説明

水性粘着剤組成物、粘着シート及びその製造方法

【課題】本発明が解決しようとする課題は、粘着剤層との接触面積が小さい多孔体や、表面極性の低い被着体をはじめとする様々な基材に対して優れた接着力を有し、かつ、貼り合わせ後に長期の養生期間を必要としない1液型の水性粘着剤組成物、及びそれを用いて形成された粘着剤層を有する粘着シートを提供することである。
【解決手段】本発明は、ビニル樹脂(a1)及び油溶性架橋剤(a2)を予め混合することでゲル分率が予め30質量%〜50質量%に調整されたビニル樹脂(A)と、下記一般式(1)で示される構造を有する不均化ロジン酸のエステル化物(B)とを、水系媒体(C)に溶解または分散した水性粘着剤組成物に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性粘着剤組成物、粘着シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、粘着剤は、自動車部品や家電製品をはじめとする様々な工業製品の製造に使用されている。
【0003】
前記工業製品を製造する際、粘着剤によって固着される被着体としては、工業製品の高機能化等に伴って、例えばウレタンフォーム等の多孔体のように粘着剤との接触面積が小さいものや、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)やゴム等からなる表面極性の低いものが使用される場合がある。
【0004】
しかし、従来の粘着シート等を前記多孔体の接着や表面極性の低い基材の接着に使用しても、優れた接着強度を長期間維持できず、経時的に前記被着体と粘着剤層との界面で剥離を引き起こす場合があった。
【0005】
一方、従来から使用されている粘着シートとしては、不織布や多孔体からなる支持体表面に粘着剤層が設けられたものが知られている。かかる粘着シートを各種被着体表面に貼り合わせた場合、やはり、前記支持体と粘着剤層との接着力が十分でないため、前記粘着シートを構成する粘着剤層と前記支持体との界面で経時的に剥離を引き起こす場合があった。
【0006】
前記多孔体等の被着体に対して優れた接着力を備えた粘着剤としては、従来、有機溶剤系の粘着剤が使用されていたが、近年の環境負荷低減の観点から、前記粘着剤に対しても有機溶剤系から水系への転換が求められており、近年は前記接着力に優れた水系の粘着剤の開発が進められている。
【0007】
前記水性粘着剤としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキル又は脂環式エステルを主単量体成分とするアクリル系ポリマーを含み、かつ全不揮発分中の溶液可溶分が20〜90質量%である水系感圧性接着剤組成物であって、溶液可溶分としてガラス転移温度が−20℃以下で重量平均分子量が10万以上のアクリル系ポリマー及びガラス転移温度が40℃以上で重量平均分子量が300〜50000のアクリル系ポリマーを含有する水系感圧性接着剤組成物が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0008】
しかし、前記水系感圧性接着剤組成物では、依然として発泡体等の多孔体表面や表面極性の低い被着体に対して実用上十分な接着力を発現できず、その結果、経時的に被着体の剥がれを引き起こす場合があった。
【0009】
一方、前記多孔体や表面極性の低い基材に対する接着力を向上する方法としては、従来の粘着剤を用いて前記多孔体等の被着体を接着したものを、概ね30〜50℃程度の条件下で1〜7日間にわたって養生することで、その凝集力を向上する方法が知られている。
しかし、前記のように長期間にわたる養生を必要とする粘着剤では、最終製品の生産効率を著しく低下させる等の問題があった。また、例えば冬場においては、粘着剤や粘着シートの製造環境温度(気温)と、その養生環境温度との間に大きな温度差が生じやすく、かかる温度差の影響によって発現される接着力にムラが生じ、粘着シートの一部分において、経時的な剥離を引き起こす場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−105298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、粘着剤層との接触面積が小さい多孔体や、表面極性の低い被着体をはじめとする様々な基材に対して優れた接着力を有し、かつ、貼り合わせ後に長期の養生期間を必要としない1液型の水性粘着剤組成物、及びそれを用いて形成された粘着剤層を有する粘着シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、前記課題を解決するべく検討を進めるなかで、ビニル樹脂(a1)と水系媒体(C)とともに、特定の不均化ロジン酸のエステル化物(B)を含有する水性粘着剤用組成物、及び、架橋剤として油溶性エポキシ化合物等を混合した2液型の水性粘着剤組成物を検討した。
前記水性粘着剤組成物は、粘着剤層との接触面積が小さい多孔体や、表面極性の低い被着体をはじめとする様々な基材に対して優れた接着力を有するものであったが、かかる接着力を発現するためには、依然として長期の養生期間を要し、かかる養生期間を短縮するために、加熱等を施す必要があった。
そこで、本発明者は、更に検討をすすめるなかで、ビニル樹脂(a1)及び油溶性架橋剤(a2)を予め混合することによって得られた、ゲル分率が予め30質量%〜50質量%に調整されたビニル樹脂(A)と、特定の不均化ロジン酸のエステル化物(B)と水系媒体(C)とを混合した1液型の水性粘着剤組成物であれば、粘着シートの製造場面や該粘着シートを被着体に貼り合わせる際に、長期の養生期間を経ることなく、粘着剤層との接触面積が小さい多孔体や、表面極性の低い被着体をはじめとする様々な基材に対して優れた接着力を付与できることを見出した。
即ち、本発明は、ビニル樹脂(a1)及び油溶性架橋剤(a2)を予め混合することでゲル分率が予め30質量%〜50質量%に調整されたビニル樹脂(A)と、下記一般式(1)で示される構造を有する不均化ロジン酸のエステル化物(B)とを、水系媒体(C)に溶解または分散した水性粘着剤組成物に関するものである。

(前記一般式(1)中のnは、10〜30の整数を示す。)
また、本発明は、ビニル単量体混合物と反応性界面活性剤と重合開始剤と前記不均化ロジン酸エステル化物(B)と前記水系媒体(C)とを混合し、前記ビニル単量体混合物と前記反応性界面活性剤との乳化重合を進行させることによって前記ビニル樹脂(a1)と前記不均化ロジン酸エステル化物(B)と前記水系媒体(C)との混合物[I]を製造し、次いで前記混合物[I]と前記油溶性架橋剤(a2)とを混合することによって、前記ビニル樹脂(a1)と前記油溶性架橋剤(a2)とを混合しゲル分率が30質量%〜50質量%に調整されたビニル樹脂(A)と前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)とが水系媒体(C)中に溶解または分散した水性粘着剤組成物の製造方法に関するものである。
また、本発明は、ビニル樹脂(a1)及び油溶性架橋剤(a2)を予め混合することによって形成された30〜50質量%のゲル分率を有するビニル樹脂(A)と前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)とが水系媒体(C)中に溶解または分散した水性粘着剤組成物を用いて形成される粘着剤層が、支持体の片面または両面に設けられた粘着シートに関するものである。
また、本発明は、離型基材の表面に、ビニル樹脂(a1)及び油溶性架橋剤(a2)を混合することによって得られた30〜50質量%のゲル分率を有するビニル樹脂(A)と、前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)と、水系媒体(C)とを含有する水性粘着剤組成物を塗布し、乾燥することによって粘着剤層を形成し、次いで、前記粘着剤層上に支持体を積層することを特徴する粘着シートの製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水性粘着剤組成物は、粘着剤層との接触面積が小さい多孔体や、表面極性の低い被着体をはじめとする様々な基材に対して優れた接着力を有し、かつ、貼り合わせ後に長期の養生期間を必要としないことから、粘着シート等の製造場面や、該粘着シートの使用場面において、養生コストをなくすことが可能である。また、本発明の水性粘着剤組成物は、例えば自動車内装材の固着、具体的には自動車天井材やドアトリムの固着をはじめ、携帯電話や液晶ディスプレイ、デジタルカメラ、パーソナルコンピューター、カーナビゲーションシステム等をはじめとする様々な電子機器の製造場面やそれらの配線の固定、更には家具や建築内装材等の製造、タッチパネル等のITO用途における製造場面などで使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の水性粘着剤組成物は、ビニル樹脂(a1)及び油溶性架橋剤(a2)を予め混合することによって形成された30質量%〜50質量%のゲル分率を有するビニル樹脂(A)と、下記一般式(1)で示される構造を有する不均化ロジン酸のエステル化物(B)とが、水系媒体(C)に溶解または分散したものである。
本発明の水性粘着剤組成物では、ビニル樹脂(a1)と油溶性架橋剤(a2)とを、予め混合することによって、ゲル分率が30質量%〜50質量%の範囲となるように調整されたビニル樹脂(A)を使用するとともに、下記一般式(1)で示される構造を有する特定の不均化ロジン酸のエステル化物(B)を組み合わせ使用することが重要である。

(前記一般式(1)中のnは、10〜30の整数を示す)
【0015】
はじめに、前記ビニル樹脂(A)について説明する。
本発明で使用するビニル樹脂(A)は、ビニル樹脂(a1)と油溶性架橋剤(a2)とを、予め混合することによって、ゲル分率が30質量%〜50質量%の範囲となるように調整されたビニル樹脂(A)である。前記ビニル樹脂(a1)と前記油溶性架橋剤(a2)とを予め混合することによって、詳細は明らかでないが、前記ビニル樹脂(a1)と前記油溶性架橋剤(a2)との部分的な架橋や、水素結合等に起因した擬似架橋等が生じ、前記ゲル分率の上昇を引き起こすことができる。
また、前記ビニル樹脂(A)は、前記ビニル樹脂(a1)と前記油溶性架橋剤(a2)とがゲル分率30質量%〜50質量%となる範囲で部分的に架橋、または、部分的に水素結合等に起因した擬似架橋をした場合であっても、前記水系媒体(C)中に安定して分散または溶解可能なものである。
ここで、前記ビニル樹脂(A)の代わりにゲル分率が30質量%未満であるビニル樹脂を使用して得た粘着剤は、従来の粘着剤同様に、多孔体等の被着体表面に貼り合わせた後、概ね30℃〜50℃程度の温度条件下で1〜7日程度養生することによって良好な接着力等を付与できるものの、養生期間が長いため、最終製品の生産効率の低下を引き起こす場合がある。
一方、前記ビニル樹脂(A)の代わりにゲル分率が50質量%を超えるビニル樹脂を使用して得た粘着剤は、多孔体等の支持体への含浸性や投錨性、接着力が低下する傾向にある。
したがって、本発明で使用するビニル樹脂(A)としては、そのゲル分率が30質量%〜50質量%の範囲であるものを使用することが好ましい。
ここで、前記ゲル分率は、前記ビニル樹脂(A)を用いて形成された粘着シートを、25℃のトルエン中へ24時間浸漬した場合に、前記浸漬前の粘着シートの質量に対する、該粘着シートからトルエン中に溶出せず残存した粘着シートの残渣の質量の割合、即ち粘着シートを構成する粘着剤層の、トルエンに対する不溶分率により示すことができる。
前記ゲル分率は、当業者であれば、前記ビニル樹脂(a1)と前記油溶性架橋剤(a2)とがそれぞれ有する架橋性反応性基の量や、最終的に得られるビニル樹脂(A)の分子量等を調整することによって、前記範囲内となるよう調整することが可能である。
【0016】
前記ビニル樹脂(A)の製造に使用するビニル樹脂(a1)としては、前記油溶性架橋剤(a2)と架橋反応しうる官能基を有するものを使用する。例えば前記油溶性架橋剤(a2)が有する官能基がエポキシ基である場合、前記ビニル樹脂(a1)としてはカルボキシル基やその中和塩、酸無水基、1級アミノ基、2級アミノ基、水酸基、チオール基等の官能基を有するものを使用することができる。また、前記油溶性架橋剤(a2)が有する官能基がイソシアネート基である場合、前記ビニル樹脂(a1)としては1級アミノ基や2級アミノ基、水酸基等の官能基を有するものを使用することができる。
また、前記油溶性架橋剤(a2)が有する官能基がオキサゾリン基である場合、前記ビニル樹脂(a1)としてはカルボキシル基やその中和塩、酸無水基、フェノール性水酸基、芳香族チオール基等の官能基を有するものを使用することができる。
また、前記油溶性架橋剤(a2)が有する官能基がカルボジイミド基である場合、前記ビニル樹脂(a1)としてはカルボキシル基や1級アミノ基や2級アミノ基等の官能基を有するものを使用することができる。
前記ビニル樹脂(a1)が有する、前記油溶性架橋剤(a2)と架橋反応しうる官能基は、前記ビニル樹脂(a1)全体に対して0.01質量%〜1質量%の範囲で存在することが好ましく、0.01質量%〜0.5質量%の範囲で存在することが、多孔体等の被着体に対する優れた接着力を付与するうえで好ましい。とりわけ、前記油溶性架橋剤(a2)の有する官能基がエポキシ基である場合、前記官能基は前記ビニル樹脂(a1)全体に対して0.01質量%〜0.1質量%の範囲で存在することが好ましい。
【0017】
前記ビニル樹脂(a1)としては、例えば50万〜100万の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、50万〜80万のものを使用することが、多孔体や表面極性の低い被着体に対して優れた接着力を備えた水性接着剤組成物を得るうえで好ましい。なお、前記ビニル樹脂(a1)の重量平均分子量とは、前記ビニル樹脂(a1)と25℃のテトラヒドラフランとを混合し、24時間攪拌した場合に、前記テトラヒドロフランに溶解したビニル樹脂(a1)を、ゲルパーミションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定して得られた最大値を指す。
【0018】
また、前記ビニル樹脂(a1)としては、−10℃〜−60℃のガラス転移温度を有するものを使用することが好ましく、−30℃〜−60℃のものを使用することが、多孔体や表面極性の低い被着体に対して優れた接着力を備えた水性接着剤組成物を得るうえで好ましい。なお、前記ガラス転移温度は、FOXの式によって導かれた計算値を指す。
【0019】
FOXの式によるポリマーのガラス転移温度を計算するための各重合性単量体のガラス転移温度は、例えば、「POLYMER HANDBOOK,THIRD EDITION」のVI/213〜258頁や「新高分子文庫・第7巻・塗料用合成樹脂入門(北岡協三著、高分子刊行会、京都、1974年)」の168〜169頁に記載されている数値を採用することができる。なお、上記計算にはラジカル重合性不飽和基を有する反応性界面活性剤は重合性単量体に含めないものとする。
【0020】
また、前記ビニル樹脂(a1)としては、多孔体や表面極性の低い被着体に対して優れた接着力、とりわけ優れた投錨性を付与する観点から、150nm〜500nmの平均粒子径を有するものを使用することが好ましく、200nm〜400nmの範囲がより好ましい。ここで、前記平均粒子径は、動的光散乱法によって測定した値を指す。
【0021】
また、前記ビニル樹脂(a1)としては、粘着剤との接触面積の小さい多孔体からなる被着体に対して優れた接着力を付与する観点から、できるだけ分岐構造を有さない直鎖脂肪族ビニル樹脂を使用することが好ましい。
【0022】
前記ビニル樹脂(a1)としては、具体的には、後述するビニル単量体をラジカル重合することによって得られたものを使用することができる。
【0023】
前記ビニル単量体としては、例えば前記油溶性架橋剤(a2)と架橋反応しうる官能基を有するビニル単量体や、その他のビニル単量体を使用することができる。
前記油溶性架橋剤(a2)と架橋反応しうる官能基を有するビニル単量体としては、例えばカルボキシル基含有ビニル単量体、アミノ基含有ビニル単量体、水酸基含有ビニル単量体等を使用することができる。
【0024】
前記カルボキシル基含有ビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、2−(メタ)アクリロイルプロピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンサクシネート、β−(メタ)ヒドロキシエチルハイドロゲンフタレート、及びこれらの塩等を、単独または2種以上を併用して使用することができる。なかでも、前記カルボキシル基含有ビニル単量体としては、(メタ)アクリル酸を使用することが好ましい。
また、前記アミノ基含有ビニル単量体としては、例えばモノアリルアミン等の1級アミノ基含有ビニル単量体や、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の2級アミノ基含有ビニル単量体等を使用することができる。
また、前記水酸基含有ビニル単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0025】
前記ビニル単量体のなかでも、前記油溶性架橋剤(a2)と架橋反応せずに残存した官能基が前記ビニル樹脂(a1)の水分散安定性を向上可能なカルボキシル基やカルボキシレート基の導入に寄与しうる、前記カルボキシル基含有ビニル単量体を使用することが好ましい。
【0026】
前記ビニル樹脂(a1)の製造に使用するビニル単量体としては、前記したものの他に、必要に応じてその他のビニル単量体を使用することもできる。
【0027】
その他のビニル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することができる。なかでも、アクリル酸ノニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチルを使用することが、得られるビニル樹脂(a1)のガラス転移温度を低くでき、その結果、多孔体や表面極性の低い被着体に対して良好な粘着性を付与できるため好ましい。
一方、前記(メタ)アクリル酸アクリルエステルとしては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチル、アクリル酸エチルを使用することによって、水性粘着剤組成物に優れた耐熱接着力や接着保持力等の粘着性能を付与することが可能である。
また、前記その他のビニル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N−モノアルキルアミノアルキル、(メタ)アクリル酸N,N−ジアルキルアミノアルキル、(メタ)アクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等のビニル系ニトリル類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、α−ハロスチレン、ビニルナフタリン等の芳香族環を有するビニル系単量体;イソプレン、ブタジエン、エチレン等の官能基を有しないビニル系単量体;ビニルピロリドン等の複素環式ビニル系単量体等を使用することもできる。
【0028】
本発明で使用するビニル樹脂(a1)としては、前記ビニル単量体からなる混合物の全量に対して、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを45〜85質量%、カルボキシル基含有ビニル単量体を1〜5質量%含むビニル単量体混合物を重合して得られたものを使用することが好ましい。なかでも、45〜85質量%のアクリル酸2−エチルヘキシルと、0.5〜5質量%のカルボキシル基含有ビニル単量体とを含むビニル単量体混合物を重合して得られるものを使用することが、多孔体や表面極性の低い被着体に対して優れた接着力を備えた水性粘着剤組成物を得るうえで好ましい。
【0029】
前記ビニル樹脂(a1)は、例えば、前記ビニル単量体を、重合開始剤と水系媒体(C)と必要に応じて界面活性剤の存在下で乳化重合することによって製造することができる。
【0030】
ここで、前記ビニル単量体としてアクリル酸2−エチルヘキシルを使用する場合、得られるビニル樹脂が分岐構造を形成しやすい。また、前記アクリル酸2−エチルヘキシルを概ね70質量%以上使用する場合には、一層、多分岐化したビニル樹脂が得られる傾向にある。本願発明では、前記したとおりできる限り分岐していない直鎖状の脂肪族ビニル樹脂を使用することが好ましいため、前記分岐を最小限に抑制する製造方法によってビニル樹脂(a1)を製造することが好ましい。
【0031】
前記分岐構造形成の抑制には、乳化重合温度を前記45〜60℃の範囲に調整し、かつ重合開始剤としてアゾ開始剤を使用し、該アゾ開始剤の使用量を前記ビニル単量体の全量に対して0.01〜0.10質量%の範囲に調整することが有効である。
【0032】
前記アゾ開始剤としては、前記ビニル樹脂(a1)の分岐構造の形成を抑制し、かつ前記ビニル樹脂(a1)の生産効率低下を防止する観点から、10時間半減期温度が「前記乳化重合温度−5℃」以下であるアゾ開始剤を使用することが好ましい。具体的には、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン二塩酸塩及び2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン二硫酸塩からなる群より選ばれる1種以上のものを使用することが好ましい。
【0033】
前記アゾ開始剤の市販品としては、例えば、「VA−044(和光純薬工業、10時間半減期温度44℃、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド)」、「VA−046B(和光純薬工業、10時間半減期温度46℃、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェートジハイドレート)」等を使用することができる。
【0034】
また、前記ビニル樹脂(a1)の製造に使用可能な界面活性剤としては、例えば陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等を使用できる。なかでも、陰イオン性界面活性剤を使用することが、粘着剤の機械的安定性を向上する上で好ましい。
【0035】
前記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルスルホン酸塩等を単独または2種以上を併用して使用することができる。
【0036】
前記界面活性剤としては、前記ビニル単量体とともに乳化重合しうるラジカル重合性不飽和二重結合を有する界面活性剤、いわゆる反応性界面活性剤を使用することが、該界面活性剤のブリードアウトに起因した接着力等の低下を防止するうえで好ましい。
【0037】
前記反応性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸基及びその塩を有する「ラテムルS−180、PD−104」〔商標;花王株式会社製〕、「エレミノールJS−2、RS−30」〔商標;三洋化成工業株式会社製〕等;硫酸基及びその塩を有する「アクアロンKH−05、KH−10」〔商標;第一工業製薬株式会社製〕、「アデカリアソープSE−10、SE−20」〔商標;旭電化工業株式会社製〕等;リン酸基を有する「ニューフロンティアA−229E」〔商標;第一工業製薬株式会社製〕等;非イオン性親水基を有する「アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50」〔商標;第一工業製薬株式会社製〕、「ラテムルPD−420、PD−430、PD−450」〔商標;花王株式会社製〕等が挙げられ、これらは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記界面活性剤の使用量は、界面活性剤の種類等によって相違するが、例えば前記非イオン性界面活性剤の場合には、前記ビニル単量体混合物の全量に対して1.0質量%〜5.0質量%の範囲であることが好ましく、1.5質量%〜3.5質量%の範囲がより好ましい。
【0039】
また、前記界面活性剤が陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤である場合には、前記界面活性剤の使用量は0.5質量%〜3.0質量%の範囲であることが好ましく、1.0質量%〜2.5質量%の範囲がより好ましい。
【0040】
次に、本発明で使用する油溶性架橋剤(a2)について説明する。
本発明で使用する架橋剤としては、油溶性架橋剤(a2)を使用することが重要である。例えば前記油溶性架橋剤(a2)の代わりに水溶性架橋剤を使用した場合には、得られるビニル樹脂粒子間の架橋反応が進行し、得られる粘着剤組成物のゲル化や著しい増粘を引き起こす場合がある。また、前記粘着剤組成物では、多孔体や表面極性の低い被着体に対して優れた接着力を発現できない場合がある。
前記ビニル樹脂(A)の製造に使用する油溶性架橋剤(a2)としては、例えば油溶性エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物等を使用することができる。なかでも、油溶性エポキシ化合物を使用することが、得られるビニル樹脂(A)が比較的柔軟となり、多孔体や表面極性の低い被着体に対する接着力を向上できるため好ましい。
【0041】
油溶性エポキシ化合物としては、例えば、デナコールEX−622〔ナガセ化成工業株式会社製〕、デナコールEX−201〔同社製〕、デナコールEX−212〔同社製〕、デナコールEX−922〔同社製〕、デナコールEX−2000〔同社製〕、デナコールEX−4000〔同社製〕、デナコールEX−721〔同社製〕、デナコールEX−221〔同社製〕、TETRAD−C〔三菱ガス化学株式会社製〕、TETRAD−X〔同社製〕などを使用することができる。なかでもアミン基を有するTETRAD−X、TETRAD−Cを使用することが好ましい。
【0042】
前記油溶性架橋剤(a2)は、前記ビニル樹脂(A)ゲル分率を予め30質量%〜50質量%の範囲に調整し、多孔体や表面極性の低い被着体に対する優れた接着力を付与するとともに、被着体との貼り合わせ後の養生期間や、粘着シートの製造場面製造養生期間を短くするうえで、前記ビニル樹脂(a1)の全量に対して0.01質量%〜0.5質量%の範囲で使用することが好まし、0.01質量%〜0.2質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0043】
前記ビニル樹脂(a1)と前記油溶性架橋剤(a2)とを予め混合し、ゲル分率30〜50質量%のビニル樹脂(A)を製造する方法としては、例えば前記した方法で製造したビニル樹脂(a1)と前記油溶性架橋剤(a2)とを混合、攪拌し、概ね40℃〜80℃の温度で1〜8時間程度加熱する方法が挙げられる。
前記混合の際には、前記ビニル樹脂(a1)が予め有機溶剤や水系媒体に溶解または分散したものと、前記油溶性架橋剤(a2)とを混合することが、作業性等の観点から好ましい。具体的には、前記ビニル樹脂(a1)の水系分散体や有機溶剤溶液と、前記油溶性架橋剤(a2)とを混合することが、作業性等の観点から好ましい。
【0044】
次に、本発明で使用する不均化ロジン酸のエステル化物(B)について説明する。
【0045】
前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)は、不均化ロジン酸と、下記一般式(1)で示される構造を有するポリオールとをエステル化反応して得られるものであって、下記一般式(1)で示されるエチレンオキサイド構造の繰り返し単位(一般式(1)中のn)が10〜30の範囲の整数であることを特徴とする。
【0046】
【化1】

【0047】
(前記一般式(1)中のnは、10〜30の整数を示す。)
前記一般式(1)で示されるノニオン構造は、多孔体及び低表面極性の被着体に対する優れた接着力や耐熱接着力を水性粘着剤組成物に付与するとともに、水系媒体(C)中における前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)の水分散安定性を付与するうえで重要である。
ここで、前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)の代わりに、前記nが8である不均化ロジン酸のエステル化物を使用して得られた水性粘着剤組成物では、該水性粘着剤組成物の軟化点が低下し、多孔体及び低表面極性の被着体に対する接着力や耐熱接着力の低下を引き起こす場合がある。一方、前記nが40の不均化ロジン酸のエステル化物を使用して得られた水性粘着剤組成物も、多孔体及び低表面極性の被着体に対する接着力の低下を引き起こす場合がある。
【0048】
粘着剤との接触面積が小さい多孔体や、表面極性の低い被着体に対する、より一層優れた接着力を備えた水性粘着剤組成物を得るためには、前記nが好ましくは10〜20、より好ましくは14〜16の整数である不均化ロジン酸のエステル化物を使用することが好適である。
【0049】
前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)の製造に使用する不均化ロジン酸としては、例えばデヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸等を使用することができ、なかでもデヒドロアビエチン酸を使用することが好ましい。
【0050】
また、前記不均化ロジン酸と反応するポリオールとしては、例えばエチレンオキサイド構造からなる繰り返し単位が10〜30の範囲であるポリオキシエチレングリコールを使用することが好ましく、より好ましくは10〜20、特に好ましくは14〜16の範囲の繰り返し単位を有するポリオキシエチレングリコールを使用することができる。
【0051】
前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)は、例えば前記不均化ロジン酸の有するカルボキシル基と、前記ポリオールの有する水酸基とを周知慣用の方法で縮合させることによって製造することができる。得られた不均化ロジン酸のエステル化物(B)の末端は、水酸基や、メトキシ基やエトキシ基等のアルコキシ基であることが、粘着剤との接触面積が小さい多孔体に対して、特に優れた投錨性を付与し、表面極性の低い被着体や複雑形状をした被着体に対して優れた接着力を付与するうえで好ましい。
【0052】
前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)は、前記ビニル樹脂(A)の全量に対して、0.1〜5質量%の範囲で使用することが好ましく、0.5〜3質量%の範囲で使用することが、粘着剤との接触面積が小さい多孔体に対して、特に優れた投錨性を付与し、表面極性の低い被着体や複雑形状をした被着体に対して優れた接着力を付与し、かつ、不均化ロジン酸エステル化物(B)の被着体表面へのブリードを抑制できるため好ましい。
【0053】
次に、本発明で使用する水系媒体(C)について説明する。
前記水系媒体(C)としては、水、水と混和する親水性有機溶剤、及び、これらの混合物を使用することができる。前記親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム類等の、一般に高沸点溶剤として知られるものを使用することができる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
【0054】
前記水系媒体(C)は、本発明の水性粘着剤組成物の全量に対して30〜70質量%含まれることが好ましく、40〜60質量%含まれることがより好ましい。
【0055】
本発明の水性粘着剤組成物には、前記した成分の他に、必要に応じて150〜200℃の軟化点を有するロジン系樹脂(E)を、前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)と組み合わせ使用することが、多孔体や表面極性の低い被着体に対する耐熱接着力を向上させるうえで特に好ましい。
【0056】
前記耐熱接着力としては、具体的には、被着体を本発明の水性粘着剤を用いて貼り合わせて得られた積層体を、概ね80℃程度の高温環境下に長期間放置した場合であっても被着体の剥離等を引き起こさないレベルの特性が求められる。なお、前記ロジン系樹脂(E)の軟化点は、JIS K−5902方法で測定された値を指す。
【0057】
前記ロジン系樹脂(E)としては、例えば天然ロジン、ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、不均化ロジン、不均化ロジンエステル等のうち、150〜200℃の軟化点を有するものを使用することができる。なかでも重合ロジンエステル等を使用することが好ましい。
【0058】
前記ロジン系樹脂(E)は、粘着剤との接触面積が小さい多孔体や、表面極性の低い被着体に対する優れた接着力と、優れた耐熱接着力とを両立する観点から、前記ビニル樹脂(A)の全量に対して10〜35質量%の範囲で使用することが好ましく、20〜30質量%がより好ましい。
【0059】
また、本発明では、上記に加え、更にその他のロジン系樹脂を使用することができる。具体的には、天然ロジン、ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、不均化ロジン、不均化ロジンエステル等のうち150℃未満の軟化点を有するものを使用することができる。
【0060】
また、本発明の水性粘着剤組成物は、前記ビニル樹脂(A)や不均化ロジン酸のエステル化物(B)や水系媒体(C)やロジン系樹脂(E)の他に、必要に応じてその他の添加剤等を含有していても良い。
【0061】
前記その他の添加剤としては、例えば難燃剤、粘着付与剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、成膜助剤、可塑剤、充填剤、顔料、粘性調整剤、消泡剤、防腐剤、分散剤、凍結防止剤などを使用することができる。なかでも自動車内装部材や家電部材の固定、配線の固定等に使用する粘着剤には、難燃剤や酸化防止剤や粘着付与剤を含有するものを使用することが好ましい。
前記難燃剤としては、例えばハロゲン系難燃剤、金属水酸化物系難燃剤、メラミンシアヌレート、トリアジン化合物、グアニジン化合物、グアニル尿素化合物、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂等の含窒素化合物、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン等が挙げられる。
前記粘着付与剤としては、例えばα−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂等のテルペン系粘着付与剤樹脂を使用することができる。
前記添加剤は、本発明で使用するビニル樹脂(A)100質量部に対して、1〜50質量部の範囲で使用することが、粘着性能と上記添加剤由来の性能とを両立する上で好ましい。
【0062】
また、前記添加剤としては、脂肪族炭化水素系樹脂や脂肪族環式構造含有樹脂等の性基油系樹脂を使用することができる。例えば、一般にC5系樹脂やC9系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂等として知られる石油系樹脂を併用することもできる。
【0063】
本発明で使用する水性粘着剤組成物は、例えば前記したように予め製造したビニル樹脂(a1)の水系分散体と、不均化ロジン酸のエステル化物(B)と必要に応じて前記ロジン系樹脂(E)とを混合、攪拌して得た混合物、及び、油溶性架橋剤(a2)を予め混合することによって製造する。
【0064】
また、粘着剤との接触面積が小さい多孔体や、表面極性の低い被着体に対する、より一層優れた接着力を備えた水性粘着剤組成物を得るためには、例えば前記と同様の反応性界面活性剤と前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)と水系媒体(C)との混合物中に、前記ビニル単量体の混合物と重合開始剤と必要に応じて連鎖移動剤とを一括または別々に供給し、前記ビニル単量体混合物を乳化重合法により反応させることによって、前記ビニル樹脂(a1)と前記不均化ロジン酸エステル化物(B)と前記水系媒体(C)との混合物[I]を製造し、次いで前記混合物[I]と油溶性架橋剤(a2)とを予め混合することによって製造することが好ましい。
【0065】
具体的には、前記反応性界面活性剤と前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)と水系媒体(C)との混合物へのビニル単量体混合物や重合開始剤等の供給は、一括供給または逐次供給であることが好ましい。
【0066】
前記供給後、概ね0℃〜80℃程度の温度範囲で約3〜10時間程度反応させ、前記ビニル単量体混合物のラジカル重合を乳化重合法により行うことが好ましい。前記供給後の反応温度は、ビニル樹脂(a1)が分岐構造となるのを抑制する観点から、概ね65℃以下の比較的低温で行うことが好ましい。
【0067】
前記したように、前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)等の存在下でビニル樹脂(a1)を製造し、次いで油溶性架橋剤(a2)と予め混合し水性粘着剤組成物を得ることによって、ビニル樹脂(a1)の粒子の外殻に前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)が局在化し、その結果、粘着剤との接触面積が小さい多孔体や表面極性の低い被着体に対する、より一層優れた接着力を発現することが可能な水性粘着剤組成物を得ることができる。
【0068】
前記製法で使用する連鎖移動剤としては、例えばラウリルメルカプタン等のメルカプタン系化合物、α−ピネン、リモネン、ターピノーレン等のテルペン系化合物、アリルアルコール、α−メチルスチレンダイマー等を使用することができる。
【0069】
前記連鎖移動剤は、前記ビニル単量体の全量に対して0.01質量%〜0.5質量%で使用することが好ましく、0.01質量%〜0.2質量%の範囲で使用することが、得られるビニル樹脂(A)の分子量を50万〜100万の範囲に調整するうえでより好ましい。
【0070】
次に、本発明の粘着シートの製造方法について説明する。
本発明の粘着シートは、例えばビニル樹脂(a1)及び油溶性架橋剤(a2)を予め混合することによって形成した30〜50質量%のゲル分率を有するビニル樹脂(A)と下記一般式(1)で示される構造を有する不均化ロジン酸のエステル化物(B)とが水系媒体(C)中に溶解または分散した水性粘着剤組成物を用いて形成される粘着剤層が、支持体の片面または両面に設けられたものである。

(前記一般式(1)中のnは、10〜30の整数を示す。)
前記粘着シートは、例えば離型基材の表面に、ビニル樹脂(a1)及び油溶性架橋剤(a2)を予め混合することによって形成した30〜50質量%のゲル分率を有するビニル樹脂(A)と、前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)と、水系媒体(C)とを含有する水性粘着剤組成物を塗布し、乾燥することによって粘着剤層を形成し、次いで、前記粘着剤層上に支持体を積層することによって製造することができる。
ここで、前記水性粘着剤組成物中に含まれるビニル樹脂(A)は、離型基材表面に塗布される前に、既に30質量%〜50質量%の範囲のゲル分率を有する。前記塗布する際に、ゲル分率が30質量%未満であるビニル樹脂を含む水性粘着剤組成物を使用した場合であっても、加熱等を伴う養生期間を経ることによって、優れた接着力等を発現できるものの、最終製品の生産効率の低下等を伴う場合がある。
前記離型基材としては、例えば離型処理の施されたプラスチックフィルム等を使用することができる。
【0071】
前記支持体としては、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルカーボネート及びこれらのラミネート体、ウレタンフォーム等の多孔体、不織布や織布等の繊維質基材などを使用することができる。なかでもポリエチレンテレフタレートからなるフィルムや、ウレタンフォーム等からなる多孔体を使用することが好ましい。
【0072】
前記支持体の表面は、前記粘着層との密着性を向上する観点から、予めコロナ処理等による易接着表面処理が施されていても良い。
【0073】
また、前記支持体としては、一般に、両面粘着テープの芯材として好適に使用される、例えば、綿、麻、レーヨン、または、ポリエステルと綿、麻、レーヨンとの混紡品からなる不織布や織布を使用することもできる。
【0074】
前記支持体表面に前記前記水性粘着剤組成物を塗工する方法としては、例えばロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、リップコーター、スプレーコーター、エアーナイフコーター、ダイコーター等を用いる方法が挙げられる。
前記支持体表面に前記水性粘着剤組成物を塗工した後、該塗工層中に含まれる水系媒体(C)を除去する方法としては、前記塗工物を、60℃〜150℃、好ましくは80℃〜100℃の条件で加熱する方法や、マイクロ波を用いて乾燥する方法がある。これにより、前記塗工層中に含まれる水系媒体(C)の概ね97%以上を除去することによって、前記支持体の片面または表面に粘着剤層を形成することができる。
【0075】
前記支持体表面に形成される粘着剤層の厚みは、特に制限はないが、1〜100μmの範囲であることが好ましく、10〜60μmの範囲であることがより好ましい。
【0076】
前記で得られた粘着シートは、とりわけ発泡体等の多孔体の表面に対しても優れた接着力を有することから、例えばウレタンフォーム等の多孔体からなる被着体の接着や積層体の形成に好適に使用することができる。
【0077】
また、本発明の粘着シートは、表面極性の低い被着体に対して優れた接着力を有することから、例えばポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンや、クロロプレンやEPDMゴム等、及び金属などからなる被着体の接着に使用することができる。
【0078】
また、本発明の粘着シートは、前記多孔体等からなる被着体の表面に貼付したあと、長期にわたる養生期間を経なくても、該被着体に対して優れた接着力を発現できることから、各種製品の生産効率を低下させることがないという効果を奏することができる。
【実施例】
【0079】
以下、本発明を実施例及び比較例により、一層具体的に説明する。
【0080】
[ビニル樹脂の調製]
(合成例1)
容器に反応性界面活性剤としてラテムルPD−104(花王株式会社製、不揮発分20質量%)を30質量部及びアクアロンKH−1025(第一工業製薬株式会社製、不揮発分25質量%)を24質量部と、アクリル酸2−エチルヘキシルを435質量部、アクリル酸ブチルを120質量部、メタクリル酸メチルを30質量部及びアクリル酸を15質量部と、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン0.21質量部と、イオン交換水90質量部とを仕込み、攪拌することによって、乳化液を調製した。
【0081】
温度計、滴下ロート、還流冷却管及び攪拌装置を備えた重合容器内を窒素ガスで置換し、イオン交換水373.2質量部を仕込み、内温52.5℃に昇温した。
【0082】
前記重合容器に、前記乳化液の全量に対して1質量%の乳化液を仕込んだ後、ピロ亜硫酸ナトリウムを0.15質量部及び過硫酸アンモニウムを0.18質量部添加し、重合を開始した。
【0083】
30分間ホールドした後、残りの乳化液(99質量%)と、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド水溶液(不揮発分0.5質量%)10質量部とを、前記重合容器内に6時間かけて滴下した。
【0084】
滴下終了後、重合容器を内温52.5℃にて1時間保持し、次いで、重合容器を約25℃に冷却した後、内容物を200メッシュ濾布(ポリエステル)で濾過することによって、平均粒子径280nm、重量平均分子量70万のビニル樹脂を含むビニル樹脂エマルジョン1(不揮発分53.0質量%)を得た。
【0085】
(実施例1)
前記合成例1で得たビニル樹脂1エマルジョンの不揮発分100質量部に対して、不均化ロジン酸のエステル化物(B)としてエチレングリコールデヒドロアビエチン酸エステル(EO付加モル数:15モル、末端構造は水酸基)1質量部を混合した後、更に12.5質量%のアンモニア水を4.2質量部と、ボンコート3750−E(DIC株式会社製の増粘剤、不揮発分23質量%)1.5質量部とイオン交換水2質量部とを混合することによって、ビニル樹脂エマルジョン1−1を得た。
【0086】
次いで、前記ビニル樹脂エマルジョン1−1の全量と油溶性エポキシ化合物であるTETRAD−C(三菱ガス化学株式会社製)0.02質量部とを35℃で8時間混合し、200メッシュの濾布(ポリエステル製)を用いて濾過することにより、不揮発分50質量%、ゲル分率38.0質量%の粘着剤(D−1)を得た。
なお、前記粘着剤(D−1)の塗工前のゲル分率は、以下の方法により求めた。
前記粘着剤(D−1)1g(X2)を、25℃のトルエン50ccと混合し、24時間放置した。
次いで、前記混合物をろ過し、ろ紙上に残った残渣を2日間自然乾燥した後、その質量(X1)を測定した。
【0087】
前記ゲル分率は、(質量(X2)/(質量(X1))×100に基づいて算出した。
以下、粘着剤(D−2)等の塗工前のゲル分率も前記と同様の方法で測定した。
【0088】
前記で得た粘着剤(D−1)を、アプリケーターを用いて離型紙上に、乾燥膜厚が60μmとなるように塗工した。
【0089】
次いで、前記塗工物を100℃の乾燥オーブン中で3分間乾燥し、該塗工表面に、支持体として、厚さ5mmのウレタンフォーム(イノアックコーポレーション株式会社製、ECSウレタンフォーム)を載置し、該ウレタンフォームの厚さが2.5mmとなるまで加圧し、40℃の雰囲気下に48時間放置(エージング)し前記塗工表面と前記ウレタンフォームとを接着することによって、本発明の粘着シートを得た。
一方、前記粘着剤(D−1)を、アプリケーターを用いて2枚の離型紙上に、それぞれ、乾燥膜厚が60μmとなるように塗工し、前記塗工物を100℃の乾燥オーブン中で3分間乾燥した後、一方の塗工物の塗工面にレーヨン不織布(秤量14g/m)を載置し、次いで該レーヨン不織布上に他方の塗工物の塗工面を載置したものを、100℃に調整したロールを用い4000gf/cmの圧力で圧着することによって両面粘着シートを得た。
【0090】
(実施例2)
容器に反応性界面活性剤としてラテムルPD−104(花王株式会社製、不揮発分20質量%)を45質量部と、不均化ロジン酸のエステル化物(B)としてエチレングリコールデヒドロアビエチン酸エステル(EO付加モル数:15モル、末端構造は水酸基)を6質量部と、アクリル酸2−エチルヘキシルを435質量部、アクリル酸ブチルを120質量部、メタクリル酸メチルを30質量部及びアクリル酸を15質量部と、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン0.21質量部と、イオン交換水108質量部とを仕込み、攪拌することによって、乳化液を調製した。
【0091】
温度計、滴下ロート、還流冷却管及び攪拌装置を備えた重合容器内を窒素ガスで置換し、イオン交換水364.8質量部を仕込み、内温52.5℃に昇温した。
【0092】
前記重合容器に、前記乳化液の全量に対して1質量%の乳化液を仕込んだ後、ピロ亜硫酸ナトリウムを0.15質量部及び過硫酸アンモニウムを0.18質量部添加し、重合を開始した。
【0093】
30分間ホールドした後、残りの乳化液(99質量%)と、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド水溶液(不揮発分0.5質量%)10質量部とを、前記重合容器内に6時間かけて滴下し、更に重合容器を内温52.5℃にて1時間保持した後、約25℃に冷却することで、平均粒子径285nmで重量平均分子量65万のビニル樹脂を含むビニル樹脂エマルジョン2−1(不揮発分52.5質量%)を得た。
【0094】
前記ビニル樹脂エマルジョン2−1の不揮発分100質量部に対して、12.5質量%のアンモニア水を2.0質量部と、ボンコート3750−E(DIC株式会社製の増粘剤、不揮発分23質量%)を1.5質量部とイオン交換水1.8質量部を混合することによって、ビニル樹脂エマルジョン2−2を得た。
【0095】
次いで、前記ビニル樹脂エマルジョン2−2の全量と、油溶性エポキシ化合物であるTETRAD−C(三菱ガス化学株式会社製)0.02質量部とを35℃で8時間混合し、該混合物を200メッシュ濾布(ポリエステル)を用いて濾過することによって、平均粒子径285nm、重量平均分子量65万のビニル樹脂と不均化ロジン酸のエステル化物とイオン交換水と油溶性エポキシ化合物とを含む、不揮発分52.5質量%、ゲル分率37.6質量%の粘着剤(D−2)を得た。
前記粘着剤(D−1)の代わりに粘着剤(D−2)を使用すること以外は、実施例1記載の方法と同様の方法で、粘着シート及び両面粘着シートを製造した。
【0096】
(実施例3)
前記実施例2で使用したものと同様のビニル樹脂エマルジョン2−1の不揮発分100質量部に対して、ロジン系樹脂(E)としてスーパーエステル E−865−NT(荒川化学工業株式会社製、軟化点160℃、不揮発分50質量%、重合ロジンエステル)30質量部とを混合し、次いで、該混合物に12.5質量%のアンモニア水1.9質量部と、ボンコート3750−E(DIC株式会社製の増粘剤、不揮発分23質量%)0.6質量部とイオン交換水0.6質量部とを混合することによって、ビニル樹脂エマルジョン3−1を得た。
【0097】
前記ビニル樹脂エマルジョン3−1の全量と、油溶性エポキシ化合物であるTETRAD−C(三菱ガス化学株式会社製)0.02質量部とを混合し、該混合物を200メッシュ濾布(ポリエステル)を用いて濾過することによって、平均粒子径285nm、重量平均分子量65万のビニル樹脂と不均化ロジン酸のエステル化物とイオン交換水と油溶性エポキシ化合物とを含む、不揮発分52.5質量%、ゲル分率38.8質量%の粘着剤(D−3)を得た。
前記粘着剤(D−1)の代わりに粘着剤(D−3)を使用すること以外は、実施例1記載の方法と同様の方法で、粘着シート及び両面粘着シートを製造した。
【0098】
(実施例4)
容器に反応性界面活性剤としてラテムルPD−104(花王株式会社製、不揮発分20質量%)を45質量部と、不均化ロジン酸のエステル化物(B)としてエチレングリコールデヒドロアビエチン酸エステル(EO付加モル数:15モル、末端構造は水酸基)を6質量部と、アクリル酸2−エチルヘキシルを435質量部、アクリル酸ブチルを90質量部、アクリル酸エチル30質量部、メタクリル酸メチルを30質量部及びアクリル酸を15質量部と、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン0.21質量部と、イオン交換水108質量部とを仕込み、攪拌することによって、乳化液を調製した。
【0099】
温度計、滴下ロート、還流冷却管及び攪拌装置を備えた重合容器内を窒素ガスで置換し、イオン交換水364.8質量部を仕込み、内温52.5℃に昇温した。
【0100】
前記重合容器に、前記乳化液の全量に対して1質量%の乳化液を仕込んだ後、ピロ亜硫酸ナトリウムを0.15質量部及び過硫酸アンモニウムを0.18質量部添加し、重合を開始した。
【0101】
30分間ホールドした後、残りの乳化液(99質量%)と、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド水溶液(不揮発分0.5質量%)10質量部とを、前記重合容器内に6時間かけて滴下し、更に重合容器を内温52.5℃にて1時間保持した後、約25℃に冷却することで、ビニル樹脂エマルジョン4−1を得た。
【0102】
前記ビニル樹脂エマルジョン4−1の不揮発分100質量部に対して、ロジン系樹脂(E)としてスーパーエステル E−865−NT(荒川化学工業株式会社製、軟化点160℃、不揮発分50質量%、重合ロジンエステル)固型分30質量部とを混合し、更に12.5質量%のアンモニア水を2.1質量部と、ボンコート3750−E(DIC株式会社製の増粘剤、不揮発分23質量%)を1.6質量部とイオン交換水1.1質量部を混合することによって、ビニル樹脂エマルジョン4−2を得た。
【0103】
前記ビニル樹脂エマルジョン4−2の全量と、油溶性エポキシ化合物であるTETRAD−C(三菱ガス化学株式会社製)0.02質量部とを混合し、200メッシュ濾布(ポリエステル)を用いて濾過することによって、平均粒子径318nm、重量平均分子量62万のビニル樹脂と不均化ロジン酸のエステル化物とイオン交換水と油溶性エポキシ化合物とを含む、不揮発分52.2質量%、ゲル分率37.5質量%の粘着剤(D−4)を得た。
前記粘着剤(D−1)の代わりに粘着剤(D−4)を使用すること以外は、実施例1記載の方法と同様の方法で、粘着シート及び両面粘着シートを製造した。
水性粘着剤用樹脂組成物4を得た。
【0104】
(実施例5)
エチレングリコールデヒドロアビエチン酸エステル(EO付加モル数:15モル、末端構造は水酸基)の代わりにエチレングリコールデヒドロアビエチン酸エステル(EO付加モル数:18モル、末端構造は水酸基)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法により、ゲル分率38.8質量%の粘着剤(D−5)を得た。
前記粘着剤(D−1)の代わりに粘着剤(D−5)を使用すること以外は、実施例1記載の方法と同様の方法で、粘着シート及び両面粘着シートを製造した。
【0105】
(実施例6)
容器に反応性界面活性剤としてラテムルPD−104(花王株式会社製、不揮発分20質量%)を45質量部と、不均化ロジン酸のエステル化物(B)としてエチレングリコールデヒドロアビエチン酸エステル(EO付加モル数:18モル、末端構造は水酸基)を6質量部と、アクリル酸2−エチルヘキシルを435質量部、アクリル酸ブチルを120質量部、メタクリル酸メチルを30質量部及びアクリル酸を15質量部と、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン0.21質量部と、イオン交換水108質量部とを仕込み、攪拌することによって、乳化液を調製した。
【0106】
温度計、滴下ロート、還流冷却管及び攪拌装置を備えた重合容器内を窒素ガスで置換し、イオン交換水364.8質量部を仕込み、内温52.5℃に昇温した。
【0107】
前記重合容器に、前記乳化液の全量に対して1質量%の乳化液を仕込んだ後、ピロ亜硫酸ナトリウムを0.15質量部及び過硫酸アンモニウムを0.18質量部添加し、重合を開始した。
【0108】
30分間ホールドした後、残りの乳化液(99質量%)と、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド水溶液(不揮発分0.5質量%)10質量部とを、前記重合容器内に6時間かけて滴下し、更に重合容器を内温52.5℃にて1時間保持した後、約25℃に冷却することで、ビニル樹脂エマルジョン6−1を得た。
【0109】
前記ビニル樹脂エマルジョン6−1の不揮発分100質量部に対して、更に12.5質量%のアンモニア水を2.2質量部と、ボンコート3750−E(DIC株式会社製の増粘剤、不揮発分23質量%)を1.2質量部とイオン交換水0.8質量部を混合することによって、ビニル樹脂エマルジョン6−2を得た。
【0110】
前記ビニル樹脂エマルジョン6−2の全量と油溶性エポキシ化合物であるTETRAD−C(三菱ガス化学株式会社製)0.02質量部とを混合し、200メッシュ濾布(ポリエステル)を用いて濾過することによって、平均粒子径297nm、重量平均分子量64万のビニル樹脂と不均化ロジン酸のエステル化物とイオン交換水と油溶性エポキシ化合物とを含む、不揮発分52.4質量%、ゲル分率38.7質量%の粘着剤(D−6)を得た。
前記粘着剤(D−1)の代わりに粘着剤(D−6)を使用すること以外は、実施例1記載の方法と同様の方法で、粘着シート及び両面粘着シートを製造した。
水性粘着剤用樹脂組成物6を得た。
【0111】
(実施例7)
容器に反応性界面活性剤としてラテムルPD−104(花王株式会社製、不揮発分20質量%)を45質量部と、不均化ロジン酸のエステル化物(B)としてエチレングリコールデヒドロアビエチン酸エステル(EO付加モル数:30モル、末端構造は水酸基)を6質量部と、アクリル酸2−エチルヘキシルを435質量部、アクリル酸ブチルを120質量部、メタクリル酸メチルを30質量部及びアクリル酸を15質量部と、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン0.21質量部と、イオン交換水108質量部とを仕込み、攪拌することによって、乳化液を調製した。
【0112】
温度計、滴下ロート、還流冷却管及び攪拌装置を備えた重合容器内を窒素ガスで置換し、イオン交換水364.8質量部を仕込み、内温52.5℃に昇温した。
【0113】
前記重合容器に、前記乳化液の全量に対して1質量%の乳化液を仕込んだ後、ピロ亜硫酸ナトリウムを0.15質量部及び過硫酸アンモニウムを0.18質量部添加し、重合を開始した。
【0114】
30分間ホールドした後、残りの乳化液(99質量%)と、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド水溶液(不揮発分0.5質量%)10質量部とを、前記重合容器内に6時間かけて滴下し、更に重合容器を内温52.5℃にて1時間保持した後、約25℃に冷却することで、ビニル樹脂エマルジョン7−1を得た。
【0115】
前記ビニル樹脂エマルジョン7−1の不揮発分100質量部に対して、更に12.5質量%のアンモニア水を2.2質量部と、ボンコート3750−E(DIC株式会社製の増粘剤、不揮発分23質量%)を1.2質量部とイオン交換水1.8質量部を混合することによって、ビニル樹脂エマルジョン7−2を得た。
【0116】
前記ビニル樹脂エマルジョン7−2の全量と、油溶性エポキシ化合物であるTETRAD−C(三菱ガス化学株式会社製)0.02質量部と混合し、200メッシュ濾布(ポリエステル)を用いて濾過することによって、平均粒子径281nm、重量平均分子量64万のビニル樹脂と不均化ロジン酸のエステル化物とイオン交換水と油溶性エポキシ化合物とを含む不揮発分52.1質量%、ゲル分率38.2質量%の粘着剤(D−7)を得た。
前記粘着剤(D−1)の代わりに粘着剤(D−7)を使用すること以外は、実施例1記載の方法と同様の方法で、粘着シート及び両面粘着シートを製造した。
水性粘着剤用樹脂組成物7を得た。
【0117】
(比較例1)
前記合成例1で得られたビニル樹脂エマルジョン1の不揮発分100質量部に対して、更に12.5質量%のアンモニア水を2.2質量部と、ボンコート3750−E(DIC株式会社製の増粘剤、不揮発分23質量%)を1.0質量部とイオン交換水0.8質量部を混合することによって、ビニル樹脂エマルジョン8−1を得た。
【0118】
前記ビニル樹脂エマルジョン8−1の全量と、油溶性エポキシ化合物であるTETRAD−C(三菱ガス化学株式会社製)0.02質量部とを混合し、200メッシュ濾布(ポリエステル)を用いて濾過することによって、平均粒子径280nm、重量平均分子量70万のビニル樹脂とイオン交換水と油溶性エポキシ化合物とを含む、不揮発分53.0質量%、ゲル分率37.4質量%の粘着剤(D’−1)を得た。
前記粘着剤(D−1)の代わりに粘着剤(D’−1)を使用すること以外は、実施例1記載の方法と同様の方法で、粘着シート及び両面粘着シートを製造した。
【0119】
(比較例2)
容器に反応性界面活性剤としてラテムルPD−104(花王株式会社製、不揮発分20質量%)を45質量部と、不均化ロジン酸のエステル化物(B)としてエチレングリコールデヒドロアビエチン酸エステル(EO付加モル数:8モル、末端構造は水酸基)を6質量部と、アクリル酸2−エチルヘキシルを435質量部、アクリル酸ブチルを120質量部、メタクリル酸メチルを30質量部及びアクリル酸を15質量部と、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン0.21質量部と、イオン交換水108質量部とを仕込み、攪拌することによって、乳化液を調製した。
【0120】
温度計、滴下ロート、還流冷却管及び攪拌装置を備えた重合容器内を窒素ガスで置換し、イオン交換水364.8質量部を仕込み、内温52.5℃に昇温した。
【0121】
前記重合容器に、前記乳化液の全量に対して1質量%の乳化液を仕込んだ後、ピロ亜硫酸ナトリウムを0.15質量部及び過硫酸アンモニウムを0.18質量部添加し、重合を開始した。
【0122】
30分間ホールドした後、残りの乳化液(99質量%)と、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド水溶液(不揮発分0.5質量%)10質量部とを、前記重合容器内に6時間かけて滴下し、次いで重合容器を内温52.5℃にて1時間保持した後、約25℃に冷却した。
【0123】
前記重合物の不揮発分100質量部に対して、更に12.5質量%のアンモニア水を2.2質量部と、ボンコート3750−E(DIC株式会社製の増粘剤、不揮発分23質量%)を1.4質量部とイオン交換水1.0質量部を混合することによって、ビニル樹脂エマルジョン9−1を得た。
【0124】
前記ビニル樹脂エマルジョン9−1の全量と油溶性エポキシ化合物であるTETRAD−C(三菱ガス化学株式会社製)0.01質量部とを混合し、内容物を200メッシュ濾布(ポリエステル)で濾過することによって、平均粒子径287nm、重量平均分子量60万のビニル樹脂と不均化ロジン酸のエステル化物とイオン交換水とを含む、不揮発分52.1質量%、ゲル分率37.9質量%の粘着剤(D’−2)を得た。
前記粘着剤(D−1)の代わりに粘着剤(D’−2)を使用すること以外は、実施例1記載の方法と同様の方法で、粘着シート及び両面粘着シートを製造した。
【0125】
(比較例3)
前記合成例1で得られたビニル樹脂エマルジョン1の不揮発分100質量部に対して、更に12.5質量%のアンモニア水を2.2質量部と、ボンコート3750−E(DIC株式会社製の増粘剤、不揮発分23質量%)を1.0質量部とイオン交換水0.8質量部を混合することによって、ビニル樹脂エマルジョン10−1を得た。
【0126】
前記ビニル樹脂エマルジョン10−1の全量と、油溶性エポキシ化合物であるTETRAD−C(三菱ガス化学株式会社製)0.035質量部とを混合し、200メッシュ濾布(ポリエステル)を用いて濾過することによって、平均粒子径280nm、重量平均分子量70万のビニル樹脂とイオン交換水と油溶性エポキシ化合物とを含む、不揮発分53.0質量%、ゲル分率51.0質量%の粘着剤(D’−4)を得た。
前記粘着剤(D−1)の代わりに粘着剤(D’−4)を使用すること以外は、実施例1記載の方法と同様の方法で、粘着シート及び両面粘着シートを製造した。
【0127】
[比較例4]
前記合成例1で得られたビニル樹脂エマルジョン1の不揮発分100質量部に対して、更に12.5質量%のアンモニア水を2.2質量部と、ボンコート3750−E(DIC株式会社製の増粘剤、不揮発分23質量%)を1.0質量部とイオン交換水0.8質量部を混合することによってビニル樹脂エマルジョン11−1を得た。
【0128】
前記ビニル樹脂エマルジョン11−1の全量と、油溶性エポキシ化合物であるTETRAD−C(三菱ガス化学株式会社製)0.02質量部とを混合し、200メッシュ濾布(ポリエステル)を用いて濾過することによって、平均粒子径280nm、重量平均分子量70万のビニル樹脂とイオン交換水と油溶性エポキシ化合物とを含む、不揮発分53.0質量%、ゲル分率1.2質量%の粘着剤(D’−3)を得た。
前記で得た粘着剤(D’−3)を、アプリケーターを用いて離型紙上に、乾燥膜厚が60μmとなるように塗工した。
【0129】
次いで、前記塗工物の塗工表面に、支持体として、厚さ5mmのウレタンフォーム(イノアックコーポレーション株式会社製、ECSウレタンフォーム)を載置し、該ウレタンフォームの厚さが2.5mmとなるまで加圧し、40℃の雰囲気下に3日間以上の養生(エージング)期間を要することによって、はじめて、前記塗工表面と前記ウレタンフォームとが接着した粘着シートが得られた。
一方、前記粘着剤(D’−3)を、アプリケーターを用いて2枚の離型紙上に、それぞれ、乾燥膜厚が60μmとなるように塗工し、前記塗工物を40℃の雰囲気下に3日間以上養生した後、一方の塗工物の塗工面にレーヨン不織布(秤量14g/m)を載置し、次いで該レーヨン不織布上に他方の塗工物の塗工面を載置したものを、100℃に調整したロールを用い4000gf/cmの圧力で圧着することによって両面粘着シートを得た。
【0130】
[粘着シート製造後の粘着剤層のゲル分率の評価方法]
前記方法で作製した両面粘着シートを縦20mm及び横100mmの大きさに切り取ったものを試験片とした。前記試験片から離型紙を除去した粘着剤層の質量を、精密天秤を用いて測定した(W1)。
【0131】
次に、前記粘着剤層を50ccのトルエン中に24時間浸漬した後、100℃の乾燥オーブン中で2時間乾燥した。乾燥後の粘着剤層の質量(W2)を、精密天秤を用いて測定した。
【0132】
ゲル分率は、(質量(W2)−不織布の質量)/(質量(W1)−不織布の質量)×100に基づいて算出した。
なお、前記不織布の質量は、0.028gである。
【0133】
[多孔体に対する接着力(投錨性)の評価方法]
<目視による評価方法>
前記方法で得られた粘着シートを裁断し、その断面をマイクロスコープ(キーエンス株式会社、倍率50倍)を用いて、粘着剤層とウレタンフォームとの接触部位(接着部位)の状態を目視で観察した。
【0134】
[判定基準]
◎;ウレタンフォームと粘着剤層との間に空隙や明確な界面がない。
○;ウレタンフォームと粘着剤層との接触部位全体の10%未満の範囲で、空隙や明確な界面が確認された。
△;ウレタンフォームと粘着剤層との接触部位全体の10以上30%未満の範囲で、空隙や明確な界面が確認された。
×;ウレタンフォームと粘着剤層との接触部位全体の30%以上の範囲で、空隙や明確な界面が確認された。
<剥離強度に基づく評価方法>
【0135】
[表面極性の低い被着体に対する接着力の評価方法]
前記方法で得られた両面粘着シートの一方の面側のみ離型紙を除去し、その粘着剤層表面に、厚さ25μmのポリエステルフィルムを載置し、その上部から、2kgのロールを2往復させ荷重をかけることにより、それらを圧着させた。
【0136】
次いで前記両面粘着シートと前記ポリエステルフィルムとからなる積層体を幅20mm×長さ100mmの大きさに切り取って得た試験片の、他方の面側の離型紙を除去し、その粘着剤層表面にポリプロピレン基材を載置し、その上部から2kgロール1往復の荷重をかけることにより、それらを貼り合わせた。
【0137】
次いで、前記粘着層とポリプロピレン基材との間の接着強度を、JISZ0237に準拠し、180度方向300mm/minの速度で剥離しようとした際の剥離強度に基づき評価した。
【0138】
また、前記ポリプロピレン基材の代わりにステンレス(SUS)基材を用いる以外は前記と同様の方法で、粘着剤層とステンレス基材との間の接着強度を評価した。
前記剥離強度が、いずれの基材に対しても概ね14N/20mm以上のものを、表面極性の低い被着体に対する接着力に優れると評価した。
【0139】
[耐熱接着力の評価方法]
<耐熱クリープ試験による評価>
離型紙を除去した前記粘着シートを、幅25mm×長さ50mmの面積のポリプロピレン基材に貼付し、5kgのロールを用いて1往復圧着することにより積層体を得た。
【0140】
80℃の環境下で簡易型保持力試験機(テスター産業株式会社製)を用い、前記積層体を構成する粘着シートの支持体であるウレタンフォーム部分の端部に、サンドペーパー#360番手を介して100gのおもりをつけ、前記ウレタンフォームからなる面が下面となる状態で30分間放置した。
【0141】
30分後、粘着シートがポリプロピレン基材から剥離(mm)した距離を測定した。なお、30分経過前に、粘着シートを構成する支持体であるウレタンフォームと粘着剤層とが剥離し、前記ウレタンフォームが落下した場合には、落下までに要した時間(分)を測定した。
【0142】
また、前記ポリプロピレン基材の代わりにステンレス基材を使用すること以外は前記と同様の方法により、耐熱接着力の評価を行った。
前記30分以内に落下することがなく、または、落下した場合であっても落下までに要した時間が10分以上であるものを、耐熱接着力に優れると評価した。
【0143】
<軟化点による評価>
離型紙を除去した前記粘着シートを、幅25mm×長さ25mmの面積のポリプロピレンからなる被着体に貼付し、5kgのロールを用いて1往復圧着することにより積層体を得た。
【0144】
23℃の環境下、簡易型保持力試験機(テスター産業株式会社製)を用い、前記積層体を構成する粘着シートの支持体であるウレタンフォーム部分の端部に、サンドペーパー#360番手を介して310gのおもりをつけ、前記ウレタンフォームからなる面が下面となる状態で、23℃から3℃/5分の速度で昇温し、粘着シートがポリプロピレン基材から落下した温度を測定した。
【0145】
また、前記ポリプロピレン基材の代わりにステンレス基材を使用すること以外は前記と同様の方法により、軟化点の測定を行った。
前記軟化点がいずれの基材に対しても60℃以上であるものを、耐熱接着力に優れると評価した。
【0146】
[粘着シートの生産効率性の評価方法]
支持体表面に粘着剤を塗工した後、40℃で3日間以上の養生期間を経て得られた粘着シートを「×」、前記養生工程を経ることなく製造した粘着シートを「○」と評価した。
【0147】
【表1】

【0148】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニル樹脂(a1)及び油溶性架橋剤(a2)を予め混合することで形成した30〜50質量%のゲル分率を有するビニル樹脂(A)と、下記一般式(1)で示される構造を有する不均化ロジン酸のエステル化物(B)とが、水系媒体(C)に溶解または分散したものであることを特徴とする水性粘着剤組成物。

(前記一般式(1)中のnは、10〜30の整数を示す。)
【請求項2】
前記ビニル樹脂(A)がカルボキシル基及びカルボキシレート基からなる群より選ばれる1種以上を有するものである、請求項1に記載の水性粘着剤組成物。
【請求項3】
前記ビニル樹脂(a1)が、ビニル単量体混合物の全量に対して45〜85質量%の(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルと、1〜5質量%のカルボキシル基含有ビニル単量体とを含むビニル単量体混合物を重合して得られるものである、請求項1に記載の水性粘着剤組成物。
【請求項4】
前記油溶性架橋剤(a2)が油溶性エポキシ化合物である、請求項1に記載の水性粘着剤組成物。
【請求項5】
前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)の有する前記一般式(1)で示される構造中のnが10〜20の整数である、請求項1に記載の水性粘着剤組成物。
【請求項6】
前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)が、デヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸及びサンダラコピマール酸からなる群より選ばれる1種以上が有するカルボキシル基と、ポリオキシエチレングリコールの有する少なくとも1個の水酸基とを反応させて得られるものである、請求項1に記載の水性粘着剤組成物。
【請求項7】
前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)が、前記ビニル樹脂(A)の全量に対して0.1〜5質量%含まれる、請求項1に記載の水性粘着剤組成物。
【請求項8】
更に、軟化点が150℃〜200℃のロジン系樹脂(F)を含有する、請求項1に記載の水性粘着剤組成物。
【請求項9】
ビニル単量体混合物と反応性界面活性剤と重合開始剤と下記一般式(1)で示される構造を有する不均化ロジン酸エステル化物(B)と前記水系媒体(C)とを混合し、前記ビニル単量体混合物と前記反応性界面活性剤との乳化重合を進行させることによって前記ビニル樹脂(a1)と前記不均化ロジン酸エステル化物(B)と前記水系媒体(C)との混合物[I]を製造し、次いで前記混合物[I]と前記油溶性架橋剤(a2)とを混合することを特徴とする、ゲル分率30質量%〜50質量%のビニル樹脂(A)と前記不均化ロジン酸のエステル化物(B)とが水系媒体(C)中に溶解または分散した水性粘着剤組成物の製造方法。
【請求項10】
ビニル樹脂(a1)及び油溶性架橋剤(a2)を予め混合することによって形成された30〜50質量%のゲル分率を有するビニル樹脂(A)と下記一般式(1)で示される構造を有する不均化ロジン酸のエステル化物(B)とが水系媒体(C)中に溶解または分散した水性粘着剤組成物を用いて形成される粘着剤層が、支持体の片面または両面に設けられた粘着シート。

(前記一般式(1)中のnは、10〜30の整数を示す。)
【請求項11】
離型基材の表面に、ビニル樹脂(a1)及び油溶性架橋剤(a2)が架橋反応し形成した30〜50質量%のゲル分率を有するビニル樹脂(A)と、下記一般式(1)で示される構造を有する不均化ロジン酸のエステル化物(B)と、水系媒体(C)とを含有する水性粘着剤組成物を塗布し、乾燥することによって粘着剤層を形成し、次いで、前記粘着剤層上に支持体を積層することを特徴する粘着シートの製造方法。

(前記一般式(1)中のnは、10〜30の整数を示す。)

【公開番号】特開2013−1751(P2013−1751A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132138(P2011−132138)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】