水切り部材
【課題】長年にわたり、ほこり、砂、泥等が堆積して堰き止められた場合や、風雨が強かったり、雨量が多い場合であっても、雨水が野地板側に浸入することを防止できる水切り部材を提供すること。
【解決手段】野地板10と平板瓦20との間に配置され、先端部を外方側に折り返して形成された弾性折返部を有する水平支持部61と、水平支持部61の外方側端部から上方に延設された鉛直支持部62とを有する水切りシート60と、水切りシート60と平面瓦20との間に、弾性折返部61aを露出させた状態で重ねて配置され、平板瓦20の下面を支持するとともに内方側の先端に折返部51aが形成された水平支持部51と、水平支持部51の外方側から鉛直方向に設けられ、平板瓦20の側端面に対向配置された鉛直部54とを有する水切り板50とを備えている。
【解決手段】野地板10と平板瓦20との間に配置され、先端部を外方側に折り返して形成された弾性折返部を有する水平支持部61と、水平支持部61の外方側端部から上方に延設された鉛直支持部62とを有する水切りシート60と、水切りシート60と平面瓦20との間に、弾性折返部61aを露出させた状態で重ねて配置され、平板瓦20の下面を支持するとともに内方側の先端に折返部51aが形成された水平支持部51と、水平支持部51の外方側から鉛直方向に設けられ、平板瓦20の側端面に対向配置された鉛直部54とを有する水切り板50とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野地板の側端部に設けられた水切り部材に関し、特に屋根材上の雨水が野地板に滴下することを確実に防止できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
野地板上に平面瓦等の屋根材を設置する場合、瓦の端部側から野地板に雨水が滴下することを防ぐため、水切り部材が設置され、この水切り部材で受けた雨水を軒先から排出するようにしている。
【0003】
図15は、このような水切り部材が組み込まれた屋根構造の一例を図16中Z2−Z2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図16は、同屋根構造の要部を図15中Z1−Z1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。
【0004】
図15中100は野地板、110は平面瓦、120は金属材製の水切り部材、130は防水紙を示している。
【0005】
水切り部材120は、板材を折曲して形成され、平面瓦110の下面側を支持する水平支持部121と、この水平支持部121から鉛直方向上側に延設され、平面瓦110の側端部と対向配置される鉛直支持部122と、この鉛直支持部122から水平方向外側に延設された水平部材123と、この水平部材123の外側端部から鉛直方向下側に延設された鉛直部124とを備えている。なお、水平支持部121の先端部には折返部121a、中央部には突条部121bが形成されている。
【0006】
図17は水切り部材が組み込まれた屋根構造の一例を図18中Z4−Z4線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図18は同屋根構造の要部を図17中Z3−Z3線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。なお、図17,18において、図15,16と同一機能部分には同一符号を付している。
【0007】
図17中140は、金属材製の水切り部材を示している。水切り部材140は、板材を折曲して形成され、平面瓦110の下面側を支持する水平支持部141と、この水平支持部141から鉛直方向上側に延設され、平面瓦110の側端部と対向配置される鉛直支持部142と、この鉛直支持部142から水平方向外側に延設された水平部材143と、この水平部材143の外側端部から鉛直方向上方に延設された鉛直部144とを備えている。なお、水平支持部141の先端部には折返部141a、中央部には突条部141bが形成されている。
【0008】
図19は、水切り部材が組み込まれた屋根構造の一例を示す平面図である。図19中200は谷部状に配置された野地板、210は平面瓦、220は金属材製の水切り板、230は防水紙を示している。
【0009】
水切り板220は、野地板200の谷部を含む領域に配置されており、その上端部221には、平面瓦210の下端部が積層されて配置されている。なお、図19中240は水切り板220を野地板200に固定する固定部材を示している。
【0010】
なお、屋根構造における防水構造としては、各種の部材が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平5−66122号公報
【特許文献2】実開平5−66123号公報
【特許文献3】実開平6−71658号公報
【特許文献4】実開平3−28221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した水切り板では、次のような問題があった。すなわち、長年にわたり、ほこり、砂、泥等が水切り部材と平面瓦の間に入り込み、水切り部材と平面瓦の間の水を流す空間を堰き止めてしまう。このため、平面瓦等の屋根材から滴下した雨水を軒先に流すことができなくなり、雨水の量が多くて折返部から溢れ出したり、風圧によって雨水が折返部を乗り越えると、雨水が野地板側に浸入する。野地板に浸入した雨水は、平面瓦と野地材とが密着しているため、行き場が無く、水溜りの状態となる。平面瓦を固定するための釘があり、その釘を伝わって防水紙を通して野地板に水が伝わる。これにより、野地板が腐る虞があった。
【0013】
そこで本発明は、ほこり、砂、泥等がたまった場合でも、風雨が強かったり、雨量が多い場合であっても、雨水が野地板側に浸入することを防止できる水切り部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の水切り部材は次のように構成されている。
【0015】
(1)野地板の側端部に設けられ、上記野地板上に配置される屋根材から滴下する雨水を上記野地板の軒先側に案内する水切り部材において、上記野地板と上記屋根材との間に配置され、先端部を外方側に折り返して形成された弾性折返部を有する平面部と、この平面部の外方側端部から上方に延設された鉛直部とを有する樹脂材製の水切りシートと、この水切りシートと上記屋根材との間に、上記弾性折返部を露出させた状態で重ねて配置され、上記屋根材の下面を支持するとともに内方側の先端に折返部が形成された支持部と、この支持部の外方側から鉛直方向に設けられ、上記屋根材の側端面に対向配置された面支持部とを有する金属材製の水切り板とを備えていることを特徴とする。
【0016】
(2)野地板の側端部に設けられ、上記野地板上に配置される屋根材から滴下する雨水を上記野地板の軒先側に案内する水切り部材において、上記野地板と上記屋根材との間に配置され、上記屋根材の下面を支持するとともに内方側の先端に折返部が形成された支持部と、この支持部の外方側から鉛直方向に設けられ、上記屋根材の側端面に対向配置された面支持部とを有する金属材製の水切り板と、上記支持部に設けられたシーラー部材とを備えていることを特徴とする。
【0017】
(3)谷部状の野地板上に設けられ、上記野地板上に配置される屋根材から滴下する雨水を谷部側に案内する水切り部材において、上記野地板の谷部を含む領域に配置され、上記谷部を挟んで位置する最上端部を上記谷部側に折り返して形成された折返部を有する樹脂材製の水切りシートと、この水切りシートの上側に上記折返部を露出させた状態で重ねて配置された金属材製の水切り板とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ほこり、砂、泥等がたまった場合でも、風雨が強かったり、雨量が多い場合であっても、雨水が野地板側に浸入することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る水切り部材が組み込まれた屋根構造の要部を図2中A2−A2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図2】同屋根構造の要部を図1中A1−A1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る水切り部材が組み込まれた屋根構造の要部を図4中B2−B2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図4】同屋根構造の要部を図3中B1−B1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る水切り部材が組み込まれた屋根構造の要部を図6中C2−C2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図6】同屋根構造の要部を図5中C1−C1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る水切り部材が組み込まれた屋根構造の要部を図8中D2−D2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図8】同屋根構造の要部を図7中D1−D1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る水切り部材が組み込まれた屋根構造の要部を図10中E2−E2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図10】同屋根構造の要部を図9中E1−E1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図11】本発明の第6の実施の形態に係る水切り部材が組み込まれた屋根構造の要部を図12中F2−F2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図12】同屋根構造の要部を図11中F1−F1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図13】本発明の第7の実施の形態に係る水切り部材が組み込まれた屋根構造の要部を図14中G2−G2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図14】同屋根構造の要部を示す平面図。
【図15】水切り部材が組み込まれた屋根構造の一例を図16中Z2−Z2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図16】同屋根構造の要部を図15中Z1−Z1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図17】水切り部材が組み込まれた屋根構造の一例を図18中Z4−Z4線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図18】同屋根構造の要部を図17中Z1−Z1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図19】水切り部材が組み込まれた屋根構造の一例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る水切り部材40が組み込まれた屋根構造の要部を図2中A2−A2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図2は、同屋根構造の要部を図1中A1−A1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。
【0021】
図1中10は野地板、20は平面瓦、30は防水紙、40は水切り部材を示している。
【0022】
水切り部材40は、金属板製の水切り板50と、柔軟性のある樹脂材製の水切りシート60とを備えている。
【0023】
水切り板50は、板材を折曲して形成され、平面瓦20の下面側を支持する水平支持部51と、この水平支持部51から鉛直方向上側に延設され、平面瓦20の側端部と対向配置される鉛直支持部52と、この鉛直支持部52から水平方向外側に延設された水平部材53と、この水平部材53の外側端部から鉛直方向下側に延設された鉛直部54とを備えている。なお、水平支持部51の先端部には折返部51a、中央部には突条部51bが形成されている。
【0024】
水切りシート60は、シート状の樹脂材を細長形状に切断して形成され、平面瓦20の下面側を支持する水平支持部(平面部)61と、この水平支持部61から鉛直方向上側に延設され、平面瓦20の側端部と対向配置される鉛直支持部(鉛直部)62とを備えている。なお、水平支持部61の先端部には弾性折返部61aが形成されている。
【0025】
このような屋根構造では、野地板10上には、防水紙30が敷かれ、その上に平面瓦20が葺かれる。このとき、野地板10の側端側には水切り部材40が配設され、側端側に位置する平面瓦20がその上に載置される。
【0026】
水切り部材40では、平面瓦20が載せられると、その側端部側の下面20aは水切り板50の突条部51b上に載置されるとともに、内方側の下面20aは、水切りシート60の弾性折返部61aが湾曲して当接する。
【0027】
このように構成された屋根構造では、降雨があると、平面瓦20上の雨水の大部分は、その上面を伝わって下方に隣接する平面瓦20上に落ちて、最終的には軒先側に案内される。一方、雨水の一部は側方に伝わり、水切り部材40の鉛直支持部52で受け、水平支持部51に滴下する。水平支持部51に滴下した雨水は、そのまま水平支持部51に案内されて、軒先側へ案内されて排出される。
【0028】
また、長年にわたり、ほこり、砂、泥等が水平支持部51に堆積して雨水を堰き止めるようになったり、降水量が多かったり、強風時等に、多量の雨水が水切り部材40側に流れ込むと、水平支持部51に雨水が溜まり、折返部51aを超える場合がある。このとき、水切りシート60で水滴は受け止められ、軒先側に案内されて排出される。
【0029】
このようにして、水切り板50で案内仕切れなかった水滴は、水切りシート60によって、外部に排出される。したがって、野地板10上には滴下することなく、野地板10が腐ることを防止できる。
【0030】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る水切り部材40Aが組み込まれた屋根構造の要部を図4中B2−B2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図4は、同屋根構造の要部を図3中B1−B1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。なお、これらの図において、図1,2と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0031】
本実施の形態においては、上述した水切り部材40の代わりに水切り部材40Aが用いられている。水切り部材40Aは、水切りシート60の水平支持部61の弾性折返部61a側に設けられたシーラ部材63とをさらに備えている。このシーラ部材63は、平面瓦20の下面に当接する。シーラ部材63は、弾性折返部61とは異なり、押圧された部分のみが凹むため、図6に示すように、弾性折返部61と平面瓦20との間に生じる隙間を埋めることができる。
【0032】
このため、水切り部材40Aは、上述した水切り部材40と同様の効果が得られるとともに、さらに防水性を向上させることができる。
【0033】
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る水切り部材40Bが組み込まれた屋根構造の要部を図6中C2−C2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図6は、同屋根構造の要部を図5中C1−C1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。なお、これらの図において、図1,2と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0034】
本実施の形態においては、上述した水切り部材40の代わりに水切り部材40Bが用いられている。水切り部材40Bは、水切りシート60が無く、その代わり、水切り板50の折返部51aにシーラ部材55が設けられている。シーラ部材55は、平面瓦20に押圧された部分のみが凹み、図6に示すように、平面瓦20と水切り板50との隙間を埋めることができる。
【0035】
このため、水切り部材40Bは、水平支持部51に、泥等が堆積して滴下した雨水が堰き止められたとしても、折返部51aを乗り越えることはない。したがって、野地板10上には滴下することなく、野地板10が腐ることを防止できる。上述した水切り部材40と同様の効果が得られる。
【0036】
図7は、本発明の第4の実施の形態に係る水切り部材70が組み込まれた屋根構造の要部を図8中D2−D2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図8は、同屋根構造の要部を図7中D1−D1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。なお、これらの図において、図1,2と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0037】
水切り部材70は、金属板製の水切り板80と、柔軟性のある樹脂材製の水切りシート90とを備えている。水切り板80は、板材を折曲して形成され、平面瓦20の下面側を支持する水平支持部81と、この水平支持部81から鉛直方向上側に延設され、平面瓦20の側端部と対向配置される鉛直支持部82と、この鉛直支持部82から水平方向外側に延設された水平部材83と、この水平部材83の外側端部から鉛直方向上方に延設された鉛直部84とを備えている。なお、水平支持部81の先端部には折返部81a、中央部には突条部81bが形成されている。
【0038】
水切りシート90は、シート状の樹脂材を細長形状に切断して形成され、平面瓦20の下面側を支持する水平支持部(平面部)91と、この水平支持部91から鉛直方向上側に延設され、平面瓦20の側端部と対向配置される鉛直支持部(鉛直部)92とを備えている。なお、水平支持部91の先端部には弾性折返部91aが形成されている。
【0039】
このように構成された屋根構造では、降雨があると、平面瓦20上の雨水の大部分は、その上面を伝わって下方に隣接する平面瓦20上に落ちて、最終的には軒先側に案内される。一方、雨水の一部は側方に伝わり、水切り部材70の鉛直支持部82で受け、水平支持部81に滴下する。水平支持部81に滴下した雨水は、そのまま水平支持部81に案内されて、軒先側へ案内されて排出される。
【0040】
また、降水量が多かったり、強風時等に、多量の雨水が水切り部材70側に流れ込むと、水平支持部81に雨水が溜まり、折返部81aを超える場合がある。このとき、水切りシート90で水滴は受け止められ、軒先側に案内されて排出される。
【0041】
このようにして、水切り板80で案内仕切れなかった水滴は、水切りシート90によって、外部に排出される。したがって、野地板10上には滴下することなく、野地板10が腐ることを防止できる。
【0042】
図9は、本発明の第5の実施の形態に係る水切り部材70Aが組み込まれた屋根構造の要部を図10中E2−E2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図10は、同屋根構造の要部を図9中E1−E1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。なお、これらの図において、図7,8と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0043】
本実施の形態においては、上述した水切り部材70の代わりに水切り部材70Aが用いられている。水切り部材70Aは、水切りシート90の水平支持部91の弾性折返部91a側に設けられたシーラ部材93とをさらに備えている。このシーラ部材93は、平面瓦20の下面に当接する。シーラ部材93は、弾性折返部91とは異なり、押圧された部分のみが凹むため、図10に示すように、弾性折返部91と平面瓦20との間に生じる隙間を埋めることができる。
【0044】
このため、水切り部材70Aは、上述した水切り部材70と同様の効果が得られるとともに、さらに防水性を向上させることができる。
【0045】
図11は、本発明の第6の実施の形態に係る水切り部材70Bが組み込まれた屋根構造の要部を図12中F2−F2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図12は、同屋根構造の要部を図11中F1−F1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。なお、これらの図において、図7,8と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0046】
本実施の形態においては、上述した水切り部材70の代わりに水切り部材70Bが用いられている。水切り部材70Bは、水切りシート90が無く、その代わり、水切り板80の折返部81aにシーラ部材85が設けられている。シーラ部材85は、平面瓦20に押圧された部分のみが凹み、図12に示すように、平面瓦20と水切り板80との隙間を埋めることができる。
【0047】
このため、水切り部材70Bは、水平支持部81に滴下した雨水は、折返部81aを乗り越えることなく、そのまま水平支持部81に案内されて、軒先側へ案内されて排出される。したがって、野地板10上には滴下することなく、野地板10が腐ることを防止できる。上述した水切り部材70と同様の効果が得られる。
【0048】
図13は、本発明の第7の実施の形態に係る水切り部材330が組み込まれた屋根構造の要部を図14中G2−G2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図14は、同屋根構造の要部を示す平面図である。なお、これらの図において、図1,2と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0049】
図13中300は谷部状に配置された野地板、310は平面瓦、320は防水紙、330は水切り部材を示している。水切り部材330は、金属板製の水切り板340と、柔軟性のある樹脂材製の水切りシート350とを備えている。
【0050】
水切りシート350は、野地板10の谷部を含む領域に配置され、谷部を挟んで位置する最上端部を谷部側に折り返して形成された弾性折返部351を備えている。
【0051】
水切り板340は、この水切りシート350の上側に弾性折返部351を露出させた状態で重ねて配置されている。水切り板340の上端部341には、平面瓦310の下端部が積層されて配置されている。なお、図13中360は水切り板340を野地板10に固定する固定部材を示している。
【0052】
このように構成された屋根構造では、降雨があると、平面瓦310上の雨水は、その上面を伝わって下方に隣接する平面瓦310上に落ちて、最終的には水切り板340上に案内される。水切り板340に滴下した雨水は、そのまま軒先側へ案内されて排出される。
【0053】
また、降水量が多かったり、強風時等に、多量の雨水が水切り板340に流れ込むと、雨水が溢れて折返部341を超える場合がある。このとき、水切りシート350で水滴は受け止められ、軒先側に案内されて排出される。
【0054】
このようにして、水切り板340で案内仕切れなかった水滴は、水切りシート350によって、外部に排出される。したがって、野地板300上には滴下することなく、野地板300が腐ることを防止できる。
【0055】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
ほこり、砂、泥等がたまった場合でも、風雨が強かったり、雨量が多い場合であっても、雨水が野地板側に浸入することを防止できる水切り部材が得られる。
【符号の説明】
【0057】
10…野地板、20…平面瓦、30…防水紙、40,40A,40B,70,70A,70B…水切り部材、50,80…水切り板、51,81…水平支持部、51a,81a…折返部、51b,81b…突条部、52,82…鉛直支持部、53,83…水平部材、54,84…鉛直部、60,90…水切りシート、61,91…水平支持部(平面部)、61a,91a…弾性折返部、62,92…鉛直支持部(鉛直部)、300…は谷部状に配置された野地板、310…平面瓦、320…防水紙、330…水切り部材、340…水切り板、341…上端部、350…水切りシート、351…弾性折返部、360…固定部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、野地板の側端部に設けられた水切り部材に関し、特に屋根材上の雨水が野地板に滴下することを確実に防止できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
野地板上に平面瓦等の屋根材を設置する場合、瓦の端部側から野地板に雨水が滴下することを防ぐため、水切り部材が設置され、この水切り部材で受けた雨水を軒先から排出するようにしている。
【0003】
図15は、このような水切り部材が組み込まれた屋根構造の一例を図16中Z2−Z2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図16は、同屋根構造の要部を図15中Z1−Z1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。
【0004】
図15中100は野地板、110は平面瓦、120は金属材製の水切り部材、130は防水紙を示している。
【0005】
水切り部材120は、板材を折曲して形成され、平面瓦110の下面側を支持する水平支持部121と、この水平支持部121から鉛直方向上側に延設され、平面瓦110の側端部と対向配置される鉛直支持部122と、この鉛直支持部122から水平方向外側に延設された水平部材123と、この水平部材123の外側端部から鉛直方向下側に延設された鉛直部124とを備えている。なお、水平支持部121の先端部には折返部121a、中央部には突条部121bが形成されている。
【0006】
図17は水切り部材が組み込まれた屋根構造の一例を図18中Z4−Z4線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図18は同屋根構造の要部を図17中Z3−Z3線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。なお、図17,18において、図15,16と同一機能部分には同一符号を付している。
【0007】
図17中140は、金属材製の水切り部材を示している。水切り部材140は、板材を折曲して形成され、平面瓦110の下面側を支持する水平支持部141と、この水平支持部141から鉛直方向上側に延設され、平面瓦110の側端部と対向配置される鉛直支持部142と、この鉛直支持部142から水平方向外側に延設された水平部材143と、この水平部材143の外側端部から鉛直方向上方に延設された鉛直部144とを備えている。なお、水平支持部141の先端部には折返部141a、中央部には突条部141bが形成されている。
【0008】
図19は、水切り部材が組み込まれた屋根構造の一例を示す平面図である。図19中200は谷部状に配置された野地板、210は平面瓦、220は金属材製の水切り板、230は防水紙を示している。
【0009】
水切り板220は、野地板200の谷部を含む領域に配置されており、その上端部221には、平面瓦210の下端部が積層されて配置されている。なお、図19中240は水切り板220を野地板200に固定する固定部材を示している。
【0010】
なお、屋根構造における防水構造としては、各種の部材が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平5−66122号公報
【特許文献2】実開平5−66123号公報
【特許文献3】実開平6−71658号公報
【特許文献4】実開平3−28221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した水切り板では、次のような問題があった。すなわち、長年にわたり、ほこり、砂、泥等が水切り部材と平面瓦の間に入り込み、水切り部材と平面瓦の間の水を流す空間を堰き止めてしまう。このため、平面瓦等の屋根材から滴下した雨水を軒先に流すことができなくなり、雨水の量が多くて折返部から溢れ出したり、風圧によって雨水が折返部を乗り越えると、雨水が野地板側に浸入する。野地板に浸入した雨水は、平面瓦と野地材とが密着しているため、行き場が無く、水溜りの状態となる。平面瓦を固定するための釘があり、その釘を伝わって防水紙を通して野地板に水が伝わる。これにより、野地板が腐る虞があった。
【0013】
そこで本発明は、ほこり、砂、泥等がたまった場合でも、風雨が強かったり、雨量が多い場合であっても、雨水が野地板側に浸入することを防止できる水切り部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の水切り部材は次のように構成されている。
【0015】
(1)野地板の側端部に設けられ、上記野地板上に配置される屋根材から滴下する雨水を上記野地板の軒先側に案内する水切り部材において、上記野地板と上記屋根材との間に配置され、先端部を外方側に折り返して形成された弾性折返部を有する平面部と、この平面部の外方側端部から上方に延設された鉛直部とを有する樹脂材製の水切りシートと、この水切りシートと上記屋根材との間に、上記弾性折返部を露出させた状態で重ねて配置され、上記屋根材の下面を支持するとともに内方側の先端に折返部が形成された支持部と、この支持部の外方側から鉛直方向に設けられ、上記屋根材の側端面に対向配置された面支持部とを有する金属材製の水切り板とを備えていることを特徴とする。
【0016】
(2)野地板の側端部に設けられ、上記野地板上に配置される屋根材から滴下する雨水を上記野地板の軒先側に案内する水切り部材において、上記野地板と上記屋根材との間に配置され、上記屋根材の下面を支持するとともに内方側の先端に折返部が形成された支持部と、この支持部の外方側から鉛直方向に設けられ、上記屋根材の側端面に対向配置された面支持部とを有する金属材製の水切り板と、上記支持部に設けられたシーラー部材とを備えていることを特徴とする。
【0017】
(3)谷部状の野地板上に設けられ、上記野地板上に配置される屋根材から滴下する雨水を谷部側に案内する水切り部材において、上記野地板の谷部を含む領域に配置され、上記谷部を挟んで位置する最上端部を上記谷部側に折り返して形成された折返部を有する樹脂材製の水切りシートと、この水切りシートの上側に上記折返部を露出させた状態で重ねて配置された金属材製の水切り板とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ほこり、砂、泥等がたまった場合でも、風雨が強かったり、雨量が多い場合であっても、雨水が野地板側に浸入することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る水切り部材が組み込まれた屋根構造の要部を図2中A2−A2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図2】同屋根構造の要部を図1中A1−A1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る水切り部材が組み込まれた屋根構造の要部を図4中B2−B2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図4】同屋根構造の要部を図3中B1−B1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る水切り部材が組み込まれた屋根構造の要部を図6中C2−C2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図6】同屋根構造の要部を図5中C1−C1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る水切り部材が組み込まれた屋根構造の要部を図8中D2−D2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図8】同屋根構造の要部を図7中D1−D1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る水切り部材が組み込まれた屋根構造の要部を図10中E2−E2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図10】同屋根構造の要部を図9中E1−E1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図11】本発明の第6の実施の形態に係る水切り部材が組み込まれた屋根構造の要部を図12中F2−F2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図12】同屋根構造の要部を図11中F1−F1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図13】本発明の第7の実施の形態に係る水切り部材が組み込まれた屋根構造の要部を図14中G2−G2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図14】同屋根構造の要部を示す平面図。
【図15】水切り部材が組み込まれた屋根構造の一例を図16中Z2−Z2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図16】同屋根構造の要部を図15中Z1−Z1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図17】水切り部材が組み込まれた屋根構造の一例を図18中Z4−Z4線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図18】同屋根構造の要部を図17中Z1−Z1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図19】水切り部材が組み込まれた屋根構造の一例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る水切り部材40が組み込まれた屋根構造の要部を図2中A2−A2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図2は、同屋根構造の要部を図1中A1−A1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。
【0021】
図1中10は野地板、20は平面瓦、30は防水紙、40は水切り部材を示している。
【0022】
水切り部材40は、金属板製の水切り板50と、柔軟性のある樹脂材製の水切りシート60とを備えている。
【0023】
水切り板50は、板材を折曲して形成され、平面瓦20の下面側を支持する水平支持部51と、この水平支持部51から鉛直方向上側に延設され、平面瓦20の側端部と対向配置される鉛直支持部52と、この鉛直支持部52から水平方向外側に延設された水平部材53と、この水平部材53の外側端部から鉛直方向下側に延設された鉛直部54とを備えている。なお、水平支持部51の先端部には折返部51a、中央部には突条部51bが形成されている。
【0024】
水切りシート60は、シート状の樹脂材を細長形状に切断して形成され、平面瓦20の下面側を支持する水平支持部(平面部)61と、この水平支持部61から鉛直方向上側に延設され、平面瓦20の側端部と対向配置される鉛直支持部(鉛直部)62とを備えている。なお、水平支持部61の先端部には弾性折返部61aが形成されている。
【0025】
このような屋根構造では、野地板10上には、防水紙30が敷かれ、その上に平面瓦20が葺かれる。このとき、野地板10の側端側には水切り部材40が配設され、側端側に位置する平面瓦20がその上に載置される。
【0026】
水切り部材40では、平面瓦20が載せられると、その側端部側の下面20aは水切り板50の突条部51b上に載置されるとともに、内方側の下面20aは、水切りシート60の弾性折返部61aが湾曲して当接する。
【0027】
このように構成された屋根構造では、降雨があると、平面瓦20上の雨水の大部分は、その上面を伝わって下方に隣接する平面瓦20上に落ちて、最終的には軒先側に案内される。一方、雨水の一部は側方に伝わり、水切り部材40の鉛直支持部52で受け、水平支持部51に滴下する。水平支持部51に滴下した雨水は、そのまま水平支持部51に案内されて、軒先側へ案内されて排出される。
【0028】
また、長年にわたり、ほこり、砂、泥等が水平支持部51に堆積して雨水を堰き止めるようになったり、降水量が多かったり、強風時等に、多量の雨水が水切り部材40側に流れ込むと、水平支持部51に雨水が溜まり、折返部51aを超える場合がある。このとき、水切りシート60で水滴は受け止められ、軒先側に案内されて排出される。
【0029】
このようにして、水切り板50で案内仕切れなかった水滴は、水切りシート60によって、外部に排出される。したがって、野地板10上には滴下することなく、野地板10が腐ることを防止できる。
【0030】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る水切り部材40Aが組み込まれた屋根構造の要部を図4中B2−B2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図4は、同屋根構造の要部を図3中B1−B1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。なお、これらの図において、図1,2と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0031】
本実施の形態においては、上述した水切り部材40の代わりに水切り部材40Aが用いられている。水切り部材40Aは、水切りシート60の水平支持部61の弾性折返部61a側に設けられたシーラ部材63とをさらに備えている。このシーラ部材63は、平面瓦20の下面に当接する。シーラ部材63は、弾性折返部61とは異なり、押圧された部分のみが凹むため、図6に示すように、弾性折返部61と平面瓦20との間に生じる隙間を埋めることができる。
【0032】
このため、水切り部材40Aは、上述した水切り部材40と同様の効果が得られるとともに、さらに防水性を向上させることができる。
【0033】
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る水切り部材40Bが組み込まれた屋根構造の要部を図6中C2−C2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図6は、同屋根構造の要部を図5中C1−C1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。なお、これらの図において、図1,2と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0034】
本実施の形態においては、上述した水切り部材40の代わりに水切り部材40Bが用いられている。水切り部材40Bは、水切りシート60が無く、その代わり、水切り板50の折返部51aにシーラ部材55が設けられている。シーラ部材55は、平面瓦20に押圧された部分のみが凹み、図6に示すように、平面瓦20と水切り板50との隙間を埋めることができる。
【0035】
このため、水切り部材40Bは、水平支持部51に、泥等が堆積して滴下した雨水が堰き止められたとしても、折返部51aを乗り越えることはない。したがって、野地板10上には滴下することなく、野地板10が腐ることを防止できる。上述した水切り部材40と同様の効果が得られる。
【0036】
図7は、本発明の第4の実施の形態に係る水切り部材70が組み込まれた屋根構造の要部を図8中D2−D2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図8は、同屋根構造の要部を図7中D1−D1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。なお、これらの図において、図1,2と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0037】
水切り部材70は、金属板製の水切り板80と、柔軟性のある樹脂材製の水切りシート90とを備えている。水切り板80は、板材を折曲して形成され、平面瓦20の下面側を支持する水平支持部81と、この水平支持部81から鉛直方向上側に延設され、平面瓦20の側端部と対向配置される鉛直支持部82と、この鉛直支持部82から水平方向外側に延設された水平部材83と、この水平部材83の外側端部から鉛直方向上方に延設された鉛直部84とを備えている。なお、水平支持部81の先端部には折返部81a、中央部には突条部81bが形成されている。
【0038】
水切りシート90は、シート状の樹脂材を細長形状に切断して形成され、平面瓦20の下面側を支持する水平支持部(平面部)91と、この水平支持部91から鉛直方向上側に延設され、平面瓦20の側端部と対向配置される鉛直支持部(鉛直部)92とを備えている。なお、水平支持部91の先端部には弾性折返部91aが形成されている。
【0039】
このように構成された屋根構造では、降雨があると、平面瓦20上の雨水の大部分は、その上面を伝わって下方に隣接する平面瓦20上に落ちて、最終的には軒先側に案内される。一方、雨水の一部は側方に伝わり、水切り部材70の鉛直支持部82で受け、水平支持部81に滴下する。水平支持部81に滴下した雨水は、そのまま水平支持部81に案内されて、軒先側へ案内されて排出される。
【0040】
また、降水量が多かったり、強風時等に、多量の雨水が水切り部材70側に流れ込むと、水平支持部81に雨水が溜まり、折返部81aを超える場合がある。このとき、水切りシート90で水滴は受け止められ、軒先側に案内されて排出される。
【0041】
このようにして、水切り板80で案内仕切れなかった水滴は、水切りシート90によって、外部に排出される。したがって、野地板10上には滴下することなく、野地板10が腐ることを防止できる。
【0042】
図9は、本発明の第5の実施の形態に係る水切り部材70Aが組み込まれた屋根構造の要部を図10中E2−E2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図10は、同屋根構造の要部を図9中E1−E1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。なお、これらの図において、図7,8と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0043】
本実施の形態においては、上述した水切り部材70の代わりに水切り部材70Aが用いられている。水切り部材70Aは、水切りシート90の水平支持部91の弾性折返部91a側に設けられたシーラ部材93とをさらに備えている。このシーラ部材93は、平面瓦20の下面に当接する。シーラ部材93は、弾性折返部91とは異なり、押圧された部分のみが凹むため、図10に示すように、弾性折返部91と平面瓦20との間に生じる隙間を埋めることができる。
【0044】
このため、水切り部材70Aは、上述した水切り部材70と同様の効果が得られるとともに、さらに防水性を向上させることができる。
【0045】
図11は、本発明の第6の実施の形態に係る水切り部材70Bが組み込まれた屋根構造の要部を図12中F2−F2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図12は、同屋根構造の要部を図11中F1−F1線の位置で切断して矢印方向に見た断面図である。なお、これらの図において、図7,8と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0046】
本実施の形態においては、上述した水切り部材70の代わりに水切り部材70Bが用いられている。水切り部材70Bは、水切りシート90が無く、その代わり、水切り板80の折返部81aにシーラ部材85が設けられている。シーラ部材85は、平面瓦20に押圧された部分のみが凹み、図12に示すように、平面瓦20と水切り板80との隙間を埋めることができる。
【0047】
このため、水切り部材70Bは、水平支持部81に滴下した雨水は、折返部81aを乗り越えることなく、そのまま水平支持部81に案内されて、軒先側へ案内されて排出される。したがって、野地板10上には滴下することなく、野地板10が腐ることを防止できる。上述した水切り部材70と同様の効果が得られる。
【0048】
図13は、本発明の第7の実施の形態に係る水切り部材330が組み込まれた屋根構造の要部を図14中G2−G2線の位置で切断して矢印方向に見た断面図、図14は、同屋根構造の要部を示す平面図である。なお、これらの図において、図1,2と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0049】
図13中300は谷部状に配置された野地板、310は平面瓦、320は防水紙、330は水切り部材を示している。水切り部材330は、金属板製の水切り板340と、柔軟性のある樹脂材製の水切りシート350とを備えている。
【0050】
水切りシート350は、野地板10の谷部を含む領域に配置され、谷部を挟んで位置する最上端部を谷部側に折り返して形成された弾性折返部351を備えている。
【0051】
水切り板340は、この水切りシート350の上側に弾性折返部351を露出させた状態で重ねて配置されている。水切り板340の上端部341には、平面瓦310の下端部が積層されて配置されている。なお、図13中360は水切り板340を野地板10に固定する固定部材を示している。
【0052】
このように構成された屋根構造では、降雨があると、平面瓦310上の雨水は、その上面を伝わって下方に隣接する平面瓦310上に落ちて、最終的には水切り板340上に案内される。水切り板340に滴下した雨水は、そのまま軒先側へ案内されて排出される。
【0053】
また、降水量が多かったり、強風時等に、多量の雨水が水切り板340に流れ込むと、雨水が溢れて折返部341を超える場合がある。このとき、水切りシート350で水滴は受け止められ、軒先側に案内されて排出される。
【0054】
このようにして、水切り板340で案内仕切れなかった水滴は、水切りシート350によって、外部に排出される。したがって、野地板300上には滴下することなく、野地板300が腐ることを防止できる。
【0055】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
ほこり、砂、泥等がたまった場合でも、風雨が強かったり、雨量が多い場合であっても、雨水が野地板側に浸入することを防止できる水切り部材が得られる。
【符号の説明】
【0057】
10…野地板、20…平面瓦、30…防水紙、40,40A,40B,70,70A,70B…水切り部材、50,80…水切り板、51,81…水平支持部、51a,81a…折返部、51b,81b…突条部、52,82…鉛直支持部、53,83…水平部材、54,84…鉛直部、60,90…水切りシート、61,91…水平支持部(平面部)、61a,91a…弾性折返部、62,92…鉛直支持部(鉛直部)、300…は谷部状に配置された野地板、310…平面瓦、320…防水紙、330…水切り部材、340…水切り板、341…上端部、350…水切りシート、351…弾性折返部、360…固定部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野地板の側端部に設けられ、上記野地板上に配置される屋根材から滴下する雨水を上記野地板の軒先側に案内する水切り部材において、
上記野地板と上記屋根材との間に配置され、先端部を外方側に折り返して形成された弾性折返部を有する平面部と、この平面部の外方側端部から上方に延設された鉛直部とを有する樹脂材製の水切りシートと、
この水切りシートと上記屋根材との間に、上記弾性折返部を露出させた状態で重ねて配置され、上記屋根材の下面を支持するとともに内方側の先端に折返部が形成された支持部と、この支持部の外方側から鉛直方向に設けられ、上記屋根材の側端面に対向配置された面支持部とを有する金属材製の水切り板とを備えていることを特徴とする水切り部材。
【請求項2】
上記水切りシートの上記平面部の上記弾性折返部側に設けられたシーラー部材とをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の水切り部材。
【請求項3】
野地板の側端部に設けられ、上記野地板上に配置される屋根材から滴下する雨水を上記野地板の軒先側に案内する水切り部材において、
上記野地板と上記屋根材との間に配置され、上記屋根材の下面を支持するとともに内方側の先端に折返部が形成された支持部と、この支持部の外方側から鉛直方向に設けられ、上記屋根材の側端面に対向配置された面支持部とを有する金属材製の水切り板と、
上記支持部に設けられたシーラー部材とを備えていることを特徴とする水切り部材。
【請求項4】
谷部状の野地板上に設けられ、上記野地板上に配置される屋根材から滴下する雨水を谷部側に案内する水切り部材において、
上記野地板の谷部を含む領域に配置され、上記谷部を挟んで位置する最上端部を上記谷部側に折り返して形成された折返部を有する樹脂材製の水切りシートと、
この水切りシートの上側に上記折返部を露出させた状態で重ねて配置された金属材製の水切り板とを備えていることを特徴とする水切り部材。
【請求項1】
野地板の側端部に設けられ、上記野地板上に配置される屋根材から滴下する雨水を上記野地板の軒先側に案内する水切り部材において、
上記野地板と上記屋根材との間に配置され、先端部を外方側に折り返して形成された弾性折返部を有する平面部と、この平面部の外方側端部から上方に延設された鉛直部とを有する樹脂材製の水切りシートと、
この水切りシートと上記屋根材との間に、上記弾性折返部を露出させた状態で重ねて配置され、上記屋根材の下面を支持するとともに内方側の先端に折返部が形成された支持部と、この支持部の外方側から鉛直方向に設けられ、上記屋根材の側端面に対向配置された面支持部とを有する金属材製の水切り板とを備えていることを特徴とする水切り部材。
【請求項2】
上記水切りシートの上記平面部の上記弾性折返部側に設けられたシーラー部材とをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の水切り部材。
【請求項3】
野地板の側端部に設けられ、上記野地板上に配置される屋根材から滴下する雨水を上記野地板の軒先側に案内する水切り部材において、
上記野地板と上記屋根材との間に配置され、上記屋根材の下面を支持するとともに内方側の先端に折返部が形成された支持部と、この支持部の外方側から鉛直方向に設けられ、上記屋根材の側端面に対向配置された面支持部とを有する金属材製の水切り板と、
上記支持部に設けられたシーラー部材とを備えていることを特徴とする水切り部材。
【請求項4】
谷部状の野地板上に設けられ、上記野地板上に配置される屋根材から滴下する雨水を谷部側に案内する水切り部材において、
上記野地板の谷部を含む領域に配置され、上記谷部を挟んで位置する最上端部を上記谷部側に折り返して形成された折返部を有する樹脂材製の水切りシートと、
この水切りシートの上側に上記折返部を露出させた状態で重ねて配置された金属材製の水切り板とを備えていることを特徴とする水切り部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−163094(P2011−163094A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30551(P2010−30551)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(503341996)エバー株式会社 (36)
【出願人】(595031731)株式会社神清 (37)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(503341996)エバー株式会社 (36)
【出願人】(595031731)株式会社神清 (37)
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