説明

水和した酸化物及び/又は水酸化物層を含む金属又は合金から作られた加工部材を処理及び固着させる方法

本発明はアルミニウム材料で作られた加工部材の接着表面を処理する方法に関する。この接着表面は酸化アルミニウム層を含んでいる。本発明の方法は以下のステップからなる:接着表面を清浄にし、活性化し、次に少なくとも部分的に接着促進剤で覆う。この接着促進剤は次に後処理によって固定する。本発明はまた、アルミニウム材料で作られた構成材を固着する方法にも関する。好ましくは、接着表面を清浄にし、活性化するため及び接着促進剤を後処理するために、大気圧プラズマが用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金で作られた加工部材の接着領域を処理する方法、さらには少なくとも1つの加工部材が水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金からできており、2つの加工部材のそれぞれが少なくとも1つの結合領域を有する2つの加工部材を接着結合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
貴金属を別にして、多くの金属及び合金は、水和した金属酸化物及び/又は水酸化物層を有する。水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金は、工業、特に工業生産において広範囲に用いられている。
【0003】
これらの金属は、これまで、例えば、リベット、溶接、又はねじ止めなどの伝統的な接合方法によって接合されてきた。しかし、これらの伝統的な接合方法には様々な欠点が伴うことがわかっている。例えば、組み立て品に負荷がかかる場合には、その接合部位に非常に大きな応力ピークが存在する、さらに、この種の伝統的組み立て品は、しばしば、影響を受けにくいものではなく、異なる材料が接合された場合には、しばしば接触腐食が存在する。最後に、特に非鉄金属材料、とりわけアルミニウムは、その他の材料との溶接に適していない。
【0004】
接着剤を用いる結合による材料の接合は、同様に、公知の接合方法である。ここでの接着剤は、表面接触(接着)と内部強度(凝集力)により、相互に加工部材を接合させる非金属材料である。
【0005】
接着結合は、リベット、溶接、及びネジ止めなどの他の接合方法と比較して、多くの利点を伴う。例えば、全体の結合領域にわたる応力の均一な分配がもたらされ、これは静的及び動的強度の両方に対して有益である。さらに、表面と微細構造に対する損傷がない。さらに、接着剤は、シーリング機能を有しうる。さらなる利点は特に軽量建築物との関連で作用し、なぜなら、接着剤の使用はかなりの重量軽減を可能にするからである。特に、接着剤を用いて、異なる材料でさえ相互に結合することが可能である。接着結合は、ある領域、特に全領域にわたって作られるのが一般的である。
【0006】
信頼でき且つ負荷に耐える、材料の接着結合のためには、接着剤が接着領域と強固な結合をすることを可能にするような方法で、結合領域が前処理されることが重要である。特段の問題は、この場合、水和した酸化物及び/又は水酸化物層によって引き起こされ、これらは水和した酸化物及び/又は水酸化物層をもつ金属又は合金の場合に、周囲の大気中で形成される。これらの自然に成長した層は、不規則かつ正確に説明できないプロセスで起こり、酸化物、水酸化物、及びときどきオキシ水酸化物を含み、しばしば混合物としても存在する。
【0007】
形成される生成物の様々な構造によって、このようにして自然に成長する表面は気孔を有し、気孔中には水が入り込むことが容易である。少なくとも最上層で、水和が起こる。この表面層は、その材料の表面への付着及び接着が劣り、負荷がかかった場合には、この酸化物及び/又は水酸化物層内での予測不能な剥離現象又は破壊をもたらしうる。さらに、表面構造と水和は、接着結合の場合、「弱界面境界層」として知られるものをもたらし、そのためこれらの加工部材の間の接着結合の早期破壊をもたらす。
【0008】
接着剤と結合領域との間で、接着結合が環境からの湿分と金属又は合金との反応によって劣化されず、長期の負荷の下で剥離しないように、結合領域はまた、腐食なしに保たなければならない。
【0009】
これらの表面のさらなる問題(意味を明らかにした酸化物層に適用するために追加の処理方法、例としてエロキサル(Eloxal)(電気酸化アルミニウム)、を用いたとしても)は、低い表面エネルギーのため、酸化物層を接着剤で完全に濡らすことを行うことが困難であるということである。したがって、結合領域は相互に充分に結合しない。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0761415A1号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第1335641A1号公報
【特許文献3】欧州特許出願公開第1359202A1号公報
【特許文献4】欧州特許出願公開第1382625A1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明のもとになっている技術課題は、水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金から作られた加工部材の接着結合を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した技術課題は、本発明の第一の教示にしたがい、請求項1の特徴を有する、水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金から作られた加工部材の接着領域を処理する方法によって、解決される。
【0012】
水和した酸化物及び/又は水酸化物層をもつ金属又は合金で作られた加工部材の結合領域を処理するための本発明の方法は、以下のステップを特徴とする。
− 結合領域を清浄にすること、
− 上記結合領域を活性化すること、
− 上記結合領域を、接着促進剤で少なくとも部分的に被覆すること、及び
− 上記接着促進剤を後処理すること。
【0013】
ここでの、水和した酸化物及び/又は水酸化物層をもつ金属又は合金は、特に、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、錫、マグネシウム、アルミニウム、及びそれら相互の合金、またはその他の合金化成分、例えばケイ素もしくは炭素、との合金を包含する。合金のなかでも、特に好ましいものは、様々なスチール類及びアルミニウム合金である。非鉄金属材料は特に好ましく、例えば、アルミニウム、マグネシウム、又はチタン材料である。水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する好ましい材料は、アルミニウムである、最後に、ケイ素及び酸化ケイ素(ガラス)などの材料もまた、酸化物及び/又は水酸化物層を有することがあり、したがって、本発明の適用の範囲内にはいる。
【0014】
本発明を以下に、材料としてアルミニウムを参照しながら説明する。しかし、本発明はアルミニウム材料に限定されるものではない。本発明は、一般的に、水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金に関するものである。
【0015】
アルミニウム材料は多様な活用可能性をもつ材料であり、例えば、車両製造などの分野での割合が増加の一途をたどっている。車両製造の他に、アルミニウム材料が用いられているその他の分野には、例えば、航空機製造、建築部材、特に外面部材もしくは窓枠、あるいは家具もしくは家庭電気製品の製造、が含まれる。その他の金属に代替するこの割合の増加の理由は、中でも、軽量であることにある。
【0016】
アルミニウム材料は、それらの以後の使用のために様々に適用されて製造される。車両製造においては、アルミニウム材料は、特にアルミニウムパネル、押出アルミニウム形状、またはダイキャストアルミニウム合金からなっている。車両製造のおける一つの好ましい合金は、アルミニウムマグネシウムシリコン化合物(AlMgSi)からなる。この化合物は、加工後、被覆(コーティング)法、特に酸洗による不導態化後のカチオン電着コーティングを用いて被覆され、環境影響に対して耐久性のあるように保護される。
【0017】
その他の領域の応用においては、アルミニウム材料はさらなるコーティングなしに環境影響にさらされる。これらの場合は、アルミニウム合金は、電解酸化を用いた制御された方法で保護酸化物層を付与される。この種の材料はまた、Eloxal(electrically oxidized aluminum、電解酸化(陽極酸化)アルミニウム)としても知られている。
【0018】
接着促進剤の適用前に、結合領域を前処理、すなわち、清浄にし且つ活性化する。この結果、結合領域が、大部分定義した状態になる。この場合の目的は、結合領域の表面が、大部分、好ましくはほぼ完全に、定義していない構造の表面層をもつべきではないというである。
【0019】
結合領域の清浄化及び活性化は、プラズマ処理又は機械的研磨処理によって一段階で行うことができる。プラズマ処理の場合、金属又は合金の酸化物層、特に酸化アルミニウム層は保たれるが、研磨技術ではその層は大部分除去される。清浄化及び活性化はまた、2つの順次のステップで行ってもよい。
【0020】
次に、接着促進剤を、その清浄化し且つ活性化した、酸化物層を有するか又は有しない結合領域に適用し、次に、エネルギーの作用を含む後処理で化学的に変換する。その後、接着剤が接着促進剤に適用された場合、有効な接着特性と耐久性接着結合が生み出される。
【0021】
加工部材の結合領域の上述した前処理、すなわち、清浄化及び活性化は、接着剤層の有効な接着特性のための基礎を提供する表面状態を生み出す。この理由のため、表面の不活性化の再発を防止するために、前処理した加工部材の結合を、すぐに、続いて、または可能なかぎり短時間内に行うことが有利である。
【0022】
〔清浄化(クリーニング)〕
水和した酸化物及び/又は水酸化物層をもつ金属又は合金の表面の接着性を改善するために、酸化物及び/又は水酸化物層の表面状態、及び汚染の程度を変えることが有利である。この目的のためには、多くの機械的、化学的、及び物理的方法が存在し、これらは以下に説明する。
【0023】
清浄化は、結合領域の表面汚染をきれいにする。これらの汚染物は、主に、グリース及びオイルなどの炭化水素類である。
【0024】
結合領域の前処理は、表面の酸化物及び/又は水酸化物層(これらは加工部材の生産後にすでに生じている)を、少なくとも部分的に除去するか又は表面に強固に結合する耐久性のある状態に変換する効果を有しうる。
【0025】
前処理のためのエネルギーの供給は、プラズマ源又はプラズマノズルで発生させることが好ましく、このためには、高周波の高電圧の適用により、ノズルチューブ中の2つの電極の間の非熱的放電(低温放電)によってワーキングガスからプラズマジェットが発生する。このワーキングガスは大気圧であることが好ましく、このプラズマはまた、大気圧プラズマともよばれる。しかし、説明した方法は、大気圧プラズマの使用に限定されない。
【0026】
プラズマジェットはノズル開口部から現れ、2つの電極の1つがそのノズル開口部の領域に配置されている。プラズマノズルの外側では、適切に調節された流量で、低温プラズマジェットは電気ストリーマー、すなわち、電気放電の放電チャネルをもたないことが好ましく、それにより低温ではあるが高エネルギーのプラズマジェットが接着促進剤に向けられる。このプラズマジェットはまた、高い電子温度と低いイオン温度によって特徴づけられる。欧州特許出願公開第0761415A1号公報及び欧州特許出願公開第1335641A1号公報中の技術水準から、この種のプラズマ源はそれ自体は公知である。
【0027】
プラズマジェットは、酸素を含むワーキングガス中の大気圧放電によって発生することが好ましい。これがプラズマジェットの反応性を高める。空気をワーキングガスとして用いることが好ましい。同様に、フォーミング・ガスとして公知の、水素と窒素の混合物を含むワーキングガスを用いることも可能である。
【0028】
非熱的(低温)プラズマ放電は、特に、高周波数の高電圧、プラズマノズルの2つの電極間で発生させられる放電手順、及びプラズマノズルから現れるプラズマにまで励起されたワーキングガスを用いて行われる。放電の高周波での連続は実際、放電チャンバー内で熱平衡がないことを確実にする。したがって、長時間運転においてさえ、電子温度とイオン温度との間の非平衡を維持することが可能である。
【0029】
目的がほとんどグリースなしの表面を得ることである場合、大気圧プラズマ処理は清浄化に特に適している。プラズマ処理の有効性は、もちろん、プロセスガス、出力、処理時間、及びプラント設計に左右され、適用は必要にあわせて行うことができる。
【0030】
上述した方法は、粒子状汚染物、例としては金属の削り屑またはフレーク、及び塩の形態の無機汚染物または指紋(これらはガス状生成物に変換することができない)の除去にはあまり適していない。さらに、本方法は、非常に厚い汚染物層、すなわち、オイル化(抗腐食オイル、及び切削油/加圧油)による、あるいは乾燥潤滑剤による、およそ4g/mを超える量の程度の汚染の場合にはあまり適していない。汚染層の除去は繰り返し実施、厚い層を除去することも可能であるが、経済的な問題が今度は生じる。したがって、これらの汚染の場合には、さらなる前処理法を、プラズマジェット前処理の代わりとして、またはプラズマジェット前処理に追加して、用いることができる。
【0031】
大気圧プラズマジェットによる結合領域の前処理とは別に、結合領域を機械的、化学的及び/又は電気化学的に、あるいはビーム法(レーザー、UV光、電子線)を用いて、前処理することもできる。前処理の完全性はプラズマ前処理の場合と同様には大きくないが、これらの方法もまた用いることができる。
【0032】
本発明の方法の一部としての清浄化は、したがって、好ましいプラズマ処理の適用に限定されない。前処理のさらなる例は以下のとおりである:
− 結合領域を溶媒で洗浄することにより清浄化すること;
− 荒研磨、細研磨、ブラッシング、サンドブラスト、又はCOブラストによる機械的前処理;
− 酸性溶液又はアルカリ性溶液に浸漬することによる化学的前処理;
− 火炎処理による熱処理;
− リン酸塩処理、クロム酸塩処理、塗料の除去又は剥離による、電気化学的前処理;
− 大気圧プラズマ、コロナ放電、UV処理、レーザー、又は大気圧もしくは低圧プラズマによる物理的前処理。
【0033】
サンドブラストの場合、及びCOブラストの場合には、固体状態粒子からなるブラスト剤が、処理すべき表面に高速度で向けられる。その表面では、衝突粒子の結果、表面の材料、特に酸化アルミニウム層、が変形、圧縮、圧迫、及び/又は除去される。その結果は、特徴的外観を有する粗いアルミニウム材料の表面である。化学的表面処理法の多くとは対照的に、ブラストは比較的環境にやさしく、粉塵汚染が避けられる場合は労働環境の安全性の面での危険性も低い。
【0034】
低圧プラズマ法の場合、処理する部材は容器中に入れ、容器は初めに排気され、所定量のプロセスガス(これは好ましくは酸素及び希ガスである)が10〜500Pa(高真空)の内部圧でイオン化される。結合強度の改善は、プラズマガスと処理時間に左右される。
【0035】
プラズマ前処理及びプラズマ清浄化が、代替方法よりも利点をもつことがわかった。この面で最も重要な利点は以下のとおりである:
− 高水準の脱脂、
− 乾燥が不要、
− 全ての材料に適する、
− 環境にやさしい、
− 低い運転コスト、
− 容易に制御可能な方法である、
− 表面エネルギーの変化、
− 高い結合強度、
− 結合が経年でも安定である、
− 被覆(コーティング)操作の場合にも適用可能、
− 非常に長い貯蔵可能性、
− 製造工程中への速やかな統合が可能。
【0036】
〔活性化〕
本発明によれば、結合領域は、接着促進剤のために、結合領域の改善された反応性と改善された濡れ性と達成するため、大気圧プラズマで活性化される。この意味では、表面の前処理及び活性化を、プラズマジェットの1回の適用によって一つの作業手順中で行うことがもちろん好ましい。列挙した代替前処理法の場合には、プラズマジェットによる活性化ステップは、その後の適当なところに置かれる。
【0037】
追加して酸化物及び/又は水酸化物層を有する結合領域の、プラズマジェットによる活性化は、加工部材の表面の酸化物及び/又は水酸化物層の変性を引き起こす。一般に、酸化物及び/又は水酸化物層は、特に表面は、活性化する前は水和した形態である。このことは、金属又は合金の酸化物及び/又は水酸化物層が大気中で制御されないやり方で形成されている場合に、特にそうである。
【0038】
プラズマジェットによるエネルギーの供給の間、酸化物及び/又は水酸化物層は脱水され、これにより酸化物層への変換を生じさせ、且つ適当な場合には、酸化物の結晶構造の変性を生じさせる。言い換えれば、酸化物及び/又は水酸化物層中に存在する水及び/又はOH基が除去される。この目的のために特に好適なのが、プラズマ活性化の使用である。
【0039】
これまではかなり柔らかかった、水和した酸化物及び/又は水酸化物層である表面は、結果として強固にされ且つ硬化されたものになる。
【0040】
この活性化を支配する主要因はエネルギーの高い供給であるので、酸化性及び非酸化性ワーキングガスの両方がプラズマ発生に用いられうる。金属又は合金表面の活性化、特にアルミニウム材料表面の活性化はまた、プラズマ処理の過程で、放電チャネル(ストリーマー)が表面を飛び越えるか否かとは無関係である。決定的に重要な因子は、表面への高いパワー密度の転送である。
【0041】
そのように変性された酸化物表面は化学的に活性であり、接着促進剤の付着が非常に簡略化される。
【0042】
驚くべきことに、プラズマジェットでの活性化の間に、金属又は合金の水和した酸化物及び/又は水酸化物層が固化された形態に固化され、特に、弱い境界層の形成なしに、信頼可能に結合されうることがわかった。
【0043】
別な種類の表面活性化は、上述した研磨法、特にCOブラストの場合に得られる。研磨法においては、水和した酸化物及び/又は水酸化物層は、ほとんどが完全に除去され、金属表面が露出される。この金属表面はそれ自体が活性であり、そのため、好ましくはほとんど時間の経過なしに、接着促進剤が材料のフリー表面に適用される。次に、後処理の間に、直接結合が、接着促進剤と金属表面もしくは合金表面との間にうみだされる。材料に応じて、水和されていない制御された酸化物層が、フリーの金属表面が露出された後すぐに形成される。
【0044】
〔接着促進剤〕
接着促進剤の機能は、金属表面もしくは合金表面と接着剤との間の有効な接着を可能にすることである。したがって、多くの場合に、接着促進剤は接着剤の基本材料の希釈溶液から構成され、この材料はまた引き続く接着結合にも用いられる。
【0045】
接着促進剤は、通常、ロールがけ、スプレー、又は浸漬法によって加工部材に適用され、最終的に必要とされる接着剤硬化温度より低い温度で溶媒蒸発(フラッシュオフ)される。フラッシュオフ時間の間、典型的には2、3分間、接着促進剤中に存在していることが好ましい溶媒はほとんど揮発し、大気中の湿分の影響下で、接着促進剤物質自身との、及び結合表面との架橋反応が、少なくとも部分的に起こることが可能である。この手順が、接着促進物質が接着促進剤で処理された結合領域上に非常に均一に分配されるので、引き続いて行われるそれらの後処理の後、金属表面もしくは合金表面に対する有効な結合と、続いて適用される接着剤への有効な結合が確実なものにされる。
【0046】
好ましくは、結合領域は、少なくとも一部シランを含む接着促進剤で被覆される。
【0047】
特に、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物、及び有機ジルコニウム化合物を含む群から選択される少なくとも1種の接着促進剤からなるか、これを含む組成物を含有する接着促進剤が使用される。これらの化合物は特に有利であることが判明している。しかし、本発明はこれらの化合物に限定されない。
【0048】
接着促進剤組成物はまた、少なくとも1種の有機ケイ素化合物と、少なくとも1種の有機チタン化合物及び/又は少なくとも1種の有機ジルコニウム化合物との混合物を含有することができる。接着促進剤はまた、少なくとも1種の有機チタン化合物と少なくとも1種の有機ジルコニウム化合物との混合物を含んでもよい。接着促進剤組成物は、少なくとも1種の有機ケイ素化合物と少なくとも1種の有機チタン化合物との混合物を含むことが好ましい。
【0049】
接着促進剤は、溶媒、特に揮発性溶媒、を含むことが好ましい。したがって、一方では接着促進剤が容易に且つ均一に適用されることが可能であり、他方では、接着促進剤の適用後わずかに短時間で後処理が実施可能である。
【0050】
〔後処理〕
接着促進剤の後処理は、プラズマ処理を、そして適切な場合には追加の熱処理を伴うことが好ましい。
【0051】
プラズマ処理の間、プラズマジェットからのエネルギーは接着促進剤の物質に移される。この場合、高い電子励起を示すプラズマガスのエネルギーは、プラズマが接着促進剤の表面にぶつかるときに、接着促進剤に少なくとも部分的に移される。
【0052】
接着促進剤の後処理は、プラズマ源又はプラズマノズルを用いて行うことが好ましく、これらのためにノズルチューブ中の2つの電極間の非熱的放電により、高周波数の高電圧の印加によって、プラズマジェットが好ましくは大気圧下のワーキングガスから発生される。これに関連しては、既に上述した、プラズマ源の操作モードを参照されたい。
【0053】
高い電子温度のおかげで、材料が強く加熱されることなく、接着促進剤への高いエネルギー移動がおこる。このことに関与する因子は、この場合も低いイオン温度である。電子励起の化学エネルギーは、接着促進剤の材料の反応に直接変換されうる。このことは結合領域との接着促進剤の化学反応が達成されることを意味し、この結合領域は露出された金属表面又は、好ましくは、金属又は合金の酸化物層を示す。このことは続く接着結合の強い接合のための前提条件である。
【0054】
したがって、好ましくは、結合領域は大気圧プラズマジェットで後処理され、用いられるプラズマジェットは結合領域の前処理のためのものと特に同じである。したがって、原理的には、前処理と後処理の両方のために同じプラズマノズルを用いることができる。
【0055】
さらに、接着促進剤はプラズマ後処理のみならず、硬化反応を完全にするための熱処理を受けることができる。熱後処理のためには、接着促進剤は、少なくとも5分、好ましくは少なくとも10分、少なくとも140℃、好ましくは少なくとも155℃、特に少なくとも170℃で加熱される。
【0056】
適切な場合には、プラズマジェットによる、熱の供給によるエネルギー供給の結果、接着促進剤で化学反応が引き起こされ、接着促進剤は化学的に変換される。接着促進剤の有機基のいかなる成分も、表面分析法、例えばESCAなどによって測定可能な量で検出することができないので、後処理は接着促進剤物質をほとんど分解しており、その半金属又は金属原子、特にSi及び/又はTi及び/又はZrが、フリーの金属表面又は金属又は合金の酸化物表面と相互作用していると思われる。この場合には、包接化合物、場合によっては合金が形成されると思われる。
【0057】
後処理の一部としてのこの化学反応は、表面の化学修飾を引き起こす。反応が終了した後、別個の層を検出することは不可能である。したがって、後処理の一部としての化学反応の結果として、有機成分をもつさらなる接着促進剤皮膜の形成(これは湿分の影響下で、接着促進物質の加水分解と架橋によって起こる)とは対照的に、接着領域上に層の堆積がない。その代わり、材料の金属又は金属酸化物的表面の化学的修飾がある。
【0058】
少なくとも好ましい金属であるアルミニウムについては、活性化された酸化アルミニウム層が六方晶系のハニカム状構造を有し、この中にケイ素、チタン、又はジルコニウム原子が、接着促進剤の処理によって挿入(インターカレート)される。したがって、結果として得られる構造はナノスケール構造である。
【0059】
最後に、特定の状況下では、接着促進剤は熱処理のみによっても後処理されうることに言及できる。
【0060】
〔接着結合〕
上で示した技術課題はまた、少なくとも1つの加工部材が水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金で構成されており、加工部材(複数)それぞれが少なくとも1つの結合領域を有する、2つの加工部材を接着結合する方法によって本発明に従い解決される。水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金から作られたこの少なくとも1つの加工部材の結合領域は、結合領域のための本発明の方法により、接着結合のために処理され且つ準備される。次に接着剤が少なくとも1つの結合領域に適用され、加工部材はそれらの結合領域によって互いに接触される。最後に接着剤が硬化される。
【0061】
本発明にしたがい、加工部材の1つは水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金から構成されている2つの加工部材の安定かつ永久的な接着結合を達成することができる。第二の加工部材は第一の加工部材と同じ金属又は合金から構成されていてもよく、あるいは水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する別の金属又は合金、又は別な材料、例えばプラスチック又は天然材料などから構成されていてもよい。それぞれの場合に、結合領域の前処理は、金属又は合金への接着によって有効な接着の達成をもたらす。
【0062】
水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金で構成された加工部材を接着結合するために適した接着剤には多くの選択肢がある。一成分形及び多成分形接着剤が使用できる。
【0063】
一成分形接着剤は、それらが混合される必要がなく、したがって不正確な混合比又は不十分な混合によって引き起こされるミスを排除することができるという大きな利点をもっている。
【0064】
一方においては、物理的効果を通じた接着力を発現する一成分形接着剤が用いられる。これら、たとえば、非反応性の高分子を含んでいる溶剤系接着剤は、溶液又は分散液の形態で存在し、乾燥によって固化し、例えば、アクリル系樹脂分散液接着剤などである。原理的にはこれらの接着剤を用いることもできるが、それらは、低い力が伝達される必要しかない結合、かつ大きな領域にわたって適用される結合に対してのみ適している。構造結合(構造接着)に対しては、対照的に、この種の接着剤は適していない。
【0065】
強度の物理的発現に基づく同様の接着剤は、非反応性ホットメルト接着剤である。この場合には、熱可塑性ポリマーは溶融され、被着材表面に熱いまま適用され、直ちに接合される。室温に冷却する結果、ポリマー溶融物が固化し、被着材を互いに結合する。そのような接着の基礎として、広範囲の熱可塑性ポリマーが利用でき、ホットメルト接着剤の融点、機械特性、及び接着力が、広い範囲で変化されることを可能にしている。これらの非反応性ホットメルト接着剤の欠点は、溶融が可逆的過程であり、したがって、高温での接着剤の液化と、その結果、接着結合が再び分離しうるおそれがあることである。
【0066】
さらに、反応性一成分形接着剤は使用に適している。エネルギー源の使用を通じて架橋される、片手で使えるシステム(ワンハンドシステム)がある。このエネルギー源は、粒子的な又は電磁的な放射、例えば、UV、可視光、IR、マイクロ波、電子もしくはイオン放射、あるいは熱、から構成されうる。例として、問題となる接着剤は、一成分形アクリル、エポキシ樹脂、又はポリウレタン接着剤である。
【0067】
この関連で典型的に用いられる接着剤は、放射線又は熱の影響下で、接着剤の反応性成分と反応するか又は反応する物質を放出するか、あるいはそれらの重合を開始するか又は触媒する物質を含んでいるものである。
【0068】
そのような接着剤の例は、カルボン酸、酸無水物、ジシアンジアミド(dicy)、ルイス酸(例えばホウ素化合物又は酸)とのアミン付加物、あるいはアミン−金属錯体などの成分を伴う熱硬化性エポキシ樹脂接着剤又はポリウレタン接着剤である。
【0069】
使用にさらなる好適なものは、空気中の成分、特に大気中の湿分と反応する物質を含む一成分形接着剤である。この反応は室温でさえ起こる。これらの一成分形接着剤は、特に、ポリウレタン接着剤であり、これはポリイソシアネートを、特にイソシアネート基を含むポリウレタンプレポリマーの形態で含有し、大気中の湿分と反応し、硬化する。
【0070】
これらの接着剤の具体的なサブクラスは、反応性ホットメルト接着剤、特に反応性ポリウレタンホットメルト接着剤であり、これはイソシアネート基含有プレポリマーと熱可塑樹脂との組み合わせ物、あるいは反応性熱可塑樹脂のいずれかを含有する。この種のホットメルト接着剤は、非反応性ホットメルト接着剤よりも好ましいが、なぜなら、イソシアネート基を介した架橋によって、それらはいかなる可逆的な溶融挙動も示さないからである。
【0071】
湿気硬化性一成分形接着剤のさらなる群は、反応性化合物として、シラン基を含むポリマーを含む。この種の接着剤は、当業者には、シリコン接着剤、MSポリマー接着剤、又はシラン末端ポリウレタン接着剤、として公知である。
【0072】
湿分硬化性一成分形接着剤としてさらに挙げられるものは、例えば、一般の人々の間で「強力接着剤」の用語で知られているシアノアクリレート接着剤がある。
【0073】
二成分形接着剤は、それらによって、例えば、その接着剤の適用への要求に対し、様々な硬化性成分の使用を通じて接着剤の特性を適用させることが容易であり、このようにして、非常に急速に、きわめて硬いか又はきわめて柔軟な接着結合を得ることができる、という大きな利点を有している。
【0074】
適切な二成分形接着剤には、原理的には、重付加又はフリーラジカル重合によって架橋する公知の全ての接着剤が含まれる。この場合に、相互に反応性の成分は別々に貯蔵され、適用時に、又は適用直前に混合される。
【0075】
重付加の場合、2種の化合物が互いに反応し、これら2種は互いに別々に貯蔵され、それぞれの構成部分の必須成分である。それらは一般には樹脂とよばれ、他方は硬化剤とよばれる。
【0076】
接着剤は一般にはそれらの樹脂成分によって分類される。
【0077】
エポキシ樹脂接着剤は、一般にはグリシジルエーテルの形態で存在するオキシラン基を有する化合物を含有する。エポキシ樹脂接着剤の大部分は、ビスフェノールのグリシジルエーテル類、特にビスフェノールA及び/又はビスフェノールFのグリシジルエーテルを、基本的ビルディングブロックとして含んでいる。二成分形エポキシ樹脂接着剤に使用される硬化剤は、特に、ポリアミン類及び/又はポリメルカプタン類である。ポリアミン類が好ましい。
【0078】
二成分形ポリウレタン接着剤は、ポリイソシアネートを、特にイソシアネート基を含むプレポリマーの形態で含んでいる。用いられる硬化剤は、ポリアミン及び/又はポリオール及び/又はポリメルカプタンである。この二成分形接着剤は、通常は二成分形エポキシ樹脂接着剤よりも顕著により速やかに反応する。
【0079】
フリーラジカル重合によって架橋する接着剤は、好適な二成分形(ツーコンポーネント)接着剤のさらなる重要な群である。この場合、一成分形(ワンコンポーネント)がフリーラジカルを放出する開始剤の混合により架橋される。第一のコンポーネント部分を形成する架橋されうる化合物は、通常、二重結合を含む化合物である。それらの例は、特に、スチレン類、酢酸ビニル類、アクリロニトリル、アクリレート類、及びメタクリレート類である。特に適したものは、アクリル酸及び/またはメタクリル酸の酸及びエステルである。それらの第二のコンポーネント又は構成成分を構成するフリーラジカル開始剤としては、過酸化物、特に有機過酸化物を用いることが普通である。最も重要な開始剤の一つはベンゾイルパーオキシドである。
【0080】
これらの接着剤は、急速な架橋と、混合ミスに対する比較的低い敏感さという大きな利点をもっている。
【0081】
本発明に対しては、一成分形熱硬化性エポキシ樹脂接着剤が好ましく、例えば、欧州特許出願第1359202A1号公報に開示されているような特に高められた衝撃強度をもつものが特に好ましい。これらの接着剤は、車両製造における車体接着剤として好ましく使用される。
【0082】
さらに、Sika Schweiz AGからSikaflex(登録商標)の製品ラインで市販されている種類の一成分形ポリウレタン接着剤が好ましい。これらの接着剤は特に、室温での接着結合のために用いられる。
【0083】
好ましい二成分形接着剤は、特に、Sika Schweiz AGからSikaPower(登録商標)及びSikaFast(登録商標)の製品ラインでそれぞれ市販されている、二成分形ポリウレタン接着剤及び(メタ)アクリレート接着剤である。
【0084】
これらの接着剤は、高サイクルタイム及び/又は強度の急速発現が望まれる用途で、好ましく使用される。
【0085】
車両製造のためには、特に、接着剤の硬化後に、結合された加工部材がカチオン電着塗料で塗装されることが有利である。このことは、個々の構成要素が結合された後で、製造される車体が、目に見える継ぎ目がほとんどなしに均一に塗装されることを可能にする。
【0086】
水和された酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金から作られた加工部材を接着結合するための説明した方法の一つの利点は、前処理、接着促進剤の適用、及び加工部材の結合、が腐食に対して保護された表面をうみだすことである。
【0087】
さらなる利点は、特にプラズマ技術を用いた場合、前処理に対する、接着促進剤の適用と後処理に対する、そして結合に対する、短い工程時間である。この短い工程時間は、一方でプラズマジェットでの迅速な前処理及び後処理を通じ、他方では接着促進剤のより短い暴露時間を通して生じる。
【0088】
さらに、処理した領域はカチオン電着塗料と適合性である。したがってこの領域は、さらなる塗装作業に用いるのに適している。
【0089】
〔カチオン電着塗装〕
本発明のさらなる好ましい態様においては、結合領域はカチオン電着塗装又は電着塗装工程によって被覆される。この可能性は、特に車両製造における本発明の適用に関して興味がもたれる。この理由は、上述した金属又は合金から作られた結合された加工部材もまた、通常は、結合(接着)前及び/又は後に塗装工程をうける車体部品だからである。この目的のために、上述したカチオン電着塗装が主に用いられる。
【0090】
加工部材はこの目的のために完全な前処理工程、及びまた電着塗装を通され、これらは以下の作業ステップから構成される:
最初に、前処理が行われる。
− グリース除去(+60℃での浸漬)
− すすぎ(工業用水中への浸漬)
− 活性化(浸漬)
− リン酸塩処理(+45℃での浸漬)
− すすぎ(工業用水中への浸漬)
− 不動態化(パッシベーション)(浸漬)
− すすぎ(脱イオン水中への浸漬)
【0091】
この工程に、実際の塗装工程である電着塗装が続く。電着塗装は、防食塗装材料を堆積させるために電気化学プロセスを利用する塗装方法である。この目的のために、電着塗装システムが、逆電荷に帯電したコーティング材料粒子を含むコーティング材料の浴中につり下げられている加工部材に直流電圧を印加する。それにより、コーティング粒子は加工部材に引き寄せられ、その上に堆積し、そこで全体の表面上に均一な被膜を形成する。このようにして、吸引力が停止されてカチオン電着塗装工程が終了するまで、隠れた領域を含めて全ての段差及び角が被覆される。これを行った後、加工部材は完全な脱イオン(deionized: DI)水で稼働している濯ぎゾーンを通る。濯ぎゾーンを離れた後、塗装された部品は焼き付け炉(ベーキングオーブン)中を通る。このオーブン中で、塗装被膜は架橋と硬化をうけ、部品上でのこの塗装の最大の耐久特性を達成する。
【0092】
したがって、接着促進剤で被覆された結合領域もまた、従来法で被覆されうることが望ましい。この状況では、結合領域、すなわち接着剤自体が電着塗装可能であるだけでなく、接着促進剤が塗布されている結合領域もこの特性を有することが重要である。この理由は、接着剤で占められた領域は一般に、接着促進剤の領域すべてを覆っていないからである。その代わり、接着部分を越えて、接着結合後でさえ接着促進剤によって被覆された外側領域が存在する。これらの領域もまた、可能な限り電着塗装可能であるべきであり、なぜなら、そうであれば、カチオン電着塗装が接着剤層まで届き、それによりそれ自体が腐食から保護されるからである。結合部位の領域において、接着剤は、消極的な腐食制御の機能をもち、この目的のためには、可能な限り完全な領域にわたる表面に対する接着剤の有効な接着力が必要である。消極的な腐食制御とは、接着剤が腐食をもたらす物質に対するバリア効果をもつが、それ自体は表面の腐食を積極的には防止しないことを意味する。理想的には、接着剤の接着品質は、カチオン電着塗装によって堆積された塗料膜の接着力と同じ程度に良好であるか、それより優れていることが好ましい。
【0093】
電着塗装時には、少なくとも2回の被覆が適用され、被覆厚さの差は、完成された被覆に対して25%未満である。このことが、均一且つ安定な構造をうみだす。
【0094】
上で示した技術課題もまた、少なくとも結合領域が、水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金から構成されている結合領域をもつ加工部材によって、本発明にしたがって解決される。本発明にしたがい、結合領域は請求項15〜23のいずれか一項記載の方法によって結合される。
【0095】
特に、加工部材は車両車体、特に自動車車体である。加工部材が車両部品、特に自動車部品であることもまた好ましい。
【0096】
〔実施例の具体的な説明〕
以下により詳細に示したのは、本方法を実施するために適したプラズマ源と、本発明との関連で使用できる接着促進剤の化学組成物の具体的態様である。この目的のため、添付した図面が参照される。図面においては、唯一の図、図(Figure)1は、概略の表現で、プラズマジェットを発生させるためのプラズマノズルを示している。
【0097】
〔プラズマ源〕
図1中に示すプラズマノズル10は、外開口部14に向けて円錐形状に次第に細くなる金属ノズルチューブ12を有する。その外開口部14の反対側端部においては、ノズルチューブ12は、ワーキングガス、例えば、圧縮空気などのための入り口16を有する。ノズルチューブ12の中間壁18は、周辺方向に対して斜めに作られ、ワーキングガスのための旋回装置を構成している環状孔20を有する。下流である、ノズルチューブの先細り円錐状の部分は、したがって、渦22の形態のワーキングガスによる流れ中を縦走し、その中心部(コア)はノズルチューブの長手軸上に伸びている。
【0098】
中間壁18の下側の中央には電極24が配置され、ノズルチューブの円錐状部分中に同軸上に突き出ている。電極24はその先端が丸められ、例えば銅で作られた回転対称のピンによって形成され、中間壁18及びノズルチューブのその他の部分から絶縁体26によって電気的に絶縁されている。絶縁された脚部28を介して、高周波変圧器30によって発生された高周波交流電圧が、電極24に印加される。この電圧は可変的に調節可能であり、例えば500V以上、好ましくは2〜5kV、特に5kV超に調節可能である。周波数は、例えば、1〜30kHzのレベルの大きさ、好ましくは20kHzの領域内で設定され、このましくは同様に調節可能である。脚部28は、柔軟な高電圧ケーブル32を介して高周波変圧器30に接続される。入り口16は、ホース(図示しない)を介して、可変処理量をもつ圧縮空気源と通じており、圧縮空気源は高周波変圧器30と好ましくは組み合わされて供給ユニットを構成する。このようにして、プラズマノズル10は手動又はロボットアームによって容易に動かすことができる。ノズルチューブ12と中間壁18とは、アースされている。印加した電圧の結果として、電極24とノズルチューブ12との間でアーク放電34の形態で高周波放電が発生する。しかし、ワーキングガスの渦流のために、渦の中心部においてはこのアーク光は、ノズルチューブ12の軸上に導かれ、それによりアーク光は外開口部14の領域においてのみ、ノズルチューブ12の壁に分枝する。渦の中心領域、そのためアーク光34の直接近辺で高い流速で回転するワーキングガスは、アーク光と緊密に接触し、その結果一部がプラズマ状態に変換され、その結果、比較的低温の大気圧プラズマのジェット36が概略ロウソクの炎の形態で、プラズマノズル10の外開口部14から現れる。
【0099】
描いた上記態様は、プラズマ源の一連の様々な態様の一例を示している。したがって、説明した例示の態様は、発明保護の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0100】
〔接着促進剤〕
説明した方法に用いられる接着促進剤は、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物、及び有機ジルコニウム化合物を含む群から選択される少なくとも1種の接着促進物質の組成物を含むか又はその接着促進物質からなる。これらの化合物は、特に有利であることがわかった。しかし、本発明はこれらの化合物に限定されない。
【0101】
有機ケイ素化合物として基本的に好適であるのは、接着促進剤として使用されている、当業者に公知の全ての有機ケイ素化合物である。この有機ケイ素化合物は、水の影響下で加水分解をうけ、シラノール基の形成へと導く少なくとも1つの基を有することが好ましい。この種の有機ケイ素化合物は、酸素−ケイ素結合を介して直接ケイ素原子へ結合しているアルコキシ基を少なくとも1つ、特に少なくとも2つ有することが好ましい。さらに、この有機ケイ素化合物は、ケイ素−炭素結合を介してケイ素原子に結合しており且つ、所望する場合は、オキシラン、ヒドロキシル、(メタ)アクロイルオキシ、アミノ、メルカプト、及びビニル基を含む群から選択される少なくとも1つの官能基を有する少なくとも1つの置換基を有する。そのようなアミノ、メルカプト、又はオキシラン基を含む有機ケイ素化合物は、「アミノシラン」、「メルカプトシラン」、又は「エポキシシラン」ともよばれている。特にこの有機ケイ素化合物は、下記式(I)の化合物である。
【化1】

【0102】
式中、置換基Rは、直鎖また分枝した、任意選択で環状であってもよい、1〜20個の炭素原子を有するアルキレン基であり、適切な場合は芳香族部分を有していてもよく、適切な場合は1以上のヘテロ原子、特に窒素原子を有していてもよい。置換基Rは1〜5個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル又はエチルである。
【0103】
さらに、置換基Rは、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチルであり;置換基Xは、H、又はオキシラン、OH、(メタ)アクリロイルオキシ、アミン、SH、及びビニルを含む群から選択される官能基である。
【0104】
最後に、aは、0、1、又は2の一つである。好ましくは、a=0である。
【0105】
置換基Rとしては、メチレン、プロピレン、メチルプロピレン、ブチレン、又はジメチルブチレン基が好ましい。好ましいRは、プロピレン基である。
【0106】
好適な有機ケイ素化合物は容易に市販品を入手でき、特に好ましくは、3−メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン類、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]アミン、トリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルジメトキシメチルシラン、4−アミノ−3−メチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルメトキシジメチルシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、7−アミノ−4−オキサヘプチルジメトキシメチルシラン、[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ウレア、1,3,5−トリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)トリオン−ウレア(すなわち、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシランのイソシアヌレート)、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、及びヘキサデシルトリメトキシシラン、ならびにエポキシシランと、メルカプトシラン又はアミノシランとの付加体、を含む群から選択される。
【0107】
エポキシシランと、アミノシラン又はメルカプトシランとの好ましい付加体は、欧州特許出願公開第1382625A1号公報中の反応生成物Dとして記載された種類のものである。
【0108】
有機ケイ素化合物としては、アミノシラン、特に一級アミノ基を有するもの、好ましくは、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物が最も好ましい。
【0109】
有機チタン化合物としては概ね、接着促進剤として用いられている、当業者に公知の有機チタン化合物の全てが好適である。この有機チタン化合物は、水の影響下で加水分解をうけてTi−OH基の形成をもたらす少なくとも1つの基を有することが好ましい。この種の有機チタン化合物は、酸素−チタン結合を介してチタン原子に直接結合している、アルコキシ基、スルホネート基、カルボキシレート基、アセチルアセトネート、またはそれらの混合基を含む群から選択される少なくとも1つの基、を有することが好ましい。
【0110】
特に好適であることが判明しているアルコキシ基は、特に、いわゆるネオアルコキシ置換基であり、特に下記式:
【化2】

の基である。
【0111】
特に好適であることが判明しているスルホン酸は、特に、芳香環がアルキル基で置換されている芳香族スルホン酸である。好ましいと考えられるスルホン酸は、下記式の基:
【化3】

である。
【0112】
特に好適であることが判明しているカルボキシレート基は、特に、脂肪酸のカルボキシレートである。ドデカノエートが好ましいカルボキシレートと考えられる。
【0113】
上記化学式全てにおいて、破線で表した結合はここではチタン原子との結合を示す。
【0114】
有機チタン化合物は、例えば、Kenrich Petrochemicals社又はDuPont社から市販されている。好適な有機チタン化合物の例は、例えば、Kenrich Petrochemicals社のKenReact(登録商標)KR TTS、KR 7、KR 9S、KR 12、KR 26S、KR 33DS、KR 38S、KR 39DS、KR 44、KR 134S、KR 138S、KR 158FS、KR 212、KR 238S、KR 262ES、KR 138D、KR 158D、KR 238T、KR 238M、KR 238A、KR 238J、KR 262A、LICA 38J、KR 55、LICA 1、LICA 09、LICA 12、LICA 38、LICA 44、LICA 97、LICA 99、KR OPPR、KROPP 2;又は、DuPont社のTyzor(登録商標)ET、TPT、NPT、BTM AA、AA-75、AA-95、AA-105、TE、ETAM、である。特に好ましいものは、KenReact(登録商標)KR 7、KR 9S、KR 12、KR 26S、KR 38S、KR 44、LICA 09、LICA 44、及びDuPont社のTyzor(登録商標)ET、TPT、NPT、BTM AA、AA-75、AA-95、AA-105、TE、ETAM、である。
【0115】
有機ジルコニウム化合物として概ね好適であるのは、接着促進剤として使用されている当業者に公知の全ての有機ジルコニウム化合物である。この有機ジルコニウム化合物は、水の影響下で加水分解をうけて、Zr−OH基の形成をもたらす少なくとも1つの基を有することが好ましい。この種の有機ジルコニウム化合物は、酸素−ジルコニウム結合を介してジルコニウム原子に直接結合している、アルコキシ基、スルホネート基、カルボキシレート基、ホスフェート、又はそれらの混合基、を含む群から選択される少なくとも1つの官能基を有することが好ましい。
【0116】
特に好適であることが判明しているアルコキシ基は、特に、いわゆるネオアルコキシ置換基であり、特に下記式:
【化4】

の基である。
【0117】
特に好適であることが判明しているスルホン酸は、特に、芳香環がアルキル基で置換されている芳香族スルホン酸である。好ましいと考えられるスルホン酸は、下記式の基:
【化5】

である。
【0118】
特に好適であることが判明しているカルボキシレート基は、特に、脂肪酸のカルボキシレートである。ステアレートが好ましいカルボキシレートと考えられる。
【0119】
上記化学式全てにおいて、破線で表した結合はここではジルコニウム原子との結合を示す。
【0120】
有機ジルコニウム化合物は市販されており、例としては、Kenrich Petrochemicals社のNZ 38J、NZ TPPJ、KZ OPPR、KZ TPP、NZ 01、NZ 09、NZ 12、NZ 38、NZ 44、NZ 97である。Ken-React(登録商標)NZ 44が好ましい。
【0121】
上記接着促進剤組成物は、少なくとも1種の有機ケイ素化合物と、少なくとも1種の有機チタン化合物及び/又は少なくとも1種の有機ジルコニウム化合物との混合物を含むことができる。また、接着促進剤組成物は、少なくとも1種の有機チタン化合物と少なくとも1種の有機ジルコニウム化合物との混合物を含んでもよい。この接着促進剤組成物は、少なくとも1種の有機ケイ素化合物と少なくとも1種の有機チタン化合物との混合物を含有することが好ましい。
【0122】
特に好ましいものは、2種以上の有機ケイ素化合物の混合物、又は1種の有機ケイ素化合物と有機チタン化合物との混合物である。特に良好であることが判明している有機ケイ素化合物の混合物は、式(I)の接着促進剤化合物の混合物であって、これらの置換基Hの少なくとも1つが置換基としてXを有し、これらの化合物の少なくとも1つが、オキシラン、(メタ)アクリロイルオキシ、アミン、SH、及びビニルを含む群から選択される官能基を置換基Xとして有する混合物である。これらの混合物は、少なくとも1種のアルキルトリアルコキシシランと、アミノアルキルトリアルコキシシラン及び/又はメルカプトアルキルトリアルコキシシランとの混合物であることが好ましい。
【0123】
揮発性溶媒については、水、アルコール類(特に、エタノール、イソプロパノール、ブタノール)、アルデヒド類、又はケトン類(特に、アセトン、メチルエチルケトン)、炭化水素(特に、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、キシレン、トルエン、ホワイト・スピリット)及びそれらの混合物が好ましい。
特に好ましいと考えられるものは、エタノール、メタノール、イソプロパノール、又はヘキサン、及びそれらの混合物である。溶媒含有量は、通常、接着促進剤組成物の重量を基準にして、0〜99重量%、特に50〜99重量%、好ましくは90〜99重量%である。必要に応じ、及び必要な場合には、本接着剤組成物は、通常の添加剤、特に流動性調節剤、消泡剤、界面活性剤、殺生物剤、沈降防止剤、安定化剤、禁止剤、顔料、染料、又は着臭剤をさらに含んでいてもよい。
【0124】
さらに、接着促進剤組成物が充填剤(フィラー)を含む場合、特に、皮膜形成性バインダーを用いると有利である。好ましいフィラーは、カーボンブラック、ヒュームド・シリカ、及び石灰であり、これらの表面は必要であれば変性される。
【0125】
本接着促進剤組成物は、それ自体、当業者に公知の方法で、通常は湿分の不存在下で調製される。調製に続いて、接着促進剤組成物は、貯蔵時に湿分との接触を防止する適切な容器中に保存される。好ましい容器は、プラスチック、ガラス、及び金属である。特に好ましいものはアルミニウム容器、特に密閉性の蓋を備えたアルミニウムフラスコである。
【0126】
接着促進剤組成物はスプレーによって、特に皮膜として、あるいは布、フェルト、又はブラシによって適用される。布を用いる場合、通常は織物、例えばペーパータオル(Tela又はKleenex(登録商標))を接着促進剤組成物で浸し、処理すべき表面に塗布する。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】図1は、プラズマジェットを発生させるためのプラズマノズルを示す図である。
【符号の説明】
【0128】
10・・・プラズマノズル、12・・・金属ノズルチューブ、14・・・外開口部、16・・・入り口、18・・・中間壁、20・・・環状孔、22・・・渦、24・・・電極、26・・・絶縁体、28・・・絶縁された脚部、30・・・高周波変圧器、32・・・高電圧ケーブル、34・・・アーク放電、36・・・大気圧プラズマジェット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工部材の結合領域を処理する方法であって、前記結合領域は、水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金から少なくとも構成されており、
− 前記結合領域が清浄化され、
− 前記結合領域が活性化され、
− 前記結合領域が、接着促進剤で少なくとも部分的に被覆され、及び
− 前記接着促進剤が後処理によって化学的に変換される、
処理方法。
【請求項2】
前記結合領域が、大気圧プラズマジェットで清浄化される、請求項1記載の処理方法。
【請求項3】
前記結合領域が、機械的に、化学的に、及び/又は電気化学的に、あるいはビーム工程により、特にレーザー、UV光、又は電子線によって清浄化される、請求項1又は2に記載の処理方法。
【請求項4】
前記水和した酸化物及び/又は水酸化物層が、少なくとも部分的に前記加工部材から除去されている、請求項3に記載の処理方法。
【請求項5】
前記結合領域が大気圧プラズマジェットで活性化される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項6】
前記水和した酸化物及び/又は水酸化物層が脱水及び固化される、請求項5に記載の処理方法。
【請求項7】
水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する前記金属又は合金が、非鉄金属材料、特に、アルミニウム又はアルミニウム合金である、請求項6に記載の処理方法。
【請求項8】
有機ケイ素化合物、有機チタン化合物、及び有機ジルコニウム化合物を含む群から選択される少なくとも1種の接着促進物質を含む組成物又は前記接着促進物質から構成される接着促進剤を用いる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項9】
前記接着促進剤が溶媒、特に揮発性溶媒を含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項10】
前記接着促進剤が皮膜形成性バインダーを含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項11】
前記接着促進剤が充填剤を含有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項12】
前記接着促進剤が大気圧プラズマジェットを用いて後処理される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項13】
前記接着促進剤がさらに熱処理によって後処理される、請求項12に記載の処理方法。
【請求項14】
前記接着促進剤が、少なくとも5分間、好ましくは少なくとも10分間、少なくとも140℃で、好ましくは少なくとも155℃で、特に少なくとも170℃で熱処理される、請求項13に記載の処理方法。
【請求項15】
2つの加工部材を接着結合する方法であって、少なくとも1つの加工部材が水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金から構成され、2つの加工部材はそれぞれ少なくとも1つの結合領域を有し、
− 水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金から作られている前記の少なくとも1つの加工部材の結合領域を、請求項1〜14のいずれか一項に記載の処理方法で処理し、
− 少なくとも1つの結合領域に接着剤を適用し、
− 2つの加工部材をそれらの結合領域で相互に接触させ、
− 前記接着剤が硬化される、
接着結合方法。
【請求項16】
両方の加工部材が、水和された酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金から構成されている、請求項15に記載の接着結合方法。
【請求項17】
前記の水和されている酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金が、非鉄金属材料、特にアルミニウム又はアルミニウム合金である、請求項15又は16に記載の接着結合方法。
【請求項18】
用いられる前記接着剤が一成分形接着剤である、請求項15〜17のいずれか一項に記載の接着結合方法。
【請求項19】
用いられる前記接着剤が、エポキシ樹脂、及び/又はポリウレタンである、請求項18に記載の接着結合方法。
【請求項20】
用いられる前記接着剤が、二成分形接着剤、特にエポキシ接着剤及び/又はポリウレタン接着剤である、請求項15〜17のいずれか一項に記載の接着結合方法。
【請求項21】
好ましくは、ポリアミン、ポリカルボン酸、イソシアネート、又は水酸基含有樹脂から構成される硬化剤成分を用いる、請求項20に記載の接着結合方法。
【請求項22】
前記接着剤が硬化した後、結合された加工部材をカチオン電着塗料で塗装する、請求項15〜21のいずれか一項に記載の接着結合方法。
【請求項23】
前記電着塗装において、少なくとも2つの層が塗装されており、層の厚さの差が、最も薄い層を基準にして25%未満である、請求項22に記載の接着結合方法。
【請求項24】
結合領域を有し、前記結合領域が水和した酸化物及び/又は水酸化物層を有する金属又は合金から少なくとも構成されている加工部材であって、前記結合領域が請求項15〜23のいずれか一項に記載の接着結合方法によって結合されていることを特徴とする加工部材。
【請求項25】
前記加工部材が車両車体、特に自動車車体である、請求項24に記載の加工部材。
【請求項26】
前記加工部材が車両部品、特に自動車部品である、請求項24に記載の加工部材。

【図1】
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【公表番号】特表2008−506796(P2008−506796A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520748(P2007−520748)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007623
【国際公開番号】WO2006/005606
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】