説明

水分散型バインダー、導電材、およびフルオロエチレンカーボネートを含むリチウム二次電池

【課題】本発明はリチウム二次電池に関する。
【解決手段】本発明は、正極、負極、および非水電解液を含むリチウム二次電池において、上記負極は、水分散型バインダーおよび導電材を含み、上記非水電解液は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を含むことを特徴とする。本発明の電池は、高率充電寿命特性を有し、短時間内に高容量充電が可能であるという効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高率充電寿命特性を有し、短時間内に高容量充電が可能なリチウム二次電池に関し、特に、水分散型バインダー、導電材、およびフルオロエチレンカーボネートを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池の製造に主に用いれる電極バインダーとしては、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene flouride、以下、PVDF)系高分子であって、PVDFホモポリマー(homopolymer)とポリビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride hexafluoropropylene)共重合体(韓国特開第2001-0055968号)とポリビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン共重合体などがある。
【0003】
このようなPVDF系高分子は、化学的及び電気化学的に安定であるという利点を有しているが、NMP(N-methyl-2-pyrrolidone)のような有機溶媒に溶解させてバインダー組成物として用いなければならないため、有機溶媒による環境的な問題があり得る。
【0004】
なお、安全性が劣るため危険であり、液体電解質との低い親和性によって電極性能の低下の根本的な原因となる。
【0005】
しかも、活物質の周りを囲んだまま作用することにより活物質など無機物粒子との結着特性は優れるものの、金属のような集電体との接着力が良くないので、十分な接着力を発揮および維持するためには、多量を投入しなければならないという欠点がある。
【0006】
上記のような問題点を解決するために、水を分散媒(すなわち、溶媒)とする水分散型電極組成物が提案されている。この場合、上述したPVDF系バインダーの代りに水分散型バインダーが用いられる。このような水分散型バインダーとしてはスチレンブタジエンゴム(SBR)が主に用いられる。水分散型バインダーを用いた電極は、非水系(有機溶剤系)バインダーに比べて少量であっても、結着効果が大きく、同一な体積当たりの活物質の比率を高めることができるので、高容量、長寿名特性などを付与することができる。したがって、今後、水分散型バインダーを用いる負極を採用した電池が主流になることが予想される。
【0007】
水を分散媒にして二次電池の負極を作製する従来の工程についての内容は下記非特許文献1を参考にする。非特許文献1には、リチウムイオン電池の負極材料の天然黒鉛(natural graphite)の水系懸濁液の製造工程でカルボキシメチルセルロース(CMC)とスチレンブタジエンゴム(SBR)とが懸濁液の安定性に及ぼす影響;有機添加剤による懸濁液の分散安定性を評価するために動電学的(electrokinetic)挙動と流動学的挙動;as-castsheetの成形微細構造と気孔率との相互関連性に関するもの等が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「リチウムイオン電池の負極材料の水系懸濁液の製造工程および電池特性の評価」、イ・ジンヒョン著、修士学位論文、ハンヤン大学校大学院、2005年。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、非水系溶媒で作製する負極における従来技術の問題点を解決するために、水分散型溶媒で負極を作製する技術が提案されているが、これにも問題点はある。
【0010】
水を電極スラリーの溶媒として用い、水分散型バインダーを用いる負極は、伝導特性に優れ、別の導電材を電極に使用する必要がないという利点があるが、電極の乾燥過程で他の条件が最適化されないと、電極の電気伝導度が低下する欠点もあるという問題点を有している。
【0011】
なお、従来の水分散型バインダーを用いる負極は、高率充電寿命特性および単位時間当たりの高容量充電速度においても満足するほどの性能を出すことができないという問題点もある。
【0012】
これにより、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するため、水系負極に導電材を添加して負極の特性を向上させ、電解液に特定の添加剤を適用して高率充電寿命特性および短時間内に高容量の充電が可能な電池を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、正極、負極、および非水電解液を含むリチウム二次電池において、
上記負極は、水分散型バインダーおよび導電材を含み、
上記非水電解液は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を含むことを特徴とするリチウム二次電池を提供する。
【0014】
なお、本発明において、上記非水電解液は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)が全電解液に対し10〜15重量%含まれることを特徴とするリチウム二次電池を提供する。
【0015】
なお、本発明において、上記非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)が全電解液に対し85〜90重量%含まれることを特徴とするリチウム二次電池を提供する。
【0016】
なお、本発明において、上記導電材は、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛から選ばれる1種もしくは2種以上組み合わせて用いることを特徴とするリチウム二次電池を提供する。
【0017】
なお、本発明において、上記導電材は、0.2〜0.8重量%含まれることを特徴とするリチウム二次電池を提供する。
【0018】
なお、本発明において、上記水系バインダーは、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種もしくは2種以上組み合わせて用いることを特徴とするリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電池は、高率充電寿命特性を有し、短時間内に高容量充電が可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明における実施例および比較例のサイクル特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0022】
本発明は、
正極、負極、および非水電解液を含むリチウム二次電池において、
上記負極は、水分散型バインダーおよび導電材を含み、
上記非水電解液は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明において、上記負極は水分散型バインダーを含む。
【0024】
通常、負極は、負極活物質、バインダーなどを溶媒と適宜割合で均一に混合して負極形成用混合物を製造し、上記負極形成用混合物を集電体に塗布した後、これを乾燥圧着して作製する。この時、一般に、溶媒は非水系溶媒を使用する。これは、非水系溶媒が活物質間結着力の確保の面から有利であるためである。
【0025】
しかしながら、有機溶媒自体は環境的な問題を惹起し得るのみでなく、液体電解液との低い親和性により電極性能の低下の根本的な原因となる。
【0026】
したがって、本発明の負極は、従来とは異なり、溶媒として水を使用して製造されたものを用いた。但し、この場合、負極活物質の結着のために含まれるバインダーは、非水系溶媒に広く使用されるものを用いることができず、水分散型バインダーのみを用いなければならないので、制限的な面がある。
【0027】
これにより、本発明において、上記水分散バインダーは、従来に広く使用されていた水分散型バインダーを制限なく用いることができる。上記水分散型バインダーとして、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロースから選ばれる1種もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、上記負極バインダーとしてスチレンブタジエンゴムおよびカルボキシメチルセルロースを適宜混合したものを用いることが望ましい。
【0028】
上記水分散型バインダーは、全電極組成物に対し1〜4重量%を使用することが望ましい。1重量%未満であると、活物質の接着力が弱くなり、これにより充放電過程で活物質の脱離が起こる恐れがある。4重量%を超えると、活物質の量が低減するので、電池容量の面で望ましくない。
【0029】
また、本発明において、上記負極は導電材を含む。
【0030】
通常、負極の製造時に用いられる溶媒が水である場合、すなわち、水分散型溶媒である場合、別の導電材を使用しなかった。これは、水分散型溶媒および水分散型バインダーを用いて作製された負極の場合、それ自体も伝導特性に優れており、別の導電材を使用する必要性がなかったためである。
【0031】
ところが、水分散型溶媒および水分散型バインダーを用いる負極は、乾燥環境下で電極の伝導度が低下するという問題点がある。本発明者は、水分散型溶媒および水分散型バインダーを用いた負極の場合においても、導電材を適当量添加すると乾燥環境下でも充電特性、特に高率充電特性が向上するということを見出した。
これにより、本発明では、上記負極に水分散型バインダーと共に導電材を含む。
【0032】
上記導電材は、0.2〜0.8重量%含まれることが望ましい。0.8重量%を超えると電極活物質の量が減少するので、電池容量の面で望ましくなく、又、増加する導電材の量だけバインダーの量が減少するので、電極活物質の接着力を維持する面でも望ましくない。導電材が0.2重量%未満であると、伝導度の向上効果が少なく、高率充電特性を発揮できない恐れがある。
【0033】
上記導電材は、電極の製造に使用される通常のものなどを制限なく用いることができる。上記導電材としてはアセチレンブラック、カーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、ケッチェンブラック、炭素繊維などから選ばれる1種もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、又、ポリフェニレン誘導体などの導電性材料を混合して用いることができる。
【0034】
本発明に係るリチウム二次電池に含まれる負極は、負極活物質、水分散型バインダーおよび導電材を含む混合物を集電体に塗布した後、溶媒(水)を乾燥させて得ることができる。
【0035】
上記負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、炭素繊維、難黒鉛化性炭素、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、活性炭などの炭素および黒鉛材料と、リチウムとの合金が可能なAl、Si、Sn、Ag、Bi、Mg、Zn、In、Ge、Pb、Pd、Pt、及びTiなどの金属およびこのような元素を含む化合物と、金属およびその化合物と炭素および黒鉛材料の複化合物と、リチウム含有窒化物などが挙げられるが、これらに制限されない。
【0036】
特に、負極活物質が、溶媒である水に円滑に噴射されるためには、負極活物質の粒径がナノサイズであることが望ましく、具体的には5〜30μmであることが望ましい。
【0037】
上記負極混合物は、負極の膨張を抑制する成分として、選択的に、充填材を含むことができる。上記充填材は、当該電池に化学的変化を誘発しない繊維状材料であれば、特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が用いられる。
【0038】
本発明の上記非水電解液に含まれる上記フルオロエチレンカーボネート(FEC)は、非水電解液に添加剤として含まれる成分である。
【0039】
本発明者は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を非水電解液に添加剤として含ませると、二次電池が高率寿命特性を有し、単位時間当り高容量充電が可能となるということを見出した。これは、フルオロエチレンカーボネート(FEC)が電子吸引作用の強いフッ素を含み、電池の初期充電時に誘電率が高く、リチウムイオン伝導性に優れたSEI膜を形成できるためだと推定される。実際に、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を非水電解液に添加剤として含ませる場合 、電池の単位時間当り充電特性およびサイクル特性が向上することが確認できた(これについては後述する実施例を参照)。
【0040】
上記フルオロエチレンカーボネート(FEC)は全非水電解液に対し10〜15重量%含まれることが望ましい。
【0041】
10重量%未満であると、長時間のサイクル進行の間フルオロエチレンカーボネートが消耗するため、サイクルの後半部にその量が不足する可能性があることから好ましくない。
【0042】
15重量%を超えると、高コストのフルオロエチレンカーボネート(FEC)の過剰使用により電池の原価上昇の恐れがあるのみでなく、正極の抵抗を過度に増加させて高率放電時の電池性能が低下する恐れがあるため好ましくない。
【0043】
上記フルオロエチレンカーボネート(FEC)と共に非水電解液の構成成分になるベース溶媒は、通常、電極の製造に使用されるものを制限なく用いることができる。このようなベース溶媒は、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロキシフラン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、エチルメチルカーボネート(EMC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ペンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、およびプロピオン酸ブチルからなる群より選ばれる1つ以上を用いることができる。本発明の一実施例では、エチレンカーボネート(EC)が85〜90重量%含まれるものを用いた。
【0044】
また、上記非水系電解質には、充放電特性、難燃性などの改善を目的にその他添加剤がさらに含まれる。このようなその他添加剤の例として、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グリム(glyme)、ヘキサ燐酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが挙げられる。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませても良く、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませても良い。
【0045】
本発明に係るリチウム二次電池中の他の構成要素について説明する。
【0046】
正極は、正極集電体上に正極活物質、導電材およびバインダーの混合物を塗布した後乾燥することにより製造でき、必要に応じては、上記混合物に充填材をさらに含んでも良い。
【0047】
上記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)等の層状化合物や1又はそれ以上の移転金属で置換された化合物と、一般式Li1+xMn2−x(ここで、xは0〜0.33である。)、LiMnO、LiMn、LiMnO等のリチウムマンガン酸化物と、リチウム銅酸化物(LiCuO)と、LiV、LiFe、V、Cu等のバナジウム酸化物と、一般式LiNi1−x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B又はGaであり、x=0.01〜0.3である。)で表されるニッケルサイト型リチウムニッケル酸化物(lithiated nickel oxid)と、一般式LiMn2−x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、Zn又はTaであり、x=0.01〜0.1である。)又はLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、Cu又はZnである。)で表されるリチウムマンガン複合酸化物と、一般式のリチウムの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMnと、ジスルフィド化合物と、Fe(MoO)などが挙げられるが、これらに限定されない。 上記正極集電体は、一般に3〜500μmの厚さに作る。このような正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発させず、高い導電性を有するものであれば特に制限されなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、 焼成炭素、又は、アルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀等で表面処理したもの等を用いることができる。集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイール、ネット、多孔質体、 発泡体、不織布体など様々な形態が可能である。
【0048】
正極活物質用バインダーは、活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合に助力する成分であり、通常、正極混合物の全体重量を基準として1〜50重量%が添加される。このようなバインダーとして、上記高分子量ポリアクリロニトリル-アクリル酸共重合体を用いることができるが、これに限定されるのではない。他の例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン ブチレンゴム、フッ素ゴムなど様々な共重合体などが挙げられる。
【0049】
その他導電材および充填材は、先立って負極と関連して説明した内容と同一である。
【0050】
セパレータは、正極と負極との間に介して高いイオン透過度と機械的強度を有する絶縁性薄膜が用いられる。セパレータの気孔径は一般に0.01〜10μmであり、厚さは一般に5〜300μmである。このようなセパレータとしては、例えば、耐化学性および疏水性を有するポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマーと、ガラス繊維又はポリエチレン等で作られたシートや不織布などが用いられる。
【0051】
本発明の二次電池は、上記正極及び負極をセパレータと交互に積層した電極組立体を電池ケースなどの外装材に電解液と共に収納してシールすることにより製造できる。
【0052】
二次電池の製造方法は通常の方法を制限なく用いることができる。
【0053】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0054】
実施例1
(負極の製造)
グラファイトとバインダーとを混合した組成物に導電性カーボンを入れ、これを水に分散させてスラリーを製造した後(グラファイト:バインダー(SBR):導電性カーボン(Super-P) = 98.6:1:0.4の重量比)、このスラリーを銅ホイールにコーティングし、130℃で十分に乾燥させ、プレスして負極を製造した。負極は厚さが約135μmであった。
【0055】
(正極の製造)
LiCoO:カーボンブラック:PVdF = 95:2.5:2.5の重量比でNMPに分散させてスラリーを製造した後、このスラリーをアルミホイルにコーティングし、130℃で十分に乾燥させ、プレスして正極を製造した。正極は厚さが約140μmであった。
【0056】
(電池の製造)
上記正極と負極との間にポリプロピレンセパレータを積層し、これを電池ケースに収納した後、エチレンカーボネート(EC):フルオロエチレンカーボネート(FEC) = 90:10の重量比の電解液を注入し、電池ケースをシールして最終的に電池を作製した。
【0057】
実施例2
(負極および正極の製造)
上記実施例1と同一である。
【0058】
(電池の製造)
上記正極と負極との間にポリプロピレンセパレータを積層し、これを電池ケースに収納した後、エチレンカーボネート(EC):フルオロエチレンカーボネート(FEC) = 85:15の重量比の電解液を注入し、電池ケースをシールして最終的に電池を作製した。
【0059】
実施例3
(負極の製造)
グラファイトとバインダーとを混合した組成物に導電性カーボンを入れ、これを水に分散させてスラリーを製造した後(グラファイト:バインダー(SBR):導電性カーボン(Super-P) = 95.6:4:0.4の重量比)、このスラリーを銅ホイールにコーティングし、130℃で十分に乾燥させ、プレスして負極を製造した。負極は厚さが約135μmであった。
【0060】
(正極および電池の製造)
上記実施例1と同一である。
【0061】
実施例4
(負極および正極の製造)
上記実施例3と同一である。
【0062】
(電池の製造)
上記正極と負極との間にポリプロピレンセパレータを積層し、これを電池ケースに収納した後、エチレンカーボネート(EC):フルオロエチレンカーボネート(FEC) = 85:15の重量比の電解液を注入し、電池ケースをシールして最終的に電池を作製した。
【0063】
比較例1
(負極の製造)
グラファイト:バインダー(SBR) = 97:3.0の重量比で水に分散させてスラリーを製造した後、このスラリーを銅ホイールにコーティングし、130℃で十分に乾燥させ、プレスして負極を製造した。負極は厚さが約135μmであった。
【0064】
(正極の製造)
LiCoO:カーボンブラック:PVdF = 95:2.5:2.5の重量比でNMPに分散させてスラリーを製造した後、このスラリーをアルミホイルにコーティングし、130℃で十分に乾燥させ、プレスして正極を製造した。正極は厚さが約140μmであった。
【0065】
(電池の製造)
上記正極と負極との間にポリプロピレンセパレータを積層し、これを電池ケースに収納した後、エチレンカーボネート(EC)電解液を注入し、電池ケースをシールして最終的に電池を作製した。
【0066】
比較例2
(負極の製造)
グラファイト:バインダー(SBR):導電性カーボン(Super-P) = 98.6:1:0.4の重量比で水に分散させてスラリーを製造した後、このスラリーを銅ホイールにコーティングし、130℃で十分に乾燥させ、プレスして負極を製造した。負極は厚さが約135μmであった。
【0067】
(正極の製造)
上記比較例1と同一である。
【0068】
(電池の製造)
上記正極と負極との間にポリプロピレンセパレータを積層し、これを電池ケースに収納した後、エチレンカーボネート(EC):フルオロエチレンカーボネート(FEC) = 80:20の重量比の電解液を注入し、電池ケースをシールして最終的に電池を作製した。
【0069】
比較例3
(負極の製造)
グラファイト:バインダー(SBR):導電性カーボン(Super-P) = 99.6:0:0.4の重量比で水に分散させてスラリーを製造した後、このスラリーを銅ホイールにコーティングし、130℃で十分に乾燥させ、プレスして負極を製造した。負極は厚さが約135μmであった。
【0070】
(正極の製造)
上記比較例1と同一である。
【0071】
(電池の製造)
上記正極と負極との間にポリプロピレンセパレータを積層し、これを電池ケースに収納した後、エチレンカーボネート(EC):フルオロエチレンカーボネート(FEC) = 90:10の重量比の電解液を注入し、電池ケースをシールして最終的に電池を作製した。
【0072】
比較例4
(負極の製造)
グラファイト:バインダー(SBR):導電性カーボン(Super-P) = 92.6:7:0.4の重量比で水に分散させてスラリーを製造した後、このスラリーを銅ホイールにコーティングし、130℃で十分に乾燥させ、プレスして負極を製造した。負極は厚さが約135μmであった。
【0073】
(正極および電池の製造)
上記比較例3と同一である。
【0074】
上記実施例および比較例による負極および電解液の組成比は下記の表1に示す。
【表1】

(単位:重量%)
【0075】
上記各組成で製造された比較例および実施例による電池を対象として充放電実験を施した。実験の精密度を高めるために、上記実施例による電池は同じ方法で各2つずつ作製して同じ実験を繰り返した。充放電実験条件は下記の通りであり、実験結果は図1および表2のようである。
* 充放電実験条件
- charge:(CC/CV mode)、1.3C / 4.2V、end current 50mA
- discharge:(CC mode)、1.0C / 3.0V cut-off
【表2】

【0076】
上記表2に示したように、実施例による電池は、比較例に比べて単位時間当りの充電比率が高く、図1に示したように、サイクル特性も比較例に比べて優れた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極、および非水電解液を含むリチウム二次電池において、
上記負極は、水分散型バインダーおよび導電材を含み、
上記非水電解液は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を含むことを特徴とするリチウム二次電池。
【請求項2】
上記非水電解液は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)が全電解液に対し10〜15重量%含まれることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項3】
上記非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)が全電解液に対し85〜90重量%含まれることを特徴とする請求項2に記載のリチウム二次電池。
【請求項4】
上記導電材は、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛から選ばれる1種もしくは2種以上組み合わせて用いることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項5】
上記導電材は0.2〜0.8重量%含まれることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項6】
上記水分散型バインダーは、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種もしくは2種以上組み合わせて用いることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。

【図1】
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【公表番号】特表2012−531025(P2012−531025A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517417(P2012−517417)
【出願日】平成22年7月19日(2010.7.19)
【国際出願番号】PCT/KR2010/004688
【国際公開番号】WO2011/008056
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(504111015)エルジー ケム. エルティーディ. (38)
【Fターム(参考)】