説明

水中航走体用推進機構及び水中航走体

【課題】簡素な機構で大きな推力を得ることができ、駆動力の伝達効率性、省エネルギー性、量産性に優れた水中航走体用推進機構の提供。
【解決手段】基部2と、基部に鉛直方向と平行に配設された旋回軸3と、一端が旋回軸に固設された旋回アーム部4と、旋回軸を中心に旋回アーム部を水平面内で左右方向に回動させる旋回用駆動部5と、長尺板状に形成され旋回アーム部の他端側から後方に延設された垂直状の弾性振動翼7と、旋回アーム部の弾性振動翼よりも前方に鉛直方向と平行に配設された回動軸8と、弾性振動翼の左右両側に対向して張設され前端部が回動軸に固定され後端部が弾性振動翼の後端に固定された一対の駆動用弾性体9a,9bと、回動軸を回動させて一対の駆動用弾性体と共に弾性振動翼を揺動させる推進駆動部10と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工魚、潜水調査船、潜水作業船等の水中航走体に好適な可変弾性振動翼を用いた水中航走体用推進機構及びそれを備えることにより、小さなエネルギーで大きな推進力を得ることができ、その場で回頭することが可能で、海洋での各種調査や測量等に好適に用いることができる水中航走体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の海洋での各種調査や測量等に使用される水中航走体は、スクリュープロペラによって、その回転軸方向に推力を発生するので、方向制御のためには舵やサイドスラスタなどの補助装置を必要とし、直進性能に比べ、方向制御や位置保持制御の性能が制限されていた。また、スクリュープロペラやサイドスラスタは、回転中に付近のものを巻き込む恐れがあり、安全面からも使用上の制限を受けることがあった。
これらの問題点を解決するために、魚等の水棲生物の形状を模したロボットが研究され、実用化が検討されている。
例えば、(特許文献1)には、魚のひれのように翼を振動(揺動)させることにより、推進のみならず舵取りも行なえるようにした振動翼付き水中航走体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−152085号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)では、前縁に固着された回動軸の往復回動により振動する翼を直列に複数組備えるとともに、複数組の翼の各回動軸を回動させるアクチュエータを備えることにより、複数組の翼(振動翼)が全体として魚の尾びれのようにしなやかに揺動して所要の推力の発生および舵取りが行われ、従来のスクリュープロペラのような巻込みの危険性が無くなる。しかし、直列に配置された複数組の翼を揺動させるだけなので、翼の変形量が小さく、大きな推力が得られ難いという課題を有していた。
(2)また、振動翼全体を大きな曲率で変形させることが困難で、各々の振動翼を小刻みに振動させながら移動するため、急速な方向転換やその場での回頭を行うことができず、動作に制約を受け易く、エネルギーの利用効率が悪く、省エネルギー性に欠けるという課題を有していた。
(3)振動翼をしなやかに揺動させるためには、回動軸の数が増え、各々の回動軸を回動させるためのアクチュエータが必要となり、部品点数が増加して、機構全体が複雑化、大型化し易く、制御も複雑になり、量産性、取扱い性に欠けるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、簡素な機構で大きな推力を得ることができ、駆動力の伝達効率性、省エネルギー性、量産性に優れた水中航走体用推進機構の提供、及び急速な方向転換やその場での回頭を行うことができ、動作の制約を受け難く、制御が容易で、動作の安定性、取扱い性に優れ、短時間で効率的に各種調査や測量等を行うことが可能な機動性、実用性に優れた水中航走体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために本発明の水中航走体用推進機構及び水中航走体は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の水中航走体用推進機構は、基部と、前記基部に鉛直方向と平行に配設された旋回軸と、一端が前記旋回軸に固設された旋回アーム部と、前記旋回軸を中心に前記旋回アーム部を水平面内で左右方向に回動させる旋回用駆動部と、長尺板状に形成され前記旋回アーム部の他端側から後方に延設された垂直状の弾性振動翼と、前記旋回アーム部の前記弾性振動翼よりも前方に鉛直方向と平行に配設された回動軸と、前記弾性振動翼の左右両側に対向して張設され前端部が前記回動軸に固定され後端部が前記弾性振動翼の後端に固定された一対の駆動用弾性体と、前記回動軸を回動させて前記一対の駆動用弾性体と共に前記弾性振動翼を揺動させる推進駆動部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)基部と、基部に鉛直方向と平行に配設された旋回軸と、一端が旋回軸に固設された旋回アーム部と、旋回軸を中心に旋回アーム部を水平面内で左右方向に回動させる旋回用駆動部を有するので、旋回用駆動部を駆動することにより、旋回アーム部と共に、旋回アーム部の他端側から後方に延設された弾性振動翼を大きく左右方向に回動させることができ、小さなエネルギーで急速な方向転換を行うことができ、省エネルギー性に優れる。特に大きな曲率で変形させた場合、回転半径を小さくしてその場で回頭することができ、移動自在性に優れる。
(2)長尺板状に形成され旋回アーム部の他端側から後方に延設された垂直状の弾性振動翼と、旋回アーム部の弾性振動翼よりも前方に鉛直方向と平行に配設された回動軸と、弾性振動翼の左右両側に対向して張設され前端部が回動軸に固定され後端部が弾性振動翼の後端に固定された一対の駆動用弾性体と、回動軸を回動させて一対の駆動用弾性体と共に弾性振動翼を揺動させる推進駆動部を有するので、推進駆動部を駆動して回動軸を回動することにより、一方の駆動用弾性体が前方に引っ張られ、他方の駆動用弾性体が後方に押されるようにして変形し、駆動用弾性体で挟まれた弾性振動翼を確実かつ効率的に水平面内で左右方向に揺動させることができ、駆動力の伝達効率性、動作の確実性に優れる。
(3)長尺板状に形成された弾性振動翼の両側に駆動用弾性体が張設されていることにより、回動軸を回動させて弾性振動翼をくねらせるように変形(揺動)させた際に、弾性振動翼の弾性に加え、駆動用弾性体の弾性が復元力として作用し、大きな推力を発生させることができ、移動速度を速めることが可能で、駆動の効率性、省エネルギー性に優れる。
【0007】
ここで、水中航走体用推進機構は、軟質の繊維強化プラスチックやゴム等で形成された弾性を有する被覆材で被覆される。少なくとも旋回アーム部や弾性振動翼等の可動部を覆う部位が可撓性を有することにより、各部の動作を妨げることがなく、駆動エネルギーのロスを低減して、十分な推力を発生させることができ、エネルギー伝達の効率性に優れる。
旋回アーム部の材質としては、弾性振動翼、駆動用弾性体、推進駆動部等を確実に支持して回動させることができるものであればよいが、適度な剛性と耐久性を有するものが好ましく、アルミニウムやステンレスなどの金属が好適に用いられる。
旋回用駆動部及び推進駆動部には正逆回転可能なモータが用いられる。
【0008】
弾性振動翼は、長尺の板バネ状に形成され、短辺を垂直に立てて配置することにより、水平面内で左右方向に揺動する。
駆動用弾性体は、弾性変形により弾性振動翼を変形(湾曲)させることができればよい。弾性振動翼と同様の薄板状に形成したものが好適に用いられるが、ワイヤ状に形成したものを用いることもできる。特に、弾性振動翼の幅(高さ)方向に複数本のワイヤ状の駆動用弾性体を配置すれば、薄板状と同様の動作安定性が得られる。
弾性振動翼や駆動用弾性体の材質としては、一般的な板バネと同様のステンレスやリン青銅等が好適に用いられる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水中航走体用推進機構であって、前記弾性振動翼の長手方向の途中に配設され前記一対の駆動用弾性体を摺動自在にガイドするガイド部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)弾性振動翼の長手方向の途中に配設され一対の駆動用弾性体を摺動自在にガイドするガイド部を有することにより、駆動用弾性体が外方に膨らむ等して駆動エネルギーが逃げるのを防止でき、駆動用弾性体を確実に長手方向に前後動させながら、弾性振動翼と共に湾曲(揺動)させて推力を発生させることができ、動作の安定性、駆動効率性に優れる。
(2)弾性振動翼の長手方向の途中に配設されるガイド部によって駆動用弾性体の変形を規制することにより、ガイド部の位置を変曲点として弾性振動翼を滑らか且つしなやかに変形させることができるので、関節や回動軸、駆動用のアクチュエータ等の数を増やす必要がなく、小型化、軽量化を図ることができ、組立作業性、量産性に優れる。
【0010】
ここで、ガイド部は環状に形成され、内部に駆動用弾性体が挿通されて、摺動自在に保持される。これにより、弾性振動翼と駆動用弾性体との間隔が一定以上に開くことを防止でき、駆動用弾性体が弾性振動翼に沿うように移動、変形して、弾性振動翼を確実に揺動させることができる。
【0011】
本発明の請求項3に記載の水中航走体は、基部と、前記基部に鉛直方向と平行に配設された旋回軸と、一端が前記旋回軸に固設された旋回アーム部と、前記旋回軸を中心に前記旋回アーム部を水平面内で左右方向に回動させる旋回用駆動部と、長尺板状に形成され前記旋回アーム部の他端側から後方に延設された垂直状の弾性振動翼と、前記旋回アーム部の前記弾性振動翼よりも前方に鉛直方向と平行に配設された回動軸と、前記弾性振動翼の左右両側に対向して張設され前端部が前記回動軸に固定され後端部が前記弾性振動翼の後端に固定された一対の駆動用弾性体と、前記回動軸を回動させて前記一対の駆動用弾性体と共に前記弾性振動翼を揺動させる推進駆動部と、を備えた水中航走体用推進機構と、胴部及び前記胴部の後方に延設された尾部を有する中空状に形成され前記水中航走体用推進機構に覆設される外皮と、を備え、前記外皮の内の少なくとも前記旋回アーム部及び前記弾性振動翼を覆う前記尾部が、可撓性を有する構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)水中航走体用推進機構に、胴部及び胴部の後方に延設された尾部を有する中空状に形成された外皮が覆設され、外皮の内の少なくとも旋回アーム部及び弾性振動翼を覆う尾部が、可撓性を有することにより、水中航走体用推進機構の旋回用駆動部を駆動して旋回アーム部や弾性振動翼を回動させたり、推進駆動部を駆動して駆動用弾性体及び弾性振動翼を揺動させたりする際に、各部の動作が妨げられることがなく、駆動エネルギーのロスを低減し、尾部を大きな曲率で変形させて小さなエネルギーで急速な方向転換や回頭を行うことができると共に、駆動用弾性体及び弾性振動翼をしなやかに揺動させて大きな推力を発生させることができ、短時間で効率的に各種調査や測量等を行うことが可能で、機動性、省エネルギー性、実用性に優れる。
【0012】
ここで、外皮は前述したように、軟質の繊維強化プラスチックやゴム等で形成された弾性を有する被覆材からなるものである。外皮を密閉することにより、内部に水が浸入することを防止でき、水中航走体用推進機構を保護することができる。また、特に、この外皮をエイ等の魚類の形状を模して形成することにより、流体抵抗を低減して水中でのスムーズな移動を可能にすることができ、省力性に優れると共に、周囲の水棲生物を刺激したり、警戒させたりすることなく、自然な状態で各種調査や観察、測量等の作業を効率的に行うことができる。
外皮には必要に応じて、胸びれ、腹びれ、背びれ、尾びれなどの形状を模した翼を設けることができる。これらの翼は、中空状の外皮の内部に骨格となる板材や棒状のリブ等を挿通して形成することができ、固定式でも可動式でもよい。
尚、水中航走体には、カメラ等の撮影部、照明部、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)受信機等を搭載することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の水中航走体であって、前記水中航走体用推進機構が、前記弾性振動翼の長手方向の途中に配設され前記一対の駆動用弾性体を摺動自在にガイドするガイド部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項3に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)可動部の少ない簡素な機構で尾部全体を滑らか且つしなやかに変形させて、駆動エネルギーを効率的に利用することができ、動作不良や故障が発生し難く、小型化、軽量化が容易で、組立作業性、メンテナンス性、量産性に優れる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の水中航走体であって、前記尾部の後端に形設される尾びれ状の尾翼部を有し、前記尾翼部が、可撓性を有する前記外皮と、前記外皮の内部に伸縮自在及び/又は回動自在に配設された複数のリブと、を備えたことを特徴とするを備えた構成を有している。
この構成により、請求項3又は4に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)尾部の後端に形設される尾びれ状の尾翼部を有し、尾翼部が、可撓性を有する外皮と、外皮の内部に伸縮自在及び/又は回動自在に配設された複数のリブを備えることにより、移動時の姿勢、水流の速さ、移動速度などに応じて、リブを伸縮させたり、リブを回動させてリブ同士のなす角度を変更したりして、尾翼部の形状を変化させることができ、効率的な移動が可能で、汎用性、省力性に優れる。
ここで、尾翼部の外皮を中空状に形成することにより、内部のリブを自在に伸縮させたり、回動させたりすることができる。尚、リブはピストンシリンダやリンク機構などを組合せることにより、伸縮させたり、回動させたりすることができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項3又は4に記載の水中航走体であって、前記胴部の左右両側に形設される胸びれ状の水平翼部を有し、前記水平翼部が、水平翼本体と、前記水平翼本体の根元部に配設され前記水平翼本体を上下方向及び/又は前後方向に回動させる水平翼支持部と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項3又は4に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)胴部の左右両側に形設される胸びれ状の水平翼部を有することにより、安定した水平姿勢を維持することができ、姿勢の安定性、姿勢制御の容易性に優れる。
(2)水平翼部が、水平翼本体と、水平翼本体の根元部に配設され水平翼本体を上下方向及び/又は前後方向に回動させる水平翼支持部を備えることにより、必要に応じて、水平翼本体を上下方向や前後方向に回動させて、姿勢を容易に制御することができ、汎用性、動作安定性に優れる。
【0016】
ここで、水平翼本体を合成樹脂やゴム等で形成し、胴部の左右両側に水平翼支持部を介して回動自在に配設して水平翼部としてもよいし、水平翼本体を合成樹脂製の板材や枠体などで形成し、水中航走体用推進機構の基部に水平翼支持部を介して回動自在に配設して水中航走体用推進機構と共に中空状の外皮で被覆して水平翼部としてもよい。水平翼部の角度を調整することにより、上昇、下降、右旋回、左旋回などの姿勢を選択することができる。
水平翼本体は、モータで回動させるものが好適に用いられるが、ワイヤの張力を調整することによって回動させてもよい。
また、水平翼部は所定の角度に固定したまま水中航走体の姿勢の維持に使用する以外に、上下方向に繰り返し回動させて、水中航走体の上昇(浮上)に使用することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項3又は4に記載の水中航走体であって、前記水中航走体用推進機構の前記基部に配設された重心位置調整部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項3又は4に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)水中航走体用推進機構の基部に配設された重心位置調整部を有することにより、簡便に姿勢を制御して、上昇や下降などを効率的に行うことができ、省エネルギー性に優れる。
ここで、重心位置調整部としては、水中航走体の前後方向と平行な長孔状やレール状の案内部を基部に形設し、案内部に沿ってバランスウェイトを前後動(摺動)させるものが好適に用いられる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の水中航走体用推進機構及び水中航走体によれば、以下の優れた効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)旋回用駆動部を駆動することで、旋回アーム部と共に、後方に延設された弾性振動翼を大きく左右方向に回動させることができ、小さなエネルギーで急速な方向転換や回頭を行うことができる省エネルギー性、移動自在性に優れた水中航走体用推進機構を提供することができる。
(2)推進駆動部を駆動して回動軸を回動することにより、一方の駆動用弾性体が前方に引っ張られ、他方の駆動用弾性体が後方に押されるようにして変形し、駆動用弾性体で挟まれた弾性振動翼を確実かつ効率的に水平面内で左右方向に揺動させることができ、駆動力の伝達効率性、動作の確実性に優れると共に、弾性振動翼の弾性に加え、駆動用弾性体の弾性が復元力として作用することで、大きな推力を発生させることが可能な駆動の効率性、省エネルギー性に優れた水中航走体用推進機構を提供することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)ガイド部で駆動用弾性体をガイドして確実に前後動させることにより、駆動用弾性体が外方に膨らむ等して駆動エネルギーが逃げるのを防止して、弾性振動翼と共に湾曲(揺動)させて推力を発生させることができ、動作の安定性、駆動効率性に優れるだけでなく、ガイド部で駆動用弾性体の変形を規制することにより、ガイド部の位置を変曲点として弾性振動翼を滑らか且つしなやかに変形させることができ、関節や回動軸、駆動用のアクチュエータ等の数を増やす必要がなく、小型化、軽量化を図ることができる組立作業性、量産性に優れた水中航走体用推進機構を提供することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)水中航走体用推進機構の可動部が、可撓性を有する外皮で覆われることにより、各部の動作が妨げられることがなく、駆動エネルギーのロスを低減し、尾部を大きな曲率で変形させて小さなエネルギーで急速な方向転換や回頭を行うことができると共に、駆動用弾性体及び弾性振動翼をしなやかに揺動させて大きな推力を発生させることができ、短時間で効率的に各種調査や測量等を行うことが可能な機動性、省エネルギー性、実用性に優れた水中航走体を提供することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)可動部の少ない簡素な機構で尾部全体を滑らか且つしなやかに変形させて、駆動エネルギーを効率的に利用することができ、動作不良や故障が発生し難く、小型化、軽量化が容易で、組立作業性、メンテナンス性、量産性に優れた水中航走体を提供することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、請求項3又は4に記載の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)移動時の姿勢、水流の速さ、移動速度などに応じて、リブを伸縮させたり、リブを回動させてリブ同士のなす角度を変更したりして、可撓性を有する外皮で覆われた尾翼部の形状を変化させることができ、効率的な移動が可能で、汎用性、省力性に優れた水中航走体を提供することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、請求項3又は4に記載の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)水平翼部によって安定した水平姿勢を維持することができ、必要に応じて、上下方向や前後方向に回動させて、姿勢を容易に制御することが可能な姿勢の安定性、姿勢制御の容易性、動作安定性に優れた水中航走体を提供することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、請求項3又は4に記載の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)重心位置調整部で重心位置を前後に変化させることにより、簡便に姿勢を制御して、上昇や下降などを効率的に行うことができ、省エネルギー性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)実施の形態1における水中航走体用推進機構の模式平面図(b)実施の形態1における水中航走体用推進機構の模式側面図
【図2】実施の形態1における水中航走体用推進機構の動作を示す要部模式斜視図
【図3】(a)実施の形態1における水中航走体用推進機構の弾性振動翼の中立状態を示す要部断面模式平面図(b)実施の形態1における水中航走体用推進機構の弾性振動翼の変形状態を示す要部断面模式平面図
【図4】実施の形態1における水中航走体用推進機構を内蔵した水中航走体の模式斜視図
【図5】実施の形態1における水中航走体の水平翼部の内部構造を示す模式斜視図
【図6】(a)実施の形態1における水中航走体の尾翼部の変形例を示す要部断面模式側面図(b)実施の形態1における水中航走体の変形例の尾翼部の動作を示す要部断面模式側面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態における水中航走体用推進機構及び水中航走体について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は(a)実施の形態1における水中航走体用推進機構の平面図であり、図1(b)は実施の形態1における水中航走体用推進機構の側面図である。
図1中、1は本発明の実施の形態1における水中航走体用推進機構、2は略矩形平板状に形成された基部、3は基部2の後端側に鉛直方向と平行に配設された旋回軸、3aは旋回軸3を回動自在に支持するベアリング、4は一端が旋回軸3に固設された板状の旋回アーム部、5は旋回軸3を中心に旋回アーム部4を水平面内で左右方向に回動させる正逆回転可能なモータを用いた旋回用駆動部、6は旋回用駆動部5が固設される台部、6aは台部6の左右両側に垂設され基部2上で台部6を支持する支持部、6bは支持部6aの後端側に形成された切り欠き部、7はステンレスで長尺板状に形成され旋回アーム部4の他端側に垂設された固定板4aに螺子止めされ後方に延設された垂直状の弾性振動翼、8は旋回アーム部4の弾性振動翼7よりも前方に鉛直方向と平行に配設された回動軸、9a,9bはステンレス製の薄板が弾性振動翼7の左右両側に対向して張設され前端部が回動軸8に固定され後端部が弾性振動翼7の後端に螺子止め固定された一対の駆動用弾性体、10は回動軸8を回動させて一対の駆動用弾性体9a,9bと共に弾性振動翼7を揺動させる正逆回転可能なモータを用いた推進駆動部、11は弾性振動翼7の長手方向の途中に配設され一対の駆動用弾性体9a,9bを摺動自在にガイドする環状のガイド部、12は弾性振動翼7の後端に配設された尾翼板、30は基部2に配設された重心位置調整部、30aは基部2の前後方向と平行に形設された長孔状やレール状の案内部2aに沿って前後動(摺動)する重心位置調整部30のバランスウェイトである。尚、図1(b)では、説明の都合上、手前の支持部6aを省略した。
【0027】
旋回アーム部4は、弾性振動翼7、駆動用弾性体9a,9b、推進駆動部10等を確実に支持して回動させることができるように、適度な剛性と耐久性を有するアルミニウムやステンレスなどの金属で形成した。
弾性振動翼7は、長尺の板バネ状に形成され、短辺を垂直に立てて配置することにより、水平面内で左右方向に揺動するようにした。
駆動用弾性体9a,9bは、弾性振動翼7と同様の薄板状に形成したものを用いたが、弾性変形により弾性振動翼7を変形(湾曲)させることができればよく、ワイヤ状に形成したものも用いることもできる。特に、弾性振動翼7の高さ方向に複数本のワイヤ状の駆動用弾性体を配置すれば、薄板状と同様の動作安定性が得られる。
尚、弾性振動翼7や駆動用弾性体9a,9bの材質としては、一般的な板バネと同様のステンレスやリン青銅等を用いることができる。
【0028】
以上のように構成された実施の形態1における水中航走体用推進機構の動作について説明する。
図2は実施の形態1における水中航走体用推進機構の動作を示す要部模式斜視図であり、図3(a)は実施の形態1における水中航走体用推進機構の弾性振動翼の中立状態を示す要部断面模式平面図であり、図3(b)は実施の形態1における水中航走体用推進機構の弾性振動翼の変形状態を示す要部断面模式平面図である。
【0029】
図1の状態から旋回用駆動部5を駆動すると、旋回アーム部4は図2の矢印aで示すように、左右方向に回動する。これにより、旋回アーム部4と共に、弾性振動翼7を大きく左右方向に回動させることができ、旋回方向(進行方向)を選択できる。
また、図1の推進駆動部10を駆動すると、回動軸8は図2の矢印bのように回動する。図2及び図3(b)においては、一方の駆動用弾性体9aが前方に引っ張られ、他方の駆動用弾性体9bが後方に押されるようにして変形し、駆動用弾性体9a,9bで挟まれた弾性振動翼7が駆動用弾性体9a側に膨らむように湾曲している。
このとき、図3(b)に示すように、ガイド部11が弾性振動翼7の両側にそれぞれ矩形環状に形設され、内部に駆動用弾性体9a,9bがそれぞれ挿通されて、摺動自在に保持されている。これにより、弾性振動翼7と駆動用弾性体9a,9bとの間隔が一定以上に開くことを防止でき、駆動用弾性体9a,9bが弾性振動翼7に沿うように移動、変形して、弾性振動翼7を確実に揺動させることができる。
そして、回動軸8を図2の矢印bに示すように左右方向に交互に繰り返して回動させると、弾性振動翼7が駆動用弾性体9a,9bと共に、水平面内で左右方向に揺動し、推進力が得られる。
尚、重心位置調整部30については、後述する。
【0030】
以上のように構成された実施の形態1における水中航走体用推進機構を内蔵した水中航走体について説明する。
図4は実施の形態1における水中航走体用推進機構を内蔵した水中航走体の模式斜視図である。
図4中、20はシノノメサカタザメを模して形成され実施の形態1における水中航走体用推進機構1を内蔵した水中航走体、21は軟質の繊維強化プラスチックやゴム等で形成され水中航走体用推進機構1に覆設された弾性を有する外皮、21aは中空状に形成され水中航走体用推進機構1の基部2を被覆する外皮21の胴部、21bは中空状に形成され水中航走体用推進機構1の旋回アーム部4及び弾性振動翼7を被覆する外皮21の尾部、22a,22bは胴部21aの左右両側に形設された胸びれ状の水平翼部、23は水平翼部22a,22bの後方に形設された腹びれ状の第2の水平翼部、24a,24bは尾部21bの上部の前後2箇所に形設された背びれ状の垂直翼部、25は尾翼板12(図2参照)を外皮21で被覆することにより尾部21bの後端に形設された尾びれ状の尾翼部である。
【0031】
外皮21の内の少なくとも旋回アーム部4及び弾性振動翼7を覆う尾部21bが、可撓性を有することにより、上述した旋回アーム部4や弾性振動翼7の動作を妨げることがなく、尾部21b全体を大きく湾曲させたり、揺動させたりして、様々な動作を行うことができる。
外皮21を密閉することにより、内部に水が浸入することを防止でき、水中航走体用推進機構1を保護することができる。また、外皮21を図4に示すように魚類の形状を模して形成することにより、流体抵抗を低減して水中でのスムーズな移動を可能にすることができ、省力性に優れると共に、周囲の水棲生物を刺激したり、警戒させたりすることなく、自然な状態で各種調査や観察、測量等の作業を効率的に行うことができる。
尚、水中航走体20には、カメラ等の撮影部、照明部、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)受信機等を搭載して、各種調査や測量等を行うことができる。
【0032】
次に、実施の形態1における水中航走体の水平翼部の内部構造について説明する。
図5は実施の形態1における水中航走体の水平翼部の内部構造を示す模式斜視図である。
図5中、18は水平翼部22a,22b(図4参照)の形状に合わせて合成樹脂等で板状に形成され骨格(芯材)として外皮21で被覆された水平翼本体、19は水平翼本体18を前後(矢印c)方向に回動させる前後方向回動軸19aと上下(矢印d)方向に回動させる上下方向回動軸19bを有する水平翼支持部である。
水平翼支持部19を水中航走体用推進機構1の基板2の左右両側に回動自在に軸支することにより、水平翼本体18を前後(矢印c)方向や上下(矢印d)方向に回動させ、上昇、下降、右旋回、左旋回などの姿勢を選択することができる。
また、水中航走体20の姿勢(前傾、後傾)に応じて、水中航走体用推進機構1の基板2に配設した重心位置調整部30のバランスウェイト30a(図1参照)が前後動することにより、重心が移動し、速やかな潜行や浮上を行うことができ、省力性に優れる。
尚、第2の水平翼部23や垂直翼部24a,24bも水平翼部22a,22bと同様に、中空状の外皮21の内部に骨格となる板材や棒状のリブ等を挿通して形成することができ、固定式でも可動式でもよい。
【0033】
次に、実施の形態1における水中航走体の尾翼部の変形例について説明する。
図6(a)は実施の形態1における水中航走体の尾翼部の変形例を示す要部断面模式側面図であり、図6(b)は実施の形態1における水中航走体の変形例の尾翼部の動作を示す要部断面模式側面図である。
図6中、12a,12bは尾翼部25の皮の内部に配設された上下2本のリブ、13は2本のリブ12a,12bの前端部を回動自在に保持する回動保持部、14a,14bはそれぞれの一端が枢軸部15a,15bによりリブ12a,12bの略中央部に回動自在に支持されたリンク軸、16はリンク軸14a,14bの他端を回動自在に連結して外皮21に固定される固定回動軸、17は端部が回動保持部13に連結され前後方向に伸縮するピストンシリンダを用いた尾翼部開閉駆動部である。
【0034】
固定回動軸16を外皮21に固定し、尾翼部開閉駆動部17を伸縮させることにより、回動保持部13が前後動して、回動保持部13と固定回動軸16との距離が変化し、リブ12a,12bが回動保持部13を中心に回動すると共に、リンク軸14a,14bが固定回動軸16を中心に回動し、リブ12a,12bのなす角度が変化して尾翼部25を開閉することができる。
方向転換を行う時や、大きな推力を発生させようとする時は、尾翼部25を広げて抵抗を増やし、急速に潜航する時や浮上する時は、尾翼部25を畳んで抵抗を減らして、効率的な移動を行うことができ、省エネルギー性に優れる。
尚、リブ12a,12bを伸縮自在に形成した場合、リブ12a,12bの長さによって外皮21の支持される範囲が変化し、尾翼部25を張った状態と垂れた状態によって抵抗を増減させることができる。
【0035】
以上のように実施の形態1の水中航走体用推進機構は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)基部と、基部に鉛直方向と平行に配設された旋回軸と、一端が旋回軸に固設された旋回アーム部と、旋回軸を中心に旋回アーム部を水平面内で左右方向に回動させる旋回用駆動部を有するので、旋回用駆動部を駆動することにより、旋回アーム部と共に、旋回アーム部の他端側から後方に延設された弾性振動翼を大きく左右方向に回動させることができ、小さなエネルギーで急速な方向転換を行うことができ、省エネルギー性に優れる。特に大きな曲率で変形させた場合、回転半径を小さくしてその場で回頭することができ、移動自在性に優れる。
(2)長尺板状に形成され旋回アーム部の他端側から後方に延設された垂直状の弾性振動翼と、旋回アーム部の弾性振動翼よりも前方に鉛直方向と平行に配設された回動軸と、弾性振動翼の左右両側に対向して張設され前端部が回動軸に固定され後端部が弾性振動翼の後端に固定された一対の駆動用弾性体と、回動軸を回動させて一対の駆動用弾性体と共に弾性振動翼を揺動させる推進駆動部を有するので、推進駆動部を駆動して回動軸を回動することにより、一方の駆動用弾性体が前方に引っ張られ、他方の駆動用弾性体が後方に押されるようにして変形し、駆動用弾性体で挟まれた弾性振動翼を確実かつ効率的に水平面内で左右方向にくねらせるように揺動させることができ、駆動力の伝達効率性、動作の確実性に優れる。
(3)長尺板状に形成された弾性振動翼の両側に駆動用弾性体が張設されていることにより、回動軸を回動させて弾性振動翼を変形(揺動)させた際に、弾性振動翼の弾性に加え、駆動用弾性体の弾性が復元力として作用し、大きな推力を発生させることができ、移動速度を速めることが可能で、駆動の効率性、省エネルギー性に優れる。
(4)弾性振動翼の長手方向の途中に配設され一対の駆動用弾性体を摺動自在にガイドするガイド部を有することにより、駆動用弾性体が外方に膨らむ等して駆動エネルギーが逃げるのを防止でき、駆動用弾性体を確実に長手方向に前後動させながら、弾性振動翼と共に湾曲(揺動)させて推力を発生させることができ、動作の安定性、駆動効率性に優れる。
(5)弾性振動翼の長手方向の途中に配設されるガイド部によって駆動用弾性体の変形を規制することにより、ガイド部の位置を変曲点として弾性振動翼を滑らか且つしなやかに変形させることができるので、関節や回動軸、駆動用のアクチュエータ等の数を増やす必要がなく、小型化、軽量化を図ることができ、組立作業性、量産性に優れる。
【0036】
以上のように実施の形態1の水中航走体は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)水中航走体用推進機構に、胴部及び胴部の後方に延設された尾部を有する中空状に形成された外皮が覆設され、外皮の内の少なくとも旋回アーム部及び弾性振動翼を覆う尾部が、可撓性を有することにより、水中航走体用推進機構の旋回用駆動部を駆動して旋回アーム部や弾性振動翼を回動させたり、推進駆動部を駆動して駆動用弾性体及び弾性振動翼を揺動させたりする際に、各部の動作が妨げられることがなく、駆動エネルギーのロスを低減し、尾部を大きな曲率で変形させて小さなエネルギーで急速な方向転換や回頭を行うことができると共に、駆動用弾性体及び弾性振動翼をしなやかに揺動させて大きな推力を発生させることができ、短時間で効率的に各種調査や測量等を行うことが可能で、機動性、省エネルギー性、実用性に優れる。
(2)可動部の少ない簡素な機構で尾部全体を滑らか且つしなやかに変形させて、駆動エネルギーを効率的に利用することができ、動作不良や故障が発生し難く、小型化、軽量化が容易で、組立作業性、メンテナンス性、量産性に優れる。
(3)尾部の後端に形設される尾びれ状の尾翼部を有し、尾翼部が、可撓性を有する外皮と、外皮の内部に伸縮自在及び/又は回動自在に配設された複数のリブを備えることにより、移動時の姿勢、水流の速さ、移動速度などに応じて、リブを伸縮させたり、リブを回動させてリブ同士のなす角度を変更したりして、尾翼部の形状を変化させることができ、効率的な移動が可能で、汎用性、省力性に優れる。
(4)胴部の左右両側に形設される胸びれ状の水平翼部を有することにより、安定した水平姿勢を維持することができ、姿勢の安定性、姿勢制御の容易性に優れる。
(5)水平翼部が、水平翼本体と、水平翼本体の根元部に配設され水平翼本体を上下方向及び/又は前後方向に回動させる水平翼支持部を備えることにより、必要に応じて、水平翼本体を上下方向や前後方向に回動させて、姿勢を容易に制御することができ、汎用性、動作安定性に優れる。
(6)水中航走体用推進機構の基部に配設された重心位置調整部を有することにより、簡便に姿勢を制御して、上昇や下降などを効率的に行うことができ、省エネルギー性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、簡素な機構で大きな推力を得ることができ、駆動力の伝達効率性、省エネルギー性、量産性に優れた水中航走体用推進機構の提供、及び急速な方向転換やその場での回頭を行うことができ、動作の制約を受け難く、制御が容易で、動作の安定性、取扱い性に優れ、短時間で効率的に各種調査や測量等を行うことが可能な機動性、実用性に優れた水中航走体の提供を行うことができ、人工魚、潜水調査船、潜水作業船等による海洋での各種調査や測量等の効率化を実現することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 水中航走体用推進機構
2 基部
2a 案内部
3 旋回軸
3a ベアリング
4 旋回アーム部
4a固定板
5 旋回用駆動部
6 台部
6a 支持部
6b 切り欠き部
7 弾性振動翼
8 回動軸
9a,9b 駆動用弾性体
10 推進駆動部
11 ガイド部
12 尾翼板
12a,12b リブ
13 回動保持部
14a,14b リンク軸
15a,15b 枢軸部
16 固定回動軸
17 尾翼部開閉駆動部
18 水平翼本体
19 水平翼支持部
19a 前後方向回動軸
19b 上下方向回動軸
20 水中航走体
21 外皮
21a 胴部
21b 尾部
22a,22b 水平翼部
23 第2の水平翼部
24a,24b 垂直翼部
25 尾翼部
30 重心位置調整部
30a バランスウェイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、前記基部に鉛直方向と平行に配設された旋回軸と、一端が前記旋回軸に固設された旋回アーム部と、前記旋回軸を中心に前記旋回アーム部を水平面内で左右方向に回動させる旋回用駆動部と、長尺板状に形成され前記旋回アーム部の他端側から後方に延設された垂直状の弾性振動翼と、前記旋回アーム部の前記弾性振動翼よりも前方に鉛直方向と平行に配設された回動軸と、前記弾性振動翼の左右両側に対向して張設され前端部が前記回動軸に固定され後端部が前記弾性振動翼の後端に固定された一対の駆動用弾性体と、前記回動軸を回動させて前記一対の駆動用弾性体と共に前記弾性振動翼を振動させる推進駆動部と、を備えたことを特徴とする水中航走体用推進機構。
【請求項2】
前記弾性振動翼の長手方向の途中に配設され前記一対の駆動用弾性体を摺動自在にガイドするガイド部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の水中航走体用推進機構。
【請求項3】
基部と、前記基部に鉛直方向と平行に配設された旋回軸と、一端が前記旋回軸に固設された旋回アーム部と、前記旋回軸を中心に前記旋回アーム部を水平面内で左右方向に回動させる旋回用駆動部と、長尺板状に形成され前記旋回アーム部の他端側から後方に延設された垂直状の弾性振動翼と、前記旋回アーム部の前記弾性振動翼よりも前方に鉛直方向と平行に配設された回動軸と、前記弾性振動翼の左右両側に対向して張設され前端部が前記回動軸に固定され後端部が前記弾性振動翼の後端に固定された一対の駆動用弾性体と、前記回動軸を回動させて前記一対の駆動用弾性体と共に前記弾性振動翼を振動させる推進駆動部と、を備えた水中航走体用推進機構と、胴部及び前記胴部の後方に延設された尾部を有する中空状に形成され前記水中航走体用推進機構に覆設される外皮と、を備え、前記外皮の内の少なくとも前記旋回アーム部及び前記弾性振動翼を覆う前記尾部が、可撓性を有することを特徴とする水中航走体。
【請求項4】
前記水中航走体用推進機構が、前記弾性振動翼の長手方向の途中に配設され前記一対の駆動用弾性体を摺動自在にガイドするガイド部を備えたことを特徴とする請求項3に記載の水中航走体。
【請求項5】
前記尾部の後端に形設される尾びれ状の尾翼部を有し、前記尾翼部が、可撓性を有する前記外皮と、前記外皮の内部に伸縮自在及び/又は回動自在に配設された複数のリブと、を備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の水中航走体。
【請求項6】
前記胴部の左右両側に形設される胸びれ状の水平翼部を有し、前記水平翼部が、水平翼本体と、前記水平翼本体の根元部に配設され前記水平翼本体を上下方向及び/又は前後方向に回動させる水平翼支持部と、を備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の水中航走体。
【請求項7】
前記水中航走体用推進機構の前記基部に配設された重心位置調整部を備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の水中航走体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−63222(P2011−63222A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217992(P2009−217992)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託事業(知的クラスター創成事業(第2期))、産業力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(802000031)財団法人北九州産業学術推進機構 (187)