水位回復観測装置
【課題】現場水理試験に要する時間を短縮できて、低透水性媒質に対しても効果的に水位回復を観測することができる水位回復観測装置を提供すること。
【解決手段】連結管の上部と下部にそれぞれ備えられて試錐孔の内面に選択的に密着する1対のパッカーと、1対のパッカー内部に膨張流体を供給する供給管と、1対のパッカー間の採取空間と連通し、採取空間に存在する流体を試錐孔の外側に案内する案内管と、案内管よりも小さい断面積を有して案内管に連通し、採取空間に存在する流体が流れる流路を提供する観測管とを備えて構成される。
【解決手段】連結管の上部と下部にそれぞれ備えられて試錐孔の内面に選択的に密着する1対のパッカーと、1対のパッカー内部に膨張流体を供給する供給管と、1対のパッカー間の採取空間と連通し、採取空間に存在する流体を試錐孔の外側に案内する案内管と、案内管よりも小さい断面積を有して案内管に連通し、採取空間に存在する流体が流れる流路を提供する観測管とを備えて構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水位回復観測装置に関し、より詳細には、現場水理試験に要される時間を短縮させ、低透水性媒質に対しても効果的に水位回復を観測することができる水位回復観測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、試錐孔で媒質の水理特性を知るための現場水理試験は、揚水試験、瞬間衝撃試験、定圧注入試験に大別することができる。
このうち、揚水試験と瞬間衝撃試験は媒質における水位回復特性を観測するようになり、特に結晶質岩盤でより正確な水理特性を調べるためには、裸孔状態ではない関心区間を隔離させる必要がある。
【0003】
このように、関心領域で媒質を介した水位回復特性を観測するために、水位回復観測装置が用いられている。
【0004】
図1および図2を参照しながら、従来の一般的な水位回復観測装置の構成について説明する。
ここで、図1は、従来の地下水採取装置でパッカーが膨脹する前の状態を示す構成図である。
また、図2は、従来の地下水採取装置でパッカーが膨張流体によって膨張して試錐孔内面に密着した状態を示す構成図である。
【0005】
従来の地下水W採取装置は、上部と下部に備えられた上部パッカー10と下部パッカー30、パッカーに膨張流体を供給して流圧を加える供給管20,40、パッカー10,30を連結する連結管60、およびパッカー10,30間の採取空間に存在する地下水Wを試錐孔H外部に案内する案内管50で構成される。
【0006】
ここで、図2に示すように、1対のパッカーには供給管20,40を介して流体が供給され、外側に膨脹しながら試錐孔Hの内面に密着し、試錐孔H内でパッカー10,30間の関心領域を水理的に隔離させるようになる。
【0007】
また、供給管20,40は、上部パッカー10に膨張流体を供給する上部供給管20と、上部供給管20と連通して下部パッカー30に膨張流体を供給する下部供給管40とで構成される。
【0008】
したがって、上部供給管20を介して上部パッカー10に膨張流体を供給するようになれば、これと連通した下部供給管40内にも膨張流体が流動して下部パッカー30に膨張流体が供給される。
すなわち、上部供給管20に膨張流体を供給することで、上部と下部パッカー30を同時に膨張させて試錐孔H内面に密着させるようにする。
【0009】
一方、連結管60には、パッカーー10,30によって隔離された採取空間に存在する地下水Wを流入するための流入ホール62が形成されている。
また、パッカー10,30間を連結する連結管60は、複数のセグメントが組み立て式で相互結合し、パッカー10,30間の間隔を維持する。
したがって、パッカー10,30間を連結する連結管60のセグメント数を調節することで、試錐孔H内の所望する深度区間内の地下水Wを採取することができる。
【0010】
次に、図3および図4を参照しながら、上述した構成を有する水位回復観測装置によって試錐孔内の水位回復を観測する過程について説明する。
【0011】
ここで、図3は、図1の水位回復観測装置で地下水位が基準水位である状態を示す構成図である。また、図4は、図1の水位回復観測装置で地下水位が変化水位に低下した状態を示す構成図である。
【0012】
図3に示すように連結管内の地下水位が基準水位であるときから、図4に示すように地下水位が変化水位に低下していく場合には、試錐孔の内壁を介して上部パッカーと下部パッカーとの間の空間に地下水が流入しながら、連結管内の地下水位が再び基準水位に回復するようになる。
【0013】
また、このような水位回復特性を分析して水理試験を実行するようになる。
【0014】
しかしながら、従来の水位回復観測装置において、試錐孔周囲が高透水性媒質である場合には、水位回復が迅速に進められて水理試験を円滑に行うことができるが、より低い透水性を有する媒質である場合には、水頭回復時間が著しく遅くなり、基準水位に回復するまでに相当な時間が要求されるという短所を有している。
【0015】
すなわち、試錐孔の内壁周囲の媒質が低透水性であって地下水の流入量が微量である場合には、地下水位が基準水位に回復する時間が極めて長くなり、現場水理試験を完了するために多くの時間を消耗しなければならないという限界があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上述した従来の問題点を解決するために案出されたものであって、現場水理試験に要される時間を短縮させた水位回復観測装置を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、媒質の透水性程度に関係なく、効果的に水位回復を観測することができる水位回復観測装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記のような目的を達成するために、本発明は、試錐孔に挿入され、前記試錐孔内の流体の水位回復を観測するための水位回復観測装置であって、前記試錐孔の内面に選択的に密着する第1パッカー(packer)と、前記第1パッカー内部に膨張流体を供給する供給管と、前記第1パッカー下部の採取空間と連通し、前記採取空間に存在する流体を前記試錐孔の外側に案内する案内管と、前記案内管よりも小さい断面積を有して前記案内管に連通し、前記採取空間に存在する流体が流れる流路を提供する観測管とを備えて構成される水位回復観測装置を提供する。
【0019】
また、前記観測管は、前記案内管の下部に連結されることが好ましい。これと共に、前記案内管の内部には、流路を選択的に遮断するバルブ部が備えられ、水位回復の際に地下水位が観測管側に流入することが好ましい。
【0020】
一方、本発明に係る水位回復観測装置は、前記案内管と観測管のうちの少なくともいずれか1つの水位を観測する水位測定器を含むことが好ましい。
【0021】
また、本発明に係る水位回復観測装置は、前記第1パッカーよりも一定の間隔下部に備えられ、前記試錐孔の内面に選択的に密着する第2パッカーをさらに含むことが好ましい。
【0022】
また、前記水位回復観測装置は、前記第1パッカーと第2パッカーとの間に備えられて前記パッカーを連結する連結管を含み、前記連結管には、前記第1パッカーと第2パッカーによって隔離された採取空間に存在する地下水を流入するための流入ホールが形成されるように構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
前記の構成を有する本発明に係る水位回復観測装置には、次のような効果がある。
【0024】
第1に、案内管と別途の直径が小さい観測管を備えることで、地下水位が回復するのに要される時間を短縮させ、迅速に水位回復特性を観測することができるという利点がある。
【0025】
すなわち、地下水位が回復するときに案内管を遮断し、直径が小さい観測管を介して水位回復がなされるため、迅速な水位回復を観測できるのである。
【0026】
例えば、案内管の内径が25mmであり、観測管の内径が2.5mmである場合には、従来のように案内管を介して水位回復を観測するのに比べて観測管を用いることで、所要時間を1/100倍に短縮することができる。
【0027】
第2に、試錐孔周辺の媒質特性に関係なく、円滑な水理試験が可能であるという利点がある。
【0028】
具体的に、低透水性媒質で地下水流入量が微量であるために水位回復が極めて遅くなされる条件でも、観測管によって水位が迅速に回復するため、水位回復を観測するのに要される時間を短縮させ、結果的に水理試験を円滑になすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の目的が具体的に実現される本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照しながら説明する。本実施形態を説明する図中、同じ参照符号は同じ部材を示す。また、これに係る付加的な説明は省略する。
【0030】
図5を参照しながら、本発明の一実施形態に係る水位回復観測装置の構成について説明する。
【0031】
本実施形態に係る水位回復観測装置は、試錐孔Hに挿入され、試錐孔H内に存在する流体を採取するための装置であって、1対のパッカー110,130と、連結管160と、供給管120,140と、案内管150と、観測管170とを備えて構成される。
【0032】
ここで、本実施形態に係る採取装置の対象は、多様な流体であると言える。以下では、採取対象となる流体の一例として、試錐孔H内に存在する地下水Wを例示して説明する。
【0033】
パッカー110,130は、第1パッカー110と第2パッカー130とを備えて構成され、それぞれは外部から膨張流体の供給を受け、体積を大きくしながら試錐孔Hの内面に選択的に密着する。
【0034】
連結管160は、パッカー110,130の間に備えられ、パッカー110,130を相互連結する。また、連結管160には、パッカー110,130によって隔離された採取空間に存在する地下水Wを流入するための流入ホール162が形成されている。
【0035】
また、パッカー110,130間を連結する連結管160は、複数のセグメントが組み立て式で相互結合され、パッカー110,130間の間隔を維持する。したがって、パッカー110,130間を連結する連結管160のセグメント数を調節することで、試錐孔H内の所望する深度区間内の地下水Wを採取できるのである。
【0036】
供給管120,140は、1対のパッカー内部に膨張流体を供給し、第1パッカー110に膨張流体を供給する上部供給管120と、第2パッカー130に膨張流体を供給する下部供給管140とを備える。
【0037】
案内管150は、第1パッカー110と第2パッカー130の膨張によって水理的に分離した採取空間と連通して試錐孔Hの外側に延長形成され、採取空間に存在する流体を外部に案内する。
【0038】
観測管170は、案内管150と連通するように構成され、内部には採取空間に存在する流体が流れることができる流路が形成される。
【0039】
観測管170は、案内管150と別途に構成されて連結管に連結し、案内管150よりも小さい断面積を有するように構成される。
【0040】
観測管170が連結管160に連結する位置には制限はないが、水位回復をより効果的に観測するためには、案内管150の下部に連結されることが好ましい。
【0041】
本発明は、このように直径が小さな観測管170を案内管150と別途に備えることで、地下水位が直径が小さい観測管170によって変化水位から基準水位に水位が回復されるため、水位回復をより迅速に観測することができる。
【0042】
特に、低透水性媒質で水位回復が極めて遅くなされる条件でも、観測管170によって水位が迅速に回復するため、水位回復を観測するのに要される時間を短縮させ、結果的に水理試験が円滑になされるようにする。
【0043】
一方、案内管150の内部には、流路を選択的に遮断するバルブ部180が備えられることが好ましい。
【0044】
案内管150を用いて水位変化を与え、水位が回復するときにはバルブ部180を閉めて案内管150の下部を遮断するようになれば、地下水位は直径が小さい観測管170によって水位回復されるようになる。
【0045】
図5は、横方向に移動する2つの部材によって流路が開閉する形態を概略的に示しているが、具体的なバルブ部180の形態は、公知の多様な方式を採用することができる。
【0046】
図6は、図5の変形例であって、上述した実施形態と基本的な構成要素は同じである。ただし、本変形例では、バルブ部280の具体的な構成において差がある。
【0047】
本変形例では、案内管150の内部にストッパ282が形成され、案内管150の内部に挿入されたオーリング(O−ring)284がストッパ282に固定され、再び地上から流路遮断球286を落として案内管150の流路を遮断し、案内管150に地下水が流入することを防ぐことができるように構成される。
【0048】
本変形例では、球形態の流路遮断球286を用いて流路を遮断する方式を例示しているが、これとは異なり、逆円錐形態の流路遮断部材を案内管150に落として流路を遮断する方式など、多様な方式を適用することができる。
【0049】
一方、本実施形態では、自動水位測定器190が備えられ、案内管150や観測管170の水位を測定できるようにする。
【0050】
上述した構成を有する水位回復観測装置の作動過程を説明すれば、次の通りとなる。
【0051】
まず、上部供給管120と下部供給管140を介して、第1パッカー110と第2パッカー130に膨張流体を供給する。
【0052】
パッカー110,130は、膨張流体の供給を受けて体積が膨脹して試錐孔Hの内面に密着し、パッカー110,130間の空間を水理的に隔離させる。
【0053】
この後、案内管150を介して水位変化を与え、水位が回復するときにはバルブ部180,280を閉めて案内管150の下部を遮断する。
【0054】
これにより、地下水位は、直径が案内管150よりも小さい観測管によって水位回復がなされ、水位測定器によって水位回復特性を把握して水理試験を実行する。
【0055】
上述した実施形態は、パッカーが1対でなされ、パッカーによって隔離された関心区間における水位回復を観測する形態を例示しているが、これとは異なり、単一のパッカーで構成され、パッカーの下部領域における水位回復を観測するように構成することも可能である。
【0056】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】従来の水位回復観測装置を示す構成図である。
【図2】図1の水位回復観測装置でパッカーが膨脹して試錐孔内面に密着した形態を示す構成図である。
【図3】図1の水位回復観測装置で地下水位が基準水位である状態を示す構成図である。
【図4】図1の水位回復観測装置で地下水位が変化水位に低下した状態を示す構成図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る水位回復観測装置を示す構成図である。
【図6】図5のバルブ部の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0058】
110:上部パッカー
120:上部供給管
130:下部パッカー
140:下部供給管
150:案内管
160:連結管
180:バルブ部
190:水位測定器
A:基準水位
B:変化水位
H:試錐孔
W:地下水
【技術分野】
【0001】
本発明は、水位回復観測装置に関し、より詳細には、現場水理試験に要される時間を短縮させ、低透水性媒質に対しても効果的に水位回復を観測することができる水位回復観測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、試錐孔で媒質の水理特性を知るための現場水理試験は、揚水試験、瞬間衝撃試験、定圧注入試験に大別することができる。
このうち、揚水試験と瞬間衝撃試験は媒質における水位回復特性を観測するようになり、特に結晶質岩盤でより正確な水理特性を調べるためには、裸孔状態ではない関心区間を隔離させる必要がある。
【0003】
このように、関心領域で媒質を介した水位回復特性を観測するために、水位回復観測装置が用いられている。
【0004】
図1および図2を参照しながら、従来の一般的な水位回復観測装置の構成について説明する。
ここで、図1は、従来の地下水採取装置でパッカーが膨脹する前の状態を示す構成図である。
また、図2は、従来の地下水採取装置でパッカーが膨張流体によって膨張して試錐孔内面に密着した状態を示す構成図である。
【0005】
従来の地下水W採取装置は、上部と下部に備えられた上部パッカー10と下部パッカー30、パッカーに膨張流体を供給して流圧を加える供給管20,40、パッカー10,30を連結する連結管60、およびパッカー10,30間の採取空間に存在する地下水Wを試錐孔H外部に案内する案内管50で構成される。
【0006】
ここで、図2に示すように、1対のパッカーには供給管20,40を介して流体が供給され、外側に膨脹しながら試錐孔Hの内面に密着し、試錐孔H内でパッカー10,30間の関心領域を水理的に隔離させるようになる。
【0007】
また、供給管20,40は、上部パッカー10に膨張流体を供給する上部供給管20と、上部供給管20と連通して下部パッカー30に膨張流体を供給する下部供給管40とで構成される。
【0008】
したがって、上部供給管20を介して上部パッカー10に膨張流体を供給するようになれば、これと連通した下部供給管40内にも膨張流体が流動して下部パッカー30に膨張流体が供給される。
すなわち、上部供給管20に膨張流体を供給することで、上部と下部パッカー30を同時に膨張させて試錐孔H内面に密着させるようにする。
【0009】
一方、連結管60には、パッカーー10,30によって隔離された採取空間に存在する地下水Wを流入するための流入ホール62が形成されている。
また、パッカー10,30間を連結する連結管60は、複数のセグメントが組み立て式で相互結合し、パッカー10,30間の間隔を維持する。
したがって、パッカー10,30間を連結する連結管60のセグメント数を調節することで、試錐孔H内の所望する深度区間内の地下水Wを採取することができる。
【0010】
次に、図3および図4を参照しながら、上述した構成を有する水位回復観測装置によって試錐孔内の水位回復を観測する過程について説明する。
【0011】
ここで、図3は、図1の水位回復観測装置で地下水位が基準水位である状態を示す構成図である。また、図4は、図1の水位回復観測装置で地下水位が変化水位に低下した状態を示す構成図である。
【0012】
図3に示すように連結管内の地下水位が基準水位であるときから、図4に示すように地下水位が変化水位に低下していく場合には、試錐孔の内壁を介して上部パッカーと下部パッカーとの間の空間に地下水が流入しながら、連結管内の地下水位が再び基準水位に回復するようになる。
【0013】
また、このような水位回復特性を分析して水理試験を実行するようになる。
【0014】
しかしながら、従来の水位回復観測装置において、試錐孔周囲が高透水性媒質である場合には、水位回復が迅速に進められて水理試験を円滑に行うことができるが、より低い透水性を有する媒質である場合には、水頭回復時間が著しく遅くなり、基準水位に回復するまでに相当な時間が要求されるという短所を有している。
【0015】
すなわち、試錐孔の内壁周囲の媒質が低透水性であって地下水の流入量が微量である場合には、地下水位が基準水位に回復する時間が極めて長くなり、現場水理試験を完了するために多くの時間を消耗しなければならないという限界があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上述した従来の問題点を解決するために案出されたものであって、現場水理試験に要される時間を短縮させた水位回復観測装置を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、媒質の透水性程度に関係なく、効果的に水位回復を観測することができる水位回復観測装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記のような目的を達成するために、本発明は、試錐孔に挿入され、前記試錐孔内の流体の水位回復を観測するための水位回復観測装置であって、前記試錐孔の内面に選択的に密着する第1パッカー(packer)と、前記第1パッカー内部に膨張流体を供給する供給管と、前記第1パッカー下部の採取空間と連通し、前記採取空間に存在する流体を前記試錐孔の外側に案内する案内管と、前記案内管よりも小さい断面積を有して前記案内管に連通し、前記採取空間に存在する流体が流れる流路を提供する観測管とを備えて構成される水位回復観測装置を提供する。
【0019】
また、前記観測管は、前記案内管の下部に連結されることが好ましい。これと共に、前記案内管の内部には、流路を選択的に遮断するバルブ部が備えられ、水位回復の際に地下水位が観測管側に流入することが好ましい。
【0020】
一方、本発明に係る水位回復観測装置は、前記案内管と観測管のうちの少なくともいずれか1つの水位を観測する水位測定器を含むことが好ましい。
【0021】
また、本発明に係る水位回復観測装置は、前記第1パッカーよりも一定の間隔下部に備えられ、前記試錐孔の内面に選択的に密着する第2パッカーをさらに含むことが好ましい。
【0022】
また、前記水位回復観測装置は、前記第1パッカーと第2パッカーとの間に備えられて前記パッカーを連結する連結管を含み、前記連結管には、前記第1パッカーと第2パッカーによって隔離された採取空間に存在する地下水を流入するための流入ホールが形成されるように構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
前記の構成を有する本発明に係る水位回復観測装置には、次のような効果がある。
【0024】
第1に、案内管と別途の直径が小さい観測管を備えることで、地下水位が回復するのに要される時間を短縮させ、迅速に水位回復特性を観測することができるという利点がある。
【0025】
すなわち、地下水位が回復するときに案内管を遮断し、直径が小さい観測管を介して水位回復がなされるため、迅速な水位回復を観測できるのである。
【0026】
例えば、案内管の内径が25mmであり、観測管の内径が2.5mmである場合には、従来のように案内管を介して水位回復を観測するのに比べて観測管を用いることで、所要時間を1/100倍に短縮することができる。
【0027】
第2に、試錐孔周辺の媒質特性に関係なく、円滑な水理試験が可能であるという利点がある。
【0028】
具体的に、低透水性媒質で地下水流入量が微量であるために水位回復が極めて遅くなされる条件でも、観測管によって水位が迅速に回復するため、水位回復を観測するのに要される時間を短縮させ、結果的に水理試験を円滑になすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の目的が具体的に実現される本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照しながら説明する。本実施形態を説明する図中、同じ参照符号は同じ部材を示す。また、これに係る付加的な説明は省略する。
【0030】
図5を参照しながら、本発明の一実施形態に係る水位回復観測装置の構成について説明する。
【0031】
本実施形態に係る水位回復観測装置は、試錐孔Hに挿入され、試錐孔H内に存在する流体を採取するための装置であって、1対のパッカー110,130と、連結管160と、供給管120,140と、案内管150と、観測管170とを備えて構成される。
【0032】
ここで、本実施形態に係る採取装置の対象は、多様な流体であると言える。以下では、採取対象となる流体の一例として、試錐孔H内に存在する地下水Wを例示して説明する。
【0033】
パッカー110,130は、第1パッカー110と第2パッカー130とを備えて構成され、それぞれは外部から膨張流体の供給を受け、体積を大きくしながら試錐孔Hの内面に選択的に密着する。
【0034】
連結管160は、パッカー110,130の間に備えられ、パッカー110,130を相互連結する。また、連結管160には、パッカー110,130によって隔離された採取空間に存在する地下水Wを流入するための流入ホール162が形成されている。
【0035】
また、パッカー110,130間を連結する連結管160は、複数のセグメントが組み立て式で相互結合され、パッカー110,130間の間隔を維持する。したがって、パッカー110,130間を連結する連結管160のセグメント数を調節することで、試錐孔H内の所望する深度区間内の地下水Wを採取できるのである。
【0036】
供給管120,140は、1対のパッカー内部に膨張流体を供給し、第1パッカー110に膨張流体を供給する上部供給管120と、第2パッカー130に膨張流体を供給する下部供給管140とを備える。
【0037】
案内管150は、第1パッカー110と第2パッカー130の膨張によって水理的に分離した採取空間と連通して試錐孔Hの外側に延長形成され、採取空間に存在する流体を外部に案内する。
【0038】
観測管170は、案内管150と連通するように構成され、内部には採取空間に存在する流体が流れることができる流路が形成される。
【0039】
観測管170は、案内管150と別途に構成されて連結管に連結し、案内管150よりも小さい断面積を有するように構成される。
【0040】
観測管170が連結管160に連結する位置には制限はないが、水位回復をより効果的に観測するためには、案内管150の下部に連結されることが好ましい。
【0041】
本発明は、このように直径が小さな観測管170を案内管150と別途に備えることで、地下水位が直径が小さい観測管170によって変化水位から基準水位に水位が回復されるため、水位回復をより迅速に観測することができる。
【0042】
特に、低透水性媒質で水位回復が極めて遅くなされる条件でも、観測管170によって水位が迅速に回復するため、水位回復を観測するのに要される時間を短縮させ、結果的に水理試験が円滑になされるようにする。
【0043】
一方、案内管150の内部には、流路を選択的に遮断するバルブ部180が備えられることが好ましい。
【0044】
案内管150を用いて水位変化を与え、水位が回復するときにはバルブ部180を閉めて案内管150の下部を遮断するようになれば、地下水位は直径が小さい観測管170によって水位回復されるようになる。
【0045】
図5は、横方向に移動する2つの部材によって流路が開閉する形態を概略的に示しているが、具体的なバルブ部180の形態は、公知の多様な方式を採用することができる。
【0046】
図6は、図5の変形例であって、上述した実施形態と基本的な構成要素は同じである。ただし、本変形例では、バルブ部280の具体的な構成において差がある。
【0047】
本変形例では、案内管150の内部にストッパ282が形成され、案内管150の内部に挿入されたオーリング(O−ring)284がストッパ282に固定され、再び地上から流路遮断球286を落として案内管150の流路を遮断し、案内管150に地下水が流入することを防ぐことができるように構成される。
【0048】
本変形例では、球形態の流路遮断球286を用いて流路を遮断する方式を例示しているが、これとは異なり、逆円錐形態の流路遮断部材を案内管150に落として流路を遮断する方式など、多様な方式を適用することができる。
【0049】
一方、本実施形態では、自動水位測定器190が備えられ、案内管150や観測管170の水位を測定できるようにする。
【0050】
上述した構成を有する水位回復観測装置の作動過程を説明すれば、次の通りとなる。
【0051】
まず、上部供給管120と下部供給管140を介して、第1パッカー110と第2パッカー130に膨張流体を供給する。
【0052】
パッカー110,130は、膨張流体の供給を受けて体積が膨脹して試錐孔Hの内面に密着し、パッカー110,130間の空間を水理的に隔離させる。
【0053】
この後、案内管150を介して水位変化を与え、水位が回復するときにはバルブ部180,280を閉めて案内管150の下部を遮断する。
【0054】
これにより、地下水位は、直径が案内管150よりも小さい観測管によって水位回復がなされ、水位測定器によって水位回復特性を把握して水理試験を実行する。
【0055】
上述した実施形態は、パッカーが1対でなされ、パッカーによって隔離された関心区間における水位回復を観測する形態を例示しているが、これとは異なり、単一のパッカーで構成され、パッカーの下部領域における水位回復を観測するように構成することも可能である。
【0056】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】従来の水位回復観測装置を示す構成図である。
【図2】図1の水位回復観測装置でパッカーが膨脹して試錐孔内面に密着した形態を示す構成図である。
【図3】図1の水位回復観測装置で地下水位が基準水位である状態を示す構成図である。
【図4】図1の水位回復観測装置で地下水位が変化水位に低下した状態を示す構成図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る水位回復観測装置を示す構成図である。
【図6】図5のバルブ部の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0058】
110:上部パッカー
120:上部供給管
130:下部パッカー
140:下部供給管
150:案内管
160:連結管
180:バルブ部
190:水位測定器
A:基準水位
B:変化水位
H:試錐孔
W:地下水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試錐孔に挿入され、前記試錐孔内の流体の水位回復を観測するための水位回復観測装置であって、
前記試錐孔の内面に選択的に密着する第1パッカーと、
前記第1パッカー内部に膨張流体を供給する供給管と、
前記第1パッカー下部の採取空間と連通し、前記採取空間に存在する流体を前記試錐孔の外側に案内する案内管と、
前記案内管よりも小さい断面積を有して前記案内管に連通し、前記採取空間に存在する流体が流れる流路を提供する観測管と、
を備えて構成されることを特徴とする水位回復観測装置。
【請求項2】
前記観測管は、
前記案内管の下部に連結されることを特徴とする請求項1に記載の水位回復観測装置。
【請求項3】
前記案内管の内部には、
流路を選択的に遮断するバルブ部が備えられることを特徴とする請求項1に記載の水位回復観測装置。
【請求項4】
前記案内管と観測管のうちの少なくともいずれか1つの水位を観測する水位測定器をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の水位回復観測装置。
【請求項5】
前記第1パッカーよりも一定の間隔下部に備えられ、前記試錐孔の内面に選択的に密着する第2パッカーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の水理試験装置。
【請求項6】
前記第1パッカーと第2パッカーとの間に備えられ、前記パッカーを連結する連結管をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の水位回復観測装置。
【請求項7】
前記連結管には、前記第1パッカーと第2パッカーによって隔離された採取空間に存在する地下水を流入するための流入ホールが形成されることを特徴とする請求項6に記載の水位回復観測装置。
【請求項1】
試錐孔に挿入され、前記試錐孔内の流体の水位回復を観測するための水位回復観測装置であって、
前記試錐孔の内面に選択的に密着する第1パッカーと、
前記第1パッカー内部に膨張流体を供給する供給管と、
前記第1パッカー下部の採取空間と連通し、前記採取空間に存在する流体を前記試錐孔の外側に案内する案内管と、
前記案内管よりも小さい断面積を有して前記案内管に連通し、前記採取空間に存在する流体が流れる流路を提供する観測管と、
を備えて構成されることを特徴とする水位回復観測装置。
【請求項2】
前記観測管は、
前記案内管の下部に連結されることを特徴とする請求項1に記載の水位回復観測装置。
【請求項3】
前記案内管の内部には、
流路を選択的に遮断するバルブ部が備えられることを特徴とする請求項1に記載の水位回復観測装置。
【請求項4】
前記案内管と観測管のうちの少なくともいずれか1つの水位を観測する水位測定器をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の水位回復観測装置。
【請求項5】
前記第1パッカーよりも一定の間隔下部に備えられ、前記試錐孔の内面に選択的に密着する第2パッカーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の水理試験装置。
【請求項6】
前記第1パッカーと第2パッカーとの間に備えられ、前記パッカーを連結する連結管をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の水位回復観測装置。
【請求項7】
前記連結管には、前記第1パッカーと第2パッカーによって隔離された採取空間に存在する地下水を流入するための流入ホールが形成されることを特徴とする請求項6に記載の水位回復観測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2009−2951(P2009−2951A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162017(P2008−162017)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(500002490)コリア アトミック エナジー リサーチ インスティチュート (20)
【出願人】(502043352)コリア ハイドロ アンド ニュークリア パワー カンパニー リミティッド (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(500002490)コリア アトミック エナジー リサーチ インスティチュート (20)
【出願人】(502043352)コリア ハイドロ アンド ニュークリア パワー カンパニー リミティッド (23)
【Fターム(参考)】
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