説明

水分散型粘着剤組成物、粘着剤および粘着シート

【課題】非極性被着体への接着性に優れ、且つ低温においても特性を損なわない粘着剤を形成し得る水分散型粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る水分散型粘着剤組成物は、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体組成物を重合して得られた(メタ)アクリル系重合体と、前記(メタ)アクリル系重合体と非相溶であり、且つ周波数1Hzの剪断ひずみで動的粘弾性測定により測定された、損失正接のピーク温度が−5℃以下であるゴム成分を含有するラテックスと、前記ゴム成分と相溶し、且つ前記(メタ)アクリル系重合体と非相溶である粘着付与剤とを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤等に用いられる水分散型粘着剤組成物、並びに該組成物を用いた、粘着剤および粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境負荷の観点から、有機溶剤の使用を低減することが望まれており、粘着シートに積層される粘着剤組成物についても、溶媒として有機溶剤を使用する溶剤型粘着剤組成物から、分散媒として水を使用する水分散型粘着剤組成物への転換が図られている。
【0003】
このような粘着剤としては、その汎用性からアクリル系粘着剤が広く使用されている。しかしながら、アクリル系粘着剤は、一般的にポリエチレンやポリプロピレンのような非極性被着体への接着性に乏しいという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するために、高軟化点の粘着付与樹脂を添加する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、アクリル系重合体とゴム系粘着剤とを含有し、さらにロジン系の粘着付与樹脂を配合することにより、非極性被着体に対して低温下でも良好な接着性を示す粘着剤が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平3−34786号公報
【特許文献2】特開2008−163095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1〜2に記載のエマルション型粘着剤よりも、低温における非極性被着体に対する接着力に優れた粘着剤を形成し得る水分散型粘着剤組成物が求められている。
【0007】
本発明の目的は、ポリエチレンやポリプロピレンのような非極性被着体への接着性に優れ、且つ低温においても特性を損なわない粘着剤を形成し得る水分散型粘着剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は前記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、(メタ)アクリル系重合体と、前記(メタ)アクリル系重合体と非相溶であり、且つ低ガラス転移温度を有するゴム成分を含有するラテックスと、粘着付与剤とを含有する水分散型粘着剤組成物において、粘着付与剤として、ゴム成分と相溶し、且つアクリル系重合体と非相溶である粘着付与剤を用いて水分散型粘着剤組成物を形成させることによって、非極性被着体への接着性に優れ、且つ低温においてもその特性を損なわない粘着剤を形成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
尚、特許文献2に記載の水性粘着剤組成物では、アクリル系重合体に相溶する粘着付与樹脂を使用しているために、ゴム系粘着剤成分の弾性率を十分に下げることができず、十分な接着力が得られないと考えられる。また、粘着付与樹脂がアクリル系重合体に相溶することにより、アクリル系重合体のTgが上昇し、低温下でのアクリル系重合体の弾性率が高くなってしまうことも、十分な接着力が得られない要因の1つと考えられる。
【0010】
即ち、本発明に係る水分散型粘着剤組成物は、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体組成物を重合して得られた(メタ)アクリル系重合体と、前記(メタ)アクリル系重合体と非相溶であり、且つ周波数1Hzの剪断ひずみで動的粘弾性測定により測定された、損失正接のピーク温度が−5℃以下であるゴム成分を含有するラテックスと、前記ゴム成分と相溶し、且つ前記(メタ)アクリル系重合体と非相溶である粘着付与剤と、を含有する。
【0011】
本発明に係る水分散型粘着剤組成物では、前記(メタ)アクリル系重合体と前記ラテックスとの配合比((メタ)アクリル系重合体/ゴム系ラテックス)は、固形分で95/5〜25/75の範囲内であることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る水分散型粘着剤組成物では、前記粘着付与剤を、前記ラテックスの固形分100重量部に対して5〜100重量部の範囲内含有することが好ましい。
【0013】
さらには、本発明に係る水分散型粘着剤組成物では、前乾燥後における前記水分散型粘着剤組成物の、周波数1Hzの剪断ひずみで動的粘弾性測定により測定された、−15〜25℃の範囲における貯蔵弾性率が1MPa以下であることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る水分散型粘着剤組成物では、前記ラテックスに含まれるゴム成分が、天然ゴム、合成ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0015】
さらには、本発明に係る水分散型粘着剤組成物では、前記粘着付与剤の軟化点が80〜150℃であることが好ましい。
【0016】
本発明に係る粘着剤は、上述した本発明に係る水分散型粘着剤組成物を用いて形成されたものである。
【0017】
本発明に係る粘着シートは、上述した本発明に係る水分散型粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ポリエチレンやポリプロピレンのような非極性被着体への接着性に優れ、且つ低温においても特性を損なわない粘着剤を形成し得る水分散型粘着剤組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例2で用いた(メタ)アクリル系重合体とゴム成分との相溶性の確認結果を示すグラフである。
【図2】実施例2で得られた粘着シートのTEM画像を示す図である。
【図3】本実施の形態に係る粘着シートの概略構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0021】
尚、本明細書では、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを意味し、本明細書で挙げられている各種物性は、特に断りの無い限り後述する実施例に記載の方法により測定した値を意味する。また、本明細書において、「(メタ)アクリル系重合体」等における「(メタ)アクリル」は「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味する。さらには、本明細書における「水分散型」とは、少なくとも一部の成分が水に分散している形態を意味し、例えば、「水分散型粘着剤組成物」とは、粘着剤組成物と水とを含有し、当該粘着剤組成物の一部が、水に分散した状態の組成物であることを意味する。尚、当該「分散」とは、成分の少なくとも一部が水に溶解していない状態を意味し、懸濁した状態や、乳化した状態も含まれる。
【0022】
(I)水分散型粘着剤組成物
本発明に係る水分散型粘着剤組成物は、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体組成物を重合して得られた(メタ)アクリル系重合体と、前記(メタ)アクリル系重合体と非相溶であり、且つ周波数1Hzの剪断ひずみで動的粘弾性測定により測定された、損失正接のピーク温度が−5℃以下であるゴム成分を含有するラテックスと、前記ゴム成分と相溶し、且つ前記(メタ)アクリル系重合体と非相溶である粘着付与剤と、を含有する。
【0023】
ゴム成分は非極性被着体への接着性に優れており、また、前記ゴム成分はTgが−25℃以下と低いため、低温での弾性率が低く、低温環境下での被着体への濡れ性に優れている。
【0024】
また、本発明に係る水分散型粘着剤組成物では、(メタ)アクリル系重合体とゴム成分とが非相溶であるため、粘着剤層を形成した場合に、粘着剤層中で(メタ)アクリル系重合体から主に構成されるアクリル相と、ゴム成分から主に構成されるゴム相とが海島構造を形成すると考えられる。その結果、粘着剤層表面にはアクリル相とゴム相とがそれぞれ存在すると考えられ、アクリル相がSUS等の極性被着体に対する接着性を確保し、ゴム相がポリプロピレン(PP)等の非極性被着体に対する接着性や低温接着性を付与すると考えられる。
【0025】
さらには、本発明に係る水分散型粘着剤組成物では、ゴム成分に相溶し、且つ(メタ)アクリル系重合体と非相溶である粘着付与剤を含むため、低温を含む広い温度範囲において、ゴム相の弾性率が低下し、被着体への濡れ性が向上して更に良好な接着力が得られると考えられる。
【0026】
以下、各成分について説明する。
【0027】
(i)(メタ)アクリル系重合体
前記(メタ)アクリル系重合体は、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体組成物を重合して得ることができる。尚、前記単量体組成物には、所望により官能基含有不飽和単量体や、(メタ)アクリル酸アルキルエステルや官能基含有不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体を含有させてもよい。
【0028】
アルキル基の炭素数が1〜18の前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、下記の一般式(1)で表わされる化合物が挙げられる。
【0029】
【化1】

【0030】
(一般式(1)中、R1は、水素原子またはメチル基であり、R2は、炭素数1〜18の直鎖または分岐状のアルキル基を示す。)
一般式(1)におけるR2として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、2−エチルへキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0031】
一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等が挙げられる。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数は、2〜18であることがより好ましく、4〜12であることがさらに好ましい。
【0033】
上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、単量体組成物の合計量100重量部に対して、例えば、60〜99.5重量部、好ましくは70〜99重量部とすることができる。
【0034】
また、前記官能基含有不飽和単量体としては、例えば、カルボキシル基含有不飽和単量体が挙げられる。
【0035】
カルボキシル基含有不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和カルボン酸;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸等の不飽和ジカルボン酸モノエステル;2−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、2−メタクリロイルオキシエチルピロメリット酸等の不飽和トリカルボン酸モノエステル;カルボキシエチルアクリレート(β−カルボキシエチルアクリレート等)、カルボキシペンチルアクリレート等のカルボキシアルキルアクリレート;アクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー;無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水フマル酸等の不飽和ジカルボン酸無水物等、が挙げられる。
【0036】
また、カルボキシル基含有不飽和単量体以外の前記官能基含有不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等のアミノ基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等のグリシジル基含有不飽和単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有不飽和単量体;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド基含有単量体;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド基含有単量体;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド基含有単量体;N−ビニルピロリドン、N−(1−メチルビニル)ピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、(メタ)アクリロイルモルホリン等のビニル基含有複素環化合物;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェイト等のリン酸基含有不飽和単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の官能性単量体、その他N−ビニルカルボン酸アミド等が挙げられる。
【0037】
前記官能基含有不飽和単量体の配合割合は、単量体組成物の合計量100重量部に対して、例えば、0.5〜12重量部、好ましくは、1〜10重量部である。
【0038】
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルや官能基含有不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体としては、例えば、酢酸ビニル等のビニルエステル基含有モノマー;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族不飽和モノマー;シクロペンチルジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸脂環式炭化水素エステルモノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシ基含有不飽和モノマー;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;ビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;塩化ビニル等のハロゲン原子含有不飽和モノマー;その他、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルや、フッ素(メタ)アクリレート等の複素環や、ハロゲン原子を含有するアクリル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
【0039】
また、前記単量体組成物には、多官能性モノマーをさらに含有させてもよい。多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(モノまたはポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(モノまたはポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(モノまたはポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;ジビニルベンゼン等が挙げられる。また、多官能性モノマーとして、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等も挙げられる。
【0040】
また、前記単量体組成物には、アルコキシシリル基含有ビニルモノマーをさらに含有させてもよい。アルコキシシリル基含有ビニルモノマーには、シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーや、シリコーン系ビニルモノマー等が挙げられる。
【0041】
シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリブトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシアルキル−トリアルコキシシラン、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジエトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシアルキル−アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(メタ)アクリロイルオキシアルキル−ジアルキル(モノ)アルコキシシラン等が挙げられる。
【0042】
また、シリコーン系ビニルモノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン等のビニルトリアルコキシシランの他、これらに対応するビニルアルキルジアルコキシシランや、ビニルジアルキルアルコキシシラン、例えば、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリエトキシシラン、β−ビニルエチルトリメトキシシラン、β−ビニルエチルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリブトキシシラン等のビニルアルキルトリアルコキシシランの他、これらに対応する(ビニルアルキル)アルキルジアルコキシシランや、(ビニルアルキル)ジアルキル(モノ)アルコキシシラン等が挙げられる。
【0043】
アルコキシシリル基含有ビニルモノマーを用いることにより、ポリマー鎖にアルコキシシリル基が導入され、シリル基間の反応により架橋構造を形成することができる。これらアルコキシシリル基含有ビニルモノマーは、適宜、単独または併用して用いられる。
【0044】
これらアルコキシシリル基含有ビニルモノマーの配合割合は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して、例えば、0重量部より高く40重量部以下の範囲内、好ましくは0重量部より高く30重量部以下の範囲内である。
【0045】
本発明に係る(メタ)アクリル系重合体は、上述した単量体組成物を、例えば、乳化重合等の重合方法により重合することによって得られる。
【0046】
乳化重合では、例えば、前記した単量体組成物と共に、重合開始剤、乳化剤、必要に応じて連鎖移動剤等を、水中において適宜配合して重合する。より具体的には、例えば、一括仕込み法(一括重合法)、モノマー滴下法、モノマーエマルション滴下法等の公知の乳化重合法を採用することができる。尚、モノマー滴下法では、連続滴下または分割滴下が適宜選択される。反応条件等は、適宜選択されるが、重合温度は、例えば、20〜100℃である。
【0047】
重合開始剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用される重合開始剤が用いられる。例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩等のアゾ系開始剤、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤、例えば、フェニル置換エタン等の置換エタン系開始剤、例えば、芳香族カルボニル化合物等のカルボニル系開始剤、例えば、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組合せ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せ等のレドックス系開始剤等が挙げられる。
【0048】
これら重合開始剤は、適宜、単独または併用して用いられる。また、重合開始剤の配合割合は、適宜選択されるが、単量体組成物の合計量100重量部に対して、例えば、0.005〜1重量部であり、好ましくは0.01〜0.8重量部である。
【0049】
乳化剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用される乳化剤が用いられる。例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウム等のアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン系乳化剤、等が挙げられる。また、これらアニオン系乳化剤やノニオン系乳化剤に、プロペニル基やアリルエーテル基等のラジカル重合性官能基(反応性基)が導入されたラジカル重合性(反応性)乳化剤(例えば、HS−10(第一工業製薬(株)製))を用いてもよい。
【0050】
これら乳化剤は、適宜、単独または併用して用いられる。また、乳化剤の配合割合は、単量体組成物の合計量100重量部に対して、例えば、0.2〜10重量部、好ましくは、0.5〜5重量部である。
【0051】
連鎖移動剤は、必要により、重合体の分子量を調節するものであって、乳化重合に通常使用される連鎖移動剤が用いられる。例えば、1−ドデカンチオール、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2,3−ジメチルカプトー1−プロパノール等のメルカプタン類等が挙げられる。これら連鎖移動剤は、適宜、単独または併用して用いられる。また、連鎖移動剤の配合割合は、単量体組成物の合計量100重量部に対して、例えば、0.001〜0.5重量部である。
【0052】
また、(メタ)アクリル系重合体の安定性を向上する目的で、例えば、アンモニア水等により、例えば、pH7〜9、好ましくは、pH7〜8に調整してもよい。
【0053】
(ii)ゴム成分を含有するラテックス
本発明に係る水分散型粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系重合体と非相溶であり、且つ周波数1Hzの剪断ひずみで動的粘弾性測定により測定された、損失正接のピーク温度が−5℃以下であるゴム成分を含有するラテックス(以下、「ゴム系ラテックス」と記する場合もある)を含む。
【0054】
尚、周波数1Hzの剪断ひずみで動的粘弾性測定は、後述する実施例の「5)粘着シートの動的粘弾性測定」と同様の方法で行うことができる。
【0055】
前記ゴム成分の損失正接のピーク温度は、−5℃以下であり、−10℃以下であることが好ましく、−15℃以下であることがより好ましい。ゴム成分の損失正接のピーク温度がこの範囲よりも高いと、低温での弾性率が高くなるため接着力が低下する傾向にある。つまり、ゴム成分の損失正接のピーク温度を上記範囲内とすることによって、低温での弾性率を低くし、低温での接着力を向上することができる。ゴム成分の損失正接のピーク温度の下限は、特には限定されないが、例えば、−130℃以上、好ましくは−120℃以上、さらに好ましくは−110℃以上とすることができる。
【0056】
ゴム系ラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、合成ゴム系ラテックスが挙げられる。天然ゴムラテックスは、天然ゴムに(メタ)アクリル酸アルキルエステル等をグラフトした変性天然ゴムでもよい。
【0057】
合成ゴム系ラテックスとは、合成高分子の水分散体であり、合成高分子の種類としては、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン系重合体、ポリブタジエン系重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン系重合体(NBR)、ポリクロロプレン(CR)等が挙げられる。
【0058】
尚、当業者であれば、後述する具体的な実施例を含む本願明細書の記載、並びにsp値等の技術常識に基づいて、ゴム成分の組成比(共重合比)を調整する等により組成を調整することによって、損失正接のピーク温度が上述した範囲であり、且つ(メタ)アクリル系重合体と非相溶となるゴム成分を含有するラッテクスをどのようにすれば得られるのかについて理解し得る。
【0059】
このようなゴム系ラテックスは市販のものを使用することができる。例えば、スチレン−ブタジエンラテックスとしては、日本ゼオン(株)製(Nipolシリ−ズ)、JSR(株)製、旭化成ラテックス(株)製、DIC(株)製(ラックスタ−シリ−ズ)、日本A&L(株)製(ナルスタ−シリ−ズ)等が挙げられ、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジンラテックスとしては、日本ゼオン(株)製(Nipolシリ−ズ)、日本A&L(株)製(ピラテックスシリ−ズ)等が挙げられ、ポリブタジエンラテックスとしては、日本ゼオン(株)製(Nipolシリ−ズ)が挙げられ、MMA・ポリブタジエンラテックスとしては、日本A&L(株)製(ナルスタ−シリ−ズ)等が挙げられ、アクリロニトリル−ブタジエンラテックスとしては、日本ゼオン(株)製(Nipolシリ−ズ)、日本A&L(株)製(サイアテックスシリ−ズ)、DIC(株)製(ラックスタ−シリ−ズ)等が挙げられ、クロロプレンラテックスとしては、昭和電工(株)製(ショウプレンシリ−ズ)、東ソー(株)製(スカイプレンシリ−ズ)等が挙げられる。
【0060】
これらのゴム系ラテックスは、そのゴム成分が前記(メタ)アクリル系重合体と非相溶であれば、いずれのゴム系ラテックスでもよい。
【0061】
本発明に係る水分散型粘着剤組成物から形成される粘着剤では、(メタ)アクリル系重合体は、ゴム成分とは非相溶の状態で存在する。(メタ)アクリル系重合体成分とゴム成分との相溶状態は、動的粘弾性測定によって得られる、その損失弾性率曲線および損失正接曲線において、(メタ)アクリル系重合体成分由来のピークおよびゴム成分由来のピークによって確認することができる。具体的には、例えば、図1に示すように、動的粘弾性測定によって得られる、その損失弾性率(G’’)曲線または損失正接(tanδ)曲線において、(メタ)アクリル系重合体成分由来のピークおよびゴム成分由来のピークの2つのピークを示す場合には、これは(メタ)アクリル系重合体成分とゴム成分とが非相溶状態であることを示す。
【0062】
尚、ゴム系ラテックスのゴム成分と前記(メタ)アクリル系重合体とが非相溶である状態では、乾燥後の粘着剤中で、(メタ)アクリル系重合体から主に構成されるアクリル相と、ゴム成分から主に構成されるゴム相とが海島構造を形成している。このような構造は、例えば、図2に示すように、乾燥後の粘着剤の切片を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、視覚的に確認することができる。
【0063】
このため、動的粘弾性測定によって得られる、その損失弾性率曲線および損失正接曲線において、(メタ)アクリル系重合体成分由来のピークおよびゴム成分由来のピークが重なってしまう場合には、透過型電子顕微鏡(TEM)によって、海島構造を形成しているか否かを判定することによって相溶性を判断する。この場合、本発明においては、少しでも海島構造を形成していれば、相溶している領域があったとしても非相溶であると判断する。
【0064】
このような(メタ)アクリル系重合体とゴム系ラテックスとの配合割合((メタ)アクリル系重合体/ゴム系ラテックス)は、固形分で95/5〜25/75が好ましく、より好ましくは90/10〜30/70である。ゴム系成分が前記した範囲よりも少ないと、非極性被着体に対する接着性および低温での接着性が低下する。また、アクリル系重合体成分が前記した範囲よりも少ないと、SUS等の極性被着体に対する接着力が十分得られない可能性がある。
【0065】
(iii)粘着付与剤
本発明に係る水分散型粘着剤組成物は、前記ゴム成分と相溶し、前記(メタ)アクリル系重合体とは非相溶である粘着付与剤を含有する。
【0066】
このような粘着付与剤としては、粘着付与樹脂が挙げられ、例えば、ロジンエステル、水添ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル等のロジン系樹脂;クマロンインデン樹脂、水添クマロンインデン樹脂、フェノール変性クマロンインデン樹脂、エポキシ変性クマロンインデン樹脂等のクマロンインデン系樹脂;α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂;ポリテルペン樹脂、水添テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等のテルペン系樹脂;脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、芳香族変性脂肪族系石油樹脂等の石油系樹脂等が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上組み合わせて使用でき、特にロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロンインデン樹脂が好ましい。
【0067】
前記粘着付与剤は、ゴム成分に相溶し、(メタ)アクリル系重合体とは非相溶であるため、粘着付与剤がゴム系成分に相溶することによってゴム相の弾性率が低下し、その結果、被着体への濡れ性が向上することによって接着力が向上すると考えられる。
【0068】
粘着付与剤の相溶性については、乾燥後の粘着シートのヘイズで判断することができる。具体的には、後述する実施例の「(2)ゴム成分と粘着付与剤との相溶性の確認」および「(3)(メタ)アクリル系重合体と粘着付与剤との相溶性の確認」の方法に基づいて判断される。
【0069】
ゴム成分に相溶する粘着付与剤の配合量は、ゴムラテックスの固形分100重量部に対して、例えば5〜100重量部、好ましくは10〜90重量部である。前記した範囲を下回ると、ゴム相の弾性率が十分に低下せず、被着体への濡れ性が十分に得られない。また前記した範囲を上回ると、ゴム相のガラス転移温度が上昇し、低温での弾性率が上昇するため、低温下において被着体への濡れ性が十分に得られず接着力が低下する。
【0070】
ゴム成分に相溶する前記粘着付与剤は、軟化点が80〜150℃であることが好ましく、90〜140℃であることがより好ましい。前記した範囲を下回ると粘着剤の凝集力が低下し、前記した範囲を上回ると低温接着力が低下する傾向にある。
【0071】
尚、粘着付与樹脂の軟化点は、例えば、環球法(JIS K−5902)に基づいて測定することができる。
【0072】
粘着付与樹脂の添加形態は特に限定されないが、通常は粘着付与樹脂が水に予め分散された水分散液の形態で添加することが好適である。このような粘着付与樹脂の水分散液は、市販されているものを用いてもよいし、あるいは所望の粘着付与樹脂を、分散機を用いて水中に強制分散させたものを用いてもよい。
【0073】
また、本発明に係る水分散型粘着剤組成物では、ゴム系成分に相溶する粘着付与剤と併用して、(メタ)アクリル系重合体に相溶する粘着付与剤を用いてもよい。このような粘着剤を併用することによって、室温における接着力をさらに向上させる効果を奏する。
【0074】
このような(メタ)アクリル系重合体に相溶する粘着付与樹脂としては、例えば、ロジンエステル、水添ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル等のロジン系樹脂;クマロンインデン樹脂、水添クマロンインデン樹脂、フェノール変性クマロンインデン樹脂、エポキシ変性クマロンインデン樹脂等のクマロンインデン系樹脂;α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂;ポリテルペン樹脂、水添テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等のテルペン系樹脂;脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、芳香族変性脂肪族系石油樹脂等の石油系樹脂等が挙げられ、特にロジンエステル系樹脂が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0075】
尚、テルペン系、ロジン系等の粘着付与樹脂としては、幅広いsp値の各粘着付与樹脂が入手可能であり(例えば、「粘着ハンドブック(第3版)」(日本粘着テープ工業会発行)参照)、当業者であれば、後述する具体的な実施例を含む本願明細書の記載、並びにsp値等の技術常識に基づいて、ゴム成分と相溶し、且つ(メタ)アクリル系重合体と非相溶である粘着付与樹脂をどのようにすれば得られるのかについて理解し得る。
【0076】
(メタ)アクリル系重合体に相溶する粘着付与樹脂の配合量は、(メタ)アクリル系重合体の固形分100重量部に対して、例えば0重量部より高く20重量部以下の範囲内、好ましくは1〜10重量部である。前記した範囲を上回ると、(メタ)アクリル系重合体から主に構成されるアクリル相のガラス転移温度が上昇し、低温での弾性率が上昇するため、低温下において被着体への濡れ性が十分に得られず接着力が低下する場合がある。
【0077】
また、本発明に係る水分散型粘着剤組成物は、前記粘着付与剤と併用して、室温で液状の粘着付与樹脂を用いてもよい。
【0078】
室温で液状の粘着付与樹脂の添加形態は特に限定されないが、室温で液状の粘着付与樹脂が水に予め分散された分散液で添加することが好適である。このような室温で液状の粘着付与樹脂の水分散液は、市販されているものを用いてもよいし、あるいは所望の粘着付与樹脂を、分散機を用いて水中に強制分散させたものを用いてもよい。室温で液状の粘着付与樹脂とは、エマルジョンとして分散される前の粘着付与樹脂の軟化点が25℃以下である樹脂を指す。また、本発明においては、これらの樹脂の中でも、ロジンエステル及び/又はテルペンの低分子量重合体であることが特に好ましい。
【0079】
前記室温で液状の粘着付与樹脂は、ゴム系成分に相溶することが好ましい。室温で液状の粘着付与樹脂がゴム系成分に相溶することにより、ゴム相の弾性率が低下し、被着体への濡れ性が向上することにより接着力が向上する。
【0080】
室温で液状の粘着付与樹脂の配合量は、ゴムラテックスの固形分100重量部の固形分100重量部に対して、例えば、0重量部より高く50重量部以下の範囲内、好ましくは1〜40重量部である。前記した範囲を上回ると、粘着剤の凝集力が低下する。
【0081】
(iv)その他成分
本発明に係る水分散型粘着剤組成物には、その目的および用途に応じて、必要により、架橋剤を配合してもよい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
【0082】
尚、これら架橋剤は、特に制限されず、油溶性または水溶性の架橋剤が用いられる。これら架橋剤は、適宜、単独または併用して用いられ、その配合割合は、(メタ)アクリル系重合体100重量部に対して、例えば、10重量部以下であり、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.02〜5重量部である。
【0083】
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。また、前記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物[三井化学(株)製、商品名「タケネートD−110N」]等の市販品を用いることもできる。
【0084】
エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂が挙げられる。また、前記エポキシ系架橋剤としては、例えば、三菱ガス化学(株)製、商品名「テトラッドC」等の市販品を用いることもできる。
【0085】
オキサゾリン系架橋剤としては、例えば、特開2009−001673号公報に例示されている架橋剤が挙げられ、具体的には、アクリル骨格またはスチレン骨格からなる主鎖を含み、その主鎖の側鎖にオキサゾリン基を有している化合物が挙げられ、好ましくは、アクリル骨格からなる主鎖を含み、その主鎖の側鎖にオキサゾリン基を有しているオキサゾリン基含有アクリル系ポリマーが挙げられる。
【0086】
アジリジン系架橋剤としては、例えば、トリメチロ―ルプロパントリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネ―ト〕、トリメチロ―ルプロパントリス〔3−(1−(2−メチル)アジリジニルプロピオネ―ト)〕が挙げられる。
【0087】
金属キレート系架橋剤としては、例えば、特開2007−063536号公報に例示されている架橋剤が挙げられ、具体的には、例えば、アルミニウムキレート系化合物、チタンキレート系化合物、亜鉛キレート系化合物、ジルコニウムキレート系化合物、鉄キレート系化合物、コバルトキレート系化合物、ニッケルキレート系化合物、スズキレート系化合物、マンガンキレート系化合物、クロムキレート系化合物が挙げられる。
【0088】
また、本発明に係る水分散型粘着剤組成物には、必要に応じて、粘度調整剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料等)、老化防止剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤等、粘着剤に通常添加される添加剤をさらに添加してもよい。これら添加剤の配合割合は、特に制限されず、適宜、選択することができる。
【0089】
粘度調整剤としては、アクリル系アルカリ増粘型、ウレタン系会合型、クレー系、セルロース系、ポリアマイド系などが挙げられ、例えば、水分散型粘着剤組成物中0.01〜1重量%で配合することができる。このような範囲で粘度調整剤を用いることによって、水分散型粘着剤組成物を塗工可能な粘度に調整することができ、はじきやスジのない粘着シートを得ることができる。
【0090】
尚、本発明に係る水分散型粘着剤組成物は、粘着剤を形成した際の、周波数1Hzの剪断ひずみで動的粘弾性測定により測定した−15℃〜25℃における貯蔵弾性率の値が1MPa以下であることが好ましく、0.9MPa以下であることがより好ましい。前記範囲よりも高いと、被着体への濡れ性が十分でないために接着性が低下する。また、下限については特には限定されないが、例えば、0.01MPa以上とすることができる。
【0091】
また、本発明に係る水分散型粘着剤組成物では、粘着剤を形成した際の溶剤不溶分(ゲル分率)については特には限定されないが、70重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5〜50重量%であり、さらに好ましくは1〜40重量%である。
【0092】
(II)粘着シート
本発明に係る粘着シートは、上述した水分散型粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を有する。
【0093】
本発明に係る粘着シートは、かかる粘着剤層をシート状基材(支持体)の片面または両面に有する形態の基材付き粘着シートであってもよく、前記粘着剤層が剥離シート(剥離面を備えるシート状基材であってもよい。)に保持された形態等の基材レスの粘着シートであってもよい。ここでいう粘着シートの概念には、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称されるものが包含され得る。
【0094】
尚、前記粘着剤層は典型的には連続的に形成されるが、かかる形態に限定されるものではなく、例えば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成された粘着剤層であってもよい。また、本発明により提供される粘着シートは、ロール状であってもよく、枚葉状であってもよい。あるいは、さらに種々の形状に加工された形態の粘着シートであってもよい。
【0095】
本発明に係る粘着シートは、例えば、図3(a)〜(c)に模式的に示される断面構造を有するものとすることができる。
【0096】
図3(a)は、片面粘着タイプの基材付き粘着シートの構成例であり、基材1の片面に粘着剤層2が設けられている。このような粘着シートは、例えば、基材1における、粘着剤層2が形成されている面とは反対側の面を剥離面として、図3(a)に示すように、粘着剤層2が積層されている基材1の剥離面が、基材1に積層した粘着剤層2と接触するように巻回することによってロール状に形成することができる。
【0097】
図3(b)に示す粘着シートでは、粘着剤層2が、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離シート3によって保護された構成を有しており、巻回することによってロール状に形成することもできる。
【0098】
図3(c)に示す粘着シートでは、基材1の両面に粘着剤層2が設けられ、それらの粘着剤層2の両方が、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離シート3によってそれぞれ保護された構成を有している。図3(c)に示す粘着シートは、例えば、あらかじめ離型シート3の上に粘着剤層2を形成し、それを基材1の表裏面に貼付し、これを巻回することによってロール状に形成することができる。
【0099】
尚、図3(c)に示す粘着シートでは、基材1の両面に粘着剤層2が設けられているが、これら粘着剤層2は同じ組成の粘着剤で形成してもよいし、異なった組成の粘着剤でそれぞれ形成してもよい。
【0100】
基材を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム;ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルム;クラフト紙、和紙等の紙類;綿布、スフ布等の布類;ポリエステル不織布、ビニロン布織布等の布織布類;金属箔が挙げられる。
【0101】
前記プラスチックフィルム類は、無延伸フィルムであってもよいし、延伸(一軸延伸または二軸延伸)フィルムであってもよい。また、基材の粘着剤層が設けられる面には、下塗り剤の塗布、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0102】
前記粘着剤層は、上述した水分散型粘着剤組成物を、公知の塗工方法を用いて基材に塗布し、乾燥させて得られる。水分散型粘着剤組成物を基材に塗布する方法は、特に制限されず、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、ファウンテンダイコーター、クローズドエッジダイコーター等を用いて行うことができる。
【0103】
また、粘着剤層は、水分散型粘着剤組成物を離型シートに塗布して粘着剤層を形成した後、基材に転写することによって形成してもよい。
【0104】
乾燥後の粘着剤層の厚みは特に制限されず、例えば、500μm以下、好ましくは5〜200μmの範囲内である。乾燥温度は基材の種類にもよるが、例えば、40〜120℃の範囲内とすることができる。
【0105】
本発明に係る粘着シートは、非極性被着体への接着性に優れ、且つ低温においても特性を損なわない粘着シートを提供する観点からは、25℃におけるPP板に対する粘着力が5.0N/20mm以上であり、且つ−5℃におけるPP板に対する粘着力が4.0N/20mm以上であることが好ましく、25℃におけるPP板に対する粘着力が5.5N/20mm以上であり、且つ−5℃におけるPP板に対する粘着力が4.5N/20mm以上であることがより好ましく、25℃におけるPP板に対する粘着力が6.0N/20mm以上であり、且つ−5℃におけるPP板に対する粘着力が5.0N/20mm以上であることがさらに好ましい。
【0106】
また、極性被着体への接着性にも優れ、且つ低温においても特性を損なわない粘着シートを提供する観点からは、前記接着性を満たすと同時に、25℃におけるSUS板に対する粘着力が4.5N/20mm以上であり、且つ−5℃におけるSUS板に対する粘着力が6.0N/20mm以上であることが好ましく、25℃におけるSUS板に対する粘着力が5.0N/20mm以上であり、且つ−5℃におけるSUS板に対する粘着力が6.5N/20mm以上であることがより好ましく、25℃におけるSUS板に対する粘着力が5.5N/20mm以上であり、且つ−5℃におけるSUS板に対する粘着力が7.0N/20mm以上であることがさらに好ましい。
【実施例】
【0107】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例および比較例に何ら制限されるものではない。尚、以下の説明において、「部」および「%」は、特に明記のない限り、重量基準である。
【0108】
〔合成例1:水分散型(メタ)アクリル系重合体(A)の合成〕
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、ブチルアクリレート(BA)96部、アクリル酸(AA)4部、t−ドデカンチオール(連鎖移動剤)0.08部、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)2部、およびイオン交換水153部を乳化したもの(すなわち、モノマー原料のエマルション)を仕込み、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。
【0109】
その後、60℃に昇温し、10%水溶液に調製した2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物(重合開始剤)(商品名:VA−057、和光純薬工業(株)製)を固形分で0.1部投入し、3時間重合した。これに10%アンモニウム水を添加して液性をpH7.5に調整し、水分散型(メタ)アクリル系重合体(A)を得た。
【0110】
〔合成例2:水分散型(メタ)アクリル系重合体(B)の合成〕
ブチルアクリレート(BA)の代わりに2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)を用いたこと以外は合成例1と同様の操作を行い、水分散型(メタ)アクリル系重合体(B)を作製した。
【0111】
〔実施例1〕
合成例1で得られた水分散型(メタ)アクリル系重合体(A)を固形分で70部と、合成ポリイソプレンラテックス(商品名「セポレックスIR−100K」、住友精化(株)製)を固形分で30部配合した。次いで、粘着付与剤として芳香族変性テルペン樹脂エマルション(商品名「ナノレットR−1050」、ヤスハラケミカル(株)製、軟化点100℃)を固形分で12部(ゴムラテックスの固形分100部に対して40部)配合して、水分散型粘着剤組成物を調製した。
【0112】
続いて、調製した水分散型粘着剤組成物をアクリル系アルカリ増粘型増粘剤(商品名「アロンB−500」、東亜合成(株)製)0.5部と混合して増粘し、増粘した水分散型粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが60μmとなるように、厚み25μmのポリエチレンテレフタレート基材(商品名「ルミラーS−10」、東レ(株)製)にコーティングし、これを100℃で3分間乾燥することにより、粘着シートを作製した。
【0113】
〔実施例2〕
粘着付与剤12部を6部(ゴムラテックスの固形分100部に対して20部)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。得られた粘着シートのTEM画像を図2に示す。
【0114】
〔実施例3〕
粘着付与剤12部を18部(ゴムラテックスの固形分100部に対して60部)とし、水分散型粘着剤組成物の作製時にエポキシ系架橋剤(商品名「TETRAD−C」、三菱ガス化学(株)製)を0.04部さらに配合したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0115】
〔実施例4〕
粘着付与剤12部を24部(ゴムラテックスの固形分100部に対して80部)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0116】
〔実施例5〕
水分散型粘着剤組成物の作製時にエポキシ系架橋剤(商品名「TETRAD−C」、三菱ガス化学(株)製)を0.04部さらに配合したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0117】
〔実施例6〕
合成例1で得られた水分散型(メタ)アクリル系重合体(A)を固形分で90部と、合成ポリイソプレンラテックス(商品名「セポレックスIR−100K」、住友精化(株)製)を固形分で10部配合した。次いで、粘着付与剤(商品名「ナノレットR−1050」、ヤスハラケミカル(株)製、軟化点100℃)を固形分で4部(ゴムラテックスの固形分100部に対して40部)配合して、水分散型粘着剤組成物を調製した。
【0118】
続いて、調製した水分散型粘着剤組成物をアクリル系アルカリ増粘型増粘剤(商品名「アロンB−500」、東亜合成(株)製)0.5部と混合して増粘し、増粘した水分散型粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが60μmとなるように厚み25μmのポリエチレンテレフタレート基材(商品名「ルミラーS−10」、東レ(株)製)にコーティングし、これを100℃で3分間乾燥することにより、粘着シートを作製した。
【0119】
〔実施例7〕
合成例1で得られた水分散型(メタ)アクリル系重合体(A)を固形分で50部と、合成ポリイソプレンラテックス(商品名「セポレックスIR−100K」、住友精化(株)製)を固形分で50部配合した。次いで、粘着付与剤(商品名「ナノレットR−1050」、ヤスハラケミカル(株)製、軟化点100℃)を固形分で30部(ゴムラテックスの固形分100部に対して60部)、およびエポキシ系架橋剤(商品名「TETRAD−C」、三菱ガス化学(株)製)を0.04部配合して、水分散型粘着剤組成物を調製した。
【0120】
続いて、調製した水分散型粘着剤組成物をアクリル系アルカリ増粘型増粘剤(商品名「アロンB−500」、東亜合成(株)製)0.5部と混合して増粘し、増粘した水分散型粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが60μmとなるように厚み25μmのポリエチレンテレフタレート基材(商品名「ルミラーS−10」、東レ(株)製)にコーティングし、これを100℃で3分間乾燥することにより、粘着シートを作製した。
【0121】
〔実施例8〕
粘着付与剤30部を40部(ゴムラテックスの固形分100部に対して80部)とし、架橋剤を配合しなかったこと以外は、実施例7と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0122】
〔実施例9〕
合成例1で得られた水分散型(メタ)アクリル系重合体(A)を固形分で30部と、合成ポリイソプレンラテックス(商品名「セポレックスIR−100K」、住友精化(株)製)を固形分で70部配合した。次いで、粘着付与剤(商品名「ナノレットR−1050」、ヤスハラケミカル(株)製、軟化点100℃)を固形分で56部(ゴムラテックスの固形分100部に対して80部)配合して、水分散型粘着剤組成物を調製した。続いて、調製した水分散型粘着剤組成物をアクリル系アルカリ増粘型増粘剤(商品名「アロンB−500」、東亜合成(株)製)0.5部と混合して増粘し、増粘した水分散型粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが60μmとなるように厚み25μmのポリエチレンテレフタレート基材(商品名「ルミラーS−10」、東レ(株)製)にコーティングし、これを100℃で3分間乾燥することにより、粘着シートを作製した。
【0123】
〔実施例10〕
合成ポリイソプレンラテックス(商品名「セポレックスIR−100K」、住友精化(株)製)の代わりに、スチレン−ブタジエンラテックス(商品名「SB−0561」、JSR(株)製)を配合したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0124】
〔実施例11〕
合成ポリイソプレンラテックス(商品名「セポレックスIR−100K」、住友精化(株)製)の代わりに、スチレン−ブタジエンラテックス(商品名「SB−2877A」、JSR(株)製)を配合したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0125】
〔実施例12〕
水分散型粘着剤組成物の作製時に、ロジン系粘着付与剤(商品名「スーパーエステルNS−100H」、荒川化学工業(株)製、軟化点100℃)を、固形分で3.5部(ゴムラテックスの固形分100部に対して12部)さらに配合したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0126】
〔実施例13〕
合成例1で得られた水分散型(メタ)アクリル系重合体(A)を、合成例2で得られた水分散型(メタ)アクリル系重合体(B)とし、エポキシ系架橋剤(商品名「TETRAD−C」、三菱ガス化学(株)製)を0.06部さらに配合したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0127】
〔実施例14〕
合成例1で得られた水分散型(メタ)アクリル系重合体(A)を固形分で70部と、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(商品名「Nipol LX−513」、日本ゼオン(株)製、Tg:−31℃)を固形分で30部配合した。次いで、粘着付与剤(商品名「ナノレットR−1050」、ヤスハラケミカル(株)製、軟化点100℃)を固形分で18部(ゴムラテックスの固形分100部に対して60部)配合して、水分散型粘着剤組成物を調製した。続いて、調製した水分散型粘着剤組成物をアクリル系アルカリ増粘型増粘剤(商品名「アロンB−500」、東亜合成(株)製)0.5部と混合して増粘し、増粘した水分散型粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが60μmとなるように厚み25μmのポリエチレンテレフタレート基材(商品名「ルミラーS−10」、東レ(株)製)にコーティングし、これを100℃で3分間乾燥することにより、粘着シートを作製した。
【0128】
〔比較例1〕
合成例1で得られた水分散型(メタ)アクリル系重合体(A)をアクリル系アルカリ増粘型増粘剤(商品名「アロンB−500」、東亜合成(株)製)0.5部と混合して増粘し、増粘した水分散型粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが60μmとなるように25μmのポリエチレンテレフタレート基材(商品名「ルミラーS−10」、東レ(株)製)にコーティングし、これを100℃で3分間乾燥することにより、粘着シートを作製した。
【0129】
〔比較例2〕
水分散型粘着剤組成物の作製時に、ロジン系粘着付与剤(商品名「スーパーエステルNS−100H」、荒川化学工業(株)製、軟化点100℃)を、固形分で20部さらに配合したこと以外は、比較例1と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0130】
〔比較例3〕
粘着付与剤(商品名「ナノレットR−1050」、ヤスハラケミカル(株)製、軟化点100℃)を配合しなかったこと以外は実施例6と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0131】
〔比較例4〕
粘着付与剤(商品名「ナノレットR−1050」、ヤスハラケミカル(株)製、軟化点100℃)を配合しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0132】
〔比較例5〕
粘着付与剤(商品名:ナノレットR−1050、ヤスハラケミカル(株)製、軟化点100℃)の代わりに、ロジン系粘着付与剤(商品名「スーパーエステルNS−100H」、荒川化学工業(株)製、軟化点100℃)を固形分で18部(ゴムラテックスの固形分100部に対して180部)配合したこと以外は、実施例6と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0133】
〔比較例6〕
合成ポリイソプレンラテックス(商品名「セポレックスIR−100K」、住友精化(株)製)の代わりに、スチレン−ブタジエンラテックス(商品名「SB−0589」、JSR(株)製)を配合したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0134】
〔比較例7〕
合成ポリイソプレンラテックス(商品名「セポレックスIR−100K」、住友精化(株)製)の代わりに、スチレン−ブタジエンラテックス(商品名「SB−0533」、JSR(株)製)を配合したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0135】
〔比較例8〕
合成ポリイソプレンラテックス(商品名「セポレックスIR−100K」、住友精化(株)製)の代わりに、スチレン−ブタジエンラテックス(商品名「SB−0568」、−23℃、JSR(株)製)を配合したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0136】
〔比較例9〕
合成ポリイソプレンラテックス(商品名「セポレックスIR−100K」、住友化精(株)製)の代わりに、MMAグラフト天然ゴムラテックス(商品名「レヂテックスMG−25」、レヂテックス(株)製)を配合し、粘着付与剤(商品名:ナノレットR−1050、ヤスハラケミカル(株)製、軟化点100℃)の代わりに、ロジン系粘着付与剤(商品名「スーパーエステルNS−100H」、荒川化学工業(株)製、軟化点100℃)を固形分で14部(ゴムラテックスの固形分100部に対して47部)としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着シートを作製した。
【0137】
〔評価〕
(1)(メタ)アクリル系重合体とゴム成分との相溶性の確認
水分散型(メタ)アクリル系重合体を固形分で70部と、ラテックスを固形分で30部とを配合し、水分散型粘着剤組成物を調製した。
【0138】
続いて、調製した水分散型粘着剤組成物をアクリル系アルカリ増粘型増粘剤(商品名「アロンB−500」、東亜合成(株)製)0.5部と混合して増粘し、増粘した水分散型粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが60μmとなるように剥離シート(商品名「ダイヤホイルMRF−38」、三菱樹脂(株)製)にコーティングし、これを100℃で3分間乾燥することにより、粘着シートを作製した。
【0139】
前記粘着シートを剥離シートから剥離して、粘着剤層のみを積層して、厚さ約2mmの積層体を作製し、φ7.9mmに打ち抜いたものを測定サンプルとした。前記測定サンプルを平行円盤(φ7.9mm)の間に挟み、動的粘弾性測定装置(Rheometric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System」)を用いて、周波数1Hzの剪断ひずみを加えながら、昇温速度5℃/minで−70℃〜100℃の範囲において貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を測定した。また、貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)より、以下の計算式により損失正接tanδを算出した。
【0140】
損失正接tanδ=G”/G’
算出した損失正接(tanδ)を温度に対してプロットすることによって損失正接曲線を作成し、(メタ)アクリル系重合体成分由来のピークと、ゴム成分由来のピークとが存在するかを確認した。両ピークが存在しない場合を相溶(○)、両ピークが存在する場合を非相溶(×)と判断した。上述した実施例および比較例で用いた、(メタ)アクリル系重合体とゴム成分との相溶性の評価結果を表1に示す。
【0141】
また、一例として、実施例2で用いた(メタ)アクリル系重合体とゴム成分との相溶性の確認結果を示すグラフを図1に示す。
【0142】
【表1】

【0143】
(2)ゴム成分と粘着付与剤との相溶性の確認
ラテックスの固形分100部に対し、粘着付与剤を固形分で20部配合して水分散型粘着剤組成物を調製した。続いて、調製した水分散型粘着剤組成物をアクリル系アルカリ増粘型増粘剤(商品名「アロンB−500」、東亜合成(株)製)0.5部と混合して増粘し、増粘した水分散型粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが60μmとなるように剥離シート(商品名「ダイヤホイルMRF−38」、三菱樹脂(株)製)にコーティングし、これを100℃で3分間乾燥することにより、粘着シートを作製した。
【0144】
作製した粘着シートの片面に、スライドガラス(松浪硝子工業社製の「スライドガラス 白縁磨」;厚さ1.3mm)を貼り合わせ、剥離シートをはがしたものを評価用サンプルとした。このサンプルのヘイズを、ヘイズメーターHM−150((株)村上色彩技術研究所社製)を使用して測定し、JISK7136に準拠し、ヘイズ(%)=Td/Tt×100(Td:拡散透過率、Tt:全光線透過率)により算出した。算出したヘイズが50%以下(0〜50%)である場合を相溶、50%より高い場合を非相溶と判断した。
【0145】
尚、相溶性の判断は、作製した粘着シートのヘイズが45%以下である場合を相溶、45%より高い場合を非相溶と判断することが好ましく、40%以下である場合を相溶、40%より高い場合を非相溶と判断することがより好ましい。
【0146】
上述した実施例および比較例で用いた、ゴム成分と粘着付与剤との組み合わせにおけるヘイズ値の評価結果を表2に示す。
【0147】
【表2】

【0148】
(3)(メタ)アクリル系重合体と粘着付与剤との相溶性の確認
水分散型(メタ)アクリル系重合体の固形分100部に対し、粘着付与剤を固形分で20部配合して水分散型粘着剤組成物を調製した。続いて、調製した水分散型粘着剤組成物をアクリル系アルカリ増粘型増粘剤(商品名「アロンB−500」、東亜合成(株)製)0.5部と混合して増粘し、増粘した水分散型粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが60μmとなるように剥離シート(商品名「ダイヤホイルMRF−38」、三菱樹脂(株)製)にコーティングし、これを100℃で3分間乾燥することにより、粘着シートを作製した。
【0149】
作製した粘着シートの片面に、スライドガラス(松浪硝子工業社製の「スライドガラス 白縁磨」;厚さ1.3mm)を貼り合わせ、剥離シートをはがしたものを評価用サンプルとした。このサンプルのヘイズを、ヘイズメーターHM−150((株)村上色彩技術研究所社製)を使用して測定し、JISK7136に準拠し、ヘイズ(%)=Td/Tt×100(Td:拡散透過率、Tt:全光線透過率)により算出した。算出したヘイズが50%以下(0〜50%)である場合を相溶、50%より高い場合を非相溶と判断した。
【0150】
尚、相溶性の判断は、作製した粘着シートのヘイズが45%以下である場合を相溶、45%より高い場合を非相溶と判断することが好ましく、40%以下である場合を相溶、40%より高い場合を非相溶と判断することがより好ましい。
【0151】
上述した実施例および比較例で用いた、(メタ)アクリル系重合体と粘着付与剤との組み合わせにおけるヘイズ値の評価結果を表3に示す。
【0152】
【表3】

【0153】
(4)粘着力
各実施例および各比較例で得られた粘着シートを20×100mmの大きさに切断し、測定温度雰囲気下(25℃、−5℃)で、被着体であるSUS304ステンレス板、およびポリプロピレン(PP)板(新神戸電機(株)製、商品名「PP−N−AN」)に貼り合わせ、2Kgローラーを一往復させて圧着した。その後、測定温度雰囲気下(25℃および−5℃)30分放置して、25℃および−5℃雰囲気中で、剥離角度180°および剥離速度300mm/minにて剥離試験を実施し、粘着力を測定した。結果を表4に示す。
【0154】
(5)粘着シートの動的粘弾性測定
各実施例および各比較例で得られた水分散型粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが60μmとなるように剥離シート(商品名「ダイヤホイルMRF−38」、三菱樹脂(株)製)にコーティングし、これを100℃で3分間乾燥することにより、粘着シートを作製した。
【0155】
前記粘着シートを剥離シートから剥離して、粘着剤層のみを積層して、厚さ約2mmの積層体を作製し、φ7.9mmに打ち抜いたものを測定サンプルとした。
【0156】
前記測定サンプルを、平行円盤(φ7.9mm)の間に挟み、Rheometric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System」を用いて、周波数1Hzの剪断ひずみを加えながら、昇温速度5℃/minで、−70℃〜100℃の範囲において貯蔵弾性率(G’)を測定した。結果を表4に示す。
【0157】
尚、表4には、−15℃および25℃における貯蔵弾性率(G’)のみを示しているが、本実施例で得られた粘着シートでは、図1に示すように、−15℃〜25℃の範囲内では、−15℃のG’が最も高い値となるため、−15℃におけるG’が1MPa以下であれば、−15℃〜25℃におけるG’は1MPa以下となる。
【0158】
(6)溶剤不溶分(ゲル分率)
実施例および各比較例で得られた水分散型粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが60μmとなるように剥離シート(商品名「ダイヤホイルMRF−38」、三菱樹脂(株)製)にコーティングし、これを100℃で3分間乾燥することにより、粘着シートを作製した。
【0159】
前記粘着シートを剥離シートから剥離して、粘着剤層のみ約100mgを、あらかじめ重量を測定した、凧糸と孔径0.2μmのテトラフルオロエチレン樹脂製多孔質膜(商品名;ニトフロンNTF1122、日東電工(株)製)(Wa mg)、前記多孔質膜に置き、巾着状に包み、口を凧糸で縛った後、包みの重量を測定した(Wb mg)。
【0160】
この包みを容量50mLのスクリュー瓶に入れ、該スクリュー瓶にトルエンを満たした。これを室温で7日間放置した後、前記包みを取り出して130℃で2時間乾燥させ、該包みの重量を測定し(Wc mg)、次式
ゲル分率(%)=(Wc−Wa)/(Wb−Wa)×100
によりゲル分率を求めた。結果を表4に示す。
【0161】
【表4】

【0162】
尚、表1〜4中、「IR−100K」は、合成ポリイソプレンラテックス(商品名「セポレックスIR−100K」、住友精化(株)製)を意味し、そのゴム成分の損失正接のピーク温度は−53℃であり、「SB0561」は、スチレン−ブタジエンラテックス(商品名「SB−0561」、JSR(株)製)を意味し、その損失正接のピーク温度は−45℃であり、「SB0589」は、スチレン−ブタジエンラテックス(商品名「SB−0589」、JSR(株)製)を意味し、その損失正接のピーク温度は21℃であり、「SB0533」は、スチレン−ブタジエンラテックス(商品名「SB−0533」、JSR(株)製)を意味し、その損失正接のピーク温度は0℃であり、「SB0568」は、スチレン−ブタジエンラテックス(商品名「SB−0568」、JSR(株)製)を意味し、その損失正接のピーク温度は−4℃であり、「SB2877A」は、スチレン−ブタジエンラテックス(商品名「SB−2877A」、JSR(株)製)を意味し、その損失正接のピーク温度は−26℃であり、「MG−25」は、MMAグラフト天然ゴムラテックス(商品名「レヂテックスMG−25」、レヂテックス(株)製)を意味し、その損失正接のピーク温度は−58℃であり、「LX−513」は、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(商品名「NipolLX−513」、日本ゼオン(株)製)を意味し、その損失正接のピーク温度は−28℃であった。
【0163】
また、表1〜4中、「R−1050」、「NS−100H」、「T/C」は、それぞれ、芳香族変性テルペン樹脂エマルション(商品名「ナノレットR−1050」、ヤスハラケミカル(株)製、軟化点100℃)、ロジン系粘着付与剤(商品名「スーパーエステルNS−100H」、荒川化学工業(株)製、軟化点100℃)、エポキシ系架橋剤(商品名「TETRAD−C」、三菱ガス化学(株)製)を意味する。
【0164】
表4に示すように、本発明に係る粘着シートは、25℃におけるPP板に対する粘着力が5.0N/20mm以上であり、且つ−5℃におけるPP板に対する粘着力が4.0N/20mm以上であり、非極性被着体への接着性に優れ、且つ低温においても特性を損なわない粘着シートであることが確認された。
【0165】
また、同時に、本発明に係る粘着シートは、25℃におけるSUS板に対する粘着力が4.5N/20mm以上であり、且つ−5℃におけるSUS板に対する粘着力が6.0N/20mm以上であり、極性被着体への接着性にも優れ、且つ低温においても特性を損なわない粘着シートであることが確認された。
【0166】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明に係る水分散型粘着剤組成物は、ポリエチレンやポリプロピレンのような非極性被着体への接着性に優れ、且つ低温においても特性を損なわない粘着剤を形成し得るため、各種粘着シートに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0168】
1 基材
2 粘着剤層
3 剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体組成物を重合して得られた(メタ)アクリル系重合体と、
前記(メタ)アクリル系重合体と非相溶であり、且つ周波数1Hzの剪断ひずみで動的粘弾性測定により測定された、損失正接のピーク温度が−5℃以下であるゴム成分を含有するラテックスと、
前記ゴム成分と相溶し、且つ前記(メタ)アクリル系重合体と非相溶である粘着付与剤と、
を含有する水分散型粘着剤組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル系重合体と前記ラテックスとの配合比((メタ)アクリル系重合体/ゴム系ラテックス)が、固形分で95/5〜25/75の範囲内である、請求項1に記載の水分散型粘着剤組成物。
【請求項3】
前記粘着付与剤を、前記ラテックスの固形分100重量部に対して5〜100重量部の範囲内含有する、請求項1または2に記載の水分散型粘着剤組成物。
【請求項4】
乾燥後における前記水分散型粘着剤組成物の、周波数1Hzの剪断ひずみで動的粘弾性測定により測定された、−15〜25℃の範囲における貯蔵弾性率が1MPa以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の水分散型粘着剤組成物。
【請求項5】
前記ラテックスに含まれるゴム成分が、天然ゴム、合成ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜4の何れか1項に記載の水分散型粘着剤組成物。
【請求項6】
前記粘着付与剤の軟化点が80〜150℃である、請求項1〜5の何れか1項に記載の水分散型粘着剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の水分散型粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤。
【請求項8】
請求項1〜6の何れか1項に記載の水分散型粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を有する粘着シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−7024(P2013−7024A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−33057(P2012−33057)
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】