説明

水性多彩模様塗料

【課題】
多彩模様塗料としての意匠性、質感、鮮鋭性を損なうことなくしかも低汚染性に優れた多彩模様塗膜を形成するのに適する水性多彩模様塗料を提供する。
【解決手段】
フッ素化樹脂(A)、着色塗料粒子(B)並びに塗膜形成成分(C)を含む水性多彩模様塗料であって、フッ素化樹脂(A)が、フッ素含有重合性不飽和モノマー(a1)及び親水性基含有重合性不飽和モノマー(a2)を共重合成分として含有し、親水性基含有重合性不飽和モノマー(a2)の共重合量が、フッ素化樹脂(A)の製造に使用される全重合性不飽和モノマー中30質量%以上であることを特徴とする水性多彩模様塗料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多彩な意匠性を発揮し、且つ低汚染性に優れた多彩模様塗膜を形成するのに適する水性多彩模様塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
分散媒体中に粒状ゲルを安定に分散させた塗料として例えば多彩模様塗料が良く知られている。多彩模様塗料とは1回の塗装で、2色以上の多彩な模様が得られる塗料であり、主として建築物等の内外装面に使用されている。
【0003】
多彩模様塗料として特許文献1には、アクリル系モノマーを少なくとも20重量%以上含有するモノマー混合物を共重合してなる、重量平均分子量20,000〜200,000で酸価2以下の共重合体、着色剤及び有機溶剤を主成分とする組成物を混合分散してエナメルとし、これを水系分散媒に分散してなるエナメル分散粒子を1種以上含有する多彩模様塗料組成物が開示されている。この多彩模様塗料組成物は、エナメル分散粒子の安定性が良好で、それから形成される多彩模様塗膜は、多彩な意匠感を有し、耐候性や耐水性に優れているが、該塗料はエナメル分散粒子の融着により膜の成膜が行われるので、塗膜が汚れやすく、また、エナメル分散粒子には有機溶剤が多く含まれているという問題点がある。
【0004】
有機溶剤の含有量の少ない多彩模様塗料組成物として、例えば特許文献2には、反応性官能基を有する水性樹脂、着色顔料、水、及び水存在下で反応可能な反応性化合物に由来するゲル化物である着色ゲル粒子を、水性樹脂及び特定の屈折率をもつ体質顔料を含有する透明艶消し塗料中に分散してなる水中水型多彩模様塗料組成物が開示されている。該塗料組成物は、有機溶剤を多量に使用しなくても、鮮映性に優れた多彩模様塗膜を形成せしめることができるが、長期に渡って初期の外観を維持することは困難であり、汚れ難い品質とすることが求められている。
【0005】
【特許文献1】特開平09−100426号公報
【特許文献2】特開2005−15645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、多彩模様塗料としての意匠性、質感、鮮映性を損なうことなくしかも低汚染性に優れた多彩模様塗膜を形成するのに適する水性多彩模様塗料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記した課題に対して鋭意検討した結果、着色塗料粒子及び塗膜形成成分を含む水性多彩模様塗料に特定のフッ素化樹脂を含ませることで、多彩な意匠性を有し、且つ低汚染性に優れた多彩模様塗膜を形成することができることを見出し、本発明に到達した。即ち本発明は
1. フッ素化樹脂(A)、着色塗料粒子(B)並びに塗膜形成成分(C)を含む水性多彩模様塗料であって、フッ素化樹脂(A)が、フッ素含有重合性不飽和モノマー(a1)及び親水性基含有重合性不飽和モノマー(a2)を共重合成分として含有し、親水性基含有重合性不飽和モノマー(a2)の共重合量が、フッ素化樹脂(A)の製造に使用される全重合性不飽和モノマー中30質量%以上であることを特徴とする水性多彩模様塗料、
2. フッ素化樹脂(A)が、
フッ素含有重合性不飽和モノマー(a1)1〜50質量%、
親水性基含有重合性不飽和モノマー(a2)30〜95質量%及び
その他の重合性不飽和モノマー(a3)0〜69質量%
を共重合成分として含有する1項記載の水性多彩模様塗料、
3. 着色塗料粒子(B)が、水性樹脂(b1)、着色剤(b2)及び水溶性多糖類を含む水性塗料組成物を、金属イオンを含有する水性媒体と接触させることにより得られるものである1項または2項に記載の水性多彩模様塗料、
4. 金属イオンの供給源となる金属化合物が、金属水酸化物、金属酸化物及び金属炭酸塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種である3項に記載の水性多彩模様塗料、
5. 着色塗料粒子(B)が、水性樹脂(b1)及び着色剤(b2)を含んでなる反応性官能基(x)を含有する水性塗料組成物を含有してなり、且つ塗膜形成成分(C)が、反応性官能基(x)と反応し得る反応性官能基(y)を有するものであることを特徴とする1項ないし4項のいずれか1項に記載の水性多彩模様塗料、
6. 被塗面に、下塗り塗膜を介して又は介さずに1項ないし5項のいずれか1項に記載の水性多彩模様塗料を塗装する塗装方法、
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水性多彩模様塗料によれば、塗膜形成時においてフッ素の表面移行性によりフッ素化樹脂が塗膜表層に移行し、該フッ素化樹脂中に含まれる親水性基を塗膜表層に配向させるために親水性表面を形成することができ、造膜性や耐水性等の塗膜物性並びに低汚染性を有する多彩模様塗膜を形成できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の水性多彩模様塗料は、フッ素化樹脂(A)、着色塗料粒子(B)並びに塗膜形成成分(C)を含むものである。
【0010】
フッ素化樹脂(A)
本発明においてフッ素化樹脂(A)は、フッ素含有重合性不飽和モノマー(a1)及び親水性基含有重合性不飽和モノマー(a2)を共重合成分として含有し、親水性基含有重合性不飽和モノマー(a2)の共重合量が、フッ素化樹脂(A)の製造に使用される全重合性不飽和モノマー中30質量%以上であることを特徴とする。
【0011】
本発明において、上記フッ素含有重合性不飽和モノマー(a1)は、本発明の水性多彩模様塗料を用いて形成される塗膜においてフッ素化樹脂(A)を表面配向させるために用いられるものであり、分子中にフッ素と重合性不飽和基を含有する化合物を挙げることができ、特に制限されるものではない。
【0012】
本明細書において、重合性不飽和基はビニル基、アリル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基などを挙げることができる。
【0013】
かかるフッ素含有重合性不飽和モノマーの具体例としては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレンもしくは、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素含有−α−オレフィン類;トリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル、ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテルもしくはヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル等のパーフルオロアルキル・パーフルオロビニルエーテルおよび(パー)フルオロアルキルビニルエーテル;下式で表わされるパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0014】
【化1】

【0015】
上記式において、Rは水素又はメチル基であり、Xは水素、塩素、臭素、分岐していてもよい炭化水素基、フルオロアルキル基であり、mは1〜5の整数であり、nは1〜12の整数であり、aは1以上の整数であり、bは0以上の整数であり、ここでa+b=2n+1を満たすものである。かかるパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートの具体例としては例えば、
CH=CHCOCH、CH=CHCOCH、CH=CHCOCH、CH=CHCOCH11、CH=CHCOCH13、CH=CHCOCH15、CH=CHCOCH17、CH=CHCOCH19、CH=CHCOCH1021、CH=CHCOCH1123、CH=CHCOCH1225、CH=C(CH)COCH、CH=C(CH)COCH、CH=C(CH)COCH、CH=C(CH)COCH11、CH=C(CH)COCH13、CH=C(CH)COCH15、CH=C(CH)COCH17、CH=C(CH)COCH19、CH=C(CH)COCH1021、CH=C(CH)COCH1123、CH=C(CH)COCH1225、CH=CHCO、CH=CHCO、CH=CHCO、CH=CHCO11、CH=CHCO13、CH=CHCO15、CH=CHCO17、CH=CHCO19、CH=CHCO1021、CH=CHCO1123、CH=CHCO1225、CH=C(CH)CO、CH=C(CH)CO、CH=C(CH)CO、CH=C(CH)CO11、CH=C(CH)CO13、CH=C(CH)CO15、CH=C(CH)CO17、CH=C(CH)CO19、CH=C(CH)CO1021、CH=C(CH)CO1123、CH=C(CH)CO1225、CH=C(CH)COCH2CFCHF、CH=C(CH)COCF(CF等が挙げられ、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0016】
上記フッ素含有重合性不飽和モノマー(a1)は、後述のモノマー(a2)又は水との相溶性の点から、1分子中のフッ素の数は5〜17程度の範囲内にあることが望ましい。
【0017】
親水性基含有重合性不飽和モノマー(a2)は、本発明の水性多彩模様塗料を用いて形成される多彩模様塗膜表面を親水性に改質させることができるものであり、分子中に親水性基と重合性不飽和基を有する化合物である。親水性基の具体例としては、酸基、水酸基、アミド基、モルホリノ基、アルコキシポリオキシアルキレン基、アミド基を挙げることができ、重合性不飽和基としては上述の基が挙げられ、その具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;モノ(アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等のリン酸基含有重合性不飽和モノマー等の酸基含有重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのC〜Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、上記C〜Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体などの水酸基を有する(メタ)アクリレート;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;アリルアルコール、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1、2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、1、3−ブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オクチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等の水酸基含有アリル化合物等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;
下記式
【0018】
【化2】

【0019】
(式中、Rは水素原子又はメチル基、R1は炭素数が1〜24のアルキル基、pは2又は3の整数、qは2〜200の整数を示す)で表されるアルコキシポリオキシアルキレン基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミド基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロイルモルホリン等のモルホリノ基含有重合性不飽和モノマー;等を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0020】
本発明においては上記親水性基含有重合性不飽和モノマー(a2)の共重合量が、フッ素化樹脂(A)の製造に使用される全重合性不飽和モノマー中30質量%以上であることが必須であり、60〜95質量%の範囲内であるとより好ましい。
【0021】
モノマー(a2)の共重合割合が30質量%未満であると、本発明の水性多彩模様塗料を用いて形成される多彩模様塗膜表面の親水性が不十分となり、好ましくない。
【0022】
本発明において、上記フッ素化樹脂(A)は上記モノマー(a1)、(a2)以外のその他の重合性不飽和モノマー(a3)を必要に応じて共重合することができる。該その他の重合性不飽和モノマー(a3)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等縮合多環アルキル基含有(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル化合物;フマル酸エステル化合物;ブチルビニルエーテル 、シクロヘキシルビニルエーテル 、トリエチレングリコールジビニルエーテル 、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル 、ヒドロキシブチルビニルエーテル 、プロペニルエーテルプロピレンカーボネ−ト、ヒドロキシブチルビニルエーテルとイソシアネートとを反応させてなるビニルエーテル末端ウレタンオリゴマー等のビニルエーテル化合物;等を挙げることができ、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0023】
上記フッ素化樹脂(A)におけるモノマー(a1)、モノマー(a2)及びモノマー(a3)の好適な共重合割合としては、
モノマー(a1)が、1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%、
モノマー(a2)が、30〜95質量%、好ましくは60〜95質量%、
モノマー(a3)が、0〜69質量%、好ましくは15〜35質量%、
の範囲内であることができる。
【0024】
上記モノマーの共重合は従来公知の方法で行うことができ、例えば溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法等によって製造できるが、フッ素化樹脂(A)の表面移行性の点から、溶液重合法により行うことが望ましい。
【0025】
重合に用いられる重合開始剤としては、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、 tert−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4、4'−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。
【0026】
上記重合開始剤の好適な使用量としては、フッ素化樹脂(A)の製造に使用される全重合性不飽和モノマーに対して0.001〜15質量%、好ましくは0.2〜8質量%の範囲内であることが望ましい。
【0027】
溶液重合法を適用するにあたり、使用可能な有機溶剤としては、親水性であることが好ましく、その具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系有機溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノtert−ブチルエーテル等のエチレングリコールエーテル系有機溶剤;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノtert−ブチルエーテル等のジエチレングリコールエーテル系有機溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル等のプロピレングリコールエーテル系有機溶剤;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル等のジプロピレングリコールエーテル系有機溶剤;3−メトキシブチルアセテート等のエステル系有機溶剤等が挙げられ、これらは単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。特に、エチレングリコールエーテル系有機溶剤及びプロピレングリコールエーテル系有機溶剤を使用すると水及びモノマー(a1)、さらには製造されるフッ素化樹脂(A)ともに溶解可能であり、好適である。
【0028】
上記フッ素化樹脂(A)の重量平均分子量は1000〜50000、特に1000〜30000の範囲内であると、水性多彩模様塗料を用いて形成される多彩模様塗膜におけるフッ素化樹脂(A)の表面移行性が向上し、塗膜表面を親水化することができ、好ましい。
【0029】
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定した重量平均分子量をポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
【0030】
また、上記フッ素化樹脂(A)としては、酸基を有していることが望ましく、酸価が10〜400mgKOH/g、好ましくは20〜350mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。フッ素化樹脂(A)の酸価を上記範囲に調整することにより、フッ素化樹脂(A)の水溶性を確保し、これを含む水性多彩模様塗料の貯蔵安定性及び水性多彩模様塗料を用いて形成される塗膜の親水化に効果がある。
【0031】
本明細書において酸価(mgKOH/g)は、試料1g(樹脂の場合は固形分)に含まれる酸基のモル量と同じモル量に相当する水酸化カリウムのmg数で表したものである。ここで水酸化カリウムの分子量は56.1とする。
【0032】
上記フッ素化樹脂(A)の使用量としては、本発明の水性多彩模様塗料固形分中に0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%の範囲内であると、多彩模様塗膜の低汚染性と耐水性の点から好適である。
【0033】
着色塗料粒子(B)
本発明において着色塗料粒子(B)としては、材料、製造方法など特に制限されるものではなく従来公知のものを使用できるが、例えば、水性樹脂(b1)並びに着色剤(b2)を含んでなる水性塗料組成物を多糖類金属塩ゲル中に含有してなるものであると、好適である。
【0034】
上記水性塗料組成物に含まれる水性樹脂(b1)は、着色塗料粒子(B)の耐久性に貢献するものであり、水に溶解又は分散可能な樹脂が使用される。その樹脂種には特に限定はなく、具体的には、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、これらの樹脂は、例えばウレタン変性アクリル樹脂のように変性されていてもよく、或いはグラフト重合されたものであってもよい。
【0035】
上記水性樹脂(b1)は、分散粒子の形態である場合には、単層状又はコア・シェル型等の多層状であることができる。また、水性樹脂(b1)は、着色塗料粒子(B)の製造安定性等の観点から、親水性基としてアニオン性基、例えばカルボキシル基を有する樹脂であることができ、この場合、該樹脂は中和されていてもよく、その際に使用し得る中和剤としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2−メチル−2−アミノ−1−プロパノール等のアミン類及びアンモニア等を例示することができ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0036】
水性樹脂(b1)は、着色塗料粒子(B)の耐久性、耐候性等の観点から、アクリル系樹脂であること好ましい。
【0037】
かかるアクリル系樹脂としては、重合性不飽和モノマーを共重合する樹脂が挙げられ、かかる重合性不飽和モノマーとしては例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐状アルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートのようなN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物;アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン等の1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖含有(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクロレイン、ホルミルスチロール、炭素数4〜7のビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトンなど)、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシアリルエステル、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等のカルボニル基含有重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等のイソシアナート基含有重合性不飽和モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー;エポキシ基含有重合性不飽和モノマー又は水酸基含有重合性不飽和モノマーと不飽和脂肪酸との反応生成物、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の酸化硬化性基含有重合性不飽和モノマーなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0038】
上記モノマーの重合方法は、特に制限されるものではなく、例えば、一般的な乳化重合法に従い、乳化剤の存在下に、上記モノマーを(共)重合することによりアクリル系樹脂を容易に製造することができる。
【0039】
上記アクリル系樹脂の製造において使用される乳化剤としては、それ自体既知の乳化剤を使用することができ、適用可能な乳化剤としては、例えば、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、両イオン性乳化剤を挙げることができる。
【0040】
アニオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ジアンモニウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸カルシウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;脂肪酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪族カルボン酸塩;ポリオキシアルキレン単位含有硫酸エステル塩(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩など);ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム等のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩等;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、モノアルキルサクシネートスルホン酸ジナトリウム等のアルキルサクシネートスルホン酸塩などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0041】
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン単位含有エーテル化合物(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル化合物;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル等のポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル化合物など);ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレンアルキルエステル化合物;ポリオキシエチレンアルキルアミン等のポリオキシアルキレンアルキルアミン化合物;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のソルビタン化合物などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0042】
両イオン性乳化剤としては、例えば、ジメチルアルキルベタイン類、ジメチルアルキルラウリルベタイン類、アルキルグリシン類などを挙げることができる。
【0043】
上記乳化剤として、また、重合性不飽和基とアニオン性基又はノニオン性基の両者を分子中に含有する反応性乳化剤などを使用することもできる。
【0044】
上記乳化剤の使用量は、アクリル系樹脂の製造に使用される重合性不飽和モノマーの合計質量を基準にして通常0.5〜6質量%、好ましくは1〜4質量%の範囲内であることができる。
【0045】
上記着色塗料粒子(B)に含まれ得る着色剤(b2)としては、顔料及び染料を使用することができる。着色顔料としては、例えば、ニ酸化チタン等の白色顔料;カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラックなどの黒色顔料;黄色酸化鉄、チタンイエロー、モノアゾイエロー、縮合アゾイエロー、アゾメチンイエロー、ビスマスバナデート、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ベンジジンイエロー、パーマネントイエロー等の黄色顔料;パーマネントオレンジ等の橙色顔料;赤色酸化鉄、ナフトールAS系アゾレッド、アンサンスロン、アンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、キナクリドン系赤顔料、ジケトピロロピロール、ウォッチングレッド、パーマネントレッド等の赤色顔料;コバルト紫、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等の紫色顔料;コバルトブルー、フタロシアニンブルー、スレンブルーなどの青色顔料;フタロシアニングリーンなどの緑色顔料などを挙げることができ、光輝性顔料としては、アルミニウム粉、ブロンズ粉、銅粉、錫粉、リン化鉄、亜鉛粉等のメタリック顔料;金属酸化物コーティング雲母粉、マイカ状酸化鉄等の真珠光沢調顔料などを挙げることができ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。上記白色顔料としての二酸化チタンには、平均粒子径が10〜80nmのマイクロチタンや光触媒活性を有するアナターゼ型二酸化チタン等の機能性二酸化チタンも包含される。
【0046】
他方、染料としては、例えば、モノアゾ染料、ポリアゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、スチルベンアゾ染料、チアゾールアゾ染料等のアゾ染料;アントラキノン誘導体、アントロン誘導体等のアントラキノ染料;インジゴ誘導体、チオインジゴ誘導体等のインジゴイド染料;フタロシアニン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料等のカルボニウム染料;アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料等のキノンイミン染料;ポリメチン(またはシアニン)染料、アジメチン染料等のメチン染料;キノリン染料;ニトロ染料;ニトロン染料;ベンゾキノン及びナフチキノン染料;ナフタルイミド染料;ペリノン染料等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これら着色剤は、目的とする色彩に応じて単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0047】
また、上記着色塗料粒子(B)においては、着色剤(b2)と共に体質顔料を使用することもできる。その具体例としては、バリタ粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、珪砂、石英粉等が挙げられ、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0048】
上記着色剤(b2)の配合量は、着色塗料粒子(B)による着色性、比重、耐久性、耐水性などの観点から、水性樹脂(b1)の質量を基準にして、通常0.01〜500質量%、好ましくは0.05〜400質量%の範囲内であることが好適である。
【0049】
上記着色塗料粒子(B)は、例えば、水性樹脂(b1)、着色剤(b2)及び水溶性多糖類を含む水性塗料組成物を、水溶性多糖類と水不溶性もしくは難溶性の塩を形成し得る一価又は多価の金属イオンを含有する水性媒体と接触させることにより得ることができ、それによって、該水性塗料組成物を多糖類金属塩ゲル中に含有してなる着色塗料粒子を形成せしめることができる。
【0050】
上記水溶性多糖類は、水性媒体中で、一価又は多価の金属イオンと接触したときに水不溶性もしくは難溶性のゲルに変化する能力のある多糖類であり、一般に約3,000〜約2,000,000の範囲内の数平均分子量を有し且つ約10g/L(25℃)以上の水溶解度を示すものが好適であり、具体的には、例えば、アルギン酸またはそのアルカリ金属塩、ジェランガム、カラギーナン等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0051】
水溶性多糖類は、着色塗料粒子(B)の水中での安定性、着色塗料粒子(B)を作製する際の取扱性、着色塗料粒子(B)を含む塗料から形成される塗膜の耐水性などの点から、水性樹脂(b1)及び水溶性多糖類の合計質量を基準として、通常0.1〜7質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲内で使用することが好ましい。
【0052】
上記水性塗料組成物は、さらに、必要に応じて、バルーン粒子等の比重調整材、消泡剤、硬化触媒、顔料分散剤、芳香剤、脱臭剤、抗菌剤、中和剤、界面活性剤、水性撥水剤、分散剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、造膜助剤、亜鉛ウィスカ、ホルムアルデヒド吸着剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム等の難燃化剤などを含有することができる。
【0053】
本発明において、着色塗料粒子(B)を製造するための水性塗料組成物は、例えば、水性樹脂(b1)と着色剤(b2)のペーストと水溶性多糖類の水溶液を、適宜、上記したその他の成分と共に混合することにより調製することができる。
【0054】
水性塗料組成物を粒状ゲル化せしめる際に用いられる金属イオンの供給源となる金属化合物としては、25℃の水100gに0.005mg以上、特に0.08mg以上溶解するものであることが望ましく、例えば、カリウム、ナトリウム等の一価金属や、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、セリウム等の多価金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、塩化物、硫化物等を挙げることができ、多彩模様塗膜の耐水性などの点から、水酸化物、酸化物、炭酸塩であることが望ましく、カルシウム塩であるとさらに望ましい。
【0055】
本発明において、金属化合物として、水酸化カルシウムを使用すると多彩模様塗膜の耐水性が良好となり、特に好適である。
【0056】
上記金属化合物を水性媒体中にその少なくとも一部を溶解させることにより一価又は多価の金属イオンを含有する水性媒体を調製することができる。その際、金属化合物は水性媒体中に全部溶解している必要はなく、一部溶解した状態であってもよい。金属化合物を含有する水性媒体における金属化合物の含有量は、通常0.05〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%の範囲内であることが望ましい。
【0057】
上記水性塗料組成物は、上記金属化合物由来の金属イオンを含有する水性媒体と接触させることにより着色塗料粒子(B)を形成せしめることができるものであり、この接触は、例えば、注射器の先端から水性塗料組成物を水性媒体中に滴下する方法;水性塗料組成物を遠心力を利用して飛散させ、水性媒体中に滴下する方法;スプレーノズルの先端から水性塗料組成物を霧化させ、水性媒体中に滴下する方法;水性塗料組成物を水性媒体中に加え、分散機で攪拌混合する方法などの方法により行なうことができる。
【0058】
上記の如くして形成される着色塗料粒子(B)の大きさは、特に限定されるものではなく、水性多彩模様塗料に求められる意匠性に応じて適宜変えることができ、例えば、水性塗料組成物の組成、水性媒体中の金属イオンの濃度、水性塗料組成物の水性媒体への滴下の仕方等により調整することができる。
【0059】
得られる着色塗料粒子(B)は、例えば、適当な大きさの網目をもつ金網などを用いて金属イオンを含有する水性媒体から濾別することができる。
【0060】
塗膜形成成分(C)
本発明の水性多彩模様塗料は、多彩模様塗膜の耐水性等の塗膜物性を確保するために着色塗料粒子(B)に加えて塗膜形成成分(C)を含有する。塗膜形成成分(C)は、それ自体成膜性を有するものであり、非架橋型及び架橋型のいずれであってもよい。
【0061】
本発明において、塗膜形成成分(C)は、着色塗料粒子(B)との親和性や水性多彩模様塗料としての貯蔵安定性などの観点から、水性樹脂(c1)を含んでなる水性組成物であることが望ましい。
【0062】
上記水性樹脂(c1)としては、水性塗料分野において樹脂バインダーとして一般に使用されるものを使用することができ、例えば、着色塗料粒子(B)における水性樹脂(b1)として前述したものの中から適宜選んで使用することができる。
【0063】
本発明において、着色塗料粒子(B)内部に含まれる水性塗料組成物と塗膜形成成分(C)が、それぞれ、互いに反応し得る官能基(x)及び(y)を含有することが多彩模様塗膜の耐水性、さらにはガスバリヤー性を向上させることができるので好適であり、着色塗料粒子(B)が、水性樹脂(b1)及び着色剤(b2)を含んでなる反応性官能基(x)を含有する水性塗料組成物を含有してなり、且つ塗膜形成成分(C)が、反応性官能基(x)と反応し得る反応性官能基(y)を有するものであることが望ましい。
【0064】
上記着色塗料粒子(B)内部に含まれる水性塗料組成物中に含まれる反応性官能基(x)と塗膜形成成分(C)中に含まれる反応性官能基(y)の組み合わせとしては、塗膜の乾燥条件下に相互に反応し得る組み合わせであれば特に制限されるものではなく、具体的には、例えば、水酸基とイソシアネート基、水酸基とアルキルエーテル基、水酸基とイミノ基、カルボキシル基とエポキシ基、アミノ基とエポキシ基、アミド基とエポキシ基、カルボニル基とヒドラジン基、カルボニル基とヒドラジド基、カルボニル基とセミカルバジド基、及びカルボニル基とビスアセチルジヒドラゾン基等の組み合わせが挙げられ、特に、カルボニル基とヒドラジド基の組み合わせであると、常温一液架橋することができ、好適である。
【0065】
本発明において着色塗料粒子(B)と塗膜形成成分(C)が互いに反応する反応性官能基を含有する場合において、着色塗料粒子(B)に含まれる水性樹脂(b1)は、塗膜形成成分(C)中に含まれる反応性官能基(y)と反応する反応性官能基(x)を含有することができる。
【0066】
水性樹脂(b1)に含有せしめ得る反応性官能基(x)としては、例えば、カルボニル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等を挙げることができ、特に、カルボニル基が好適である。水性樹脂(b1)におけるこれら反応性官能基(x)の含有量は、通常0.05〜2ミリモル/g樹脂、好ましくは0.1〜1ミリモル/g樹脂、さらに好ましくは0.1〜0.5ミリモル/g樹脂の範囲内であることができる。
【0067】
水性樹脂(b1)への反応性官能基(x)の導入は、例えば、反応性官能基(x)を含有する重合性不飽和モノマーを適宜その他の重合性不飽和モノマーとともに(共)重合することにより、或いは基体となる樹脂に反応性官能基(x)を含有する化合物を反応せしめることにより行うことができる。
【0068】
また、着色塗料粒子(B)内部に含まれる水性塗料組成物は、塗膜形成成分(C)と反応し、着色塗料粒子(B)と塗膜形成成分(C)が界面を介して架橋塗膜を形成できるように反応性官能基(y)と反応し得る架橋剤(b3)を含有することができる。
【0069】
上記着色塗料粒子(B)に含まれる架橋剤(b3)としては、貯蔵安定性が良好である、本発明の水性多彩模様塗料を1液化することができるなどの観点から、ヒドラジン誘導体、メラミン樹脂などが好適であり、特にヒドラジン誘導体がよい。
【0070】
かかるヒドラジン誘導体としては、例えば、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどの炭素数2〜18の飽和脂肪族カルボン酸のジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸のジヒドラジド;フタル酸、テレフタル酸又はイソフタル酸のジヒドラジド;ピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジド又はテトラヒドラジド;ニトリロトリ酢酸トリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド;エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド;カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジン又はヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラード)と反応させてなるポリヒドラジド等;炭酸ジヒドラジド、ビスセミカルバジド;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート及びそれから誘導されるポリイソシアネート化合物にN,N−ジメチルヒドラジン等のN,N−置換ヒドラジンや上記例示のヒドラジドを過剰に反応させて得られる多官能セミカルバジド;該ポリイソシアネート化合物とポリエーテルポリオール類やポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類等の親水性基を含む活性水素化合物との反応物中のイソシアネート基に上記例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能セミカルバジド;該多官能セミカルバジドと水系多官能セミカルバジドとの混合物;ビスアセチルジヒドラゾンなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0071】
着色塗料粒子(B)内部に含まれる水性塗料組成物が架橋剤(b3)を含む場合、その使用量は、反応相手である反応性官能基(y)1モルに対して、架橋剤中の反応性官能基の量が通常0.05〜2モル、好ましくは0.1〜1モルの範囲内となるように調整されることが望ましい。
【0072】
一方、塗膜形成成分(C)は、該着色塗料粒子(B)中に含まれる反応性官能基(x)と反応し得る反応性官能基(y)を含有することが望ましい。
【0073】
塗膜形成成分(C)は、水性樹脂(c1)及び必要に応じて架橋剤(c2)を含んでなることができ、水性樹脂(c1)として、例えば、反応性官能基(x)と反応し得る反応性官能基(y)を含有するものであることができる。
【0074】
上記反応性官能基(y)を含有する水性樹脂は、反応性官能基(y)を通常0.05〜0.5ミリモル/g樹脂、好ましくは0.1〜0.4ミリモル/g樹脂の範囲内で含有することができる。該水性樹脂における反応性官能基(y)としては、例えば、カルボニル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等を挙げることができる。かかる反応性官能基(y)含有水性樹脂としては、例えば、着色塗料粒子における反応性官能基(x)を含有する水性樹脂について前述したものの中から適宜選択して使用することができる。
【0075】
上記塗膜形成成分(C)は、適宜、反応性官能基(y)を有していてもよい水性樹脂(c1)に加えて架橋剤(c2)を含有することができ、特に、水性樹脂(c1)が反応性官能基(y)を有しない場合には、架橋剤(c2)を併用することが望ましい。
【0076】
架橋剤(c2)としては、着色塗料粒子中に含まれる反応性官能基(x)と反応可能な官能基(y)を有する化合物であって、具体的には、例えば、ヒドラジン誘導体、メラミン樹脂、ポリイソシアネート架橋剤等を挙げることができ、特にヒドラジン誘導体がよい。
【0077】
架橋剤(c2)として使用しうるヒドラジン誘導体としては、着色塗料粒子(B)における架橋剤(b3)として前述したものの中から適宜選択して使用することができる。
【0078】
塗膜形成成分(C)中における架橋剤(c2)の含有量は、反応相手の反応性官能基(x)1モルに対して、架橋剤中の反応性官能基(y)の量が通常0.05〜2モル、好ましくは0.1〜1モルの範囲内となるように調整されることが望ましい。
【0079】
本発明において、上記水分散性樹脂(b1)は、反応性官能基(x)を有するものであることもできる。
【0080】
水分散性樹脂(b1)が、反応性官能基(x)を有する場合、その含有量としては、通常0.05〜0.5ミリモル/g樹脂、好ましくは0.1〜0.4ミリモル/g樹脂の範囲内であることができる。該水分散性樹脂(b1)における反応性官能基(x)としては、例えば、カルボニル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等を挙げることができる。
【0081】
本発明において、得られる多彩模様塗膜の耐水性、低汚染性などの点から、着色塗料粒子(B)に含まれる水性樹脂(b1)及び塗膜形成成分(C)に含まれる水性樹脂(c1)が共に反応性官能基(x)を有する場合、塗膜形成成分(C)が、該反応性官能基(x)と反応し得る反応性官能基(y)を有する架橋剤(c2)をさらに含有することが望ましい。
【0082】
本発明において塗膜形成成分(C)は、着色塗膜を形成するものであっても或いはクリヤー塗膜を形成するものであってもよく、着色塗膜を形成する場合には必要に応じて着色剤を含むことができる。
【0083】
塗膜形成成分(C)に含ませることができる着色剤としては、着色塗料粒子における着色剤として前記で例示したものの中から適宜選択して使用することができる。また、多彩模様塗膜の乾燥性向上、適度な艶、触感向上などの観点から、該塗膜形成成分(C)に前述の如き体質顔料を配合することが望ましい。
【0084】
塗膜形成成分(C)に着色剤及び/又は体質顔料を配合する場合、その合計配合量は、塗膜形成成分(C)中に含まれる樹脂固形分に対して、通常5〜300質量%、好ましくは10〜200質量%、さらに好ましくは15〜150質量%の範囲内であることができる。
【0085】
上記着色塗料粒子(B)と塗膜形成成分(C)の配合割合は、得られる多彩模様塗膜の意匠性、耐水性、低汚染性の点から、着色塗料粒子(B)/塗膜形成成分(C)の固形分質量比で、1/99〜60/40であり、好ましくは10/90〜50/50、さらに好ましくは20/80〜45/55の範囲内にすることができる。
【0086】
本発明において、水性多彩模様塗料から形成される多彩模様塗膜の耐水性を向上させるとともに、後述の粘性調整剤と共に水性多彩模様塗料の粘弾性を調整させ、塗装作業性を向上させる点から、水性多彩模様塗料はシリカ微粒子を含有することが望ましい。
【0087】
該シリカ微粒子は、結晶性であってもアモルファスであってもよく、その種類、製造方法に制限はなく従来公知のものを使用することができる。
【0088】
上記シリカ微粒子の平均粒子径の一例としては、例えば0.1〜30μm、好ましくは0.1〜15μmを挙げることができる。該0.1〜30μmの平均粒子径を有するシリカ微粒子は、一次粒子の凝集体を包含したものである。
【0089】
本明細書において、シリカ微粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱法によって測定される体積基準粒度分布のメジアン径(d50)である。
【0090】
本発明において、水性多彩模様塗料の塗装作業性および形成塗膜の耐水性の点から、上記シリカ微粒子の比表面積としては、30〜400m/g、好ましくは50〜250m/gの範囲内であることが望ましい。
【0091】
本明細書において比表面積は、シリカ微粒子1g当たりの全表面積(m2/g)を意味するものであり、BET法により窒素ガスの吸着等温線を測定することにより、算出されるものである。
【0092】
また、上記シリカ微粒子は、有機変性されたものであると、耐タレ性及び多彩模様塗膜の耐水性等の点から好適である。
【0093】
上記有機変性されたシリカ微粒子としては、鉱物由来あるいは合成系のシリカ微粒子の表面等にあるシラノール基にオルガノハロシラン、ジメチルシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、トリメトキシオクチルシラン、トリメチルシラン等を反応結合させて得られた化合物;シリカ微粒子と末端にヒドロキシル基を有するジメチルポリシロキサン又はジメチルハイドロジエンポリシロキサン等を混合して200〜300℃で加熱処理してシリカ微粒子表面にアルキルポリシロキサンを結合させて得られた化合物;シリカ微粒子表面にシリコーンオイルを気相吸着することにより得られる化合物等が挙げられ、これらは1種あるいは2種以上併用して用いることができる。
【0094】
上記有機変性されたシリカ微粒子において、該シリカ微粒子の炭素含有量としては0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%の範囲内にあることが多彩模様塗膜の耐水性、塗料製造時の安定性の点から望ましい。
【0095】
本明細書において炭素含有量は、JISZ2615金属材料の炭素定量方法に準じて、試料を酸素気流中で加熱し、炭素を二酸化炭素とし、これを水酸化ナトリウムに吸収させてその質量の増加を測定することにより算出されるものである。
【0096】
上記シリカ微粒子の含有量としては、着色塗料粒子(B)及び塗膜形成成分(C)に含まれる樹脂固形分100質量部を基準にして0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜15質量部の範囲内であることが多彩模様塗膜の耐水性と意匠性の両立の点から望ましい。
【0097】
また、水性多彩模様塗料は、塗装作業性、貯蔵安定性などの点から粘性調整剤を含むことが好適であり、中でも繊維素誘導体系化合物、ポリエーテル系化合物及びポリアクリル酸系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも2種の粘性調整剤を含むことが好適である。
【0098】
これにより、水性多彩模様塗料を適正な粘度及びチクソトロピックインデックスに調整することができ、スプレー塗装又はローラー塗装したとき、塗料をタレにくくさせ、しかも、ローラーによる塗り広げやすさ(ローラー配り性ということがある)を向上させることができる効果がある。
【0099】
繊維素誘導体系化合物としてはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
【0100】
ポリエーテル系化合物としては、プルロニックポリエーテル、ポリエーテルジアルキルエステル、ポリエーテルジアルキルエーテル、ポリエーテルウレタン変性物、ポリエーテルエポキシ変性物等が挙げられる。
【0101】
ポリアクリル酸系化合物としては、例えばカルボキシル基含有ビニル系単量体を含む単量体成分の共重合体などが挙げられ、これを塩基性物質で中和したものであってもよい。該ポリアクリル酸系化合物の酸価としては、30〜300mgKOH/g、好ましくは80〜280mgKOH/gの範囲内であることができる。
【0102】
上記粘性調整剤の合計の使用量としては、一般に水性多彩模様塗料に含まれる全樹脂固形分に対して有効成分が、0.01〜6質量%、特に0.05〜3質量%の範囲内であることが望ましい。
【0103】
本発明において、上記粘性調整剤は、会合型の粘性調整剤を含むことが、耐タレ性と平滑性を両立させる点から望ましい。
【0104】
会合型の粘性調整剤としては、水溶液中で自発的に分子が会合し、集合体を形成することができる化合物を挙げることができ、例えば、分子中に疎水基及び/又は親水基を含有する化合物を挙げることができる。このような分子の会合を促進するような疎水基としては例えば長鎖アルキル基が挙げられ、親水基としてはウレタン結合、ポリエーテル基等を挙げることができる。
【0105】
本発明において特に好適な粘性調整剤の組み合わせの具体例としては、繊維素誘導体系化合物とポリエーテル系化合物との組み合わせ、ポリアクリル酸系化合物とポリエーテル系化合物との組み合わせを挙げることができる。
【0106】
繊維素誘導体系化合物とポリエーテル系化合物との組み合わせの場合、両者の使用割合は、繊維素誘導体系化合物/ポリエーテル系化合物質量比で、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10の範囲内であることが好適である。
【0107】
ポリアクリル酸系化合物及びポリエーテル系化合物の組み合わせの場合、両者の使用割合は、ポリアクリル酸系化合物/ポリエーテル系化合物質量比で、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10の範囲内であることが好適である。
【0108】
上記水性多彩模様塗料は、以上に述べたフッ素化樹脂(A)、着色塗料粒子(B)、塗膜形成成分(C)及び上記その他成分以外に必要に応じて塗料用添加剤を含ませることができる。
【0109】
該塗料用添加剤としては、着色塗料粒子(B)について前記で説明した如き中和剤、バルーン粒子、沈降防止剤、帯電防止剤、軟化剤、抗菌剤、香料、硬化触媒、pH調整剤、調湿剤、粉状もしくは微粒子状の活性炭、光触媒酸化チタン、水性撥水剤、分散剤、消泡剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、造膜助剤、亜鉛ウィスカ、硬化促進剤、アルデヒド吸着剤、ワックス、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム等の難燃化剤などが挙げられる。
【0110】
また、ケイ酸塩、金属ケイ酸塩、モンロリロナイト、有機モンモリロナイト、コロイド状アルミナ、ヘクトライト及びベントナイトなどの粘土鉱物等の無機系化合物;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルベンジルアルコール共重合物等のポリビニル系化合物;カゼイン酸ソーダ、カゼイン酸アンモニウム等のタンパク質誘導体;ビニルメチルエーテルー無水マレイン酸共重合物の部分エステル、乾性油脂肪酸アリルアルコールエステル−無水マレイン酸の反応物のハーフエステル等の無水マレイン酸共重合体などの上記以外の公知の粘性調整剤も使用することができる。
【0111】
上記水性多彩模様塗料は、塗料固形分が15〜45質量%、特に20〜40質量%の範囲内であることが、耐タレ性及び塗面平滑性、さらには多彩模様塗膜の耐水性などの点から好適である。
【0112】
塗装方法
本発明の水性多彩模様塗料は、基材表面に塗装することにより、多彩な意匠性を有し、耐水性、低汚染性等の性能に優れた保護塗膜を形成せしめることができる。
【0113】
本発明の水性多彩模様塗料を適用することができる基材表面としては、例えば、石膏ボード、コンクリート壁、モルタル壁、スレート板、PC板、ALC板、セメント珪酸カルシウム板、木材、石材、プラスチック成形物、金属加工材等の基材の表面、これら基材上に設けられたアクリル樹脂系、アクリルウレタン樹脂系、ポリウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコンアクリル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系等の塗膜面、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、紙、布等の材質からなる壁紙面などを挙げることができる。
【0114】
本発明の水性多彩模様塗料の塗布量は、使用する塗料組成物の組成や塗布すべき基材の種類などに応じて変えることができるが、1回あたり通常100〜1,000g/m、好ましくは150〜700g/mの範囲内とすることができる。また、塗膜外観を損なわない範囲で複数回塗り重ねてもよい。
【0115】
本発明の水性多彩模様塗料の塗装はそれ自体既知の塗装手段を用いて行うことができ、例えば、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、リシンガン、万能ガン、ハケなどの塗装器具を用いて行うことができる。また、ローラーを使用する場合は、ウールローラー、砂骨ローラー等を使用することができる。
【0116】
形成塗膜の乾燥は、使用した塗料組成物の組成などに応じて、加熱乾燥、強制乾燥又は常温乾燥のいずれかの方法で行うことができる。
【0117】
本発明の水性多彩模様塗料は、例えば、保護塗膜用として、基材表面に、予め下塗り塗料を塗装した後、形成される下塗り塗面上に本発明の水性多彩模様塗料を塗装することができる。
【0118】
上記下塗り塗料としては、基材表面の種類や状態などに応じて適宜選択することができ、例えば、シーラー、下地調整材等の下塗り塗料を使用することができる。また、通常の上塗り塗料を本発明の塗料組成物の下地形成用塗料として塗装することも可能である。
【0119】
かかる下地形成用の上塗り塗料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド系樹脂等の樹脂種よりなる水系又は溶剤系の樹脂を樹脂バインダーとして含んでなる塗料を挙げることができ、水系の樹脂を含んでなる塗料を使用することが好ましい。
【0120】
下塗り塗料を塗装する場合、必要に応じて、2種以上の下塗り塗装を重ねて行うこともできる。
【0121】
上記下塗り塗料の塗装は、それ自体既知の塗装手段を用いて行なうことができ、例えば、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、リシンガン、万能ガン、ハケなどの塗装器具を用いて行うことができる。
【0122】
上記下塗り塗料の塗布量は、塗装する基材の種類などに応じて変えることができるが、通常1回あたり50〜2,000g/m2、好ましくは70〜1,000g/mの範囲内とすることができる。
【0123】
形成される下塗り塗膜の乾燥は、用いた下塗り塗料の種類などに応じて、加熱乾燥、強制乾燥又は常温乾燥のいずれかの方法で行うことができる。
【0124】
本発明の水性多彩模様塗料を用いれば、多彩な意匠性を有し、塗面平滑性、仕上がり性、耐水性、低汚染性等に優れた保護塗膜を形成せしめることができるが、本発明の水性多彩模様塗料の塗膜上には、必要に応じて、それ自体既知の上塗り塗料をさらに塗装してもよい。
【実施例】
【0125】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、下記例中の「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0126】
フッ素化樹脂溶液の製造
製造例1
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル70部を仕込み、撹拌しながら110℃まで昇温した後、四つ口フラスコ内液の温度を110℃に保ったまま下記に示す単量体、溶媒及び重合開始剤の混合物を滴下ポンプを利用して3時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後1.5時間110℃に保ち、その後、追加の重合開始剤0.5部をプロピレングリコールモノメチルエーテル10部に溶解させた開始剤溶液を1.5時間かけて一定速度で滴下し、さらに3時間110℃に保ち、撹拌を続け、フッ素化樹脂溶液(A−1)を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は約4,200、酸価は78mgKOH/gであった。また、不揮発分含有率は43%であった。
CH=CHCOOCHCH 20部
アクリル酸 10部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 70部
tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート 1.5部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 50部。
【0127】
製造例2
上記製造例1において、滴下する混合物の組成を下記とする以外は製造例1と同様にしてフッ素化樹脂溶液(A−2)を製造した。得られた樹脂の重量平均分子量は約7800であり、酸価は39mgKOH/gであった。また、不揮発分含有率は43%であった。
CH=CHCOOCHCH17 15部
アクリル酸 5部
アクリロイルモルホリン 55部
N,N−ジメチルアクリルアミド 5部
スチレン 20部
tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート 0.5部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 50部。
【0128】
着色塗料粒子及び塗膜形成成分用のエマルションの製造
製造例3
容量2リットルの4つ口フラスコに、脱イオン水285部及び「ニューコール707SF」(注1)1部を加え、窒素置換後、85℃に保った。その中に、下記組成の成分をエマルション化してなるプレエマルションの3%分と、過硫酸アンモニウム3部を脱イオン水120部に溶解させた開始剤水溶液123部のうちの41部とをそれぞれ添加し、添加20分後から、残りのプレエマルションと残りの開始剤水溶液とを4時間かけてフラスコに滴下した。
脱イオン水 368部
スチレン 150部
メチルメタクリレート 413部
n−ブチルアクリレート 240部
2−エチルヘキシルアクリレート 150部
ダイアセトンアクリルアミド 20部
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 5部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 20部
アクリル酸 2部
「ニューコール707SF」(注1) 66部
滴下終了後、これをさらに2時間85℃に保持した後、40〜60℃に降温した。次いで、アンモニア水でpHを調整し、固形分が55%のエマルション(e1)を得た。エマルション(e1)の平均粒子径は170nm、pHは8.3であった。
(注1)「ニューコール707SF」、商品名、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性乳化剤、有効成分30%。
【0129】
多彩模様塗料用水性クリヤー塗料の製造
製造例4
1リットルのステレンス容器に下記の成分を仕込み、攪拌機にて30分間攪拌混合することにより、固形分50%の水性クリヤー塗料(C1)を得た。
55%エマルション(e1) 750部
「TEXANOL」(注2) 50部
水 279部
「タルク SS」(注3) 250部
「SNデフォーマー380」(注4) 10部
「アデカノールUH−438」(注5) 6部。
【0130】
(注2)「TEXANOL」:イーストマンケミカル社製、2,2,4−トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、造膜助剤、
(注3)「タルク SS」:商品名、日本タルク社製、タルク、
(注4)「SNデフォーマー380」:商品名、サンノプコ社製、消泡剤、
(注5)「アデカノールUH−438」:商品名、旭電化社製、ポリエーテルウレタン変性物、粘性調整剤。
【0131】
着色塗料粒子用の白顔料ペーストの製造
製造例5
1リットルのステンレス容器に下記の成分を仕込み、ディスパーで30分間均一になるまで攪拌することにより、白顔料ペーストを得た。
水 45部
「スラオフ72N」(注6) 3部
「DISPER BYK−190」(注7) 6部
「SNデフォーマー380」(注4) 3部
「チタンJR−605」(注8) 100部。
(注6)「スラオフ72N」:商品名、武田薬品工業(株)製、防腐剤
(注7)「DISPER BYK−190」:商品名、BYKケミー社製、分散剤。
(注8)「チタンJR−605」:商品名、テイカ社製、チタン白。
【0132】
着色塗料粒子用の青顔料ペーストの製造
製造例6
1リットルのステンレス容器に下記の成分を仕込み、ディスパーで30分間均一になるまで攪拌することにより、青顔料ペーストを得た。
水 65部
モノエチレングリコール 5部
「スラオフ72N」(注6) 1部
「DISPER BYK−190」(注7) 6部
「SNデフォーマー380」(注4) 2部
フタロシアニンブルー 25部。
【0133】
着色塗料粒子用の赤錆顔料ペーストの製造
製造例7
1リットルのステンレス容器に下記の成分を仕込み、ディスパーで30分間均一になるまで攪拌することにより、赤錆顔料ペーストを得た。
水 65部
モノエチレングリコール 5部
「スラオフ72N」(注6) 1部
「DISPER BYK−190」(注7) 6部
「SNデフォーマー380」(注4) 2部
酸化鉄 30部。
【0134】
着色塗料粒子用黒顔料ペーストの製造
製造例8
1リットルのステンレス容器に下記の成分を仕込み、ディスパーで30分間均一になるまで攪拌することにより、黒顔料ペーストを得た。
水 65部
モノエチレングリコール 5部
「スラオフ72N」(注6) 1部
「DISPER BYK−190」(注7) 6部
「SNデフォーマー380」(注4) 2部
カーボンブラック 25部。
【0135】
着色塗料粒子用の水性塗料組成物の製造
製造例9
容器に下記の成分を順次配合し、均一となるように攪拌混合して、着色塗料粒子用の水性塗料組成物(a−1)を得た。
白顔料ペースト 154部
55%エマルション(e1) 250部
「TEXANOL」(注2) 20部
「SNデフォーマー380」(注4) 2部
「アデカノールUH−438」(注5) 2部
2%アルギン酸ナトリウム水溶液 280部。
【0136】
製造例10〜15
上記製造例9において、配合組成を下記表1に示す配合組成に変える以外は製造例9と同様にして、水性塗料組成物(a−2)〜(a−6)を製造した。
【0137】
【表1】

【0138】
着色塗料粒子の製造
製造例16
4リットルステンレス容器に、0.15%水酸化カルシウム(注9)水溶液を1,300部仕込み、75mmの径を有する攪拌羽根を用いて回転速度2,500rpmで攪拌しながら、上記で得られた水性塗料組成物(a−1)650部を徐々に容器内に滴下し、着色塗料粒子を生成させた。次いで容器内液を同回転速度でさらに15分攪拌した後、200メッシュの金網を用いて濾別し、着色塗料粒子(B−1)を得た。得られた着色塗料粒子(B−1)は、目視による色が白色であり、固形分が20%であった。
(注9) 水酸化カルシウム:25℃の水100gに対して0.15g溶解。
【0139】
製造例17
4リットルステンレス容器に、水酸化カルシウム24部と脱イオン水1,200部を仕込み、75mmの径を有する攪拌羽根を用いて回転速度1500rpmで攪拌しながら、上記水性塗料組成物(a−2)600部を徐々に容器内に滴下し、着色塗料粒子を生成させた。次いで容器内液を同回転速度でさらに15分攪拌した後、200メッシュの金網にて濾別し、着色塗料粒子(B−2)を得た。得られた着色塗料粒子(A−2)は、目視による色が白色であり、固形分が20%であった。
【0140】
製造例18〜21
製造例16において、水性塗料組成物(a−1)の代わりに下記表2に示す水性塗料組成物を使用する以外は上記製造例16と同様にして、着色塗料粒子(B−3)〜(B−6)を得た。
【0141】
【表2】

【0142】
水性多彩模様塗料の製造
実施例1〜7及び比較例1
500ミリリットルのステレンス容器に、下記表3に示す成分を順次攪拌しながら仕込み、その後、均一になるまで攪拌することにより、多彩模様塗料(I−1)〜(I−8)を得た。
【0143】
【表3】

【0144】
(注10) 「HDK−H20」:商品名、旭ワッカー社製、シリカ微粒子、比表面積170m/g、炭素含有量1.1質量%、平均粒子径1.0μm、
(注11) 2%ヒドロキシエチルセルロース水溶液:和光純薬社製、ヒドロキシエチルセルロースを濃度が2%となるように脱イオン水に溶解させ調製した水溶液、
(注12) 「プライマルASE−60」:商品名、ローム・アンド・ハース社製、ポリアクリル酸系粘性調整剤、酸価270mgKOH/g、有効成分28%、
(注13) 「プライマルTT−615」:商品名、ローム・アンド・ハース社製、長鎖アルキル基含有ポリアクリル酸系粘性調整剤、有効成分30%。
【0145】
塗装
スレート板(150×70×3mm)上に、「EPシーラー透明」(関西ペイント社製、水系アクリルエマルション系シーラー)を塗布量が100g/mになるようにローラー塗装し乾燥させた後、「ビニデラックス300」(関西ペイント社製、JIS K 5663 1種適合アクリルエマルション系塗料)を塗布量が100g/mになるようにローラー塗装し、気温20℃、相対湿度60%の条件下で1日間乾燥させたものを被塗板とし、この上に各多彩模様塗料を塗布量が350g/mになるように砂骨材レギュラーローラー細目(大塚刷毛社製、サイズ7inch)で塗装した。その後、気温23℃、相対湿度60%の条件下で7日間乾燥して、各試験塗板を得た。
【0146】
評価試験
得られた各試験塗板を下記試験に供した。結果を表3にあわせて示す。
(*1)意匠性
各試験塗板の塗膜を目視で観察し、次の基準で評価した。
◎:多彩な意匠感、質感が十分あり、非常に良好、
〇:多彩な意匠感、質感があり、良好、
△:模様ムラが認められ、やや不良、
×:ワレやチヂミなどの塗膜欠陥あり。
(*2)耐水性
各試験塗板を23℃の上水に7日間浸漬し、引き上げた後、目視で観察し、次の基準で評価した。
○:良好、
△:艶引け、白化、フクレが認められる、
×:著しくフクレが認められる、又は塗膜が軟化する。
(*3)屋外曝露汚染性
各試験塗板を東京都内で3ケ月間屋外暴露を行ない、暴露後の汚れの付着した状態での塗膜表面の汚れ度合を暴露を行っていない塗装板と比較し下記基準で評価した。
〇:汚れが目立たない、△:汚れが認められるが実用レベル、×:汚れが著しい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素化樹脂(A)、着色塗料粒子(B)並びに塗膜形成成分(C)を含む水性多彩模様塗料であって、フッ素化樹脂(A)が、フッ素含有重合性不飽和モノマー(a1)及び親水性基含有重合性不飽和モノマー(a2)を共重合成分として含有し、親水性基含有重合性不飽和モノマー(a2)の共重合量が、フッ素化樹脂(A)の製造に使用される全重合性不飽和モノマー中30質量%以上であることを特徴とする水性多彩模様塗料。
【請求項2】
フッ素化樹脂(A)が、
フッ素含有重合性不飽和モノマー(a1)1〜50質量%、
親水性基含有重合性不飽和モノマー(a2)30〜95質量%及び
その他の重合性不飽和モノマー(a3)0〜69質量%
を共重合成分として含有する請求項1記載の水性多彩模様塗料。
【請求項3】
着色塗料粒子(B)が、水性樹脂(b1)、着色剤(b2)及び水溶性多糖類を含む水性塗料組成物を、金属イオンを含有する水性媒体と接触させることにより得られるものである請求項1または2に記載の水性多彩模様塗料。
【請求項4】
金属イオンの供給源となる金属化合物が、金属水酸化物、金属酸化物及び金属炭酸塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の水性多彩模様塗料。
【請求項5】
着色塗料粒子(B)が、水性樹脂(b1)及び着色剤(b2)を含んでなる反応性官能基(x)を含有する水性塗料組成物を含有してなり、且つ塗膜形成成分(C)が、反応性官能基(x)と反応し得る反応性官能基(y)を有するものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水性多彩模様塗料。
【請求項6】
被塗面に、下塗り塗膜を介して又は介さずに請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水性多彩模様塗料を塗装する塗装方法。

【公開番号】特開2007−321044(P2007−321044A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152236(P2006−152236)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】