実施態様において、エマルションは0.05%よりも少ない数値のPFAT5を有し得る。
【0110】
例示的な物理的及び化学的実施態様は、例えばUSPの<729>章に記載の仕様及び例示的な製造仕様書の仕様に適合する実施態様のようなもので、確認するための処理及び試験である。例えば、油相の約10質量%乃至約40質量%の比較的低量のMCTに加えて、例えば、油成分の約60質量%乃至約90質量%の比較的多量のオメガ−3酸トリグリセリドを含む例示的なエマルションの例示的な調剤の可能性を実証するために、それぞ
れ、90:10、及び70:30のオメガ3脂肪酸トリグリセリド対MCYの比を有する、製造され及び試験された例示的な脂質エマルション1及び2は、現在入手可能なエマルション3、4及び5と比較された。様々な物理的及び化学的特性は測定され及び比較され、並びにその結果は表6に記載した。
【0111】
結果から理解できたこととして、現在入手できるエマルションのような例示的なエマルションは米国薬局方(USP)第<729>章、表題“液体注入可能なエマルション中の小球寸法分布”(米国薬局方、2009年)の平均径及びPFAT5に従っている。加え
て、例示的なエマルションは例示的な製造仕様書(例えばpH、過酸化物価、遊離脂肪酸、ホスファチジルコリン及びグリセロール)に従っていた。このようなデータは、例示的なエマルションが様々な仕様の順守できることの出願人の従来の理解を確認する。
【0112】
ここで述べた表を以下に記載する:
【0113】
【表1】

【0114】
【表2】

【0115】
【表3】

【0116】
【表4】

【0117】
【表5】

【0118】
【表6】

【0119】
【表7】

【0120】
【表8】

【0121】
様々な実施態様がここに記載されているとはいえ、形態及び詳細の変化、改質及び他の
変更は本公開の精神と範囲から逸脱することなくなされ得ることは十分理解できるであろう。このような変化及び改質は、添付の特許請求の範囲によって定義される開示の権原及び範囲と認められるものである。
【0122】
参考文献
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United States Pharmacopoeia (USP) Chapter <729> entitled "Globule Size Distribution in Lipid Injectable Emulsions" (United States Pharmacopoeia, 2009).
【0123】
全ての参考文献は、個々の参考文献がその全体を参照することによりここに組み込まれて具体的および個々に示されているのと同程度に、参照されることによってここに組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油成分及び水成分を含むエマルションであって、
該油成分が該油成分の質量に基いて約60%乃至約90%の量の魚油トリグリセリド、及び少なくとも1種の中鎖トリグリセリド油を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも60%の量の、トリグリセリドとして表されるオメガ−3脂肪酸を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%の、トリグリセリドとして表されるEPA及びDHAの全量を含み、及び
該少なくとも1種の中鎖トリグリセリド油の全量が該油成分の質量に基いて約10%乃至約40%である、
ところのエマルション。
【請求項2】
前記魚油トリグリセリドは前記エマルションの油成分の質量に基いて約70%乃至約90%の量で存在する、請求項1に記載のエマルション。
【請求項3】
前記魚油トリグリセリドは前記エマルションの油成分の質量に基いて約80%乃至約90%の量で存在する、請求項1に記載のエマルション。
【請求項4】
前記少なくとも1種の中鎖トリグリセリド油の全量は前記エマルションの油成分の質量に基いて約10%乃至約30%である、請求項1に記載のエマルション。
【請求項5】
前記少なくとも1種の中鎖トリグリセリド油の全量は前記エマルションの油成分の質量に基いて約10%乃至約20%である、請求項1に記載のエマルション。
【請求項6】
植物油を含む、請求項1に記載のエマルション。
【請求項7】
前記植物油が前記エマルションの油成分の質量に基いて10%までの量で存在する、請求項6に記載のエマルション
【請求項8】
前記植物油は大豆油、紅花油及び/又はそれらの混合物を含む、請求項6に記載のエマルション。
【請求項9】
前記油成分はミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸を実質上含まないものである、請求項1に記載のエマルション。
【請求項10】
前記エマルション中の油成分の量が5g/100mL乃至17.5g/100mLであるか、又は該エマルション中の油成分の量が22.5g/100mL乃至30g/100mLである、請求項1に記載のエマルション。
【請求項11】
卵リン脂質を含む、請求項1に記載のエマルション。
【請求項12】
α−トコフェロールを含む、請求項1に記載のエマルション。
【請求項13】
オメガ6脂肪酸含有トリグリセリドを含む、請求項1に記載のエマルション。
【請求項14】
前記エマルションが少なくとも18ヶ月の間、物理化学的に安定である、請求項1に記載のエマルション。
【請求項15】
前記エマルションが40℃の温度で少なくとも12時間の間、即座に調製されたシリン
ジ調剤として物理化学的に安定である、請求項1に記載のエマルション。
【請求項16】
投与量のエマルションを人体に投与することを含む、請求項1に記載のエマルションの投与方法。
【請求項17】
全身性炎症反応症候群、呼吸窮迫症候群、栄養及び/又は食事に関する原因の肝疾患、医原性の原因の肝疾患、病理学的原因の肝疾患、免疫調節、頭部外傷、術後手術ストレス、心筋梗塞、嚢胞性線維症及びそれらの組み合わせからなる群から選択される状態を治療するために、エマルションを人体に非経口投与することを含む、請求項1に記載のエマルションの非経口投与方法。
【請求項18】
水中油型エマルションの油成分として使用するのに好適な油組成物であって、
該組成物の質量に基いて約60%乃至約90%の量の魚油トリグリセリド、及び少なくとも1種の中鎖トリグリセリド油を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも60%の量の、トリグリセリドとして表されるオメガ−3脂肪酸を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%の、トリグリセリドとして表されるEPA及びDHAの全量を含み、及び
該少なくとも1種の中鎖トリグリセリド油の全量は該組成物の質量に基いて約10%乃至約40%である、
ところの油組成物。
【請求項19】
油成分及び水成分を含むエマルションであって、
該油成分が前記エマルションの油成分の質量に基いて50%より多く約90%以下の量の魚油トリグリセリド、及び中鎖トリグリセリド油を含み、
該魚油トリグリセリドは魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも60%の量の、トリグリセリドとして表される該オメガ−3脂肪酸を含み、
該魚油トリグリセリドは魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%の、トリグリセリドとして表されるEPA及びDHAの全量を含む、
ところのエマルション。
【請求項20】
前記魚油トリグリセリドは前記エマルションの油成分の質量に基いて約60%乃至約90%の量で存在する、請求項19に記載のエマルション。
【請求項21】
前記少なくとも1つの中鎖トリグリセリド油の全量が前記エマルションの油成分の質量に基いて約10%乃至約40%である、請求項19に記載のエマルション。
【請求項22】
植物油を含む、請求項19に記載のエマルション。
【請求項23】
前記植物油は前記エマルションの油成分の質量に基いて10%までの量で存在する、請求項22に記載のエマルション。
【請求項24】
前記植物油は大豆油、紅花油及び/又はそれらの混合物を含む、請求項22に記載のエマルション。
【請求項25】
前記エマルションは水中油型エマルションであって、該エマルション中の油成分の濃度は5g/100mL乃至17.5g/100mLであるか、又は該エマルション中の油成分の濃度は22.5g/100mL乃至30g/100mLである、請求項19に記載のエマルション。
【請求項26】
前記エマルションは少なくとも18ヶ月の間、物理化学的に安定である、請求項19に記載のエマルション。
【請求項27】
投与量のエマルションを人体に投与することを含む、請求項19に記載のエマルションの投与方法。
【請求項28】
油成分及び水成分を含むエマルションであって、
該油成分は、該エマルションの油成分の質量に基いて約31%乃至約90%の量の魚油トリグリセリド、及び中鎖トリグリセリドを含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも60%の量の、トリグリセリドとして表される、オメガ−3脂肪酸を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%の、トリグリセリドとして表されるEPA及びDHAの全量を含み、
該エマルションは水中油型エマルションであり、該エマルション中の油成分の濃度は5g/100mL以上20g/100mL未満であるか、又は該エマルション中の油成分の濃度は20g/100mLより大きく30g/100mL以下である、
ところのエマルション。
【請求項29】
前記魚油トリグリセリドは前記エマルションの油成分の質量に基いて約60%乃至約90%の量で存在する、請求項28に記載のエマルション。
【請求項30】
少なくとも1種の中鎖トリグリセリド油の全量は前記エマルションの油成分の質量に基いて約10%乃至約40%である、請求項28に記載のエマルション。
【請求項31】
植物油を含む、請求項28に記載のエマルション。
【請求項32】
前記植物油は前記エマルションの油成分の質量に基いて10%までの量で存在する、請求項31に記載のエマルション。
【請求項33】
前記植物油は大豆油、紅花油及び/又はそれらの混合物を含む、請求項31に記載のエマルション。
【請求項34】
前記エマルション中の油成分の濃度は5g/100mL乃至17.5g/100mLであるか、又は前記エマルション中の油成分の濃度は22.5g/100mL乃至30g/100mLである、請求項28に記載のエマルション。
【請求項35】
前記エマルションは少なくとも18ヶ月の間、物理化学的に安定である、請求項28に記載のエマルション。
【請求項36】
投与量のエマルションを人体に投与することを含む、請求項28に記載のエマルションの投与方法。
【請求項37】
油成分及び水成分を含むエマルションであって、
該油成分は該エマルションの油成分の質量に基いて約31%乃至約90%の量で存在する魚油トリグリセリド、中鎖トリグリセリド油、及び植物油を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも60%の量の、トリグリセリドとして表される、オメガ−3脂肪酸を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%の、トリグリセリドとして表されるEPA及びDHAの全量を含む、
ところのエマルション。
【請求項38】
前記魚油トリグリセリドは前記エマルションの油成分の質量に基いて約60%乃至約90%の量で存在する、請求項37に記載のエマルション
【請求項39】
前記少なくとも1種の中鎖トリグリセリド油の全量は前記エマルションの油成分の質量に基いて約10%乃至約40%である、請求項37に記載のエマルション。
【請求項40】
前記植物油は前記エマルションの油成分の質量に基いて10%までの量である、請求項37に記載のエマルション。
【請求項41】
前記植物油は大豆油、紅花油及び/又はそれらの混合物を含む、請求項37に記載のエマルション。
【請求項42】
前記エマルションは水中油型エマルションであり、前記エマルション中の油成分の濃度は5g/100mL乃至17.5g/100mLであるか、又は前記エマルション中の油成分の濃度は22.5g/100mL乃至30g/100mLである、請求項37に記載のエマルション。
【請求項43】
前記エマルションは少なくとも18ヶ月の間、物理化学的に安定である、請求項37に記載のエマルション。
【請求項44】
投与量のエマルションを人体に投与することを含む、請求項37に記載のエマルションの投与方法。
【請求項45】
油成分及び水成を含むエマルションであって、
該油成分は該エマルションの油成分の質量に基いて約31%乃至約90%の量で存在する魚油トリグリセリド、及び中鎖トリグリセリド油を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも60%の量の、トリグリセリドとして表される、オメガ−3脂肪酸を含み、
該魚油トリグリセリドは該魚油トリグリセリドの脂肪酸の全質量に基いて、少なくとも45%の、トリグリセリドとして表される、EPA及びDHAの全量を含み、
該エマルションは水中油型エマルションであり、該エマルション中の油成分の濃度は5g/100mL乃至17.5g/100mLであるか、又は該エマルション中の油成分の濃度は22.5g/100mL乃至30g/100mLである、
ところのエマルション。
【請求項46】
a)脂肪酸とエステル化したグリセロールからなる魚油トリグリセリドであって、
該脂肪酸は該脂肪酸の少なくとも45質量%の量でEPA及びDHAを含み、オメガ−3脂肪酸の全量は前記脂肪酸の少なくとも60質量%であるところの魚油トリグリセリド、及び
b)少なくとも1種の中鎖トリグリセリド油
を含む水中油型エマルションであって、
該魚油トリグリセリドは油成分の全質量に基いて少なくとも51質量%の量で存在し、及び該中鎖トリグリセリドは油成分の全質量に基いて10質量%乃至49質量%の量で存在する、
ところの水中油型エマルション。
【請求項47】
前記魚油トリグリセリドは油成分の全質量に基いて51質量%乃至90質量%の範囲の量で存在する、請求項46に記載の水中油型エマルション。
【請求項48】
前記油成分は植物油を更に含む、請求項46又は請求項47に記載の水中油型エマルション。
【請求項49】
前記植物油が前記水中油型エマルションの油成分の全質量に基いて、10質量%までの量で、好ましくは2質量%乃至8質量%の量で存在する、請求項48に記載の水中油型エマルション
【請求項50】
前記植物油が大豆油及び紅花油並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項48又は請求項49に記載の水中油型エマルション。
【請求項51】
前記エマルションの全質量に基いて、5質量%乃至30質量%、好ましくは15質量%乃至25質量%、特に20質量%の量の油成分を含む、請求項46乃至請求項50のいずれか1項に記載の水中油型エマルション。
【請求項52】
好ましくは、卵又は大豆に由来するリン脂質からなる群から選択された少なくとも1種のリン脂質を更に含む、請求項46乃至請求項51のいずれか1項に記載の水中油型エマルション。
【請求項53】
前記リン脂質はホスファチジルコリンである、請求項52に記載の水中油型エマルション。
【請求項54】
前記リン脂質は、前記トリグリセリドに対する前記リン脂質の質量比が0.05乃至0.07の範囲、好ましくは0.06で存在している、請求項52又は請求項53に記載の水中油型エマルション。
【請求項55】
好ましくは20乃至25g/Lの濃度範囲で等張剤をさらに含む、請求項46乃至請求項54のいずれか1項に記載の水中油型エマルション。
【請求項56】
等張剤として、グリセロールを含む請求項55に記載の水中油型エマルション。
【請求項57】
pH調節剤を含む、請求項46乃至請求項56のいずれか1項に記載の水中油型エマルション。
【請求項58】
前記pH調節剤としてオレイン酸ナトリウムを含む、請求項57に記載の水中油型エマルション。
【請求項59】
前記pH調節剤は3g/Lまでの濃度で存在する、請求項57又は請求項58に記載の水中油型エマルション。
【請求項60】
前記エマルションのpH値が6乃至9、好ましくは6乃至8.5、より好ましくは7.5乃至8.5の範囲である、請求項46乃至請求項59のいずれか1項に記載の水中油型エマルション。
【請求項61】
好ましくは、1g/Lまでの濃度で存在している抗酸化剤を更に含む、請求項46乃至60のいずれか1項に記載の水中油型エマルション。
【請求項62】
前記抗酸化剤がα−トコフェロールである、請求項61に記載の水中油型エマルション。
【請求項63】
前記エマルションが非経口で適用できる、請求項46乃至請求項62のいずれか1項に
記載の水中油型エマルション。
【請求項64】
オイル液滴の平均液滴直径が20℃で、250nm未満、好ましくは240未満である、請求項46乃至請求項63のいずれか1項に記載の水中油型エマルション。
【請求項65】
請求項46乃至請求項64のいずれか1項に記載の水中油型エマルションを含む又はからなる、医薬組成物。
【請求項66】
全身性炎症反応症候群(SIRS)、呼吸窮迫症候群(RDS)、栄養及び/又は食事に関する原因の肝疾患、医原性の原因の肝疾患、病理学的原因の肝疾患、免疫調節、頭部外傷、術後手術ストレス、心筋梗塞及び嚢胞性線維症からなる疾病群の予防又は治療に使用するための、請求項64に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2012−520296(P2012−520296A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554045(P2011−554045)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/000723
【国際公開番号】WO2010/104575
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(511222283)ステイブル ソリューションズ エルエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】STABLE SOLUTIONS LLC
【Fターム(参考)】