説明

水性研削・切削液の電気分解処理方法

【課題】切削や研磨機械加工に防錆剤や防腐剤を水に混ぜ合わせて使用する必要がなく、しかも切削性が向上する水性研削・切削液の電気分解処理方法の提供。
【解決手段】対象とする水性研削・切削液中に、一対の交流電極板と2つの接地電極板を挿入し、該交流電極に交流電源を通電させて高周波交流により電気分解処理を行うに際し、交流の発振周波数約5〜100KHzを中心に変動幅±3〜5KHzのFM変調をかけ、ランダム信号発生器を内蔵した装置で、ゆるやかな上下周波数変動中に急激に周波数上昇又は下降の変化する部分をもたらすことによって電界干渉を発生させ衝撃波を作り、上記電気分解により発生する水素量を多くするとともにナノバブルまで小さくした酸素を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気分解処理により水性研削液及び水性切削液を殺菌し、腐敗を防止して異臭の発生を防止するとともに、金属の加工性を向上させる水性研削・切削液の電気分解処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気分解による水処理方法としては、いずれも処理対象の水中に配置した1対の印加電極に交流電極を交互に印加して水の酸化還元電位を下げることによって水を汚染している有機物、無機物の凝集沈殿あるいは浮揚等を促進して水の改質処理をなすものや、交流電解により水素、酸素の微細バブルを発生させ、これが水中に溶存して除菌力を示すとともに、電極周辺に発生する活性酸素によっても除菌力がえられるようにしたものが知られている (特許文献1〜4)。
【0003】
しかしながら、上述のごとき従来の水処理方法にあっては、長時間水処理を続けるうちに印加電極及び接地電極にスケールが吸着して電極電流値が低下し、処理効率が低下する場合があり、長時間に亘る安定した水処理に解決すべき課題を有していた。
【0004】
また、電気分解により発生する水素、酸素の微細バルブは、従来の方法では、交流周波数を高周波化し微細なバブルを発生させることが出来るが、例えば30KHz(中心周波数30KHz)、3〜5KHzの変調で発生バブルの実測値は粒子直径が0.5?程度であったため、錆止め、切削加工中に放出する冷却水は発生した微細バブルの水中滞留時間が限られ、持続時間も短いものであった。
【0005】
このような問題を解決するものとして、本発明者は先に、電気分解により発生する水素、酸素の気泡の大きさをナノ単位まで微細化させたナノバブルとし、長時間にわたって殺菌効果が持続する水に対する殺菌性付加処理方法を開発し、切削加工機から排出される水溶性切削液に対して腐敗菌を減少させる効果があることを確認した。
た(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2615308号公報
【特許文献2】特許第3325081号公報
【特許文献3】特許第2623204号公報
【特許文献4】特許第4296036号公報
【特許文献5】特開2010−207778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した本発明者による水に対する殺菌性付加処理方法(特許文献5)では、電気分解により発生する水素、酸素の気泡がナノバブルまで微細化され、長時間にわたって殺菌効果を持続する点においては優れているが、長時間にわたって殺菌効果が持続させるために水に、防錆剤や防腐剤を水に混ぜ合わせて使用していた。その結果、原料コストが高くなるとともに、防錆剤や防腐剤が混合された水は、環境の負荷になり、作業者の健康にも有害となるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題にかんがみ、切削や研磨機械加工に防錆剤や防腐剤を水に混ぜ合わせて使用する必要がなく、しかも切削性が向上する水性研削・切削液の電気分解処理方法の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述のごとき従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、対象とする水性研削・切削液中に、一対の交流電極板と2つの接地電極板を挿入し、該交流電極に交流電源を通電させて高周波交流により電気分解処理を行うに際し、交流の発振周波数約5〜100KHzを中心に変動幅±3〜5KHzのFM変調をかけ、ランダム信号発生器を内蔵した装置で、ゆるやかな上下周波数変動中に急激に周波数上昇又は下降の変化する部分をもたらすことによって電界干渉を発生させ衝撃波を作り、上記電気分解により発生する水素量を多くするとともにナノバブルまで小さくした酸素を発生させることを特徴としてなる水性研削・切削液の電気分解処理方法にある。
【0010】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記一対の交流電極板と2つの接地電極板を、それぞれ平板状板材を90度に折り曲げて、該90度の角度で互いに隣り合う一対の半電極板部を一体に有する形状の電極板を4枚使用し、前記各電極板をその折り曲げ部を中央側に向けて各半電極板部が放射状に向く配置に並べ、同一円周方向に互いに隣り合う電極板を、定期的に前記交流電極と接地電極とに切り換えることにある。
【0011】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記処理対象水中に、前記電極板の1又は複数の近傍又は該電極板に支持させて、アルミニウム合金板を挿入した状態で前記電気分解処することにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る水性研削・切削液の電気分解処理方法においては、対象とする水性研削・切削液中に、一対の交流電極板と2つの接地電極板を挿入し、該交流電極に交流電源を通電させて高周波交流により電気分解処理を行うに際し、交流の発振周波数約5〜100KHzを中心に変動幅±3〜5KHzのFM変調をかけ、ランダム信号発生器を内蔵した装置で、ゆるやかな上下周波数変動中に急激に周波数上昇又は下降の変化する部分をもたらすことによって電界干渉を発生させ衝撃波を作り、この衝撃波によって電気分解により発生した水素・酸素の泡は高周波と衝撃波によりナノバブルにまで小さくなり、実測値で100nm以下の微少バブルになる事が判明した。
【0013】
この事によりバブルの水中での滞留時間が長くなり、これに比例してバブルが水中に溶融しているシリカと反応する時間も長くなり、シリカを除去する能力が増大した。
【0014】
このバブルを含んだ水は殺菌力があり、水性研削・切削液の無臭化の効果がある。このたため、環境の負荷が大きいクーラント液等の薬品が不要となる。
【0015】
また、本発明では、一対の交流電極板と2つの接地電極板からなる4枚の電極とし、前記一対の交流電極板と2つの接地電極板を、それぞれ平板状板材を90度に折り曲げて、該90度の角度で互いに隣り合う一対の半電極板部を一体に有する形状の電極板を4枚使用し、前記各電極板をその折り曲げ部を中央側に向けて各半電極板部が放射状に向く配置に並べたことにより、従来形の3枚電極に比べ、流す電流は同じであり、酸素発生量も同等であるが、水素発生量は3枚電極の1.5倍近くなり、防錆効果は大きい。
【0016】
これは接地電極の表面積が3枚電極の2倍になった為、単位面積当たりの水素発生量は少なくても面積が増加した分バブル数が増加したものである。実測20分間の処理で3枚電極では27,000mg/lであったが本発明では54,000mg/lと2倍であった。
【0017】
また、本発明方法によれば、一対の交流電極板と2つの接地電極板からなる4枚の電極とし隣り合う電極板を、定期的に前記交流電極と接地電極とに切り換えることにより、長時間の使用であっても印加電極へのスケール付着はほとんど無く、従って長時間に亘って安定した水処理が可能である。
【0018】
更に本発明では、前記処理対象水中に、前記電極板の1又は複数の近傍又は該電極板に支持させて、アルミニウム合金板を挿入した状態で前記電気分解処することにより、水性研削・切削液として使用するためにろ過処理した際のフィルターで取り除くことができないシリカ成分が除去される。切削液中のシリカを取り除くことにより、切削物の表面粗さが減少し、切削面精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の水処理方法に用いられる水処理装置の一実施例に於ける回路図である。
【図2】本発明方法に使用する電極配置の一例を示す斜視図である。
【図3】同上の制御回路から送出される制御周波数の変化を示すグラフである。
【図4】切削加工機から排出される水溶性切削液に対して本発明を実施した結果を示すグラフである。
【図5】3極電極と4極電極の酸素量の差を表すグラフである。
【図6】3極電極と4極電極の水素量の差を表すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の水性研削・切削液の電気分解処理方法の実施の一例を添付図面を参照しつつ更に詳細に説明する。図1は、本発明の水性研削・切削液の電気分解処理方法を実施する装置の回路図であり、水性研削・切削液を収容する水槽1内の水中に4つの電気分解を起こす白金メッキ板からなる電極板2A,2B,2C、2Dが配置されている。
【0021】
この4つの電極は2つの電極が接地電極となり他電極2つが交流電極となるようになっており、これらの電極はクリーニングのために3〜5分毎に切り換えられるようになっている。
【0022】
電極板2A,2B,2C、2Dは、図2に示すように、それぞれ平板状板材を90度に折り曲げて、該90度の角度で互いに隣り合う一対の半電極板部20a,20bを一体に有する形状とし、前記各電極板をその折り曲げ部20cを中央側に向けて各半電極板部20a,20bが放射状に向く配置に並べ、同一円周方向に互いに隣り合う半電極板20a,20bの表面が間隔を隔てて向き合う配置としている。
【0023】
電極板2A,2B,2C、2Dの下側には銅板19が、これら電極板と接触しない位置に設置されている。また、電極板2A,2B,2C、2Dには、アルミニウム・マグネシウム合金からなるアルミニウム合金板18がその一部に固定されている。このアルミニウム合金板18は、必ずしも電極に支持させる必要はなく、その近傍におかれていてもよい。
【0024】
上記印加電極2A,2B,2C、2Dと直流電源3の間には可変抵抗4を介して、直流電源からの直流電流を高周波の交流に変換して印加電極2A,2B,2C、2Dの2つに交流電圧を与え2つは接地電極とする。高周波スイッチ5A,5Bにデータセレクタ10より高周波交流2本と直流1本が接続されているが、カウンタ分周器17によりデータセレクタ20の出力切替を行い、接地電極と交流電極を交換し接地電極を交流電極に切り換えることにより、電極に付着したスケールを取りはらっている。
【0025】
高周波スイッチ6A,6Bと高周波スイッチ7A,7Bは抵抗9A,9Bそれぞれを介して当該データセレクタ20を経て高周波切換指令を与えるFF回路よりなる高周波切り換え回路10が接続され、この高周波切換指令回路10には制御信号に応動して発振周波数が変化する電圧制御発信器(VCO)からなる高周波発振回路11が接続されている。この高周波発振回路11にはランダム電圧発生器を内蔵した制御回路12が接続されている。
【0026】
高周波発振回路11は可変周波数の発振回路であって、電圧制御発信器(VCO)に与えられる制御信号の電圧値によってその発振周波数が制御される。このときの周波数の変動幅は、例えば、中心周波数(30KHz)の上下に3〜5KHzとしている。尚、この周波数の変動は、5mS〜10mSで山・谷間又は山〜山間を100〜300mS毎に発生させることが好ましい。
【0027】
制御回路12は前期発振回路11へその発振周波数を制御するための制御電圧を供給するものである。この制御回路12はランダム信号発生器を内蔵していて、それが発生するランダム信号に応じて電圧値の変化する制御信号を出力する。図中のシストレジスタ(SFR)13は16ステージ構成のものであり、その蓄積情報は端子Q0〜Q15より並列に読み取ることが出来るように構成されている。このシフトレジスタ13のシフト動作はシフトレジスタ13の端子CKにパルス発生器(PG)14より供給されるシフトパルスによって制御される。パルス発生器14が反転動作を行い、反転する毎に図2の「i」部分の急激な周波数変動を行っている。
【0028】
ゲートGTは両入力端子に入力される信号が同一であれば"1"、相違すれば"0"の信号を出力する。所謂排他的論理和動作を行うゲートであり、一致検出回路として作用する。このゲートGTの入力端子の一方には前期シフトレジスタSFRの偶数ステージ、例えば、第6ステージの端子Q6より出力される信号が、また、他方には奇数ステージ、例えば、第9ステージの端子Q9より出力される信号が各々入力される。このゲートGTによる一致検出の結果はシフトレジスタSFRの端子Dより最下位の第0ステージへ入力される。この情報を逐次上位へシフトして行くことによってシフトレジスタ13内に乱数情報が蓄えられる。
【0029】
このシフトレジスタ13内に蓄えられた乱数情報は、適当に選択された約半数のステージから抵抗器1によって取り出される。本実施例に於いては、第1、第3、第8、第10、第12〜15の各ステージから信号を取り出している。抵抗器rはこれら各ステージの端子Q1、Q3、Q8、Q10、Q12〜Q15を共通の接続点Aに接続している。この接続点Aは発振回路11を構成する電圧制御発振器(VCO)に接続されている。また一方、電圧制御発振器(VCO)はパルス発生器(PG)14に接続されている。
【0030】
従って、これら各ステージに蓄積された乱数情報のパターンが変化すると、高レベルと低レベルとに接続される抵抗器rの合成値が夫々変化するため、接続点Aの電圧がこれに応じて変動してランダム信号が作成される。接続点Aの電圧は抵抗R1とコンデンサC1によりゆるやかな変動になるが、パルス発生器14からの信号により急激な上下変動が起こる。この動作はCPUにより再現できる。
【0031】
パルス発生器14は例えば5Hzを中心周波数とする連続パルスを送出するパルス発生器であって、電圧制御発振器(VCO)に入力される信号の電圧値に従って繰返しパルスの周期が変化するように構成されている。この周波数の変動範囲は中心周波数の上下に夫々数KHz程度のものとなっている。このパルス発生器14のA端子には、前記接続点Aの電圧が抵抗器R5を介して与えられる。従って、このパルス発生器14はシフトレジスタSFRによるランダム信号に応じてそのパルス繰返し周期が変動することになる。シフトレジスタSFRはこのパルス発生器14の出力をシフトパルスとして用いている。従って、電圧制御発振器(VCO)に出力される制御信号はその電圧値、変動周期共に全くランダムに変化することになるとともに、抵抗R5とコンデンサC4により、接続点Aの出力が図3に示す急変化部分「i」を作り出している。
【0032】
ここで、この制御回路12に於いては制御信号をシフトレジスタ13の約半数のステージに蓄積された乱数情報のパターンを利用して作成しており、その採用ステージにも偏りがあり、更に前述のようにシフトレジスタ13の入力情報として、偶数、奇数の各々から1ステージずつ選ばれた情報の一致検出結果を用いているため、ゆるやかな変動電圧値が急上昇して急降下するような極めて変動の激しい部分が頻繁に現れ、この時に衝撃波が発生する。水中での衝撃波の測定は難しいため、空気中で超音波帯域のスピーカーを接続し、スピーカーの入力電圧は一定のレベルで変動はないが、1m離れた地点で超音波の音圧を測定すると、音圧計の指針は大きく急激に振れ約10〜20dbの変動があり、衝撃波の発生が確認できる。なお、水中では、処理中の水のステンレス容器外側でも微弱ながら振動を確認できる。また、短期間で同一の変化パターンを繰り返すようなことはない。
【0033】
上述のように構成された水処理装置の直流電源3のスイッチがオンされると、該制御回路12が上述のように動作してランダム信号に対応した制御信号が高周波発振回路11に送出され、発振周波数が制御されてランダムに変化する。そして高周波発信回路から高周波切換指令回路10にランダムに変化する高周波信号が与えられる。高周波切換指令回路10にランダムな高周波信号が与えられると、当該高周波切換指令回路から高周波の切換指令が出され、第1、第2と1つの接地信号が高周波スイッチ5A、5Bに与えられ一対の交流信号が高周波スイッチでON、OFFされ、ランダムに変化する高周波交流が形成され、水中に配置されている電極板2A、2B、2C、2Dの一対に交互に印加され2つの電極は接地されるほか、銅板19は電極に接続されていないが、微小な電流が流れ、溶解される。
【0034】
ここで、高周波発振回路11から送出される発振周波数は、図3に示すようにその電圧値及びその電圧値の持続時間が全くランダムに変化するとともに、電圧値が急上昇してから急降下する極めて激しく変動する部分を頻繁に含んでいる。
【0035】
高周波発信回路11から送出される高周波発振周波数がランダムに変動する本発明方法と変動しない従来方法を電源電圧40V以下で水道水に適用して比較してみたところ、本発明方法に於ける電極表面への白い付着物は従来方法よりも顕著に少ないことが肉眼で確認されたほか、電極の底の部分に電気分解により析出された沈殿物が落ちていることが確認された。
【0036】
本発明方法(4電極)と、特許文献1に示されている3電極との酸素及び水素の発生量を比較した結果、酸素発生量は図5に示すように、違いがなかった。
【0037】
一方磯発生量は、図6に示すように、本発明による4電極がはるかに多量の水素発生が確認できた。
抗菌力試験
【0038】
試験方法:200mlの精製水をビーカーに取り、装置を取り付けて30分通電した。この水をサンプルとし、対照に精製水を用いた。減菌試験管に試験液9mlを取り、そこへ手よりの分離菌(gram陽性 球菌)1ml加えよく混合し、37℃恒温とした。
【0039】
この試験液を2時間、24時間後標準寒天及びPotato dextroseで生菌数を測定した。結果は表1に示す如くであった。
表1

腐敗菌試験
【0040】
切削加工機から排出される水溶性切削液に対して本発明を実施した結果、図4に示す如くであった。
【0041】
この試験結果から腐敗菌への効果が大きいことが判明した。

切削加工精度の向上
【0042】
本発明方法による研削及び切削水を使用すると、研削、切削の加工面の精度が向上することが実験によって判明した。
【0043】
通常使用する水道水などの水に含まれているSi元素は、ケイ酸イオンSiO2−及びコロイド状シリカSiOの状態であり、0.1μのフィルターを使用することによってコロイド状シリカSiO大部分は除去されるが、それより小さい微小なシリカはフィルターでは取り除けない。
【0044】
本方法においては、電極近傍にアルミニウム合金板を置くことにより、アルミニウム合金板が溶解し、ケイ酸イオンSiO2−を吸着して共沈する。このようにしてシリカを共沈させることによって切削液中のシリカが除去され、これによって切削面の粗さが小さくなり、面精度が向上する。
【0045】
上述のごとく、本発明方法によれば、印加電極及び接地電極への付着物が生じ難く、従って長時間に亘って安定した処理が可能となった。また、本発明によれば、コンパクトで効率的、かつ安価な装置によって実施が可能であり、設備費のコストダウンが図られる。
【0046】
このほか、交流電極反転により、水素、酸素のバブルが小さくなり、交流周波数を変えることにより調整できる。衝撃発生により、バブル発生量が調整でき、また、処理時間の調整によってもバブル発生量が調整できる。
【0047】
尚、低周波交流で除菌データを調べた結果、効果はなかった。その原因はバブルの大きさが100μmと大きいためであった。例えば30KHzで0.5〜0.1μmのバブルを発生させることができ、2リットルの水を20分処理することで酸素・水素のバブル数は27,000/mlが計測され、この処理水は24時間経過後にバブルを計測して26,000/mlと減衰量は少ない。8リットルの水を6時間処理すると酸素・水素のバブル数は844,000/mlと非常に大量になる。
【0048】
また、2リットルの水を30KHzで20分処理した場合のバブル数27,000/mlが、衝撃波変調有りでは54,000/mlと大量になる。バブルの大きさは0.5〜0.1μmと変化はなかった。
【符号の説明】
【0049】
1 水入り容器
2A,2B, 電極板
3 直流電源
4 可変抵抗
5A,5B 第1、第2高周波スイッチ
6A,6B,7A,7B, トランジスタ
9A,9B, 抵抗
10 フリップフロップ(FF)、高周波切り換え回路
11 高周波発振器
12 制御回路
13 シフトレジスタ
14 パルス発生器
18 アルミニウム合金板
19 銅板
20a,20b 半電極板部
20c 折り曲げ部
A 接続点
C1,C2,C3,C4 コンデンサ
R5、R4、R1、R2、R3、R6 抵抗
Tr1 トランジスタ
VR1 可変抵抗器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象とする水性研削・切削液中に、一対の交流電極板と2つの接地電極板を挿入し、該交流電極に交流電源を通電させて高周波交流により電気分解処理を行うに際し、交流の発振周波数約5〜100KHzを中心に変動幅±3〜5KHzのFM変調をかけ、ランダム信号発生器を内蔵した装置で、ゆるやかな上下周波数変動中に急激に周波数上昇又は下降の変化する部分をもたらすことによって電界干渉を発生させ衝撃波を作り、上記電気分解により発生する水素量を多くするとともにナノバブルまで小さくした酸素を発生させることを特徴としてなる水性研削・切削液の電気分解処理方法。
【請求項2】
前記一対の交流電極板と2つの接地電極板を、それぞれ平板状板材を90度に折り曲げて、該90度の角度で互いに隣り合う一対の半電極板部を一体に有する形状の電極板を4枚使用し、前記各電極板をその折り曲げ部を中央側に向けて各半電極板部が放射状に向く配置に並べ、同一円周方向に互いに隣り合う電極板を、定期的に前記交流電極と接地電極とに切り換える請求項1に記載の水性研削・切削液の電気分解処理方法。
【請求項3】
前記処理対象水中に、前記電極板の1又は複数の近傍又は該電極板に支持させて、アルミニウム合金板を挿入した状態で前記電気分解処する請求項1又は2に記載の水性研削・切削液の電気分解処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−46936(P2013−46936A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185559(P2011−185559)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000202006)
【Fターム(参考)】