説明

水圏監視装置及び浄化装置

【目的】水圏内の懸濁物質を観測し、浄化するシステムを提供する。
【構成】水圏内の撮像手段で得られたアナログ信号を波形解析し懸濁物質が存在するか否かを検出し、懸濁物質が確認されたならば画像処理して懸濁物質の大きさ,形状,輝度に関する情報の少なくとも1つを求める。
【効果】懸濁物質が存在する場合に画像処理が実行されるため、撮像が高速化され、画像認識の効率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、閉鎖性の湖沼,河川,ダム貯留池、或いは海洋等の水圏監視装置或いは浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】湖沼,ダム、及び内海等の閉鎖性水域では、特定の植物性プランクトンが異常増殖し、その対策が急務となっている。これは、異常増殖した植物性プランクトンが特定地域に集積して水圏の景観を損なうだけでなく、魚類等の生態系に影響を与え、異臭味の原因となり、人間の生活にも大きな障害を及ぼすからである。特に、水道水の水源となっている湖沼やダムでは異臭味や濁りの問題が深刻化している。このため、水圏自らを浄化する対策が講じられている、たとえば浄水場では生物酸化やオゾン,活性炭処理などの新たな設備を設置して独自の対策を進めている。
【0003】水圏の浄化法としては、水面付近の浮遊物や底部の堆積物を取り除く方法,曝気装置や撹拌装置により水中への空気供給と強制対流により浄化させる方法,清澄水を供給して入替える方法、或いは汚濁液をサンプリング濾過して循環させる方法等が実施されている。
【0004】一方、水圏の監視には、各種水質項目の連続自動監視と、船上からサンプリングした特定個所の水を持ち帰り、顕微鏡による目視観察でプランクトンの種類や量を定期的に測定しているのが一般的である。また、この他に海底にテレビカメラ等の監視装置を設置して撮像し信号を船に送って監視する方法が知られており、特開平1−225241 号公報に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】水圏の汚染を回復し、利水障害を発生させないためには、植物プランクトンの増殖状態やその環境を観測し、水質汚染の度合や汚染水域を正確に診断して、最良の対策を施すことが望ましい。
【0006】しかし、従来の技術は、液中の状態やプランクトンの定量計測が困難であり、また、植物プランクトンの種類の判定とその出現量を測定することに問題があった。
【0007】本発明は上記従来技術の問題点に対処したもので、その目的とするところは水圏内の水質及び植物プランクトンを含む懸濁物質を正確に観測し、さらに、降雨水の水質情報も考慮して水質汚染度を診断し、この診断情報に基づいて浄化設備並びに水圏の利水施設や水圏への排水設備を効率的に運用する水圏監視浄化システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は水圏内の液を拡大して撮像しアナログ信号として取り込む撮像手段と、該撮像手段で得られたアナログ信号を波形解析し懸濁物質が存在するか否かを検出する波形解析手段と、前記波形解析手段で懸濁物質が確認されたならば画像処理して懸濁物質の大きさ,形状,輝度に関する情報の少なくとも1つを求める懸濁物質の特徴量計測手段とを具備する水圏監視装置を提案する。
【0009】また本発明は、水圏内の液中の懸濁物質を観測する手段と、前記液中の水温及び水質を計測する手段と、前記水圏の水面の色合いを観測する手段と、前記水圏を含む地域の気象を観測する手段と、前記水圏に流入する降雨水の水質を計測する手段と、得られた観測結果及び計測情報の少なくとも1つを用いて水質汚染度のレベルを診断する手段と、該診断手段で診断された水質汚染度のレベルに対応して水圏を浄化する浄化手段とを具備する水圏浄化装置を提案する。
【0010】なお、観察して夾雑(ゴミ状)物質と植物プランクトンを識別し、植物プランクトンの種類とその出現量を観測する手段、懸濁物質の観察対象液の水温やDO,pH,電導度,金属イオン、及び富栄養塩濃度等の水質を計測する手段、水圏の水面に浮上している物質あるいはその色合いを観測する手段、水面上の気温,風向,風速,日射量等の気象条件を観測する手段、水圏への流入する河川及びその地域の降雨水の水温やDO,pH,電導度,金属イオン、及び富栄養塩濃度等の水質を計測する手段、それぞれの手段からの観測及び計測情報に基づいて水質汚染度を診断し、対策が必要な水域とその対策方法を判定する手段、それぞれの観測及び計測手段からの観測及び計測情報と判定手段の出力情報に基づいて水質汚染度の変化を予測する手段,予測手段の水質汚染度変化量と判定手段の水質汚染度を比較して対策方法を修正する手段,修正手段の対策方法により水圏の汚染防止に関係する浄化手段を作動する手段、さらに、判定手段の水質汚染度に対応して作動する他の水圏からの導水手段、水圏の利水施設や水圏への排水施設の処理方式及び/または操作量の設定、及び/または警報を発生する手段、を更に具備することができる。
【0011】
【作用】湖沼や河川中のプランクトン数は、通常、高々数万(細胞数/ml)と希薄である。従って、本発明の水圏監視装置を稼動するに際して、監視対象となる閉鎖性水域の液を後述する拡大撮像手段とその拡大像から、懸濁物質が存在するか否かを検出手段で予め検出し、存在する場合のみ画像処理手段を実行させ、懸濁物質が存在しない場合は画像処理せず、移送手段を作動させて新たなサンプル液を拡大撮像手段に供給することにより、画像処理の高速化を図ることができる。また、必要情報のみの獲得は記憶容量の低減化と、撮像手段で得た撮像画像あるいは画像処理手段からの処理画像を遠隔地に伝送して利用する場合に、伝送時間の短縮と伝送費用の低減を図るうえで極めて好ましい。
【0012】撮像手段で得られた映像から懸濁物質を検出する手段で、懸濁物質が一定量以上に達した段階で映像の記憶保存手段を稼動させることにより、プランクトンの異常増殖を逃すことなく効率的な記録保存を可能にできる。これらの記録映像は、後日詳細なプランクトン分類や後述する画像処理手段で分類困難である微妙な形状のプランクトン分類が行え、また、記録保存して履歴データ及び将来発生するプランクトンの変遷を視覚的に把握する情報として利用できる。
【0013】植物プランクトンの種類とその出現量を画像監視する手段,水質の計測手段,水圏の水面観測手段,気象観測手段、及び水圏周辺地域の降雨水の水質を計測する手段を配備することにより、水圏の水質状態をミクロ的及びマクロ的に監視し、それぞれの手段からの観測及び計測情報に基づいて水質汚染度のレベルを診断して、この水質汚染度のレベルに応じて水質情報と対策支援を行う。さらに、水質汚染度の変化を予測する手段で上記対策支援の実効を事前に評価し、効果的な対策支援を実施する。具体的には水域に関連する広域な水施設の対策を支援する。支援先は水質汚染度のレベルに対応させるが、例えば、水質汚染が増加する傾向にある(レベル1)場合は、水域に設置されている浄化装置を選定稼動させ、水質汚染が著しい(レベル2)場合は浄化装置の稼動と浄水場など利水装置への警報及び対策支援、水質汚染が激しく改善が困難(レベル3)の場合はさらに他水域からの導水を実行するために導水装置及び排水装置の稼動と下水処理場など放流装置の運転支援を行う。このように、水質汚染度のレベルに応じて支援先を判定することにより、必要な情報に基づく実効のある浄化対策と、関連施設に対して水質汚染の影響を緩和する事前対策手段を講じることができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を図示する一実施例に基づき、より詳細に説明する。
【0015】図1は、湖沼を対象に水圏の観察,監視,浄化、及び利水・排水のそれぞれのシステムを1つのシステムに連携させた場合の構成図であり、1は湖沼で、2は水域1の貯留水、3A〜Dは河川、10は観察装置、20は監視装置、30は水質計測装置、40はデータ処理装置、50は計算機システム、60は気象観測装置、65は水面観測装置、70は調節装置、75は降雨観測装置、80は浄化装置、80Aは導水装置、80Bは排水装置、90Aは放流装置、90Bは利水装置をそれぞれ示している。以下、各装置及びそれらの連携作用について詳細を順次説明する。
【0016】観察装置10と監視装置20の一構成例を図2に示す。観察装置10はサンプリング管18A〜D,移送装置11,検出装置12,撮像装置13A及び13B,撮像調節装置14,移送調節装置15から構成される。移送装置11は貯留水2の一部を採取し、サンプリング管18A及び18Bを介して検出装置12に移送する。移送調節装置15は移送装置11を制御するもので、制御動作の詳細は後述する。検出装置12はサンプリングした採取液中に存在する懸濁物質を検出するもので、懸濁物質量に対応した信号を出力する。検出手段としては光や超音波を利用できる。
【0017】図3に光を利用した検出装置12の一構成例を示す。光が透過可能な光透過器121をサンプリング管18Bと18Cに連結させて採取液を流す。光透過器121の特定位置に光照射器122を設置し、光透過器121内の採取液に光を照射し、その透過光、あるいは散乱光を受光器123で検知する。受光器123で検知された光は光電変換器124で電気信号sに変換される。この電気信号は光透過器121内の採取液に存在する懸濁物質量に対応した出力が得られる。光照射器122からの光は可視光,可視光の特定波長帯のみを選択した特定波長光、あるいはレーザー光を適用できる。特定波長光、あるいはレーザー光は植物プランクトンが有するクロロフィルを励起させる波長光を用いて蛍光を発生させ、この蛍光量を受光して光電変換器124で電気信号に変換してもよい。この電気信号はクロロフィル量すなわち植物プランクトン濃度に対応した出力が得られる。
【0018】検出装置12から移送された採取液は撮像装置13のフローセル133に導かれる。フローセル133は光透過物質、例えばガラスやアクリル材を用いて、内部にスリット状の液流通路を形成させた平板型構造とする。撮像装置13はフローセル133を挟んで第1筐体13Aと第2筐体13Bで構成される。第1筐体13Aはフローセル133のスリット部に焦点を合わせた拡大光学レンズ134と、拡大光学レンズ134の光像を撮影し、アナログの電気信号に変換するテレビカメラ135で構成される。一方、第2筐体13Bは照明装置131と、照明装置131からの光を集光して平行光を提供する機能を有する集光レンズ132を内蔵している。この平行光はフローセル133に照射され、拡大光学レンズ134の視野範囲にある採取液の拡大光像をテレビカメラ135で撮影する。移送装置11を連続操作することにより、撮像対象となる採取液が時々刻々変化し、新たな拡大光像が得られる。撮像調節装置14は撮像装置13の電源入切操作,照明装置131の電圧調整,拡大光学レンズ134のピント位置調整、あるいはフローセル133内液流通路の洗浄機構(図示していない)を操作する機能を有する。
【0019】監視装置20は映像分配器21,波形解析装置22,計算制御装置23,画像処理装置25,駆動装置28,映像記憶装置29で構成される。
【0020】ところで、湖沼やダムの貯留水2は、雨天時には数千ppm の濁質となる場合もあるが、通常は数十ppm 以下と清澄である。また、植物プランクトンは大量発生でも数万(細胞数/ml)で、平均数百(細胞数/ml)とされている。これを拡大光学レンズ134を内蔵した撮像装置13で観察すると1画面(観察容積約0.2mm3)に1細胞あるか否かで、効率的な監視を行うことが必要でなる。監視装置20はこの問題点に対処したものである。
【0021】映像分配器21は撮像装置13からの映像信号を波形解析装置22,画像処理装置25、及び映像記憶装置29に同時に分配する。映像信号あるいは分配後の映像信号は増幅器(図示していない)で予め増幅させることができる。
【0022】波形解析装置22は撮像装置13の映像信号を走査線に沿って波形を解析し、波形変化回数、あるいは変化度合をカウントする。図4に任意走査線の映像信号の一例を示す。図4(イ)の信号波形で凹部は撮像装置13で撮像対象とした採取液に懸濁物質が存在する領域で、懸濁物質が存在しない場合は図4(ロ)のように変化の少ない、フラット状の信号波形となる。波形解析装置22は波形変化の大きい、凹型部の発生回数nをカウントして計算制御装置23に出力する。なお、出力値は凹型部の発生比率(Σti/Ti i=1,n)あるいは信号強度の平均値等の変化度合を対象にすることができる。
【0023】計算制御装置23には波形解析装置22からの発生回数nと検出装置12からの電気信号強度sが入力され、懸濁物質の存在有無と量を診断し、制御情報を出力する。図5を用いて計算制御装置23の機能例を説明する。まず、波形変化発生回数nは予め設定された所定値Nと比較され、発生回数nが所定値Nに満たなければ採取液移送指令を移送調節装置15に出力し、発生回数nが所定値N以上であれば画像処理実行指令を画像処理装置25に出力する。移送指令により移送調節装置15は移送装置11をオンオフ操作する。画像処理装置25での画像処理が終了した場合、終了信号が入力され、採取液移送指令が発効される。また、単位時間毎の採取液移送指令回数、すなわち移送装置11駆動回数ntをカウントし、画像処理装置25に出力する。このような採取液移送方式とすることにより、撮像装置13の映像信号に懸濁物質が存在しない場合は撮像対象とする採取液を交換し、懸濁物質が存在する場合にのみ画像処理が実行されることから、より多くの採取液を撮像対象とすることができ、情報入手効率が向上すると共に必要な画像情報のみを得ることができる。なお、所定値Nは1以上に設定する。
【0024】検出装置12からの電気信号強度sは予め設定された所定強度Sと比較され、信号強度sが所定強度Sより低ければ映像記憶指令を駆動装置28に出力する。駆動装置28は映像記憶指令の入力により映像記憶装置29を駆動させ、撮像装置13からの映像信号を映像記憶装置29で記憶,保存させる。映像記憶装置29にはビデオテープレコーダーなどを用い、1回の映像記憶指令により所定時間駆動させる。また、映像記憶装置29は映像記憶指令の入力毎に駆動させる必要がなく、1日単位で最大駆動時間、あるいは駆動回数を設定しておいてもよい。さらに、駆動開始あるいは終了時の特定時間の映像信号をカットしたり、駆動開始時に記憶日時を同時に保存するなどの映像管理を行うと良い。上記駆動操作は、透過光を対象としてその減衰量が所定量以上、すなわち懸濁物質が特定濃度以上に達した場合に実行される。保存映像は後日、懸濁物質あるいは植物プランクトンの詳細な観察・分類に利用する。なお、所定強度Sは懸濁物質濃度と減衰量の関係を予め求めておき、その特性に基づいて設定する。また、検出装置12で散乱光や蛍光光を対象とした電気信号強度sの場合、信号強度sが所定強度S以上であれば映像記憶指令を駆動装置27に出力する。
【0025】画像処理装置25は計算制御装置23の画像処理実行指令により映像分配器21から映像信号を取り込み、画像処理を実行する。画像処理装置25の一構成例を図6に示す。画像処理装置25は中央処理装置250,主記憶装置251,外部記憶装置252,通信インターフェース253,システムバス254,ルールベース255,推論装置256,表示装置257,印字装置258,画像演算装置260,表示装置265から構成される。中央処理装置250は主記憶装置251に格納されているメインプログラムを実行し、画像処理装置25全体を制御する。外部記憶装置252は画像演算装置260を制御するプログラムと画像演算結果が格納される。通信インターフェース253は計算制御装置23,計算機システム50とのデータ送受信機能を持つ。中央処理装置250は通信インターフェース253を介して、計算機システム50への画像演算情報の送信,計算制御装置23からの制御信号と駆動回数データの受信及び画像演算終了信号を送信する。表示装置265は画像演算装置260の処理画像や画像計測情報、及び撮像装置13の撮像画像を表示する。画像演算装置260は画像演算プロセッサー261,画像メモリ262,映像インターフェース263から構成される。画像メモリ262は、例えば、縦方向256画素,横方向256画素で輝度階調が256(8ビット)の濃淡画像メモリと、同画素数で輝度階調が2(1ビット)の2値画像メモリが各々複数個配置されている。画像演算プロセッサー261は画像メモリ262の濃淡画像や2値画像を対象に濃淡画像処理,2値化処理,ラベリング(ナンバー付け)処理,形状特徴量抽出などの演算処理を高速で実施する複数のLSIからなる。映像インターフェース263はA/D変換器とD/A変換器を配し、撮像装置13からのアナログ映像信号をディジタル信号に変換し、画像処理装置25内でディジタル処理された信号をアナログ信号に変換して表示装置265等に映像表示する。撮像装置13からの映像信号は映像インターフェース263でディジタル信号に変換され、濃淡画像メモリの1個にリアルタイムで格納し、この格納画像を対象に各種画像処理を画像演算プロセッサー261で実行する。
【0026】次に、画像処理装置25の処理手順の一実施例を図7で説明する。なお、本実施例では処理手順の構成要素を説明の便宜上工程名で示している。これは、必ずしも専用のハードウェアであることを意味するものではない。上述した画像処理装置25においてソフトウェアの実行により実現できる機能でもよい。
【0027】図7において、映像インターフェース263でディジタル信号に変換された懸濁物質の濃淡画像は、まず、画像取込工程270で原画像として濃淡画像メモリ(図示しない)に記憶される。この原画像を対象に、2値化処理する2値化工程271と,2値化された画像から物体を識別してラベリング処理するラベリング工程272と,ラベリングされた複数の物体を画像を1画像ずつ切り出す画像切出工程273と,原画像の輝度を選択的に強調処理する強調処理工程274と,強調された画像を画像切出工程273で切り出した2値画像でマスク処理する第1マスク処理工程275と,第1マスク処理工程275でマスク処理された強調画像を2値化処理する2値化工程276と,原画像を2値化工程271で得られた2値画像でマスク処理する第2マスク処理工程277と,原画像を画像切出工程273で切り出した2値画像でマスク処理する第3マスク処理工程278と,入力された2値画像及び濃淡画像から各物体の特徴量を演算して求める特徴量演算工程279により原画像内の全懸濁物質の各種画像情報を求める。なお、繰り返し工程280は物体画像を1画像ずつ切り出して全物体について順次特徴量を演算するものである。
【0028】以下に、画像処理手順の詳細を説明する。
【0029】画像取込工程270で原画像として取り込まれた濃淡画像は、その明るさに対応して、例えば256階調に区別された輝度情報G(i,j)を持ち2値化工程271,強調処理工程274,第2マスク処理工程277、及び第3マスク処理工程278に入力される。2値化工程271は、任意の輝度レベルLを設定し、次式(数1)による2値化処理を行い、物体(“1”情報)と液相部(“0”情報)を分離認識する。
【0030】
G(i,j)<LならばB(i,j)=1 G(i,j)≧LならばB(i,j)=0 …(数1)ただし G(i,j):濃淡画像中の(X座標,Y座標)=(i,j)の点の輝度情報B(i,j):二値画像中の(X座標,Y座標)=(i,j)の点の輝度情報L :2値化閾値ラベリング工程272は2値化工程271で得られた2値画像の物体輪郭線を求め、その輪郭線が閉じたものを1個の物体と認識する機能と、認識した物体ごとに予め定めた識別符号、例えば番号,記号,名称等を付す機能とを有する。
【0031】画像切出工程273はラベリング工程272でラベル付けされた物体の2値画像を順番に出力する機能を持つ。2値画像の出力は1物体ごとに第1マスク処理工程275と第3マスク処理工程278、及び特徴量演算工程279に出力し、後段での特徴量演算処理が終了した段階で次の物体を切り出して出力し、この切り出し操作を全物体を出力するまで繰り返す。
【0032】強調処理工程274は、画像取込工程270から入力された原画像G(i,j)の輝度を選択的に強調する。具体的強調手段としては、ラプラシアン処理を用いる。このラプラシアン処理は、濃淡画像において、隣接する画素との輝度の差を強調する機能を持つ。この機能を、8方向ラプラシアン処理を例にとり説明する。ある濃淡画像中で隣接する9画素(縦3×横3)に着目し、中央画素の輝度をD,周囲の各画素の輝度をD1〜D8とすると、中央画素に対する8方向ラプラシアン処理は次式で表される。
【0033】
D′=8D−ΣDi …(数2)ただし D′:処理後の中央画素の輝度この輝度修正演算は濃淡画像の構成画素すべてについて行い、図8(b)のように新たな輝度情報を持つ強調画像が得られる。図8には群体プランクトン,単体プランクトン、及びゴミ状物質を対象に各々原画像とラプラシアン処理して得られる強調画像の例を示す。ラプラシアン処理された強調画像は、原画像中の輝度変化の大きい領域が強調された画像となる。例えば、輪郭部や、物体内で輝度変化している部分が強調の対象となる。輪郭部R,物体内での輝度変化が大きい領域R′はラプラシアン処理により強調されて、RL,R′Lとなる。同時に、同質の細胞が密集し、各細胞内の中心部Cに輝度変化が見られる群体プランクトンは各細胞の中心点が強調され、CLとなる。このように、強調処理工程274は輝度が均一な領域と,不均一な領域を選択的に強調し、物体内での輝度変化が小さい、均一的な輝度を持つ領域は強調度合いが少ない。
【0034】第1マスク処理工程275は、強調処理工程274で得られた濃淡画像を、画像切出工程273からの2値画像でマスク処理する。このマスク処理により、2値画像中の、輝度情報1の領域に対応した強調画像のみが選択的に抽出される。なお、マスクとして用いる2値画像は、切り出し時に画面上のアドレスを補足しておき、そのアドレスを用いて強調画像に対応するアドレス領域にマスク処理を実行する。このマスク処理により、1物体ごとのマスクされた濃淡画像が得られる。
【0035】2値化工程276は、第1マスク処理工程275においてマスク処理された強調画像を2値化処理し、物体を認識する。図8(c)に、図8(b)の強調画像をマスク処理し、2値化した結果を示す。群体プランクトンは大きな塊として認識されるのに対して、ゴミ状物質は外形形状が崩れ、分散した形で認識される。これは、群体プランクトンは単体プランクトンやゴミ状物質に比べて物体内の輝度が均一的であるため、ラプラシアン処理により強調される部分が小さく、輝度変化が少ないことによる。2値化工程276で得られた2値画像は特徴量演算工程279で物体の画像特徴量が演算される。
【0036】第2マスク処理工程277は、画像取込工程270から入力された原画像G(i,j)を2値化工程271からの2値画像でマスク処理する。このマスク処理工程では、2値画像を反転、すなわち数1において液相部を情報“1”とし、液相領域に対応した濃淡画像のみが選択的に抽出される。2値化工程271の2値画像は原画像G(i,j)に存在した全懸濁物体が認識された画像で、上述の反転してマスク処理することにより、液相全体の画像を得ることができる。第2マスク処理工程275で得られたマスク画像は特徴量演算工程279に出力され、液相部の画像特徴量が演算される。
【0037】第3マスク処理工程278は、画像取込工程270から入力された原画像G(i,j)を画像切出工程273からの2値画像でマスク処理する。このマスク処理により、2値画像で切り出した物体画像領域に対応した濃淡画像のみが選択的に抽出される。第3マスク処理工程278で得られたマスク画像は特徴量演算工程279に出力され、各切り出し物体ごとの画像特徴量が演算される。
【0038】特徴量演算工程279には2値化工程276,画像切出工程273からの2値画像と,第2マスク処理工程277,第3マスク処理工程278からの濃淡画像が入力され、各物体の画像特徴量と液相部の特徴量が演算される。まず、2値化工程276の2値画像では物体個数,各物体面積及び物体総面積,面積分布などが演算される。さらに、これらの演算結果を用いて、物体内の輝度の均一性を表す群体形成度を求める。群体形成度(均一輝度個体の集合度)は、例えば物体総面積と物体個数比(平均面積),各物体面積のうちの最大値と物体総面積比(最大面積比率),各物体面積の標準偏差などが充当できる。図9は平均面積を対象に、本発明者らが群体プランクトン(アオコ)とその他のプランクトン及びゴミ状物質を画像演算した結果で、群体プランクトンとその他の物質の相違が大きく、プランクトンの群体形成度(均一個体の集合度)が反映した結果となっている。
【0039】画像切出工程273からの2値画像では、各物体(プランクトン及びゴミ状物質)の面積,周囲長,穴の個数,穴の面積割合,短軸/長軸比,形状係数(物体の輪郭線の複雑さを表す値),円形状係数(物体の形が円にどのくらい近いかを表す値),外接長方形との面積比,重心から周囲長までの(最小径)2,重心から周囲長までの(最大径)2,重心から周辺までの(径)2の平均値,輪郭追跡時のX方向変化回数,輪郭追跡時のY方向変化回数,下向きの突出部分の数,線分要素の端点の数あるいは線分要素の交点の数などを演算する。
【0040】第2マスク処理工程277,第3マスク処理工程278からの濃淡マスク画像では、輝度情報に関する特徴量が演算される。第2マスク処理工程277では液相部の最大,最小、及び平均輝度が、第3マスク処理工程278では各物体ごとに最大,最小、及び平均輝度が演算される。
【0041】これらの画像特徴量はシステムバス254を介して外部記憶装置252に記憶され、2値化工程271の2値画像に存在する全ての物体について上記画像特徴量を演算するまで繰り返し実行し、外部記憶装置252に記憶される。全物体の画像特徴量の演算が終了した場合、終了指令を計算制御装置23に出力し、新たな画像取り込み動作を行う。また、表示装置265にはモニタ−テレビやディスプレイを用い、上述した画像処理手順の処理画像、及び画像特徴量を表示できる。
【0042】なお、上記実施例では撮像装置13の映像信号を原画像として直接画像処理したが、原画像を補正してもよい。例えば、撮像装置13の光学系などに汚れまたは傷が付着している場合や、撮像対象の視野範囲で照明ムラが存在する場合、映像信号を原画像として直接画像処理すると正確なプランクトン情報を得ることができないためである。具体的には、予めプランクトンの存在しない液相部のみの対照画像(背景画像)を濃淡画像メモリに取り込んでおき、この対照画像と新たな原画像と差分処理し、汚れや傷及び照明ムラなど撮像装置13固有の影響を除く輝度の補正をし、この差分画像を対象に画像処理を実行することができる。
【0043】さらに、本実施例では画像処理手順における2値化処理の閾値Lを任意の輝度レベルに固定したが、各画像の輝度分布(ヒストグラム)を考慮して変化させる自動2値化法を用いることができる。
【0044】推論装置256は、外部記憶装置252に記憶された画像特徴量を呼出し、各画面ごと、あるいは予め設定された単位時間ごとに全物体の面積分布あるいは粒径分布と、プランクトンの種類並びにゴミ状物質を分類し、種類ごとに面積あるいは粒径を基準として分級する。
【0045】種類の判別は、例えば、表1に示す判定ルールをルールベース255に予め記憶しておき、この判定ルールに当てはめて実行する。
【0046】
【表1】


【0047】本実施例では各種プランクトンを大まかに円形,矩形,線形,楕円形,群体の形状分類ルール,並びにゴミ状物質,微小物質の判定ルールを上記特徴量の数値的範囲をファジィ表現で設定し、ルールベース255に入力しておく。この判定ルールは、本発明者らが種々のサンプルを画像処理して種類を分類できることを見出したものでIF−THEN、あるいはフレーム方式を適用できる。種類の判定は、演算された画像特徴量を分類・判定ルールと照合させ、確信度の高い物体の種類を推論する。さらに、推論結果に基づいて面積あるいは粒径の分級をし、各画面ごとあるいは単位時間ごとの物体種類とその分級数を求める。また、種類判定を実行する前に、全物体の面積あるいは粒径を分級する。なお、線形物体は粒径でなく、長さにより分級してもよい。粒径を分級する場合、物体面積と等価の円を仮定して求めた粒径を用いることができる。単位時間及び単位容量あたりの分級数Ni は移送装置11の駆動回数nt を考慮して求める。ここで、ni は単位時間における画像処理で抽出された分級数、vは撮像装置13の1画面の観察容積である。
【0048】
i=ni・nt/v …(数3)これらの結果は外部記憶装置252に記憶される。また、各画面ごとあるいは単位時間ごとの物体種類とその分級数はディスプレイなどの表示装置257並びに印字装置258に出力させて監視することができる。この場合、表2に示すように、全物体及び物体種類ごとの分級数と、物体種類に当て嵌まるプランクトンの候補名を同時に表示すると良い。
【0049】
【表2】


【0050】このように、全物体及び物体種類ごとの分級数を表示することにより、懸濁物質がプランクトンか否か、また、その出現動向を定量的にリアルタイム監視ができる。また、プランクトンの候補名を表示することにより、経験の浅いオペレータもプランクトンの状況を把握することができる。全物体及び物体種類ごとの分級数は、各画面ごとあるいは単位時間ごとに通信インターフェイス253を介して計算機システムへ出力される。
【0051】なお、本実施例では、プランクトンを大まかな形状に分類して分級数を求めたが、表1の分類指標をさらに区分けして種類を詳細に分類してもよい。また、分類指標は表1に明記した項目に限定するものでなく、画像処理で抽出できる形状特徴量を広く利用でき、詳細な分類に効果がある。さらに、本実施例ではファジィ表現の判定ルールを用いて知識工学により種類を推論したが、クリスプルールを判定ルールとする知識工学手法、並びに各種画像演算情報を入力層に、演算情報に対応する特徴値を教師データとするニューラルネットワーク手法を用いることもできる。
【0052】以上、説明した画像処理手段によれば、群体プランクトンと単体プランクトン及びゴミ状物質を明確に分類でき、湖沼等の貯留水の汚染状態を直接監視できる。
【0053】計算機システム50は、監視装置20からの懸濁物質画像情報,水質計測装置30とデータ処理装置40からの水質計測情報,気象観測装置60からの気象計測情報,水面観測装置65からの水面計測情報、並びに降雨観測装置75からの降雨計測情報を連続的に受信し、これらの情報に基づいて湖沼等水域全体の水質汚染状態を診断し、その診断結果を用いて浄化装置80,導水装置80A,排水装置80B,放流装置90A、及び利水装置90Bに運転指令や制御方式、並びに警報指令を出力する。ここで、水質計測情報は水温,濁度,pH,DO(溶存酸素濃度),電気伝導度,有機物濃度,富栄養塩(窒素,りん化合物)濃度,クロロフィル量,水位,流速,臭気度などで、気象計測情報は気温,風向,風力,日射量などで、水面計測情報は水の色度,浮遊物質集積度などで、降雨計測情報は雨量,pH,NOx濃度,SOx濃度などである。また、監視装置20,水質計測装置30,気象観測装置60,水面観測装置65、及び降雨観測装置75は監視対象の地理的条件などを考慮して監視に最適な位置に設置する。また、水域を複数の監視ブロックに分割し、各ブロックの代表地点に各計測装置を配置し、これらの総合的な計測情報に基づいて水域全体の水質汚染状態を診断することが望ましい。この場合、計算機システム50は機能を分割させる分散システム方式でもよいが、各種計測情報を無線あるいは電話回線や光ファイバーを利用した有線ネットワークを構築して送信させる1局管理方式が運用上望ましい。
【0054】図10に計算機システム50の一構成例を示す。計算機システム50はCPU(中央処理装置)501,主記憶装置502,シミュレーション装置503,推論装置504,印字装置505,データベース506,知識ベース507,入力ポート508,出力ポート509,外部記憶装置510が設置され、各々システムバス511を介して情報処理が実行される。
【0055】CPU(中央処理装置)501には表示装置512と入力装置513が接続され、計算機システム50内の情報表示とマウス,ライトペン,キーボードなどから必要情報を計算機システム50に送信する。CPU(中央処理装置)501は主記憶装置502に格納されているメインプログラムを実行し、計算機システム50全体を制御する。実行タイミングは入力装置513からの起動指令信号、タイマー,入力ポート508からの情報入力による。データベース506には入力ポート508を介して受信した画像情報,水質計測情報,気象計測情報,水面計測情報、並びに降雨計測情報が格納され、外部記憶装置510にはシミュレーション装置503で用いる水域形状や流入,流出個所等の地形及び地理データが格納され、また、シミュレーション結果や推論装置504の推論結果が格納される。
【0056】推論装置504はデータベース506の情報と知識ベース507に格納されている水質診断ルールと浄化対策ルールを呼び出して、特定地域あるいは水域全体の総合的な水質の汚染状態とその要因を診断し、浄化対策手段と運転制御方式、及び水域に関連する水施設への警報指令や運転ガイダンスなどを推論する。まず、画像情報から植物プランクトン総量の増減傾向を把握し、増加傾向にあれば、種類やその面積分布などから発生プランクトンの動向とその要因を詳細に診断する。これらの診断には栄養塩濃度,水温,水流の停滞、あるいは日射量の影響か、さらに気象情報を考慮して行なう。また、水の色度,浮遊物質集積度などの水面計測情報により汚染度合を評価し、対策情報の伝達範囲を選定する。浮遊物質集積は画像情報と照合させ、群体を形成するアオコ(ミクロキスチス)や赤潮(ウログレナ)かを判定し、その増殖状態を水中と水面情報から判断できる。対策情報の伝達範囲は、例えば、汚染度合が低ければ浄化装置80の運転指令と運転条件をガイダンスする。複数の浄化装置80を有する場合は運転設備の選定、運転時期やタイミング等の浄化対策を支援する。汚染度合がやや高く,臭気や色変化がある場合は浄水場などの利水装置90Bに警報信号を送信し、高度処理設備の運転あるいは強化させる。また、線形(針状)プランクトンが異常増殖した場合は濾過障害の可能性があるなどの警報を出し、早期対策を実行させる。監視水域がダムの場合は、取水位置あるいは取水の水深位置を変更させる対策手段を講じさせる。さらに、汚染が激しければ、浄化装置80の運転指令と同時に、対象水域の貯留水入替えを導水装置80B及び排水装置80Bの管理者に指示し、強制的浄化を支援する。また、汚染状態の長期傾向を把握し、有機物や富栄養塩濃度が上昇傾向にあれば下水処理場などの放流装置90Aの放流水質改善対策などの運転支援、あるいは新たな放流装置90Aの建設提案を支援する。降雨計測情報から特定水域の水質が影響される場合は、浄化装置80に運転を指令し、水域全体での緩和対策を支援する。懸濁物質の大部分がゴミ状物質であれば雨あるいは水域の対流の影響が原因と判断し、浄化装置80の稼動指令出力はなされない。
【0057】シミュレーション装置503はデータベース506の情報や外部記憶装置510地形及び地理データに基づいて水質汚染状態の現状と将来の予測を行う。また、推論装置504からの浄化対策手段,運転制御方式を採用時の水質改善効果を予測して浄化対策手段並びに運転制御方式を評価し、対策支援を改善する。
【0058】推論装置504の推論結果及びシミュレーション装置503のシミュレーション結果は外部記憶装置510に記憶される。また、浄化対策指令信号は出力ポート509を介して各種関連装置に送信される。なお、推論装置504及びシミュレーション装置503からの浄化対策指令は表示装置512と入力装置513によりオペレータの判断で選択実行できる。
【0059】なお、浄化装置80は1つの水域に複数個設備されているのが一般的で、また、様々な方式の浄化法が適用されている。例えば、懸濁物質を含む汚濁液を直接採取し、濾過により懸濁物質のみを分離除去したのち濾液を浄化液として水域に返送する浄化方式がある。汚濁液は、船あるいは懸濁物質が滞留する領域に固定した導水管からポンプで採取しても良い。さらに、浄化方式としては、水域内に設置した装置を直接稼動させる方法も適用できる。この方法には、水面近くの液を撹拌して水流を起こすとともに酸素を供給する撹拌方式や、水域の底部近傍に中空筒を設けて連続的あるいは間欠的に空気を流通させて水流を強制的に発生させる方式がある。これらの浄化方式は異常出現した植物プランクトンの直接浄化、さらに、汚染要因が水温,水流停滞や日射量が影響している場合に有効である。また、汚染要因が有機物,窒素やりん等の富栄養塩の場合、活性汚泥法などの微生物を利用して富栄養塩を選択的に分解除去する方式,凝集剤などの薬剤を添加して沈殿除去する方式,活性炭や膜で物理的に除去する方式,さらに、オゾン注入や紫外線照射による分解除去方式が適用できる。これらの方式は水域からサンプリングした汚濁液や、水域への流入水を対象に処理しても良い。
【0060】上記実施例では、画像処理装置25を監視装置20に内蔵させたが、複数地点でプランクトンを観察する場合、画像処理装置25を計算機システム50に組み込み、異なる複数画像を切り替えて処理を実行しても良い。
【0061】また、波形解析装置22で懸濁物質の存在を確認し、画像処理を実行したが、画像処理装置25で直接懸濁物質の有無を判定しても良い。これは、画像処理の実行時間が形状特徴量を求めるのにその大部分が費やされることから、物体の確認のみの場合、短時間で結果を得ることができるためである。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、懸濁物質が存在する場合に画像処理が実行されるため、撮像が高速化され、画像認識の効率が向上する。認識効率の向上は水質判定を行うためのプランクトン検体数が増すことから、より正確な情報に基づいた水圏監視並びに診断が行え、診断結果の信頼性が高まる効果がある。さらに、対象水域に係る施設に対して安心した運転支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を説明する構成図。
【図2】撮像装置と監視装置の一実施例を説明する構成図。
【図3】懸濁物質の検出機構を説明する構成図。
【図4】懸濁物質の存在を判定する手段を示す図。
【図5】計算制御装置の機能を説明する図。
【図6】画像処理装置の構成を示す図。
【図7】画像処理手順の一例を説明する図。
【図8】画像強調処理の結果を示す説明図。
【図9】群体形成度の相違を示す説明図。
【図10】計算機システムの一実施例を説明する構成図である。
【符号の説明】
10…観察装置、20…監視装置、30…水質計測装置、40…データ処理装置、50…計算機システム、60…気象観測装置、65…水面観測装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】水圏内の液を拡大して撮像しアナログ信号として取り込む撮像手段と、該撮像手段で得られたアナログ信号を波形解析し懸濁物質が存在するか否かを検出する波形解析手段と、前記波形解析手段で懸濁物質が確認されたならば画像処理して懸濁物質の大きさ,形状,輝度に関する情報の少なくとも1つを求める懸濁物質の特徴量計測手段とを具備することを特徴とする水圏監視装置。
【請求項2】水圏内の液を拡大して撮像する手段と、該撮像手段の撮像部に前記水圏液を供給する手段と、該撮像手段で得られた映像を解析して懸濁物質が存在するか否かを検出する手段と、前記検出手段で懸濁物質が確認されたならば画像処理して懸濁物質の大きさ,形状,輝度に関する情報の少なくとも1つを求める懸濁物質の特徴量計測手段とを具備することを特徴とする水圏監視装置。
【請求項3】水圏内の液を拡大して撮像する手段と、該撮像手段で得られた映像を記憶し保存する手段と、該撮像手段で得られた映像を解析して懸濁物質が存在するか否かを検出する手段と、前記検出手段で懸濁物質が確認されたならば画像処理して懸濁物質の大きさ,形状,輝度に関する情報の少なくとも1つを求める懸濁物質の特徴量計測手段とを具備することを特徴とする水圏監視装置。
【請求項4】請求項1ないし3において、前記特徴量計測手段で求めた特徴量に基づいてプランクトンであるか或いはそれ以外の懸濁物質であるかを判定する手段と、認識したプランクトンの個数或いはプランクトンの種類を識別してその個数を計測する手段とを具備することを特徴とする水圏監視装置。
【請求項5】請求項4において、前記プランクトンの種類或いは個数を表示する表示手段を有することを特徴とする水圏監視装置。
【請求項6】水圏内の液中の懸濁物質を観測する手段と、前記液中の水温及び水質を計測する手段と、前記水圏の水面の色合いを観測する手段と、前記水圏を含む地域の気象を観測する手段と、前記水圏に流入する降雨水の水質を計測する手段と、得られた観測結果及び計測情報の少なくとも1つを用いて水質汚染度のレベルを診断する手段と、該診断手段で診断された水質汚染度のレベルに対応して水圏を浄化する浄化手段とを具備することを特徴とする水圏浄化装置。
【請求項7】水圏内の液中の懸濁物質を観測する手段と、前記液中の水温及び水質を計測する手段と、前記水圏の水面の色合いを観測する手段と、前記水圏を含む地域の気象を観測する手段と、前記水圏に流入する降雨水の水質を計測する手段と、得られた観測結果及び計測情報の少なくとも1つを用いて水質汚染度のレベルを診断する手段と、該診断手段で診断された水質汚染度のレベルに対応して警報を発する警報手段とを具備することを特徴とする水圏監視装置。
【請求項8】水圏内の液中の懸濁物質を観測する手段と、前記液中の水温及び水質を計測する手段と、前記水圏の水面の色合いを観測する手段と、前記水圏を含む地域の気象を観測する手段と、前記水圏に流入する降雨水の水質を計測する手段と、得られた観測結果及び計測情報の少なくとも1つを用いて水質汚染度のレベルを診断する手段と、該診断手段で診断された水質汚染度のレベルに対応して水圏へ導入される水を調節する導水調節手段とを具備することを特徴とする水圏監視装置。
【請求項9】水圏内の液中の懸濁物質を観測する手段と、前記液中の水温及び水質を計測する手段と、前記水圏の水面の色合いを観測する手段と、前記水圏を含む地域の気象を観測する手段と、前記水圏に流入する降雨水の水質を計測する手段と、得られた観測結果及び計測情報の少なくとも1つを用いて水質汚染度のレベルを診断する手段と、該診断手段で診断された水質汚染度のレベルに対応して水圏の利水或いは排水施設の処理方式及び/または操作量を設定或いは選定する手段とを具備することを特徴とする水圏監視,利用装置。
【請求項10】水圏内の液中の懸濁物質を観測する手段と、前記液中の水温及び水質を計測する手段と、前記水圏の水面の色合いを観測する手段と、前記水圏を含む地域の気象を観測する手段と、前記水圏に流入する降雨水の水質を計測する手段と、得られた観測結果及び計測情報の少なくとも1つを用いて水質汚染度のレベルを診断する手段と、該診断手段で診断された水質汚染度のレベルに対応して水圏の利水或いは排水施設に警報を与える手段とを具備することを特徴とする水圏監視,利用装置。
【請求項11】請求項6ないし10において、前記観測手段及び計測手段からの観測結果及び計測情報と前記診断手段の出力情報とに基づいて水質汚染度の変化を予測する手段と、該予測手段で得られた水質汚染度変化量と前記診断手段で得られた水質汚染度とを比較して水質汚染に影響をおよぼす因子を制御する手段とを具備することを特徴とする水圏監視,浄化装置。
【請求項12】請求項6ないし11において、前記観測及び計測手段を複数箇所に設置し、それぞれの手段からの観測及び計測情報を前記診断手段に入力する入力手段を有することを特徴とする水圏監視,浄化装置。
【請求項13】請求項6ないし13において、前記懸濁物質観測手段は、透過光及び/または散乱光による光学的方式或いは超音波方式よりなることを特徴とする水圏監視,浄化装置。
【請求項14】請求項4において、前記プランクトンが植物プランクトンであることを特徴とする水圏監視装置。
【請求項15】請求項6において、太陽光をエネルギー源として発電する手段を具備し、該発電手段により前記浄化手段を稼動するように構成されたことを特徴とする水圏浄化装置。

【図3】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図8】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図7】
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