説明

水平維持テーブル

【課題】 簡易な構造を持ちつつ、傾斜した場所や凹凸した場所、更にはゆれる場所においても飲料物がこぼれることがなく、また転がりやすい物品を安定的に保持するようにした水平維持テーブルを提供する。
【解決手段】 物品を置くための台座部21と台座部21を支持するための支持部122とから構成されるホルダー部20と、上面が球形の一部で凹状の形状であるガイド部10とからなり、ホルダー部20がガイド部10の上面に接しながら滑る機構を持つことで、ホルダー部20にかかる重量により台座部21が水平を維持することを特徴とする水平維持テーブルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜した場所や揺れる場所に於いても、テーブル上のカップ等から液体がこぼれることがないようにし、またカップ等に限らずテーブル上に置く転がりやすい物を安定的に保持することができる水平維持テーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、バーベキュー、登山において、傾斜している場所で飲料を飲むことがある。かかる場合、飲料の入ったカップ、開栓した缶(以降カップ類と記載)を置くためにできるだけ平らな地面を探す手間があり、更に仮に発見した場合でも、そこが水平でなかった場合、置いた時に傾き転倒し中身がこぼれる恐れがあった。
【0003】
また、例えば、家のソファ、ベッドで読書、テレビの観賞をする際、飲料を飲むことがある。かかる場合、飲料の入ったカップ類を不安定かつ平らではないソファ、ベッドの上に置きたい時があるが、人が姿勢を変えて振動が発生した時に、傾き転倒し中身がこぼれる恐れがあった。
【0004】
また、例えば、電車や飛行機で、飲料を飲むことがある。かかる場合、飲料の入ったカップ類をテーブル上に置くことがあるが、電車や飛行機の振動や傾斜で、傾き中身がこぼれる恐れがあった。
【0005】
これらの水平でない、または振動する場所においては、凹形状のカップホルダーにカップを差込み、転倒を防ぐ方式が一般的であった。
【0006】
また、特許文献1には、車両や船舶などに於いて、カップの受け部、ボールジョイント、ばね部材で重量バランスを取り、走行中に飲料物がこぼれることを防ぐカップホルダーについて開示されている。
【特許文献1】特開2002−36933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、一般的な凹形状のカップホルダーの場合は、転倒は防止できるが、カップ類を傾斜した地面やソファの上に置いた場合、傾き中身がこぼれることがあった。
【0008】
また、上記の特許文献1に開示されたカップホルダーは、バランスをとり受け部の水平を維持するためには、バネの弾性と、カップ類の受け部の重量、受け部を支持する支持部の動作における摩擦等を計算した設計とする必要があり、非常に複雑な構造、部材と設計が必要であった。
【0009】
また、上記の特許文献1に開示されたカップホルダーは、受け部の回転中心が、受け部下方にある支持部下端のボールジョイントであり、受け部と支持部の重心位置に対し下方に回転中心があるため、受け部の上に置くカップ類の重心の偏りの影響を受けやすく、非常に不安定な機構であった。
【0010】
また、上記の特許文献1に開示されたカップホルダーは、受け部が底部に対して傾いた際には、受け部を戻す方向にバネの弾性が働くため、傾斜が急であるほど基に戻る力が強い。このため、予め水平な場所に置かれた状態において振動を吸収する仕組みであり、最初から傾いた場所に置かれた場合、力学条件が異なり、振動を吸収することが難しい構造であった。
【0011】
本発明は、かかる問題点に鑑み、簡易な構造を持ちつつ、傾斜した場所や凹凸した場所、更にはゆれる場所においてもカップ類の飲料物がこぼれることがなく、また転がりやすい物を安定的に保持するようにした水平維持テーブルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために請求項1に係る水平維持テーブルは、上面が球形の一部で凹状の形状であるガイド部と、物品を上部に置くための台座部と、前記ガイド部の上面に接して前記台座部を支持するための支持部とからなり、前記支持部と前記台座部とから形成されるホルダー部の重心が前記台座部上面の中心軸上になるように構成され、前記ガイド部が傾いたときに、前記ホルダー部の重量により前記支持部が前記ガイド部の上面に接しながら滑り、前記ホルダー部が安定する位置まで移動し台座部の水平が保たれることを特徴とする。
【0013】
ここでガイド部の上面は、中空である球をある水平面で切断した際の下側を上面とする形状である。すなわち水平面に対して凹形状となる。
【0014】
台座部はカップ類等の物品を安定的に配置できる形状であればいかなる形状でもよい。例えば、平面や中央が少し窪んだ形状等である。更には外周を囲う凸形状を持ち、台座部自身がカップ類として用いられる形状であってもよい。
【0015】
支持部は、ガイド部に接して台座部を支えられる形状であればいかなる形状でもよい。例えば、ガイド部上面の球面に内接する球形状や、ガイド部上面に数箇所で接する凸形状等である。
【0016】
ホルダー部がガイド部に固定されずに載っかり、ガイド部上面の球面を自由に滑る構造とし、かつホルダー部の重心が台座部上面の中心軸上にあることにより、台座部が水平を保つ状態で力学的に安定する。これにより台座部が水平を保つ。
【0017】
更に、ガイド部上面が球形であることから、ガイド部がどの方向に傾斜した際にも、支持部は同じ角度でガイド部に接する。これにより、安定的に台座部の水平を維持するとともに、台座部の水平状態における力学条件が常に同じ条件となり、傾いた場所における振動も安定的に吸収することができる。
【0018】
請求項2に示すように、請求項1に係る水平維持テーブルに於いて、前記支持部は前記台座部の下方で前記ガイド部の上面に少なくとも2箇所で接して前記台座部を支持することを特徴とする。
【0019】
ここで、支持部とガイド部が接する箇所とは、連続的に接する面、または点のことを示す。支持部が少なくとも2箇所でガイド部に接するとは、支持部とガイド部の摩擦を抑えつつ、ホルダー部が安定的にガイド部に載るためには、最低2箇所で接していることが好ましいということであり、3箇所以上であってもかまわない。2箇所の場合は微小な面で接し、3箇所以上の場合は面または点のどちらで接しても構わない。
【0020】
支持部がガイド部に少なくとも2箇所で安定的に接することにより、支持部とガイド部の摩擦を抑えてホルダー部の滑りをスムーズにしつつ、台座部上面のカップ類等の物品の重心が偏った際でも転倒しにくい。
【0021】
請求項3に示すように、請求項2に係る水平維持テーブルに於いて、前記支持部上にあり前記ガイド部の上面に近接する位置に設けられた転倒防止部を備えることを特徴とする。
【0022】
ここで、転倒防止部とは、要するにホルダー部がバランスを崩して傾斜したときにガイド部と接する部分を意味するものであり、形状はいかなるものでもよい。例えば、支持部上に複数ある凸形状であって先端がガイド部に接するようにしてもよいし、ガイド部上面に沿ったリング状の形状であって傾斜した方向の面がガイド部に接するようにしてもよい。
【0023】
これによれば、台座部上面に置くカップ類等の物品の重量により、ホルダー部のバランスが崩れ、万が一転倒しそうになったときにも、微量傾斜した時点で転倒防止部がガイド部に接することで、転倒を防ぎつつ傾斜も最小限に抑えることができる。
【0024】
請求項4に示すように、請求項1に係る水平維持テーブルに於いて、前記支持部上にあり前記ガイド部の上面に近接する位置に設けられた転倒防止部を備え、前記支持部は前記台座部上面の中心軸の下方で前記ガイド部の上面に1箇所の微小な面または点で接して前記台座部を支持することを特徴とする。
【0025】
ここで、支持部において、支持部がガイド部と接する箇所は、微小な面または点でガイド部と接する形状であればいかなるものでもよい。例えば、ガイド部よりやや径の小さい球形の球面であってもよいし、リング状でガイド部と接する円筒であってもよい。
【0026】
ここで、転倒防止部とは、要するにホルダー部がバランスを崩して傾斜したときにガイド部と接する部分を意味するものであり、形状はいかなるものでもよい。例えば、支持部上に複数ある凸形状であって先端がガイド部に接するようにしてもよいし、ガイド部上面に沿ったリング状の形状であって傾斜した方向の面がガイド部に接するようにしてもよい。
【0027】
1箇所の微小な面または点で接するのは支持部とガイド部の摩擦を最小限に抑えるためである。しかしながら同時に不安定さも増すため転倒防止部を設けた。この構造によれば、ガイド部が傾斜した場合、ホルダー部のほぼ全重量が支持部にかかりながら、ホルダー部が安定する位置まで移動し台座部を水平に維持する。また、ホルダー部が移動している間、ガイド部と支持部との摩擦によりホルダー部がバランスを崩した場合でも転倒防止部が瞬間的にガイド部に接することで、ホルダー部の転倒を防止しつつ、安定する位置まで移動させることができる。
【0028】
これにより、傾斜した場所にガイド部が設置された場合、まずホルダー部の自重で台座部が水平になる位置まで移動する。その後に、台座部上面にカップ類等の物品を載せた場合、物品により重心が偏よることがあるが、この場合ホルダー部が微量傾斜した時点で転倒防止部がガイド部に接することで、転倒を防ぎつつ傾斜も最小限に抑えることができる。
【0029】
請求項5に示すように、請求項1から請求項4に係る水平維持テーブルに於いて、前記ホルダー部に取り付けられる錘部を備え、前記錘部は前記台座部上面の中心軸上で、前記台座部と前記ガイド部の間に位置することを特徴とする。
【0030】
これによれば、台座部上面に置く物品とホルダー部をあわせた可動部分の重心を、錘部を設置していない時に比較し下方にすることでき、台座部上面に置く物品の設置場所が偏った際に、台座部の傾きを最小限に抑えることができる。
【0031】
請求項6に示すように、請求項1から請求項3に係る水平維持テーブルに於いて、前記ホルダー部の下方に取り付けられる錘部と、前記ガイド部の上面の下端を円状に開口した開口部を備え、前記錘部は前記台座部上面の中心軸上で前記ガイド部の前記開口部を通過して前記ガイド部上面に対して下方に位置することを特徴とする。
【0032】
これによれば、ホルダー部の重心を、錘部を設置していない時に比較し下方にすることでき、台座部上部に置く物品の設置場所が偏った際に、台座部の傾きを最小限に抑えることができる。更に、錘部がガイド部の開口部を通りぬけて、ガイド部をはさんでホルダー部とは反対側にぶら下がることにより、小さい重量の錘部で台座部を水平に保つ大きな力をかけることができる。
【0033】
小さい重量で台座部を水平に保つ大きな力をかけられることで、支持部とガイド部の間の摩擦を抑えつつ、支持部がガイド部に対して滑りやすくすることができる。これにより、電車や飛行機などの振動する場所においても、迅速に水平を保つことができ有用である。
【0034】
請求項7に示すように、請求項1から請求項6に係る水平維持テーブルに於いて、前記支持部と前記ガイド部が接する箇所のうち少なくとも1箇所において、前記ガイド部と前記支持部の間にボール部材を備えることを特徴とする。
【0035】
ここで、ボール部材は支持部とガイド部が接する箇所のうち1箇所に設置されても、全てに設置されても構わない。1箇所にボール部材が設置される場合は、台座部中心軸の下方で支持部とガイド部が接するようにし、ここにボール部材を設置することが好ましい。ボール部材を挟む事で、ホルダー部がガイド部に対して滑り易くなり、スムーズに水平を保つことができる。
【0036】
請求項8に示すように、請求項1から請求項7に係る水平維持テーブルに於いて、前記ホルダー部に、振動用錘と先端に前記振動用錘が備え付けられた振動部材を備え、前記ホルダー部が傾斜した時に、前記振動用錘の重量により前記ホルダー部内で前記振動部材が振動することを特徴とする。
【0037】
ここで、振動部材とは要するに、ホルダー部が傾斜し始めたときに、振動部材先端の振動用錘の重量により変形し振動し始める材質であれば、いかなるものでもよい。例えば、先端に振動用錘をつけたバネであり、バネの反対側がホルダー部に接続されるかたちでもよいし、下端に振動用錘をつけた紐であり、上端がホルダー部に接続されてぶら下がるかたちでもよい。
【0038】
これによれば、傾いた際にホルダー部内部で振動部材が振動することで、その振動がホルダー部に伝わり、ホルダー部とガイド部との間の静止状態を回避し、ホルダー部の滑り開始の動作をスムーズにすることができる。
【0039】
請求項9に示すように、請求項1から請求項8に係る水平維持テーブルに於いて、前記台座部は、上面に滑り止め機構を備えることを特徴とする。
【0040】
ここで、滑り止め機構とは台座部が傾斜した際に、台座部上に置くカップ類が滑ることを防止するように摩擦力が働く機構であれば、いかなるものでもよい。例えば、摩擦係数の大きいゴム材であってもよいし、上面に微小な凹凸のある形状であってもよい。滑り止め部材により、一時的に台座部が傾いた時に、台座部上部に置く物品のすべり、落下または転倒を防止することができる。
【0041】
請求項10に示すように、請求項1から請求項9に係る水平維持テーブルに於いて、前記台座部は、上面の中心から円周上に沿った少なくとも1つの台座部凸形状を備えることを特徴とする。
【0042】
ここで、台座部凸形状は、台座部の円周上に2つ以上あってもよく、この場合、凸部分の高さは外周に近づけば近づくほど高くなる階段状であることが好ましい。これによれば、例えば飲料を飲むためのカップ類を台座部に載せる場合、カップ類の径が小さいものから大きいものまで、様々な径に対してカップ類の外形を囲むことができる。台座部凸形状があることで、一時的に台座部が傾いた時に、台座部上部に置く物品の落下または転倒を防止することができる。
【0043】
請求項11に示すように、請求項1から請求項10に係る水平維持テーブルに於いて、前記ガイド部は、地面に対して少なくとも3箇所で接する脚部を備えることを特徴とする。
【0044】
脚部を持つことにより、様々な傾斜地にガイド部を設置することができる。例えば、山岳登山やピクニック時等に凹凸がある地面に設置することができ、カップ類等を置く水平テーブルとして手軽に利用することができ、利便性を提供できる。
【0045】
請求項12に示すように、請求項1から請求項10に係る水平維持テーブルに於いて、前記ガイド部は、パイプ椅子や自転車のハンドル等のパイプ形状を挟み込み接続可能な接続部を備えることを特徴とする。
【0046】
ここで、接続部とは、要するに既成の製品に対して取り付けられる構造のものであれば、いかなるものでもよい。例えば、自転車のハンドル部にある金属のパイプを挟み込んでボルトとナットにより締め付け固定できる構造であってもよいし、クリップのようにバネの力で挟みこんでもよい。接続部を持つことにより、既製品のアウトドアチェア、自転車等に接続でき、利便性を提供できる。
【発明の効果】
【0047】
本発明の水平維持テーブルによれば、簡易な構造を持ちつつ、傾斜した場所に置いたときでも、台座部が自動的に水平を維持する。このため、台座部の上に置くカップ類の転倒や、中身がこぼれることを防ぐことができる。また、転がりやすい物品を置いた場合でも物品が転がり落ちることを防止することができる。これによれば例えばアウトドアの凹凸のある場所や、電車や飛行機など振動する場所で、台座部は常に水平を維持するため、このような場所での飲食において利便性が高い。
【0048】
また、本発明の水平維持テーブルによれば、簡易な構造に加え、部材の形状も単純であり設計も簡易であることから、製造コストに優れている。
【0049】
また、ホルダー部の回転中心が、ホルダー部の重心位置に対し上方であるため、安定的に水平を維持しやすい。
【0050】
更に、ガイド部上面が球形であることから、ガイド部がどの方向に傾斜した際にも、支持部は同じ角度でガイド部に接する。これにより、安定的に台座部の水平を維持するとともに、台座部の水平状態における力学条件が常に同じ条件となり、傾いた場所における振動も安定的に吸収することができる。
【0051】
更に、ホルダー部はガイド部に載っている状態であるため、ホルダー部をガイド部から自由にかつ簡便に取り外すことができ、汚れた際に個別に洗え、衛生面での使い勝手もよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、添付図面に従って本発明に係る水平維持テーブルの好ましい実施の形態について説明する。
【0053】
図1は本発明に係る水平維持テーブルの外観を示す斜視図であり、図2は平面図である。
【0054】
図1に示されるように、この水平維持テーブルは、ガイド部上面11が球形状のガイド部10と、上面に台座部21を持つホルダー部20を持ち、例えばカップ類Aなどが台座部21上に載り使用される構造である。
【0055】
[第一の実施形態]
第一の実施形態について説明する。図3は図2のb−bにおける垂直断面図を示す図である。この実施形態では、台座部21と支持部122で構成されるホルダー部20は、ガイド部上面11に支持部122が接して載る状態となる。
【0056】
支持部122は台座部21の中心軸上の下方にあるcにおいてガイド部上面11に1箇所で接する。
【0057】
支持部122はガイド部上面11の球形状より少し小さい径の球形状を下面に持つことが好ましい。支持部122の下面を球形状とすることで、台座部21、支持部122、転倒防止部124で構成されるホルダー部20が傾いた際でも、支持部122とガイド部10が安定的に接するため、ホルダー部20が急速に傾くことを防止することができる。
【0058】
転倒防止部124は、ガイド部上面11に近接するように支持部122上に設けられる。転倒防止部124は、ガイド部10に近接した位置に配置されることで、ホルダー部20が傾斜したときに、ガイド部10に接してホルダー部20の転倒を防ぐ。また、近接する位置に配置されるため、傾斜する角度を微小に抑えることができる。
【0059】
ガイド部10、ホルダー部20の材質は、コストが安価な合成樹脂で形成されることが好ましいが、金属やその他の材質であってもよい。また、支持部122は、ガイド部10上を滑るため、支持部122、ガイド部10ともに、摩擦係数が小さい材質が好ましい。
【0060】
台座部21は、上面に摩擦係数の大きいゴム材料等の滑り止め部材を持つことが好ましい。または、その他の材質であって表面に凹凸を持つ形状となっていてもよい。これにより、一時的に台座部21が傾いた時に、台座部21の上部に置くカップ類等の物品が滑り、落下または転倒することを防止することができる。
【0061】
ホルダー部20はガイド部上面11に接しながら、自由に滑る機構である。これにより、ガイド部10が傾斜した際に、ホルダー部20の自重により、ホルダー部20が安定する位置まで移動し、台座部21を水平に維持することができる。
【0062】
本実施形態によれば、台座部21に何も載っていない状態でガイド部10が傾斜した時は、ホルダー部20が台座部21を水平にたもち、更に、その後に、台座部21の上にカップ類等を置いた場合、重心が台座部21の中心軸上からずれることがあるが、このときはホルダー部20が微小傾斜した段階で、転倒防止部124の先端がガイド部10に接するため、転倒を回避することができる。なお、傾斜角も微小であるため、カップ類の飲料がこぼれることもない。
【0063】
更に、これによれば構造が単純であるため、製造コストも小さく安価にユーザーに提供でき、かつ汚れた際などに、ホルダー部20とガイド部10を分離して洗浄し易いため、気軽に持ち運びすることができる。例えば、水筒に取り付けて水筒と共に持ち歩けるようにしてもよいし、安価であるため数個をまとめて円筒状の筒に積み重ねるようにいれて持ち運べるかたちとしてもよい。数個まとめて持ち歩けば山岳登山やピクニック等に非常に便利である。
【0064】
[第二の実施形態]
第二の実施形態について説明する。なお、前記第一の実施形態と同様の部分は同一の符号を付してその説明を省略する。図4は第二の実施形態において図2のb−bにおける垂直断面図を示す図である。図5はホルダー部20の底面図である。この実施形態では、台座部21と支持部222で構成されるホルダー部20は、ガイド部上面11に支持部222がボール部材230を介して接するかたちで載る状態となる。
【0065】
支持部222はボール部材230を介してガイド部上面11に3箇所で接することで安定的に台座部21を支持する。
【0066】
錘部223は、ホルダー部20に重量がかかっていればよく、支持部222上に固定されていても、台座部21からぶら下がる状態で固定されていてもよい。錘部223は比重の重い鉛部材などが好ましい。
【0067】
ボール部材230を支持部222とガイド部上面11の間に挟む事で、ガイド部10が傾斜した際に、ボール部材230が転がり、摩擦を軽減するため滑り易くなる。
【0068】
また、ボール部材230はガイド部上面11と支持部222が接する箇所のうち1箇所だけに設置されていてもよい。この場合は支持部222とガイド部10が接する箇所を台座部21の中心軸下方とし、ここにボール部材230が設置されることが好ましい。更にこの場合は、この1箇所の上方に位置する水平面上に残りの支持部222を設け、ボール部材230を介さずにガイド部上面11と直接接する。この構造によれば、ガイド部10が傾斜した際に、ホルダー部20のほぼ全ての荷重がボール部材230を設置した点にかかり、支持部222はホルダー部20の残りの荷重を分散して支える状態となる。ボール部材230の数を減らすことで製造コストも軽減することができ、ほぼ全ての荷重がかかる部分にボール部材230があることで滑りやすさも確保することができる。
【0069】
図5に示すように、転倒防止部224は、ボール部材230が3箇所に設置される場合は、3箇所が形成する三角形の各辺に対し垂直2等分線上の頂点と反対側に設けられることが好ましい。ボール部材230が三角形を形成する場合は、転倒の方向は頂点の反対側になる可能性が高いからである。こうすることで、通常の傾斜時はボール部材230を介してホルダー部20がガイド部10に対して滑るが、あるタイミングでバランスを崩しホルダー部20が転倒しそうになった際に、転倒防止部224の先端がガイド部10に接することで、転倒を回避することができる。
【0070】
ガイド部10、ホルダー部20の材質は、コストが安価な合成樹脂で形成されることが好ましいが、金属やその他の材質であってもよい。ボール部材230の材質は、転がり安さの面から、硬度の高い金属であることが好ましいが、合成樹脂やその他の材質であってもよい。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、第一の実施形態と同様に、ホルダー部20がガイド部10に対して滑り、台座部21を水平に維持することができる。更に、ボール部材230を設けることによって摩擦を軽減し、台座部21をスムーズに滑らせることができる。また更に、錘部223を設けることによって、台座部21上のカップ類等の物品の重心が偏ったとしても、台座部21の傾きを微小に抑えることができる。
【0072】
[第三の実施形態]
第三の実施形態について説明する。なお、前記第二の実施形態と同様の部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
【0073】
図6は第三の実施形態において図2のb−bにおける垂直断面図を示す図であり、図7は第三の実施形態におけるガイド部10の底面図である。
【0074】
ガイド部上面11の下方に円状に開口した開口部312を備え、錘部323は開口部312を通り抜けるかたちで、台座部21の中心軸上で、かつホルダー部20から下方にぶら下がる。錘部323が、開口部312を通りぬけて、ガイド部上面11よりも下方にぶら下がることで、小さい重量の錘部323でも台座部21を水平にする大きな力をかけることができる。更に、錘部323の重量を小さくすることで、ガイド部10との間の摩擦力を抑えることができる。
【0075】
これによれば、第二の実施形態に比較し構造が複雑であるが、滑り開始はよりスムーズとすることができる。このため、第二の実施形態に比較して、電車や飛行機等の振動する場所に有用である。
【0076】
[第四の実施形態]
第四の実施形態について説明する。なお、前記第三の実施形態と同様の部分は同一の符号を付してその説明を省略する。図8は、第四の実施形態において、図2のb−bにおけるホルダー部20の垂直断面図を示す図である。ホルダー部20に、先端に振動用錘441が備え付けられた振動部材であるバネ442を取り付ける。ここで、振動部材はバネ442に限らず、弾性を持つ棒部材などであってもよい。
【0077】
ガイド部10が傾斜し、同時にホルダー部20が傾斜し始めた時に、ホルダー部20の内側でバネ442が振動する。バネ442が振動することで、その振動がホルダー部20に伝わり、ホルダー部20とガイド部10との間の静止状態を回避し、ホルダー部20の滑り開始の動作をスムーズにすることができる。
【0078】
更に、ホルダー部20は、台座部21の上面の中心から円周上に沿った少なくとも1つの台座部凸形状425を備える。ここで、台座部凸形状425は、台座部21の円周上に2つ以上あってもよく、この場合、図8に示すように凸部分の高さは外周に近づけば近づくほど高くなる階段状であることが好ましい。台座部凸形状425により、一時的に台座部21が傾いた時に、台座部21の上部に置く物品の落下や転倒などを防止することができる。また、これによれば、例えば飲料を飲むためのカップ類を台座部21に載せる場合、カップ類の径が小さいものから大きいものまで、様々な径に対してカップ類の外形を囲むことができ、カップ類を安定的に保持することができる。
【0079】
[その他の実施形態]
その他の実施形態について説明する。なお、前記第三の実施形態と同様の部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
図9は、ガイド部10に脚部513を設けた場合のガイド部10の側面図を示す図である。ガイド部10は、地面に対して少なくとも3箇所で接する脚部513を備える。
【0081】
脚部513を持つことにより、様々な傾斜地にガイド部10を設置することができる。例えば、山岳登山やピクニック時等に凹凸がある地面に設置することができ、飲料を飲むカップ類を置く水平テーブルとして手軽に利用することができ、利便性を提供できる。
【0082】
図10は、ガイド部10に接続部650を設けた場合のガイド部10の側面図を示す図である。ガイド部10は、椅子や自転車のハンドルに接続可能な接続部10を備える。
【0083】
ここで、接続部650は、例えば自転車のハンドル部にある金属のパイプを挟み込むための挟み込み部651を持ち、ガイド部10と反対側の挟み込み部651の先端に、ボルト652とナット653を備える。挟み込み部651にパイプを通し、ボルト652とナット653で締め付けることによって、自転車のハンドル部に固定できる。また、接続部はこれに限らず、パイプを挟み込んで固定できる構造であればいかなるものでもよい。接続部を持つことにより、既製品のアウトドアチェア、自転車等に接続でき、利便性を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明に係る水平維持テーブルの外観を示す斜視図
【図2】本発明に係る水平維持テーブルの平面図
【図3】図2のb−bにおける本発明の第一の実施形態を示す垂直断面図
【図4】図2のb−bにおける本発明の第二の実施形態を示す垂直断面図
【図5】本発明の第二の実施形態におけるホルダー部の底面図
【図6】図2のb−bにおける本発明の第三の実施形態を示す垂直断面図
【図7】本発明の第三の実施形態におけるガイド部の底面図
【図8】図2のb−bにおける本発明の第四の実施形態を示す垂直断面図
【図9】本発明のその他の実施形態を示すガイド部の側面図
【図10】本発明のその他の実施形態を示すガイド部の側面図
【符号の説明】
【0085】
10 ガイド部
11 ガイド部上面
20 ホルダー部
21 台座部
122、222 支持部
124、224 転倒防止部
223、323 錘部
230 ボール部材
312 開口部
425 台座部凸形状
441 振動用錘
442 バネ
513 脚部
650 接続部
651 挟み込み部
652 ボルト
653 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が球形の一部で凹状の形状であるガイド部と、物品を上部に置くための台座部と、前記ガイド部の上面に接して前記台座部を支持するための支持部とからなり、前記支持部と前記台座部とから形成されるホルダー部の重心が前記台座部上面の中心軸上になるように構成され、前記ガイド部が傾いたときに、前記ホルダー部の重量により前記支持部が前記ガイド部の上面に接しながら滑り、前記ホルダー部が安定する位置まで移動し台座部の水平が保たれることを特徴とする水平維持テーブル。
【請求項2】
前記支持部は前記台座部の下方で前記ガイド部の上面に少なくとも2箇所で接して前記台座部を支持することを特徴とする請求項1記載の水平維持テーブル。
【請求項3】
前記支持部上にあり前記ガイド部の上面に近接する位置に設けられた転倒防止部を備えることを特徴とする請求項2記載の水平維持テーブル。
【請求項4】
前記支持部上にあり前記ガイド部の上面に近接する位置に設けられた転倒防止部を備え、前記支持部は前記台座部上面の中心軸の下方で前記ガイド部の上面に1箇所の微小な面または点で接して前記台座部を支持することを特徴とする請求項1記載の水平維持テーブル。
【請求項5】
前記ホルダー部に取り付けられる錘部を備え、前記錘部は前記台座部上面の中心軸上で、前記台座部と前記ガイド部の間に位置することを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の水平維持テーブル。
【請求項6】
前記ホルダー部の下方に取り付けられる錘部と、前記ガイド部の上面の下端を円状に開口した開口部を備え、前記錘部は前記台座部上面の中心軸上で前記ガイド部の前記開口部を通過して前記ガイド部上面に対して下方に位置することを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の水平維持テーブル。
【請求項7】
前記支持部と前記ガイド部が接する箇所のうち少なくとも1箇所において、前記ガイド部と前記支持部の間にボール部材を備えることを特徴とする、請求項1から請求項6までのいずれかに記載の水平維持テーブル。
【請求項8】
前記ホルダー部に、振動用錘と先端に前記振動用錘が備え付けられた振動部材を備え、前記ホルダー部が傾斜した時に、前記振動用錘の重量により前記ホルダー部内で前記振動部材が振動することを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれかに記載の水平維持テーブル。
【請求項9】
前記台座部は、上面に滑り止め機構を備えることを特徴とする、請求項1から請求項8までのいずれかに記載の水平維持テーブル。
【請求項10】
前記台座部は、上面の中心から円周上に沿った少なくとも1つの台座部凸形状を備えることを特徴とする、請求項1から請求項9までのいずれかに記載の水平維持テーブル。
【請求項11】
前記ガイド部は、地面に対して少なくとも3箇所で接する脚部を備えることを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれかに記載の水平維持テーブル。
【請求項12】
前記ガイド部は、パイプ椅子や自転車のハンドル等のパイプ形状を挟み込み接続可能な接続部を備えることを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれかに記載の水平維持テーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−261860(P2009−261860A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136036(P2008−136036)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(508154209)
【Fターム(参考)】