説明

水性中塗り塗料組成物

【課題】 塗装作業性(特に、タレ耐性)に優れ、かつ平滑で高外観性を与える塗膜を形成できる水性中塗り塗料組成物を提供する。
【解決手段】 (A)樹脂中に数平均分子量300〜600の直鎖又は分岐鎖のポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基を2〜10質量%含有し、樹脂中の少なくとも一部のカルボン酸基を2級又は3級アミンで中和することにより得られるカルボン酸2級又は3級アミン塩基を含有し、該ポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基と該カルボン酸2級又は3級アミン塩基との総数が樹脂の数平均分子量あたり0.8〜1.2個であるポリエステル樹脂であって、該カルボン酸基を該2級又は3級アミンで中和する前のポリエステル樹脂の酸価が30mgKOH/g以下、水酸基価が90〜160
mgKOH/g、数平均分子量が1,300〜1,900である水溶性又は水分散性ポリエステル樹脂、及び(B)メラミン樹脂を硬化剤として含有し、(A)成分の(B)成分に対する樹脂固形分の質量比が75/25〜90/10であることを特徴とする水性中塗り塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装作業性(特に、タレ耐性)に優れ、平滑で高外観性を与える塗膜を形成できる自動車用に適した水性中塗り塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大気汚染防止や省資源の観点から、水を希釈剤として用いる水系塗料が注目されており、焼付け硬化型の水系塗料においては、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂とアミノプラスト樹脂との混合物などが用いられている。自動車用中塗り塗料の分野においては、高級感を付与するために、見た目に美しい高外観品質が要求されるとともに、小石などの衝突から素材を保護するために耐チッピング性が要求され、そして近年この要求品質はますます高くなり、作業性に優れ、タレのない優れた平滑性を有する塗膜が要求されるようになってきた。
【0003】
中塗り塗料として用いることができ、塗装作業性(ワキ耐性、タレ耐性)が良好な水性塗料組成物として、フィルム形成性親水性ポリエステル樹脂またはアクリル樹脂と硬化剤とを中和塩基を含む水性媒体中に溶解または分散してなる熱硬化性水性塗料組成物へ、3官能以上の多価アルコールと、ラクトンと、多価カルボン酸無水物との反応生成物にモノエポキシ化合物を反応させて得られる酸価40未満、水酸基価50〜250、数平均分子量500〜2,000のポリエステルポリオールを含む水性媒体中に溶解または分散してなる熱硬化性水性塗料組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、上記の熱硬化性水性塗料組成物に含まれるエポキシ化合物を生成するためには多段階の工程を要し、より簡易な手法で優れた作業性を達成することが望まれていた。
【0004】
他に、耐チッピング性に優れ、かつ塗膜にタレ発生がなく、仕上り性に優れた自動車用水性中塗り塗料として、樹脂酸価が2〜20mgKOH/gであるウレタン樹脂水分散体(A)、水酸基含有樹脂(B)、及び架橋剤(C)を含有する水性中塗り塗料であって、該ウレタン樹脂水分散体(A)が、ポリイソシアネート、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールと少なくとも1個のカルボキシル基と少なくとも2個の水酸基を有する化合物及び必要に応じて、その他のポリオールを含む1分子中に少なくとも2個の水酸基を有するポリオールを反応させてなるウレタンプレポリマーを中和剤にて中和し、水性媒体中に安定に分散させてなることを特徴とする自動車用水性中塗り塗料が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、ウレタン樹脂はポリエステル等の他の樹脂に比べて高価であり、より安価に外観及び塗装作業性に優れた塗料を得る方法が望まれていた。
【0005】
また、下地隠蔽性に優れ、かつ、タレ膜厚が40μm以上である塗装作業性に優れた自動車用水性中塗り塗料組成物として、ポリエステル樹脂と、メチロール基型メラミン樹脂、イミノ基型メラミン樹脂およびメチロール/イミノ基型メラミン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のメラミン樹脂と、数平均分子量が400〜1,500であるポリエーテルポリオールと、特定の構造を有する重量平均分子量が50,000〜1,000,000であるカルボン酸基含有高分子化合物とを含む、自動車用水性中塗り塗料組成物が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながらこの塗料組成物の場合、用いられるイミノ基型メチル化メラミン樹脂やメチロール型メラミン樹脂の自己縮合性が高く、塗膜平滑性に劣る場合があった。また、塗料保管中に自己縮合が進行し、分子量が増加してしまうという欠点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−231454号公報
【特許文献2】特開2006−265310号公報
【特許文献3】特開2008−144064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記の従来の塗料の欠点を克服し、塗装作業性(特に、タレ耐性)に優れ、かつ平滑で高外観性を与える塗膜を形成できる水性中塗り塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決するべく、鋭意研究を重ねた結果、ポリエステル樹脂中のカルボン酸塩の量がタレ耐性に影響する因子であるということを見いだし、さらにカルボン酸塩の量を極度に減らした場合に、ポリエステル樹脂の水への分散性が低下してしまう問題を、特定のポリエチレングリコールをポリエステル樹脂原料の少なくとも一部に用いることによって解決したものである。この特殊なポリエステル樹脂と限定された硬化剤とを水性中塗り塗料組成物に適用することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)樹脂中に数平均分子量300〜600の直鎖又は分岐鎖のポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基を2〜10質量%含有し、樹脂中の少なくとも一部のカルボン酸基を2級又は3級アミンで中和することにより得られるカルボン酸2級又は3級アミン塩基を含有し、該ポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基と該カルボン酸2級又は3級アミン塩基との総数が樹脂の数平均分子量あたり0.8〜1.2個であるポリエステル樹脂であって、該カルボン酸基を該2級又は3級アミンで中和する前のポリエステル樹脂の酸価が30mgKOH/g以下、水酸基価が90〜160
mgKOH/g、数平均分子量が1,300〜1,900である水溶性又は水分散性ポリエステル樹脂、及び(B)メラミン樹脂を硬化剤として含有し、(A)成分の(B)成分に対する樹脂固形分の質量比が75/25〜90/10であることを特徴とする水性中塗り塗料組成物を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、上記水性中塗り塗料組成物において、メラミン樹脂が、完全メチル化メラミン樹脂及びイミノ基含有型メチル化メラミン樹脂であって、該完全メチル化メラミン樹脂のイミノ基含有型メチル化メラミン樹脂に対する含有比率が樹脂固形分の質量比で100/0〜50/50である水性中塗り塗料組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記水性中塗り塗料組成物において、前記塗料組成物が、さらに、(C)成分として、数平均分子量400〜1,200のポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールエーテルを全樹脂固形分中に1〜20質量%含有する水性中塗り塗料組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記水性中塗り塗料組成物において、前記塗料組成物が、さらに、硬化剤として、ブロックイソシアネート化合物を全樹脂固形分中に1〜30質量%含有する水性中塗り塗料組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水性中塗り塗料組成物は、高い塗装作業性(特に、タレ耐性)を実現しつつ、チッピング、耐水性等の塗膜性能を良好に保ち、かつ平滑な高外観性を与える塗膜を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に使用されるポリエステル樹脂(A)は、多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸無水物と、多価アルコールとのエステル化反応によって得ることができるものであるが、多価アルコールの少なくとも一部に特に数平均分子量300〜600の直鎖又は分岐鎖のポリエチレングリコール又はポリエチレングリコールエーテルを用いることにより、ポリエステル樹脂中に数平均分子量300〜600の直鎖又は分岐鎖のポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基を含有していることを特徴としており、また、ポリエステル樹脂中の少なくとも一部のカルボン酸基を2級又は3級アミンで中和することにより得られるカルボン酸2級又は3級アミン塩基を含有していることを特徴としている。
【0013】
なお、ポリエチレングリコール基とは、ポリエチレングリコールから水酸基を1個又は2個以上除いた残基をいい、全ての水酸基が除かれたものであってもよいし、一部の水酸基が除かれた残基である水酸基を有するポリエチレングリコール基であってもよい。
また、ポリエチレングリコールエーテル基とは、ポリエチレングリコールエーテルから水酸基を1個又は2個以上除いた残基をいい、全ての水酸基が除かれたものであってもよいし、一部の水酸基が除かれた残基である水酸基を有するポリエチレングリコールエーテル基であってもよい。
【0014】
ポリエステル樹脂(A)において、カルボン酸基を2級又は3級アミンで中和する前のポリエステル樹脂の数平均分子量は、1,300〜1,900であり、好ましくは1,400〜1,700である。
このポリエステル樹脂の数平均分子量が1,300未満である場合は、充分なタレ耐性を得ることができなくなり、また、数平均分子量が1,900を超える場合は樹脂粘度が著しく高くなるため、固形分の低下や塗料製造上の取り扱いが困難になる。
【0015】
また、ポリエステル樹脂(A)において、カルボン酸基を2級又は3級アミンで中和する前のポリエステル樹脂の酸価は30mgKOH/g以下であり、より好ましくは、28mgKOH/g以下である。
このポリエステル樹脂の酸価が30mgKOH/gを超える場合には、樹脂の中和率が低くなることによりポリエステル樹脂水溶液(乳化液)の安定性が低下するおそれがある。
【0016】
また、ポリエステル樹脂(A)において、カルボン酸基を2級又は3級アミンで中和する前のポリエステル樹脂の水酸基価は90〜160
mgKOH/gであり、より好ましくは、120〜140mgKOH/gである。
このポリエステル樹脂の水酸基価が90未満である場合には硬化性が低下し、160mgKOH/gを超える場合は塗膜の耐水性が低下するおそれがある。
【0017】
ポリエステル樹脂(A)において、カルボン酸基を2級又は3級アミンで中和する前のポリエステル樹脂の合成方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法に従って行うことができ、例えば、原料となる多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸無水物と、多価アルコールなどの各反応成分を窒素雰囲気中、100〜250℃で6〜15時間加熱し、カルボン酸基と水酸基とのエステル化反応を行う方法などが挙げられる。上記の各反応成分は一度に添加して反応させてもよく、又は各反応成分の一部を添加して反応させた後、残りの各反応成分を反応させる多段階反応で反応させてもよい。また、このとき、エステル化を促進する触媒を使用してもよい。
【0018】
多価カルボン酸は、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロイソフタル酸、テトラヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、アゼライン酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェニルジカルボン酸、ヘット酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ピロメリット酸など、一般に用いられるポリエステル樹脂製造用の多塩基酸を使用することができる。この他に炭素数8〜18の脂肪酸、ダイマー酸などを使用することができる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
多価カルボン酸無水物は、1分子中に1個以上の酸無水基を有する化合物であり、例えば、上記の多価カルボン酸の無水物などを挙げることができる。これらは上記の多価カルボン酸を含めて、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0019】
多価アルコールは、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、メチルプロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール、3,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオールなどのグリコール類、また、特に加工性と塗膜の硬度とのバランスを保つ上で3価以上のポリオール、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリストールなどを好ましく使用することができる。これらの多価アルコールは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0020】
ポリエステル樹脂(A)の特徴は、数平均分子量300〜600の直鎖又は分岐鎖のポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基をポリエステル樹脂中に2〜10質量%含有することであるが、より好ましくは2〜8質量%含有させることであり、特に好ましくは4〜6質量%含有させることである。
なお、ポリエステル樹脂(A)中のポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基は、いずれか一方が存在してもよいし、両者が存在してもよい。両者が存在する場合は、ポリエステル樹脂(A)中の上記ポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基の含有量は、両者の合計含有量である。
ポリエステル樹脂(A)中の上記ポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基の含有量が2質量%未満では、ポリエステル樹脂に充分な水溶性又は水分散性を付与することが出来なくなるおそれがあり、10質量%を超えると得られる塗膜の硬度が低下したりするおそれがある。
【0021】
ポリエステル樹脂(A)中への上記ポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基の導入は、原料の多価アルコールとして数平均分子量300〜600の直鎖又は分岐鎖のポリエチレングリコール又はポリエチレングリコールエーテルを用いてエステル化することにより行うことができる。
ポリエステル樹脂(A)を製造するために用いられる数平均分子量300〜600の直鎖又は分岐鎖のポリエチレングリコール又はポリエチレングリコールエーテルは、例えばPEG#300,PEG#400,PEG#600(商品名、日油(株)製、ポリエチレングリコール)ユニオックスG−450(商品名、日油(株)製、ポリオキシエチレン−グリセリルエーテル)などの市販品が挙げられる。
【0022】
分岐鎖のポリエチレングリコールエーテルは、例えば、三価以上のアルコールの存在下にエチレンオキサイドを付加重合させることにより製造することができる。三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリストールなどが挙げられる。
直鎖又は分岐鎖のポリエチレングリコール又はポリエチレングリコールエーテルの数平均分子量が300未満の場合は、ポリエステル樹脂に充分な水溶性又は水分散性を付与することが出来なくなるおそれがあり、数平均分子量が600を超えた場合にも、ポリエステル樹脂に充分な水溶性又は水分散性を付与できなくなったり、得られる塗膜の硬度が低下したりするおそれがある。
【0023】
また、ポリエステル樹脂(A)の特徴は、樹脂中の少なくとも一部のカルボン酸基を2級又は3級アミンで中和することにより得られるカルボン酸2級又は3級アミン塩基を含有させることである。
ポリエステル樹脂(A)において、ポリエステル樹脂中のカルボン酸を中和する2級又は3級アミンとしては、例えば、ジメタノールアミン、トリエタノールアミンの等のアルカノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン、ジメチルエタノールアミン等のアルキルアルカノールアミン、モルフォリンやN−メチルモルフォリン等のモルフォリン類などの第2級および第3級アミノ基を有するアミンなどの1種又は2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち、ジメタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モルフォリン、N−メチルモルフォリンが水に可溶であることから好ましい。
【0024】
また、本発明において1級アミン化合物を用いない理由は、1級アミン化合物は反応性が高い場合が多く、塗料の貯蔵安定性の低下や、塗膜の黄変などの不具合の原因になるおそれがあるためである。
また、ポリエステル樹脂(A)において、ポリエステル樹脂中のカルボン酸を2級又は3級アミンで中和したときのカルボン酸アミン塩基と数平均分子量300〜600の直鎖又は分岐鎖のポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基の総数はポリエステル樹脂の数平均分子量あたり0.8〜1.2個であり、より好ましくは、0.9〜1.1個である。
【0025】
なお、ポリエステル樹脂(A)中のカルボン酸2級又は3級アミン塩基は、いずれか一方が存在してもよいし、両者が存在してもよい。両者が存在する場合は、ポリエステル樹脂(A)中のカルボン酸2級又は3級アミン塩基の数は、両者の合計数である。
また、ポリエステル樹脂(A)中の直鎖又は分岐鎖のポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基の数は、両者が存在する場合は、両者の合計数である。
ポリエステル樹脂(A)においては、上記のようにカルボン酸のアミン塩基とポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基の総数を制御することによって、良好なタレ耐性を得つつ、ポリエステル樹脂の水溶性又は水分散性を付与することができる。この総数が上記範囲外であると、これらの効果が得られ難い。
【0026】
上記のカルボン酸アミン塩基と数平均分子量300〜600の直鎖又は分岐鎖のポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基との総数が、ポリエステル樹脂の数平均分子量あたり0.8個未満の場合はポリエステル樹脂に充分な水溶性又は水分散性を付与できず、1.2個を超える場合は得られる塗膜の耐水性が劣化するおそれがある。
本発明において、ポリエステル樹脂(A)は水溶性又は水分散性を有しており、水性中塗り塗料組成物中の水媒体中に、溶解又は分散する。
【0027】
本発明における水性中塗り塗料組成物は、(B)成分の硬化剤としてメラミン樹脂を含有する。
メラミン樹脂には、反応性基の種類の異なる完全アルキル型メラミン樹脂、メチロール型メラミン樹脂、イミノ基含有型メラミン樹脂、及びそれらの混合型などが挙げられる。これらのうち、完全アルキル型メラミン樹脂、イミノ基含有型メラミン樹脂、及びそれらの混合型が好ましい。完全アルキル型メラミン樹脂としては、完全メチル化メラミン樹脂が好ましく、イミノ基含有型メラミン樹脂としては、イミノ基含有型メチル化メラミン樹脂が好ましい。
高メチロール型メラミン樹脂は、自己縮合性が高く塗料安定性を低下させたり、塗膜表面にメラミン樹脂の自己縮合層が形成し、体積収縮による凹凸が現れやすい欠陥があり、完全メチル化メラミン樹脂と併用してもこの欠陥は克服できない。
【0028】
完全メチル化メラミン樹脂のイミノ基含有型メチル化メラミン樹脂に対する含有比率が、樹脂固形分の質量比で100/0〜50/50の割合で用いることが好ましい。より好ましくは95/5〜60/40であり、特に好ましくは90/10〜65/35である。
また、イミノ基含有型メチル化メラミン樹脂を併用する場合、完全メチル化メラミン樹脂に対するイミノ基含有型メチル化メラミン樹脂の含有比率が50質量%を超える場合、メチロール化メラミン樹脂と同じく、自己収縮性が高くなり、十分な塗膜の平滑性が得られないことがある。
【0029】
完全アルキル型メラミン樹脂としては、例えば、Luwipal L066(BASF社製)、サイメル300、サイメル301、サイメル303、サイメル350(以上、日本サイテックインダストリーズ(株)製)等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、イミノ基含有型メチル化メラミン樹脂として、例えば、サイメル325、サイメル327(以上、日本サイテックインダストリーズ(株)製)などが市販品として挙げられる。
【0030】
本発明の水性中塗り塗料組成物中の(B)成分の硬化剤としてのメラミン樹脂の含有量は、ポリエステル樹脂のメラミン樹脂に対する樹脂固形分の質量比で75/25〜90/10であり、より好ましくは77/23〜85/15である。ポリエステル樹脂の含有量が樹脂固形分の質量比で90/10よりも多い場合、硬化性が低下し、一方、75/25よりも少ない場合、得られる塗膜のチッピング性やワキ性等の諸性能が低下する。
上記以外のメラミン樹脂も、塗膜性能を損ねない程度であれば、少量含有してもよい。
【0031】
本発明の水性中塗り塗料組成物には、チッピング性等の物性を高めるために、硬化剤として完全アルキル型メラミン樹脂のほかにブロック化イソシアネート化合物を含んでもよい。ブロック化イソシアネート化合物は全樹脂成分中に1〜30質量%含有することが好ましく、より好ましくは3〜20質量%であり、特に好ましくは5〜15質量%である。
ブロック化イソシアネート化合物の含有量が全樹脂成分中に1質量%未満の場合は、物性を高める効果が得られず、30質量%を超える場合は架橋が疎になってしまうおそれがある。また、ブロック化イソシアネート化合物は高価であり、経済的側面から添加量は少量のほうが望ましい。
【0032】
上記ブロック化イソシアネート化合物の例としてはBayhydurBL5140、BayhydurVPLS 2240、BayhydurVPLS 2310(以上、住友バイエルウレタン(株)製)などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0033】
本発明の水性中塗り塗料組成物には塗料固形分を高くし、塗着効率を向上させるため、また、フロー性をコントロールして外観を向上させるために、直鎖又は分岐鎖のポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールエーテルを全樹脂成分中に1〜20質量%含有することが好ましく、より好ましい含有量は、3〜10質量%である。
ポリプロピレングリコールエーテルは、一価アルコールであってもよいが、多価アルコールであることが好ましい。
【0034】
なお、直鎖又は分岐鎖のポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールエーテルは、いずれか一方を用いてもよいし、両者を併用してもよい。両者を併用する場合、直鎖又は分岐鎖のポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールエーテルの含有量とは、両者の合計含有量である。
直鎖又は分岐鎖のポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールエーテルの好ましい数平均分子量は、400〜1,200であり、より好ましい数平均分子量は600〜1,000である。数平均分子量が400未満の場合、ポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールエーテルが塗膜中に固形分としてほとんど残存せず、1,200を超えるとポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールエーテル自体が水に不溶となってしまう。
【0035】
また、直鎖又は分岐鎖のポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールエーテルの含有量が全樹脂成分中に1質量%未満の場合、直鎖又は分岐鎖のポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールエーテル添加によるフロー性をコントロールする効果が得られず、直鎖又は分岐鎖のポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールエーテルの含有量が全樹脂成分中に20質量%を超える場合、塗膜硬度が低下するおそれがある。
上記ポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールエーテルの例としては、ユニオールD−700(商品名、日油(株)製、ポリプロピレングリコール、平均分子量700)、ユニオールTG−1000(商品名、日油(株)製、ポリオキシプロピレン−グリセリルエーテル、平均分子量1,000)などが挙げられる。
【0036】
本発明の水性中塗り塗料組成物には、着色のため、下地隠蔽性、塗料安定性の向上や得られる塗膜の諸性能を高めるために、顔料を含むことができる。上記顔料としては、例えば、黄鉛、黄色酸化鉄、酸化鉄、カーボンブラック、二酸化チタン、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等の着色顔料、および、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、クレー、タルク等の体質顔料等が挙げられる。
【0037】
本発明の水性中塗り塗料組成物には上記顔料を含む場合、全顔料質量/全樹脂固形分質量で表される値は0.25〜1.5であることが好ましい。さらに好ましくは0.5〜1.2である。上記値が0.25未満である場合、塗料の色設計が困難になる恐れがあり、1.5を超える場合、チッピング性が低下する恐れがある。

【0038】
本発明の水性中塗り塗料組成物は、上記成分の他に必要に応じて、当業者に公知のポリウレタン樹脂、有機溶剤、硬化触媒、表面調整剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含有することができる。
本発明の水性中塗り塗料組成物を得る方法は、特に限定されず、上記樹脂および顔料などの混合物を混練し、ボールミルやサンドミル、ディスパーなどを用いて分散する等の当業者に公知のすべての方法を用いることができる。
【0039】
本発明の水性中塗り塗料組成物は、そのままで、または水、場合によっては少量の有機溶剤やアミンにより適当な粘度に希釈して塗装に提供される。塗装方法としては、通常自動車産業において中塗り塗料の塗装に用いられている方法、例えばエアースプレー塗装、エアレススプレー塗装、エアー霧化式静電塗装、ベル回転霧化式静電塗装等が何れも適用できる。
本発明の水性中塗り塗料組成物は、予め電着塗料やシーリング材等の下塗り塗装がなされた自動車車体に、硬化後の膜厚が10〜60μmになるように塗装した後、120〜180℃の温度で10分間から1時間加熱乾燥させることによって硬化塗膜が得られる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特に断らない限り、各例中の部、%、比は、それぞれ質量部、質量%、質量比を表す。
【0041】
<製造例1:ポリエステル樹脂水溶液Aの製造>
ディーンスタークトラップ付きのステンレス充填材を充填した還流管、温度計、撹拌装置を装備した反応容器にトリメチルールエタン13.6部、テトラヒドロ無水フタル酸9.6部、分岐鎖のポリエチレングリコールとしてのポリオキシエチレン−グリセリルエーテル(商品名「ユニオックスG450」、日油(株)製、数平均分子量450)5部、無水フタル酸36.8部、3−メチル−1,5−ペンタンジオール30.6部を仕込み、150℃に昇温した後、230℃まで3.5時間かけて昇温し、樹脂酸価が10以下になるまで脱水縮合反応を行い、その後反応温度を140℃
まで下げて、無水ピロメリット酸4.4部を仕込み、無水ピロメリット酸が溶解したのち、180℃まで昇温し180℃の温度を維持して反応を続けた。樹脂酸価が、設計した酸価である28になったら、反応温度を120℃まで下げ、ブチルセロソルブ10部を加えた。得られたポリエステル樹脂の酸価は28mgKOH/g、水酸基価は140mgKOH/g、GPCによるポリスチレン換算分子量は数平均分子量1,600であった。次に、室温にまで冷却した後、撹拌しながら、ジメチルエタノールアミン4.2部を徐々に加え、十分に撹拌をした後、脱イオン水176.5部を加えて十分に撹拌し、ポリエステル樹脂水溶液A(乳化液A)を得た。ポリエステル樹脂水溶液Aの加熱残分は33.0質量%であった。
【0042】
<製造例2〜8:ポリエステル樹脂水溶液B〜Hの製造>
表1に示した原料に替えた以外は、製造例1と同じようにして、ポリエステル樹脂水溶液B〜Hを得た。但し、設計した酸価は、樹脂によって異なる。得られたポリエステル樹脂の特性値を表1に示した。
【0043】
【表1】

【0044】
表1中の添え数字の注記
*1:ユニオックスG450(商品名、日油(株)製、ポリオキシエチレン−グリセリルエーテル=分岐鎖のポリエチレングリコールエーテル、数平均分子量450)
*2:PEG#800(商品名、日油(株)製、直鎖型ポリエチレングリコール、数平均分子量800)
【0045】
<実施例1>
水性中塗り塗料組成物の製造
分散容器に、ポリエステル樹脂ワニス水溶液A 57.4部、脱イオン水11.7部、酸化チタン1.9部、硫酸バリウム19.9部、タルク1.4部、カーボンブラック0.9部、を仕込み、粒度が10μ以下になるまで分散し、塗料ペーストを調整した。次いで、完全メチル化メラミン樹脂(商品名「サイメル303」、日本サイテックインダストリーズ(株)製、加熱残分100質量%)3.3部、メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂(商品名「サイメル325」、日本サイテック(株)製、加熱残分80質量%)1.4部、ポリプロピレングリコールとしてポリオキシプロピレン−グリセリルエーテル(商品名「ユニオールTG−1000」、日油(株)製、数平均分子量1,000)0.8部を加えて均一に撹拌後、さらに、ブロック化ポリイソシアネート化合物(商品名「BayhydurVPLS2310」、住化バイエルウレタン(株)製、不揮発分39.5質量%、有効NCO3.9質量%)1.3部を加えて、均一に撹拌し、水性中塗り塗料組成物を得た。
【0046】
<実施例2〜9、比較例1〜6>
水性中塗り塗料組成物の製造
実施例1と同様にして、表2及び表3に示した配合で、水性中塗り塗料組成物を得た。
【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
表2、表3中の添え数字の注記
*3:サイメル303(商品名、日本サイテックインダストリーズ(株)製、完全メチル化メラミン樹脂、加熱残分100質量%)
*4:サイメル325(商品名、日本サイテックインダストリーズ(株)製、イミノ基含有型メチル化メラミン樹脂、加熱残分80質量%)
*5:ユニオールTG−1000(商品名、日油(株)製、ポリオキシプロピレン−グリセリルエーテル=分岐鎖のポリプロピレングリコールエーテル、数平均分子量1,000)
*6:ユニオールTG−330(商品名、日油(株)製、ポリオキシプロピレン−グリセリルエーテル=分岐鎖のポリプロピレングリコールエーテル、数平均分子量330)
*7:「BayhydurVPLS2310」(商品名、住化バイエルウレタン(株)製、ブロック化ポリイソシアネート化合物、不揮発分39.5質量%、有効NCO3.9質量%)
【0050】
なお、表1、表2及び表3において、略号は、以下のものを示す。
PEG:ポリエチレングリコール
PEGE:ポリエチレングリコールエーテル
PEG類:PEG又はPEGE
PPG:ポリプロピレングリコール
PPGE:ポリプロピレングリコールエーテル
PPG類:PPG又はPPGE
DMEA:ジメチルエタノールアミン
MF:メラミン樹脂
【0051】
実施例及び比較例の塗膜の評価は、以下に示す方法により行った。
<塗膜評価方法>
塗膜評価試験を行うにあたり、化成処理剤(商品名「ボンデライトNo.3004」、日本パーカライジング(株)製、リン酸亜鉛系皮膜処理剤)によって化成処理された鋼板(JIS G3141、厚さ0.8mm、長さ450mm、幅100mm)に、カチオン電着塗料(商品名「カソガード500」、BASFコーティングスジャパン(株)製)を乾燥膜厚が15〜20μm となるように電着塗装し、焼付けたものを、試験素材(被塗物)として用いた。なお、タレ耐性の評価のみ、予め、鋼板の長辺と並行になるように直径5mmのパンチ穴を4cmおきに開けたものを素材として用いた。
また、水性中塗り塗料組成物は、フォードカップNo.4にて粘度が50秒(20℃)になるように脱イオン水で、希釈して塗装に供した。
【0052】
<1>タレ耐性
回転霧化型ベル塗装機(ABBインダストリー社製、商品名「メタリックベルG1−COPESベル」)を用いて、水性中塗り塗料組成物を、乾燥膜厚が20〜60μmと、徐々に増加するよう傾斜塗りを行った。また、試験素材は地面に対して垂直となる状態で塗装を行った。7分間室温で静置後、電気式熱風乾燥器にて80℃で3分間フラッシュオフを行った後、140℃で30分間焼き付けた塗装板を観察し、パンチ穴下部からタレの終点までの距離が5mmとなる膜厚を測定することにより、タレ耐性を次のように評価した。
◎:45μm以上
○:45μm〜40μm
△:40μm未満〜35μm
×:35μm未満
【0053】
<2>ワキ性
回転霧化型ベル塗装機(ABBインダストリー社製、商品名「メタリックベルG1−COPESベル」)を用いて、水性中塗り塗料組成物を、乾燥膜厚が20〜60μmと、徐々に増加するよう傾斜塗りを行った。また、試験素材は、地面に対して垂直となる状態で塗装を行った。7分間室温で静置後、電気式熱風乾燥器にて80℃で3分間フラッシュオフを行った後、140℃で30分間焼き付けた塗板を観察し、ワキが発生した膜厚を測定することにより、ワキ性を次のように評価した。
○:40μm以上
△:40μm未満〜35μm
×:35μm未満
【0054】
<3>外観
回転霧化型ベル塗装機(ABBインダストリー社製、商品名「メタリックベルG1−COPESベル」)を用いて、水性中塗り塗料組成物を、乾燥膜厚が25μmとなるよう塗装を行った。塗装後、7分間室温で静置し、電気式熱風乾燥器にて80℃で3分間フラッシュオフを行った後、140℃で30分間焼き付けた塗板を観察し得られた塗装版の外観を目視によって、次のように評価した。
○:良好
△:やや劣る(ラウンド有り)
×:不良(肌あれ、オレンジピール)
【0055】
<4>耐温水性
水性中塗り塗料組成物を、乾燥膜厚が25μmとなるようエアスプレー塗装し、7分間室温で静置後、電気式熱風乾燥器にて80℃で3分間フラッシュオフした後、140℃で30分間焼き付けた。次に、水系着色ベースコート塗料(商品名「アクアBC−3」、BASFコーティングスジャパン(株)製、シルバー色)を乾燥膜厚が15μmとなるようエアスプレー塗装し、室温で3分間セット後80℃で10分間フラッシュオフした。室温となるまで放冷した後、クリヤーコート塗料(商品名「ベルコートNo.6100」、BASFコーティングスジャパン(株)製)を乾燥膜厚が30μmとなるようエアスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けた。この塗装板を40℃の温水に10日間浸漬した後、カッターナイフで2mm角の碁盤目を100個形成し、セロハンテープを用いて剥離試験を行った。剥離せずに残った碁盤目の個数をカウントし、次のように評価を行った。
○:剥離せずに残った碁盤目の割合が100/100
△:100/100(線欠け有)
×:100/100未満
【0056】
<5>耐チッピング性
耐温水性試験と同じ方法で、水性中塗り塗料組成物に、水系着色ベースコート塗料とクリヤーコート塗料を塗り重ねた塗装板を作成した。この塗装板を−20℃に冷却した後、この塗装板に対して、石が垂直に当たり、かつノズルと塗装板の中心との距離が30cmとなるようにグラベロ試験機に設置した。その後、7号砕石(玄武岩)50gを0.2MPaのエアーにより塗装板に吹きつけた。テスト後の塗装板の剥離部位をテープで完全に剥がし、剥がれの度合いを目視で、次のように評価した。
○:素地に達する剥離が認められない
△:素地に達する剥離が微かに認められる
×:素地に達する剥離が多く認められる
【0057】
<6>塗膜硬度
水性中塗り塗料組成物を、乾燥膜厚が25μmとなるようエアスプレー塗装し、7分間室温で静置後、電気式熱風乾燥器にて80℃で3分間フラッシュオフした後、140℃で30分間焼き付けた。得られた塗膜の硬度を鉛筆引っかき試験法(JIS−K5400)を用いて測定し、次のように評価した。
○:F以上
△:B〜2B
×:3B以下
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の水性中塗り塗料組成物は、種々の用途の中塗り塗料組成物として利用でき、特に自動車用の中塗り塗料組成物として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)樹脂中に数平均分子量300〜600の直鎖又は分岐鎖のポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基を2〜10質量%含有し、樹脂中の少なくとも一部のカルボン酸基を2級又は3級アミンで中和することにより得られるカルボン酸2級又は3級アミン塩基を含有し、該ポリエチレングリコール基又はポリエチレングリコールエーテル基と該カルボン酸2級又は3級アミン塩基との総数が樹脂の数平均分子量あたり0.8〜1.2個であるポリエステル樹脂であって、該カルボン酸基を該2級又は3級アミンで中和する前のポリエステル樹脂の酸価が30mgKOH/g以下、水酸基価が90〜160
mgKOH/g、数平均分子量が1,300〜1,900である水溶性又は水分散性ポリエステル樹脂、及び(B)メラミン樹脂を硬化剤として含有し、(A)成分の(B)成分に対する樹脂固形分の質量比が75/25〜90/10であることを特徴とする水性中塗り塗料組成物。
【請求項2】
メラミン樹脂が、完全メチル化メラミン樹脂及びイミノ基含有型メチル化メラミン樹脂であって、該完全メチル化メラミン樹脂のイミノ基含有型メチル化メラミン樹脂に対する含有比率が樹脂固形分の質量比で100/0〜50/50である請求項1記載の水性中塗り塗料組成物。
【請求項3】
前記塗料組成物が、さらに、(C)成分として、数平均分子量400〜1,200のポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールエーテルを全樹脂固形分中に1〜20質量%含有する請求項1又は2に記載の水性中塗り塗料組成物。
【請求項4】
前記塗料組成物が、さらに、硬化剤として、ブロックイソシアネート化合物を全樹脂固形分中に1〜30質量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の水性中塗り塗料組成物。



【公開番号】特開2010−248326(P2010−248326A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97778(P2009−97778)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(599076424)BASFコーティングスジャパン株式会社 (59)
【Fターム(参考)】