説明

水性ポリマー分散液

【課題】本発明は、水が除去された後、エラストマー又は樹脂に変換されうるポリマー水性分散液、それらの調製方法、並びに、シーラント、接着剤及び塗料材料としてのそれらの使用を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)有機ケイ素化合物、ポリウレタン、ポリオール、ポリウレタンの前駆化合物、架橋エポキシドの前駆化合物、架橋ポリエポキシドの前駆化合物、アミン、ポリアミン、アミドアミン、ポリアミドアミン、メルカプタン、ポリメルカプタン、カルボン酸、ポリカルボン酸、カルボン酸無水物、ポリカルボン酸無水物、アクリレート及びその前駆化合物、並びに、ポリスルフィド形成ポリマーからなる群より選択される有機化合物と、(B)表面の一部がシリル化されている、部分的に水溶性であるシリカ粒子と、(C)水を含み、前記シリカ粒子の平均粒径が1nm〜5000nmである水性分散液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水が除去された後、エラストマー又は樹脂に変換されうるポリマー水性分散液、それらの調製方法、並びに、シーラント、接着剤及び塗料材料としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
環境を保護するために、化学塗料は、揮発性有機成分を含むべきではない。従って、水性系の使用が継続的に増加している。
【0003】
ポリマー水性分散液、特に水が除去された後、エラストマー又は樹脂に変換されうるポリマー水性分散液が今までによく知られている。それらは、基本的に直鎖ポリマー、乳化剤及び水からなる。架橋剤、定着剤、架橋触媒及び非補強充填剤のような物質をさらに加えたものも知られている。反応性末端基を含むポリマーが用いられる。水及び乳化剤を用いて、反応の完了したポリマーをエマルジョンに直接作用しても良いし、又はポリマー化への出発物質を最初に乳化し、必要に応じて、乳化重合(付加重合、重縮合又は重付加タイプの)、放射線架橋又は熱架橋を後に続ける。次に、ポリマーエマルジョンは架橋成分及び架橋触媒と混合され、それぞれの場合、そのままの状態又はエマルジョンの形態で存在し、さらに充填剤、定着剤のような成分と共に混合してもよい。
【0004】
オルガノポリシロキサンの水性分散液は、これまでは一般的に有機によって安定化されてきた。陽イオン、陰イオン、両性及び非イオン性乳化剤が使用される。このことを例示している刊行物には特許文献1及び特許文献2などが挙げられる。
【0005】
特許文献3及び特許文献4には、水が除去されるとエラストマーに硬化し、陰イオン乳化剤により安定化されるシリコーンポリマーエマルジョンが記載されている。機械的性質を増強するために、これらのエマルジョンはさらにコロイドシリカを含む。さらに、特許文献5には陰イオン性乳化剤で安定化されたポリマーエマルジョン及び陰イオン性乳化剤で安定化された水性の発熱性シリカ分散液からなるシリコーンポリマーエマルジョンが記載されている。その中で、発熱性シリカは補強充填剤として使用されている。
【0006】
水が除去された後、エラストマーに変換されうる既存の水性分散液は、一般的に下地に対する接着性が劣るという欠点を有し、特に水分にさらされた場合にこのことはあてはまる。これは保存の際、十分な安定性を得るために必要な乳化剤の含有量の高さに起因する。
【0007】
1910年頃、ピカリングは初めてパラフィン−水系エマルジョンを得たが、彼は、例えば、塩基性硫酸銅、塩基性硫酸鉄又はその他の金属塩のようなさまざまな固体を加えることによってのみそれを安定化した。この種のエマルジョンは、「ピカリングエマルジョン」とも呼ばれている。基礎的な研究によって、ピカリングエマルジョンの特徴の一つは、粒子状固体が2液相の界面に位置し、液滴が合体するのを防ぐ障壁を形成するということが示されている。
【0008】
【特許文献1】欧州特許第365439A号
【特許文献2】欧州特許第665882A号
【特許文献3】米国特許第4221688号
【特許文献4】米国特許第4427811号
【特許文献5】米国特許第5162429号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(A)有機ケイ素化合物、ポリウレタン、ポリオール、ポリウレタンの前駆化合物、架橋エポキシドの前駆化合物、架橋ポリエポキシドの前駆化合物、アミン、ポリアミン、アミドアミン、ポリアミドアミン、メルカプタン、ポリメルカプタン、カルボン酸、ポリカルボン酸、カルボン酸無水物、ポリカルボン酸無水物、アクリレート及びその前駆化合物、並びに、ポリスルフィド形成ポリマーからなる群より選択される有機化合物と、(B)部分的に水溶性である粒子と、(C)水と、必要に応じて追加の物質を含む水性分散液を提供する。
【0010】
本発明の分散液は、非イオン性、陽イオン及び陰イオン乳化剤(「有機乳化剤」)のような室温、外気圧下において、固体又は液体であり非粒子状の、従来からある、純粋に有機的な界面活性物質が実質的に使われていなく好ましい。
【0011】
ここでの非粒子状乳化剤は、Dispersionen und Emulsion,G.Lagaly,O.Schulz,R.Zindel,Steinkopff,Darmstat 1997,ISBN 3−7985−1087−3,pp.1〜4に記載されている分子、ポリマー、コロイド及び粒子の定義に従うと、粒子及びコロイドではなく、むしろ分子及びポリマーである。
一般的に言うと、これら有機乳化剤は、1nm未満のサイズ、10、000g/mol未満のモル質量、元素分析により決定可能である炭素含有量が50重量%より大きく、1未満のモース硬度を有する。
同時に、本発明の分散液が実質的に使用していない乳化剤は、通常20℃、外気圧、即ち、900〜1100hPaの圧力下で、均一的又はミセルの形態で、1重量%以上水への溶解性を有する。
【0012】
本発明の分散液は、有機乳化剤を含むことができ、水相中のこれら界面活性物質の臨界ミセル濃度に対して、最大0.1倍未満の濃度、好ましくは0.01倍未満、更に好ましくは0.001倍未満、特に0.0001倍未満が好ましく、この値は、本発明の分散液の総重量に対して、10重量%未満に相当し、好ましくは2重量%未満であり、さらに好ましくは1重量%以下であり、特に0重量%が好ましい。
【0013】
前記(A)有機化合物は、分散して存在することが可能な、あらゆるモノマー、オリゴマー及びポリマー化合物を含んでもよく、これらの化合物は直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。前記(A)は、水の除去後エラストマー及び/又は樹脂に変換される反応性化合物、又は水の除去後そのままである非反応性化合物を含んでもよい。
【0014】
前記(A)有機化合物としては、例えば、オルガノ(ポリ)シラン、オルガノ(ポリ)シロキサン、オルガノ(ポリ)シラザン及びオルガノ(ポリ)シルカーボン等の有機ケイ素化合物、シリル基末端ポリイソブチレン(株式会社カネカ(日本)社製、商標名エピオンとして入手可能)等のポリオレフィン、ポリウレタン、水酸基含有ポリエステル、水酸基含有ポリエーテル、メチルジメトキシシリルプロピル基末端ポリプロピレングリコール(株式会社カネカ(日本)社製「MSポリマー」として入手可能)及び水酸基含有ポリアクリレート等のポリオール、脂肪族及び芳香族ポリイソシアネート、ポリオールを過剰のポリシオシアネートと反応させて得られるイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー及びそれらのシリル基末端誘導体等のポリイソシアネート(例えば、バイエルAG(ドイツ)社製、デスモジュール(商標名)として入手可能)、ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルオキシ官能基を含むモノマー、オリゴマー及びポリマー化合物、エポキシ-ノボラック型物質及び樹脂、エポキシアルキド樹脂、エポキシアクリレート、直鎖アルキレンビスグリシジルエーテル及び3,4-エポキシシクロヘキシル3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレートのようなシクロ脂肪族グリシジルエーテルなどの脂肪族エポキシド、p-アミノフェノールトリグリシジルエーテル及びメチレンジアニリントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物、ヘキサメチレンジアミンのような環状及び鎖状アミン等の(ポリ)アミン、4,4−メチレンービス(2,6−ジエチルアニリン)等の芳香族アミン、ビス(2−アミノプロピル)−ポリプロピレングリコール及びジェフアミン等のビス(2−アミノアルキル)−ポリアルキレンオキシド、(ポリ)アミドアミン、(ポリ)メルカプタン、(ポリ)カルボン酸、(ポリ)カルボン酸無水物、グリシジルアクリレート等のアクリレート及びそのエステル、アルキルアクリレート及びそのエステル、メタアクリレート及びそのエステル、並びに、チオプラスチック(東レチオコール社製、商標名チオコールとして入手可能)等のポリスルフィド形成ポリマー及びポリスルフィドなどが挙げられる。
【0015】
前記エポキシ化合物としては、例えば、以下のような前記アルキレンビスグリシジルエーテル、
【0016】
【化1】

以下のような前記ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0017】
【化2】

nは、0〜10が好ましく、0〜5がより好ましい。
【0018】
前記エポキシ-ノボラック型樹脂としては、例えば、
【0019】
【化3】

以下のような二官能エポキシ化合物、
【0020】
【化4】

以下のような三官能エポキシ化合物、
【0021】
【化5】

以下のような四官能エポキシ化合物、
【0022】
【化6】

などが挙げられる。
本発明の水性分散液を調製するのに用いられる前記(A)有機化合物は、室温、外気圧、即ち、900から1100hPaの圧力下で固体又は液体である。
【0023】
本発明に用いられる前記(A)有機化合物が、液体ならば、25℃での粘度は、1〜10,000,000mm2/sが好ましく、100〜500,000mm2/sがより好ましく、1000〜350,000mm2/sが特に好ましい。
【0024】
前記(A)有機化合物は、有機ケイ素化合物を含むことが好ましく、以下の一般式(I)の単位を含む有機ケイ素化合物を含むことがより好ましい。

Ra(OR1)bXcSiO(4-a-b-c)/2 (I)

前記一般式(I)において、
Rは、同一又は異なったSiC結合を有する炭化水素基であり、炭素原子を1〜18個有し、ハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、グリコール基、又はポリグリコール基で置換されることがあり、該ポリグリコール基はオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン単位からなる。
Rは、同一であっても、異なっていてもよく、水素原子、又は、非置換若しくは酸素原子を含む置換の炭化水素基であり、Xは、同一であってもよいし、異なっていてもよく、ハロゲン原子、擬ハロゲン基、Si-N結合を有するアミン基、アミド基、オキシム基、アミノキシ基又はアシルオキシ基であり、
a+b+cは、4以下であり、
aは、0〜3の整数を表し、1〜2が好ましく、
bは、0〜3の整数を表し、0〜2が好ましく、
cは、0〜3の整数を表すし、0〜1が好ましく、0がより好ましい。
【0025】
本発明で、前記(A)有機化合物として用いられる有機ケイ素化合物はa+b+c=4の場合の一般式(I)の化合物であるシランだけでなくa+b+c≦3である一般式(I)で表される一群を含む化合物であるシロキサンを含んでもよい。本発明で用いられ一般式(I)で表される一群を含む有機ケイ素化合物はオルガノポリシロキサンが好ましく、特に一般式(I)で表される一群からなるものが好ましい。
【0026】
炭化水素基Rとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、1−n−ブチル、2−n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル基等のアルキル基、n−ヘキシル基等のヘキシル基、n−ヘプチル基等のヘプチル基、n−オクチル基等のオクチル基及び2,2,4−トリメチルペンチル基等のイソオクチル基、n−ノニル基等のノニル基、n−デシル基等のデシル基、n−ドデシル基等のドデシル基、n−オクタデシル基等のオクタデシル基、ビニル及びアリル基等のアルケニル基、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル、ナフチル、アンスリル及びフェナンスリル基等のアリール基、o−,m−,p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基等のアルカリール基、並びに、ベンジル基、アルファ及びベータフェニルエチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
【0027】
置換された炭化水素基Rとしては、例えば、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、及び1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルのようなヘキサフルオロプロピル基等のハロゲン基、2−(ペルフルオロヘキシル)エチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチルオキシプロピル基、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルオキシプロピル基、ペルフルオロイソプロピルオキシエチル基、ペルフルオロイソプロピルオキシプロピル基、N-(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、3−アミノプロピル基、3−(シクロヘキシルアミノ)プロピル基、アミノメチル基、シクロヘキシルアミノメチル基及びジエチルアミノメチル基等のアミノ基で置換された基、3−メトキシプロピル基、メトキシメチル基、3−エトキシプロピル基及びアセトキシメチル基等のエーテル官能基、2−シアノエチル基等のシアノ官能基、メタクリロイルオキシプロピル基等のエステル官能基、グリシドキシプロピル基等のエポキシ官能基、並びに、3−メルカプトプロピル基等の硫黄官能基などが挙げられる。
【0028】
R基としては、1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基が好ましく、Rの少なくとも80%がメチル基であるのが好ましく、少なくとも90%が特に好ましい。
【0029】
Rとしては、例えば、Rについて述べられた例などが挙げられる。
【0030】
Rとしては、水素原子及び1〜6個の炭素原子を有するアルキル基が好ましく、水素原子、並びに、メチル及びエチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0031】
Xの例としては、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、−CN,−OCN等の擬ハロゲン化物、ジエチルアミノ及びシクロヘキシルアミノ基等のアミノ基、N-メチルアセタミド及びベンズアミド基等のアミド基、ジエチルアミノキシ基等のアミノキシ基、並びに、アセトキシ基等のアシロキシ基が挙げられ、中でも、塩素原子が好ましい。
【0032】
前記(A)有機化合物は、商業的にありふれた物質及び/又は有機若しくは有機ケイ素化学における通常の方法によって得られる物質を含む。
【0033】
本発明に用いられる前記(B)部分的に水溶性である粒子は、部分的に水溶性の粒子を含む。すなわち完全に水に可溶というわけではなく、完全に非水溶性というわけでもない。
【0034】
本発明に用いられる前記(B)部分的に水溶性である粒子は、室温、周囲の外気の圧力下、すなわち、900から1100hPaの圧力下、固体である粒子を含む。
【0035】
本発明に用いられる前記(B)部分的に水溶性である粒子は、水に対しての溶解度がpH7.33、0.11モルの電解質バックグランド、周囲の外気の圧力下、すなわち900から1100hPaの圧力下、37℃で0.1g/l未満の溶解度が好ましく、0.05g/l未満の溶解度がさらに好ましい。
【0036】
好ましくは、本発明に用いられる前記(B)部分的に水溶性である粒子は、平均直径が1nmより大きく、1〜5000nmが好ましく、10〜1000nmがより好ましく、100〜600nm、なかでも200〜500nmの中から選択するのが特に好ましい。いずれの場合においても、動的光散乱法によって測定されるのが好ましい。
【0037】
本発明に用いられる前記(B)部分的に水溶性である粒子は、10,000g/molより大きいモル質量を有することが好ましく、50,000〜50,000,000g/molのモル質量を有することがより好ましく、100,000〜10,000,000g/molモル質量を有することが特に好ましい。いずれの場合においても、静的光散乱法によって測定されるのが好ましい。
【0038】
本発明に用いられる前記(B)部分的に水溶性である粒子は、30〜500m/gのBET比表面積を有することが好ましく、100〜300m/gがより好ましい。BET比表面積は公知の方法によって測定されるが、ドイツ工業基準DIN66131及びDIN66132に従うのが好ましい。
【0039】
本発明に用いられる前記(B)部分的に水溶性である粒子は、炭素含有量50重量%未満が好ましい。
【0040】
本発明に用いられる前記(B)部分的に水溶性である粒子は、1より大きいモース硬度を有することが好ましく、4より大きいことがより好ましい。
【0041】
本発明で用いられる前記(B)部分的に水溶性である粒子は、接触角THETAが0〜180°である粒子を含むことが好ましく、より好ましくは30〜150°、特に好ましくは45〜135°である粒子を含むことが好ましい。いずれの場合においても、25℃、周囲の外気の圧力下、すなわち900〜1100hPaの圧力下における水−空気界面での測定である。
【0042】
前記(B)部分的に水溶性である粒子は、25℃、周囲の外気の圧力下、すなわち900〜1100hPaの圧力下において、界面エネルギーであるガンマの値が30〜72.5mJ/m2であることが好ましい。
【0043】
本発明で用いられる前記(B)部分的に水溶性である粒子は、25℃、周囲の外気の圧力下、すなわち900〜1100hPaの圧力下において表面エネルギーの分散成分であるGAMMA−s−Dの値が40〜80mJ/m2であることが好ましく、50〜70mJ/m2がより好ましく、60〜70mJ/m2が特に好ましい。
表面エネルギーの分散成分であるGAMMA−s−Dは、例えば、「逆相ガスクロマトグラフィー」−「ポリマー及びその他の物質の特徴付け」 D R Lloyd, Th C Ward, H P Schreiber,Chapter 18, pp 248−261, ACS, Washington DC 1989, ISBN 0−8412−1610−X.にあるような方法で測定される。
【0044】
本発明で用いられる前記(B)部分的に水溶性である粒子としては、例えば、部分的に水溶性であるという条件で、ケイ酸塩、アルミン酸塩、チタン酸塩、ベントナイト、モンモリロナイト、スメクタイト及びヘクトライト等のアルミニウムフィロケイ酸塩、ケイ素、アルミニウム、チタン、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、クロム及びバナジウムの酸化物等の金属酸化物、ランプブラック及びファーネスブラック等のカーボンブラック、並びに、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素及び炭化ケイ素等の窒化物及び炭化物などが挙げられる。
【0045】
前記(B)部分的に水溶性である粒子は、無機であり、部分的に水溶性の酸化物を含むことが好ましく、特に金属―酸素結合中に配位結合部分を有する金属酸化物が好ましく、例えば主族元素並びに遷移元素の固体酸化物が挙げられ、その例として、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ガリウム及び酸化インジウム等の三族元素の酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ゲルマニウム、酸化スズ及び二酸化スズ、酸化鉛及び二酸化鉛等の四族元素の酸化物、並びに、二酸化チタン、酸化ジルコニウム及び酸化ハフニウム等の4族遷移元素の酸化物などが挙げられる。
【0046】
本発明に用いられる(B)部分的に水溶性の金属酸化物は、湿式化学分析法によって得られるアルミニウム(III)酸化物、チタン(IV)酸化物及びシリコン(V)酸化物を含むことが好ましく、例えば、沈殿シリカ若しくはシリカゲル、又は高温プロセスによる酸化アルミニウム、酸化チタン若しくは酸化ケイ素、発熱的に得られる酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素若しくはシリカが挙げられ、特に、部分的に水溶性のシリカが好ましい。
【0047】
本発明において、「シリカ」及び「二酸化ケイ素」は総称である「金属酸化物」に含まれるものとする。
【0048】
本発明の分散液に用いられる、部分的に水溶性のシリカを調製するのに好ましい出発物質としてのシリカは、所望の、従来の方法で得ることができ、例えば、四塩化ケイ素等のハロゲンとケイ素の化合物、又はメチルトリクロロシラン等のメチルクロロシラン類若しくはヒドロトリクロロシラン等のヒドロクロロシラン類やヒドロメチルジクロロシランのようなその他のヒドロメチルクロロシラン類等のヒドロクロロシラン類、又はアルキルクロロシラン類等のハロゲンと有機ケイ素の化合物から単独又は炭化水素との混合物、又は任意の好ましい噴霧可能な、好ましくは揮発させることが可能な、既述した有機ケイ素の化合物及び炭化水素の混合物から炎色反応によって得ることができ、炎は水素―酸素フレームあるいは一酸化炭素―酸素フレームが可能である。シリカは任意でさらに水を加えるか加えないで調製することができ、例えば精製工程では水を加えないことが好ましい。
【0049】
本発明の分散液は、前記(B)部分的に水溶性である粒子として部分的に疎水化された、特に好ましくは部分的にシリル化された粒子状固体を用いて調製するのが好ましく、特にOH基を表面に有するものが好ましい。
【0050】
ここで、「部分的にシリル化された」とは、粒子表面全体が非シリル化されているわけではなく、粒子表面全体がシリル化されているわけでもないことを意味する。
【0051】
粒子状固体のシリル化作用ラジカルによる表面被覆面積率τは、対粒子総表面積5%〜95%が好ましく、5%〜50%がより好ましく、10%〜30%が特に好ましい。
【0052】
シリル化剤による被覆率は、例えば、炭素含有量等の元素分析又は、粒子の反応性表面OH基の未反応量によって決定される。
【0053】
発熱性二酸化ケイ素に関して、部分的シリル化というのは、ここでは、二酸化ケイ素表面上の非シリル化表面シラノール基の量が当初の二酸化ケイ素の量に対して、好ましくは、最大95%〜最小5%、より好ましくは、95%〜50%、特に好ましくは、90%〜70%の間を変化する。
【0054】
このことは、表面シラノール基、SiOHの密集度が粒子表面1nm当たり、最小0.1〜最大1.7個のSiOHが好ましく、0.9〜1.7個のSiOHがより好ましく、1.25〜1.6個のSiOHが特に好ましい。
【0055】
シリル化に用いられる、200m/gの比表面積を持つ出発物質である二酸化ケイ素に関して述べると、このことは好ましくは最小0.03mmol/gのSiOH〜最大0.57mmol/gのSiOH、より好ましくは0.3〜0.57mmol/gのSiOH、特に0.42〜0.54mmol/gのSiOHが好ましいことを意味する。より小さい又はより大きな表面積を有する二酸化ケイ素に関しては、それぞれ、より多量の、又はより少量の表面シラノール基SiOHを意味し、その関係は直線的に比例している。
【0056】
粒子状固体の部分的疎水化又は部分的シリル化の方法は,公知である。
【0057】
出発物質である、シリカは、好ましくは、25〜500m/gのBET比表面積を有することが好ましい。該シリカは、直径100〜1000nmの会合体(DIN53206に定義されている)を含むことが好ましく、会合体からなる凝集塊(DIN53206に定義されている)を含み、剪断荷重に依存する(例えば、測定条件)1〜500μmのサイズを有する。
【0058】
出発物質である、シリカは、2.3以下の表面フラクタル次元を有することが好ましく、ここで、表面フラクタル次元Dは次のように定義される:粒子表面積Aは粒子半径RのD乗に比例する。出発物質である、シリカは、好ましくは比面積1nm当たり1.5〜2.5の密集度で、利用可能な(つまり化学反応に利用可能)表面シラノール基(SiOH)を有することが好ましく、1nm当たり1.6〜2.0がより好ましい。
【0059】
本発明に用いられる前記(B)部分的に水溶性である粒子を得るのに使用される出発物質である、シリカは、高温(1000℃以上)で得られるシリカであればよく、特に発熱的に得られたシリカが好ましい。バーナーから直接新たに作り出された疎水性シリカ、中間体として蓄えられたもの、すでに商業的にパッケージ化された形のものを用いることが可能である。
【0060】
出発物質のシリカとしては、60g/lの密度で詰まった又は充填された非密集のシリカ、60g/lyより大きな密度で詰まった又は充填された密集シリカを使用することができる。
【0061】
異なったシリカの混合物を出発物質のシリカとして用いてもよく、例えば、BET比表面積が異なるシリカの混合物が挙げられる。
【0062】
粒子状固体のシリル化には、例えば、以下のような有機ケイ素化合物を好ましく利用することができる。
(i)下記の一般式(II)を有するオルガノシラン又は、オルガノシラザン

R2dSiY4-d (II)
及び/又はそれらの部分的加水分解産物であり、
前記一般式(II)において、
R2は、同一でも異なっていてもよく、一価であり、非置換又は置換の炭化水素基であり、1から24個の炭素原子を有し、酸素原子によって割り込まれてもよく、dは1,2又は3のいずれかであり、Yは同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子、一価のSi-N結合した窒素ラジカルであり、さらにシリル基を付加してもよく、−OR又は−OC(O)ORであり、Rは水素原子又は一価、非置換又は置換炭化水素基であり、酸素原子によって割り込まれてもよい。
又は、
(ii)下記の一般式(III)の単位からなる直鎖、分岐又は環状オルガノシロキサン

R4e(OR5)fSiO(4-e-f)/2 (III)
前記一般式(III)において、
R4は同一でも異なっていてもよく、R2に関して上記で述べた定義の一つにあてはまり、
R5は同一でも異なっていてもよく、R1関して述べた定義の一つを有し、
和e+fが3以下という条件付きで、
eは0〜3の整数を表し、
fは0〜3の整数を表す。
又は、(i)及び(ii)の混合物。
【0063】
粒子状固体をシリル化するのに用いられる有機ケイ素化合物は、例えば、一般式(II)を有するシラン類又はシラザン類の混合物を含んでもよく、一方にメチルクロロシラン又はアルコキシシラン、及び、必要に応じて他方にジシラザンを含むものが好ましい。
【0064】
R2の例としては、上記で述べたRに関する基が挙げられ、メチル、オクチル及びビニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0065】
R3の例としては、上記で述べたRに関する基が挙げられ、メチル及びエチル基が好ましい。
【0066】
一般式(I)のオルガノシラン類の例としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、オクチルメチルジクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン及びオクタデシルトリクロロシラン等のアルキルクロロシラン類、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン及びトリメチルメトキシシラン等のメチルメトキシシラン類、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン及びトリメチルエトキシシラン等のメチルエトキシシラン類、メチルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン及びトリメチルアセトキシシラン等のメチルアセトキシシラン類、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルトリトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン及びビニルジメチルエトキシシラン等のビニルシラン類、ヘキサメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルメチルジシラン及びビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)テトラメチルジシラザン等のジシラン類、オクタメチルシクロテトラメチルジシラザン等のシクロシラザン類、及びトリメチルシラノール等のシラノール類などが挙げられる。
【0067】
これらの中でも、メチルトリクロロシラン、ヂメチルジクロロシラン及びトリメチルクロロシラン又はヘキサメチルジシラザンが好ましい。
【0068】
一般式(III)で表されるオルガノシロキサンの例としては、ジアルキルシロキシ単位の平均数が3より大きい直鎖状又は環状ジアルキルシロキサン類が挙げられる。ジアルキルシロキサン類としてはジメチルシロキサン類が好ましい。以下の末端基を含む直鎖状ポリジメチルシロキサン類が好ましい;トリメチルシロキシ、ジメチルヒドロキシシロキシ、ジメチルクロロシロキシ、メチルジクロロシロキシ、ジメチルメトキシシロキシ、メチルジメトキシシロキシ、ジメチルエトキシシロキシ、メチルジエトキシシロキシ、ジメチルアセトキシシロキシ、メチルジアセトキシシロキシ及びジメチルヒドロキシシロキシ基。この中で特にトリメチルシロキシ又はジメチルヒドロキシシロキシ末端基を含むものが好ましく、特にトリメチルシロキシ又はジメチルヒドロキシシロキシ末端基を含むものが好ましい。
【0069】
既述したポリジメチルシロキサン類は25℃において、2〜100mPasの粘度を有することが好ましい。
【0070】
オルガノシロキサンの更なる例としては、シリコン樹脂が挙げられ、特にアルキル基、メチル基を含むもの、より好ましくは、R43SiO1/2及びSiO4/2単位を含むもの、又は、R4SiO3/2及び任意でRSiO2/2単位を含むものが、より好ましく、R4は上記で定められた定義の中の一つを有する。
【0071】
一般式(III)の単位を含む、既述のシリコン樹脂は25℃で500〜5000mm2/sの粘度を有することが好ましい。
【0072】
25℃において1000mm2/s以上の粘度を有するシリコン樹脂の中で、工業的に容易に処理しやすい溶媒に溶解可能なシリコン樹脂が好ましく、該溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン類、シクロヘキサン若しくはn-オクタン等のアルケン類、トルエン若しくはキシレン等の芳香族炭化水素類などが挙げられ、溶液は周囲の外気圧下、25℃において、10重量%以上の濃度及び1000mm2/s未満の混合粘度を有する。
【0073】
固体オルガノシロキサンの中でも、工業的に処理されうる(上記で定義されたように)溶媒に溶解し、溶液が10重量%以上の濃度、25℃における混合粘度が1000mm2/s未満になるものが好ましい。
【0074】
本発明に用いられる成分(B)を得るのに使用される物質は、それぞれ、それらの物質から一種類又はそれらの物質から少なくとも2種類の混合物を含んでもよい。
【0075】
本発明の成分(B)を得るのに好ましい過程を好ましい出発物質であるシリカ、特に好ましい発熱性シリカに言及して以下に説明する。
【0076】
本発明に用いられる成分(B)を得るのに好ましく行われる疎水化及びシリル化は、不連続反応、すなわち回分式、又は連続反応として行うことができるが、連続反応が好ましい。
【0077】
疏水化及びシリル化は、1工程、又は2若しくは3の連続工程で成し遂げられる。換言すると、装填操作(シリル化剤の物理吸着)が反応より先に行われ、次に好ましくは精製工程が続くのがよい。(1)装填−(2)反応−(3)精製の3連続工程が存在するのが好ましい。
【0078】
装填温度は、−30〜350℃が好ましく、20〜120℃がより好ましい。
【0079】
反応温度の範囲は、50〜400℃が好ましく、50〜330℃がより好ましい。
【0080】
反応時間は、1分〜24時間続くのが好ましく、30分〜4時間がより好ましい。
【0081】
反応圧は、大気圧の範囲、すなわち900〜1100hPaが好ましい。
精製温度は、100〜400℃の範囲が好ましい。
【0082】
工程(1)装填−(2)反応−(3)精製の間、シリカ及びシリル化剤を効果的に攪拌及び混合することが必要である。それらは好ましくは、機械的又は気流による流動化によって達成される。気流による流動化は、二次反応、分解反応、酸化現象又はフレーム及び爆発現象につながらないあらゆる不活性ガスによって行われ、ここでの空塔ガス速度は0.05〜5cm/sであり、より好ましくは0.05〜1cm/sである。機械的流動化はパドル型、いかり型撹拌機及びその他適した攪拌要素によって行うことができる。
【0083】
特に好ましい場合では、供給されるガスの量は低酸素圧を維持するのに十分な量でよく、5体積%未満が好ましく、その場合、流動化は機械的手段によってのみ行われる。
【0084】
前記(2)反応は、シリル化されたシリカが酸化されない気圧で行われるのが好ましい、すなわち、10酸素体積%未満が好ましく、2.5酸素体積%未満がより好ましく、1酸素体積%未満で最良の結果が得られえる。
【0085】
シリル化剤は、効果的にシリカに組み込まれる。シリル化剤が、適用温度で液体である化合物である場合、効果的なノズルスプレー法を使用するのが好ましい。(5〜20バール)の圧力下、1流体ノズルでのスプレー、(気体及び液体2〜20バール)の圧力下、2流体ノズルでのスプレー、噴霧器を用いた超微粒分割などが挙げられる。
【0086】
シリル化剤は、超微粒に分割されたエアゾールの形態で加えられることが好ましく、該エアゾールは、好ましくは0.1〜20cm/sの沈降速度及び5〜25μmの空気動力学的直径を持つ液滴サイズを有する。
【0087】
任意に、液体若しくは揮発性アルコール類又は水のようなプロトン性溶媒を加えることが好ましく可能である。代表的なアルコール類はイソプロパノール、エタノール及びメタノールである。また、上記で述べたプロトン性溶媒の混合物を加えることも可能である。プロトン性溶媒は加えない方が好ましい。
【0088】
任意に、酸性又は塩基性触媒を加えることが好ましく可能である。これらの触媒は、事実上の塩基、ルイス塩基若しくはブレンスレッド塩基でよく、例えば、アンモニアが挙げられ、又は事実上の酸、ルイス酸若しくはブレンスレッド酸酸でもよく、例えば、塩化水素などが挙げられる。触媒が使用される場合には、その量は微量であることが好ましく、すなわち1000ppm未満であることが好ましい。触媒は加えないことが特に好ましい。
【0089】
精製工程は攪拌に特徴があり、ゆっくりとした攪拌、低水準の混合が好ましい。
【0090】
精製工程はさらに、入力する気体の増加に特徴があり、空塔ガス速度0.001〜10cm/sに相当する。
【0091】
精製工程はさらに、機械的攪拌要素での混合操作を含んでもよい。攪拌要素はその場合、好ましくは、混合及び流動化は起こるが、完全に渦を生じるところまでではないように設定され、動かされる。
【0092】
加えて、シリル化工程の間、プレスロール、ボールミル、エッジランナー・ミル、ワーム圧縮機及び練炭製造機のような機械的圧縮法を用いることが可能である。
【0093】
さらに、シリル化の前、間、後において、ピン・ディスクミルや粉砕・分類用装置等のシリカの脱凝集化法及び/又はプレスロール等のシリカの機械的圧縮方法、適当な真空方法による、存在する空気、気体の吸引引き出しによる圧縮方法、又はプレスロール、ボールミルズ、エッジランナー・ミル、ワーム圧縮機及び練炭製造機等のその他の機械的圧縮法を使用することが可能である。
【0094】
本発明において前記(B)部分的に水溶性である粒子として用いられるシリカは、170〜230m/gのBET比表面積及び0.1〜3重量%の炭素含有量を有することが好ましく、0.1〜1.5重量%がより好ましく、0.1〜1重量%が特に好ましく、0.1〜0.7重量%が非常に好ましく、いずれの場合においても元素分析によって好ましく決定可能である。
【0095】
本発明で用いられる前記(B)部分的に水溶性である粒子は、また、本発明の分散液の調製の間そのままで調製してもよい。
【0096】
本発明の水性分散液は、前記(B)部分的に水溶性である粒子を含み、その量は、全分散液を100重量部とすると、0.1〜50重量部が好ましく、1〜15重量部がより好ましく、2〜10重量部が特に好ましい。
【0097】
必要に応じて用いられるが、追加の物質には、充填剤、架橋触媒、染料、殺カビ剤、レオロジー助剤、架橋剤及び触媒等のこれまで水性分散液に用いられてきた任意の好ましい物質を含む。
【0098】
本発明に用いられる成分は、いずれの場合においてもそのような成分を一種類またはそのような成分少なくとも二種類からなる混合物を含んでもよい。
【0099】
本発明の水性分散液は、50〜99.9重量%の固体含量であることが好ましく、70〜95重量%がより好ましく、80〜95重量%が特に好ましい。
【0100】
本発明の水性分散液は、以下の出発物質を用いて調製可能な分散液が好ましい。
(a)一般式(I)の単位を含む有機ケイ素化合物、
(B)部分的に水溶性である粒子、
(C)水、
必要に応じて
(D)塩基性窒素を含む化合物、
必要に応じて
(E)充填剤、
必要に応じて
(F)染料、殺カビ剤、レオロジー助剤及び触媒などの添加剤、
及び必要に応じて
(G)架橋触媒
【0101】
本発明に用いられる前記(a)有機ケイ素化合物は、(a1)縮合可能な基を含むオルガノポリシロキサンを含み、(a2)必要に応じて縮合可能な基を含むオルガノポリシロキサン樹脂、又は縮合可能な基を含むオルガノシラン及び/又はそれらの部分加水分解産物との混合であることが好ましい。
【0102】
本発明の目的においては、「縮合可能な」という用語はまた、必要に応じてあらかじめの加水分解を含むことを意図している。
【0103】
本発明に用いられ、縮合可能な基を含む前記(a1)オルガノポリシロキサンは、一般式(I)の単位を含むものが好ましい。ただし、a+b+cが3以下及び分子当たり、bの値が0でなく、Rが水素原子である単位が少なくとも一単位存在するという条件つきである。次の一般式(IV)を有するものがより好ましい。

HO-[SiR2O]n-H (IV)
前記一般式(IV)において、
Rは同一でも異なっていてもよく、上記で述べた定義の一つを有し、nは少なくとも10である整数であり、少なくとも30が好ましく、少なくとも100がより好ましい。
【0104】
本発明で用いられる前記(a1)オルガノポリシロキサンは、α、ω―ジヒドロキシポリジメチルシロキサンが好ましい。
【0105】
一般式(IV)中のnの平均値は、一般式(IV)を有する前記(a1)オルガノポリシロキサンが、25℃において、10〜250000mPasの粘度、より好ましくは1000〜100000mPasの粘度を有するように選択されることが好ましい。
【0106】
一般式(IV)には示されていないが、10モルパーセントまでのジオルガノシロキサン単位を他のシロキサン単位に置換することが可能であるが、通常、RSiO1/2、RSiO3/2及びSiO4/2単位のような、事実上不可避な混入単位の形態でのみ存在する。ここでRは、上記で示された定義を有する。
【0107】
一般式(IV)を有するポリジオルガノシロキサンは、市販の製品又は当分野で公知の方法によって調製することができ、例えば、低分子量で環状又は鎖状、ヒドロキシ-及び/又はアルコキシ‐末端がブロックされたオルガノポリシロキサンの付加重合又は縮合によって調製できる。
【0108】
本発明に用いられる前記(a2)オルガノポリシロキサン樹脂は、以下の一般式(V)からなる樹脂を含むことが好ましい。

(RO)SiO(4-g−h)/2 (V)
前記一般式(V)において、
互いに独立であるR及びR1は、同一であっても異なっていてもよく、上記で述べられた定義の一つを有し、g+hが3以下であるという条件のもとで、
hは、0〜3の整数を表し、gは、0〜3の整数を表す。
【0109】
本発明に用いられる前記(a2)オルガノポリシロキサン樹脂は、500〜100,000、好ましくは1000〜20,000の分子量Mを有し、及び25℃における粘度が10〜10,000,000mm/s、より好ましくは1000〜1,000,000mm/s、特に好ましくは10,000〜500,000mm/sであるものが好ましい。
【0110】
一般式(V)には表されていないが、オルガノポリシロキサン樹脂は、調製のために、10重量%までのSiが結合した塩素原子を含んでもよい。
【0111】
本発明に用いられる前記(a2)オルガノポリシロキサン樹脂は、市販の製品又は分散している低分子量のオルガノポリシロキサン樹脂の縮合による方法のような従来の方法で調製でき、該低分子量のオルガノポリシロキサン樹脂は、アルコール/水の混合によって、水に混合しない溶媒中にSiが結合した塩素原子を含むオルガノポリシロキサン樹脂に対応するシランの溶液の加溶媒分解及び縮合によって調製できる。
【0112】
前記(a2)オルガノポリシロキサン樹脂として用いられるオルガノポリシロキサン樹脂の代わりに、縮合可能な基を含むオルガノシラン及び/又は部分加水分解産物を使用することもできる。
【0113】
そのようなオルガノシランとしては、アルコキシシラン、アセトキシシラン及びオキシモシラン等の、縮合―架橋オルガノポリシロキサン物質に今まで使用することがすでに可能となっているあらゆるオルガノシランが挙げられる。
【0114】
本発明のオルガノポリシロキサン水性分散液は、前記(a2)オルガノポリシロキサン樹脂を用いて調製され、その量は、0.1〜100重量部が好ましく、0.5〜35重量部がより好ましく、2〜20重量部が特に好ましい。どの場合にも縮合可能な基を含む前記(a1)オルガノポリシロキサンを100重量部とする。
【0115】
塩基性窒素を含み、必要に応じて本発明に用いられる前記(D)塩基性窒素を含む化合物は、以下の式を有する化合物からなるグループから選択される化合物が好ましい。

NR63 (VI)
前記一般式(VI)において、
R6は同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭化水素基であり、非置換又は水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基又は(ポリ)グリコールラジカルによって置換されており、該(ポリ)グリコールラジカルはオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン単位からなる。ただし、一般式(VI)において多くても2個のR6基は水素原子、ピペリジン及びモルホリンのような脂肪族環状アミン、並びに塩基性窒素を含み、以下の一般式(VII)からなる有機基を少なくとも一つ有する有機ケイ素化合物であるという条件がある。

R7kAlSi(OR8)O(4-k-l-m)/2 (VII)

前記一般式(VII)において、
R7は、同一でも異なっていてもよく、塩基性窒素をもたない、一価の、SiC結合を有する有機基を意味し、R8は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルカリ金属カチオン、アンモニウム又はホスホニウム基を意味し、Aは、同一でも異なっていてもよく、塩基性窒素を含む一価の、SiC結合を有する基を意味し、
kは、0〜3の整数を表し、lは、0〜4の整数を表し、mは、0〜3の整数を表す。ただし、k+l+mは4以下であり、分子当たり少なくとも一つの基Aが存在するという条件がある。
【0116】
非置換又は置換の炭化水素基R6は、1〜18個の炭素原子を含むものが好ましい。
【0117】
R7基は、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基を含むことが好ましく、メチル、エチル及びプロピル基が特に好ましく、中でもメチル基が特に好ましい。
【0118】
R6基及びR7基としては、いずれの場合も互いに独立であるが、非置換又は置換の炭化水素基であるRであげた例などが挙げられる。
【0119】
R基は、水素原子、メチル基、エチル基及びアルカリ金属カチオンが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、ナトリウムカチオン及びカリウムカチオンが特に好ましい。
【0120】
R基としては、R基に関してあげた炭化水素基が挙げられ、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムのカチオン等のアルカリ金属のカチオンが挙げられ、また以下の式を有する基が挙げられる
+NR (VII)
又は
+PR (IX)
前記一般式(IX)において、
は、同一でも異なっていてもよく、1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基を意味する。
【0121】
A基は、以下の一般式(X)を有する基が好ましい。
10NR11− (X)
前記一般式(X)において、
10は、同一でも異なっていてもよく、水素、アルキル、シクロアルキル又はアミノアルキル基を意味し、R11は、二価の炭化水素基を意味する。
【0122】
アルキル及びシクロアルキル基Rであげた例は、また完全にアルキル及びシクロアルキル基R10に適用される。
【0123】
式(X)を有する基の中の窒素原子は、各々少なくとも一つの水素原子と結合していることが好ましい。
【0124】
11基は、1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を含むことが好ましく、特にn−プロピレン基が好ましい。
【0125】
11基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、シクロヘキシレン、オクタデシレン、フェニレン及びブテニレン基などが挙げられる。
【0126】
A基としては、例えば、HN(CH−,HN(CHNH(CH−,HN(CHNH(CH−,HN(CH−,HCNH(CH−,CNH(CH−,HCNH(CH−,CNH(CH−,HN(CH−,HN(CH−,H(NHCHCH−,CNH(CHNH(CH−,シクロ−C11NH(CH−,シクロ−C11NH(CH−,(CHN(CH−,(CHN(CH−,(CN(CH−及び(CN(CH−などが挙げられる。
【0127】
Aは、HN(CH−、HN(CHNH(CH−、HCNH(CH−、CNH(CH−及びシクロ−C11NH(CH−基を含むことが好ましく、HN(CHNH(CH−及びシクロ−C11NH(CH−基が特に好ましい。
【0128】
一般式(VII)の単位を含む有機ケイ素化合物がシラン類の場合、k+l+mが4という条件で、kは、0、1、又は2のいずれかが好ましく、0又は1のいずれかがより好ましく、lは、1又は2のいずれかが好ましく、1がより好ましく、mは、1、2又は3のいずれかが好ましく、2又は3のいずれかがより好ましい。
【0129】
必要に応じて本発明に用いられる一般式(VII)を有するシラン類としては、HN(CH−Si(OCH,HN(CH−Si(OC,HN(CH−Si(OCHCH,HN(CH−Si(OCCH;HN(CH−Si(OH)3−x(OM),HN(CH−Si(OH)2−y(OM)CH,HN(CHNH(CH−Si(OCH,HN(CHNH(CH−Si(OC,HN(CHNH(CH−Si(OCHCH,HN(CHNH(CH−Si(OCCH,HN(CHNH(CH−Si(OH)3−x(OM),HN(CHNH(CH−Si(OH)2−y(OM)CH;シクロ−C11NH(CH−Si(OCH,シクロ−C11NH(CH−Si(OC,シクロ−C11NH(CH−Si(OCHCH,シクロ−C11NH(CH−Si(OCCH,シクロ−C11NH(CH−Si(OH)3−x(OM)及びシクロ−C11NH(CH−Si(OH)2−y(OM)CHなどが挙げられ、HN(CHNH(CH−Si(OCH、HN(CHNH(CH−Si(OC、HN(CHNH(CH−Si(OCHCH,HN(CHNH(CH−Si(OCCH、HN(CHNH(CH−Si(OH)3−x(ONa),HN(CHNH(CH−Si(OH)2−y(ONa)CH,シクロ−C11NH(CH−Si(OCH,シクロ−C11NH(CH−Si(OC,シクロ−C11NH(CH−Si(OCHCH,シクロ−C11NH(CH−Si(OCCH,シクロ−C11NH(CH−Si(OH)3−x(ONa)及びシクロ−C11NH(CH−Si(OH)2−y(ONa)CHが好ましく、HN(CHNH(CH−Si(OCH、HN(CHNH(CH−Si(OC、シクロ−C11NH(CH−Si(OCH、シクロ−C11NH(CH−Si(OCHCH、HN(CHNH(CH−Si(OH)3−x(ONa)、HN(CHNH(CH−Si(OH)2−y(ONa)CHが特に好ましく、ここで、xは、0〜3の整数を表し、yは、0〜2の整数を表し、Mはナトリム又はカリウムのカチオンである。
【0130】
一般式(VII)を有するシラン類は、市販の製品又はケイ素化学における通常の方法によって調製できる。
【0131】
一般式(VII)単位を含む有機ケイ素化合物がオルガノポリシロキサン類を含む場合、k,l及びmの和が3以下という条件で、kの平均値は0.5〜2.5の間が好ましく、1.4〜2.0の間がより好ましく、lの平均値は0.01〜1.0の間が好ましく、0.01〜0.6の間がより好ましく、mの平均値は0〜2.0の間が好ましく、0〜0.2の間がより好ましい。
【0132】
必要に応じて本発明に用いられる一般式(VII)単位を含むオルガノポリシロキサン類は、25℃での粘度が5〜10mPasの間であることが好ましく、10〜10の間であることがより好ましい。
【0133】
必要に応じて本発明に用いられる一般式(VII)単位を含むオルガノポリシロキサン類としては、DE4340400A1の6ページ15行目〜51行目(ワッカー−ケミ GmbH 公開日:1995年6月1日)に公開されているオルガノポリシロキサン類が挙げられ、それらは本発明の開示内容の一部である。
【0134】
一般式(VII)単位を含むオルガノポリシロキサン類は、市販の製品及び/又はケイ素化学における通常の方法によって調製できる。
【0135】
一般式(VI)を有するアミンとしては、例えば、シクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ドデシルアミン、ジエチル−n−プロピルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、2―アミノエタノール、2−アミノ−n−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール,N,N−ジエチルエタノールアミン、エチレンジアミン、ココヤシ脂肪アミン、ココヤシ脂肪メチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン及びアニリンなどが挙げられる。
【0136】
前記(D)塩基性窒素を含む化合物が使用される場合、塩基性窒素及び一般式(VII)単位を含む有機基を少なくとも一つ有する有機ケイ素化合物を含むことが好ましく、特にカルシウムN−(2―アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルシロキシド及びナトリウムN−(2―アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルシロキシドが特に好ましい。
【0137】
本発明のオルガノポリシロキサンの水性分散液を調製するには、前記(D)塩基性窒素を含む化合物を使用することが好ましく、その量は、有機ケイ素化合物(A)100重量部に対して、塩基性窒素の含有量が0.01〜5重量部であることが好ましく、0.01〜1重量部がより好ましく、0.04〜0.5重量部が特に好ましい。
【0138】
加えて、本発明のオルガノポリシロキサンの水性分散液は、更に、前記(E)充填剤を含んでもよい。前記(E)充填剤としては、BET比表面積が50m/g以下である充填剤等の非補強充填剤が挙げられ、例えば、石英、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ゼオライト、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、せっこう、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ガラス粉末及びポリマー粉末などが挙げられる。充填剤として、前記(B)部分的に水溶性である粒子として用いられる粒子状固体及び/又はそれらの前駆粒子を使用することも可能である。
【0139】
前記(E)充填剤を使用する場合、その量は、前記(a)有機ケイ素化合物
を100重量部に対して、0.1〜200重量部が好ましく、0.5〜100重量部がより好ましい。用いられる前記(E)充填剤の量は、広範囲で変えることができ、本発明の水性分散液の個々の使用意図によって決められる。
【0140】
本発明のオルガノポリシロキサンの水性分散液は、さらに、添加剤(F)を含んでもよく、定着剤、可塑剤、発泡予防剤、チキソトロープ剤、分散剤、顔料、可溶性顔料、殺カビ剤、触媒、臭気剤及び水性分散液に不活性な有機溶媒からなる群より選択されることが好ましい。
【0141】
定着剤は、本発明の水性分散液が塗布される基板上において、エラストマー製品の粘着性を改善するために加えられ、本発明の水性分散液の溶媒分画が取り除かれたのち効果が得られるが、前記定着剤としては、例えば、N−(2―アミノエチル)−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン等のアミノ官能基シラン類などが挙げられ、その中でアルコキシ基はメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ又はイソプロポキシ基である。
【0142】
可塑剤としては、トリメチルシロキシ基によって末端がブロックされ、室温で液体であり及び25℃での粘度が少なくとも10mPasであるジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。
【0143】
触媒としては、シロキサン結合の形成を速めるあらゆる公知の化合物を用いることができる。この種の触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズオキシド等の有機スズ化合物及び、テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン類とそれら化合物との反応産物などが挙げられる。さらに、テトライソプロピルチタン、テトラブチルチタン及びチタンキレート等のチタン化合物、及びそれらに対応するジルコニウム又はハフニウム化合物などが挙げられる。
【0144】
水性分散液に不活性な有機溶媒としては、炭化水素が挙げられ、その例として、n−ペンタン、n−ヘキサン、ヘキサン異性体混合物、トルエン及びキシレンのような種々の沸点範囲を有する石油エーテル等の炭化水素などがある。
【0145】
本発明の水性分散液に用いられる可能性のある成分として上記に明記された物質のグループの任意のグループの中から、それぞれの場合において、そのグループからのある物質又はこれらの物質の異なった2種類の混合物を一成分として使用することが可能である。
【0146】
本発明のオルガノポリシロキサンの水性分散液は、3〜13までのpHを有することが好ましく、5〜13がより好ましく、6〜11が非常に好ましく、6〜9が特に好ましい。
【0147】
本発明のオルガノポリシロキサンの水性分散液の場合、95重量%までの固体含有量を得ることが可能である。もちろん、それより低い固体含有量が可能である。充填剤を含まない本発明の水性シリコーン分散液の場合でさえ、90%以上の固体含有量を得ることが可能である。ここで固体含有量とは水を除いた、もし使用されるならば、有機溶媒も除いた水性分散液の構成成分すべての重量の水性分散液全重量に対する比率を意味する。
【0148】
本発明のオルガノポリシロキサンの水性分散液は、用途に応じて、流動抵抗体又は流体であってもよい。
【0149】
本発明のオルガノシロキサン水性分散液は、前記(a)有機ケイ素化合物、前記(B)部分的に水溶性である粒子、前記(C)水、前記(D)塩基性窒素を含む化合物、並びに、必要に応じて前記(E)充填剤及び前記(F)添加剤を用いて調製されるものが好ましい。追加の物質は使用されないことが好ましい。
【0150】
原則として、本発明の水性分散液は、今までに知られている任意の好ましい方法によって調製でき、例えば、使用される成分を単純に混ぜ合わせる方法などがある。
【0151】
有機ケイ素化合物の水性分散液の独創的な組成に起因する、実質的に単純化され、それ故経済的な調製法は、前記(E)充填剤を除いて、水性分散液の構成成分すべてを互いに混合し、一緒にそれらを分散させる方法(方法1)である。その後、必要に応じて、すぐに前記(E)充填剤を水性分散液の中に取り入れることが可能である。
【0152】
別の方法(方法2)では、前記(D)塩基性窒素を含む化合物及び前記(E)充填剤を除く水性分散液の構成成分すべてを互いに混合し、一緒に分散させる。その後、必要に応じて、前記(D)塩基性窒素を含む化合物及び前記(E)充填剤が水性分散液中に取り入れられる。
【0153】
別の方法(方法3)では、前記(a1)オルガノポリシロキサンを最初に入れ、前記(a2)オルガノポリシロキサン樹脂がその中に混ぜ合わされ、必要に応じて前記(E)充填剤及び前記(G)架橋触媒が混ぜ合わされる。次に前記(C)水を最初に入れ、前記(B)部分的に水溶性である粒子が分散させられ、混合物(a1)+(a2)が、必要に応じて前記(E)充填剤及び前記(G)架橋触媒と共に、加えられ、その系は乳化される。その後、必要に応じて、前記(D)塩基性窒素を含む化合物及び前記(E)充填剤が水性分散液中に取り入れられる。
【0154】
別の方法(方法4)では、前記(a1)オルガノポリシロキサンを最初に入れ、前記(a2)オルガノポリシロキサン樹脂がその中に混ぜ合わされ、必要に応じて前記(E)充填剤及び前記(G)架橋触媒が混ぜ合わされる。次に前記(B)部分的に水溶性である粒子を最初に入れ、かき混ぜながら前記(C)水エアゾールが混ぜ合わされるか、吹き付けられる。続いて、前記(C)水で覆われた前記(B)粒子が混合物(a1)+(a2)中に分散させられ、必要に応じて前記(E)充填剤及び前記(G)架橋触媒を更に加えた混合物中に分散させられ、その系は乳化される。必要に応じて、次に、粘度などの望ましい性質を設定するために、例えば、追加の水の中に混ぜたり、又は加熱のような公知の手法によって過剰の水を取り除くことが可能である。その後、必要に応じて、前記(D)塩基性窒素を含む化合物及び、必要に応じて、前記(E)充填剤が水性分散液中に取り入れられる。
【0155】
別の方法(方法5)では、前記(a1)オルガノポリシロキサンを最初に入れ、前記(a2)オルガノポリシロキサン樹脂がその中に混ぜ合わされ、必要に応じて前記(E)充填剤及び前記(G)架橋触媒が混ぜ合わされる。次に前記(C)水を最初に入れ、かき混ぜながら前記(B)部分的に水溶性である粒子が前記(C)水に混ぜ合わされる。続いて、前記(B)粒子及び前記(C)水からなる混合液が混合物(a1)+(a2)中、必要に応じて前記(E)充填剤及び前記(G)架橋触媒が混合した混合物中に分散させられ、その系は乳化される。必要に応じて、次に粘度などの望ましい性質を設定するために、例えば、追加の水の中に混ぜ合わせたり又は加熱のような公知の手法によって過剰の水を取り除くことが可能である。その後、必要に応じて、前記(D)塩基性窒素を含む化合物及び、必要に応じて、前記(E)充填剤が水性分散液中に取り入れられる。
【0156】
別の方法(方法6−3)、(方法6−4)、(方法6−5)では、必要に応じて、前記(D)塩基性窒素を含む化合物及び前記(F)添加剤が最初に前記(C)水に溶解され、その後の手順は方法3、4、5と同じである。
【0157】
本発明の有機ケイ素化合物の分散液は、独創的な方法である方法2、3、4、5及び6に従って調製されることが好ましく、特に方法2が好ましい。
【0158】
乳化又は分散は、乳濁液又は分散液を調製し、十分に高いせん断エネルギーの入力を与えるのに適した慣例的な混合装置の中で行うことができ、例えば、それはP.ウィレンズ教授タイプで、商標名ウルトラ−ツラックスとして知られている高速スターター−ローター攪拌機又は商標名カディ、ユニミックス、コルマ、キャビトロン、ソノトロン、ネッチ、アイケーエー(IKA)又はエストラルとして知られている他のスターター−ローターシステムなどがある。他の手法としては、ソノレックス/バンデリンによって供給されるUSフィンガーズ/トランスミッターズやUSフローセル、同種のUSシステム、若しくはその種類に類似のシステムなどの超音波手法又は、WAB,CH社製のダイノーミル等のボールミルがある。更に、可能な手法は、パドル攪拌機又はストレートアーム攪拌機等の高速攪拌機、ゲッツマン社製のディスク溶解機等の溶解機、惑星状溶解機、ストレートアーム溶解機等のミキサーシステム又はその他の、溶解システム及び攪拌システムを含む結合ユニットを用いて行われる。その他の適したシステムは、押出機又は配合機である。
【0159】
本発明の方法は、回文式又は連続式のいずかによって行うことができる。
【0160】
有機ケイ素化合物の独創的な水性分散液は、もちろん他の方法によっても調製できる。しかしながら、その手順は重要であり、すべての調製法が水が除去された後にエラストマーになる水性分散液にいたるわけではないということがわかっている。
【0161】
本発明の方法は、実行するのがとても容易で、とても高い固体含有率を有する水性分散液を調製することが可能であるという利点がある。
【0162】
本発明のオルガノポリシロキサンの水性分散液は、水性分散液がこれまでに用いられてきたあらゆる目的に対して用いることができる。特に本発明の有機ケイ素化合物の水性分散液は、例えば、シーラント及び接着剤、塗料、塗装システムとして、並びに、電気的絶縁若しくは導電性、疎水性若しくは粘着性-物質-反発性塗装システムとしての機能を果たすことができ、又はそのようなシステムの基礎及び/又はそのようなシステムへの付加としてもよい。
【0163】
水が除去される際に架橋する本発明のオルガノポリシロキサンの水性分散液は、溶媒部分の蒸発、すなわち、水の蒸発後、及び必要に応じて有機溶媒の蒸発後の非常に短い時間の内に、室温でも硬化し、エラストマー又は樹脂を形成する。
【0164】
本発明は加えて、縮合可能な基を含む有機ケイ素化合物に基づいて本発明の水性分散液を架橋することによって製造されるモールディングを提供する。
【0165】
本発明の水性分散液は、容易に調製できるという利点を有する。
【0166】
同時に、本発明の水性分散液は高い保存安定性を示すという利点を有する。
【0167】
さらに、本発明の水性分散液は、有機乳化剤を全く必要とせず、それ故、他の性質の中でも、得られたモールディングと下地との間の接触面積の耐水性が大きく改善されるという利点がある。
【0168】
本発明の水性分散液は、レオロジーが、今までに知られている系のレオロジーに比べて、非水性系で知られているのと同じような領域で説明される利点を有する。
【0169】
さらに、本発明の水性分散液は、硬化製品の機械的性質が非水性系で知られているような領域内であるという利点がある。
【0170】
加えて、本発明の水性分散液は、硬化の際に揮発性有機化合物が大気中に全く放出されないと説明される利点を有する。
【0171】
さらに、本発明の水性分散液は、紙、生地、鉱物性建築材料、プラスチック、木材及びその他の多くの支持材等の多数の下地上に、付着塗膜をしっかりと形成するという利点を有する。この場合、塗装は、例えば、ブラッシング、ローリング、浸漬又は噴霧によって行うことができる。
【0172】
好適な使用分野としては、水性分散液をシーラント、接着剤及び塗料として使用することなどが挙げられる。その例としては、外装及び建築用目地材、艶出しシステム用目地材、並びに、衛生部門におけるシーラントとしての使用が挙げられる。塗料としては、例えば、表面塗料及び表面含浸系、弾性組積造ペイント、織物用塗料、並びに、布用塗料などが挙げられる。
【0173】
下記に記載された実施例においてすべての部及びパーセントは、別に示されていなければ、重量を単位とする。さらにすべての粘度の数値は25℃に関するものである。別に指定されない限り、以下の実施例は、外気圧、即ち、900から1100hPaの下、及び、室温又は反応物が追加の加熱又は冷却なしで、室温で混合された時に設定された温度で行われる。
【0174】
エラストマーの性質はそれぞれの場合、以下の標準検査に従って決められる。

破壊強度 DIN 5304 S2
破断伸び DIN 5304 S2
係数 DIN 5304 S2
突っ張り A 硬度 DIN 53505
【0175】
(実施例1)粒子状固体B1の調製
DIN66131及びDIN66132に従って測定された、200m/gのBET比表面積を有する100グラムの発熱性シリカ(ワッカー−ケミ GmbH(ドイツ−ミュンヘン)社製ワッカー HDK(登録商標)N20として入手可能)を攪拌しながら(直径が12.5cmの攪拌機パドルを用いて1000rpmで)流動化し、15分間窒素ガスにさらし、不活性化し、その後窒素ガス流を再び止めた。次に2流体ノズルを用いて、約25℃、1013hPaの雰囲気圧で、2gのエアロゾル状のジメチルジクロロシランを流動化されたシリカ中に噴霧した。さらに30分攪拌した後、次にそのように処置されたシリカを、1000l/hの穏やかな窒素ガス流の下、100l容量のオーブン中で300℃、2時間の熱処理をする。その結果、以下の特性を有する白い粉末状のシリカが得られる:
−シリカはやや水溶性であり、完全な水溶性ではない;このことは、以下の事実から明らかである。ウルトラツラックス(Ultraturrax)を用いると、12重量%のシリカだけが水に取り込まれ、一日安定な液体を形成した。これに対し、同条件及び同粘度において、完全水溶性である、出発物質シリカ(ワッカー HDK(登録商標)N20)は24重量%水に取り込まれる。
−シリカの更なる特性は表1にまとめられている。
【0176】
【表1】

−BET比表面積はDIN66131及びDIN66132に従って測定される。
−非シリル化シリカシラノール基の残量は、上記で述べられたように調製されたシリカの中の非シリル化シリカシラノール基の量を未処理の出発物質シリカ(ワッカー HDK(登録商標)N20)のシリカシラノール基の量で割ることによって得られる;シリカシラノール基の量は酸−塩基滴定によって決定される(G.W.Sears,Anal.Chem.28 (12),(1950),1981)。方法:水/メタノール=50:50中での懸濁状態のシリカの酸−塩基滴定;等電点のpH範囲以上及びシリカの溶解pH範囲以下の領域での滴定;100%SiOH(シリカ表面シラノール基) を有する未処理のシリカ:SiOH−phil=1.8SiOH/nm;シリル化シリカ:SiOH−silyl;非シリル化シリカシラノール基の残量:%SiOH=SiOH−silyl/SiOH−phil*100%。
−炭素含量(%C):炭素の元素分析によって決められる;O流中、1000℃以上でサンプルの燃焼、得られたCOのIRによる同定及び定量化;機器LECO244;
−メタノール数は次のように測定される:水-エタノール混合物への可溶度(水中のメタネールの体積%)=メタノール数(MN):等体積のシリカを等体積の水/メタノール混合液と振る;0%メタノールから始める;水溶性でない場合、シリカは浮く:MeOH含有量が5体積%より高い混合液を使うことができる;水溶性の場合、シリカは沈む:水中でのMeOHの割合(%)がメタノール数(MN)を与える。
−接触角(THETA):方法1 水に対する接触角は以下のように測定される:粒子の接触角は慣例的な方法で、シリカの成形体を注意深く用意し、続いて水に対する接触角を決定することで得られる。この場合、一滴の二重蒸留水が表面に横たえ、空中でデジタル映像による評価を行う。
接触角θは気相(g)中の液体(l)及び固体(s)の表面張力と表面エネルギーγの比を以下のように定義する。
cos(θ)=(γ(sl)-γ(sg))/γ(lg)
[J]=[N*m]であるので、固体の表面エネルギー(mJ/m)は、次元において、液体の表面張力(mN/m)に等しい。
−接触角(THETA):方法2 対水 インビビション法により測定される。既知の表面張力と共に、既知及び定義される液体の内向きの吸引に基づいて、求めようとする蓄積量が得られる。例えば、この場合、圧縮度が低く、0.25より大きな多孔度を有し、孔径がrであるシリカの成形体に対して、ルーカス-ウォッシュバーンの等式を用いる。上方吸引率dh/dt、時間tに対する粒子の蓄積に際しての質量の増加から計算される吸引による液柱の高さh、吸引された液体の粘度η、吸引された液体の表面張力γに、既知の粒径rが与えられ、ルーカス-ウォッシュバーンの等式(Washburn,E.W.,PHYs.Rev.17,273(1921)and R.Lucas,Colloid Z.23,15(1918))を用いるとθのコサインの値(cos(θ))を決めることができ、それ故粒子表面に対する液体の接触角θを決めることができる;J.Schoelkopfら,J.Colloid.Interf.Sci.227,119−131(2000)参照。
既知の表面張力を有する液体として、メタノール/水の混合物が以下の比率で使用される。(メタノールの体積対水の体積):0:100、5:95、10:90、15:85、20:80、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20,85:15、90:10、95:5、100:0。
dh/dt=r*γ*cos(θ)/(4*η)
及び
=r*γ*t*cos(θ)/(2*η)
t=A・m : ウォッシュバーンの等式

ここで、t:時間
m:吸引によって吸い込まれる液体の質量
【0177】
【数1】

η:液体の粘度
ρ:液体の密度
γ:液体の表面張力
θ:液体/粉末 接触角
C:粉末及びサンプルチューブの幾何学的特性にのみ依存する係数
測定方法の説明は図1a及び1bにある。
−表面エネルギー(GAMMA)は、粒子に対して臨界表面エネルギー(GAMMA−crit)の形で決めることができ、それはZismanプロットを用いて可能であり、図2に与えられているように、上記でインビビション法により決定された定義される液体に対するシリカの接触角(THETA)をそれぞれ、個々の液体の接触角に対して、プロットする。
−物質密度dmd>1g/mlである一次粒子からなる凝集塊で、かさ密度の値dがdbd<<1g/mlである凝集塊を形成する発熱シリカに関しては、表面張力が異なっている液体への振動組み込み法を使用することが可能である:非濡れ性の場合には、粒子凝集体が浮遊する。濡れ性の場合、凝集物中の空気は置換され、粒子凝集体は沈む。粒子凝集体が沈む場合には、表面張力の異なる別々の液体を用いると、液体の表面張力が正確に決定できる。これは粒子の表面エネルギーγの指標として臨界表面エネルギーγcritを提供する。その方法はまた、メタノール、エタノール又はイソプロパノールを加えることによって、水の表面張力(72.5mN/m)を下げることで単純化される。一般に、水を入れ、水面上に決められた量の(浮遊している)粒子凝集体を置き、かき混ぜながらアルコール中で滴定することができる。粒子凝集体が沈むときの水対アルコール比が記録され、別の実験で標準法を用いて、この水:アルコール比での表面張力が正確に決められる(リング法、ウィルヘルミ法)。より効果的には、ここで行われるように、定められた水とメタノールの混合物が調製され、これら混合物の表面張力が決められる。それとは別に、これら水:メタノールの混合物を定められた量の粒子凝集体(例えば、1:1の体積比)で覆い、定められた条件(例えば、手又はタンブルミキサーを用いて1分間穏やかに振る)下で振盪する。粒子凝集体がちょうど沈まない水:メタノールの混合比及びそれより高い水:メタノールの混合比で粒子凝集体がちょうど沈む時の混合比が決定される。後者の水:メタノール混合物の表面張力が、表1に与えられている、粒子の表面エネルギーγの指標としての臨界表面エネルギーγcritを与える。
−表面エネルギーの分散成分(gamma−s−D)は、「逆相ガスクロマトグラフィー」−「ポリマー及びその他の物質の特徴付け」 D R Lloyd, Th C Ward, H P Schreiber,Chapter 18, pp 248−261, ACS, Washington DC 1989, ISBN 0−8412−1610−X.に従って、アルカンをプローブにした逆相ガスクロマトグラフィーによって決定される。
【0178】
500mlのステンレススチール製ビーカーに、完全に脱塩した(FD)水10g及び上記で調製方法を記載した粒子状固体B1を5g、P.ウィレンズ教授タイプで、商標名ウルトラ−ツラックス(Ultra−Turrax)として知られている、高速スターター−ローター攪拌機を使用して前もって分散させた。
【0179】
80,000mPasの粘度を有する長鎖OH−末端ポリジメチルシロキサン(ワッカー−ケミ GmbH(ドイツ−ミュンヘン)社製「ポリマーFD80」として市販)を75g、平均した化学式が[(CHSiO]0.2[(CH)SiO3/20.8であり、平均分子量3000、樹脂分子に対する平均残留エポキシ含量2.6重量%、及び110,000mPasの粘度を有するメチルシリコーン樹脂を4g、並びに、平均した化学式が[(CHSiO1/21.1[SiO]であり、平均分子量が2000及び樹脂分子に対する平均残留エポキシ含量が2.1重量%であるMQ樹脂を4g混合したものをウルトラ−ツラックス(Ultra−Turrax)(登録商標)で連続的に混合しながら、攪拌によりさきほどの高粘度混合物に溶かしこんだ。これにより、室温で閉鎖系において少なくとも12ヶ月保存安定性を有する高粘度で、流動抵抗を有する、白い水中油型エマルジョンが得られる。
【0180】
こうして調製された流動抵抗を有するエマルジョンをプラネタリーミキサー中で、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.8g、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール0.8g、カリウムN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルシロキシド0.5g及び重質炭酸カルシウム60g(Omya(ドイツ−ケルン)社製、OMYACARB(商標登録)5−GU名で市販)と相次いで混合し、さらに、完全に脱塩化された水15gを加えた。これにより、乳白色、滑らか、恒久的に均質な、流動抵抗を有する組成物が得られる。空気のない場所で1年以上の間保存しても水性分散液の特性は変わらない。
【0181】
得られたオルガノポリシロキサンの水性分散液は、2mm厚の膜を作り出すのに使用され、水性分散液をポリテトラフルオロエチレン表面に塗布し、室温で水を蒸発させることによりその膜は形成される。乾いた、弾力性のある膜のエラストマー特性を7日後に調べた。該膜は、100%引張応力が0.32MPa、引張り強さが1.2MPa、ショアA硬度が18及び破断伸びが620%を示す。
【0182】
(実施例2)
80,000mPasの粘度を有する長鎖OH−末端ポリジメチルシロキサン(ワッカー−ケミ GmbH(ドイツ−ミュンヘン)社製「ポリマーFD80」として市販)を75g、平均した化学式が[(CHSiO]0.2[(CH)SiO3/20.8であり、平均分子量3000、樹脂分子に対する平均残留エポキシ含量2.6重量%、及び110,000mPasの粘度を有するメチルシリコーン樹脂を4g、並びに、平均した化学式が[(CHSiO1/21.1[SiO]であり、平均分子量が2000及び樹脂分子に対する平均残留エポキシ含量が2.1重量%であるMQ樹脂を4g及び重質炭酸カルシウム60g(Omya(ドイツ−ケルン)社製、OMYACARB(商標登録)5−GU名で市販)の混合物をプラネタリーミキサー中で分散させた。調製法を実施例1で述べた粒子状固体B1の5g及び水(完全に脱塩化された;FD)10gの混合物15gを、PCレイバーシステム社製ラボ−トッププラネタリー溶解機中において、分散によって高粘度である先ほどの混合物中に取り込み、続いて1.5時間かき混ぜた。これにより室温で閉鎖系において少なくとも12ヶ月保存安定性を有する高粘度、流動抵抗を有する、白い水中油型エマルジョンが得られる。
【0183】
このようにして調製された流動抵抗を有するエマルジョンをプラネタリーミキサー中で、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.8g、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール0.8g、カリウムN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルシロキシド0.5gと相次いで混合し、さらにFD水15gと混合した。これにより、乳白色、滑らか、恒久的に均質な、流動抵抗を有する組成物が得られる。空気のない場所で1年以上の間保存しても水性分散液の特性は変わらない。
【0184】
このようにして得られたオルガノポリシロキサンの水性分散液は、2mm厚の膜を作り出すのに使用され、水性分散液をポリテトラフルオロエチレンからなる表面に塗布し、室温で水を蒸発させることによりその膜は形成される。乾いた、弾力性のある膜のエラストマー特性を7日後に調べた。該膜は100%引張応力が0.30MPa、引張り強さが1.1MPa、ショアA硬度が18及び破断伸びが570%を示す。
【0185】
(実施例3)
20,000mPasの粘度を有する長鎖OH−末端ポリジメチルシロキサン(ワッカー−ケミ GmbH(ドイツ−ミュンヘン)社製「ポリマーFD80」として入手可能)を75g、平均した化学式が[(CHSiO1/21.1[SiO]であり、平均分子量が2000及び樹脂分子に対する平均残留エポキシ含量が2.1重量%であるMQ樹脂を4g並びに重質炭酸カルシウム60g(Omya(ドイツ−ケルン)社製、OMYACARB(商標登録)5−GU名で市販)の混合物をプラネタリーミキサー中に分散させた。調製法を実施例1で述べた粒子状固体B1の5g及び水(FD)10gの混合物15gを、PCレイバーシステム社製ラボ−トッププラネタリー溶解機中において、分散して高粘度である先ほどの混合物中に取り込み、続いて1.5時間かき混ぜた。これにより室温で閉鎖系において少なくとも12ヶ月保存安定性を有する高粘度、流動抵抗を有する、白い水中油型エマルジョンが得られる。
【0186】
実施例2で記載したように、得られたエマルジョンをさらに混合する。これにより、乳白色、滑らか、恒久的に均質な、流動抵抗を有する組成物が得られる。空気のない場所で1年以上の間保存しても水性分散液の特性は変わらない。
【0187】
このようにして得られたオルガノポリシロキサンの水性分散液は、2mm厚の膜を作り出すのに使用され、水性分散液をポリテトラフルオロエチレンの表面に塗布し、室温で水を蒸発させることによりその膜は形成される。乾いた、弾力性のある膜のエラストマー特性を7日後に調べた。該膜は、100%引張応力が0.53MPa、引張り強さが1.5MPa、ショアA硬度が30及び破断伸びが380%を示す。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1a】図1aは、接触角の測定において、吸引によって粉末が蓄積をしていることを示す図である。
【図1b】図1bは、接触角の測定において、図1a中の1bを拡大した図である。
【図2】図2は、それぞれの液体の表面張力に対して、水に対するシリカの接触角をプロットし、Zismanプロットにより臨界表面エネルギーGAMMA−critを求めている図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)有機ケイ素化合物、ポリウレタン、ポリオール、ポリウレタンの前駆化合物、架橋エポキシドの前駆化合物、架橋ポリエポキシドの前駆化合物、アミン、ポリアミン、アミドアミン、ポリアミドアミン、メルカプタン、ポリメルカプタン、カルボン酸、ポリカルボン酸、カルボン酸無水物、ポリカルボン酸無水物、アクリレート及びその前駆化合物、並びに、ポリスルフィド形成ポリマーからなる群より選択される有機化合物と、
(B)表面の一部がシリル化されている、部分的に水溶性であるシリカ粒子と、
(C)水
を含み、前記部分的に水溶性であるシリカ粒子の平均粒径が1nm〜5000nmであることを特徴とする水性分散液。
【請求項2】
室温、900〜1100hPaで、固体乃至液体で、かつ非粒子状の界面活性物質を実質的に含まない請求項1に記載の水性分散液。
【請求項3】
(A)有機化合物が、以下の一般式(I)の単位を含む有機ケイ素化合物を含む請求項1から2のいずれかに記載の水性分散液。

Ra(OR1)bXcSiO(4-a-b-c)/2 (I)

前記一般式(I)において、
Rは、同一又は異なったSiC結合を有する炭化水素基であり、炭素原子を1〜18個有し、ハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、グリコール基、又はポリグリコール基で置換されることがあり、該ポリグリコール基はオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン単位からなる。
Rは、同一であっても、異なっていてもよく、水素原子、又は、非置換若しくは酸素原子を含む置換の炭化水素基であり、Xは、同一であってもよいし、異なっていてもよく、ハロゲン原子、擬ハロゲン基、Si-N結合を有するアミン基、アミド基、オキシム基、アミノキシ基又はアシルオキシ基であり、
a+b+cは、4以下であり、
aは、0〜3の整数を表し、
bは、0〜3の整数を表し、
cは、0〜3の整数を表す。
【請求項4】
(B)部分的に水溶性であるシリカ粒子の含有量が、全水性分散液100重量%に対して、0.1重量%から50重量%である成分(B)を含む請求項1から3のいずれかに記載の水性分散液。
【請求項5】
(a)一般式(I)の単位を含む有機ケイ素化合物、
(B)表面の一部がシリル化されている、部分的に水溶性であるシリカ粒子及び
(C)水
を少なくとも用いて調製される請求項1から4のいずれかに記載の水性分散液。
【請求項6】
(A)有機化合物が、縮合可能な基を含む有機ケイ素を少なくとも一部に含む請求項1から5のいずれかに記載の水性分散液。
【請求項7】
更に(D)塩基性窒素を含む化合物を用いて調製される請求項1から6のいずれかに記載の水性分散液。
【請求項8】
請求項6から7のいずれかに記載の水性分散液を架橋することによって製造されることを特徴とするモールディング。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−31487(P2008−31487A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273192(P2007−273192)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【分割の表示】特願2004−308940(P2004−308940)の分割
【原出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】