説明

水栓装置

【課題】使用者の意に反して不意に高温の湯が吐出されてしまうのを防止することができる水栓装置を提供する。
【解決手段】本発明は、高温の湯、及び温度が低い湯水を切り替えて吐出させる水栓装置(1)であって、高温の湯を吐出させる高温設定を行うための高温設定操作部(28a)と、湯水を吐出させる中低温設定を行うための中低温設定操作部(28b、28c)と、高温設定又は中低温設定に基づいて、高温の湯又は湯水を吐出させる吐出操作部(26)と、高温設定操作部及び中低温設定操作部の操作に基づいて、高温設定と中低温設定を切り替える水栓装置制御手段(24)と、を有し、この水栓装置制御手段は、吐出中に高温設定操作部が操作された場合には、即座に温度設定を高温設定に切り替え、吐出停止中においては、高温設定操作部が所定の高温設定時間継続して操作されると温度設定を高温設定に切り替えることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓装置に関し、特に、高温の湯、及びこれよりも温度が低い湯水を切り替えて吐出させる水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平5−172276号公報(特許文献1)には、自動水栓の制御方法が記載されている。この自動水栓の制御方法では、アップスイッチ及びダウンスイッチにより吐水温度が選択される。吐水温度を安全温度以上に設定した後、4〜10秒以内に吐水されないときは、選択温度が安全温度に引き下げられる。これにより、或る使用者が吐水温度を高温に設定した後、別の使用者が吐水を開始した際、不意に高温の湯が吐水されるのを防止している。
【0003】
【特許文献1】特開平5−172276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特開平5−172276号公報記載の自動水栓の制御方法においても、使用者が水栓装置の使用中に、意図せずに高温吐水の設定を行ってしまい、これに気づかないまま吐水を開始してしまった場合には、不意に高温の湯が吐出されてしまうという問題がある。
【0005】
従って、本発明は、使用者の意に反して不意に高温の湯が吐出されてしまうのを防止することができる水栓装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、高温の湯、及びこれよりも温度が低い湯水を切り替えて吐出させる水栓装置であって、この水栓装置から高温の湯を吐出させる高温設定を行うための高温設定操作部と、水栓装置から湯水を吐出させる中低温設定を行うための中低温設定操作部と、高温設定又は中低温設定に基づいて、高温の湯又は湯水を吐出させる吐出操作部と、高温設定操作部及び中低温設定操作部の操作に基づいて、高温設定と中低温設定を切り替える水栓装置制御手段と、を有し、この水栓装置制御手段は、吐出中に高温設定操作部が操作された場合には、即座に温度設定を高温設定に切り替え、吐出停止中においては、高温設定操作部が所定の高温設定時間継続して操作されると温度設定を高温設定に切り替えることを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、水栓装置制御手段は、高温設定操作部が操作されると温度設定を高温設定に切り替え、中低温設定操作部が操作されると温度設定を中低温設定に切り替える。また、吐出操作部が操作されると、温度設定に基づいて高温の湯又は湯水が吐出される。水栓装置制御手段は、吐出中に高温設定操作部が操作された場合には、即座に温度設定を高温設定に切り替え、吐出停止中に高温設定操作部が操作された場合には、高温設定操作部が所定の高温設定時間継続して操作されると温度設定を高温設定に切り替える。
【0008】
このように構成された本発明によれば、吐出停止中においては、高温設定操作部を継続的に操作しないと高温設定に切り替えることができないので、使用者の意に反して不意に高温の湯が吐出されてしまうのを防止することができる。また、吐出中においては、温度設定が即座に高温設定に切り替えられるので、水栓装置の操作性が損なわれることがない。
【0009】
本発明において、好ましくは、水栓装置制御手段は、高温の湯の吐出停止後、自動的に温度設定を中低温設定に切り替える。
このように構成された本発明によれば、高温の湯の吐出停止後、自動的に温度設定が中低温設定に切り替えられるので、前の使用者によって設定された高温設定に気づかずに、次の使用者が吐出を開始させ、不意に高温の湯が吐出されるのを防止することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、水栓装置制御手段は、高温の湯の吐出停止後、所定の高温設定保持時間が経過すると自動的に温度設定を中低温設定に切り替える。
このように構成された本発明によれば、高温の湯の吐出停止後、所定の高温設定保持時間は、高温設定が維持されるので、一人の使用者が断続的に高温の湯を使用する場合の水栓装置の操作性を向上させることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、水栓装置制御手段は、吐出停止中に、高温設定操作部が高温設定時間継続して操作された場合には、吐出操作部の操作に関わりなく、高温の湯の吐出を開始させる。
【0012】
このように構成された本発明によれば、吐出停止中に高温設定操作部が継続的に操作された場合には、吐出操作部の操作なしに高温の湯が吐出されるので、誤操作による高温設定を防止しながら、高温の湯を吐出させる際の操作を簡単にすることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、水栓装置制御手段は、高温の湯の吐出停止後、所定の高温設定保持時間内に高温設定操作部が操作された場合には、即座に高温の湯の吐出を開始させる。
【0014】
このように構成された本発明によれば、高温の湯の吐出停止後、高温設定保持時間内に高温設定操作部が操作されると、即座に高温の湯が吐出されるので、一人の使用者が断続的に高温の湯を使用する場合の水栓装置の操作性を向上させることができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、さらに、高温の湯の吐出停止後、高温設定保持時間中であることを表示する高温設定保持表示手段を有する。
このように構成された本発明によれば、高温設定保持時間中であることが高温設定保持表示手段によって表示されるので、使用者は、高温設定保持時間中であることを容易に認識することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の水栓装置によれば、使用者の意に反して不意に高温の湯が吐出されてしまうのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
まず、図1乃至図3を参照して、本発明の第1実施形態による水栓装置を説明する。図1は、本実施形態による水栓装置の全体構成を示すブロック図である。図2は、本実施形態の水栓装置に使用されている湯水混合弁の構造を模式的に示す断面図である。また、図3は、本実施形態による水栓装置の制御のフローチャートである。
【0018】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による水栓装置1は、吐水口2aが設けられた水栓本体2と、給湯管4と、給水管6と、これらの管に接続された湯水混合弁8と、を有する。また、水栓装置1は、給湯管4と吐水口2aを直接接続する湯バイパス管路10aに設けられた湯用開閉弁10と、湯水混合弁8と吐水口2aを接続する適温湯管路12aに設けられた適温湯用開閉弁12と、給水管6と吐水口2aを直接接続する水バイパス管路14aに設けられた水用開閉弁14と、を有する。
【0019】
なお、本明細書においては、給湯管から供給された湯を「高温の湯」と呼び、湯水混合弁によって適温に調整された湯及び給水管から供給された水を総称して「湯水」と呼んでいる。また、高温の湯が吐出されるように設定することを高温設定と呼び、適温に調整された湯又は水が吐出されるように設定することを中低温設定と呼んでいる。
【0020】
さらに、水栓装置1は、給湯管4に設けられ、供給される湯の温度を検出する湯温センサである給湯サーミスター16と、給水管6に設けられ、供給される水の温度を検出する水温センサである給水サーミスター18と、吐水口2aから吐出される湯水の温度を検出する吐水温センサである吐水サーミスター20と、を有する。また、吐水サーミスター20の上流側には、吐水口2aから吐出される湯水の流量を調整する流調弁22が設けられている。さらに、水栓装置1は、水栓装置制御手段であるコントローラ24を有し、コントローラ24は、使用者による操作に基づいて、温度設定を切り替えるように構成されている。
【0021】
本実施形態の水栓装置1は、使用者による操作部2bの操作に基づいて、コントローラ24が、高温の湯を吐出させる高温設定、及び適温の湯又は水を吐出させる中低温設定を切り替えるように構成されている。
【0022】
水栓本体2は、洗面ボウル(図示せず)等に隣接して設けられる水栓金具であり、その先端部に吐水口2aが形成されている。また、水栓本体2のベース部には操作部2bが設けられている。操作部2bには、吐水、止水を切り替えるための吐出操作部である出/止ボタン26と、高温の湯を吐出させるための高温設定操作部である高温ボタン28aと、適温の湯水を吐出させるための中低温設定操作部である適温ボタン28bと、水を吐出させるための中低温設定操作部である水ボタン28cが設けられている。
【0023】
さらに、操作部2bには、適温ボタン28bが押されたときに吐出される湯水の温度を設定するための温度設定ボタン30a、30bと、設定されている温度を表示する温度表示部30cが設けられている。また、高温ボタン28a、適温ボタン28b、及び水ボタン28cの中央には、表示用ランプ44a、44b、44cが夫々設けられ、使用者が温度設定状態を認識できるようになっている。
【0024】
給湯管4は湯水混合弁8に接続され、給湯器から供給された高温の湯を湯水混合弁8に流入させる。給水管6は湯水混合弁8に接続され、水道水を湯水混合弁8に流入させる。
【0025】
湯水混合弁8は、給湯管4及び給水管6から流入した湯及び水を温度設定に従って混合し、適温湯管路12aに流出させるように構成されている。湯水混合弁8の構成の詳細は後述する。
【0026】
湯用開閉弁10は、給湯管4と吐水口2aを直接接続する湯バイパス管路10aに設けられた電磁弁であり、コントローラ24により給湯管4から供給された湯を吐水口2aから直接吐出させ、又は停止させるように切り替えられる。
【0027】
適温湯用開閉弁12は、湯水混合弁8と吐水口2aを接続する適温湯管路12aに設けられた電磁弁であり、コントローラ24により湯水混合弁8から流出した湯水を吐水口2aから吐出させ、又は停止させるように切り替えられる。
【0028】
水用開閉弁14は、給水管6と吐水口2aを直接接続する水バイパス管路14aに設けられた電磁弁であり、コントローラ24により給水管6から供給された水を吐水口2aから直接吐出させ、又は停止させるように切り替えられる。
【0029】
湯バイパス管路10a、適温湯管路12a及び水バイパス管路14aは、合流され、流調弁22に接続されている。
給湯サーミスター16は、給湯管4に設けられ、供給された湯の温度を検出するように構成されている。供給された湯の温度は、コントローラ24に入力される。
【0030】
給水サーミスター18は、給水管6に設けられ、供給された水の温度を検出するように構成されている。供給された水の温度は、コントローラ24に入力される。
【0031】
吐水サーミスター20は、流調弁22と吐水口2aの間の管路に設けられ、吐水口2aから吐出される湯水の温度を検出するように構成されている。吐水される湯水の温度は、コントローラ24に入力される。
【0032】
流調弁22は、湯バイパス管路10a、適温湯管路12a及び水バイパス管路14aの合流部の下流側に設けられている。流調弁22は、流調用モータ22aを備え、この流調用モータ22aをコントローラ24が駆動することにより、吐水口2aからの吐水流量が調整される。
【0033】
コントローラ24は、操作部2bから入力された信号に基づいて、湯水混合弁8、湯用開閉弁10、適温湯用開閉弁12、水用開閉弁14、及び流調弁22を制御するように構成されている。具体的には、コントローラ24は、マイクロプロセッサ、メモリ、及びこれに記憶されたプログラム等(以上図示せず)により構成されている。コントローラ24による制御は、後述する。
【0034】
次に、図2を参照して、湯水混合弁8の構成を説明する。
図2に示すように、湯水混合弁8は、温度設定を変更するためのモータ8aを備えており、さらに、混合弁本体32と、この混合弁本体32の内部に摺動可能に配置された主弁体34と、この主弁体34に付勢力を加えるバイアスバネ36と、主弁体34にバイアスバネ36とは反対の方向に付勢力を加える形状記憶合金バネ38と、を有する。さらに、湯水混合弁8は、設定温度に応じて混合弁本体32内で摺動されるバネ押さえ40と、このバネ押さえ40を移動させるための送りねじ42を有し、送りねじ42はモータ8aの出力軸に直結されている。
【0035】
また、図2に示すように、混合弁本体32には給湯管4及び給水管6が接続されており、混合弁本体32内で主弁体34が摺動されることにより、混合弁本体32に流入する湯と水の割合が変化する。湯水混合弁8は、混合弁本体32内に流入した湯と水は混合され、形状記憶合金バネ38の内部を通って流出されるように構成されている。バイアスバネ36は、主弁体34が湯の流入量を増大させ、水の流入量を減少させる方向に移動されるように、主弁体に付勢力を加えている。また、形状記憶合金バネ38は、逆に、主弁体34が湯の流入量を減少させ、水の流入量を増大させる方向に移動されるように、主弁体に付勢力を加えている。
【0036】
さらに、形状記憶合金バネ38は、温度が高くなると発生する付勢力が増大されるように構成されている。このため、混合された湯水の温度が高くなると、伸張して、湯の流入量を減じ、水の流入量を増大させ、混合された湯水の温度を低下させる。逆に、混合された湯水の温度が低くなると、縮小して、湯の流入量を増大させ、水の流入量を減じて、混合された湯水の温度を上昇させる。これにより、湯水混合弁8から流出する湯水の温度が設定された適温に維持される。
【0037】
また、バネ押さえ40が送りねじ42によって移動され、図2における右方向に移動されると、湯の流入量が増加し、水の流入量が減少するので、湯水の温度は上昇する。逆に、バネ押さえ40が左方向に移動されると、水の流入量が増加し、湯の流入量が減少するので、湯水の温度は低下する。従って、モータ8aによって送りねじ42を回転させることにより、設定温度が変更される。
【0038】
次に、図3を参照して、コントローラ24により実行される制御フローを説明する。
まず、図3のステップS1においては、操作部2bの出/止ボタン26が押されたか否かが判断される。出/止ボタン26が押されていた場合にはステップS2に進み、押されていない場合にはステップS12に進む。ステップS2においては、コントローラ24は、予め操作されていた温度設定ボタンに応じて何れかの開閉弁を開放させ、吐水を開始させる。即ち、コントローラ24は、適温ボタン28bが押され、適温に設定されていた場合には適温湯用開閉弁12を開放させて、適温の湯水を吐出させる。また、コントローラ24は、高温ボタン28aが押されていた場合には湯用開閉弁10を、水ボタン28cが押されていた場合には水用開閉弁14を夫々開放させる。
【0039】
次に、ステップS3においては、高温ボタン28aが新たに押されたか否かが判断される。押されていた場合にはステップS7に進み、押されていない場合にはステップS4に進む。同様に、ステップS4においては、適温ボタン28bが新たに押されたか否かが判断される。押されていた場合にはステップS8に進み、押されていない場合にはステップS5に進む。さらに、ステップS5においては、水ボタン28cが新たに押されたか否かが判断される。押されていた場合にはステップS9に進み、押されていない場合にはステップS6に進む。
【0040】
次に、ステップS6においては、止水操作がなされたか否か、即ち、出/止ボタン26が再び操作されたか否かが判断される。操作された場合にはステップS10に進み、操作されていない場合にはステップS3に戻る。従って、ステップS2において吐水が開始された後、何れのボタンも操作されていない場合には、ステップS3、S4、S5、S6、S3からなるループの処理が繰り返される。このループの処理中に高温ボタン28aが押されると、ステップS7に進み、高温の湯の吐出が開始される。即ち、コントローラ24は、開放されていた何れかの開閉弁を閉鎖させると共に、湯用開閉弁10を開放させる。またこの際、使用されていた温度設定に対応した表示用ランプが消灯され、高温ボタン28aの表示用ランプ44aが点灯される。同様に、コントローラ24は、適温ボタン28bが操作された場合には、ステップS8に進み適温の湯を吐出させると共に適温ボタン28bの表示用ランプ44bを点灯させる。また、水ボタン28cが操作された場合には、ステップS9に進み水を吐出させると共に水ボタン28cの表示用ランプ44cを点灯させる。
【0041】
また、上記のループの処理中に出/止ボタン26が操作された場合には、ステップS10に進むと共に、コントローラ24は、開放されていた開閉弁を閉鎖させて止水状態にする。ステップS10においては、出/止ボタン26が操作される直前に、高温設定にされていたか否かが判断される。高温設定にされていた場合にはステップS11に進み、適温設定又は水設定にされていた場合にはステップS1に戻る。
【0042】
ステップS11においては、コントローラ24は、高温にされていた温度設定を適温設定に変更し、ステップS1に戻る。また、この際、高温ボタン28aの表示用ランプ44aが消灯され、適温ボタン28bの表示用ランプ44bが点灯される。これにより、次に水栓装置を使用する使用者が、高温設定にされていることに気づかずに、不意に高温の湯が吐出されるのを防止することができる。
【0043】
一方、ステップS1において、出/止ボタン26が操作されていない場合、即ち、止水状態において出/止ボタン26の操作がない場合には、ステップS12に進む。ステップS12においては、高温ボタン28aが押されたか否かが判断される。高温ボタン28aが押されている場合にはステップS15に進み、押されていない場合にはステップS13に進む。
【0044】
同様に、ステップS13においては、適温ボタン28bが押されたか否かが判断される。適温ボタン28bが押されている場合にはステップS17に進み、押されていない場合にはステップS14に進む。さらに、ステップS14においては、水ボタン28cが押されたか否かが判断される。水ボタン28cが押されている場合にはステップS18に進み、押されていない場合にはステップS1に戻る。
【0045】
従って、止水状態において、出/止ボタン26及び他の温度設定ボタンが何れも操作されていない場合には、ステップS1、S12、S13、S14、S1からなるループの処理が繰り返される。このループの処理中に適温ボタン28bが押されると、ステップS13からステップS17に進み、温度設定が適温に変更されると共に、適温ボタン28bの表示用ランプ44bが点灯され、変更前の温度設定の表示用ランプが消灯される。これにより、次に出/止ボタン26が押された際には、ステップS2において適温湯用開閉弁12が開放され、適温の湯が吐出されるようになる。同様に、ループの処理中に水ボタン28cが押されると、ステップS14からステップS18に進み、温度設定が水に変更されると共に、水ボタン28cの表示用ランプ44cが点灯され、変更前の温度設定の表示用ランプが消灯される。
【0046】
これに対し、ループの処理中に高温ボタン28aが操作された場合には、ステップS12からステップS15に進み、ステップS15においては、高温ボタン28aが所定の高温設定時間継続して操作されたか否かが判断される。本実施形態においては高温設定時間は約2秒であり、高温ボタン28aが2秒間継続して押圧されたか否かが判断される。高温ボタン28aが2秒間継続して押圧された場合にはステップS16に進み、2秒間継続して押圧されていない場合には温度設定を変更することなくステップS1に戻る。
【0047】
ステップS16においては、温度設定が高温の湯に変更されると共に、高温ボタン28aの表示用ランプ44aが点灯され、変更前の温度設定の表示用ランプが消灯される。これにより、次に出/止ボタン26が押された際には、ステップS2において湯用開閉弁10が開放され、高温の湯が吐出されるようになる。
【0048】
上記のように、適温ボタン28b及び水ボタン28cが押圧された場合には、即座に(通常の押しボタンスイッチの反応時間で)温度設定が変更されるのに対し、高温ボタン28aが押圧された場合には、これが所定の高温設定時間継続して押圧された場合のみ温度設定が高温に変更される。これにより、使用者が意図しない誤操作により温度設定が高温に変更され、不意に高温の湯が吐出されるのを防止することができる。
【0049】
一方、吐水状態において高温ボタン28aが押圧された場合(ステップS3)には、即座に温度設定が高温に変更される。これは、高温ボタン28aの吐水状態における押圧は、使用者の意に反するものであるとは考えにくく、また、温度設定が高温に変更されたことが使用者により容易に認識されるためである。
【0050】
本発明の第1実施形態の水栓装置によれば、吐出停止中においては、高温設定操作部を継続的に操作しないと高温設定に切り替えることができないので、使用者の意に反して不意に高温の湯が吐出されてしまうのを防止することができる。また、吐出中においては、温度設定が即座に高温設定に切り替えられるので、水栓装置の操作性が損なわれることがない。これにより、誤操作による高温の吐出を防止しながら、水栓装置の操作性を向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態の水栓装置によれば、高温の湯の吐出停止後、自動的に温度設定が適温設定に切り替えられるので、前の使用者によって設定された高温設定に気づかずに、次の使用者が吐出を開始させ、不意に高温の湯が吐出されるのを防止することができる。
【0052】
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態による水栓装置を説明する。本実施形態の水栓装置は、コントローラによる制御フローが上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成については説明を省略する。図4は、本実施形態による水栓装置の制御のフローチャートである。
【0053】
まず、図4に示すフローチャートのステップS101乃至S110は、第1実施形態(図3)におけるステップS1乃至S10と同一であるので説明を省略する。第1実施形態においては、ステップS6(図3)おいて止水操作がなされたと判断された後、高温に温度設定されていた場合には、温度設定が適温設定に変更される(図3のステップS11)。これに対して、本実施形態においては、ステップS110において高温に温度設定されていたと判断された場合には、ステップS111において、コントローラ24に内蔵されたタイマー(図示せず)がリセットされると共にタイマーによる積算が開始され、ステップS101に戻る。従って、ステップS111においては、温度設定は、高温に維持される。
【0054】
次に、ステップS101においては、出/止ボタン26が操作されたか否かが判断される。出/止ボタン26が押されていない場合には、ステップS112に進む。ステップS112においては、コントローラ24に内蔵されたタイマー(図示せず)が動作し、時間を積算しているか否かが判断される。タイマーが動作中でない場合には、ステップS116に進む。ステップS116乃至ステップS120は、図3のステップS12、S13、S14、S17、S18と同一である。
【0055】
即ち、タイマーが動作中ではなく、何れのボタンも操作されない場合には、ステップS101、S112、S116、S117、S118、S101からなる処理のループが繰り返される。このループの処理中に、適温ボタン28bが押されると、ステップS117からS119に進み、温度設定が適温に変更される。また、水ボタン28cが押されると、ステップS118からS120に進み、温度設定が水に変更される。
【0056】
一方、ステップS112において、タイマー(図示せず)が動作中であると判断された場合には、ステップS113に進む。ステップS113においては、タイマーによる積算時間が所定の高温設定保持時間に達しているか否かが判断される。なお、本実施形態においては、高温設定保持時間は、約30秒に設定されている。
【0057】
ステップS113において、タイマーによる積算時間が30秒に達していないと判断された場合には、そのままステップS116に進み、高温設定が維持される。この状態において、何れのボタンも操作されない場合には、ステップS101、S112、S113、S116、S117、S118、S101からなる処理のループが繰り返され、高温設定が維持される。この間、高温ボタン28aの表示用ランプ44aは点滅され、高温設定が維持されていることを使用者に認識させる。従って、高温ボタン28aの表示用ランプ44aは、高温設定保持表示手段として機能する。
【0058】
上記ループの処理中に、タイマーによる積算時間が30秒に達すると、ステップS113からステップS114に進み、ここで、温度設定が適温に変更される。また、点滅していた高温ボタン28aの表示用ランプ44aは消灯され、高温設定保持時間が終了したことを表示すると共に、適温ボタン28bの表示用ランプ44bが点灯され、温度設定が適温に変更されたことを表示する。
【0059】
次に、ステップS116において、高温ボタン28aが操作されたと判断された場合には、ステップS121に進む。ステップS121においては、タイマー(図示せず)が動作中であるか否かが判断され、動作中でない場合にはステップS123に進み、動作中である場合にはステップS122に進む。さらに、ステップS122においては、温度設定が高温にされているか否かが判断され、高温に設定されていない場合にはステップS123に進み、高温に設定されている場合にはステップS102に進む。即ち、タイマーが動作している高温設定保持時間中に高温ボタン28aが操作されると、即座にステップS102に進むため、出/止ボタン26を操作することなく、直接高温の湯の吐出が開始される。
【0060】
一方、高温ボタン28aが押圧されたが、タイマーが動作中でないか、又は設定温度が高温に設定されていなかった場合には、ステップS123に進む。ステップS123においては、高温ボタン28aが、所定の高温設定時間継続して押されているか否かが判断される。本実施形態においては、高温設定時間は約2秒に設定されている。高温ボタン28aが高温設定時間継続して押されていない場合には、温度設定が変更されることなくステップS101に戻る。即ち、高温設定保持時間外の吐出停止中において、高温ボタン28aが高温設定時間に満たない短時間押圧された場合には、誤操作である可能性があるため、この操作は無視され、温度設定は変更されない。
【0061】
また、高温ボタン28aが所定の高温設定時間継続して押された場合には、ステップS124に進み、ここで温度設定が高温に変更されると共に、ステップS102に戻る。即ち、吐出停止中であり、高温設定保持時間外であっても、高温ボタン28aが所定の高温設定時間継続して押された場合には、高温の湯を吐出させる使用者の意図が明らかであるため、出/止ボタン26を操作することなく、直接高温の湯の吐出を開始させる。
【0062】
本発明の第2実施形態の水栓装置によれば、高温の湯の吐出停止後、所定の高温設定保持時間は、高温設定が維持されるので、一人の使用者が断続的に高温の湯を使用する場合の水栓装置の操作性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態の水栓装置によれば、吐出停止中に高温ボタンが継続的に操作された場合には、出/止ボタンの操作なしに高温の湯が吐出されるので、誤操作による高温設定を防止しながら、高温の湯を吐出させる際の操作を簡単にすることができる。
【0064】
さらに、本実施形態の水栓装置によれば、高温の湯の吐出停止後、高温設定保持時間内に高温ボタンが操作されると、即座に高温の湯が吐出されるので、一人の使用者が断続的に高温の湯を使用する場合の水栓装置の操作性を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態の水栓装置によれば、高温設定保持時間中であることが高温ボタン高の表示ランプによって表示されるので、使用者は、高温設定保持時間中であることを容易に認識することができる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、吐出操作部、高温設定操作部等が押しボタンにより構成されていたが、非接触式のセンサにより使用者の手指を検知して設定温度、吐止水を切り替える等、任意の操作部を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施形態による水栓装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態による水栓装置に使用されている湯水混合弁の構造を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による水栓装置の制御のフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態による水栓装置の制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1 本発明の第1実施形態による水栓装置
2 水栓本体
2a 吐水口
2b 操作部
4 給湯管
6 給水管
8 湯水混合弁
8a モータ
10 湯用開閉弁
10a 湯バイパス管路
12 適温湯用開閉弁
12a 適温湯管路
14 水用開閉弁
14a 水バイパス管路
16 給湯サーミスター(湯温センサ)
18 給水サーミスター
20 吐水サーミスター
22 流調弁
22a 流調弁モータ
24 コントローラ(水栓装置制御手段)
26 出/止ボタン(吐出操作部)
28a 高温ボタン(高温設定操作部)
28b 適温ボタン(中低温設定操作部)
28c 水ボタン(中低温設定操作部)
30a、30b 温度設定ボタン
30c 温度表示部
32 混合弁本体
34 主弁体
36 バイアスバネ
38 形状記憶合金バネ
40 バネ押さえ
42 送りねじ
44a、44b、44c 表示用ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温の湯、及びこれよりも温度が低い湯水を切り替えて吐出させる水栓装置であって、
この水栓装置から上記高温の湯を吐出させる高温設定を行うための高温設定操作部と、
上記水栓装置から上記湯水を吐出させる中低温設定を行うための中低温設定操作部と、
上記高温設定又は上記中低温設定に基づいて、高温の湯又は湯水を吐出させる吐出操作部と、
上記高温設定操作部及び上記中低温設定操作部の操作に基づいて、上記高温設定と上記中低温設定を切り替える水栓装置制御手段と、を有し、
この水栓装置制御手段は、吐出中に上記高温設定操作部が操作された場合には、即座に温度設定を上記高温設定に切り替え、吐出停止中においては、上記高温設定操作部が所定の高温設定時間継続して操作されると温度設定を上記高温設定に切り替えることを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
上記水栓装置制御手段は、上記高温の湯の吐出停止後、自動的に温度設定を中低温設定に切り替える請求項1記載の水栓装置。
【請求項3】
上記水栓装置制御手段は、上記高温の湯の吐出停止後、所定の高温設定保持時間が経過すると自動的に温度設定を中低温設定に切り替える請求項2記載の水栓装置。
【請求項4】
上記水栓装置制御手段は、吐出停止中に、上記高温設定操作部が上記高温設定時間継続して操作された場合には、上記吐出操作部の操作に関わりなく、上記高温の湯の吐出を開始させる請求項1乃至3の何れか1項に記載の水栓装置。
【請求項5】
上記水栓装置制御手段は、上記高温の湯の吐出停止後、所定の高温設定保持時間内に上記高温設定操作部が操作された場合には、即座に上記高温の湯の吐出を開始させる請求項1乃至4の何れか1項に記載の水栓装置。
【請求項6】
さらに、上記高温の湯の吐出停止後、上記高温設定保持時間中であることを表示する高温設定保持表示手段を有する請求項3又は5記載の水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−79361(P2009−79361A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247426(P2007−247426)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】