説明

水栓ユニット及びそれを備えた洗面化粧台

【課題】操作レバーが下方に向けて突出するように取り付けられる水栓装置において、組み立て作業を容易に行うことができる水栓ユニットを提供する。
【解決手段】本発明は、操作レバー(40)が下方に向けて突出するように水栓装置に取り付けられる水栓ユニット(18)であって、操作レバーの操作により吐水状態と止水状態を切り替える水栓カートリッジ(28)と、この水栓カートリッジを受け入れる受入部(26a)、及び操作レバーを下方に向けて突出させる開口部(26b)が形成され、水栓装置の筐体に固定される下側本体(26)と、給水管が接続される通水接続部(24c)、及び給水管から供給された水を水栓カートリッジの流入口(34c)に導く通水路を備え、下側本体との間に水栓カートリッジを挟むことにより水栓カートリッジを固定する上側本体(24)と、を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓ユニット及びそれを備えた洗面化粧台に関し、特に、操作レバーが下方に向けて突出するように水栓装置に取り付けられる水栓ユニット及びそれを備えた洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
現在普及している洗面化粧台の多くは、洗面ボウルの奥のデッキ面に水栓装置が配置されている。このようなタイプの洗面化粧台では、水栓の周りに水垢が付着しやすいため、清掃性が悪く、また、奥行きの大きな洗面ボウルを採用すると洗面化粧台全体の奥行きが大きくなるという問題がある。
【0003】
一方、特開2001−61685号公報には洗面化粧台が記載されており、この洗面化粧台では、操作レバーが下方に向けて突出するように取り付けられた水栓装置を、洗面ボウルの上方の空間に配置することによって上記の問題を解決している。
【0004】
【特許文献1】特開2001−61685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2001−61685号公報に記載されているような、操作レバーが下方に向けて突出するように取り付けられた水栓装置では、水栓カートリッジの取り付け、交換が困難であるという問題がある。特開2001−61685号公報には水栓装置の構造が詳細に記載されていないが、操作レバーが上方に向けて突出するように配置される従来の水栓装置の上下を単純に逆転した場合、水栓カートリッジの取り付け、交換は非常に困難なものとなる。このことを以下に説明する。
【0006】
図7は、1本の操作レバーにより、止水、吐水、流量調節及び温度調節をすることができるシングルレバー水栓を備えた従来の水栓ユニットの断面図である。
図7に示すように、水栓ユニット100は、水栓ユニット本体102と、水栓カートリッジ104と、水栓カートリッジ押さえ106と、操作ハンドル108と、を有する。水栓ユニット本体102は、上方が開放された受入部102aを有し、この受入部102aの上端部には雌ねじが形成されている。水栓カートリッジ104は、上方に突出するように設けられた操作レバー104aを備え、下面には突起104bが設けられている。この突起104bは、受入部102aの底面に形成された凹部102bに受け入れられるように構成されている。
【0007】
水栓カートリッジ押さえ106は、概ね環状の部材であり、外周下端部に雄ねじが形成されている。水栓カートリッジ104に設けられた操作レバー104aは、水栓カートリッジ押さえ106を通して上方に突出される。水栓装置の使用者によって操作される操作ハンドル108は、操作レバー104aに取り付けられる。
【0008】
水栓カートリッジ104を水栓ユニット本体102に組み付ける際には、まず、水栓カートリッジ104の突起104bが受入部102aの凹部102bに受け入れられるように、水栓カートリッジ104を受入部102aの中に配置する。これにより、水栓カートリッジ104は受入部102a内の適所に位置決めされる。次に、受入部102aの雌ねじに水栓カートリッジ押さえ106の雄ねじを螺合させることにより、水栓カートリッジ104は水栓ユニット本体102と水栓カートリッジ押さえ106の間に挟まれ、固定される。
【0009】
ここで、図7に示す従来の水栓ユニット100の上下が逆転され、水栓カートリッジ104が、操作レバー104aを下方に向けて突出させるように配置された場合を考える。このように、水栓カートリッジ104を、操作レバー104aが下方に向けて突出するように組み付ける場合には、まず、水栓カートリッジ104を、下方に向けて開放した水栓ユニット本体102の受入部102aの中に、突起104bが上方を向くように挿入する。この際、突起104bが凹部102bに受け入れられ、水栓カートリッジ104が適所に配置されるように、組み付け位置を手探りで調整する必要がある。
【0010】
次いで、突起104bが凹部102bに受け入れられた状態を維持したまま水栓カートリッジ押さえ106を水栓ユニット本体102に螺合させる必要があるが、この作業が非常に困難である。即ち、操作レバー104aが下方に向けて取り付けられる場合には、突起104bが凹部102bに受け入れられた状態を維持するために、水栓カートリッジ104を手指により保持していなければならない。さらに、水栓カートリッジ104が落下しないように水栓カートリッジ104を適所に保持したまま、水栓カートリッジ押さえ106を水栓ユニット本体102に螺合させる作業は非常に困難である。
【0011】
さらに、水栓カートリッジ104の組み付け作業中に、誤って水栓カートリッジ104や水栓カートリッジ押さえ106を落下させた場合には、下方に配置された洗面ボウルを損傷する虞があるという問題もある。
【0012】
従って、本発明は、操作レバーが下方に向けて突出するように取り付けられる水栓装置において、組み立て作業を容易に行うことができる水栓ユニット及びそれを備えた洗面化粧台を提供することを目的としている。
【0013】
また、本発明は、操作レバーが下方に向けて突出するように取り付けられる水栓装置において、水栓カートリッジを容易に交換することができる水栓カートリッジの交換方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するために、本発明は、操作レバーが下方に向けて突出するように水栓装置に取り付けられる水栓ユニットであって、操作レバーの操作により吐水状態と止水状態を切り替える水栓カートリッジと、この水栓カートリッジを受け入れる受入部、及び操作レバーを下方に向けて突出させる開口部が形成され、水栓装置の筐体に固定される下側本体と、給水管が接続される通水接続部、及び給水管から供給された水を水栓カートリッジの流入口に導く通水路を備え、下側本体との間に水栓カートリッジを挟むことにより水栓カートリッジを固定する上側本体と、を有することを特徴としている。
【0015】
このように構成された本発明においては、水栓カートリッジが、下側本体の受入部に、操作レバーを下方に向けて突出させるように配置される。上側本体は、下側本体との間に水栓カートリッジを挟むように取り付けられ、水栓カートリッジを固定する。
【0016】
このように構成された本発明によれば、上側本体を取り外した状態でも、水栓カートリッジが落下することはないので、水栓ユニットを容易に組み立てることができると共に、水栓カートリッジを容易に交換することができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、受入部は概ね円筒形に形成されており、上側本体は受入部に嵌入される円柱部を備え、さらに、受入部に受け入れられた円柱部の回転位置を位置決めする本体回転位置決め手段を有する。
【0018】
このように構成された本発明においては、上側本体の円柱部を受入部に嵌入させた状態で、上側本体の回転位置を調整することができると共に、本体回転位置決め手段により円柱部の回転位置を容易に適所に位置決めすることができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、さらに、通水路と流入口が整合するように、水栓カートリッジを上側本体に対して位置決めするカートリッジ位置決め手段を有する。
このように構成された本発明によれば、カートリッジ位置決め手段により、上側本体の通水路と水栓カートリッジの流入口を容易に整合させることができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、本体回転位置決め手段は、上側本体に対する水栓カートリッジの位置がカートリッジ位置決め手段により位置決めされた状態で、上側本体を位置決めできるように構成されている。
【0021】
このように構成された本発明によれば、水栓カートリッジが上側本体に対して適所に位置決めされた状態を維持しながら、上側本体を下側本体に対して位置決めすることができるので、上側本体、下側本体、及び水栓カートリッジの三つの部品を容易に位置決めすることができる。
【0022】
本発明において、好ましくは、本体回転位置決め手段は、位置決めキーと、上側本体及び下側本体に夫々形成されたキー嵌合部によって構成されている。
このように構成された本発明によれば、上側本体に対して水栓カートリッジが位置決めされた状態で、上側本体を位置決めすることができる本体回転位置決め手段を容易に構成することができる。
【0023】
本発明において、好ましくは、下側本体は、取付ビスにより水栓装置の筐体にビス止めされる。
このように構成された本発明によれば、水栓ユニットを水栓装置の筐体に対して容易に位置決めし、固定することができる。
【0024】
本発明において、好ましくは、上側本体と、下側本体が、異なる材料により形成されている。
このように構成された本発明によれば、通水路が形成された上側本体のみを耐食性の高い材料で構成することができるので、水栓ユニットの本体を耐食性の高い材料で一体に形成した場合よりも材料のコストを低減することができる。
【0025】
また、本発明の洗面化粧台は、洗面ボウルと、この洗面ボウルの上方に配置された水栓装置の筐体と、この水栓装置の筐体に、操作レバーが下方に向けて突出するように取り付けられた本発明の水栓ユニットと、水栓装置の筐体に取り付けられた吐水部と、を有することを特徴としている。
【0026】
また、本発明は、水栓装置の筐体に固定された下側本体と、この下側本体から操作レバーが下方に向けて突出するように下側本体に受け入れられた水栓カートリッジと、下側本体との間に水栓カートリッジを挟んで水栓カートリッジを固定する上側本体と、を備えた水栓ユニットの水栓カートリッジを交換する方法であって、上側本体を、下側本体から取り外し、水栓カートリッジを露出させる段階と、下側本体に受け入れられた水栓カートリッジを、下側本体から上方に引き抜く段階と、新しい水栓カートリッジを、下側本体の内部に落とし込む段階と、上側本体を下側本体に取り付け、新しい水栓カートリッジを固定する段階と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明の水栓ユニット及びそれを備えた洗面化粧台によれば、操作レバーが下方に向けて突出するように取り付けられる水栓装置において、組み立て作業を容易に行うことができる。
【0028】
また、本発明の水栓カートリッジの交換方法によれば、操作レバーが下方に向けて突出するように取り付けられる水栓装置において、水栓カートリッジを容易に交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による洗面化粧台を説明する。
図1は本実施形態による洗面化粧台の全体を示す斜視図である。また、図2は本実施形態による洗面化粧台の水栓装置の内部を拡大して示す斜視図である。
【0030】
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態による洗面化粧台1は、下部キャビネット2と、下部キャビネット2の上に載置された洗面ボウル4と、洗面ボウル4の上方に配置された水栓装置6と、水栓装置6の上方に配置された上部キャビネット8と、を有する。
【0031】
下部キャビネット2は、背面が洗面化粧台1を設置する壁面に当接するように床面上に配置され、内部に物品を収納することができるように構成されている。
洗面ボウル4は、下部キャビネット2の上に載置され、洗面化粧台1の奥行きの大部分を洗面用のスペースとして活用できるよう大型に構成されている。なお、本実施形態においては、洗面ボウル4は樹脂製であるが、洗面ボウルを陶器で構成することもできる。
【0032】
水栓装置6は、上部キャビネット8の底面に取り付けられ、洗面ボウル4の上方に配置されている。また、水栓装置6の底面には、L字形に屈曲した操作ハンドル10が前方に突出するように設けられ、また、吐水部12が下方斜め前方に向けて突出するように設けられている。
【0033】
上部キャビネット8は、水栓装置6の上方に配置されており、その前面板には三面鏡8aが取り付けられている。この前面板を開くことにより上部キャビネット8内部の収納棚(図示せず)に収納された物品を出し入れすることができるように構成されている。
【0034】
本実施形態による洗面化粧台1は、操作ハンドル10を左右に回動させることにより吐水部12から吐出される湯水の温度を調節し、また、操作ハンドル10を上下方向に回動させることにより湯水の吐水状態、止水状態を切り替え、吐出される湯水の流量を調節できるように構成されている。
【0035】
図2に示すように、水栓装置6は、水栓装置の筐体である水栓取付板14と、水栓ボックス16と、水栓取付板14に取り付けられた水栓ユニット18と、この水栓ユニット18に湯及び水を供給する給湯管20a及び給水管20bと、水栓ユニット18によって混合された湯水を吐水部12に導く導管22と、を有する。水栓装置6は、給湯管20a及び給水管20bから供給された湯及び水を、適宜混合して吐水部12から吐出させるように構成されている。
【0036】
次に、図3乃至図5を参照して、洗面化粧台1に備えられている水栓装置6の詳細を説明する。図3は本実施形態による洗面化粧台1に使用されている水栓ユニットの断面図であり、図4は水栓ユニットを分解して示す断面図である。また、図5は、本実施形態による洗面化粧台1に使用されている水栓装置6の分解斜視図である。
【0037】
図3乃至図5に示すように、水栓ユニット18は、上側本体24と、この上側本体24と組み合わせられて水栓ユニット本体を構成する下側本体26と、この下側本体26内に配置された水栓カートリッジ28と、上側本体24及び下側本体26によって水栓カートリッジ28を固定するための袋ナット30と、を有する。
【0038】
上側本体24は、概ね円柱状の部材であり、その下部の円柱部が下側本体26に嵌入されるように構成されている。また、上側本体24の上端には給湯管20a、給水管20b、及び導管22を接続するための3つの通水接続部24a、24b、24cが形成されている。これら通水接続部24a、24b、24cは、上側本体24の下端まで延びる通水路に連通している。給湯管20a、給水管20b、及び導管22は、それらを通水接続部部24a、24b、24cに夫々差し込んだ状態で、押さえ金具44を上側本体24にビスで固定することにより、上側本体24に固定される。
【0039】
また、上側本体24外周の中間部には、袋ナット30と係合するフランジ部24dが形成されている。さらに、上側本体24外周には、本体回転位置決め手段である位置決めキー42を挿入するキー嵌合部であるキー溝24eが軸線方向に形成されている。また、上側本体24の下端面には、水栓カートリッジ28から突出する2つの突起を受け入れるための2つの凹部24fが設けられている(図4に1つのみ図示)。なお、本実施形態においては、上側本体24は、耐脱亜鉛黄銅棒から形成されている。
【0040】
下側本体26は、上部に水栓カートリッジ28を受け入れる受入部26aが形成され、下端部に、水栓カートリッジ28の操作レバー40を下方に向けて突出させる開口部26bが設けられた概ね円筒状の部材である。また、下側本体26の外周上端には、袋ナット30を螺合させる雄ねじ26cが形成されている。上側本体24は、上側本体24を下側本体26に嵌入させた状態で袋ナット30を雄ねじ26cに螺合させることにより、下側本体26に固定される。
【0041】
さらに、下側本体26の外周上端には、位置決めキー42を受け入れるためのキー嵌合部である切欠部26dが軸線方向に形成されている。位置決めキー42がキー溝24e及び切欠部26dに受け入れられるように上側本体24を配置することにより、下側本体26に対する上側本体24の回転位置が位置決めされる。
【0042】
また、下側本体26の下部外周には、水栓取付板14と当接する四角形のフランジ部26eが設けられている。このフランジ部26eの四隅には4本の取付ビス46を挿入するための穴が設けられている。下側本体26は、このフランジ部26eにより、水栓取付板14に取り付けられる。即ち、水栓取付板14及び水栓ボックス16には、下側本体26及び水栓カートリッジ28を露出させる円形穴14a及び16aが夫々形成されており、下側本体26に受け入れられた水栓カートリッジ28は、これらの円形穴を介して下方に露出される。なお、本実施形態においては、下側本体26は、黄銅棒から形成されている。
【0043】
各取付ビス46は、フランジ部26e及び水栓取付板14に設けられた穴、及び筒状のスペーサ48の内部に設けられた雌ねじ(図示せず)に螺合される。これにより、水栓カートリッジ28が下方に露出された状態で、下側本体26が水栓取付板14及び水栓ボックス16に対して位置決めされ、固定される。また、下側本体26と水栓ボックス16の間には、環状のパッキン50が挟まれており、水栓ボックス16内への水の侵入を阻止している。さらに、水栓取付板14は、8本の水栓取付板固定ビス51により、水栓ボックス16に固定されている。
【0044】
水栓カートリッジ28は、給湯管20a及び給水管20bから流入した水及び湯を適宜混合して導管22へ吐出させるシングルレバー水栓を構成するものである。水栓カートリッジ28は、カートリッジ本体32と、このカートリッジ本体32の後端部に配置されたカートリッジ本体蓋34と、を有する。また、カートリッジ本体32の内部には、カートリッジ本体蓋34に重ねて配置された固定ディスク36と、固定ディスク36に対してスライド可能に配置された可動ディスク38と、この可動ディスク38をスライドさせる操作レバー40が配置されている。
【0045】
カートリッジ本体32は、段付きの概ね円筒状に形成されており、内部に固定ディスク36、可動ディスク38等が内蔵されている。水栓カートリッジ28が下側本体26の受入部26aに落とし込まれると、カートリッジ本体32の段部は、開口部26bの縁に係合される。
【0046】
カートリッジ本体蓋34は、カートリッジ本体32の底面を形成する概ね円盤状の部材である。このカートリッジ本体蓋34には、湯流入口34a、水流入口34b、及び湯水混合水流出口34cの3つの穴が形成されている(湯水混合水流出口34cのみ図示)。湯流入口34a及び水流入口34bは、水栓カートリッジ28の流入口を構成し、上側本体24に形成された通水接続部24a、24bから延びる通水路に夫々連通するように整合されている。同様に、湯水混合水流出口34cは、水栓カートリッジ28の流出口を構成し、上側本体24に形成された通水接続部24cと連通するように整合されている。また、カートリッジ本体蓋34には、カートリッジ位置決め手段である2つの概ね円柱形の突起34dが、上方に突出するように形成されている。これらの突起34dが上側本体24の下端面の凹部24fに夫々受け入れられることにより、上側本体24に対する水栓カートリッジ28の回転位置が位置決めされる。
【0047】
固定ディスク36は、カートリッジ本体蓋34と同様に、水流入口36a、湯流入口36b、及び湯水混合水流出口36cの3つの穴が形成された概ね円盤状の部材であり、カートリッジ本体蓋34と重なるように配置されている(湯水混合水流出口36cのみ図示)。
【0048】
可動ディスク38は、概ね円盤状の部材であり、固定ディスク36に対して摺動可能に配置されている。また、可動ディスク38の裏側の固定ディスク36と摺動する面には通水凹部38aが形成されており、反対側の面には操作レバー40の上端部を受け入れるための操作用凹部38bが形成されている。可動ディスク38は、操作レバー40の操作により、図3における左右方向の平行移動、及び下側本体26の中心軸線を中心とする回転移動ができるように構成されており、この移動により吐出される湯水の温度及び流量を調整することができる。
【0049】
操作レバー40は、カートリッジ本体32の下部にピン40aを介して取り付けられており、ピン40aを中心とする回動、及びカートリッジ本体32の中心軸線を中心とする回動が可能になっている。操作レバー40の上端部は可動ディスク38の操作用凹部38bに受け入れられており、操作レバー40を回動させることにより、可動ディスク38を平行移動及び回転移動させることができるようになっている。また、操作レバー40の下端部には、止めネジ10aにより操作ハンドル10が取り付けられている。さらに、操作レバー40の周囲には、ハンドルカバー52が配置されている。
【0050】
次に、水栓ユニット18の水栓装置6への組み付け手順を説明する。
まず、下側本体26を4本の取付ビス46により、水栓取付板14及び水栓ボックス16にビス止めする。この際、水栓取付板14と水栓ボックス16の間に、スペーサ48及びパッキン50が挟まれるようにする。また、8本の水栓取付板固定ビス51により、水栓取付板14を水栓ボックス16に固定する。
【0051】
次に、水栓カートリッジ28を、操作レバー40を下方に向けて下側本体26の受入部26aの中に落とし込む。これにより、水栓カートリッジ28の操作レバー40が、下側本体26の下端の開口から突出する。さらに、上側本体24下部の円柱部を下側本体26の受入部26aの中に挿入する。この際、上側本体24を受入部26aの中で適宜回転させ、水栓カートリッジ28の突起34dが、上側本体24の下端の凹部24fに受け入れられるようにする。水栓カートリッジ28の突起34dが凹部24fに受け入れられると、上側本体24に対する水栓カートリッジ28の回転位置が適所に位置決めされ、これにより、上側本体24の通水接続部24a、24b、24cと、カートリッジ本体蓋34の湯流入口34a水流入口34b、湯水混合水流出口34cが夫々整合し、連通される。
【0052】
さらに、上側本体24を下側本体26に対して回転させ、上側本体24のキー溝24eと、下側本体26の切欠部26dを整合させる。また、水栓カートリッジ28の突起34dが上側本体24の凹部24fに受け入れられているので、上側本体24を回転させることにより、水栓カートリッジ28も共に回転される。次いで、整合しているキー溝24eと切欠部26dを跨ぐように位置決めキー42を配置する。これにより、下側本体26に対する上側本体24の回転位置が位置決めされる。また、上記のように、上側本体24に対する水栓カートリッジ28の回転位置も突起34dにより位置決めされているので、下側本体26に対する水栓カートリッジ28の回転位置も同時に適所に位置決めされる。
【0053】
さらに、位置決めキー42をキー溝24e及び切欠部26dの中に挿入した状態で、袋ナット30を下側本体26に形成された雄ねじ26cに螺合させる。また、袋ナット30は上側本体24のフランジ部24dに係合するため、袋ナット30を締めることにより、上側本体24が下方に押圧される。これにより、水栓カートリッジ28は上側本体24と下側本体26の間に挟まれ、固定される。
【0054】
次に、ハンドルカバー52を、操作レバー40を取り囲むように、水栓カートリッジ28の下端に取り付ける。さらに、操作ハンドル10を、その鉛直部分が操作レバー40を覆うように操作レバー40に取り付け、止めネジ10aにより操作ハンドル10を固定する。これにより、水栓ユニット18の水栓装置6への組み付けが完了する。
【0055】
次に、メンテナンス時における水栓カートリッジ28の交換方法を説明する。
水栓ユニット18に内蔵された水栓カートリッジ28を交換する場合には、まず、上側本体24に固定されている押さえ金具44を取り外し、上側本体24に接続されている給湯管20a、給水管20b及び導管22を引き抜く。次いで、操作レバー40に固定されている止めネジ10aを緩め、操作ハンドル10を取り外す。さらに、下側本体26に螺合されている袋ナット30を緩め、袋ナット30及び位置決めキー42を取り外す。
【0056】
次に、下側本体26に挿入されている上側本体24を上方に引き抜いて取り外し、交換すべき水栓カートリッジ28を露出させる。さらに、露出された水栓カートリッジ28を下側本体26の受入部26aから上方に引き抜いて取り出す。次に、新しい水栓カートリッジ28を下側本体26の受入部26aに落とし込む。さらに、水栓カートリッジ28の突起34dが凹部24fに受け入れられるように、上側本体24を下側本体26の受入部26aに挿入する。次いで、上側本体24を回転させ、キー溝24eと下側本体26の切欠部26dを整合させる。さらに、位置決めキー42をキー溝24e及び切欠部26dに挿入し、袋ナット30を下側本体26の雄ねじ26cに螺合させ、新しい水栓カートリッジ28を固定する。最後に、操作ハンドル10、給湯管20a、給水管20b及び導管22、押さえ金具44を取り付け、水栓カートリッジ28の交換を完了する。
【0057】
次に、本発明の実施形態による洗面化粧台1の作用を説明する。
まず、図3に示すように、操作ハンドル10が下方に下げられた状態においては、水栓カートリッジ28内の固定ディスク36の水流入口36a、湯流入口36bは、可動ディスク38により閉鎖され、止水状態となっている。次に、操作ハンドル10を上方に回転させると、操作レバー40が回動され、これにより、可動ディスク38は図3における右方向に移動される。可動ディスク38が右方向に移動されると、給水管20b及び給湯管20aに夫々連通している水流入口36a及び湯流入口36bと、可動ディスク38の通水凹部38aが整合するようになり、水流入口36a、湯流入口36bが開放される。これにより、給水管20b及び給湯管20aから供給された水及び湯が水栓カートリッジ28内に流入する。水栓カートリッジ28に流入した水及び湯は混合され、固定ディスク36の湯水混合水流出口36cを通って流出する。湯水混合水流出口36cを通過した湯水は、導管22を通って吐水部12から吐出される。
【0058】
また、操作ハンドル10を上方に回転させるほど、固定ディスク36の水流入口36a及び湯流入口36bの開度が大きくなり、湯水の吐出流量が増大される。また、操作ハンドル10を洗面化粧台1の右方向に回転させると、固定ディスク36の水流入口36aの開度が大きくなり、湯流入口36bの開度が小さくなるので吐出される湯水の温度が低下される。逆に、操作ハンドル10を左方向に回転させると、水流入口36aの開度は小さく、湯流入口36bの開度は大きくなるので吐出される湯水の温度は上昇する。
また、水栓ボックス16と下側本体26の間には、パッキン50が配置されており、これらの間からの水栓ボックス16内への湯水の侵入が防止される。
【0059】
本発明の実施形態の洗面化粧台によれば、下側本体内に水栓カートリッジを配置した状態で上側本体を取り外しても、水栓カートリッジが落下することはないので、水栓ユニットを容易に組み立てることができると共に、水栓カートリッジを容易に交換することができる。
【0060】
また、本実施形態の洗面化粧台によれば、上側本体の円柱部を受入部に嵌入させた状態で、上側本体の回転位置を調整することができるので、上側本体を位置決めキーにより容易に適所に位置決めすることができる。
【0061】
さらに、本実施形態の洗面化粧台によれば、水栓カートリッジの突起を上側本体下面の凹部に受け入れることにより、水栓カートリッジと上側本体が位置決めされるので、上側本体の通水路と水栓カートリッジの流入口を容易に整合させることができる。
【0062】
また、本実施形態の洗面化粧台によれば、水栓カートリッジの突起を上側本体の凹部に受け入れた状態のまま上側本体を回転させ、上側本体を下側本体に対して位置決めすることができるので、上側本体、下側本体、及び水栓カートリッジの三つの部品を容易に位置決めすることができる。
【0063】
さらに、本実施形態の洗面化粧台によれば、下側本体が取付ビスにより水栓取付板にビス止めされるので、水栓ユニットを水栓装置の筐体に対して容易に位置決めし、固定することができる。
【0064】
また、本実施形態の洗面化粧台によれば、高い耐食性が要求される上側本体を脱亜鉛黄銅棒で形成し、下側本体は黄銅棒で形成しているので、水栓ユニット本体の材料のコストを低減することができる。
【0065】
次に、図6を参照して、本発明の実施形態による洗面化粧台に使用される水栓ユニットの変形例を説明する。図6は、本変形例による水栓ユニットの分解斜視図である。本変形例による水栓ユニットは、本体回転位置決め手段の構造が、上述した実施形態とは異なる。従って、ここでは、本変形例の、上述した実施形態とは異なる点のみを説明する。
【0066】
図6に示すように、本変形例による水栓ユニット60は、上側本体62と、下側本体64と、上側本体62と下側本体64を結合する袋ナット30と、を有する。
【0067】
下側本体64は、概ね円筒状の部材であり、水栓カートリッジ28(図6には図示せず)を受け入れる受入部64aが形成されている。また、上側本体62の下部には、受入部64aに嵌入される円柱部62aが形成され、中間部にはフランジ部62bが形成されている。さらに、上側本体62の下端面には、上述した実施形態と同様に、水栓カートリッジ28の突起34d(図6には図示せず)を受け入れるための凹部(図6には図示せず)が形成されている。
【0068】
さらに、上側本体62外周のフランジ部62bの下には、本体回転位置決め手段である凸側スプライン62cが形成されている。一方、下側本体64内周の受入部64aの上端には、凸側スプライン62cと係合する凹側スプライン64bが形成されている。また、これらの凸側スプライン62c及び凹側スプライン64bの高さは、水栓カートリッジ28に形成された突起34d(図6には図示せず)の高さよりも低く構成されている。
【0069】
次に、本変形例による水栓ユニット60の組み立て手順を説明する。まず、水栓カートリッジ28を、操作レバー40が下方に突出するように、下側本体64の受入部64aに落とし込む。次に、上側本体62の円柱部62aを受入部64aの中に挿入する。この際、上側本体62の下端面に形成された凹部に、水栓カートリッジ28の突起34dが受け入れられるように、上側本体62の回転位置を合わせる。
【0070】
ここで、水栓カートリッジ28の突起34dの高さは、凸側スプライン62c及び凹側スプライン64bの高さよりも高く構成されているので、突起34dが上側本体62の凹部に受け入れられ、スプラインが係合していない位置に上側本体62を保持することができる。この状態で、下側本体64に対して上側本体62を回転させ、上側本体62を所定の回転位置まで移動させる。この際、突起34dが上側本体62の凹部に受け入れられているので、上側本体62と共に水栓カートリッジ28も回転される。上側本体62を所定の回転位置まで移動させた後、凸側スプライン62cと凹側スプライン64bを係合させ、下側本体64に対する上側本体62の回転位置を固定する。最後に、袋ナット30を下側本体64外周上端の雄ねじ64cに螺合させ、上側本体62と下側本体64を結合させる。また、操作ハンドル10、ハンドルカバー52等の取り付けは、上述した実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、水栓装置の操作レバーは、鉛直下方に向けて突出するように構成されていたが、操作レバーの突出方向は鉛直下方以外であっても良い。本明細書において、「操作レバーが下方に向けて突出する」とは、操作レバーが水平面よりも下の方向に向けて延びているものを全て含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態による洗面化粧台の全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態による洗面化粧台の水栓装置の内部を拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態による洗面化粧台に使用されている水栓ユニットの断面図である。
【図4】水栓ユニットを分解して示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態による洗面化粧台に使用されている水栓装置の分解斜視図である。
【図6】本発明の変形例による水栓ユニットの分解斜視図である。
【図7】シングルレバー水栓を備えた従来の水栓ユニットの断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 本発明の実施形態による洗面化粧台
2 下部キャビネット
4 洗面ボウル
6 水栓装置
8 上部キャビネット
8a 鏡
10 操作ハンドル
10a 止めネジ
12 吐水部
14 水栓取付板
14a 円形穴
16 水栓ボックス
16a 円形穴
18 水栓ユニット
20a 給湯管
20b 給水管
22 導管
24 上側本体
24a、24b、24c 通水接続部
24d フランジ部
24e キー溝
24f 凹部
26 下側本体
26a 受入部
26b 開口部
26c 雄ねじ
26d 切欠部
28 水栓カートリッジ
30 袋ナット
32 カートリッジ本体
34 カートリッジ本体蓋
34a 湯流入口
34b 水流入口
34c 湯水混合水流出口
34d 突起
36 固定ディスク
36a 水流入口
36b 湯流入口
36c 湯水混合水流出口
38 可動ディスク
38a 通水凹部
38b 操作用凹部
40 操作レバー
40a ピン
42 位置決めキー
44 押さえ金具
46 取付ビス
48 スペーサ
50 パッキン
51 水栓取付板固定ビス
52 ハンドルカバー
100 従来の水栓ユニット
102 水栓ユニット本体
102a 受入部
102b 凹部
104 水栓カートリッジ
104a 操作レバー
104b 突起
106 水栓カートリッジ押さえ
108 操作ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作レバーが下方に向けて突出するように水栓装置に取り付けられる水栓ユニットであって、
上記操作レバーの操作により吐水状態と止水状態を切り替える水栓カートリッジと、
この水栓カートリッジを受け入れる受入部、及び上記操作レバーを下方に向けて突出させる開口部が形成され、上記水栓装置の筐体に固定される下側本体と、
給水管が接続される通水接続部、及び上記給水管から供給された水を上記水栓カートリッジの流入口に導く通水路を備え、上記下側本体との間に上記水栓カートリッジを挟むことにより上記水栓カートリッジを固定する上側本体と、
を有することを特徴とする水栓ユニット。
【請求項2】
上記受入部は概ね円筒形に形成されており、上記上側本体は上記受入部に嵌入される円柱部を備え、さらに、上記受入部に受け入れられた上記円柱部の回転位置を位置決めする本体回転位置決め手段を有する請求項1記載の水栓ユニット。
【請求項3】
さらに、上記通水路と上記流入口が整合するように、上記水栓カートリッジを上記上側本体に対して位置決めするカートリッジ位置決め手段を有する請求項1又は2記載の水栓ユニット。
【請求項4】
上記本体回転位置決め手段は、上記上側本体に対する上記水栓カートリッジの位置が上記カートリッジ位置決め手段により位置決めされた状態で、上記上側本体を位置決めできるように構成されている請求項3記載の水栓ユニット。
【請求項5】
上記本体回転位置決め手段が、位置決めキーと、上記上側本体及び上記下側本体に夫々形成されたキー嵌合部によって構成されている請求項2乃至4の何れか1項に記載の水栓ユニット。
【請求項6】
上記下側本体が、取付ビスにより上記水栓装置の筐体にビス止めされる請求項1乃至5の何れか1項に記載の水栓ユニット。
【請求項7】
上記上側本体と、上記下側本体が、異なる材料により形成されている請求項1乃至6の何れか1項に記載の水栓ユニット。
【請求項8】
洗面ボウルと、
この洗面ボウルの上方に配置された水栓装置の筐体と、
この水栓装置の筐体に、操作レバーが下方に向けて突出するように取り付けられた請求項1乃至7の何れか1項に記載の水栓ユニットと、
上記水栓装置の筐体に取り付けられた吐水部と、
を有することを特徴とする洗面化粧台。
【請求項9】
水栓装置の筐体に固定された下側本体と、この下側本体から操作レバーが下方に向けて突出するように上記下側本体に受け入れられた水栓カートリッジと、上記下側本体との間に上記水栓カートリッジを挟んで上記水栓カートリッジを固定する上側本体と、を備えた水栓ユニットの上記水栓カートリッジを交換する方法であって、
上記上側本体を、上記下側本体から取り外し、上記水栓カートリッジを露出させる段階と、
上記下側本体に受け入れられた上記水栓カートリッジを、上記下側本体から上方に引き抜く段階と、
新しい水栓カートリッジを、上記下側本体の内部に落とし込む段階と、
上記上側本体を上記下側本体に取り付け、上記新しい水栓カートリッジを固定する段階と、
を有することを特徴とする水栓カートリッジの交換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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