説明

水処理装置用フィルタの製造方法、水処理装置用フィルタ及び水処理装置

【課題】所望の平均孔径を具備する有機質膜を、製造条件の厳しい管理を行うことなく製造できる、水処理装置用フィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】光硬化性樹脂の原料溶液に光ビームを選択的に照射して、照射された部分の原料溶液を固化した後、この固化した部分の周囲の光硬化性樹脂の原料溶液に光ビームを選択的に照射して、照射された部分の原料溶液を、先に固化した部分と接続するように固化する工程を繰り返して、光ビームの非照射部による複数の細孔を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置用フィルタの製造方法、水処理装置用フィルタ及び水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浄水、医療分野用又は半導体産業用の純水又は薬品類の精製、廃水の浄化、食品や醸造分野その他のバイオ産業における溶液の清澄ろ過、等の水処理には、精密ろ過膜や限外ろ過膜を用いた膜ろ過、膜分離が行われている。
【0003】
これらの精密ろ過膜や限外ろ過膜は、ろ過するための所定の平均孔径を有する多孔質膜であり、材質により有機膜と無機膜に分類される。このうち、有機膜は、成形加工が容易であり、また、無機膜よりも細孔の細孔径とすることができ、調整し得る孔径範囲が広い点で、無機膜よりも有利である。
【0004】
有機膜の多孔質膜よりなる精密ろ過膜や限外ろ過膜は、所望のろ過を実現するための平均孔径を具備しつつ、透水量を増加させることが求められている。しかし、透水量を増やすために空隙率を高めると、ろ過膜の機械的強度が低下すること等により阻止率が低下する場合がある。透水性と阻止率という相反する特性を両立させるために、多孔質の表面の少なくとも一方の表面及び多孔質内部に緻密層を有し、かつ、多孔質の少なくとも一方の表面にある緻密層の平均孔径が10nmから500nmである多孔質膜が提案されている(特許文献1)。この特許文献1に記載されたろ過膜は、重合体溶液から公知の方法により一方の表面に緻密層を有する多孔質樹脂層を作成し、その上に別の重合体溶液を塗布して、表面の緻密層を形成することにより製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−224051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたろ過膜の製造方法においては、不織布などの基材に原料樹脂溶液を塗布して凝固させた後、脱溶媒することで緻密層を有する多孔質樹脂層を形成し、次いでこの多孔質樹脂上に原料樹脂溶液を塗布して凝固させ、脱溶媒することで別の緻密層を形成している。このような脱溶媒により細孔を形成する多孔質膜の製造方法では、精密な孔の制御が困難であり、所望の平均孔径の多孔質膜を得るためには、試行錯誤を積み重ね、ノウハウを得る必要があった。また、所望の平均孔径の多孔質膜を得るための製造条件であっても、必ずしも所望の平均孔径の多孔質膜が得られるとは限らない場合があり、そのため製造後に阻止率の試験やその他の検査によってろ過膜の孔径を調べる手間を要していた。さらに、特許文献1に記載されたろ過膜の製造方法では、原料樹脂溶液を脱溶媒して多孔質膜を形成しているため、脱溶媒により多孔質を形成できる膜素材が限定されていた。
【0007】
本発明は上記の問題を有利に解決するものであり、所望の平均孔径を具備する有機質フィルタを、製造条件の厳しい管理を行うことなく製造できる、水処理装置用フィルタの製造方法を、この製造方法により得られる水処理装置用フィルタ及びこの水処理装置用フィルタろ過膜を備えた水処理装置と共に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る水処理装置用フィルタの製造方法は、光硬化性樹脂の原料溶液に光ビームを選択的に照射して、照射された部分の原料溶液を固化した後、この固化した部分の周囲の光硬化性樹脂の原料溶液に光ビームを選択的に照射して、照射された部分の原料溶液を、先に固化した部分と接続するように固化する工程を繰り返して、光ビームの非照射部による複数の細孔を形成したことを特徴とする。
【0009】
本発明の水処理装置用フィルタの製造方法は、形成される細孔としては、サブミクロンオーダーの平均孔径を有する前記細孔を形成することが、精密ろ過または限外ろ過のために本発明の水処理装置用フィルタを適用することができることから好ましい。
【0010】
また、より好ましくは、光ビームの選択的な照射により光硬化性樹脂の原料溶液の浴面から所定深さまでを選択的に固化させた後、この固化した部分を浴面から所定深さまで降下させ、かつ、光ビームを原料溶液に選択的に照射して、原料溶液の浴面から所定深さまでを、先に固化した部分の上側と接続するようにして固化させる。
【0011】
本発明の水処理装置用フィルタの製造の際には、複数の細孔を備える光硬化性樹脂よりなるフィルタを得た後、このフィルタに機能性表面処理を施すことができる。また、光硬化性樹脂の原料溶液中に機能性材料を含有させた後、光ビームの選択的な照射を行うこともできる。更に、機能性材料を含有する光硬化性樹脂よりなるフィルタを得た後、光硬化性樹脂を加熱分解して、機能性材料を残存させることもできる。
【0012】
本発明に係る水処理装置用フィルタは、上記製造方法により得られたものであって、複数の細孔を備える光硬化性樹脂よりなり、この細孔がサブミクロンオーダーの平均孔径を有する。
【0013】
この本発明に係る水処理装置用フィルタは、水処理装置に好適に適用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る水処理装置用フィルタの製造方法は、光硬化性樹脂を用いて、ビーム径の小さな光ビームの照射によりフィルタの形状を造ると共に細孔を形成するから、形成された細孔の平均孔径は光ビームの照射条件によって制御することができる。したがって、単にフィルタ作成時の光ビームの照射条件の調整により、所望の平均孔径を具備する有機質フィルタを、製造条件の厳しい管理を行うことなく製造できる。
【0015】
本発明に係る水処理装置用フィルタは、光ビームの照射条件によって制御された細孔を備えるから、製造ロットのばらつきが小さいから、信頼性の高いフィルタである。
【0016】
更に、本発明に係る水処理装置は、本発明に係る信頼性の高いフィルタを備えているから、信頼性の高い水処理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の水処理装置用フィルタの製造方法の一実施形態を実施するの製造装置の概略図である。
【図2】本発明に従う製造方法によって得られたフィルタの一例の斜視図である。
【図3】本発明のフィルタを備える水処理装置の一実施形態の断面図である。
【図4】本発明のフィルタを備える水処理装置の別の実施形態の断面図である。
【図5】本発明のフィルタを備える水処理装置の別の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の水処理装置用フィルタの製造方法、水処理装置用フィルタ及び水処理装置の実施形態を、より具体的に説明する。
【0019】
図1(a)は、本発明の水処理装置用フィルタの製造方法の一実施形態を説明するための、製造装置の概略図である。図1(a)に示す製造装置10は、光硬化性樹脂の原料溶液1が収容された樹脂槽11と、樹脂槽11内で製造されるフィルタ2を支持するテーブル12と、樹脂槽11内に収容された光硬化性樹脂の原料溶液1の浴面1a上から当該原料溶液1に向けて光ビームを照射するための光照射装置13とを備えている。テーブル12は、図示しない昇降手段によって、テーブル12の支持部12aを、樹脂槽11内に収容された光硬化性樹脂の原料溶液1の浴面1a近傍から下方へと降下可能になっている。光照射装置13は、光源部13aと、この光源部13aから投光された光を原料溶液1の所定の位置に照射するための照射位置制御部13bとを備えている。光源部13aとしては、例えばUV(紫外線)を照射可能な紫外線レーザがある。
【0020】
このような製造装置10を用いてフィルタ2を製造するには、テーブル12の支持部12aを光硬化性樹脂の原料溶液1の浴面1a近傍に位置するようにテーブル12を上昇させた状態で、光照射装置13からテーブル12の支持部12a上の光硬化性樹脂の原料溶液1に光ビームを照射する。すると、光硬化性樹脂の原料溶液1は、浴面1aから所定の深さまで光硬化する。そこで、所望のフィルタ2の形状になるよう光硬化させるために、製造するフィルタ2の平面形状に従うように光ビームを照射する。この光ビームの位置制御は、光照射装置13の照射位置制御部13bによって行い、浴面1aに平行な面内における照射位置を制御する。本実施形態においては、製造するフィルタ2は概略中空円筒形状を有しているため、照射位置制御部13bによって光ビームUVを浴面1aで円周に沿って移動させつつ光硬化性樹脂の原料溶液1に照射する。また、概略中空円筒形状のフィルタ2の胴部が所定の厚さを具備するように、光ビームUVを当該概略中空円筒形状の直径方向に位置制御して照射する。
【0021】
次に、浴面1aから所定の深さまでの光硬化を完了したら、テーブル12を、光硬化した深さだけ下降させる。この下降させた深さで光照射装置13からテーブル12の支持部12a上の光硬化性樹脂の原料溶液1に光ビームを照射して、固化する部分が、先に光硬化した部分の上側と接続するようにして固化させる。
【0022】
このような光ビームによる浴面から所定深さまでの光硬化と、光硬化後のテーブルの所定深さだけの降下を繰り返して、フィルタ2の構造材の概略中空円筒形状を得るのであるが、本発明の水処理装置用フィルタの製造方法においては、光照射装置13の照射位置制御部13bによって光ビームを浴面1aと平行な面内において円周方向に移動させつつ浴面1aに向けて照射するとき、予め定めた円周上の位置では光ビームの照射を行わないようにする。つまり浴面1aと平行な面内において、円周上での光ビームを移動させつつ光照射する過程で、選択的に、間欠的に光照射を行う。すると、光照射がされた部分はフィルタ2の構造材となるが、光照射がされない部分は、光硬化しないから、細孔となる。つまり、選択的、間欠的に光照射を行うことにより、中空円筒形状のフィルタの周面上に細孔を形成することができる。
【0023】
図1(b)は、図1(a)に示した概略中空円筒形状のフィルタ2の、浴面1a近傍の領域Aの拡大図である。図1(b)に示すように所定の深さdだけ光硬化させた後、この所定の深さdだけフィルタ2を下方に降下させることを繰り返してフィルタ2を形成するとき、光ビーム照射を特定部分では行わないようにした。このことにより、フィルタ2は、胴部の厚さ方向に複数の細孔2aを有している。図示した例では十字形の細孔になっているが、本発明の水処理装置用フィルタの製造方法においては、細孔の形状は特に限定されない。
【0024】
このようにして得られた、本発明の製造方法に従うフィルタは、照射する光ビームの位置制御によって、フィルタに形成される細孔の数(空隙率)、細孔の形状、細孔の平均孔径を自在に制御することができるから、所望の平均孔径を具備する有機質フィルタを、製造条件の厳しい管理を行うことなく製造できる。また、孔径制御は精密に制御することができるから、後工程で所定の孔径を具備しているか否かの検査を省略することができる。
【0025】
また、本発明の製造方法によれば、細孔を規則的に設けることにより、平均孔径のばらつきの小さい、均質で高精度のフィルタを得ることが可能になる。
【0026】
更に、本発明の製造方法によれば、光照射により自由な立体形状にフィルタを製造することができる。更に、フィルタの製造時に有機溶媒が不用であるから環境汚染のおそれがなく、また、脱溶媒処理という工程が不要である。
【0027】
本発明の製造方法によって、サブミクロンオーダーの平均孔径を有する細孔を形成することが好ましい。サブミクロンオーダーの平均孔径を有する細孔を形成することにより、精密ろ過や限界ろ過の用途に好適に適用させることができるからである。そのために、例えば、空孔となる部分である、光照射を行わない部分をサブミクロンオーダーの範囲とすること、フィルタの厚さ方向で細孔の位置をずらすこと、つまりフィルタの厚さ方向に連通する細孔径を、厚み方向の細孔の位置の組み合わせにより小さくすること、光ビーム照射の条件を調整すること、又はこれらの手段の組み合わせを行うことができる。
【0028】
本発明に従い、複数の細孔を備える光硬化性樹脂よりなるフィルタを得た後、このフィルタに機能性表面処理を施すことができる。機能性表面処理としては、酸化チタンの塗布処理、白金の塗布処理、カルボン酸基材料の塗布処理がある。酸化チタンを塗布することにより、フィルタに、抗菌、殺菌、自己洗浄機能を付与させることができる。白金を塗布することにより、フィルタに、触媒機能を付与させることができる。カルボン酸基材料を塗布することにより、フィルタに脱臭機能を付与させることができる。このように機能性表面処理を施すことは、フィルタそれ自身の機能である、ろ過機能だけでなく、表面処理に応じて、親水性、殺菌性、酸化性、還元性、脱臭能、自己洗浄機能等を具備した、高性能フィルタを製造することができる。これらの機能性表面処理は一例として、フィルタの表面粗度化処理を行い、バインダーを塗布した後、これらの機能性材のコーティングを行うことができる。
【0029】
フィルタの製造後に上記機能性表面処理を施す代わりに、又はこの機能性表面処理と組み合わせて、光硬化性樹脂の原料溶液中に機能性材料を含有させることができる。図1において、光硬化性樹脂の原料溶液1中に、機能性材料を予め含有させておく。その後に本発明に従い光ビームの照射を行うことにより、機能性材料を含む光硬化性樹脂を硬化させる。これにより、フィルタの製造後に表面処理を施すことなく、機能性材料が具備する特性を発現させることができる。そのため、省工程が実現できる。また、機能性材料の光硬化性樹脂の原料溶液1への混合比率を調整することで、機能の発現量を制御することができる。さらに、複数の機能性材料を光硬化性樹脂の原料溶液1中に含有させることにより、複数の機能を具備させることができる。このような光硬化性樹脂の原料溶液1中に含有させるのに好適な機能性材料としては、前述した白金や酸化チタンのほか、活性炭や導電性樹脂がある。これらの粉末又は樹脂を光硬化性樹脂の原料溶液1中に混合させる。
【0030】
また、光硬化性樹脂の原料溶液中に機能性材料を含有させる上記実施形態においては、フィルタを得た後、光硬化性樹脂を加熱分解して、機能性材料を残存させることもできる。そうすれば、機能性材料のみからなるフィルタを製造することができる。
【0031】
図2に、本発明に従う製造方法によって得られたフィルタの一例を斜視図で示す。同図(a)に示すフィルタ2は、光硬化性樹脂製であり、中空円筒形状を有し、底面部2bと周面部2cとからなり、上面部2dは開口となっている。そして、この周面部2cに、ろ過用の細孔が形成されている。この細孔は、サブミクロンオーダーの平均孔径を有している。周面部2cの領域Bにおいて形成された細孔の拡大図を図2(b)に示す。図2(b)に示した細孔2aは、十字形の形状を有しているが、本発明のフィルタは、このような形状の細孔を具備するものに限定されない。
【0032】
本発明のフィルタは、光硬化性樹脂製であれば親水性であるか疎水性であるかを問わないので、親水性材料によりフィルタを作成すれば、繰り返し乾燥に耐える、利便性の高いフィルタとすることができる。また、光硬化性樹脂の光硬化によるフィルタ成形は、形状の自由度が高く、後加工をフィルタに施すことなく、自由なフィルタ形状とすることができるので、これまでフィルタの形状如何でフィルタの適用が難しかった用途にまで用途の拡大を図ることができる。また、製造ロットのばらつきが小さいから、信頼性の高いフィルタである。更に、平均孔径の異なる本発明のフィルタを組み合わせることにより、ろ過する原液中に含まれる特定成分のみを選択的に除去、凝縮することが可能となる。
【0033】
次に、本発明のフィルタを備える水処理装置の一実施形態を図3に断面図で示す。図3に示した水処理装置20は、フィルタ2と、このフィルタ2を収容する中空円筒状のフィルタケース21とを備え、フィルタ2の開放端部には、フィルタケース21とフィルタ2との間の流路を封止するパッキン22が配設されている。フィルタ2の構成は、図2に示したフィルタ2の構成と同じであり、同一部材には同一符号を付しているので、以下では重複する説明を省略する。
【0034】
水処理装置20のフィルタケース21の一方の端面に形成された開口21aから原水をフィルタケース21内に取り込み、原水は図中の矢印方向に流れてフィルタ2でろ過して、ろ過処理水をフィルタ2の開口から排出する。
【0035】
本発明の水処理装置は、フィルタの形状の自由度が高いので、水処理装置の設計自由度が高い。また、フィルタの信頼性が高いので、信頼性の高い水処理をすることができる。さらに、孔径の異なる複数のフィルタを組み合わせて一つの水処理処理で用いることにより、水処理前の原水に含まれる特定成分のみを除去、濃縮する装置を実現できる。
【0036】
次に、本発明のフィルタを備える水処理装置の別の実施形態として、孔径の異なる複数のフィルタを組み合わせて用いた例を図4に断面図で示す。図4に示した水処理装置30は、本発明に従う第1のフィルタ3と、本発明に従う第2のフィルタ4とを備え、この第1のフィルタ3と第2のフィルタ4とが入れ子状態でフィルタケース21内に収容されている。それ以外の構成は図3に示した水処理装置20と同様であり、同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0037】
図4(a)のA−A線視断面図を同図(b)に示すように、第1のフィルタ3は、第2のフィルタ4よりも外側に設けてあり、第2のフィルタ4よりも平均孔径が大きい。第二のフィルタ4は、第1のフィルタ3よりも内側に設けてあり、第1のフィルタ3よりも平均孔径が小さい。
【0038】
図4に示した水処理装置では、原水中に含まれる複数成分のうちから、第1のフィルタ3は通過するが第2のフィルタ4は通過できない粒子径の成分と、第1のフィルタ3及び第2のフィルタ4を共に通過できる粒子径の成分とを分離して取得することができる。したがって、例えば金コロイドやアミノ酸等の有価物を粒子径に応じた複数種で回収することができる。
【0039】
次に本発明のフィルタを備える水処理装置の別の実施形態として、機能性表面処理を施したフィルタを用いた例を図5に断面図で示す。図5に示した水処理装置40は、本発明に従うフィルタ5を備えている。このフィルタ5は、機能性表面処理材の一例として酸化チタン光触媒がフィルタ表面の全面にわたって形成されている。また、水処理装置40のフィルタ5の内部空間に、UVランプ23が挿入されていて、このUVランプ23に電源から配線(図示せず)を通して電力を供給することによりフィルタ5の内部空間に紫外線を照射可能となっている。それ以外の構成は図3に示した水処理装置20と同様であり、同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0040】
図5に示した水処理装置40は、原水がフィルタ5の内部空間に導入され、フィルタ5の外周面側にろ過処理水が排出される。フィルタ5によりフィルタ5の内周面にトラップされた有機物は、UVランプ23からの紫外線を受けるとともに、フィルタ5の表面に形成された酸化チタンによる光触媒活性により酸化分解されることから、フィルタ5は常に清浄な状態に保たれる。この結果、洗浄頻度が少なくて済み、性能が長時間維持できる、優れた水処理装置とすることができる。
【0041】
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、上記実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0042】
2 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性樹脂の原料溶液に光ビームを選択的に照射して、照射された部分の原料溶液を固化した後、この固化した部分の周囲の光硬化性樹脂の原料溶液に光ビームを選択的に照射して、照射された部分の原料溶液を、先に固化した部分と接続するように固化する工程を繰り返して、光ビームの非照射部による複数の細孔を形成したことを特徴とする水処理装置用フィルタの製造方法。
【請求項2】
サブミクロンオーダーの平均孔径を有する前記細孔を形成することを特徴とする請求項1に記載の水処理装置用フィルタの製造方法。
【請求項3】
光ビームの選択的な照射により光硬化性樹脂の原料溶液の浴面から所定深さまでを選択的に固化させた後、この固化した部分を浴面から所定深さまで降下させ、かつ、光ビームを原料溶液に選択的に照射して、原料溶液の浴面から所定深さまでを、先に固化した部分の上側と接続するように固化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の水処理装置用フィルタの製造方法。
【請求項4】
複数の細孔を備える光硬化性樹脂よりなるフィルタを得た後、このフィルタに機能性表面処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の水処理装置用フィルタの製造方法。
【請求項5】
光硬化性樹脂の原料溶液中に機能性材料を含有させた後、光ビームの選択的な照射を行うことを特徴とする請求項1に記載の水処理装置用フィルタの製造方法。
【請求項6】
機能性材料を含有する光硬化性樹脂よりなるフィルタを得た後、光硬化性樹脂を加熱分解して、機能性材料を残存させることを特徴とする請求項5に記載の水処理装置用フィルタの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法によって得られたフィルタであって、複数の細孔を備える光硬化性樹脂よりなり、この細孔がサブミクロンオーダーの平均孔径を有することを特徴とする水処理装置用フィルタ。
【請求項8】
請求項7に記載の水処理装置用フィルタを備えたことを特徴とする水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−214229(P2010−214229A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60835(P2009−60835)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】