水循環式のし尿処理装置
【課題】 下水道の普及していない地域の公園、山小屋等に設置したトイレは、定期的にバキュームカーにより回収し、処理設備のある場所まで搬送し処理しなければならなかった。
【解決手段】 本発明では温度等の環境の影響を受けない凝結剤を使用することにより、固液を分離し、分離した水を洗浄水として再利用することとし、水の使用量をすくなくする。
【解決手段】 本発明では温度等の環境の影響を受けない凝結剤を使用することにより、固液を分離し、分離した水を洗浄水として再利用することとし、水の使用量をすくなくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は凝結剤により固液を分離し、水を再利用するし尿処理装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
下水道設備の普及していない地域の住居、公園、河川敷、山小屋等にトイレを設置した場合、通常その排泄物は固形分と液体分とが一緒にし尿収容槽に溜めて、し尿がある程度の量になるとバキュームカー等で回収して浄化設備を有している場所に移送しここで処理していた。
【０００３】
特開平１１−１３１５５２号公報に生物処理を行い、排泄物の固形分と液体とに分離し、固形分はコンポスト化し、水分は浄化処理を行ってリサイクルする方法が提案されている。
【特許文献１】特開平１１−１３１５５２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
し尿収容槽を利用する方法は、悪臭が発生し、これを使用する者に不快感を与える。ここで運搬するし尿は液体と固体の両者であり、運送費も高い。微生物による浄化設備は、微生物は温度が低くなると働きが鈍くなり、浄化効率が悪くなるという欠点がある。微生物の管理は非常に微妙であり、予期せぬ出来事により微生物が浄化しないことも生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明は水洗のトイレであっても、不安定な生物処理でなく安定した凝結剤による排泄物の固液分離を行い、分離した水をリサイクルすることとしている。
【０００６】
前記目的のために本発明では、し尿を細かく砕く粉砕機と、細かく砕いたし尿と凝結剤とを攪拌する攪拌装置と、固液を分離する沈殿槽と、分離した液体を洗浄水として回収するポンプとで構成されている。
【発明の効果】
【０００７】
本発明による水循環式のし尿処理装置によれば、水洗とすることで悪臭が発生せず、し尿に含まれている水をリサイクルして洗浄水とすることで、水洗トイレで使用する水の量を少なくすることができる。またトイレを使用する者に不快感を与えない。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
以下、本発明の一実施例につき図面を使用し詳細に説明する。図１はこの水循環式のし尿処理装置の全体構成図である。人が排泄するための大便器１があり、小便器は省略されている。排泄物はフラッシュバルブ２６を使用することにより流され、粉砕槽２に送られる。
【０００９】
粉砕槽２には粉砕機２２が具備され、この中に流れ込む排泄物や紙を細かく粉砕する。粉砕機２２は常に運転するのではなく、フラッシュバルブ２６が開放され、排泄物等がこの槽２に流れ込んでから細かく粉砕するまでの間だけである。
【００１０】
攪拌槽４には、凝結剤投入機３が備えられ、ここに流れ込む排泄物と凝結剤とを攪拌するための攪拌機４も設けられている。この攪拌槽４も常に運転されるのではなく、粉砕槽２から粉砕された排泄物等が送られてから暫くの間である。
【００１１】
沈殿槽６は固形物と液体とを分離する槽である。しばらくの間貯留させた方が排泄物の重いものと水とが分離が促進されるので、この沈殿槽６は、粉砕槽２や攪拌槽４よりも容量が大きくなっている。沈殿槽6はこれのみでなく、第2沈殿槽９、第3沈殿槽10が備えられている。
【００１２】
固体処理槽７は沈殿槽６の沈殿物を溜め、ヒーター(図示せず)により加熱処理する槽である。
【００１３】
第３沈殿槽１０の隣には水を溜めて置く貯水槽１１が設けられている。貯水槽１１にはポンプ１３が取り付けられ、ポンプ１３には配管１８が接続されている。この配管は大便器１に接続されておりこの途中にはフラッシュバルブ２６が設けられている。液体処理槽１２は余分な水について殺菌する等の処理する槽である。
【００１４】
以下、図１に示されている水循環式のし尿処理装置の動作について説明をする。人が大便器１で用を足し、フラッシュバルブ２６を使用すると、排泄物、この時使用した紙及び水が粉砕槽２に送られる。これらの物が粉砕槽２に送られると、粉砕機２２が駆動し、これらの物を粉砕する。粉砕機２２の働きにより排泄物も紙も細かく砕かれる。
【００１５】
細かく砕かれたこれらの物は、攪拌槽４に送られる。攪拌槽４には凝結剤投入機３が備えられており、ここから凝結剤が投入される。攪拌機２３が駆動すると、凝結剤は細かく砕かれた排泄物や紙及び水と攪拌される。ここで使用する凝結剤は天然の貝化石の粉状のものであり、「エコナイト」として販売されているものである。この特徴は即効性があり、固液分離性が優れていることである。凝結剤を投入し攪拌をすると直ぐに固液分離が始まる。
【００１６】
攪拌された排泄物等は沈殿槽６に送られると、凝結剤により固体となった物は重く沈殿槽５に沈む。凝結剤により固体となった物は、砂粒よりも大きい粒状のものであり、べとつかず疎水性がある物質となる。ここでほとんど固液分離がなされ、沈殿槽６の上澄み水は、幾分色はついているが透明となっている。透明となった上澄み水は、第２、第３の沈殿槽９、１０で、沈殿槽６を通過した固形物を沈殿させる。あえて沈殿槽６、９、１０と３槽設けたのは、念には念を入れ、固液分離を完全に行うこととしたためである。
【００１７】
沈殿槽１０を通過した水は貯水槽１１に蓄えられ、人が用を足しフラッシュバルブが使用されたときに、配管１８内を通過し、大便器１の洗浄と、排泄物の搬送に使用される。
【００１８】
沈殿槽６に沈殿した固形物は、固体処理槽７内で加熱されて水分が除去される。エコナイトは脱臭作用もあり、固体を加熱処理しても余り悪臭は発生しない。固体処理槽７にある程度溜まったらこれを他の場所に搬送する必要があるが、排泄物等を凝固剤で固め、水分を除去すると驚く程少量となり、さらさらしているために不潔感がない。固形物を他に搬送する回数は、トイレの使用回数によって異なるが、使用頻度の高い場合であっても、年に２，３回で充分である。凝結剤が人工的に作られた高分子のものでなく、自然にある貝化石であるために、肥料として利用することも可能である。
【００１９】
貯水槽１１に溜まった水は前記したように、配管１８を通って大便器1の洗浄等に使われるが、貯水槽の堰１７をオーバーフローした水は、液体処理槽１２に送られ、ここで殺菌等の処理がなされた後に放流される。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】し尿処理装置の全体図である
【符号の説明】
【００２１】
１・・大便器
２・・粉砕槽
３・・凝結剤投入機
４・・粉砕槽
６、９、１０・・沈殿槽
７・・固体処理槽
12・・液体処理槽
26・・フラッシュバルブ
【技術分野】
【０００１】
本発明は凝結剤により固液を分離し、水を再利用するし尿処理装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
下水道設備の普及していない地域の住居、公園、河川敷、山小屋等にトイレを設置した場合、通常その排泄物は固形分と液体分とが一緒にし尿収容槽に溜めて、し尿がある程度の量になるとバキュームカー等で回収して浄化設備を有している場所に移送しここで処理していた。
【０００３】
特開平１１−１３１５５２号公報に生物処理を行い、排泄物の固形分と液体とに分離し、固形分はコンポスト化し、水分は浄化処理を行ってリサイクルする方法が提案されている。
【特許文献１】特開平１１−１３１５５２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
し尿収容槽を利用する方法は、悪臭が発生し、これを使用する者に不快感を与える。ここで運搬するし尿は液体と固体の両者であり、運送費も高い。微生物による浄化設備は、微生物は温度が低くなると働きが鈍くなり、浄化効率が悪くなるという欠点がある。微生物の管理は非常に微妙であり、予期せぬ出来事により微生物が浄化しないことも生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明は水洗のトイレであっても、不安定な生物処理でなく安定した凝結剤による排泄物の固液分離を行い、分離した水をリサイクルすることとしている。
【０００６】
前記目的のために本発明では、し尿を細かく砕く粉砕機と、細かく砕いたし尿と凝結剤とを攪拌する攪拌装置と、固液を分離する沈殿槽と、分離した液体を洗浄水として回収するポンプとで構成されている。
【発明の効果】
【０００７】
本発明による水循環式のし尿処理装置によれば、水洗とすることで悪臭が発生せず、し尿に含まれている水をリサイクルして洗浄水とすることで、水洗トイレで使用する水の量を少なくすることができる。またトイレを使用する者に不快感を与えない。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
以下、本発明の一実施例につき図面を使用し詳細に説明する。図１はこの水循環式のし尿処理装置の全体構成図である。人が排泄するための大便器１があり、小便器は省略されている。排泄物はフラッシュバルブ２６を使用することにより流され、粉砕槽２に送られる。
【０００９】
粉砕槽２には粉砕機２２が具備され、この中に流れ込む排泄物や紙を細かく粉砕する。粉砕機２２は常に運転するのではなく、フラッシュバルブ２６が開放され、排泄物等がこの槽２に流れ込んでから細かく粉砕するまでの間だけである。
【００１０】
攪拌槽４には、凝結剤投入機３が備えられ、ここに流れ込む排泄物と凝結剤とを攪拌するための攪拌機４も設けられている。この攪拌槽４も常に運転されるのではなく、粉砕槽２から粉砕された排泄物等が送られてから暫くの間である。
【００１１】
沈殿槽６は固形物と液体とを分離する槽である。しばらくの間貯留させた方が排泄物の重いものと水とが分離が促進されるので、この沈殿槽６は、粉砕槽２や攪拌槽４よりも容量が大きくなっている。沈殿槽6はこれのみでなく、第2沈殿槽９、第3沈殿槽10が備えられている。
【００１２】
固体処理槽７は沈殿槽６の沈殿物を溜め、ヒーター(図示せず)により加熱処理する槽である。
【００１３】
第３沈殿槽１０の隣には水を溜めて置く貯水槽１１が設けられている。貯水槽１１にはポンプ１３が取り付けられ、ポンプ１３には配管１８が接続されている。この配管は大便器１に接続されておりこの途中にはフラッシュバルブ２６が設けられている。液体処理槽１２は余分な水について殺菌する等の処理する槽である。
【００１４】
以下、図１に示されている水循環式のし尿処理装置の動作について説明をする。人が大便器１で用を足し、フラッシュバルブ２６を使用すると、排泄物、この時使用した紙及び水が粉砕槽２に送られる。これらの物が粉砕槽２に送られると、粉砕機２２が駆動し、これらの物を粉砕する。粉砕機２２の働きにより排泄物も紙も細かく砕かれる。
【００１５】
細かく砕かれたこれらの物は、攪拌槽４に送られる。攪拌槽４には凝結剤投入機３が備えられており、ここから凝結剤が投入される。攪拌機２３が駆動すると、凝結剤は細かく砕かれた排泄物や紙及び水と攪拌される。ここで使用する凝結剤は天然の貝化石の粉状のものであり、「エコナイト」として販売されているものである。この特徴は即効性があり、固液分離性が優れていることである。凝結剤を投入し攪拌をすると直ぐに固液分離が始まる。
【００１６】
攪拌された排泄物等は沈殿槽６に送られると、凝結剤により固体となった物は重く沈殿槽５に沈む。凝結剤により固体となった物は、砂粒よりも大きい粒状のものであり、べとつかず疎水性がある物質となる。ここでほとんど固液分離がなされ、沈殿槽６の上澄み水は、幾分色はついているが透明となっている。透明となった上澄み水は、第２、第３の沈殿槽９、１０で、沈殿槽６を通過した固形物を沈殿させる。あえて沈殿槽６、９、１０と３槽設けたのは、念には念を入れ、固液分離を完全に行うこととしたためである。
【００１７】
沈殿槽１０を通過した水は貯水槽１１に蓄えられ、人が用を足しフラッシュバルブが使用されたときに、配管１８内を通過し、大便器１の洗浄と、排泄物の搬送に使用される。
【００１８】
沈殿槽６に沈殿した固形物は、固体処理槽７内で加熱されて水分が除去される。エコナイトは脱臭作用もあり、固体を加熱処理しても余り悪臭は発生しない。固体処理槽７にある程度溜まったらこれを他の場所に搬送する必要があるが、排泄物等を凝固剤で固め、水分を除去すると驚く程少量となり、さらさらしているために不潔感がない。固形物を他に搬送する回数は、トイレの使用回数によって異なるが、使用頻度の高い場合であっても、年に２，３回で充分である。凝結剤が人工的に作られた高分子のものでなく、自然にある貝化石であるために、肥料として利用することも可能である。
【００１９】
貯水槽１１に溜まった水は前記したように、配管１８を通って大便器1の洗浄等に使われるが、貯水槽の堰１７をオーバーフローした水は、液体処理槽１２に送られ、ここで殺菌等の処理がなされた後に放流される。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】し尿処理装置の全体図である
【符号の説明】
【００２１】
１・・大便器
２・・粉砕槽
３・・凝結剤投入機
４・・粉砕槽
６、９、１０・・沈殿槽
７・・固体処理槽
12・・液体処理槽
26・・フラッシュバルブ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
人又は畜産の排泄物を細かくする粉砕装置と、凝結剤と排泄物とを混合する攪拌装置と、排泄物と液体とを分ける分離装置と、分離された排泄物から水分を除去する乾燥装置と、分離された液体を便器の洗浄水又は畜産場の洗浄水として利用することを特徴とする水循環式のし尿処理装置。
【請求項１】
人又は畜産の排泄物を細かくする粉砕装置と、凝結剤と排泄物とを混合する攪拌装置と、排泄物と液体とを分ける分離装置と、分離された排泄物から水分を除去する乾燥装置と、分離された液体を便器の洗浄水又は畜産場の洗浄水として利用することを特徴とする水循環式のし尿処理装置。
【図１】
【公開番号】特開２００８−２８４５０２（Ｐ２００８−２８４５０２Ａ）
【公開日】平成２０年１１月２７日（２００８．１１．２７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１３３５６９（Ｐ２００７−１３３５６９）
【出願日】平成１９年５月２０日（２００７．５．２０）
【出願人】（５０５１１９８１８）
【出願人】（５０５３２１２５９）有限会社日成設備 (3)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１１月２７日（２００８．１１．２７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年５月２０日（２００７．５．２０）
【出願人】（５０５１１９８１８）
【出願人】（５０５３２１２５９）有限会社日成設備 (3)
【Ｆターム（参考）】
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