説明

水族館玩具

【課題】岩などの不動体が固定され、その周囲を魚などが回遊しているように見え、しかも、水(液体)を一切使用しない水族館玩具を提供する。
【解決手段】本願水族館玩具1は、水槽に見立てた透明枠体6と、該透明枠体6の内面側にて水平方向に回転し、魚などを表示7した透明筒体8と、該透明筒体8の内面側にて静止し、岩などの不動体20を載せた台盤21とを備えたことを特徴とし、水(液体)を使用しなくても魚などが岩の周りを泳いでいるように見える。特に、前記透明筒体8を上下動方向に可動させる可動手段18を備えることにより、魚などの泳ぎの幅が拡大し、より高い臨場感が得られるものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岩などの不動体が固定され、その周囲を魚などが回遊しているように見える水族館玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の水族館玩具に対応するものとして、実開平7−493号公報のものと、実開平6−66793号公報のものがあった。前者は、水槽内に内部を空洞にした大きな岩を設け、該岩内に多数の永久磁石をその磁力面がモータ駆動により自由な向きに変えられるようにし、該磁力面を前記水槽内に浮かべた魚などに内蔵した磁石に反応させて恰も魚などが岩の周りを泳いで見えるようにしたものである。また、後者は、水槽の中心部に空洞の装飾体を設け、その装飾体の空洞内にモータ駆動により水平方向に回転する永久磁石を設け、前記水槽内に浮かべた魚などに内蔵した磁石に反応させて恰も魚などが装飾体の周りを泳いで見えるようにしたものである。
【特許文献1】実開平7−493号公報
【特許文献2】実開平6−66793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来例のものは、いずれも、水槽内に浮かべた魚などに内蔵した磁石に反応させる永久磁石をモータ駆動により可動し、これによって魚などが岩の周りや装飾体の周りを泳いで見えるようにしたものであるが、水槽内には魚などを浮かべるための水が必ず必要になっていた。従って、水の蒸発により水量が減少して魚などが泳げなくなる可能性や水漏れの問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題を解消するためのもので、その目的とするところは、水を使用しない水族館玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】

上記目的を達成するため、本発明は、水槽に見立てた透明枠体と、該透明枠体の内面側にて水平方向に回転し、魚などを表示した透明筒体と、該透明筒体の内面側にて静止し、岩などの不動体を載せた台盤とを備えたことを特徴とし、水(液体)を使用しなくても魚などが岩の周りを泳いで見えるように構成している。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、前記透明筒体が、上下動方向に可動させる可動手段を備えていることを特徴とし、前記透明筒体に表示した魚などの泳ぎの幅を広げるように構成している。
【0007】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記可動手段が、前記透明筒体を上面に固定し、モータ駆動により水平方向に回転する回転部材の下面に上下カム枠を設け、該上下カム枠を固定部材の上面に設けた上下カム枠に摺接載置させたことを特徴とし、前記透明筒体の上下動をスムーズに行うことが出来るように構成している。
【0008】
さらにまた、請求項4に記載の発明は、前記台盤が、その下面中心に垂下したピンを、前記回転部材の中心孔を遊嵌し、前記固定部材の中心にピポット支持させたことを特徴とし、構造の簡易化及び玩具全体の低コスト化が実現できるように構成している。
【0009】
さらにまた、請求項5に記載の発明は、前記透明枠体が、内面側に縦縞状の球面状凹凸面を備えていることを特徴とし、魚などの泳ぐ方向にプラスレンズ効果(拡大)及びマイナスレンズ効果(縮小)が繰り返し現れるように構成している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、魚などが不動の岩の周りを、いかにも水中を活魚の如く泳いでいるように見えるという優れた効果を奏するものである。
【0011】
また、請求項2に記載の発明によれば、魚などが不動の岩の周りを、上下しつつ泳ぐからより自然の感じが得られるという優れた効果を奏するものである。
【0012】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、前記透明筒体の上下動をスムーズに行うことが出来るという優れた効果を奏するものである。
【0013】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、岩などの不動体を載せた台板が前記透明筒体に対して相対的に停止させるための構造の簡易化と、玩具全体の低コスト化が実現できるという優れた効果を奏するものである。
【0014】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、前記透明枠体のレンズ効果(拡大)により、魚などが泳ぐ方向に拡大されたり縮小されたりすることから、魚などの泳ぐエネルギーが感じられるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】

次に、本発明の最良の形態を図面に基づいて説明する。図1は本願水族館玩具の外観斜視図、図2は本願水族館玩具の一部切欠正面図、図3は透明筒体の上下可動手段を示す分解斜視図、図4は透明枠体と透明筒体との関係を示す分解斜視図である。
【0016】
本願水族館玩具1は、図1及び図2の如く、家具のような外観を呈しているケーシング2に組み込まれている。すなわち、ケーシング2の左室(前扉あり)2aの上面奥側に、背板3を立ち上げ、該背板3の上部に屋根型体4を水平に片持ち状に設ける一方、前記ケーシング2の右室(前扉あり)2bの上面奥側に本棚のような模様2cを施した電池収納室5を設けている。
【0017】
前記本願水族館玩具1は、前記屋根型体4の下の空間に、水槽に見立てた透明枠体6が平面コの字状に設けられている(図4参照)。該透明枠体6の一つの面(背面側)は、前記背板3により隠されるため、この実施例においては不要になっている。透明枠体6の内面側には、魚などを表示7した透明筒体8が設けられいる。透明筒体8に魚などの表示7を行う方法としては、図4に示す如く、魚などの表示7を印刷した透明フィルム7′を貼る方法を採用するとよい。勿論、他の方法で表示することは自由である。
【0018】
前記透明枠体6と前記透明筒体8との間には、透明筒体8が遊嵌できる貫通孔9′を有する砂層に似せて着色した板体9が、図1及び図4の如く、設けられている。この板体9にはサンゴやコンブ等の海中自然物に似せた装飾物9″を植設しておくとよい。
【0019】
前記透明筒体8は、前記ケーシング2の左室2a内に設置したモータ10から減速機構11を介して駆動されるギア12により水平方向に回転する回転部材13の上面の周縁段部14に嵌着されている。
【0020】
前記回転部材13は、図3の如く、下面に上下カム枠15を有し、該上下カム枠15を固定部材16の上面に設けた上下カム枠17に摺接載置させている。従って、前記回転部材13が、前述の如く、モータ10により水平方向に回転すると、前記上下カム枠15、17のカム作用により垂直方向に上下動し、これに嵌合している前記透明筒体8も垂直方向に上下動する。この透明筒体8を上下動方向に可動させる、上下カム枠15、17を要部とする可動手段18は、透明筒体8の上下動をスムーズに行うために有効である。
【0021】
前記可動手段18の要部である上下カム枠15、17は、図2の如く、円周の対向位置に2つのピークを有する2山カムにして、透明筒体8の上下動をスムーズに行わせているものであるが、カムの形態としては、3山カムでも、場合によっては1山カムでも成立することは勿論である。
【0022】
前記回転部材13は、図3の符号Aで示す下面から見た斜視図からも明らかな如く、内面に形成した雌ねじ部19に、モータ10から減速機構11を介して駆動されるギア12が、前記固定部材16の透孔16′を通して噛合している。これにより、前記透明筒体8に表示された魚などがスムーズに上下動しつつ一定方向に向って泳いでいるように見えることとなる。
【0023】
前記透明筒体8の内側には、岩や砂層などの不動体20を載せた台盤21が設けられている。この台盤21は、その下面中心にピン22を垂下し、該ピン22の下端を、前記回転部材13の中心孔13′を遊嵌し、前記固定部材16の上面中央に設けた凸板23の中心孔24に嵌入し、ピポット支持されている。従って、台盤21は、前記回転部材13がモータ10により水平方向に回転しても静止した状態を保っている。つまり、岩などの不動体20を載置した前記台盤21のこの実施例における静止構造は、他の構造のものに比して、構造の簡易化及び玩具全体の低コスト化が実現できるものである。
【0024】
前記透明枠体6は、内面側に縦縞状の球面状凹凸面6′が設けられている。これは魚などが泳ぐ方向にプラスレンズ効果(拡大)と、マイナスレンズ効果(縮小)が繰り返し現れるように構成している。すなわち、魚などが泳ぐ方向に拡大されたり縮小されたりすると、魚などの泳ぐエネルギーが強く感じられるようになり、より臨場感を高める効果が得られるものである。
【0025】
前記屋根型体4には、台盤21に載せた岩などの不動体20を照明するための電球25が設けられている。これは屋根型体4の下に配置されている岩などの不動体20の存在を明確にするために有効である。勿論、電球25は色の変化や光の強弱を変更できるものであるとより効果的である。なお、屋根型体4は透光性のある素材(例えば、透明プラスチック)で構成し、自然光を採り取り入れるようにしてもよい。
【0026】
前記ケーシング2の電池収納室5の前(右室2bの上面)には、モータ10の起動と、前記屋根型体4の電球25を点灯するためのスイッチ26が設けられている。ここに示すスイッチ26はスライド型式のものになっているが、他の構造のもの、たとえば、押しボタン式のものでもよい。なお、スイッチ26は操作し易いものであればその設置位置や型式は問わない。
【0027】
次に、本願水族館玩具1の作用を説明する。まず、本願水族館玩具1は机の上や本棚の棚上などにおいて、人形玩具や動物玩具の家具の一部としてセットして遊ぶことができるように工夫されている。本願水族館玩具1は一切水(液体)を使用しないため、水の蒸発や液漏れの恐れが皆無である。
【0028】
次に、ケーシング2の電池収納室5の前のスイッチ26をオン方向にスライドさせてモータ10を起動する。同時に、屋根型体4の電球25が点灯する。これによりモータ10から減速機構11を介して駆動されるギア12が、回転部材13を水平方向に駆動し、該回転部材13に嵌着している透明筒体8が水平方向に回転開始する。また、透明筒体8は上下カム枠15、17を要部とする可動手段18の作用で垂直方向に上下動するから、これに表示7された魚などは電球25により照明されて浮きだされた岩等の不動体20の周囲を上下しつつスムーズに泳いでいるように見え、立体的に観賞できる。
【0029】
上記の場合、前記透明枠体6の内面側に、縦縞状の球面状凹凸面が設けられているときは、魚などが泳ぐ方向にプラスレンズ効果(拡大)と、マイナスレンズ効果(縮小)が繰り返し現れることから、魚などが泳ぐ方向に拡大されたり縮小されたりして泳ぐエネルギーが強く感じられるようになり、より臨場感が高められるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本願水族館玩具1は、岩などの不動体が固定され、その周囲を魚などが回遊しているように見え、しかも、水(液体)を一切使用していないため、水の蒸発や液漏れの恐れが皆無であり、特に、小児や子供を対象した玩具には最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本願水族館玩具の外観斜視図である。
【図2】本願水族館玩具の一部切欠正面図である。
【図3】透明筒体の上下可動手段を示す分解斜視図である。
【図4】透明枠体と透明筒体との関係を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0032】

本願水族館玩具
2 ケーシング
2a 左室(前扉)
2b 右室(前扉)
2c 模様
3 背板
4 屋根型体
5 電池収納室
6 透明枠体
6′凹凸面
7 魚などの表示
7′透明フィルム
8 透明筒体
9 板体
9′貫通孔
9″装飾物
10 モータ
11 減速機構
12 ギア
13 回転部材
13′中心孔
14 周縁段部
15 上下カム枠
16 固定部材
16′透孔
17 上下カム枠
18 可動手段
19 雌ねじ部
20 不動体
21 台盤
22 ピン
23 凸板
24 中心孔
25 電球
26 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽に見立てた透明枠体と、該透明枠体の内面側にて水平方向に回転し、魚などを表示した透明筒体と、該透明筒体の内面側にて静止し、岩などの不動体を載せた台盤とを備えたことを特徴とする水族館玩具。
【請求項2】
前記透明筒体が、上下動方向に可動させる可動手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の水族館玩具。
【請求項3】
前記可動手段が、前記透明筒体を上面に固定し、モータ駆動により水平方向に回転する回転部材の下面に上下カム枠を設け、該上下カム枠を、固定部材の上面に設けた上下カム枠に摺接載置させたことを特徴とする請求項2に記載の水族館玩具。
【請求項4】
前記台盤が、その下面中心に垂下したピンを、前記回転部材の中心孔を遊嵌し、前記固定部材の中心にピポット支持させたことを特徴とする請求項1〜3のうちの1に記載の水族館玩具。
【請求項5】
前記透明枠体が、内面側に縦縞状の球面状凹凸面を備えていることを特徴とする請求項1〜4のうちの1に記載の水族館玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−161586(P2008−161586A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356608(P2006−356608)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000128234)株式会社エポック社 (21)
【Fターム(参考)】