説明

水処理システム

【課題】家畜舎で有効に使用できる水処理システムを提供すること。
【解決手段】水処理システム1では、家畜舎2で用いられる水を、オゾンで浄化してオゾン水とすることで、総合的に除菌することができる。第2給水パイプ16によってオゾン水が家畜25の飲用水として供給されるので、家畜25に衛生的な飲用水を与えることができる。また、第3給水パイプ19によってオゾン水が家畜25への散水または散布用として供給されるので、衛生的なオゾン水で家畜25を清潔に洗浄することができる。このように、水処理システム1では、家畜舎2で用いられる水の衛生管理を統一して行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家畜舎に用いられる水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水を有効利用する観点から、井戸や河川などの水源から汲み上げた水や雨水を浄化する水処理システムが提案されている。
たとえば、特許文献1に記載されている雨水利用システムは、雨水を貯留する貯留槽と、貯留槽内の水を取り出してから貯水槽へ戻す循環経路と、循環経路に設けられたバブル発生器および濾過器とを備えている。
【0003】
この雨水利用システムにおいて、貯留槽に溜められた雨水が循環経路を流れると、この雨水には、バブル発生器からバブル状のオゾンが供給され、これにより、雨水中の有害物質がオゾンによって無害化される。また、この雨水は、濾過器を通過することで濾過される。これらの結果、雨水が浄化される。
【特許文献1】特開2007−694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、最近では、家畜伝染病等の予防のために、家畜舎の衛生管理が重要視されている。このため、家畜舎で使用する水を浄化する水処理システムがあれば望ましい。
この発明は、かかる背景のもとになされたもので、家畜舎で有効に使用できる水処理システムを提供することを主たる目的とする。
この発明は、また、家畜舎の衛生管理に役立つ水処理システムを提供することを他の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、家畜舎で用いられる水を浄化する水処理システムであって、家畜舎で用いる水を貯留するためのタンクと、前記タンクの水を浄化するために用いるオゾンを発生させると共に、当該オゾンを水に混合するオゾン混合装置と、前記オゾン混合装置により生成されたオゾン水を家畜の飲用水または家畜への散水もしくは散布用として供給するための水配管と、を備えることを特徴とする、水処理システムである。
【0006】
請求項2記載の発明は、家畜舎で用いられる水を浄化する水処理システムであって、家畜舎で用いる水を貯留するためのタンクと、前記タンクの水を浄化するために用いるオゾンを発生させると共に、当該オゾンを水に混合するオゾン混合装置と、前記オゾン混合装置により生成されたオゾン水を、家畜舎の屋根、家畜舎内または空調室外機に散水もしくは散布用として供給するために設けられた散布用水配管と、を備えることを特徴とする、水処理システムである。
【0007】
請求項3記載の発明は、家畜舎で用いられる水を浄化する水処理システムであって、家畜舎で用いる水を貯留するためのタンクと、前記タンクの水を浄化するために用いるオゾンを発生させると共に、当該オゾンを水に混合するオゾン混合装置と、前記オゾン混合装置により生成されたオゾン水を家畜の飲用水として供給するための飲用水配管と、前記オゾン混合装置により生成されたオゾン水を家畜への散水または散布用として供給するための水配管と、前記オゾン混合装置により生成されたオゾン水を、家畜舎の屋根、家畜舎内または空調室外機に散水もしくは散布用として供給するために設けられた散布用水配管と、前記飲用水配管、前記水配管および前記散布用水配管へのオゾン水の流入を選択して切り換えるバルブ装置と、を備えることを特徴とする、水処理システムである。
【0008】
請求項4記載の発明は、前記オゾン混合装置がオゾン水を生成する際に生じる水に溶け込まない余剰オゾンガスを家畜舎内へ散布するため、前記オゾン混合装置から家畜舎内へとオゾンガスを導くためのオゾンガス案内管を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の水処理システムである。
請求項5記載の発明は、家畜舎の屋根の水を回収し、前記タンクへ戻すための回路水路を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の水処理システムである。
【0009】
請求項6記載の発明は、前記オゾン混合装置は、前記タンクの水を循環させて浄化し、オゾン水を生成することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の水処理システムである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の水処理システムでは、タンクに、家畜舎で用いる水が貯留され、この水は、オゾン混合装置によってオゾンで浄化され、オゾンが溶け込んだオゾン水となる。つまり、この水処理システムでは、家畜舎で用いられる水を、オゾンで浄化してオゾン水とすることで、総合的に除菌することができる。
そして、この水処理システムでは、水配管によって、オゾン水が、家畜の飲用水として供給されるので、家畜に衛生的な飲用水を与えることができる。また、水配管によって、オゾン水が、家畜への散水または散布用として供給されるので、衛生的なオゾン水で家畜を清潔に洗浄することができる。
【0011】
このように、この水処理システムでは、家畜舎で用いられる水の衛生管理を統一して行える。
これらの結果、家畜舎で有効に使用でき、家畜舎の衛生管理に役立つ水処理システムを提供することができる。
請求項2記載の水処理システムでは、タンクに、家畜舎で用いる水が貯留され、この水は、オゾン混合装置によってオゾンで浄化され、オゾンが溶け込んだオゾン水となる。つまり、この水処理システムでは、家畜舎で用いられる水を、オゾンで浄化してオゾン水とすることで、総合的に除菌することができる。
【0012】
そして、この水処理システムでは、散布用水配管によって、オゾン水が、家畜舎の屋根または家畜舎内に散水または散布用として供給されるので、家畜舎の外壁や家畜舎内にオゾン水を浴びせて家畜舎を除菌・消臭することができ、家畜舎を衛生的に保つことができると同時に夏場においては気化熱等の作用により家畜舎の冷却が可能である。また、家畜舎を冷却するために空調を配置する場合に散布用水配管によって空調室外機にオゾン水が散水または散布されると、空調による家畜舎の冷却効率の向上を図ることができる。
【0013】
このように、この水処理システムでは、家畜舎で用いられる水の衛生管理を統一して行える。
これらの結果、家畜舎で有効に使用でき、家畜舎の衛生管理に役立つ水処理システムを提供することができる。
請求項3記載の水処理システムでは、タンクに、家畜舎で用いる水が貯留され、この水は、オゾン混合装置によってオゾンで浄化され、オゾンが溶け込んだオゾン水となる。つまり、この水処理システムでは、家畜舎で用いられる水を、オゾンで浄化してオゾン水とすることで、総合的に除菌することができる。
【0014】
そして、この水処理システムでは、飲用水配管によって、オゾン水が、家畜の飲用水として供給されるので、家畜に衛生的な飲用水を与えることができる。また、水配管によって、オゾン水が、家畜への散水または散布用として供給されるので、衛生的なオゾン水で家畜を清潔に洗浄することができる。また、散布用水配管によって、オゾン水が、家畜舎の屋根または家畜舎内に散水または散布用として供給されるので、家畜舎の外壁や家畜舎内にオゾン水を浴びせて家畜舎を除菌・消臭することができ、家畜舎を衛生的に保つことができると同時に夏場においては気化熱等の作用により家畜舎の冷却が可能である。また、家畜舎を冷却するために空調を配置する場合に散布用水配管によって空調室外機にオゾン水が散水または散布されると、空調による家畜舎の冷却効率の向上を図ることができる。
【0015】
ここで、この水処理システムに含まれるバルブ装置が、飲用水配管、水配管および散布用水配管へのオゾン水の流入を選択して切り換えるので、この水処理システムでは、家畜舎で用いられる全てのオゾン水を集中管理できる。
このように、この水処理システムでは、家畜舎で用いられる水の衛生管理を統一して行える。
【0016】
これらの結果、家畜舎で有効に使用でき、家畜舎の衛生管理に役立つ水処理システムを提供することができる。
請求項4記載の発明によれば、この水処理システムでは、オゾンガス案内管が余剰オゾンガスを家畜舎内(たとえば天壁付近)へ導くことから、このオゾンガスは、自重により落下しつつ家畜舎内へ散布されるので、このオゾンガスによって家畜舎内を除菌・消臭することができ、家畜舎を衛生的に保つことができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、この水処理システムでは、回路水路が家畜舎の屋根の水を回収し、タンクへ戻すので、水の無駄をなくして、節水を図り、家畜舎の維持に費やす水道代を削減することができる。
請求項6記載の発明によれば、このオゾン混合装置は、タンクの水を循環させることによって、タンクの水を着実に浄化し、オゾン水を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る水処理システム1の構成を模式的に示す図である。
この発明の水処理システム1は、牛、豚、鶏などを飼育する家畜舎2で用いられる。
水処理システム1は、1次水槽3と、タンクとしての2次水槽4と、循環水路5と、循環ポンプ6と、フィルタ7と、オゾン混合装置8と、給水パイプ9と、オゾンガス案内管としてのオゾンパイプ10とを主に備えている。
【0019】
1次水槽3は、家畜舎2の外部に配置されている。1次水槽3の上面は、開放されて外部に露出されており、雨が降ると、雨水が、上面を介して1次水槽3に溜められる。なお、雨水に限らず、井戸や河川などの水源から水が汲み上げられて1次水槽3に溜められてもよい。
2次水槽4は、たとえば、家畜舎2内に配置されている。2次水槽4は、連結パイプ11を介して、1次水槽3に連結されている。連結パイプ11の途中には、汲み出しポンプ12が介挿されており、汲み出しポンプ12が駆動されると、1次水槽3内の水は、汲み出されて連結パイプ11を通過し、2次水槽4に溜められる。2次水槽4は、家畜舎2で用いる全ての水を貯留できる程度に、比較的大きい容量を有している。また、2次水槽4の内部では、溜められた水の水面13より上の空間4Aが、気密的に保たれている。汲み出しポンプ12の駆動は、水処理システム1に設けられた制御部(図示せず)によって制御される。
【0020】
循環水路5は、2次水槽4に接続される一端5Aおよび他端5Bを有しており、一端5Aおよび他端5Bを介して2次水槽4に連通している。
循環ポンプ6は、循環水路5の途中に介挿されており、循環ポンプ6が駆動されると、2次水槽4内の水は、一端5Aから取り出されて循環水路5を流れ、他端5Bから2次水槽4内に戻される(太い実線矢印A参照)。つまり、2次水槽4内の水は、循環水路5を流れることによって循環する。循環ポンプ6の駆動は、上述した制御部(図示せず)によって制御される。
【0021】
フィルタ7は、循環水路5に介挿され、循環水路5での水の流れ方向に見て(太い実線矢印A参照)、循環ポンプ6の下流側に配置されている。フィルタ7は、たとえば、マンガン砂が充填された砂フィルタ(図示せず)と、活性炭が充填された活性炭フィルタ(図示せず)とを直列接続することによって構成されている。
オゾン混合装置8は、循環水路5に介挿され、循環水路5での水の流れ方向に見て、フィルタ7の下流側に配置されている。オゾン混合装置8は、オゾンを発生するオゾン発生装置(図示せず)と、このオゾンを循環水路5内の水に混合するオゾン混合器(図示せず)とを備えている。なお、循環水路5において水の流路が絞られた絞り部(図示せず)を設けることにより、オゾン混合器(図示せず)の構造を、いわゆるベンチュリ構造にすると、オゾン混合器(図示せず)は、絞り部(図示せず)での水の流れにより発生する負圧を利用して、循環水路5内の水にオゾンを効率的に混合することができる。
【0022】
ここで、循環水路5、循環ポンプ6、フィルタ7およびオゾン混合装置8は、水浄化装置14としてユニット化されてもよい。
給水パイプ9は、2次水槽4内において水に漬かった状態で開口する入口9Aを有し、上向きに延びている。そして、上向きに延びた給水パイプ9は、分岐位置24において、散布用水配管としての第1給水パイプ15と、水配管および飲用水配管としての第2給水パイプ16と、水配管としての第3給水パイプ19とに分岐する。また、給水パイプ9において、分岐位置24と入口9Aとの間には、給水ポンプ23が介挿されている。給水ポンプ23が駆動されると、2次水槽4内に溜められた水が、入口9Aを介して汲み出され、給水パイプ9を流れる。そして、この水は、分岐位置24において分岐して、第1給水パイプ15、第2給水パイプ16および第3給水パイプ19のそれぞれに流れ込む。給水ポンプ23の駆動は、上述した制御部(図示せず)によって制御される。
【0023】
第1給水パイプ15は、たとえば家畜舎2の屋根2Aに沿って上向きに延びた後、その上端部15Aが、家畜舎2の外へ出て、屋根2Aに対して上から臨むように開口している。第1給水パイプ15の途中には、第1バルブ17が介挿されている。第1バルブ17の開閉は、上述した制御部(図示せず)によって制御される。
第2給水パイプ16は、家畜舎2内を、たとえば水平方向に延びてから折れ曲って下向きに延びており、その下端部16Aは、下向きに開口している。家畜舎2内において、第2給水パイプ16の下端部16Aの下方には、水を溜めることができるトレイ21が設置されている。第2給水パイプ16の途中には、第2バルブ18が介挿されている。第2バルブ18の開閉は、上述した制御部(図示せず)によって制御される。
【0024】
第3給水パイプ19は、家畜舎2内を、たとえば水平方向に延びてから折れ曲って下向きに延びており、その先端には、ノズル20が取り付けられている。第3給水パイプ19の途中には、第3バルブ27が介挿されている。第3バルブ27の開閉は、上述した制御部(図示せず)によって制御される。
ここで、第1バルブ17、第2バルブ18および第3バルブ27は、バルブ装置29を構成する。上述した制御部(図示せず)は、バルブ装置29を制御することによって、第1バルブ17、第2バルブ18および第3バルブ27を選択的に開閉する。
【0025】
オゾンパイプ10は、2次水槽4に対して上から接続されている。オゾンパイプ10は、2次水槽4内において水面13より上の空間4Aに連通する取込口10Aを有している。オゾンパイプ10は、家畜舎2の天井(天壁28)付近まで上向きに延びてから、天壁28に沿って延びている。そして、オゾンパイプ10には、その内外を連通させる連通穴10Bが複数形成されている。また、オゾンパイプ10において、取込口10Aと、この取込口10Aに最も近い連通穴10Bとの間には、第4バルブ22が介挿されている。第4バルブ22の開閉は、上述した制御部(図示せず)によって制御される。
【0026】
次に、水処理システム1における水処理について説明する。なお、図1において、液体の流れは、太い実線矢印で示されており、気体の流れは、太い破線矢印で示されている。
まず、1次水槽3に溜められた雨水等(以下では「被処理水」ということがある。)は、汲みだしポンプ12に汲み出されて連結パイプ11を流れ、2次水槽4に溜められる。
所定量の被処理水が2次水槽4に溜められると、循環ポンプ6が駆動され、2次水槽4内の被処理水は、循環水路5を流れることによって循環する(太い実線矢印A参照)。
【0027】
このとき、循環水路5を流れる被処理水は、フィルタ7およびオゾン混合装置8を順に通過する。ここで、フィルタ7は、被処理水を濾過する。具体的には、フィルタ7では、上述した砂フィルタ(図示せず)のマンガン砂によって、被処理水中の鉄分やマンガン成分が捕獲され、上述した活性炭フィルタ(図示せず)の活性炭によって、被処理水中の有機物が捕獲される。そして、オゾン混合装置8では、フィルタ7に濾過された被処理水にオゾンが混合され、オゾンを用いた被処理水の浄化(除菌・消臭)が行なわれる。この結果、被処理水は、フィルタ7およびオゾン混合装置8を順に通過することによって、異物が除去され、かつ、オゾンが溶け込んだオゾン水となって、2次水槽4に戻される。このように、オゾン混合装置8は、被処理水を浄化すると共に、オゾン水を生成する。
【0028】
そして、2次水槽4内の被処理水の循環が繰り返されることにより、2次水槽4内の被処理水は、すべてオゾン水となる。ここで、2次水槽4には、家畜舎2で用いる水が貯留されることから、この水処理システム1では、家畜舎2で用いられる水を、オゾンで浄化してオゾン水とすることで、総合的に除菌することができる。また、オゾン混合装置8は、2次水槽4の水を循環させることによって、2次水槽4の水を着実に浄化し、オゾン水を生成することができる。
【0029】
2次水槽4内の被処理水がすべてオゾン水となると、所定の指示に基づいて、給水ポンプ23が駆動される。これにより、2次水槽4内のオゾン水は、給水ポンプ23に汲み出されて給水パイプ9を流れ、分岐位置24に至る。
ここで、バルブ装置29において第1バルブ17が開かれ、かつ、第2バルブ18および第3バルブ27が閉じられると、給水パイプ9の分岐位置24に至ったオゾン水は、第1給水パイプ15を流れる。そして、このオゾン水は、上端部15Aから流れ出て、家畜舎2の屋根2A上に散布される。屋根2A上に散布された水は、屋根2Aを伝って流れ落ちて家畜舎2の周囲に散布された後、1次水槽3に回収される(太い実線矢印B参照)。そして、上述したように汲み出しポンプ12が駆動されると、1次水槽3に回収された水は、連結パイプ11を通って2次水槽4に戻される。このように、この水処理システム1では、1次水槽3および連結パイプ11が回路水路として機能して、家畜舎2の屋根2Aの水を回収し、2次水槽4へ戻すので、水を再利用することができる。つまり、この水処理システム1では、水の無駄をなくして、節水を図り、家畜舎2の維持に費やす水道代を削減することができる。
【0030】
そして、このように家畜舎2の周囲に散布されたオゾン水が家畜舎2の周囲を冷やすことから、夏場には、家畜舎2内の家畜25にとって涼しくて快適な環境を提供することができる。なお、オゾン水がミスト状に散布されると、気化熱等の作用により、より効果的に家畜舎2の周囲を冷やすことができる。また、第1給水パイプ15によって、オゾン水が、家畜舎2の屋根2A上に散水または散布されることにより、家畜舎2の外壁にオゾン水を浴びせて家畜舎2の周囲をオゾンで除菌・消臭することができ、家畜舎2を衛生的に保つことができる。また、第1給水パイプ15によってオゾン水が家畜舎2内に散水または散布されてもよく、この場合には、家畜舎2内にオゾン水を浴びせて家畜舎2を除菌・消臭することができる。さらに、家畜舎2を冷却するために空調を配置する場合に第1給水パイプ15によって空調室外機(図示せず)にオゾン水が散水または散布されると、空調による家畜舎2の冷却効率の向上を図ることができる。
【0031】
なお、雨雲26から屋根2Aに雨水が降り注がれた場合にも(太い実線矢印C参照)、この雨水は、屋根2Aに散布されたオゾン水と同様に、屋根2Aを伝って流れ落ちた後、1次水槽3に回収される(太い実線矢印B参照)。
そして、バルブ装置29において第1バルブ17および第3バルブ27が閉じられ、かつ、第2バルブ18が開かれると、給水パイプ9の分岐位置24に至ったオゾン水は、第2給水パイプ16を流れる。そして、このオゾン水は、下端部16Aから流れ落ちて、トレイ21に溜められる。トレイ21に溜められたオゾン水は、家畜25の飲用水として利用される。このように、第2給水パイプ16によって、オゾン水が、家畜25の飲用水として供給されるので、家畜25に衛生的な飲用水を与えることができる。なお、上述したように、オゾン水にはオゾンが溶け込んでいるが、溶け込んだオゾンの量は、生物に対して影響を与えない程度の量である。
【0032】
また、バルブ装置29において第1バルブ17および第2バルブ18が閉じられ、かつ、第3バルブ27が開かれると、給水パイプ9の分岐位置24に至ったオゾン水は、第3給水パイプ19を流れる。そして、第3給水パイプ19を流れるオゾン水は、ノズル20に至る。そのため、ノズル20を家畜25に向けると、オゾン水が家畜25に浴びせられることになり、オゾン水によって家畜25を洗浄することができる。このように、第3給水パイプ19によって、オゾン水が、家畜25への散水または散布用として供給されるので、衛生的なオゾン水で家畜25を清潔に洗浄(除菌・消臭)することができる。
【0033】
そして、上述した第1バルブ17、第2バルブ18および第3バルブ27の開閉によって、バルブ装置29が、第1給水パイプ15、第2給水パイプ16および第3給水パイプ19へのオゾン水の流入を選択して切り換えるので、この水処理システム1では、家畜舎2で用いられる全てのオゾン水を集中管理できる。
以上のように、この水処理システム1では、家畜舎2で用いられる水の衛生管理を統一して行える。
【0034】
ここで、上述したようにオゾン混合装置8がオゾン水を生成する際に、水に溶け込まない余剰オゾンガスが発生する。このオゾンガスは、2次水槽4の内部における水面13より上の空間4Aに溜まる。そこで、第4バルブ22が開かれると、空間4A内に溜まったオゾンガスが、取込口10Aを介してオゾンパイプ10内を流れる。オゾンパイプ10内を流れるオゾンガスは、オゾンパイプ10によってオゾン混合装置8から家畜舎2内(詳しくは天壁28付近)へと導かれつつ、連通穴10Bからオゾンパイプ10の外へ漏れ出る。このように漏れ出たオゾンガスは、自重により落下しつつ家畜舎2内へ散布されるので、このオゾンガスによって家畜舎2内を除菌・消臭することができ、家畜舎2を衛生的に保つことができる。ここで、家畜舎2内へ散布されるオゾンガスの量は、生物に対して影響を与えない程度の量である。なお、オゾンガスがオゾンパイプ10の連通穴10Bから家畜舎2内へ積極的に散布されて充満するように、送風機を設けてもよい。
【0035】
以上のように、この水処理システム1を用いることによって、家畜舎2で用いられる水が衛生的なオゾン水となり、また、オゾンガスが家畜舎2内へ散布されることから、家畜舎2は衛生的になり、家畜舎2でウィルス等が蔓延することを防止できる。つまり、家畜舎2で有効に使用でき、家畜舎2の衛生管理に役立つ水処理システム1を提供することができる。
【0036】
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、給水パイプ9の入口9Aを循環水路5(詳しくはオゾン混合装置8と循環水路5の他端5Bとの間の箇所)に接続すれば、オゾン混合装置8により生成されたオゾン水を、2次水槽4に戻すことなく、そのまま給水パイプ9へ流出させることができる。
【0037】
また、この水処理システム1では、第1給水パイプ15によってオゾン水を屋根2Aに散布する構成、第2給水パイプ16によってオゾン水を飲用水として供給する構成、第3給水パイプ19によってオゾン水を洗浄水として供給する構成、および、オゾンパイプ10によってオゾンガスを家畜舎2内に散布する構成のうち、全ての構成が備えられなければならない訳でなく、少なくともいずれかの構成が備えられていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の一実施形態に係る水処理システム1の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 水処理システム
2 家畜舎
2A 屋根
3 1次水槽
4 2次水槽
8 オゾン混合装置
10 オゾンパイプ
11 連結パイプ
15 第1給水パイプ
16 第2給水パイプ
19 第3給水パイプ
25 家畜
28 天壁
29 バルブ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜舎で用いられる水を浄化する水処理システムであって、
家畜舎で用いる水を貯留するためのタンクと、
前記タンクの水を浄化するために用いるオゾンを発生させると共に、当該オゾンを水に混合するオゾン混合装置と、
前記オゾン混合装置により生成されたオゾン水を家畜の飲用水または家畜への散水もしくは散布用として供給するための水配管と、
を備えることを特徴とする、水処理システム。
【請求項2】
家畜舎で用いられる水を浄化する水処理システムであって、
家畜舎で用いる水を貯留するためのタンクと、
前記タンクの水を浄化するために用いるオゾンを発生させると共に、当該オゾンを水に混合するオゾン混合装置と、
前記オゾン混合装置により生成されたオゾン水を、家畜舎の屋根、家畜舎内または空調室外機に散水もしくは散布用として供給するために設けられた散布用水配管と、
を備えることを特徴とする、水処理システム。
【請求項3】
家畜舎で用いられる水を浄化する水処理システムであって、
家畜舎で用いる水を貯留するためのタンクと、
前記タンクの水を浄化するために用いるオゾンを発生させると共に、当該オゾンを水に混合するオゾン混合装置と、
前記オゾン混合装置により生成されたオゾン水を家畜の飲用水として供給するための飲用水配管と、
前記オゾン混合装置により生成されたオゾン水を家畜への散水または散布用として供給するための水配管と、
前記オゾン混合装置により生成されたオゾン水を、家畜舎の屋根、家畜舎内または空調室外機に散水もしくは散布用として供給するために設けられた散布用水配管と、
前記飲用水配管、前記水配管および前記散布用水配管へのオゾン水の流入を選択して切り換えるバルブ装置と、
を備えることを特徴とする、水処理システム。
【請求項4】
前記オゾン混合装置がオゾン水を生成する際に生じる水に溶け込まない余剰オゾンガスを家畜舎内へ散布するため、前記オゾン混合装置から家畜舎内へとオゾンガスを導くためのオゾンガス案内管を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の水処理システム。
【請求項5】
家畜舎の屋根の水を回収し、前記タンクへ戻すための回路水路を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の水処理システム。
【請求項6】
前記オゾン混合装置は、前記タンクの水を循環させて浄化し、オゾン水を生成することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の水処理システム。

【図1】
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【公開番号】特開2009−285587(P2009−285587A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141740(P2008−141740)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】