説明

水分散性組成物および水分散性組成物の使用方法

本明細書では、水中で安定した分散液を形成する、レシチンおよび共界面活性剤と混合された殺線虫剤を含む組成物が記載される。また、そのような組成物の適用によって土壌中の線虫を防除する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全体の内容がこの参照により組み込まれる、2007年1月22日に出願の米国特許仮出願第60/885,970号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、バイオベースの生物分解性の農薬、組成物を生成する方法およびその使用を対象とする。本発明は、草および芝生の線虫および害虫を防除する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
線虫は、土壌中に生長する植物に寄生性または有益であり得る、土壌生息性の顕微鏡でなければ見えない体節に分かれていない丸い虫である。線虫の種類および土壌中でのそれらの数によっては、線虫は、例えば芝草などの草の衰退を引き起こすことができる。確立された芝草への適用では、接触殺線虫剤は粒剤または噴霧剤の形態であり、一般的に、適用後に水を注入する。これらの殺線虫剤は、通常、ヒトおよび動物に有毒であり、厳重な注意で取り扱われなければならない。ゴマ油は、適用が安全である寄生性線虫のための1つの天然由来の防除手段であることが見いだされている。しかし、ゴマ油は水分散性でない。したがって、市販の噴霧用ゴマ油製剤が必要となる。
【0004】
植物寄生性線虫は多くの主要な食用作物および繊維作物、ならびに芝草および観賞植物に感染し、作物の収量および品質のかなりの低下を引き起こす。線虫は、世界中で毎年約780億ドルの作物減収を引き起こすと推定されている(USDA-CSRSおよびThe Society of Nematologistsによって後援された報告書「Plant & Soil Nematodes: Societal Impact and Focus for the Future」から)。ほとんどの植物寄生性線虫は根部を食害するが、いくつかの種は植物地上部を攻撃する。線虫による損傷は主に食害および傷によるものであり、それは、次に水および栄養素の吸収に影響を及ぼし、細菌および真菌の病原体による二次感染をもたらし得る。さらに、根部食害線虫は、ウイルス病の伝搬と関連付けられている。植物寄生性線虫は、植物を完全に殺すことはあまりない。特定の地上部症状なしで、収量減または品質低下が起こることがある。時には、これらの損失は、他の害虫、肥料の問題または不適切な水管理に起因する。線虫損傷の症状は作物の間で異なるものであり、一般に、根部のこぶ、病斑、成熟前のしおれ、退緑および草勢の全体的な低下として現れる。
【0005】
線虫防除の最も一般的な手段には、臭化メチルなどの土壌燻蒸剤、または有機リン化合物およびカルバメートなどの非燻蒸型殺線虫剤の使用が含まれる。これらの殺線虫剤および従来用いられている他の殺線虫剤のほとんどは、哺乳動物および他の対象外の生物に有毒であり、環境および地下水に潜在的な脅威をもたらし、食品中に残留化学物質を残すことがある。抵抗性品種、栽培慣行、例えば輪作、有機物による改良、生物学的防除さえも線虫防除のために利用され、様々な程度の成功を収めている。米国には、120万エーカー(4856km)に相当する約13,000箇所のゴルフコース、および1700万エーカー(68800km)の家庭用芝に相当する最大8500万の住居がある。娯楽用、商業用および施設の領域を含めると、都市地域での芝生の合計は約3000万エーカー(121400km)と推定される。1998年および1999年のPesticide Industry Sales and Usage Reportによると、最高8500万ポンド(3860万kg)の農薬有効成分が住居の有害生物防除のために消費者によって適用され、約1500万ポンド(680万kg)の農薬有効成分が専門業者によってゴルフコースに適用された。
【0006】
消費者は主に迷惑害虫(例えば、アリ、フシアリ、ノミ、刺す昆虫および蚊)を防除するために農薬を芝生に適用するが、民間の芝生管理会社は芝を加害する害虫(例えば、地虫、シバツトガ、シンチバグおよびヨーロッパガガンボ)に重点を置く。メヒシバおよびタンポポ、ならびに様々な他の雑草を駆除するために、除草剤が適用される。芝への農薬の使用は、人々の健康および環境に対する問題をもたらす。20箇所の主要な河川流域および帯水層系のU.S.Geological Survey分析は、家、庭のまわりで、ならびに商業地域および公共地域で用いられる殺虫剤が、水質ガイドラインを上回るレベルでしばしば水流中に検出されることを報告した。農薬の住居地域への流亡のモニタリングの結果は、最も広く用いられ、販売されている除草剤および殺虫剤が、国の様々な地域の都市流出水に日常的に検出されることを示す。
【0007】
米国環境保護局のPesticide Incidence Data Reporting Systemによると、1995〜2002年の間に、芝生への農薬の使用に関する合計31,410件の事故が報告された。事故の主要なカテゴリーは、ヒトへの曝露、家畜動物への曝露および対象外植物への損傷であった。殺虫剤または除草剤で重度の人身事故は報告されなかったが、報告の大部分はヒトにかかわる小事故に関するものであった。より小さい割合の報告は、家畜動物または対象外植物に関係した。誤った使用のため、ヒトおよび環境へのかなりの農薬曝露が起こることがある。したがって、植物材および草への適用が安全で、哺乳動物に有毒でない、バイオベース生物分解性線虫組成物が必要である。
【0008】
除草剤または殺虫剤として有効であることが既知である多くの天然物質がある。土壌線虫などの望ましくない生物の防除において天然生成物を使用する多くの好ましい理由がある。土壌中での自然分解および高等生物形態への非傷害性が、最も注目すべきものに含まれる。したがって、ゴマ植物由来の組成物の使用は、有益性、経済性および環境を考慮したこのカテゴリーに含まれる。
【0009】
ゴマは、ゴマ科のメンバーであるSesamum属に由来する。この植物は、主にその種子およびそこから搾油される油のために栽培される。ゴマ油は、栽培されたゴマ(Sesamum indicum)のゴマ種子から得られる。アフリカには約17個の野生種が自生し、インドには2種が自生していると報じられている。ゴマは、わずか3または4ヵ月の栄養生長周期を有する高さ数フィートの草本である。ゴマは、最も収量の高い、非多年生の油料作物の1つである。
【0010】
ゴマ油は、ある殺虫剤との相乗剤(synergist)であると報告されている−米国特許第2,202,145号(1940年5月28日);米国特許第2,463,324号(1949年3月1日)。米国特許第2,463,324号は、ゴマ油が除虫菊剤などのある殺虫剤の相乗剤である物質を含むことを開示する。
【0011】
ゴマ植物のゴマ油、粗びき粉および抽出物は、セサミン、セサモリンおよびセサモールなどの不鹸化物の混合物を含むことが見出された。米国特許第4,442,092号は、その中の有効成分としてそこから抽出される根部、種子または茎、油および酸を含むゴマ植物抽出物を含むが、主にセサミン、セサモリンおよびセサモールを含む殺線虫組成物を記載する。しかし、調製された組成物は水中で安定ではなく、乳化性濃縮製剤を生成するためには、キシレンなどの有害化学物質を含む(米国特許第4,442,092号、第3欄55〜60行を参照)。したがって、生物分解性でバイオ再生可能な成分に基づき、水を加えることによって土壌に容易に噴霧することができる、水分散性線虫または除草組成物が当技術分野で必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態では、線虫を防除する方法は、殺線虫剤、レシチンおよび共界面活性剤を含む組成物を水中で混合し、水に分散した組成物を土壌と接触させることを含む。
【0013】
別の実施形態では、生成物を生成する方法は、レシチンを界面活性剤と混合して、レシチン−共界面活性剤ブレンドを形成すること、および、殺線虫剤をレシチン−共界面活性剤ブレンドと混合して、殺線虫剤油系を形成することを含む。
【0014】
さらなる実施形態では、組成物は殺線虫剤油、レシチンおよび界面活性剤を含む。
【0015】
さらなる実施形態では、組成物は、レシチン、およびエトキシル化モノグリセリド、脂肪酸エトキシレート、またはそれらの組合せを含む。組成物は、殺線虫剤油も含む。
【0016】
別の実施形態では、組成物は殺線虫剤油、非イオン性乳化剤および界面活性剤を含む。
【0017】
本発明の他の実施形態は、本明細書の下に続く記載から当業者に明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ゴマ油は、様々な量のリノール酸、αリノール酸、オレイン酸および他の脂肪酸を含む。土壌に適用されるか導入されると、本発明の組成物に含まれるリノール酸は寄生性線虫によって消費または吸収され、こうして線虫を乾燥させることができる。この乾燥は線虫の食害および生殖過程を停止させ、こうして、そこに適用された本発明の組成物を有する土壌中の寄生性線虫の個体群を減少または撲滅させる。また、本発明の組成物のリノール酸および脂肪酸は、不快な食味および匂いのために、葉を食害するほとんどの昆虫を抑制するか忌避させる。ゴマ油中のアミノ酸の総含有量は、100グラムあたり約42グラムである。このアミノ酸組成中、主要な成分はメチオニンおよびチロシンである。ゴマ油中に存在する様々なアミノ酸の中で、DL−メチオニンは殺線虫剤として作用して、幼虫の不活化を引き起こす。
【0019】
一実施形態では、線虫を防除する方法は、殺線虫剤、レシチン、共溶媒(co-solvent)、ならびに、エトキシル化モノグリセリド、脂肪酸エトキシレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、糖エステル、ポリグリセリンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、それらのいずれかの誘導体、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される界面活性剤を含む組成物を、土壌と接触させることを含む。組成物を、水に分散させることもできる。
【0020】
一実施形態では、殺線虫剤はゴマ(Sesamum indicum L)の抽出物であることができ、それらに限定されないがダイズ油、トウモロコシ油、アマニ油、綿実油、ジャトロファ油、カノーラ油、カラシ油またはそれらのいずれかの組合せを含む植物油と併用することができる。ある場合には、第2の植物油の使用により、殺線虫剤を含む組成物の粘性を低下させることを可能となる。ゴマ油の代わりに任意の好適な殺線虫剤を、例えば化学修飾された植物油などを用いることができる。
【0021】
別の実施形態では、殺線虫剤は、ゴマ油、カノーラ油、カラシ油またはそれらの任意の組合せなどの殺線虫剤油を含むことができる。
【0022】
さらなる実施形態では、殺線虫剤油組成物は、単独で、または、それらに限定されないが丁子油、タイム油、ローズマリー油、ホホバ油、リモネン、ハッカ油、ウィンターグリーン油、バニリン、ユーカリ、レモングラス油またはそれらのいずれかの組合せを含む精油(除草性)と組み合わせて用いることができる。これらの油は除草剤作用を有し、それらが適用される植物に多少の毒性を有することがある。これらの油は、一般的に有機農業にとって安全である。殺線虫剤油および/または精油を適用することができる植物は、根菜、塊茎野菜、鱗茎野菜、茎野菜、子実野菜、葉菜、ウリ科野菜、果実、ナッツ、ハーブ、条播作物、油料作物、飼料作物、繊維作物、観賞植物、樹、花、潅木、花壇用植物および芝草を含む群から選択される。
【0023】
本発明の組成物は、様々な殺線虫剤油の使用を可能にし、その一方で、それらが適用される植物に対する薬害作用は低減される。したがって、一実施形態では、殺線虫剤油および界面活性剤を含む本発明の組成物は、殺線虫剤油を含むが界面活性剤を含まない組成物と比較して、植物に適用したときの薬害が少ない。
【0024】
別の実施形態では、エトキシル化ナタネ油誘導体を、殺線虫剤として用いることができる。例えば、ニーム油を用いることもできる。そのような誘導体は、Pest Manag Sci 58:1243〜1249(2002)に記載され、その開示は参照により完全に本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、エトキシル化メチル化植物油を用いることができる。さらに別の実施形態では、微生物病原体または微生物病原体に由来する化合物を用いて、そのようなブレンドを生成することができる。そのような化合物または微生物病原体は、それらに限定されないが、細菌Pasteuria penetrans(以前はBacillus penetransとして知られていた)、Bacillus thuringiensis(殺虫製剤で入手可能)およびBurkholderia cepaciaを含む微生物に由来することができる。他の微生物病原体には、非限定的に、殺線虫真菌類、例えばTrichoderma harzianum、Hirsutella rhossiliensis、Hirsutella minnesotensis、Verticillium chlamydosporum、Arthrobotrys dactyloidesおよびPaceilomyces lilacinusが含まれる。線虫の防除に非常に有効であることが見出された別の真菌Myrothecium verrucariaは、Abbott Laboratoriesから市販製剤DiTera(商標)で入手可能である。Circle One社は、いくつかの菌根菌胞子の組合せを、Prosper−Nema(商標)と呼ばれる線虫防除製品で提供する。Stein Microbial Productsは、細菌Burkholderia cepaciaを、Deny(商標)およびBlue Circle(商標)と呼ばれる製品で提供する。Rincon−Vitovaは、有効成分が細菌Bacillus chitinosporusである、Activate(商標)と呼ばれる製品を提供する。そのような防除方法は、National Sustainable Agriculture Information Service(Fayetteville、AR)によって発行されたNematodes:Alternative Controls(Agriculture Specialist刊行物#IP287、2006)に記載され、その開示は参照により完全に本明細書に組み込まれている。
【0025】
別の実施形態では、レシチン−共界面活性剤(lecithin-co-surfactant)ブレンドは、トリグリセリド、ジグリセリド、食品等級の鉱油、植物油、糖アルコール、例えばソルビトール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはそれらの任意の組合せなどの共溶媒を含むことができる。さらに別の実施形態では、レシチンは、粗レシチン、脱脂レシチン、液体レシチンまたはそれらのいずれかの組合せでよい。組成物は、エトキシル化モノグリセリド、エトキシル化ジグリセリド、エトキシル化アルコール、ソルビタン脂肪酸エステル、糖エステル、ポリグリセロールエステルまたはそれらの任意の組合せなどの非イオン性化合物を含有する、約10〜50重量%の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、中性pH値、および約10〜18のHLB(親水性−親油性バランス)値を有するべきである。HLB値は、分子中の疎油物質に対する疎水物質の重量%に基づいて乳化剤に割り当てられる1〜20の数である。2つの純粋な液体の安定したエマルジョンを調製することができない場合、安定性を達成するために乳化剤などの第三の成分を用いることができる。安定性のより低いエマルジョンは、最終的には2つの液層に自然に分離する。
【0026】
一実施形態では、レシチン−共界面活性剤ブレンドが生成される。そのようなブレンドは、レシチンを、任意選択で、それらに限定されないが短鎖脂肪族アルコール、酸、エステル、グリセロール、グリコールまたはそれらの任意の組合せを含む共溶媒の存在下で、約10.0〜18.0の範囲のHLBを有する界面活性剤と混合することによって生成される。共界面活性剤ブレンドは、エトキシル化モノグリセリドもしくは脂肪酸エトキシレート、ダイズ油、プロピレングリコールまたはそれらの任意の組合せを含むことができる。いくつかの界面活性剤、例えばポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、糖エステル、ポリグリセロールエステル、それらのいずれかの誘導体またはそれらのいずれかの組合せをブレンドのために用いることができる。別の実施形態では、12〜16のHLB値を有する界面活性剤を用いることができる。界面活性剤ブレンドは、レシチン、例えば液状化レシチン、粗レシチンまたは脱脂レシチンを界面活性剤および共溶媒を含有する組成物と混合することによって生成することができる。そのようなブレンドの範囲は、約50重量%〜90重量%のレシチンを含むことができ、ブレンドの残りは共界面活性剤を含む。
【0027】
レシチン−共界面活性剤ブレンドは、殺線虫剤と混合することができる。用いることができるそのようなブレンドのレベルは、レシチン−共界面活性剤ブレンドに加えられる線虫剤の約50〜90重量%である。
【0028】
レシチン−共界面活性剤ブレンドまたはレシチン−共界面活性剤との線虫剤ブレンドは、それらに限定されないが、ブレンディング、混合、剪断混合、撹乱、撹拌、均質化またはそれらの任意の組合せを含む様々な技術によって達成することができる。これらのブレンドを生成するための一般的な混合時間は、少なくとも30分でよい。別の実施形態では、均一な混合を生成するのに十分な温度で、約30分〜300分の時間を用いることもできる。一実施形態では、25℃〜60℃の温度を用いることができる。そのような条件は、原因変動効果の結果であり、ブレンドを生成するために用いる共界面活性剤の種類および濃度に基づいて最適化することができる。
【0029】
用いる共界面活性剤は、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、短鎖脂肪酸、それらのいずれかのエステル、またはそれらのいずれかの組合せを含有することもできる。一実施形態では、有効成分はゴマ油、カラシ油、カノーラ油、それらのいずれかの組合せ、または任意の他の有効な殺線虫剤である。不活性成分は、油中に溶解、懸濁される。一般に、組成物は一般的に別々に販売され、使用時に通常浸透剤(界面活性剤)が併用される。最終組成物を水で希釈し、土壌に噴霧または注ぐことができる。一実施形態では、使いやすさのためにすべての成分を1つの相に入れることができ、水で希釈するだけで土壌に送達する準備ができる。様々な実施形態では、水溶液中の有効成分の濃度は、0.1〜20%の範囲でよい。適用の割合および手法は作物の種類、処理する線虫の種類および/または他の条件によって異なり、それらは常用の実験を用いて最適化できることは、当業者に明らかとなろう。界面活性剤の相は、例えば、ソルビタンモノエステルのポリオキシエチレン誘導体、例えばソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレートなど)のポリエチレンオキシドを含むこともできる。これらの化合物は、TWEEN 60またはTWEEN 80など、Uniqema社(Delaware州の会社)の商品名「TWEEN」の下で入手可能である。所望のHLB範囲の他の任意の好適な界面活性剤を用いることができる。そのような界面活性剤は、BASF(Florham Park、NJ)、Lonza(Allendale、NJ)、Stepan(Northfield、IL)、Kerry(Beloit、WI)などの多数の供給業者から入手可能である。
【0030】
別の実施形態では、殺線虫剤の効力を向上させることができるブレンドの溶解特性を向上させるために、10〜18の所与のHLB範囲の混合界面活性剤(界面活性剤混合物)を用いることができる。
【0031】
本発明の別の実施形態は、土壌への適用のために硬水(例えば、井戸水)の使用を許容する。硬度を低下させるための水処理と関連する費用のために、硬水中での本発明の組成物の分散性は重要である。ミネラル(例えば、カルシウム、マグネシウムおよび鉄)含有量が非常に高いことがある井戸水を用いることもできる。組成物は、水で希釈後に1エーカーあたり6ポンド(672.5kg/km)から1エーカーあたり300ポンド(33,625kg/km)などの割合で用いることができる。ある場合には、殺線虫組成物は、組成物および線虫が相互接触させられる任意の適用技術による有効な防除を達成するのに必要な量に応じて、例えば植物もしくは草の葉、土壌自体、線虫自体、または他の植物害虫に1エーカーあたり1ポンド(112.1kg/km)以下の割合で用いることができる。
【0032】
本発明の水溶性組成物は、殺生物剤、殺菌剤、殺線虫剤、除草剤、農薬または殺虫剤などの、適用前に水に分散する必要がある任意の生物剤または化学物質剤と併用することもできる。例えば、適用前に水に分散する必要がある作物保護において用いる物質は、本発明の教示によって適切に開発することができる。レシチンおよび共界面活性剤を含む水溶性組成物の好適なブレンドは、安定した水分散性を生成するために適用に必要とされる生物剤または化学物質剤と一緒に調製し、混合することができる。一実施形態では、水溶性組成物は、硬水中に分散させることもできる。
【0033】
別の実施形態では、本発明の組成物は、市販製品と比較して、それらが適用される植物に対する害がより低い。例えば、一部の従来の殺線虫剤製品の適用は、従来の殺線虫剤製品が適用される植物に害を及ぼす。
【0034】
一実施形態では、水を加えることによって土地に容易に噴霧することができる生物分解性かつバイオ再生可能な(bio-renewable)成分に基づく水分散性線虫組成物を開示する。別の実施形態では、殺線虫剤、レシチンおよび共界面活性剤を含む組成物を水と混合し、当該組成物を水に入れ、線虫防除のためにそれを土壌に適用する方法が記載される。また、本発明のさらに別の実施形態は、レシチンを界面活性剤と混合してレシチン−共界面活性剤ブレンドを形成することによって、および、ゴマの抽出物をレシチン−共界面活性剤ブレンドと混合してゴマ油系を形成することによって製品を生成する方法を記載する。
【0035】
本発明の他の教示において、ゴマ種子油;レシチン;ならびに、トリグリセリド、ジグリセリド、糖アルコール、エトキシル化モノグリセリド、脂肪酸エトキシレート、ソルビタンモノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、短鎖脂肪族アルコール、酸、エステル、グリセロール、グリコール、それらのいずれかの誘導体、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される化合物を含む組成物が記載される。
【0036】
この実施形態の別の態様は、ゴマ種子油;レシチン;ならびに、ソルビタンモノステアレート、ロジンのポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンドデシルモノエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンモノ(シス−9−オクタデセニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレンジオレエート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、オレイン酸のポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサステアレート、ポリオキシエチレンモノテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、脂肪酸、トール油、ソルビトールとのヘキサエステル、エトキシル化ヒマシ油、エトキシル化ダイズ油、エトキシル化ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、脂肪酸、トール油、グリセロールおよびポリエチレングリコールとの混合エステル、アルコール、それらのいずれかのC9〜16誘導体およびエトキシル化誘導体、ならびにそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される化合物を含む組成物である。
【0037】
別の実施形態では、水中に油を分散させるための組成物は、レシチン、ならびに、ソルビタンモノステアレート、ロジンのポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンドデシルモノエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンモノ(シス−9−オクタデセニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレンジオレエート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、オレイン酸のポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサステアレート、ポリオキシエチレンモノテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、脂肪酸、トール油、ソルビトールとのヘキサエステル、エトキシル化ヒマシ油、エトキシル化ダイズ油、エトキシル化ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、脂肪酸、トール油、グリセロールおよびポリエチレングリコールとの混合エステル、アルコール、それらのいずれかのC9〜16誘導体およびエトキシル化誘導体、ならびにそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される化合物から本質的になる。
【0038】
さらなる実施形態では、殺線虫剤油、非イオン性乳化剤および界面活性剤を含む組成物を殺線虫剤として用いることができる。一実施形態では、非イオン性乳化剤はリン脂質であってよい。さらなる実施形態では、非イオン性乳化剤は、液状レシチン、脱脂レシチン、アセチル化レシチン、ヒドロキシル化レシチン、アセチル化およびヒドロキシル化レシチン、またはそれらのいずれかの組合せであってよい。
【0039】
以下の非限定的実施例は、本発明をさらに説明するために提供される。当業者は、本発明の趣旨の範囲内で、これらの実施例のいくつかの変形形態が可能であることを理解しよう。
【実施例】
【0040】
(実施例1)
この実施例は、線虫防除のためのゴマ油ブレンド噴霧剤を作製する方法を記載する。レシチン−共界面活性剤ブレンドを、80重量%の量のレシチン(Decatur、ILのArcher Daniels Midland社から入手可能);10重量%の量のエトキシル化モノグリセリド(BASF、Florham、NJから入手可能);2重量%の量のプロピレングリコール;および8重量%の量のダイズ油を混合することによって調製した。噴霧剤の成分を、連続撹拌の下50℃で30分〜60分間混合して、琥珀色の透明なレシチン−共界面活性剤ブレンドを生成した。
【0041】
レシチン−共界面活性剤ブレンドを30重量%の量で70重量%の量のゴマ種子油と混合し、連続撹拌しながら50℃に30分間加熱して、水中で安定した乳状分散液を容易に形成する透明なゴマ油系を得た。
【0042】
この実施例で用いた全成分は、食品等級で、バイオベースであり、生物分解性であるとみなされる。植物および草に適用するために硬水に分散させたときに生じたエマルジョンは、安定していると考えられる。
【0043】
(実施例2)
この実施例は、線虫防除のためのゴマ油ブレンド噴霧剤を作製する別の方法を記載する。
【0044】
レシチン−共界面活性剤ブレンドを、90重量%の量のレシチン(Archer Daniels Midland社Decatur、ILから入手可能)と、10重量%の量の脂肪酸エトキシレート(Stepan、Northfield、ILから入手可能)とを混合することによって調製した。レシチンおよび脂肪酸エトキシレートを秤量し、連続撹拌しながら50℃に30分間加熱して、琥珀色の透明なレシチン−共界面活性剤ブレンドを得る。用いた脂肪酸エトキシレートは農業用乳化剤であり、米国EPA§40 CFR 180.910、米国EPA§21 CFR 176.210、175.105の下、不活性成分としてEPAによって承認されている。第二の工程では、秤量したゴマ油およびレシチン−共界面活性剤ブレンドの量を混合し、連続撹拌の下50℃に30分〜60分間加熱して、水中で安定した乳状の分散液を容易に形成する透明なゴマ油系を得た。
【0045】
(実施例3)
この実施例は、線虫防除のためのゴマ油ブレンド噴霧剤を作製する別の方法を記載する。
【0046】
ゴマ油ブレンドは、60重量%の量のゴマ油、30重量%の量のレシチン(Archer Daniels Midland社Decatur、ILから入手可能)と、10重量%の量の脂肪酸エトキシレート(Stepan、Northfield、ILから入手可能)または10重量%の量のエトキシル化モノグリセリド(BASF、Florham、NJから入手可能)とを混合することによって調製した。
【0047】
成分を秤量し、連続撹拌しながら50℃に30分間加熱して、琥珀色の透明なゴマ油ブレンドを得る。本明細書で用いた脂肪酸エトキシレートは農業用乳化剤であり、米国EPA§40 CFR 180.910、米国EPA§21 CFR 176.210、175.105の下、不活性成分としてEPAによって承認されている。透明なゴマ油系は、水中で安定した乳状の分散液を容易に形成する。
【0048】
(実施例4)
この実施例は、線虫防除のための油状噴霧組成物を作製する方法を開示する。組成物は、70重量%のカノーラ油および30重量%のレシチン−共界面活性剤ブレンドを含む。
【0049】
組成物は、以下の通りにレシチン−共界面活性剤ブレンドを調製することによって生成した。80重量%のレシチン;10重量%のエトキシル化モノグリセリド;2重量%のプロピレングリコール;および8重量%のダイズ油を有する組成物を達成するのに必要なレシチン、エトキシル化モノグリセリド、プロピレングリコールおよびダイズ油の適当な量。成分を、連続撹拌しながら50℃に30分間加熱して、琥珀色の透明なレシチン−共界面活性剤ブレンドを生成した。
【0050】
油状噴霧組成物は、70重量%のカノーラ油および30重量%のレシチン−共界面活性剤ブレンドを有する油状噴霧組成物を達成するのに必要な、カノーラ油およびレシチン−共界面活性剤ブレンドの適当な量を秤量することによって生成した。カノーラ油およびレシチン−共界面活性剤ブレンドを混合し、連続撹拌の下50℃に30分間加熱して、水中で安定した乳状の分散液を容易に形成する透明な油状噴霧組成物を得た。
【0051】
(実施例5)
この実施例は、線虫防除のための油状噴霧組成物を作製する方法を開示する。組成物は、70重量%のカノーラ油および30重量%のレシチン−共界面活性剤ブレンドを含む。
【0052】
組成物は、以下の通りにレシチン−共界面活性剤ブレンドを調製することによって生成した。90重量%レシチンおよび10重量%の脂肪酸エトキシレートを有する組成物を達成するのに必要なレシチンおよび脂肪酸エトキシレートの適当な量。成分を、連続撹拌しながら50℃に30分間加熱して、琥珀色の透明なレシチン−共界面活性剤ブレンドを生成した。脂肪酸エトキシレートは農業用乳化剤であり、40CFR 180.910、21 CFR 176.210および21 CFR 175.105の下、不活性成分として米国環境保護局によって承認されている。
【0053】
油状噴霧組成物は、70重量%のカノーラ油および30重量%のレシチン−共界面活性剤ブレンドを有する油状噴霧組成物を達成するのに必要な、カノーラ油およびレシチン−共界面活性剤ブレンドの適当な量を秤量することによって生成した。カノーラ油およびレシチン−共界面活性剤ブレンドを混合し、連続撹拌の下50℃に30分間加熱して、水中で安定した乳状の分散液を容易に形成する透明な油状噴霧組成物を得た。
【0054】
(実施例6)
この実施例は、線虫防除のための油状噴霧組成物を作製する方法を開示する。組成物は、70重量%のカノーラ油/ゴマ油1:1ブレンドおよび30重量%のレシチン−共界面活性剤ブレンドを含む。
【0055】
組成物は、以下の通りにレシチン−共界面活性剤ブレンドを調製することによって生成した。80重量%のレシチン;10重量%のエトキシル化モノグリセリド;2重量%のプロピレングリコール;および8重量%のダイズ油を有する組成物を達成するのに必要な、レシチン、エトキシル化モノグリセリド、プロピレングリコールおよびダイズ油の適当な量。成分を連続撹拌しながら50℃に30分間加熱して、琥珀色の透明なレシチン−共界面活性剤ブレンドを生成した。
【0056】
油状噴霧組成物は、70重量%のカノーラ油/ゴマ油ブレンドおよび30重量%のレシチン−共界面活性剤ブレンドを有する油状噴霧組成物を達成するのに必要な、カノーラ油/ゴマ油の1:1ブレンドおよびレシチン−共界面活性剤ブレンドの適当な量を秤量することによって生成した。カノーラ油/ゴマ油ブレンドおよびレシチン−共界面活性剤ブレンドを混合し、連続撹拌の下50℃に30分間加熱して、水中で安定した乳状の分散液を容易に形成する透明な油状噴霧組成物を得た。
【0057】
(実施例7)
この実施例は、線虫防除のための油状噴霧組成物を作製する方法を開示する。組成物は、70重量%のカノーラ油/ゴマ油1:1ブレンドおよび30重量%のレシチン−共界面活性剤ブレンドを含む。
【0058】
組成物は、以下の通りにレシチン−共界面活性剤ブレンドを調製することによって生成した。90重量%レシチンおよび10重量%の脂肪酸エトキシレートを有する組成物を達成するのに必要なレシチンおよび脂肪酸エトキシレートの適当な量。成分を、連続撹拌しながら50℃に30分間加熱して、琥珀色の透明なレシチン−共界面活性剤ブレンドを生成した。脂肪酸エトキシレートは農業用乳化剤であり、40CFR 180.910、21 CFR 176.210および21 CFR 175.105の下、不活性成分として米国環境保護局によって承認されている。
【0059】
油状噴霧組成物は、70重量%のカノーラ油/ゴマ油ブレンドおよび30重量%のレシチン−共界面活性剤ブレンドを有する油状噴霧組成物を達成するのに必要な、カノーラ油/ゴマ油のブレンドおよびレシチン−共界面活性剤ブレンドの適当な量を秤量することによって生成した。カノーラ油/ゴマ油ブレンドおよびレシチン−共界面活性剤ブレンドを混合し、連続撹拌の下50℃に30分間加熱して、水中で安定した乳状の分散液を容易に形成する透明な油状噴霧組成物を得た。
【0060】
(実施例8)
この実施例は、線虫防除のための油状噴霧組成物を作製する方法を開示する。組成物は、70重量%のカラシ油および30重量%のレシチン−共界面活性剤ブレンドを含む。
【0061】
組成物は、以下の通りにレシチン−共界面活性剤ブレンドを調製することによって生成した。80重量%のレシチン;10重量%のエトキシル化モノグリセリド;2重量%のプロピレングリコール;および8重量%のダイズ油を有する組成物を達成するのに必要な、レシチン、エトキシル化モノグリセリド、プロピレングリコールおよびダイズ油の適当な量。成分を、連続撹拌しながら50℃に30分間加熱して、琥珀色の透明なレシチン−共界面活性剤ブレンドを生成した。
【0062】
油状噴霧組成物は、70重量%のカラシ油および30重量%のレシチン−共界面活性剤ブレンドを有する油状噴霧組成物を達成するのに必要な、カラシ油およびレシチン−共界面活性剤ブレンドの適当な量を秤量することによって生成した。カラシ油およびレシチン−共界面活性剤ブレンドを混合し、連続撹拌の下50℃に30分間加熱して、水中で安定した乳状の分散液を容易に形成する透明な油状噴霧組成物を得た。
【0063】
(実施例9)
この実施例は、線虫防除のための油状噴霧組成物を作製する方法を開示する。組成物は、70重量%のカラシ油および30重量%のレシチン−共界面活性剤ブレンドを含む。
【0064】
組成物は、以下の通りにレシチン−共界面活性剤ブレンドを調製することによって生成した。90重量%レシチンおよび10重量%の脂肪酸エトキシレートを有する組成物を達成するのに必要なレシチンおよび脂肪酸エトキシレートの適当な量。成分を、連続撹拌しながら50℃に30分間加熱して、琥珀色の透明なレシチン−共界面活性剤ブレンドを生成した。脂肪酸エトキシレートは農業用乳化剤であり、40CFR 180.910、21 CFR 176.210および21 CFR 175.105の下、不活性成分として米国環境保護局によって承認されている。
【0065】
油状噴霧組成物は、70重量%のカラシ油および30重量%のレシチン−共界面活性剤ブレンドを有する油状噴霧組成物を達成するのに必要な、カラシ油およびレシチン−共界面活性剤ブレンドの適当な量を秤量することによって生成した。カラシ油およびレシチン−共界面活性剤ブレンドを混合し、連続撹拌の下50℃に30分間加熱して、水中で安定した乳状の分散液を容易に形成する透明な油状噴霧組成物を得た。
【0066】
(実施例10)
この実施例は、殺草効果を有する精油または抽出物を含む組成物を作製する方法を記載する。
【0067】
この実施例では、殺線虫剤油(すなわち、ゴマ油、カノーラ油、カラシ油またはそれらの任意の組合せ)、丁子油およびレシチン−共界面活性剤ブレンドの秤量した量を連続撹拌しながら室温で30分間混合して、数時間安定であった、水中で安定した乳状の分散液を容易に形成する透明な丁子油系を得た。
【0068】
レシチン−共界面活性剤ブレンドは、以下の2つの方法によって調製した。
【0069】
レシチン−共界面活性剤ブレンドは、以下の通りに生成した。80重量%のレシチン;10重量%のエトキシル化モノグリセリド;2重量%のプロピレングリコール;および8重量%のダイズ油を有する組成物を達成するのに必要な、レシチン、エトキシル化モノグリセリド、プロピレングリコールおよびダイズ油の適当な量。成分を、連続撹拌しながら50℃に30分間加熱して、琥珀色の透明なレシチン−共界面活性剤ブレンドを生成した。
【0070】
レシチン−共界面活性剤ブレンドは、以下の通りに調製した。90重量%レシチンおよび10重量%の脂肪酸エトキシレートを有する組成物を達成するのに必要なレシチンおよび脂肪酸エトキシレートの適当な量。成分を、連続撹拌しながら50℃に30分間加熱して、琥珀色の透明なレシチン−共界面活性剤ブレンドを生成した。脂肪酸エトキシレートは農業用乳化剤であり、40CFR 180.910、21 CFR 176.210および21 CFR 175.105の下、不活性成分として米国環境保護局によって承認されている。
【0071】
(実施例11)
実施例10によって調製された組成物は、活発に増殖中の発生した緑色植物を防除するために用いることができる茎葉散布除草剤として用いることができる。組成物は、所望の適用量を達成するために、100ガロン(378.5L)の水に、5〜10%の希釈率の量で植物に適用することができる。組成物は、一年生および多年生の広葉雑草およびイネ科雑草を防除するために用いることができ、組成物で塗布される植物の部分に影響を及ぼす。
【0072】
(実施例12)
実施例1〜10のいずれかによって生成される組成物を硬水で希釈し、水中に0.1重量%〜1.0重量%のエマルジョンを含む分散液を形成する。分散液は、数時間にわたって安定であることが判明し、必要とされる線虫防除に従い、1エーカーの土地につき0.1ガロン〜10.0ガロン(93.5〜9352.6L/km)の量で適用することができる。有効な線虫防除のために、分散液は、12週間につき少なくとも2回の周期で適用しなければならない。線虫が残存する場合、分散液が適用される作物/植物の健康により、分散液を10〜15日ごとに適用することができる。
【0073】
本発明は、ある例示的な実施形態、組成物およびその使用に関して記載された。しかし、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態のいずれかの様々な置換、修正または組合せを行うことができることは、当業者によって認識される。したがって、本発明は例示的な実施形態の記載に限定されないが、むしろ、当初出願された添付の請求項によって限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺線虫剤、レシチンおよび共界面活性剤を含む組成物を水と混合すること;および、 水中に分散した前記組成物を土壌と接触させること
を含む、線虫を防除する方法。
【請求項2】
前記殺線虫剤が、ゴマの抽出物、化学修飾されたナタネ油、微生物病原体由来の化合物、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、食品等級の鉱油、化学修飾された植物油、糖アルコール、短鎖脂肪族アルコール、酸、エステル、グリセロール、グリコール、エトキシル化モノグリセリド、脂肪酸エトキシレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、糖エステル、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、それらのいずれかの誘導体、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される化合物をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記殺線虫剤が、ゴマ種子油、セサミン、セサモリン、セサモール、カノーラ油、カラシ油およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記トリグリセリドが、ダイズ油、トウモロコシ油、アマニ油、綿実油、ジャトロファ油またはそれらの任意の組合せである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記糖アルコールが、ソルビトール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはそれらの任意の組合せである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記レシチンが、液状レシチン、脱脂レシチン、粗レシチンおよびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記共界面活性剤が10.0〜18.0の親水性−親油性バランスを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
土地1エーカーにつき0.1ガロン〜10.0ガロンの組成物(土地1平方キロメートルにつき93.5リットル〜9352.6リットル)を適用すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記共界面活性剤が、エトキシル化モノグリセリド、脂肪酸エトキシレートおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
レシチンを界面活性剤と混合して、レシチン−共界面活性剤ブレンドを形成すること;および
殺線虫剤を前記レシチン−共界面活性剤ブレンドと混合して、殺線虫剤油系を形成すること
を含む、生成物を生成する方法。
【請求項12】
前記殺線虫剤が、ゴマの抽出物、ゴマ油、カノーラ油、カラシ油およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記混合行為が少なくとも25℃の温度で少なくとも30分間実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記界面活性剤が、エトキシル化モノグリセリド、脂肪酸エトキシレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、それらのいずれかの誘導体、およびそれらの任意の組合せを含む群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記界面活性剤が、トリグリセリド、ジグリセリド、食品等級の鉱油、植物油、糖アルコール、短鎖脂肪族アルコール、酸、エステル、グリセロールおよびグリコール、化学修飾された植物油、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される化合物をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記レシチンが、液状レシチン、脱脂レシチン、粗レシチンおよびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記共界面活性剤が10.0〜18.0の親水性−親油性バランスを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記殺線虫剤油系を0.1重量%〜20重量%の濃度で水中に分散させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記殺線虫剤が少なくとも60%の殺線虫剤油系を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
殺線虫剤油;
レシチン;および
界面活性剤
を含む組成物。
【請求項21】
トリグリセリド、ジグリセリド、糖アルコール、エトキシル化モノグリセリド、脂肪酸エトキシレート、ソルビタンモノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、短鎖脂肪族アルコール、酸、エステル、グリセロール、グリコール、それらのいずれかの誘導体、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される化合物をさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記界面活性剤が、ソルビタンモノステアレート、ロジンのポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンドデシルモノエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンモノ(シス−9−オクタデセニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレンジオレエート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、オレイン酸のポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサステアレート、ポリオキシエチレンモノテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、脂肪酸、トール油、ソルビトールとのヘキサエステル、エトキシル化ヒマシ油、エトキシル化ダイズ油、エトキシル化ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、脂肪酸、トール油、グリセロールおよびポリエチレングリコールとの混合エステル、アルコール、それらのいずれかのC9〜C16エトキシル化誘導体、ならびにそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記殺線虫剤油が少なくとも60重量%の組成物を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
前記殺線虫剤油が、ゴマ油、カノーラ油、カラシ油およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項25】
殺生物剤、殺菌剤、殺線虫剤、除草剤、農薬、殺虫剤またはそれらのいずれかの組合せをさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項26】
前記界面活性剤が、エトキシル化モノグリセリド、脂肪酸エトキシレートおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項27】
プロピレングリコール、ダイズ油およびそれらの組合せからなる群から選択される化合物をさらに含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
丁子油、タイム油、ローズマリー油、ホホバ油、リモネン、ハッカ油、ウィンターグリーン油、バニリン、ユーカリ油、レモングラス油およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される除草性油をさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物が、植物に適用した際に界面活性剤を含まない組成物と比較して植物に対して害がより少ない、請求項20に記載の組成物。
【請求項30】
殺線虫剤油、レシチンおよび界面活性剤から本質的になる、請求項20に記載の組成物。
【請求項31】
レシチン;
エトキシル化モノグリセリド、脂肪酸エトキシレートまたはそれらの組合せ;および
殺線虫剤油
を含む組成物。
【請求項32】
プロピレングリコール、ダイズ油またはそれらの組合せをさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項33】
請求項20から32のいずれか一項に記載の組成物を0.1重量%〜20重量%の濃度で水中に分散させること;および
水中に分散した前記組成物を表面に噴霧すること
を含む、組成物を表面に適用する方法。
【請求項34】
前記組成物を噴霧することが、水中に分散した前記組成物の0.5ガロン〜10.0ガロンを1エーカーの土地に適用することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記水が硬水である、請求項1または請求項33に記載の方法。
【請求項36】
殺線虫剤油;
非イオン性乳化剤;および
界面活性剤
を含む組成物。
【請求項37】
非イオン性乳化剤がリン脂質である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
非イオン性乳化剤が、液状レシチン、脱脂レシチン、アセチル化レシチン、ヒドロキシル化レシチン、アセチル化およびヒドロキシル化レシチン、またはそれらのいずれかの組合せである、請求項36に記載の組成物。
【請求項39】
根菜、塊茎野菜、鱗茎野菜、茎野菜、子実野菜、葉菜、ウリ科野菜、果実、ナッツ、ハーブ、条播作物、油料作物、飼料作物、繊維作物、観賞植物、樹、花、潅木、花壇用植物および芝草からなる群から選択される植物が土壌中で生育する、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2010−516706(P2010−516706A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546573(P2009−546573)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/051663
【国際公開番号】WO2008/091871
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(507303309)アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド カンパニー (16)
【Fターム(参考)】