説明

水処理装置及び水処理方法

【課題】本発明の目的は、塩素剤添加後の水でも生物担体の逆流水洗浄を行うことができる水処理装置、水処理方法を提供することである。
【解決手段】本発明の水処理装置1は、被処理水中のアンモニア、鉄及びマンガンを除去又は酸化するための生物担体を備えた生物ろ過装置14と、生物ろ過装置14から排出される生物処理水を固液分離するろ材を備えた固液分離装置16と、生物ろ過装置14から排出される生物処理水、固液分離装置16から排出される固液分離処理水のうち少なくともいずれか一方に塩素剤を添加する塩素剤添加装置18と、前記塩素剤含有の固液分離処理水を生物ろ過装置14に供給して、前記生物担体の逆流水洗浄を行う逆流水洗浄装置20とを備え、塩素剤添加装置18は、生物ろ過装置14に供給する塩素剤含有の固液分処理水の残留遊離塩素濃度が、0.1mg/L〜1.0mg/Lとなるように塩素剤を添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水中に含まれるアンモニア、鉄、マンガンを浄化する水処理装置及び水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浄水処理、工業用水処理、下水処理、排水処理等において、微生物の働きを利用して、被処理水中の汚染物質を除去する生物処理方法が利用されている。この生物処理方法は、有機物やアンモニアの処理等に広く利用されているが、鉄、マンガン等の除去又は酸化にも利用されている。例えば、地下水、河川水中のアンモニア、鉄、マンガンの除去又は酸化に生物ろ過が利用されている。
【0003】
ここで、生物ろ過を利用して、被処理水中に含まれるアンモニア、鉄、マンガンを浄化する装置として、例えば、特許文献1には、着水井から供給される被処理水を生物ろ過する生物ろ過装置と、生物ろ過装置から排出される処理水にPAC、塩素剤等を添加して固液分離処理する固液分離装置等を備える水処理装置が提案されている。この特許文献1の装置によれば、生物ろ過装置で、鉄バクテリアや、硝化菌等の微生物の働きにより、被処理水中のアンモニア、鉄、マンガンが酸化され、微生物が付着する生物担体(ろ材)上に、酸化不溶化した鉄、マンガンが捕捉される。また、生物ろ過装置から排出される処理水中にPAC、塩素剤等が添加され、処理水中に残存する鉄、マンガン等が、固液分離装置で除去される。そして、殺菌処理を目的として、固液分離装置から得られる処理水に塩素剤が添加され、最終処理水が得られる。
【0004】
しかし、生物ろ過装置の運転を続けると、鉄、マンガン等の不純物の付着量が増加していき、生物担体(ろ材)の通水空間が減少してしまう。したがって、生物担体の通水空間を確保するために、被処理水の流れとは逆向きに洗浄水(逆流水)を流し、生物担体を洗浄する、所謂、逆流水洗浄を定期的に行う必要がある。
【0005】
従来では、塩素剤を含む水で逆流水洗浄を行うと、生物担体に付着した微生物が、塩素剤により滅菌され、生物ろ過装置としての生物活性が低下すると考えられてきた。そのため、従来では、塩素剤が含まれる最終処理水を洗浄水として用いることはなく、例えば、特許文献1の装置のように、生物ろ過装置から排出される処理水を貯留する貯留槽を設け、その貯留槽内の(塩素剤を含有しない)処理水で生物担体の逆流水洗浄を行っていた。
【0006】
【特許文献1】特開2005−288417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、本発明者らは、アンモニア、鉄、マンガンを除去又は酸化する微生物は、塩素剤濃度が所定の範囲、具体的には残留遊離塩素濃度が所定の範囲内の水であれば、生物活性が低下するほど滅菌されないことを見いだした。本発明は、このような知見に基づいて為されたものである。すなわち、本発明の目的は、塩素剤を含有しない水で生物担体の逆流水洗浄を行うために、従来必要とされていた、生物ろ過装置から排出される処理水を貯留する貯留槽を不要とし、塩素剤添加後の水でも生物担体の逆流水洗浄を行うことができる水処理装置、水処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の水処理装置は、被処理水中のアンモニア、鉄及びマンガンを除去又は酸化するための生物担体を備えた生物ろ過装置と、前記生物ろ過装置から排出される生物処理水を固液分離するろ材を備えた固液分離装置と、前記生物ろ過装置から排出される生物処理水、前記固液分離装置から排出される固液分離処理水のうち少なくともいずれか一方に塩素剤を添加する塩素剤添加手段と、前記塩素剤含有の固液分離処理水を前記生物ろ過装置に供給して、前記生物担体の逆流水洗浄を行う逆流水洗浄手段とを備え、前記塩素剤添加手段は、前記生物ろ過装置に供給する塩素剤含有の固液分処理水の残留遊離塩素濃度が、0.1mg/L〜1.0mg/Lとなるように塩素剤を添加する。
【0009】
また、本発明の水処理装置は、被処理水中のアンモニア、鉄及びマンガンを除去又は酸化するための生物担体を備えた生物ろ過装置と、前記生物ろ過装置から排出される生物処理水を固液分離するろ材を備えた固液分離装置と、前記生物ろ過装置から排出される生物処理水、前記固液分離装置から排出される固液分離処理水のうち少なくともいずれか一方に塩素剤を添加する塩素剤添加手段と、前記塩素剤含有の固液分離処理水を前記生物ろ過装置に供給して、前記生物担体の逆流水洗浄を行う逆流水洗浄手段とを備え、前記逆流水洗浄手段は、前記塩素剤含有の固液分離処理水に塩素中和剤を添加する塩素中和剤添加手段を備え、前記生物ろ過装置に供給する塩素剤含有の固液分離処理水の残留遊離塩素濃度が、0.1mg/L〜1.0mg/Lとなるように塩素中和剤を添加する。
【0010】
また、本発明の水処理装置は、被処理水中のアンモニア、鉄及びマンガンを除去又は酸化するための生物担体を備えた生物ろ過装置と、前記生物ろ過装置から排出される生物処理水を固液分離するろ材を備えた固液分離装置と、前記生物ろ過装置から排出される生物処理水、前記固液分離装置から排出される固液分離処理水のうち少なくともいずれか一方に塩素剤を添加する塩素剤添加手段と、前記塩素剤含有の固液分離処理水を前記生物ろ過装置に供給して、前記生物担体の逆流水洗浄を行う逆流水洗浄手段とを備え、前記生物ろ過装置は複数設けられ、前記逆流水洗浄手段は、逆流水洗浄を行う生物ろ過装置に供給する塩素剤含有の固液分離処理水に、逆流水洗浄を行わない生物ろ過装置から排出される生物処理水の一部を添加する処理水添加手段を備え、前記逆流水洗浄を行う生物ろ過装置に供給する塩素剤含有の固液分離処理水の残留遊離塩素濃度が、0.1mg/L〜1.0mg/Lとなるように生物処理水を添加する。
【0011】
また、前記水処理装置において、前記逆流水洗浄手段は、前記生物担体容量の100倍量以上で前記被処理水を前記生物ろ過装置に供給した後に、生物担体容量の2〜5倍量の範囲で前記塩素剤含有の固液分離処理水を前記生物ろ過装置に供給して、前記生物担体の逆流水洗浄を行うことが好ましい。
【0012】
また、前記水処理装置において、前記逆流水洗浄手段は、前記塩素剤含有の固液分離処理水を前記固液分離処理装置に供給して、前記ろ材の逆流水洗浄を行うことが好ましい。
【0013】
また、本発明の水処理方法は、生物担体により被処理水中のアンモニア、鉄及びマンガンを除去又は酸化する生物ろ過工程と、前記生物ろ過工程から得られる生物処理水を固液分離する固液分離工程と、前記生物ろ過工程から得られる生物処理水、前記固液分離工程から得られる固液分離処理水のうち少なくともいずれか一方に塩素剤を添加する塩素剤添加工程と、前記塩素剤含有の固液分離処理水により、前記生物担体の逆流水洗浄を行う逆流水洗浄工程とを備え、前記塩素剤添加工程では、前記塩素剤含有の固液分離処理水の残留遊離塩素濃度が、0.1mg/L〜1.0mg/Lとなるように塩素剤を添加する。
【0014】
また、本発明の水処理方法は、生物担体により被処理水中のアンモニア、鉄及びマンガンを除去又は酸化する生物ろ過工程と、前記生物ろ過工程から得られる生物処理水を固液分離する固液分離工程と、前記生物ろ過工程から得られる生物処理水、前記固液分離工程から得られる固液分離処理水のうち少なくともいずれか一方に塩素剤を添加する塩素剤添加工程と、前記塩素剤含有の固液分離処理水により、前記生物担体の逆流水洗浄を行う逆流水洗浄工程とを備え、前記逆流水洗浄工程では、前記塩素剤含有の固液分離処理水に塩素中和剤を添加し、前記塩素剤含有の固液分離処理水の残留遊離塩素濃度を0.1mg/L〜1.0mg/Lとする。
【0015】
また、本発明の水処理方法は、生物担体により被処理水中のアンモニア、鉄及びマンガンを除去又は酸化する生物ろ過工程と、前記生物ろ過工程から得られる生物処理水を固液分離する固液分離工程と、前記生物ろ過工程から得られる生物処理水、前記固液分離工程から得られる固液分離処理水のうち少なくともいずれか一方に塩素剤を添加する塩素剤添加工程と、前記塩素剤含有の固液分離処理水により、前記生物担体の逆流水洗浄を行う逆流水洗浄工程とを備え、前記生物担体は複数設けられ、前記逆流水洗浄工程では、逆流水洗浄を行う生物担体に供給する塩素剤含有の固液分離処理水に、逆流水洗浄を行わない生物担体から排出される生物処理水の一部を添加し、前記塩素剤含有の固液分離処理水の残留遊離塩素濃度を0.1mg/L〜1.0mg/Lとする。
【0016】
また、前記水処理方法において、前記逆流水洗浄工程では、前記生物担体容量の100倍量以上で前記被処理水を前記生物担体に供給した後に、生物担体容量の2〜5倍量の範囲で前記塩素剤含有の固液分離処理水を前記生物担体に供給して、前記生物担体の逆流洗浄を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、塩素剤を含有しない水で生物担体の逆流水洗浄を行うために、従来必要とされていた、生物ろ過装置から排出される処理水を貯留する貯留槽を不要とし、塩素剤添加後の水でも生物担体の逆流水洗浄を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、本実施形態に係る水処理装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示すように、水処理装置1は、井戸ポンプ10によって汲み上げられた井水(被処理水)を貯留する着水井12、生物ろ過装置14、固液分離装置16、塩素剤添加装置18、逆流水洗浄装置20を備える。また、着水井12と生物ろ過装置14、生物ろ過装置14と固液分離装置16、固液分離装置16と逆流水洗浄装置20は、配管22a,22b,22cによりそれぞれ接続されている。図1に示す着水井12は、噴水式曝気型を例としているが必ずしもこれに制限されるものではない。
【0020】
生物ろ過装置14の本体部14a内には、微生物が付着する生物担体(ろ材)が充填されたろ層14bが形成されている。また、ろ層14bの上方には、網14cが設置されている。網14cは、逆流水洗浄時にろ層14bを構成する生物担体が流出するのを防止するためのものである。また、ろ層14bの下方側の本体部14aには、ブロワ24が設置された空気配管26が接続され、ブロワ24からの空気がろ層14bに向けて噴出されるようになっており、逆流水洗浄と合わせて空気洗浄も行うことができる。
【0021】
ろ層14bを構成する生物担体は、硝化菌、マンガン酸化細菌、鉄バクテリア等の微生物が付着する担体であれば特に制限されるものではないが、例えば、微生物の付着性、保持性に優れたポリエステル製繊維ろ材、セラミック製ペレット、ポリプロピレン製円筒ろ材等が用いられる。
【0022】
ろ層14bの下方側の本体部14aには、ろ層14bを通過した処理水(本明細書では、生物処理水と呼ぶ場合がある)を排出する処理水排出口(不図示)が設けられており、配管22bの一端が処理水排出口に接続されている。また、配管22bには、弁28が接続されており、この弁28の開度を調整することで、生物ろ過装置14からの処理水排出量が調整され、本体部14a内の水位が調整される。
【0023】
固液分離装置16(急速ろ過池)の本体部16aには、生物処理水を固液分離するためのろ材が充填されたろ層16bが形成されている。ろ層16bの上方側の本体部16aには、生物処理水が導入される処理水供給口(不図示)が設けられており、配管22bの他端(生物ろ過装置14の反対側)が処理水供給口に接続されている。また、固液分離装置16は、凝集剤タンク30、凝集剤添加ポンプ32、凝集剤流入管34を備えており、凝集剤流入管34は、凝集剤タンク30から配管22bに接続されている。固液分離装置16に用いられるろ材としては、例えば、ケイ砂、アンスラサイト、マンガン砂等が用いられる。また、凝集剤タンク30に収容される凝集剤としては、例えば、ポリ塩化アルミニウムや硫酸アルミニウム等の無機系凝集剤や陰イオン性ポリマー等の有機高分子凝集剤等が用いられる。
【0024】
固液分離装置16のろ層16b下方側の本体部16aには、ろ層16bを通過した処理水(本明細書では、固液分離処理水と呼ぶ場合がある)を排出する処理水排出口が設けられており、配管22cの一端が処理水排出口に接続されている。また、配管22cには、弁36が接続されており、この弁36の開度を調整することで、固液分離装置16からの処理水排出量が調整され、本体部16a内の水位が調整される。
【0025】
塩素剤添加装置18について説明する。塩素剤添加装置18は、塩素剤タンク38、塩素剤添加ポンプ40、残留遊離塩素濃度計42、塩素剤流入管44を備える。固液分離処理水に塩素剤を添加するために、塩素剤流入管44が、塩素剤タンク38から固液分離処理水が流れる配管22cに接続されている。塩素剤タンク38に収容される塩素剤は、最終的に得られる処理水(固液分離処理水)の安全性を確保するために、殺菌作用を有するものであれば特に制限されるものではないが、例えば、次亜塩素酸ナトリウム等が用いられる。
【0026】
本実施形態では、残留遊離塩素濃度計42を逆流水洗浄装置20の貯留槽45に設置して、逆流水洗浄に使用する固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度を計測しながら、固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度が適切な濃度範囲となるように、塩素剤の添加量を制御してもよい。ここで、固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度の適切な範囲とは、逆流水洗浄をした際に、生物ろ過装置14の微生物が滅菌され、生物活性が低下しない残留遊離塩素濃度を上限とし、また、水道水等として使用した際に、水の安全性を確保することができる程度の残留遊離塩素濃度値を下限とする。実質的には、固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度が、0.1mg/L〜1.0mg/Lの範囲となるように、塩素剤を添加する。
【0027】
本実施形態において、固液分離装置16から排出される固液分離処理水の流量等が変動する場合には、残留遊離塩素濃度計42を設置して、計測した残留遊離塩素濃度に基づいて塩素剤の添加量を制御することが好ましいが、固液分離処理水の流量等が一定であれば、固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度が適切な濃度範囲となるように、一定量の塩素剤を添加すればよいため、必ずしも残留遊離塩素濃度計42を設置する必要はない。
【0028】
また、本実施形態では、固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度が0.1mg/L〜1.0mg/Lの範囲となるように塩素剤を添加すればよいので、固液分離装置16から排出される固液分離処理水、生物ろ過装置14から排出される生物処理水のうちいずれか一方に塩素剤を添加すればよい。すなわち、塩素剤タンク38と固液分離処理水が流れる配管22c、塩素剤タンク38と生物処理水が流れる配管22bのうち少なくともいずれか一方が、塩素剤流入管44により接続されていればよい。なお、塩素剤を生物処理水に添加すると、塩素剤は生物処理水中に残留するマンガンを酸化する酸化剤としても機能するため、固液分離処理の処理効率を向上させることができるが、固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度は、生物処理水中の残留遊離塩素濃度より低くなる。そのため、塩素剤を生物処理水にのみ添加する場合には、最終的に得られる固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度が上記適切な濃度範囲となるように、塩素剤の添加量を多くする必要がある。
【0029】
逆流水洗浄装置20について説明する。逆流水洗浄装置20は、貯留槽45、逆流水ポンプ46、逆流水流入管48を備える。貯留槽45には、塩素剤が添加された固液分離処理水(明細書では、逆流水と呼ぶ場合がある)が導入される処理水供給口(不図示)が設けられており、配管22cの他端(固液分離装置16の反対側)が処理水供給口に接続されている。また、生物ろ過装置14の生物担体、固液分離装置16のろ材を逆流水洗浄するために、逆流水流入管48は、貯留槽45の逆流水排出口(不図示)から、生物ろ過装置14のろ層14b下方側の本体部14a、固液分離装置16の処理水排出口に連通する配管22cに接続されている。
【0030】
なお、不図示であるが、貯留槽45又は配管22cのいずれかには、処理水取出管が接続されており、処理水取出管から最終処理水が得られる。
【0031】
次に、本実施形態の水処理装置の運転方法について説明する。井戸ポンプ10を稼働させて汲み上げられた被処理水を一旦着水井12に貯留し、その後、原水ポンプや自然流下等で、被処理水を生物ろ過装置14に供給する。その際、被処理水中に大気中の酸素が供給される。生物ろ過装置14内の被処理水が、ろ層14bを通過する際に、ろ層14bを構成する生物担体に付着(生育)する硝化菌、マンガン酸化細菌、鉄バクテリア等の微生物によって、被処理水中のアンモニア、鉄、マンガンが酸化され、酸化不溶化した鉄、マンガン等が生物担体に捕捉される(生物ろ過工程)。
【0032】
ろ層14bを通過した生物処理水は、配管22bを通り、固液分離装置16に供給される。生物処理水が固液分離装置16の本体部16aに供給される際に、凝集剤添加ポンプ32を稼働させ、生物処理水に凝集剤を添加する。そして、処理水中に残存する鉄、マンガン等が固液分離装置16のろ層16bにより除去される(固液分離工程)。ろ層16bを通過した固液分離処理水は、配管22cを通り、貯留槽45に供給される。固液分離処理水が貯留槽45に供給される際に、塩素剤添加ポンプ40を稼働させ、固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度が、0.1mg/L〜1.0mg/Lの範囲となるように、固液分離処理水に塩素剤を添加する(塩素剤添加工程)。そして、処理水取出管(不図示)からアンモニア、鉄、マンガンが酸化除去された処理水(最終処理水)を取り出すことが可能となる。
【0033】
また、逆流水洗浄を行う場合には、逆流水ポンプ46を稼働させると共に、配管22b,22cの弁28,36を閉じ、逆流水流入管48の弁50a,50bを開放させて、塩素剤が添加された固液分離処理水を逆流水流入管48から生物ろ過装置14、固液分離装置16にそれぞれ供給する。生物ろ過装置14、固液分離装置16に供給された逆流水が、被処理水の流れとは逆向きにろ層14b,16bを通過し、生物担体及びろ材が洗浄される(逆流水洗浄工程)。ろ層14b,16bを通過した逆流水は、ろ層14b,16bの上方からそれぞれ排出される。
【0034】
本実施形態では、被処理水をろ層14b内に充填した生物担体の容量の100倍量以上で生物ろ過装置14に供給(ろ層14bに通水)した後に、塩素剤が添加された固液分離処理水を生物担体容量の2〜5倍量の範囲で生物ろ過装置14に供給(ろ層14bに供給)して、生物担体の逆流水洗浄を行うことが好ましい。このような、逆流水洗浄の方法は、配管22b、逆流水流入管48に流量計を設置して、流量を管理しながら行うことが好ましい。なお、この逆流水洗浄の方法は、後述する水処理装置等にも好適に適用することが可能である。被処理水を生物担体の容量の100倍量以上で生物ろ過装置14に供給する前に、逆流水洗浄を行うと、生物担体に付着した微生物が滅菌され、逆流水洗浄後の生物活性が低下する場合がある。また、塩素剤が添加された固液分離処理水を生物担体容量の2倍量未満で生物ろ過装置14に供給すると、洗浄効果を充分に発揮することができない場合がある。また、塩素剤が添加された固液分離処理水を生物担体容量の5倍量超で生物ろ過装置14に供給すると、生物担体に付着した微生物が滅菌され、逆流水洗浄後の生物活性が低下する場合がある。なお、固液分離装置16の逆流水洗浄も同様に行うことが好ましい。
【0035】
図2は、本発明の他の実施形態に係る水処理装置の構成の一例を示す模式図である。図2に示す水処理装置2において、図1に示す水処理装置1の同様の構成については同一の符合を付し、その説明を省略する。
【0036】
本実施形態では、必ずしも図2に示す水処理装置の塩素剤添加装置18において、固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度が、0.1mg/L〜1.0mg/Lの範囲となるように、固液分離処理水に塩素剤を添加する必要はない。例えば、塩素剤添加装置18により、固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度が、1.0mg/Lを超えるように、固液分離処理水に塩素剤を添加してもよい。なぜなら、本実施形態では、後述する逆流水洗浄装置20において、生物ろ過装置14(及び固液分離装置16)に供給される固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度が、0.1mg/L〜1.0mg/Lの範囲となるように塩素剤を添加し、塩素中和を行うからである。
【0037】
図2に示す水処理装置2の逆流水洗浄装置20について説明する。図2に示すように、逆流水洗浄装置20は、図1に示す構成に加え、塩素中和剤供給装置52を備えている。塩素中和剤供給装置52は、塩素中和剤タンク54、塩素中和剤ポンプ56、塩素中和剤流入管58を備えている。塩素中和剤流入管58は、塩素中和剤タンク54から逆流水流入管48に接続されている。塩素中和剤タンク54に収容される塩素中和剤としては、遊離塩素を中和することができるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ソーダ等が用いられる。
【0038】
本実施形態では、例えば、塩素剤添加装置18により、固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度が、1.0mg/Lを超えるように、塩素剤が添加されている場合には、逆流水ポンプ46を稼働させると共に、塩素中和剤ポンプ56を稼働させ、逆流水流入管48を通る逆流水中の残留遊離塩素濃度が、0.1mg/L〜1.0mg/Lとなるように塩素中和剤を添加して、塩素中和する。そして、これを逆流水洗浄に利用する。
【0039】
貯留槽45内の固液分離処理水中の残留塩素濃度が一定であれば、逆流水流入管48を通る固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度を0.1mg/L〜1.0mg/Lの範囲となるように、一定量の塩素中和剤を供給すればよい。しかし、貯留槽45内の固液分離処理水中の残留塩素濃度が変動する場合には、貯留槽45内に設置した残留遊離塩素濃度計の残留遊離塩素濃度値に基づいて、塩素中和剤ポンプ56の稼動を制御して、塩素中和剤の添加量を調整することが好ましい。
【0040】
また、本実施形態では、例えば、最終的に得られる理水中の残留遊離塩素濃度を0.8mg/L超〜1.0mg/L以下の比較的高濃度に設定しているが、逆流水洗浄としては、生物担体容量等の点から、上記濃度より低く設定した方が好ましい場合(すなわち、0.1mg/L〜0.8mg/L以下)にも、上記塩素中和剤を添加する方法を適用することが好ましい。
【0041】
図3は、本発明の他の実施形態に係る水処理装置の構成の一例を示す模式図である。図3の水処理装置3において、図1及び図2に示す水処理装置1,2と同様の構成については同一の符合を付し、その説明を省略する。
【0042】
本実施形態も図2に示す水処理装置と同様に、必ずしも図3に示す塩素剤添加装置18において、固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度が、0.1mg/L〜1.0mg/Lの範囲となるように、固液分離処理水に塩素剤を添加する必要はない。
【0043】
本実施形態では、図3に示すように、複数の生物ろ過装置15a,15bが設けられている。
【0044】
図3に示す逆流水洗浄装置20について説明する。逆流水洗浄装置20は、図1に示す構成に加え、処理水添加ライン60a,60bを備えている。生物ろ過装置15a又は15bから排出される生物処理水を逆流水流入管48に添加するために、処理水添加ライン60a,60bが、配管22b,22bから逆流水流入管48に接続されている。
【0045】
本実施形態による逆流水洗浄について説明する。例えば、生物ろ過装置15aを逆流水洗浄する場合、逆流水ポンプ46を稼働させると共に、配管22b,22cの弁28a,36を閉じ、逆流水流入管48の弁50aを開放(弁50aは閉じている)させて、塩素剤が添加された固液分離処理水を逆流水流入管48から生物ろ過装置15aに供給する。この際、塩素剤添加装置18により、固液分離処理水中の残留塩素濃度が1.0mg/Lを超えるように、塩素剤が添加されている場合、処理水添加ライン60bの弁62bを開放して、逆流水洗浄を行わない生物ろ過装置15bから排出される生物処理水を逆流水流入管48に供給し、逆流水流入管48を通る固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度を0.1mg/L〜1.0mg/Lの範囲に希釈する。希釈した固液分離処理水(逆流水)を逆流水流入管48から生物ろ過装置15aに供給する。生物ろ過装置15aに供給された逆流水が、被処理水の流れとは逆向きにろ層14bを通過し、生物担体が洗浄される。
【0046】
貯留槽45内の固液分離処理水中の残留塩素濃度が一定であれば、逆流水流入管48を通る固液分離処理水中の残留遊離塩素濃度を0.1mg/L〜1.0mg/Lの範囲に希釈するために、一定量の生物処理水を供給すればよい。しかし、貯留槽45内の固液分離処理水中の残留塩素濃度が変動する場合には、貯留槽45内に設置した残留遊離塩素濃度計の残留遊離塩素濃度値に基づいて、処理添加ラインの弁の開放度を制御して、生物処理水の添加量を調整することが好ましい。
【0047】
また、本実施形態では、例えば、最終的に得られる処理水中の残留遊離塩素濃度を0.8mg/L超〜1.0mg/L以下の比較的高濃度に設定しているが、逆流水洗浄としては、生物担体容量等の点から、上記濃度より低く設定した方が好ましい場合(すなわち、0.1mg/L〜0.8mg/L以下)にも、生物処理水を添加する方法を適用することが好ましい。
【実施例】
【0048】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0049】
実施例1においては、図1に示したものと同様の水処理装置を用い、以下の条件で逆流水洗浄を行った。表1にその後の処理水の水質結果をまとめた。
【0050】
<水処理装置>
生物ろ過装置の本体部サイズ:Φ250mm×H4000mm
生物担体:Φ4.0mm×L4.0mm、比重1.25の円筒形ポリプロピレン製ろ材を採用し、これを1500mmの層高で充填した。
固液分離処理装置の本体部サイズ:Φ350mm×H3500mm
ろ材:有効径0.6mmの珪砂を採用し、これを600mmの層高で充填した。
<被処理水>
被処理水:鉄3.0mg/L、マンガン0.45mg/L、アンモニア態窒素0.5mg/L含有の深井戸水
水温:約20℃
被処理水溶存酸素濃度:8.0mg/Lとなるように着水井で噴水式曝気を行った。
【0051】
<生物ろ過装置の逆流水洗浄条件>
ろ過速度240m/d、生物担体容量に対して100倍量で被処理水を通水させた後(通水倍量100倍)、生物担体容量に対して5倍量で逆流水を供給し(逆洗水倍量5倍)、生物担体の逆流水洗浄を行った。この際の逆流水の生物担体接触時間(すなわち、逆流水洗浄時間)は、11.2分であった。また、ブロワによる空気逆洗を速度40m/hで4分間行った。逆流水中の残留遊離塩素濃度が1.0mg/Lとなるように、塩素剤を添加した。
【0052】
<固液分離装置の逆流水洗浄条件>
ろ過速度120m/dで生物処理水を通水し、48時間毎に、上記空気逆洗を行った後、逆流水洗浄速度を36m/hで6分間、ろ材の逆流水洗浄を行った。
【0053】
実施例2においては、図2に示したものと同様の水処理装置を用いて逆流水洗浄を行った。実施例2では、塩素中和剤を添加して、逆流水中の残留遊離塩素濃度が1.0mg/Lとなるように塩素中和した。それ以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。表1に、逆流水洗浄を行った後の処理水の水質結果をまとめた。
【0054】
実施例3においては、図3に示したものと同様の水処理装置を用いて逆流水洗浄を行った。実施例3では、生物ろ過装置から排出される生物処理水を添加して、逆流水中の残留遊離塩素濃度が1.0mg/Lとなるように希釈した。それ以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。表1に、逆流水洗浄を行った後の処理水の水質結果をまとめた。
【0055】
図4は、比較例1において使用した水処理装置の構成を示す模式図である。まず、比較例1の水処理装置4について説明する。図4に示す水処理装置4は、生物ろ過装置14と固液分離装置16との間には、処理水槽64と混合槽66が設置されている。生物ろ過装置14と処理水槽64との間は、配管68により接続されており、生物ろ過装置14から排出される生物処理水が、処理水槽64に供給される。また、処理水槽64と混合槽66との間には、隔壁70が設けられており、処理水槽64内の生物処理水は、隔壁70を越えて、混合槽66へ供給されるようになっている。また、混合槽66内に凝集剤が供給され、攪拌機72により生物処理水と凝集剤とが混合される。混合槽66と固液分離装置16との間は、配管74により接続されており、混合液が固液分離装置16に供給される。また、処理水槽64内の生物処理水を生物ろ過装置14に供給して、逆流水洗浄を行うことができるように、処理水槽64と生物ろ過装置14との間には、ポンプ76を設置した逆流水流入管78が接続されている。また、貯留槽45内の固液分離処理水を固液分離装置16に供給して、逆流水洗浄を行うことができるように、貯留槽45と固液分離装置16との間には、ポンプ80を設置した逆流水流入管82が接続されている。
【0056】
比較例1においては、図4に示した水処理装置4を用いて逆流水洗浄を行った。比較例1では、処理水槽64内の生物処理水を逆流水として用いているため、残留遊離塩素濃度は、0mg/Lとなる。生物ろ過装置14の逆流水洗浄条件としては、生物担体容量に対して400倍量で被処理水を通水させた後(通水倍量400倍)、生物担体容量に対して3倍量で逆流水(生物処理水)を供給し(逆洗水倍量3倍)、生物担体の逆流水洗浄を行った。この際の逆流水の生物担体接触時間(すなわち、逆流水洗浄時間)は、6.7分であった。それ以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。表1に逆流水洗浄を行った後の処理水の水質結果をまとめた。
【0057】
【表1】

【0058】
表1の結果から判るように、逆流水中の残留遊離塩素濃度を1.0mg/Lに調整した実施例1〜3において、鉄、マンガン、アンモニア態窒素の除去率は、比較例1(従来法)と同様に高い除去率を示した。すなわち、1.0mg/Lの残留遊離塩素濃度を有する逆流水で洗浄を行っても、従来法と同様に硝化菌、マンガン酸化細菌、鉄バクテリアの増殖が抑制されず、生物活性が低下しなかったと云える。したがって、従来法のような処理水槽を必要とせず、水処理装置のスリム化が可能となった。
【0059】
実施例4においては、生物ろ過装置の逆流水洗浄条件として、生物担体容量に対して100倍量で被処理水を通水させた後(通水倍量100倍)、生物担体容量に対して6倍量で逆流水(個液分離処理水)を供給し(逆洗水倍量6倍)、生物担体の逆流水洗浄を行った。この際の逆流水の生物担体接触時間(すなわち、逆流水洗浄時間)は、13.5分であった。それ以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。表2に逆流水洗浄を行った後の処理水の水質結果をまとめた。
【0060】
実施例5においては、生物ろ過装置の逆流水洗浄条件として、生物担体容量に対して90倍量で被処理水を通水させた後(通水倍量90倍)、生物担体容量に対して5倍量で逆流水(個液分離処理水)を供給し(逆洗水倍量5倍)、生物担体の逆流水洗浄を行った。この際の逆流水の生物担体接触時間は、11.2分であった。それ以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。表2に逆流水洗浄を行った後の処理水の水質結果をまとめた。
【0061】
比較例2においては、生物ろ過装置の逆流水洗浄条件として、生物担体容量に対して100倍量で被処理水を通水させた後(通水倍量100倍)、生物担体容量に対して5倍量で逆流水(固液分離処理水)を供給し(逆洗水倍量5倍)、生物担体の逆流水洗浄を行った。この際の逆流水の生物担体接触時間は、13.5分であった。それ以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。表2に逆流水洗浄を行った後の処理水の水質結果をまとめた。
【0062】
比較例3においては、生物ろ過装置の逆流水洗浄条件として、生物担体容量に対して90倍量で被処理水を通水させた後(通水倍量90倍)、生物担体容量に対して6倍量で逆流水(固液分離処理水)を供給し(逆洗水倍量6倍)、生物担体の逆流水洗浄を行った。この際の逆流水の生物担体接触時間は、13.5分であった。それ以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。表2に逆流水洗浄を行った後の処理水の水質結果をまとめた。
【0063】
比較例4においては、生物ろ過装置の逆流水洗浄条件として、生物担体容量に対して400倍量で被処理水を通水させた後(通水倍量400倍)、生物担体容量に対して3倍量で逆流水(固液分離処理水)を供給し(逆洗水倍量3倍)、生物担体の逆流水洗浄を行った。この際の逆流水の生物担体接触時間は、6.7分であった。それ以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。表2に逆流水洗浄を行った後の処理水の水質結果をまとめた。
【0064】
【表2】

【0065】
表2の結果から判るように、逆流水中の残留遊離塩素濃度が1.0mg/Lを超えると(比較例2)、通水倍量及び逆洗水倍量が同じ実施例1と比べても、鉄の除去率が低下することがわかった。すなわち、鉄バクテリアの増殖が抑制され、生物活性が低下した。また、比較例2より逆流水中の残留遊離塩素濃度を高くした比較例4では、さらに、微生物の増殖が抑制され、生物活性が低下した。また、通水倍量が100倍量未満であって、逆洗水倍量が5倍量超であると(比較例3)、さらに微生物の増殖が抑制され、生物活性が低下した。一方、実施例4,5のように、逆流水中の残留遊離塩素濃度を1.0mg/Lとすると、通水倍量が100倍量未満又は逆洗水倍量が5倍量超えていても、鉄バクテリアの増殖は若干抑制されるが、実施例1に近い除去率を示した。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施形態に係る水処理装置の構成の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る水処理装置の構成の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る水処理装置の構成の一例を示す模式図である。
【図4】比較例1において使用した水処理装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0067】
1,2,3,4 水処理装置、10 井戸ポンプ、12 着水井、14,15a,15b 生物ろ過装置、14a,16a 本体部、14b,16b ろ層、14c 網、16 固液分離装置、18 塩素剤添加装置、20 逆流水洗浄装置、22a,22b,22c,22b,22b配管、24 ブロワ、26 空気配管、28,28a,28b,36,50a,50b,50a,50a,62a,62b 弁、30 凝集剤タンク、32 凝集剤添加ポンプ、34 凝集剤流入管、38 塩素剤タンク、40 塩素剤添加ポンプ、42 残留遊離塩素濃度計、44 塩素剤流入管、45 貯留槽、46 逆流水ポンプ、48,78,82 逆流水流入管、52 塩素中和剤供給装置、54 塩素中和剤タンク、56 塩素中和剤ポンプ、58 塩素中和剤流入管、60a,60b 処理水添加ライン、64 処理水槽、66 混合槽、68,74 配管、70 隔壁、72 攪拌機、76,80 ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水中のアンモニア、鉄及びマンガンを除去又は酸化するための生物担体を備えた生物ろ過装置と、前記生物ろ過装置から排出される生物処理水を固液分離するろ材を備えた固液分離装置と、前記生物ろ過装置から排出される生物処理水、前記固液分離装置から排出される固液分離処理水のうち少なくともいずれか一方に塩素剤を添加する塩素剤添加手段と、前記塩素剤含有の固液分離処理水を前記生物ろ過装置に供給して、前記生物担体の逆流水洗浄を行う逆流水洗浄手段とを備え、
前記塩素剤添加手段は、前記生物ろ過装置に供給する塩素剤含有の固液分処理水の残留遊離塩素濃度が、0.1mg/L〜1.0mg/Lとなるように塩素剤を添加することを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
被処理水中のアンモニア、鉄及びマンガンを除去又は酸化するための生物担体を備えた生物ろ過装置と、前記生物ろ過装置から排出される生物処理水を固液分離するろ材を備えた固液分離装置と、前記生物ろ過装置から排出される生物処理水、前記固液分離装置から排出される固液分離処理水のうち少なくともいずれか一方に塩素剤を添加する塩素剤添加手段と、前記塩素剤含有の固液分離処理水を前記生物ろ過装置に供給して、前記生物担体の逆流水洗浄を行う逆流水洗浄手段とを備え、
前記逆流水洗浄手段は、前記塩素剤含有の固液分離処理水に塩素中和剤を添加する塩素中和剤添加手段を備え、前記生物ろ過装置に供給する塩素剤含有の固液分離処理水の残留遊離塩素濃度が、0.1mg/L〜1.0mg/Lとなるように塩素中和剤を添加することを特徴とする水処理装置。
【請求項3】
被処理水中のアンモニア、鉄及びマンガンを除去又は酸化するための生物担体を備えた生物ろ過装置と、前記生物ろ過装置から排出される生物処理水を固液分離するろ材を備えた固液分離装置と、前記生物ろ過装置から排出される生物処理水、前記固液分離装置から排出される固液分離処理水のうち少なくともいずれか一方に塩素剤を添加する塩素剤添加手段と、前記塩素剤含有の固液分離処理水を前記生物ろ過装置に供給して、前記生物担体の逆流水洗浄を行う逆流水洗浄手段とを備え、
前記生物ろ過装置は複数設けられ、
前記逆流水洗浄手段は、逆流水洗浄を行う生物ろ過装置に供給する塩素剤含有の固液分離処理水に、逆流水洗浄を行わない生物ろ過装置から排出される生物処理水の一部を添加する処理水添加手段を備え、前記逆流水洗浄を行う生物ろ過装置に供給する塩素剤含有の固液分離処理水の残留遊離塩素濃度が、0.1mg/L〜1.0mg/Lとなるように生物処理水を添加することを特徴とする水処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の水処理装置であって、前記逆流水洗浄手段は、前記生物担体容量の100倍量以上で前記被処理水を前記生物ろ過装置に供給した後に、生物担体容量の2〜5倍量の範囲で前記塩素剤含有の固液分離処理水を前記生物ろ過装置に供給して、前記生物担体の逆流水洗浄を行うことを特徴とする水処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の水処理装置であって、前記逆流水洗浄手段は、前記塩素剤含有の固液分離処理水を前記固液分離処理装置に供給して、前記ろ材の逆流水洗浄を行うことを特徴とする水処理装置。
【請求項6】
生物担体により被処理水中のアンモニア、鉄及びマンガンを除去又は酸化する生物ろ過工程と、前記生物ろ過工程から得られる生物処理水を固液分離する固液分離工程と、前記生物ろ過工程から得られる生物処理水、前記固液分離工程から得られる固液分離処理水のうち少なくともいずれか一方に塩素剤を添加する塩素剤添加工程と、前記塩素剤含有の固液分離処理水により、前記生物担体の逆流水洗浄を行う逆流水洗浄工程とを備え、
前記塩素剤添加工程では、前記塩素剤含有の固液分離処理水の残留遊離塩素濃度が、0.1mg/L〜1.0mg/Lとなるように塩素剤を添加することを特徴とする水処理方法。
【請求項7】
生物担体により被処理水中のアンモニア、鉄及びマンガンを除去又は酸化する生物ろ過工程と、前記生物ろ過工程から得られる生物処理水を固液分離する固液分離工程と、前記生物ろ過工程から得られる生物処理水、前記固液分離工程から得られる固液分離処理水のうち少なくともいずれか一方に塩素剤を添加する塩素剤添加工程と、前記塩素剤含有の固液分離処理水により、前記生物担体の逆流水洗浄を行う逆流水洗浄工程とを備え、
前記逆流水洗浄工程では、前記塩素剤含有の固液分離処理水に塩素中和剤を添加し、前記塩素剤含有の固液分離処理水の残留遊離塩素濃度を0.1mg/L〜1.0mg/Lとすることを特徴とする水処理方法。
【請求項8】
生物担体により被処理水中のアンモニア、鉄及びマンガンを除去又は酸化する生物ろ過工程と、前記生物ろ過工程から得られる生物処理水を固液分離する固液分離工程と、前記生物ろ過工程から得られる生物処理水、前記固液分離工程から得られる固液分離処理水のうち少なくともいずれか一方に塩素剤を添加する塩素剤添加工程と、前記塩素剤含有の固液分離処理水により、前記生物担体の逆流水洗浄を行う逆流水洗浄工程とを備え、
前記生物担体は複数設けられ、
前記逆流水洗浄工程では、逆流水洗浄を行う生物担体に供給する塩素剤含有の固液分離処理水に、逆流水洗浄を行わない生物担体から排出される生物処理水の一部を添加し、前記塩素剤含有の固液分離処理水の残留遊離塩素濃度を0.1mg/L〜1.0mg/Lとすることを特徴とする水処理方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の水処理方法であって、前記逆流水洗浄工程では、前記生物担体容量の100倍量以上で前記被処理水を前記生物担体に供給した後に、生物担体容量の2〜5倍量の範囲で前記塩素剤含有の固液分離処理水を前記生物担体に供給して、前記生物担体の逆流洗浄を行うことを特徴とする水処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−82599(P2010−82599A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257127(P2008−257127)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【出願人】(508296750)
【Fターム(参考)】