説明

水処理装置及び水処理方法

【課題】逆浸透膜ユニットと前濾過ユニットとを同一収容部内に収容した水処理装置において、逆浸透膜を損傷することなく前濾過ユニットの洗浄を行うことができメンテナンスが低コストで行える水処理装置及び水処理方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の水処理装置に関しては、被処理水を前濾過する前濾過ユニット1と、ユニット1の処理水を逆浸透膜で透過水と濃縮水に膜分離する逆浸透膜ユニット2と、前濾過ユニット1で得られた処理水を前記逆浸透膜ユニットへ移送する直結部3と、前濾過ユニット1と、直結部3と、逆浸透膜ユニット2とを同一収容部内に収容する外装体1と、前記逆浸透膜ユニットからの透過水を移送する透過水移送経路4と、逆浸透膜ユニットからの濃縮水を移送する濃縮水移送経路5と、移送経路4及び5を開閉する移送経路開閉手段と、が備えられ、前記直結部に洗浄水を導入する洗浄水導入口が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置及び水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
逆浸透膜(RO膜)を利用した水処理装置は、水中の塩類、有機物質、微細粒子を除去できるため、各排水処理に広く利用されている。
かかる逆浸透膜は、非常に微細な細孔を有しており、性能を維持するためには原水(被処理水)を、まず、精密濾過膜(MF膜)や限外濾過膜(UF膜)等の各種濾過材を備えた濾過装置によって濾過処理(前濾過処理)してから、RO膜で処理することが行われている。
【0003】
このような濾過装置と逆浸透膜装置とでの処理を連続的に行う場合には、濾過装置と逆浸透膜装置と両方の装置がそれぞれ必要となり、さらに、両装置の間には逆浸透膜装置で処理するための加圧ポンプが必要とされるため、中継タンクの設置も必須であった。よって、水処理装置全体が大掛かりになるという問題がある。
【0004】
そこで、特許文献1には、濾過材を備えた前濾過ユニットと、RO膜を備えた逆浸透膜ユニットとを一の容器の同一収容部内に収容して、装置全体を小型化した水処理装置が記載されている。
かかる水処理装置は、前濾過ユニットで濾過された処理水を、逆浸透膜ユニット側へ移送して膜分離して透過水を得る一連の水処理を単一容器内で行うものである。
【0005】
一方、濾過材としてMF膜やUF膜を用いた場合、かかる濾過材を一定期間使用した後には、濾過材表面に付着物が付着するため性能が低下する。そこで、一般的に、濾過材を洗浄するために、濾過された処理水排出側から、被処理水導入側へ向かって洗浄水を流すいわゆる逆洗浄が行われている。
さらに、このような逆洗浄をより効果的に行なうために、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を含む洗浄液を用いた薬品洗浄を行う場合がある。
前記酸化剤を含む洗浄水を用いた場合には、濾過材に付着した有機物等を効果的に除去することが可能となる。
【0006】
しかしながら、前記のように前濾過ユニットと逆浸透膜ユニットとを同一収容部内に収容した水処理装置の場合に、前濾過ユニットの濾過材の逆洗浄を行おうとすると前濾過ユニットと逆浸透膜ユニットとが同一の収容部内に収納されているために、逆浸透膜ユニット側から洗浄水を導入することが必要になる。この場合、RO膜に負荷がかかる可能性があり、前濾過ユニットの逆洗浄は困難である。
【0007】
さらに、前記のような薬品洗浄を行う場合には、RO膜へ酸化剤等の薬品が接触することになり、RO膜を損傷するおそれがある。
そのため、逆浸透膜ユニットと前濾過ユニットとを同一容器内に収容した水処理装置においては前濾過ユニットの逆洗浄が難しく、前濾過ユニットは一定期間使用した後には、新しいものと交換しなければならず、その結果、装置のメンテナンスのコストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−342308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、逆浸透膜ユニットと前濾過ユニットとを同一収容部内に収容した水処理装置において、逆浸透膜を損傷することなく前濾過ユニットの洗浄を行うことができメンテナンスが低コストで行える水処理装置及び水処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る水処理装置は、被処理水を濾過材で前濾過して処理水を得る前濾過ユニットと、前記前濾過ユニットで得られた処理水を逆浸透膜で透過水と濃縮水に膜分離する逆浸透膜ユニットと、前記前濾過ユニットと前記逆浸透膜ユニットとを接続し、前記前濾過ユニットで得られた処理水を前記逆浸透膜ユニットへ移送する直結部と、前記前濾過ユニットと、前記直結部と、前記逆浸透膜ユニットとを同一収容部内に収容する外装体と、前記逆浸透膜ユニットから排出される透過水を移送する透過水移送経路と、前記逆浸透膜ユニットから排出される濃縮水を移送する濃縮水移送経路と、前記透過水移送経路及び前記濃縮水移送経路を開閉する移送経路開閉手段と、が備えられ、前記直結部に洗浄水を導入する洗浄水導入口が備えられていることを特徴としている。
【0011】
かかる構成によれば、前濾過ユニットと逆浸透膜ユニットとが直結部を介して接続された状態で同一収容部内に収容された水処理装置において、前濾過ユニットの洗浄時には、前記逆浸透膜ユニットからの透過水および濃縮水の排出経路を閉鎖することで、直結部から前記逆浸透膜ユニット側へ処理水の流れを停止しうる。
かかる状態で、直結部へ洗浄水を導入すると、逆浸透膜ユニット側へ洗浄水が前記直結部から流入することなく、前濾過ユニット側へ洗浄水を導入する逆洗が可能になる。
【0012】
尚、本発明における前濾過ユニットとは、精密濾過膜(MF膜)、限外濾過膜(UF膜)等の各種濾過材を備えて、逆浸透膜ユニットの逆浸透膜の性能を維持できる程度に被処理水中の微粒子、懸濁物等を除去する前濾過を行うことができる濾過ユニットをいう。
また、本発明における前濾過とは、逆浸透膜濾過よりも粗い濾過、即ち、逆浸透膜分離の前に実施され、逆浸透膜で分離するものよりも粗い微粒子、懸濁物等を除去することを意味する。
また、本発明における外装体は、同一の容器であってもよく、あるいは分割された各部材が連結された形態であってもよく、内部に連続した空間である同一収容部が備えられた外装体を意味する。
【0013】
本発明において、前記逆浸透膜ユニットの濃縮水を排出する濃縮水排出側に接続された逆浸透膜洗浄水を導入する逆浸透膜洗浄水導入経路と、前記逆浸透膜洗浄水導入経路を開閉する導入経路開閉手段とが備えられたことが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、前記逆浸透膜ユニットの濃縮水排出側から逆浸透膜洗浄水を導入可能であり、逆浸透膜ユニットにおいて、通常の膜分離とは逆の流れ、すなわち濃縮水排出側から処理水導入側である直結部側への逆浸透膜洗浄水による流れを生じさせうる。
【0015】
本発明において、前記前濾過ユニットに、精密濾過膜が備えられていることが好ましい。
【0016】
かかる精密濾過膜は特に逆浸透膜ユニットの前濾過用の濾過材として適している。
【0017】
本発明において、前記洗浄水導入口に接続された洗浄水導入経路と、前記前濾過ユニットを洗浄可能な薬品を前記洗浄水導入経路に供給する薬品洗浄液供給経路とが備えられていることが好ましい。
【0018】
前濾過ユニットを薬品洗浄する場合には、特に逆浸透膜ユニット側へ洗浄水が流入すると、逆浸透膜が洗浄水中の薬品で損傷するおそれがある。
一方、前記前濾過ユニットは薬品洗浄することで前濾過ユニットを長期間使用することが可能となる。
よって、薬品洗浄液で前濾過ユニットを洗浄する場合に本発明を適用することで、前濾過ユニットを長期間使用することができると同時に、逆浸透膜ユニットを損傷するおそれが少なくなる。
【0019】
尚、本発明における、前濾過ユニットを洗浄可能な薬品とは、前濾過ユニットに用いられる濾過材を洗浄可能な薬品をいい、薬品の種類は、濾過材の材質に合わせて適宜選択されうる。
【0020】
本発明において、前記洗浄水導入経路に前記逆浸透膜ユニットで分離された透過水を供給する手段が備えられたことが好ましい。
【0021】
かかる場合には、逆浸透膜で処理した透過水は脱塩水であるため、本発明の水処理装置の洗浄水として用いるのに適している。
【0022】
本発明において、前記逆浸透膜洗浄水導入経路に前記逆浸透膜ユニットで透過された透過水を供給する手段が備えられたことが好ましい。
【0023】
かかる場合には、逆浸透膜で処理した透過水は脱塩水であるため、本発明の水処理装置の洗浄水として用いるのに適している。
【0024】
本発明に係る水処理方法は、前記いずれかの水処理装置を用いて行なう水処理方法であって、前記前濾過ユニットで前濾過して処理水を得る前濾過工程と、前記直結部を介して移送された処理水を前記逆浸透膜ユニットで透過水と濃縮液とに膜分離する逆浸透膜分離工程と、前記前濾過ユニットへの被処理水の導入を停止して前記濾過材を洗浄する洗浄工程とを実施する水処理方法であって、前記洗浄工程が、前記逆浸透膜ユニットからの透過水および濃縮水の排出を停止しつつ、前記直結部に洗浄水を導入し、前記直結部から前記前濾過ユニットへ洗浄水を導入する工程であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、逆浸透膜ユニットと前濾過ユニットとを同一収容部内に収容した水処理装置において、逆浸透膜を損傷することなく前濾過ユニットの洗浄を行うことができるため、前濾過ユニットを長期間使用することができる。よって、水処理装置のメンテナンスを低コストで行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る水処理装置を示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る水処理装置を示す模式図。
【図3】本発明の一実施形態に係る水処理装置の使用方法を示す模式図。
【図4】本発明の一実施形態に係る水処理装置の使用方法を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0028】
以下、本実施形態にかかる水処理装置10について、図1および図2を参照しつつ説明する。
本実施形態の水処理装置10は、被処理水を濾過材で前濾過して処理水を得る前濾過ユニット1と、
前記前濾過ユニット1で得られた処理水を逆浸透膜で透過水と濃縮水に膜分離する逆浸透膜ユニット2と、
前記前濾過ユニット1と前記逆浸透膜ユニット2とを接続し、前記前濾過ユニット1で得られた処理水を前記逆浸透膜ユニット2へ移送する直結部3と、
前記前濾過ユニット1と、前記直結部3と、前記逆浸透膜ユニット2とを同一収容部内に収容する外装体と、
前記逆浸透膜ユニット2から排出される透過水を移送する透過水移送経路4と、
前記逆浸透膜ユニット2から排出される濃縮水を移送する濃縮水移送経路5と、
前記透過水移送経路4及び前記濃縮水移送経路5を開閉する移送経路開閉手段V1,V2とが備えられ、
前記直結部3に洗浄水を導入する洗浄水導入口3bが備えられている。
【0029】
本実施形態の水処理装置10は、さらに、前記逆浸透膜ユニット2の濃縮水を排出する濃縮水排出側に接続された逆浸透膜洗浄水を導入する逆浸透膜洗浄水導入経路6と、前記逆浸透膜洗浄水導入経路6を開閉する導入経路開閉手段V3とが備えられている。
【0030】
本実施形態の水処理装置10には、前記洗浄水導入口3bに接続された洗浄水導入経路7と、前記前濾過ユニットを洗浄可能な薬品を前記洗浄水導入経路7に供給する薬品洗浄液供給経路8とが備えられている。
【0031】
また、本実施形態の水処理装置10においては、必要に応じて、前記洗浄水導入経路7に前記逆浸透膜ユニット2で処理された透過水を供給する手段としての第一透過水供給路9aが接続されている。
【0032】
また、本実施形態の水処理装置10においては、必要に応じて、前記逆浸透膜洗浄水導入経路6に前記逆浸透膜ユニット2で処理された透過水を供給する手段としての第二透過水供給路9bが接続されている。
【0033】
前記前濾過ユニット1は、図1に示すような円筒状の外装体1aの内部に、濾過材が収納されており、ポンプP1が設けられた被処理水導入経路31を介して原水槽30から移送される被処理水を、前記濾過材で前濾過して処理水とすべく構成されている。
【0034】
濾過材としては、精密濾過膜、限外濾過膜等を用いた各種公知のものを使用することができるが、本実施形態では、精密濾過膜を用いた精密濾過膜(MF)エレメント100が濾過材として使用される。
【0035】
前記MFエレメント100としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の素材により形成された従来公知の精密濾過膜を用いたものを採用することができる。
また、MFエレメント100の形状としては、直径数mmの中空糸状に形成されたいわゆる中空糸膜などと呼ばれるタイプのものや、該中空糸膜よりも径の太い数cm程度の太さを有するいわゆるチューブラー膜と呼ばれるタイプのもの、さらには、使用時に内部にメッシュ等の支持材が配された状態で平板状で用いられる封筒状のいわゆる平膜と呼ばれるもの等従来公知の形状を採用することができる。
【0036】
前記MFエレメント100は、外装体1a内に収容されており、前記外装体1aの上方にはMFエレメント100によって前濾過された処理水が集水される集水管13が備えられ、前記外装体1aの下方には、被処理水が導入される被処理水導入口14が備えられている。
前記被処理水導入口14には、前記被処理水導入経路31が接続されている。
【0037】
前記集水管13は、前記直結部3に接続され、該集水管13によって、前濾過ユニット1と、前記直結部3とが連通されている。
【0038】
前記前濾過ユニット1の外装体1aには、MFエレメント100によって処理水と分離された懸濁物を含む排水を排出する懸濁物排出口15が設けられ、該懸濁物排出口15には排水経路16へ接続されているMF濃縮水排出経路33および前記原水槽30へ返送する返送路34が接続されている。
前記MF濃縮水排出経路33および前記返送路34にはそれぞれ開閉手段としての開閉弁V4、V5が取り付けられている。
【0039】
前記被処理水導入経路31には、前記排水経路16と接続されている、逆洗水排出経路32が接続されている。
前記被処理水導入経路31および前記逆洗水排出経路32にはそれぞれ開閉手段としての開閉弁V7,8が取り付けられている。
前記開閉弁V7,8によって、前記被処理水導入経路31および前記逆洗水排出経路32は、被処理水導入経路31から被処理水を前濾過ユニット1に導入する流れと、前記前濾過ユニット1から逆洗浄水を排出する流れとを切り替え可能に構成されている。
【0040】
前記直結部3は、前記前濾過ユニット1の外装体1aと一体的に設けられている円筒状の外装体3aと、前記洗浄水導入口3bとを備えている。
前記直結部3は、前記洗浄水導入口3bに前記洗浄水導入経路7が接続されて内部へ洗浄水を導入するように、構成されている。
前記洗浄水導入経路7には開閉手段としての開閉弁V6が取り付けられている。
【0041】
前記薬品洗浄液供給経路8は、薬品槽40から薬品洗浄液を前記洗浄水導入経路7に供給可能に構成されている。
【0042】
前記薬品槽40には、濾過材を洗浄可能な薬品洗浄液が貯留されている。
薬品洗浄液としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム等の精密濾過膜の有機物等を除去可能な酸化剤を含むものが好ましい。
【0043】
前記洗浄水導入経路7には、前記排水経路16側へ接続された洗浄水排水経路17が接続されている。
前記洗浄水排水経路17には開閉手段としての開閉弁V10が取り付けられており、前記洗浄水排水経路17は、前記洗浄水導入経路7の開閉弁V6と前記開閉弁V10とを開閉することによって前記直結部3へ洗浄水を導入する流れ7aと、排水を排出する流れ7bとが切り替え可能に構成されている。
【0044】
前記逆浸透膜ユニット2は、前記直結部3の外装体と一体的に設けられている円筒状の外装体2aの内部に逆浸透膜からなるROエレメント200が収納されている。
【0045】
すなわち、本実施形態においては、前記前濾過ユニット1の外装体1aと、前記逆浸透膜ユニット2の外装体2aと、前記前記直結部3aの外装体3aとが一体的に構成されており、かかる外装体1a,2a,3aによって形成される同一の収容部内に、前記前濾過ユニット1と前記逆浸透膜ユニット2と前記直結部3とが収容されている。
【0046】
前記ROエレメント200としては芳香族ポリアミド、スルホン化ポリスルホン、酢酸セルロース等の従来公知の逆浸透膜を用いたものを採用することができる。
また、ROエレメントの形状としては、一枚の逆浸透膜がスペーサーと共にロール状に巻かれて形成されたスパイラル膜、中空糸膜等従来公知の形状を採用することができる。
【0047】
前記逆浸透膜ユニット2の下端部には、処理水導入口18が備えられており、該処理水導入口18を介して前記直結部3と逆浸透膜ユニット2内部とが連通されている。
【0048】
前記逆浸透膜ユニット2の上部には、前記ROエレメント200で膜分離された透過水が集水されて排出される透過水排出口20と、前記逆浸透膜エレメントで膜分離された濃縮水を排出する濃縮水排出口21とが備えられている。
【0049】
前記透過水排出口20には、前記透過水移送経路4が接続され、前記透過水移送経路4は、前記逆浸透膜ユニット2から排出された透過水を透過水槽50へ移送すべく構成されている。
【0050】
前記濃縮水排出口21には、前記濃縮水移送経路5が接続され、前記前記濃縮水移送経路5は、前記逆浸透膜ユニット2から排出された濃縮水を排水として排出すべく前記排水経路16へ接続されている。
【0051】
前記透過水移送経路4および前記濃縮水移送経路5には、それぞれ透過水および濃縮水を排出する移送経路を開閉する前記移送経路開閉手段V1,V2としての開閉弁V1,V2が取付けられている。
【0052】
前記濃縮水排出口21に接続されている前記濃縮水移送経路5には前記逆浸透膜洗浄水導入経路6が接続されている。
前記濃縮水移送経路5と前記逆浸透膜洗浄水導入経路6とを切り替えるべく、前記逆浸透膜洗浄水導入経路6には導入経路開閉手段V3としての開閉弁V3が取り付けられている。
【0053】
前記透過水槽50にはポンプP2が設けられており、前記ポンプP2を経て分岐している前記洗浄水導入経路7は、前記直結部3へ洗浄水を導入する流れ7aを形成している。
また、前記ポンプP2は、前記透過水槽50から前記洗浄水導入経路7および前記逆浸透膜洗浄水導入経路6に透過水を導入可能に構成されている。
【0054】
前記被処理水導入経路31には、エア導入経路35が接続され、前記エア導入経路35によって、前記前濾過ユニット1の被処理水導入口14にエアを導入可能である。
【0055】
また、前記被処理水導入経路31には、フラッシング用経路31aが切り替え可能に設けられており、該フラッシング用経路31aは、開閉弁V12と前記被処理水導入経路31に取り付けられた開閉弁V7によって、通常の被処理水導入経路31と、フラッシング用経路31aとを切り替え可能に構成されている。
【0056】
次に前記のような構成からなる水処理装置10を用いて水処理を行う水処理方法について説明する。
【0057】
まず、通常の水処理を行う方法について、図1乃至図3(a)を用いて説明する。
《前濾過工程》
まず、被処理水を、前記前濾過ユニットによって濾過して処理水を得る前濾過工程について説明する。
前記原水槽30から前記ポンプP1によって被処理水を、開閉弁V7を開いて前記被処理水導入経路31を介して移送し、前記被処理水導入口14から前記前濾過ユニット1内へ導入する。
【0058】
前記前濾過ユニット1の被処理水導入口14に導入された被処理水は、前記MFエレメント100に供給される。
前記MFエレメント100を被処理水が通過する際に被処理水中の懸濁物等は前濾過され、MFエレメント100を通過した処理水は、MFエレメント100の上端から前記集水管13へ集水される。
懸濁物を含む排水は、開閉弁V4を開いて、前記MF濃縮水排出経路33を介して排出される。
【0059】
《移送工程》
次に、前記前濾過ユニット1で得られた処理水を前記逆浸透膜ユニット2へ移送する工程について説明する。
移送工程では、前記前濾過工程でMFエレメント100で前濾過された処理水を前記集水管13を介して前記直結部3へ移送する。
一方、前記逆浸透膜ユニット2内では、膜分離によって透過水および濃縮水の排出側への流れが生じる。
【0060】
さらに、前記ポンプP1によって被処理水が前記前濾過ユニット1内に導入されることによって、前記前濾過ユニット1から直結部3への流れが形成される。
従って、前記前濾過ユニット1から直結部3への流れが生じ、さらに、前記逆浸透膜ユニット2内では、直結部3と連通している処理水導入口18において、直結部3側から透過水および濃縮水の排出側への流れが生じる。
よって、かかる流れによって、処理水を前記直結部3から前記逆浸透膜ユニット2へ移送することができる。
【0061】
《逆浸透膜分離工程》
逆浸透膜分離工程では、前記逆浸透膜ユニット2に移送された処理水を、前記ROエレメント200によって透過水と、濃縮水に分離する膜分離を実施する。
まず、前記処理水導入口18から逆浸透膜ユニット2に導入された処理水を、ROエレメント200に供給し、該ROエレメント200によって、透過水と濃縮水とに膜分離する。
ROエレメント200によって分離された透過水を、開閉弁V1を開いて前記透過水排出口20から前記透過水移送経路4を介して排出し、前記透過水槽50へ送る。
一方、ROエレメント200によって分離された前記濃縮水を、開閉弁V2を開いて前記濃縮水排出口21から前記濃縮水移送経路5を介して排出し、前記排水経路16へと移送し、水処理装置外へ排出する。
この逆浸透膜分離工程では、前記濃縮水移送経路5からの濃縮水の排出の流路が開放されているため、前記逆浸透膜洗浄水導入経路6に取り付けられた開閉弁V3は閉じておく。すなわち、逆浸透膜洗浄水を導入する経路は閉じた状態である。
【0062】
《逆浸透膜洗浄工程》
本実施形態の水処理方法においては、前記逆浸透膜ユニット2を洗浄する逆浸透膜洗浄工程を必要に応じて実施してもよい。
逆浸透膜洗浄工程は図3(b)に示すような流れで実施する。
逆浸透膜洗浄工程では、前記逆浸透膜ユニット2の前記透過水移送経路4及び前記濃縮水移送経路5に取り付けられた開閉弁V1,2を閉じて、逆浸透膜ユニット2から透過水および濃縮水の排出を停止しつつ、前記逆浸透膜洗浄水導入経路6に取り付けられた開閉弁V3を開く。
すなわち、透過水および濃縮水の排出経路を閉じて、逆浸透膜洗浄水の導入経路を開ける。
一方、前記洗浄水導入経路7に取り付けられた前記開閉弁V6を閉じて、前記直結部3へ洗浄水を導入する流れ7aを閉じ、前記排水経路16側へ接続された前記洗浄水排水経路17の開閉弁V10を開くことで、前記直結部3から排水を排出する流れ7bを形成する。
【0063】
かかる状態で、前記ポンプP2によって、透過水を第二透過水供給路9bおよび前記逆浸透膜洗浄水導入経路6を介して前記濃縮水排出口21から逆浸透膜ユニット2内へ導入し、ROエレメント200を逆洗浄する。
ROエレメント200を洗浄した洗浄水は、前記直結部3の前記洗浄水導入口3bから排出し、開閉弁V10を開いて流路7bによって前記洗浄水排水経路17から排水経路16へ排出する。
【0064】
《洗浄工程》
次に、前記前濾過ユニットの洗浄工程を実施する場合について図3(c)に従って説明する。
前記逆浸透膜ユニット2の前記透過水移送経路4及び前記濃縮水移送経路5に取り付けられた開閉弁V1,2を閉じて、逆浸透膜ユニット2から透過水側および濃縮水側への水の流れを停止しておく。
【0065】
前記前濾過ユニット1において、前記逆洗浄水排出経路32に取り付けられた開閉弁V8を開き、被処理水導入口14から逆洗浄水を排出する経路を開放する。
【0066】
また、前記薬品槽40から前記薬品洗浄液供給経路8を介して薬品洗浄液を前記洗浄水導入経路7に供給する。
【0067】
前記のような状態で、開閉弁V6を開いて前記透過水槽50からポンプP2によって、第一透過水供給路9aおよび前記洗浄水導入経路7へ透過水を移送する。
前記洗浄水導入経路7では、透過水は前記薬品洗浄液と混合される。該薬品洗浄液と混合された洗浄水を前記直結部3へ導入する。
【0068】
尚、前記薬品洗浄液の供給量は、濾過材を洗浄する際に好ましい濃度になるように適宜調整することが好ましい。
【0069】
前記のように逆浸透膜ユニット2においては、透過水および濃縮水が排出する経路は閉じられているため、前記直結部3から前記逆浸透膜ユニット2側へ洗浄水が流れる流れは停止される。
【0070】
一方、前記前濾過ユニット1においては、被処理水の導入を停止しているため、被処理水導入口14から、集水管13側への流れが停止している。
従って、前記直結部3に導入された薬品洗浄水が混合された洗浄水は、集水管13へ流れ、さらに前濾過ユニット1の被処理水導入口14側へMFエレメント100を逆洗浄しながら流れる。
MFエレメント100を逆洗浄した洗浄水は、前記被処理水導入口14から逆洗水排出経路32をとおり、前記排水経路16へ流れる。
【0071】
前記のような薬品洗浄液による前濾過ユニット1の洗浄を行なった後に、必要に応じて、図4(a)に示すような薬品洗浄水を洗い流す洗浄を行なってもよい。
かかる場合には、前記薬品洗浄液供給経路8からの薬品供給は行わずに、前記洗浄工程と同様に前記透過水槽50から透過水を前記直結部3に導入することで、前濾過ユニット1に残留する薬品洗浄液を洗い流すことができる。
【0072】
《空気洗浄工程》
本実施形態においては、図4(b)に示すような前記前濾過ユニットを空気洗浄する空気洗浄工程を必要に応じて実施してもよい。
空気洗浄工程は、前記前濾過ユニット1の被処理水導入口14から、前濾過ユニット1内に、エアを吹き込むことで実施する。
前記エア導入路35を介して、前記前濾過ユニット1の被処理水導入口14からエアを前記前濾過ユニット1内に導入する。
前記前濾過ユニット1内ではエアによって、MFエレメント100を揺動させて、MFエレメント100表面に付着した懸濁物を除去でき、かかる懸濁物は、開閉弁V4を開いて、前記MF濃縮水排出経路33から排出される。
【0073】
《フラッシング工程》
本実施形態においては、図4(c)に示すような前記前濾過ユニットをフラッシングする工程を必要に応じて実施してもよい。
フラッシングを行なう場合には、原水槽30から処理水をフラッシング用経路31aを経て被処理水導入経路31に導入させる。
この場合、被処理水の流速が通常の被処理水の流速よりも早くなるように調節する。
前記前濾過ユニット1をフラッシングした洗浄水は、前記空気洗浄後と同様に、開閉弁V4を開いて、前記MF濃縮水排出経路33から排水経路16に排出する。
【0074】
尚、前記実施形態では、逆浸透膜ユニットで透過された透過水を、前濾過ユニット、逆浸透膜ユニットの洗浄水として用いたが、透過水を洗浄水として用いることには限定されず、前濾過ユニット用の洗浄水、逆浸透膜用の洗浄水のいずれか一方、又は両方として別途上水や他の水処理装置での処理水を洗浄水として用いてもよい。
前記実施形態のように、逆浸透膜で処理した水は脱塩水であるため前濾過ユニット、逆浸透膜ユニットの洗浄水として使用するのに適している。
【0075】
また、前記実施形態では、濃縮水移送経路と逆浸透膜洗浄水導入経路を切り替え可能に設けて、濃縮水排出口から、濃縮水の排出と逆浸透膜洗浄水の導入とを両方行なう構成にしたが、濃縮水移送経路と逆浸透膜洗浄水導入経路とを同一の濃縮水排出口に接続することには限定されない。
要は、逆浸透膜ユニットの濃縮水排出側に濃縮水を移送する経路と逆浸透膜洗浄水を導入する経路とが切り替え可能に接続されていればよい。
【0076】
さらに、前記実施形態では、洗浄水導入経路7と洗浄水排水経路17とを切り替え可能に設けて、同一の洗浄水導入口から、直結部への洗浄水の導入と逆浸透膜洗浄水の排出とを両方行なう構成にしたが、洗浄水導入経路と洗浄水排水経路とを同一の開口に接続することには限定されない。
要は、直結部に洗浄水を導入する経路と、洗浄水を排出する経路とが切り替え可能に接続されていればよい。
【0077】
また、前記実施形態では、前濾過ユニットの被処理水導入口に、被処理水導入経路と逆洗浄水排出経路とを切り替え可能に設けて、同一の被処理水導入口から、被処理水の導入と逆洗浄水の排出とを両方行なう構成にしたが、被処理水導入経路と逆洗浄水排出経路とを同一の開口に接続することには限定されない。
要は、前濾過ユニットの被処理水導入側に、被処理水を導入する経路と、逆洗洗浄水を排出する経路とが切り替え可能に接続されていればよい。
【0078】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は前記説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
1:前濾過ユニット、2:逆浸透膜ユニット、3:直結部、4:透過水移送経路、5:濃縮水移送経路、6:逆浸透膜洗浄水導入経路、7:洗浄水導入経路、10:水処理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を濾過材で前濾過して処理水を得る前濾過ユニットと、
前記前濾過ユニットで得られた処理水を逆浸透膜で透過水と濃縮水に膜分離する逆浸透膜ユニットと、
前記前濾過ユニットと前記逆浸透膜ユニットとを接続し、前記前濾過ユニットで得られた処理水を前記逆浸透膜ユニットへ移送する直結部と、
前記前濾過ユニットと、前記直結部と、前記逆浸透膜ユニットとを同一収容部内に収容する外装体と、
前記逆浸透膜ユニットから排出される透過水を移送する透過水移送経路と、
前記逆浸透膜ユニットから排出される濃縮水を移送する濃縮水移送経路と、
前記透過水移送経路及び前記濃縮水移送経路を開閉する移送経路開閉手段と、
が備えられ、
前記直結部に洗浄水を導入する洗浄水導入口が備えられていることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記逆浸透膜ユニットの濃縮水を排出する濃縮水排出側に接続された逆浸透膜洗浄水を導入する逆浸透膜洗浄水導入経路と、
前記逆浸透膜洗浄水導入経路を開閉する導入経路開閉手段とが備えられている請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記前濾過ユニットに、精密濾過膜が備えられている請求項1または2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記洗浄水導入口に接続された洗浄水導入経路と、
前記前濾過ユニットを洗浄可能な薬品を前記洗浄水導入経路に供給する薬品洗浄液供給経路とが備えられている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記洗浄水導入経路に前記逆浸透膜ユニットで分離された透過水を供給する手段が備えられている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記逆浸透膜洗浄水導入経路に前記逆浸透膜ユニットで透過された透過水を供給する手段が備えられている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記請求項1乃至6のいずれか一項に記載の水処理装置を用いて行なう水処理方法であって、
前記前濾過ユニットで前濾過して処理水を得る前濾過工程と、
前記直結部を介して移送された処理水を前記逆浸透膜ユニットで透過水と濃縮液とに膜分離する逆浸透膜分離工程と、
前記前濾過ユニットへの被処理水の導入を停止して前記濾過材を洗浄する洗浄工程とを実施する水処理方法であって、
前記洗浄工程が、前記逆浸透膜ユニットからの透過水および濃縮水の排出を停止しつつ、前記直結部に洗浄水を導入し、前記直結部から前記前濾過ユニットへ洗浄水を導入する工程であることを特徴とする水処理方法。
【請求項8】
前記洗浄工程で、前記逆浸透膜ユニットの濃縮水の排出側から逆浸透膜洗浄水を前記逆浸透膜ユニットに導入する請求項7に記載の水処理方法。
【請求項9】
前記洗浄水として前記逆浸透膜ユニットで分離された透過水を用いる請求項7または8に記載の水処理方法。
【請求項10】
前記逆浸透膜洗浄水として前記逆浸透膜ユニットで分離された透過水を用いる請求項7乃至9のいずれか一項に記載の水処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−78746(P2013−78746A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220924(P2011−220924)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】