水様便漏れ防止シート及びこれを用いた吸収性物品
【課題】おむつ端部(特に背側)からの軟便や水様便の漏れを有効に防止することができ、シンプルな構造で容易に製造することができる水様便漏れ防止シート及び使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】シート材52と、シート材52の外縁を包囲するように付設されたフレーム材54とを備え、シート材52の少なくとも一部が、液透過性シート56によって構成されている水様便漏れ防止シート100。
【解決手段】シート材52と、シート材52の外縁を包囲するように付設されたフレーム材54とを備え、シート材52の少なくとも一部が、液透過性シート56によって構成されている水様便漏れ防止シート100。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつのトップシートの表面側に付設して用いることができる水様便漏れ防止シート及びそのような水様便漏れ防止シートがトップシートの表面側に付設された吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、乳幼児用、或いは高齢者・障害者用のおむつとして、吸収体と、吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えた使い捨ておむつが汎用されている。この使い捨ておむつは、トップシートの表面を着用者の肌に接するように宛がって使用することにより、着用者の排泄した尿はトップシートを透過して、吸収体によって吸収・保持されるとともに、防漏性に優れたバックシートによって、排泄物のおむつ外部への漏洩が防止されるというものである。
【0003】
しかしながら、前記のような構成の使い捨ておむつでは、尿についてはトップシートを透過するものの、便についてはその殆どがトップシートを透過せず、トップシート上に残存することになる。トップシート上に残存した便は、着用者の股下部や臀部に付着するため、煩瑣な払拭作業が必要となり、育児負担や介護負担を増大させる原因となる他、着用者のスキントラブルの原因ともなっていた。
【0004】
そこで、吸収体の一部に便を収可能な凹部を形成した使い捨て衛生吸収物品や使い捨ておむつが提案されている(例えば、特許文献1又は2参照)。また、着用者の肌の非当接側に下方に延びる大便収容袋が取り付けられた使い捨ておむつが提案されている(例えば、特許文献3参照)。これらの使い捨ておむつ等では、着用者の排泄した便が前記凹部ないし大便収容袋に収容されるように構成されている。
【0005】
また、トップシートの上部に更にもう1枚のシート体(本明細書では、「スキンコンタクトシート」と称することにする)が配置された使い捨ておむつも提案されている(例えば、特許文献4又は5参照)。これらの使い捨ておむつでは、スキンコンタクトシートに便を通過させ得る開口部(便通過用開口部)が形成されており、その便通過用開口部を通過して着用者の排泄した便がトップシート上に落下するように構成されている。
【0006】
【特許文献1】実願平4−45624号公報
【特許文献2】特許第3012472号公報
【特許文献3】特開2002−253609号公報
【特許文献4】実用新案登録第2559050号公報
【特許文献5】特開2002−11044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの文献に記載された使い捨ておむつ等においては、排泄された便が凹部や収納袋或いはスキンコンタクトシートの下の空間に収容されるため、便が着用者の肌に直接接触する機会を減少させる効果を期待することができる。
【0008】
しかしながら、これらの文献に記載された使い捨ておむつ等は、いわゆる固形便を捕捉することを念頭に設計されたものであり、軟便や水様便を捕捉するのに適した構造であるとは言えなかった。従って、軟便や水様便に関してはうまく捕捉することができず、着用者が横臥している状態では、おむつの端部(特に背側)から軟便や水様便の漏れが発生するおそれがあるという課題があった。また、吸収体に凹部を形成したり、使い捨ておむつに収納袋やスキンコンタクトシートを付設することで使い捨ておむつの構造が複雑になり、その製造が困難になったり、製造コストが上昇したりするという課題もあった。
【0009】
このように、現在のところ、おむつ端部(特に背側)からの軟便や水様便の漏れを有効に防止することができ、シンプルな構造で容易に製造することができる方策は未だ開示されておらず、そのような方策が切望されている。本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであって、おむつ端部(特に背側)からの軟便や水様便の漏れを有効に防止することができ、シンプルな構造で容易に製造することができる水様便漏れ防止シート及び吸収性物品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、使い捨ておむつのトップシートの表面側に、外縁を包囲するフレーム材が付設された液透過性シートを付設することによって、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の水様便漏れ防止シート及び吸収性物品が提供される。
【0011】
[1] シート材と、前記シート材の外縁を包囲するように付設されたフレーム材とを備え、前記シート材の少なくとも一部が、液透過性シートによって構成されている水様便漏れ防止シート。
【0012】
[2] 前記液透過性シートが、エアスルー不織布からなる不織布シートによって構成されている前記[1]に記載の水様便漏れ防止シート。
【0013】
[3] 前記液透過性シートが、開孔が形成されたパンチングシート又はメッシュシートによって構成されている前記[1]又は[2]に記載の水様便漏れ防止シート。
【0014】
[4] 前記シート材の少なくとも一部が、その表面に複数の起伏が形成された起伏シートによって構成されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0015】
[5] 前記シート材の少なくとも一部が、その表面に複数の凸部及び/又は凹部が形成された起伏シートによって構成されるとともに、前記起伏が、水様便漏れ防止シートの前後方向と交差する方向に向かって配置されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0016】
[6] 前記シート材が水壊性シートによって構成されるとともに、前記水壊性シートの前記フレーム材によって包囲された領域に、前記領域の少なくとも一部を切り取るための環状の切込線が形成されている前記[1]〜[5]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0017】
[7] 前記シート材が水壊性シートによって構成されるとともに、前記水壊性シートは、その縁部に引き剥がし用のタブを有しており、その一方の表面のみが前記フレーム材の表面に貼付されている前記[1]〜[5]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0018】
[8] 前記フレーム材は、その表面が前記シート材の少なくとも一方の表面から張り出すように付設され、前記シート材の少なくとも一方の表面と、前記フレーム材の表面との間に、2〜20mmの段差が形成されている前記[1]〜[7]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0019】
[9] 前記フレーム材は、前記シート材の少なくとも一方の表面から張り出した側の表面が粗面化されたものである前記[1]〜[8]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0020】
[10] 他の吸収性物品に対して止着させ得るファスニング部材を有している前記[1]〜[9]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0021】
[11] 前記フレーム材の少なくとも一部が、メカニカルファスナーのフック材によって構成されている前記[1]〜[10]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0022】
[12] 前記シート材が略矩形状に形成され、前記フレーム材が前記シート材の四辺に沿って付設され、前記四辺のうち2本の長辺に沿って前記フック材が付設されている前記[11]に記載の水様便漏れ防止シート。
【0023】
[13] 前記シート材が略矩形状に形成され、前記フレーム材として、前記シート材の四辺に沿って付設される外縁フレーム材と、前記四辺のうち2本の長辺に沿って配置された外縁フレーム材同士を連絡するように架け渡された架橋フレーム材とを備え、前記外縁フレーム材によって包囲された領域が、前記架橋フレーム材によって2つの領域に分割されている前記[1]〜[12]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0024】
[14] 前記2つの領域のうち、一方の領域に前記液透過性シートが配置され、他方の領域には液不透過性シート又は撥水性シートが配置されている前記[13]に記載の水様便漏れ防止シート。
【0025】
[15] 前記シート材が略矩形状に形成され、前記フレーム材が前記シート材の四辺に沿って配置され、前記フレーム材のうち前記シート材の2本の長辺に沿って配置された部分の長手方向中央部に、前記フレーム材を横切るように凹溝ないし弱め線が形成されたものである前記[1]〜[14]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0026】
[16] 吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備え、前記トップシートの表面側に、前記[1]〜[15]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シートが付設された吸収性物品。
【発明の効果】
【0027】
本発明の水様便漏れ防止シートは、おむつ端部(特に背側)からの軟便や水様便の漏れを有効に防止することができ、シンプルな構造で容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の水様便漏れ防止シート及びこれを用いた吸収性物品を実施するための最良の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える水様便漏れ防止シート及びこれを用いた吸収性物品を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0029】
[1]本発明の水様便漏れ防止シートの構成:
本発明の水様便漏れ防止シートは、使い捨ておむつ等の吸収性物品のトップシートの表面側に付設されて用いられる吸収性物品の補助的な部材であり、シート材と、シート材の外縁を包囲するように付設されたフレーム材とを備え、シート材の少なくとも一部が、液透過性シートによって構成されているものである。
【0030】
このような水様便漏れ防止シートでは、シート材の少なくとも一部が、液体の通過性に優れた液透過性シートで構成されるとともに、シート材の外縁を包囲するように付設されたフレーム材の厚みによって、シート材の下側に、シート材とフレーム材によって区画された空間が形成されることになる。例えば、図1に示す水様便漏れ防止シート100は、シート材52全体が液透過性シート56で構成されるとともに、矩形状のシート材52と、そのシート材52の外縁を包囲するように付設された矩形枠状のフレーム材54とを備えており、フレーム材54の厚みによって、シート材52の下側に、シート材52とフレーム材54によって区画された、矩形平板状の空間58が形成されている。
【0031】
通常、使い捨ておむつの着用時には、着用者の肌はおむつのトップシートの表面に直接接触しており、排泄された軟便や水様便(以下、「水様便」と略記する)が吸収されるべきトップシート表面の大部分が閉塞された状態になっていると言える。従って、水様便が排泄されると、その水様便は着用者の臀溝とおむつのトップシートとによって区画される極めて狭い空間を伝っておむつの前後方向に急激に拡散してしまい、おむつ端部(特に背側の端部)から漏れが発生することになるのである。
【0032】
これに対し、本発明の水様便漏れ防止シートをおむつのトップシートの表面側に付設すると、フレーム材の厚みによって、シート材(ひいては着用者の肌)とおむつのトップシートとの間に一定の空間が形成され、着用者の肌とトップシートの表面とが非接触の状態となる。そして、前記空間は着用者の臀溝とおむつのトップシートとによって区画される空間と比較して極めて広い空間であると言える。従って、シート材の表面に水様便が排泄されると、その水様便は液透過性シートを通過して速やかに前記空間に移行し、この比較的広い空間の中で緩やかに拡散することになる。また、おむつのトップシートの表面も着用者の肌によって閉塞されてはいないので、その表面全体で水様便を吸収することができる。
【0033】
本発明の水様便漏れ防止シートは、前記のような仕組みによって、水様便のおむつ等の端部(特に背側の端部)からの漏れを有効に防止することができる。この効果は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に本発明の水様便漏れ防止シートを付設することのみによって得られるので、使い捨ておむつ等の構造を複雑化させることがない。また、水様便漏れ防止シートも、シート材とフレーム材からなる比較的簡易な構造であり、製造も容易で安価に製造することができる。更に、体調が良好で水様便が排泄される可能性が低い場合には通常の使い捨ておむつ等を使用し、下痢等で水様便が排泄されるおそれがある場合にのみ、本発明の水様便漏れ防止シートを使い捨ておむつ等に付設すればよいので、予め全ての使い捨ておむつ等に水様便対策の部材を付設しておく方法と比較して非常に経済的である。従って、極めて簡便かつ安価に水様便の漏れ対策を講ずることができる。また、尿についても液透過性シートを速やかに透過してトップシートに移行するので、水様便や軟便のみならず、尿が排泄された場合でも、その吸収性に問題を生ずることはない。
【0034】
[1−1]シート材:
本発明の水様便漏れ防止シートは、その構成部材としてシート材を備えている。このシート材は、使い捨ておむつ等のトップシートに代わり、着用者の肌に直接接触することになるシート状の部材である。そして、シート材の少なくとも一部は、液透過性シートによって構成されている。このような構成により、水様便をシート材の表面に滞留させることなく、速やかに使い捨ておむつ等のトップシート上に移行させることができる。
【0035】
なお、本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、シート材の「少なくとも一部」を液透過性シートによって構成すればよく、必ずしもシート材の全部を前記液透過性シートによって構成する必要はない。例えば、図2に示す水様便漏れ防止シート110は、シート材52の一部のみを液透過性シート56によって構成した例である。
【0036】
液透過性シートの構成は特に限定されるものではないが、水様便や軟便のような懸濁液を透過させ得る液透過性を備えたシートが好ましい。例えば、目が粗い不織布シートは、不織布を構成する繊維間の空隙を使って液体を通過させることができるため、エアスルー不織布、カードエンボス不織布、スパンボンド不織布等の従来公知の不織布の中から、そのような不織布を適宜選択して液透過性シートとして用いればよい。中でも、嵩高で空隙の多い処理を施し易いという理由からエアスルー不織布を好適に用いることができる。
【0037】
また、液透過性シートを開孔が形成されたパンチングシートによって構成することもできる。このようなパンチングシートは、その開孔を使って液体を通過させることができ、水様便や軟便のような懸濁液を透過させ得る液透過性に優れるため好ましい。
【0038】
例えば、図3に示す水様便漏れ防止シート120は、シート材52は開孔66が形成されたパンチングシートとなっており、シート材52の全体が液透過性シート56として構成された例である。
【0039】
このようにシート材に開孔を形成して液透過性シートとする方法は、前記のような不織布の目付け量を減ずることによって通液速度を確保する方法と比較して、目付け量等の不織布が本来的に有している性質や特性に拘らず、所定の通液速度を確保することができる。また、その開孔の面積や数によって通液速度を所望の値に制御可能である点において好ましい。
【0040】
開孔を形成するシート材は液不透過性シート又は撥水性シートとすることが好ましい。このような構成とすることにより、一旦、液透過性シートを通過しておむつ等のトップシートと液透過性シートの間の空間に流入した水様便が液透過性シートを浸透して逆戻りする事態を有効に防止することができる。中でも、液体の透過性を低下させることができるのは勿論のこと、長時間着用した際にもさらっとした触感(ドライ性)を維持することができる撥水性シートが好ましく、通気性に優れ、肌触りも良好な撥水性の不織布シートを用いることが更に好ましい。
【0041】
液不透過性シートとしては、例えば、使い捨ておむつのバックシートの構成材料として用いられるポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができる。
【0042】
撥水性シートとしては、スパンボンド不織布やカードエンボス不織布等の不織布を用いてもよいが、耐水圧が高いという理由から、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)不織布、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)不織布等の不織布を用いることが好ましい。
【0043】
液透過性シートとしては、低目付けの不織布シートやパンチングシートの他、シート自体がメッシュ状に構成されたメッシュシートを用いることも可能である。メッシュシートは、その網目状の空隙を使って液体を通過させることができ、水様便や軟便のような懸濁液を透過させ得る液透過性に優れるため好ましい。
【0044】
また、本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、シート材の少なくとも一部に、水様便や軟便の拡散を阻害し得るシート材を用いることも好ましい形態の一つである。このようなシート材を用いることにより、水様便の急激な拡散を阻害し、或いは遅滞させることができ、水様便や軟便の漏れを効果的に防止することができる。
【0045】
水様便や軟便の拡散を阻害し得るシート材としては、例えば、目付け量が大きく、嵩高い不織布シートを用いることができる。目付け量が大きく、嵩が高い不織布シートは、水様便や軟便を吸収してトラップする効果があり、拡散阻害性に優れるため、本発明の水様便漏れ防止シートにおけるシート材として好適に用いることができる。
【0046】
目付け量が大きく、嵩が高い不織布シートは、エアスルー不織布、カードエンボス不織布、スパンボンド不織布等の従来公知の不織布の中から、そのような不織布を適宜選択して用いればよい。中でも、嵩高で空隙の多い処理を施し易いという理由からエアスルー不織布を好適に用いることができる。
【0047】
また、本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、シート材の少なくとも一部が、その表面に複数の起伏が形成された起伏シートによって構成されていることも好ましい。シート表面に起伏が形成されていると、水様便や軟便の流動し難く、その拡散を阻害することができる。
【0048】
起伏の形態としては、シート表面に何らかの起伏が形成されており、水様便や軟便の拡散を阻害ないし遅滞させることが可能である限り、特に制限はない。例えば、シートの表面に複数の起伏が点在的に形成されていてもよいし、シートの表面に複数の起伏が連続的ないし断続的な線状に形成されていてもよい。また、シート表面を毛羽立たせた起毛シートもその毛羽立ちによって液体の拡散を阻害する効果を奏する。
【0049】
例えば、図4に示す水様便漏れ防止シート130は、シート材52が、その表面に複数の凸部82が形成された起伏シート84によって構成されている例である。この例では、シート材52が液透過性シート56によって構成されるとともに、そのシート材52の表面に円柱状の凸部82が縦方向及び横方向に規則正しく配列された起伏シート84を用いた例である。このような起伏シート84は、その配置方向に拘らず液体の拡散性を阻害することができるという特徴がある。
【0050】
また、図5に示す水様便漏れ防止シート140は、シート材52が、その表面に複数の凹部86が形成された起伏シート88によって構成されている例である。この例では、シート材52が液透過性シート56によって構成されるとともに、そのシート材52の表面に円柱状の空間が形成された凹部86(窪み)が縦方向および横方向に規則正しく配列された起伏シート88を用いた例である。このような起伏シート88も、その配置方向に拘らず液体の拡散性を阻害することができる。
【0051】
なお、図4に示す水様便漏れ防止シート130、図5に示す水様便漏れ防止シート140は、起伏シート84,88に凸部82ないし凹部86の一方のみを形成して起伏を形成した例であるが、凸部と凹部の双方を形成したものも本発明の範囲に含まれる。これらのシートは不織布シートに不織布からなる凸部材を貼付して凸部を形成する、不織布シートにエンボス加工を施すことにより凹部を形成する等の方法により形成することができる。「凸部」ないし「凹部」の形態について特に制約はない。例えば、円柱状、円錐状、角柱状、角錐状等の「凸部」又はこれと相補的な形状の「凹部」をシート表面に形成すればよい。
【0052】
また、図6に示す水様便漏れ防止シート150は、シート材52が、その表面に複数の畝90が形成された起伏シート92によって構成されている例である。この例では、シート材52が液透過性シート56によって構成されるとともに、そのシート材52の表面に起伏(畝90)がシート材52の長手方向(図面上下方向)と略直交するように配置されている。このような起伏シート92は、その長手方向を水様便漏れ防止シートの前後方向と一致させるように配置すると、水様便漏れ防止シートの前後方向への液体の拡散性を阻害することができる。
【0053】
更に、図7に示す水様便漏れ防止シート160は、その表面に複数の溝94が形成された起伏シート96によって構成されている例である。この例では、シート材52が液透過性シート56によって構成されるとともに、そのシート材52の表面に起伏(溝94)がシート材52の長手方向(図面上下方向)と略直交するように配置されている。このような起伏シート96も、その長手方向を水様便漏れ防止シートの前後方向と一致させるように配置すると、水様便漏れ防止シートの前後方向への液体の拡散性を阻害することができる。
【0054】
なお、図6に示す水様便漏れ防止シート150、図7に示す水様便漏れ防止シート160は、起伏シート92,96に畝90ないし溝94の一方のみを形成して起伏を形成した例であるが、畝と溝の双方を形成したものも本発明の範囲に含まれる。これらのシートは(不織布シートに不織布からなる凸部材を貼付して畝を形成する、不織布シートにエンボス加工を施すことにより溝を形成する)等の方法により形成することができる。
【0055】
「畝」ないし「溝」の形態について特に制約はない。例えば、畝や溝の断面形状としては、円形、三角形、四角形等を挙げることができる。また、図6や図7に示す例では、畝90や溝94が、シート材52の短手方向に向かって連続的に形成されている例を示したが、畝や溝が断続的に形成されているものであってもよい。
【0056】
また、図8に示す水様便漏れ防止シート170は、シート材52が、その表面が波型面98となっており、その波型面98によって複数の起伏が形成された起伏シート102によって構成されている例である。この例では、シート材52が液透過性シート56によって構成されるとともに、そのシート材52の表面が波型面98となっており、波の頂部98aと波の底部98bによって形成される起伏がシート材52の長手方向(図面上下方向)と略直交するように配置されている。このような起伏シート102は、その長手方向を水様便漏れ防止シートの前後方向と一致させるように配置すると、水様便漏れ防止シートの前後方向への液体の拡散性を阻害することができる。このような波型面が形成されたシート材は、例えば、不織布シートの表面に波状に弛ませた不織布シートを貼り合わせる等の方法により得ることができる。
【0057】
なお、図8に示す水様便漏れ防止シート170は、シート材52の一方の表面のみを波型面98とした例であるが、シート材52全体を波型に形成した場合、即ち、シート材52として波板状のシート材を利用した場合でもシート表面に起伏が形成されることになる。従って、そのようなものも本発明の範囲に含まれる。このような波板状のシート材は、例えば、フレーム材の表面を波状に加工し、その波状に加工されたフレーム材の表面に不織布シートを貼り合わせる等の方法により得ることができる。
【0058】
更に、図9に示す水様便漏れ防止シート180は、シート材52に皺104を寄せ(即ち、シート材52をクレープ状とし)、その皺104によって複数の起伏が形成された起伏シート106によって構成されている例である。この例では、シート材52が液透過性シート56によって構成されるとともに、そのシート材52に皺104を寄せ、その皺104によって形成される起伏がシート材52の長手方向(図面上下方向)と略直交するように配置されている。このような起伏シート106は、その長手方向を水様便漏れ防止シートの前後方向と一致させるように配置すると、水様便漏れ防止シートの前後方向への液体の拡散性を阻害することができる。図9に示す水様便漏れ防止シート180は、例えば、液透過性シート56に皺104を寄せ、クレープ状とした後に、フレーム材54によって挟み込み固定することで得ることができる。
【0059】
本発明の水様便漏れ防止シートは、前記シート材の少なくとも一部が、その表面に複数の凸部及び/又は凹部が形成された起伏シートによって構成されるとともに、前記起伏が、水様便漏れ防止シートの前後方向と交差する方向に向かって配置されていることが好ましい。このように起伏を形成することによって、水様便漏れ防止シートの前後方向への液体の拡散性をより効果的に阻害することができ、おむつの端部(特に、背側の端部)からの漏れを有効に防止することができる。
【0060】
「交差する方向」とは、水様便漏れ防止シートの前後方向と平行でない方向を意味する。水様便漏れ防止シートの前後方向への液体の拡散性を阻害する効果を確実に発生させる観点から、水様便漏れ防止シートの前後方向と直交する方向に対し、±45°の範囲内の方向であることが好ましく、±30°の範囲内の方向であることが更に好ましく、水様便漏れ防止シートの前後方向と直交する方向であることが特に好ましい。図6〜図9に示す水様便漏れ防止シート150,160,170,180は、いずれも起伏が水様便漏れ防止シートの前後方向と略直交するように配置されており、水様便漏れ防止シートの前後方向への液体の拡散性を阻害する効果に優れる点において好ましい。
【0061】
本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、前記シート材が水壊性シートによって構成されていることが好ましい。「水壊性シート」とは、水に濡れても破れない程度の強度を持っているが、大量の水中では崩壊し、細かく粉砕される性質を有するシート材を意味し、例えば、ウォータージェット法により繊維片を交絡させたスパンレース不織布等を挙げることができる。スパンレース不織布は、水に濡れても破れない程度の強度を持っているが、水洗式トイレに流すと大量の水流中で交絡された繊維片同士がほぐれて崩壊し、細かく粉砕される。このような水壊性シートによってシート材を構成すると、シート材の表面に固形便が排泄された場合でも、その固形便を水壊性シートともにトイレに廃棄することが可能となる。従って、廃棄の際の手間を軽減することができるという利点がある。
【0062】
このように、シート材を水壊性シートによって構成した場合には、水壊性シートのフレーム材によって包囲された領域に、その領域の少なくとも一部を切り取るための環状の切込線を形成しておくことが好ましい。環状の切込線を形成することにより、その切込線を破断して、水壊性シートの少なくとも一部を切り取ることが可能となる。このような構成により、水様便漏れ防止シート本体と便付着部分を簡便に分離することができ、先に述べた廃棄の際の手間がより一層軽減される。
【0063】
「切込線」は、シートの破断を容易にするために形成されるシートを貫通する切れ目を意味し、具体的には、ミシン目の他、「ジッパー」と称される切れ目が鉤形に屈曲した開封用破断線(包装産業の周知・慣用技術集第281頁参照、昭和53年12月20日特許庁発行)等を挙げることができる。このミシン目は2重線状に形成されたミシン目であってもよい。
【0064】
また、「環状」とは、ある領域を区画するように、線が連続的に又は断続的に結ばれた形状を意味し、いくつかの直線及び/又は曲線が連続的に又は断続的に結ばれた形状が含まれる。例えば、略長方形状、略長円形状、長楕円形状、長方形状、菱形状、又は多角形状等を挙げることができる。
【0065】
例えば、図10に示す水様便漏れ防止シート190は、シート材52全体が水壊性シート62によって構成されるとともに、水壊性シート62のフレーム材54によって包囲された領域に、その領域の少なくとも一部を切り取るための環状の切込線64が形成されている例である。この例では、水壊性シート62は開孔66が形成されたパンチングシートとなっており、シート材52の全体が液透過性シート56として構成されている。また、環状の切込線としてはミシン目が採用され、そのミシン目がフレーム材54の内縁に沿って略矩形状に配置されている。
【0066】
また、シート材が水壊性シートによって構成されている場合には、前記水壊性シートは、その縁部に引き剥がし用のタブを有しており、その一方の表面のみが前記フレーム材の表面に貼付されていることが好ましい。このような形態でも、水壊性シートをフレーム材から容易に剥離することができ、先に述べた廃棄の際の手間がより一層軽減される。
【0067】
例えば、図11に示す水様便漏れ防止シート200は、シート材52全体が水壊性シート62によって構成されるとともに、水壊性シート62の縁部に引き剥がし用のタブ108を有しており、その一方の表面のみがフレーム材54の表面に貼付されている例である。この例では、水壊性シート62は開孔66が形成されたパンチングシートとなっており、シート材52の全体が液透過性シート56として構成されている。
【0068】
なお、本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、シート材が1枚のシート材によって構成されている必要はない。具体的には、複数枚のシート材を個別にフレーム材に付設してもよいし、複数枚のシート材を継ぎ合せたり、積層したりしたものを液透過性シートとして使用してもよい。
【0069】
[1−2]フレーム材:
フレーム材は、前記シート材の外縁を包囲するように付設された補強材である。このフレーム材によって、水様便漏れ防止シート全体の強度が確保されるとともに、多様に変形する使い捨ておむつのトップシートの表面側に追従するように水様便漏れ防止シートを付設することが可能となる。
【0070】
フレーム材は、シート材の外縁を包囲するように付設される。この「包囲する」とは、図12に示す水様便漏れ防止シート210のように、シート材52の外縁を完全に包囲するようにフレーム材54が付設されている形態の他、図1に示す水様便漏れ防止シート100のように、シート材52の外縁とフレーム材54の外縁が一致するようにフレーム材54が付設されている形態や、図13に示す水様便漏れ防止シート220、図14に示す水様便漏れ防止シート230のように、シート材52の外縁とフレーム材54の外縁が一致してはいないが、シート材52の外縁に沿ってフレーム材54が付設されている形態をも包含する概念である。通常、矩形状に形成されたシート材を用いることが多いため、フレーム材もその形状に従って矩形状に配置することが好ましい。
【0071】
また、「包囲する」とは、必ずしもフレーム材が全て連続的に構成ないし配置されている必要はなく、図13に示す水様便漏れ防止シート220や図14に示す水様便漏れ防止シート230のように、フレーム材54によって一定の領域が区画形成されている限りにおいて、不連続ないし断続的に構成ないし配置されていてもよい。図13に示す水様便漏れ防止シート220は、矩形状に形成されたシート材52の四辺に沿って4つのフレーム材54が配置されており、矩形の四つの頂点の部分においてフレーム材54が不連続となり、不連続部70を形成している例である。また、図14に示す水様便漏れ防止シート230は、矩形状に形成されたシート材52の四辺に沿ってフレーム材54が略矩形状に配置されており、矩形の2本の長辺の一部においてフレーム材54が不連続となり、不連続部70を形成している例である。
【0072】
なお、図13に示す水様便漏れ防止シート220のように、矩形状に形成されたシート材52の四辺に沿って4つのフレーム材54が配置され、矩形の四つの頂点の部分においてフレーム材54を不連続とし、不連続部70を形成すると、おむつや尿パッド等の立体ギャザーの下面側に水様便漏れ防止シートを収めることが容易となり、ひいては水様便漏れ防止シートの付設が容易となるという利点がある。また、このように立体ギャザーの下面側に水様便漏れ防止シートを挿入した状態で固定すると、おむつ等の着用時に水様便漏れ防止シートのずれが生じ難くなる点においても好ましい。
【0073】
矩形状に形成されたシート材の四辺に沿って矩形枠状のフレーム材を配置し、その4つの頂点部分の一部を切除することも好ましい。例えば、図15に示す水様便漏れ防止シート240は、矩形状に形成されたシート材52の四辺に沿って矩形枠状のフレーム材54を配置し、その4つの頂点部分の一部を切除し、L字状の切り欠き部72を形成した例である。この切り欠き部72によって、おむつ等の立体ギャザーの下面側に水様便漏れ防止シートを収めることが容易となり、ひいては水様便漏れ防止シートの付設が容易となる。また、おむつ等の着用時に水様便漏れ防止シートがずれ難くなるという効果がある。
【0074】
本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、フレーム材は、その表面が前記シート材の少なくとも一方の表面から張り出すように付設され、前記シート材の少なくとも一方の表面と、前記フレーム材の表面との間に、2〜20mmの段差が形成されていることが好ましい。このような範囲内で段差を形成することによって、シート材(ひいては着用者の肌)とおむつのトップシートとの間に一定の空間が形成され、既に述べた本発明の水様便漏れ防止シートの効果が発揮される。一方、段差が2mm未満であると、形成される空間が狭すぎて、効果が不十分となる場合がある。また、20mmを超えると、おむつ等の立体ギャザーの下側に収まり難くなり、おむつ等の立体ギャザーの防漏効果が減殺されるおそれがある。また、着用感、フィット性が低下する場合がある。上記効果を確実に発揮させるためには、段差を5〜10mmとすることがより好ましい。
【0075】
本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、フレーム材は、前記シート材の少なくとも一方の表面から張り出した側の表面が粗面化されたものであることが好ましい。このような構成により、使い捨ておむつのトップシート表面とフレーム材(ひいては水様便漏れ防止シート)との摩擦係数が高くなり、着用者の動作によって水様便漏れ防止シートがおむつの内部でずれてしまう事態を有効に防止することができる。「粗面化」とは、フレーム材の表面が平滑でない状態とすることの全てを含む。例えば、フレーム材の表面に凹凸を付ける、或いはフレーム材の表面を波型とする等の形態を挙げることができる。
【0076】
フレーム材は、上記の機能を確保するため、柔軟である程度コシがある素材によって構成することが好ましい。例えば、フェルト、ウレタンフォーム、エアレイド不織布、ポリエチレン系樹脂等の樹脂、等の材料からなるものを好適に用いることができる。
【0077】
フレーム材は、他の吸収性物品に対して止着させ得るファスニング部材を備えていることが好ましい。ファスニング部材を備えていることによって、おむつや尿パッド等に水様便漏れ防止シートを確実に固定することができ、位置ズレによる水様便の漏れを効果的に防止することができる。前記ファスニング部材としては、例えば、粘着ファスナー、メカニカルファスナー等を挙げることができる。中でも、確実な止着を行うことができ、繰り返し使用にも耐え得るメカニカルファスナーが好ましい。
【0078】
また、本発明の水様便漏れ防止シートは、フレーム材の少なくとも一部を、メカニカルファスナーのフック材によって構成することが好ましい。フック材は樹脂製シートの表面に多数の突起(鉤状、きのこ状、錨状等)が形成された凸部材であり、適度な柔軟性とコシを備えているためフレーム材を構成する素材として好適に用いることができる。また、フック材はループ状の繊維が配置された凹部材(ループ材)や織布、不織布、フェルト、パイル等の繊維状の表面を有する素材からなるシート材に係合させることができ、これらの部材を剥離可能な状態に、かつ、強固に固着させることができる。従って、フレーム材の一部を構成するフック材を使い捨ておむつや尿パッドのトップシート等に係合させることによって、水様便漏れ防止シートがおむつ等の内部でずれてその機能を果たさなくなる事態を有効に防止することができる。
【0079】
既に述べたように、フレーム材はシート材の外縁を包囲するように配置され、シート材が略矩形状に形成されている場合には、フレーム材はシート材の四辺に沿って付設されていることが好ましい。そして、前記のようにフレーム材の少なくとも一部を、メカニカルファスナーのフック材によって構成する場合には、シート材の四辺のうち2本の長辺に沿ってフック材が付設されていることが好ましい。
【0080】
前記のような構成により、水様便漏れ防止シートの長手方向中央部における「よれ」を防止することができ、水様便漏れ防止シートがおむつの内部で捲れてその機能を果たさなくなる事態を有効に防止することができる。例えば、図13に示す水様便漏れ防止シート220は、略矩形状のシート材52の四辺に沿ってフレーム材54を付設し、そのうち2つの長辺に沿ってフック材68を付設した例である。但し、図14に示す水様便漏れ防止シート230のように、略矩形状のシート材52の四辺のうち2つの短辺に沿ってフック材68を付設した場合でも、水様便漏れ防止シートをおむつや尿パッドのトップシート等に係合させることができ、水様便漏れ防止シートのおむつ等の内部での「ずれ」を防止することが可能である。
【0081】
また、本発明の水様便漏れ防止シートは、フレーム材として、シート材の外縁を包囲するように付設されるもの以外のフレーム材を備えるものであってもよい。シート材が略矩形状に形成され、フレーム材として、シート材の四辺に沿って付設される外縁フレーム材と、四辺のうち2本の長辺に沿って配置された外縁フレーム材同士を連絡するように架け渡された架橋フレーム材とを備え、外縁フレーム材によって包囲された領域が、架橋フレーム材によって2つの領域に分割されているものが好ましい。
【0082】
例えば、図2に示す水様便漏れ防止シート110は、シート材52が矩形状に形成され、フレーム材54として、シート材の四辺に沿って付設される矩形枠状の外縁フレーム材54aと、四辺のうち2本の長辺に沿って配置された外縁フレーム材54aの中央部同士を連絡するように架け渡された架橋フレーム材54bとを備えている。そして、外縁フレーム材54aによって包囲された矩形状の領域が、架橋フレーム材54bによって2つの領域に分割されている例である。
【0083】
前記のような構成は、シート材が2つの領域に区分されているため、一方の領域にのみ液透過性シートを配置し、他方の領域には別の機能を備えたシート材を配置することが可能となる。従って、本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、前記2つの領域のうち、一方の領域に前記液透過性シートが配置され、他方の領域には液不透過性シート又は撥水性シートが配置されていることが更に好ましい。
【0084】
例えば、図2に示す水様便漏れ防止シート110は、シート材52が架橋フレーム材54bの部分で2つの領域に分割されており、図面上側の領域にのみ液透過性シート56を配置し、図面下側の領域には撥水性シート60を配置した例である。このような水様便漏れ防止シートを、液透過性シートを配置した領域をおむつの後側、液不透過性シート又は撥水性シートを配置した領域をおむつの前側となるように配置すれば、着用者の臀部側では排泄された水様便が水様便漏れ防止シートを通過してトップシートと水様便漏れ防止シートの間の空間に流入する一方で、着用者の腹側ではシートを浸透して水様便が逆戻りし難い。従って、水様便が男性器、女性器に付着する事態を有効に防止することができ、非常に衛生的である。
【0085】
なお、図2に示す水様便漏れ防止シート110では、架橋フレーム材54bの部分で液透過性シート56と撥水性シート60とを区分しているが、架橋フレーム材の部分以外の部分で、液透過性シートと液不透過性シート又は撥水性シートとが区分されていても同様の効果を得ることができる。即ち、架橋フレーム材の位置と、液透過性シートと液不透過性シート等との分割位置がずれているものも、本発明の範囲に含まれる。
【0086】
更に、本発明の水様便漏れ防止シートは、前記シート材が略矩形状に形成され、前記フレーム材が前記シート材の四辺に沿って配置され、前記フレーム材のうち前記シート材の2本の長辺に沿って配置された部分の長手方向中央部に、フレーム材を横切るように凹溝ないし弱め線が形成されたものであることが好ましい。
【0087】
このような構成とすることにより、販売時には水様便漏れ防止シートを2つ折りにしてコンパクトな状態で包装することが可能となり、使用時には使用者がフレーム材を下にして水様便漏れ防止シートを広げるため、誤ってフレーム材が張り出した側の表面を上にして水様便漏れ防止シートを付設してしまう事態を有効に防止することができる。
【0088】
凹溝の形状はシートの折り曲げを容易とする形状であれば特に制限されないが、その断面が半円状、三角形状、四角形状等の形状を挙げることができる。例えば、図16に示す水様便漏れ防止シート250は、シート材52が略矩形状に形成され、フレーム材54がシート材52の四辺に沿って配置されたものであり、フレーム材54のうちシート材52の2本の長辺に沿って配置された部分の長手方向中央部に、フレーム材54を横切るように断面が三角形状の凹溝74が形成された例である。
【0089】
[1−3]その他:
本発明の水様便漏れ防止シートには、シート材の端縁に沿って、立体ギャザーを付設してもよい。このような構成により、万が一、水様便漏れ防止シートの表面を伝って水様便が拡散してしまった場合でも、立体ギャザーが防波堤となり、おむつの端部(特に背側の端部)からの漏れを有効に防止することができる。
【0090】
立体ギャザーは、着用者の排泄物の漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、シート材の一部に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
【0091】
[2]吸収性物品:
本発明の吸収性物品は、吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備え、前記トップシートの表面側に、本発明の水様便漏れ防止シートが付設されたものである。
【0092】
本発明の吸収性物品は、本発明の水様便漏れ防止シートが付設されている点に特徴があり、吸収性物品の本体の構造は前記吸収体、前記トップシート、前記バックシートを備えている限り、特に制限されるものではない。例えば、テープ型の使い捨ておむつであってもよいし、パンツ型の使い捨ておむつであってもよい。また、パンツ型使い捨ておむつの場合には、それが1ピースタイプのものであってもよいし、2ピースタイプのものであってもよい。更には、使い捨ておむつに限らず、尿パッド等であってもよい。
【0093】
なお、「テープ型使い捨ておむつ」とは、例えば、図17に示すテープ型使い捨ておむつ1のように、吸収体22と、吸収体22の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体22の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えるとともに、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成されており、後身頃6の左右の各側縁6a,6b(サイドフラップ8の側縁)から延出するように配置され、前身頃2と後身頃6とを固定するための止着テープ10を更に備え、止着テープ10によっておむつの前身頃と後身頃とを相互に固定し得る使い捨ておむつを意味するものとする。図示のテープ型使い捨ておむつ1は、ファスナー44として、メカニカルファスナーを備えており、止着テープ10の先端側領域にメカニカルファスナーのフック材44aが、おむつの前身頃2の部分にフロントパッチ12としてメカニカルファスナーのループ材44bが配置されている。
【0094】
また、「パンツ型使い捨ておむつ」とは、前身頃と後身頃の対応する側縁部同士を接合することによって、一つのウエスト周り開口部及び一対の脚周り開口部が形成され、予めパンツ型に構成されたおむつを意味するものとする。
【0095】
更に、「1ピースタイプ」とは、例えば、図17に示すテープ型使い捨ておむつ1のように、トップシート18、バックシート20、吸収体22を備えているが、吸収・保持機能を担う吸収体22がトップシート18とバックシート20の間に介装(内蔵)され、装着機能を担うトップシート18及び/又はバックシート20と一体的に構成されたタイプのおむつを意味するものとする。
【0096】
一方、「2ピースタイプ」とは、着用者の排泄物を吸収し、保持する機能(吸収・保持機能)を担う吸収性本体と、着用者の身体を被包する機能(装着機能)を担う外装部材とから構成され、外装部材の内側に吸収性本体が配置されたタイプのおむつを意味するものとする。ここで「吸収性本体」とは、吸収体、トップシート及びバックシートを構成要素として備えた部材である。
【0097】
図17は、本発明の吸収性物品の例を示す図であり。テープ型使い捨ておむつ1に、本発明の水様便漏れ防止シートを付設した例である。テープ型使い捨ておむつ1の股下部4から後身頃6の部分にかけて、水様便漏れ防止シート100が付設されており、立体ギャザー26(26a,26b)の下側に挟み込まれるようにして、水様便漏れ防止シート100が固定されたものである。なお、この図において、符号36,36a,36bは「立体ギャザー伸縮材」を、符号40は「脚周り伸縮材」を、符号42は「ウエスト周り伸縮材」を示している。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の水様便漏れ防止シート及び使い捨ておむつは、乳幼児用、或いは介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用の使い捨ておむつ及びその補助部材として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の水様便漏れ防止シートの一の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図2】本発明の水様便漏れ防止シートの別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図3】本発明の水様便漏れ防止シートの更に別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図4】本発明の水様便漏れ防止シートの更にまた別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図5】本発明の水様便漏れ防止シートの一の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図6】本発明の水様便漏れ防止シートの別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図7】本発明の水様便漏れ防止シートの更に別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図8】本発明の水様便漏れ防止シートの更にまた別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図9】本発明の水様便漏れ防止シートの一の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図10】本発明の水様便漏れ防止シートの別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図11】本発明の水様便漏れ防止シートの更に別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図12】本発明の水様便漏れ防止シートの更にまた別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図13】本発明の水様便漏れ防止シートの実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き底面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図14】本発明の水様便漏れ防止シートの別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き底面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図15】本発明の水様便漏れ防止シートの更に別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図16】本発明の水様便漏れ防止シートの更にまた別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートの側面図である。
【図17】本発明の吸収性物品の実施形態を示す図であり、本発明の水様便漏れ防止シートが付設された使い捨ておむつを示す上面図である。
【符号の説明】
【0100】
1:テープ型使い捨ておむつ、2:前身頃、4:股下部、6:後身頃、6a,6b:側縁、8:サイドフラップ、10:止着テープ、12:フロントパッチ、18:トップシート、20:バックシート、22:吸収体、26,26a,26b:立体ギャザー、36,36a,36b:立体ギャザー伸縮材、40:脚周り伸縮材、42:ウエスト周り伸縮材、44:ファスナー、44a:フック材、44b:ループ材、100,110,120,130,140,150,160,170,180,190,200,210,220,230,240,250:水様便漏れ防止シート、52:シート材、54:フレーム材、54a:外縁フレーム材、54b:架橋フレーム材、56:液透過性シート、58:空間、60:撥水性シート、62:水壊性シート、64:切込線、66:開孔、68:フック材、70:不連続部、72:切り欠き部、74:凹溝、82:凸部、84,88,92,96,102,106:起伏シート、86:凹部、90:畝、94:溝、98:波型面、104:皺、108:タブ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつのトップシートの表面側に付設して用いることができる水様便漏れ防止シート及びそのような水様便漏れ防止シートがトップシートの表面側に付設された吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、乳幼児用、或いは高齢者・障害者用のおむつとして、吸収体と、吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えた使い捨ておむつが汎用されている。この使い捨ておむつは、トップシートの表面を着用者の肌に接するように宛がって使用することにより、着用者の排泄した尿はトップシートを透過して、吸収体によって吸収・保持されるとともに、防漏性に優れたバックシートによって、排泄物のおむつ外部への漏洩が防止されるというものである。
【0003】
しかしながら、前記のような構成の使い捨ておむつでは、尿についてはトップシートを透過するものの、便についてはその殆どがトップシートを透過せず、トップシート上に残存することになる。トップシート上に残存した便は、着用者の股下部や臀部に付着するため、煩瑣な払拭作業が必要となり、育児負担や介護負担を増大させる原因となる他、着用者のスキントラブルの原因ともなっていた。
【0004】
そこで、吸収体の一部に便を収可能な凹部を形成した使い捨て衛生吸収物品や使い捨ておむつが提案されている(例えば、特許文献1又は2参照)。また、着用者の肌の非当接側に下方に延びる大便収容袋が取り付けられた使い捨ておむつが提案されている(例えば、特許文献3参照)。これらの使い捨ておむつ等では、着用者の排泄した便が前記凹部ないし大便収容袋に収容されるように構成されている。
【0005】
また、トップシートの上部に更にもう1枚のシート体(本明細書では、「スキンコンタクトシート」と称することにする)が配置された使い捨ておむつも提案されている(例えば、特許文献4又は5参照)。これらの使い捨ておむつでは、スキンコンタクトシートに便を通過させ得る開口部(便通過用開口部)が形成されており、その便通過用開口部を通過して着用者の排泄した便がトップシート上に落下するように構成されている。
【0006】
【特許文献1】実願平4−45624号公報
【特許文献2】特許第3012472号公報
【特許文献3】特開2002−253609号公報
【特許文献4】実用新案登録第2559050号公報
【特許文献5】特開2002−11044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの文献に記載された使い捨ておむつ等においては、排泄された便が凹部や収納袋或いはスキンコンタクトシートの下の空間に収容されるため、便が着用者の肌に直接接触する機会を減少させる効果を期待することができる。
【0008】
しかしながら、これらの文献に記載された使い捨ておむつ等は、いわゆる固形便を捕捉することを念頭に設計されたものであり、軟便や水様便を捕捉するのに適した構造であるとは言えなかった。従って、軟便や水様便に関してはうまく捕捉することができず、着用者が横臥している状態では、おむつの端部(特に背側)から軟便や水様便の漏れが発生するおそれがあるという課題があった。また、吸収体に凹部を形成したり、使い捨ておむつに収納袋やスキンコンタクトシートを付設することで使い捨ておむつの構造が複雑になり、その製造が困難になったり、製造コストが上昇したりするという課題もあった。
【0009】
このように、現在のところ、おむつ端部(特に背側)からの軟便や水様便の漏れを有効に防止することができ、シンプルな構造で容易に製造することができる方策は未だ開示されておらず、そのような方策が切望されている。本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであって、おむつ端部(特に背側)からの軟便や水様便の漏れを有効に防止することができ、シンプルな構造で容易に製造することができる水様便漏れ防止シート及び吸収性物品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、使い捨ておむつのトップシートの表面側に、外縁を包囲するフレーム材が付設された液透過性シートを付設することによって、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の水様便漏れ防止シート及び吸収性物品が提供される。
【0011】
[1] シート材と、前記シート材の外縁を包囲するように付設されたフレーム材とを備え、前記シート材の少なくとも一部が、液透過性シートによって構成されている水様便漏れ防止シート。
【0012】
[2] 前記液透過性シートが、エアスルー不織布からなる不織布シートによって構成されている前記[1]に記載の水様便漏れ防止シート。
【0013】
[3] 前記液透過性シートが、開孔が形成されたパンチングシート又はメッシュシートによって構成されている前記[1]又は[2]に記載の水様便漏れ防止シート。
【0014】
[4] 前記シート材の少なくとも一部が、その表面に複数の起伏が形成された起伏シートによって構成されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0015】
[5] 前記シート材の少なくとも一部が、その表面に複数の凸部及び/又は凹部が形成された起伏シートによって構成されるとともに、前記起伏が、水様便漏れ防止シートの前後方向と交差する方向に向かって配置されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0016】
[6] 前記シート材が水壊性シートによって構成されるとともに、前記水壊性シートの前記フレーム材によって包囲された領域に、前記領域の少なくとも一部を切り取るための環状の切込線が形成されている前記[1]〜[5]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0017】
[7] 前記シート材が水壊性シートによって構成されるとともに、前記水壊性シートは、その縁部に引き剥がし用のタブを有しており、その一方の表面のみが前記フレーム材の表面に貼付されている前記[1]〜[5]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0018】
[8] 前記フレーム材は、その表面が前記シート材の少なくとも一方の表面から張り出すように付設され、前記シート材の少なくとも一方の表面と、前記フレーム材の表面との間に、2〜20mmの段差が形成されている前記[1]〜[7]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0019】
[9] 前記フレーム材は、前記シート材の少なくとも一方の表面から張り出した側の表面が粗面化されたものである前記[1]〜[8]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0020】
[10] 他の吸収性物品に対して止着させ得るファスニング部材を有している前記[1]〜[9]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0021】
[11] 前記フレーム材の少なくとも一部が、メカニカルファスナーのフック材によって構成されている前記[1]〜[10]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0022】
[12] 前記シート材が略矩形状に形成され、前記フレーム材が前記シート材の四辺に沿って付設され、前記四辺のうち2本の長辺に沿って前記フック材が付設されている前記[11]に記載の水様便漏れ防止シート。
【0023】
[13] 前記シート材が略矩形状に形成され、前記フレーム材として、前記シート材の四辺に沿って付設される外縁フレーム材と、前記四辺のうち2本の長辺に沿って配置された外縁フレーム材同士を連絡するように架け渡された架橋フレーム材とを備え、前記外縁フレーム材によって包囲された領域が、前記架橋フレーム材によって2つの領域に分割されている前記[1]〜[12]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0024】
[14] 前記2つの領域のうち、一方の領域に前記液透過性シートが配置され、他方の領域には液不透過性シート又は撥水性シートが配置されている前記[13]に記載の水様便漏れ防止シート。
【0025】
[15] 前記シート材が略矩形状に形成され、前記フレーム材が前記シート材の四辺に沿って配置され、前記フレーム材のうち前記シート材の2本の長辺に沿って配置された部分の長手方向中央部に、前記フレーム材を横切るように凹溝ないし弱め線が形成されたものである前記[1]〜[14]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シート。
【0026】
[16] 吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備え、前記トップシートの表面側に、前記[1]〜[15]のいずれかに記載の水様便漏れ防止シートが付設された吸収性物品。
【発明の効果】
【0027】
本発明の水様便漏れ防止シートは、おむつ端部(特に背側)からの軟便や水様便の漏れを有効に防止することができ、シンプルな構造で容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の水様便漏れ防止シート及びこれを用いた吸収性物品を実施するための最良の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える水様便漏れ防止シート及びこれを用いた吸収性物品を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0029】
[1]本発明の水様便漏れ防止シートの構成:
本発明の水様便漏れ防止シートは、使い捨ておむつ等の吸収性物品のトップシートの表面側に付設されて用いられる吸収性物品の補助的な部材であり、シート材と、シート材の外縁を包囲するように付設されたフレーム材とを備え、シート材の少なくとも一部が、液透過性シートによって構成されているものである。
【0030】
このような水様便漏れ防止シートでは、シート材の少なくとも一部が、液体の通過性に優れた液透過性シートで構成されるとともに、シート材の外縁を包囲するように付設されたフレーム材の厚みによって、シート材の下側に、シート材とフレーム材によって区画された空間が形成されることになる。例えば、図1に示す水様便漏れ防止シート100は、シート材52全体が液透過性シート56で構成されるとともに、矩形状のシート材52と、そのシート材52の外縁を包囲するように付設された矩形枠状のフレーム材54とを備えており、フレーム材54の厚みによって、シート材52の下側に、シート材52とフレーム材54によって区画された、矩形平板状の空間58が形成されている。
【0031】
通常、使い捨ておむつの着用時には、着用者の肌はおむつのトップシートの表面に直接接触しており、排泄された軟便や水様便(以下、「水様便」と略記する)が吸収されるべきトップシート表面の大部分が閉塞された状態になっていると言える。従って、水様便が排泄されると、その水様便は着用者の臀溝とおむつのトップシートとによって区画される極めて狭い空間を伝っておむつの前後方向に急激に拡散してしまい、おむつ端部(特に背側の端部)から漏れが発生することになるのである。
【0032】
これに対し、本発明の水様便漏れ防止シートをおむつのトップシートの表面側に付設すると、フレーム材の厚みによって、シート材(ひいては着用者の肌)とおむつのトップシートとの間に一定の空間が形成され、着用者の肌とトップシートの表面とが非接触の状態となる。そして、前記空間は着用者の臀溝とおむつのトップシートとによって区画される空間と比較して極めて広い空間であると言える。従って、シート材の表面に水様便が排泄されると、その水様便は液透過性シートを通過して速やかに前記空間に移行し、この比較的広い空間の中で緩やかに拡散することになる。また、おむつのトップシートの表面も着用者の肌によって閉塞されてはいないので、その表面全体で水様便を吸収することができる。
【0033】
本発明の水様便漏れ防止シートは、前記のような仕組みによって、水様便のおむつ等の端部(特に背側の端部)からの漏れを有効に防止することができる。この効果は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に本発明の水様便漏れ防止シートを付設することのみによって得られるので、使い捨ておむつ等の構造を複雑化させることがない。また、水様便漏れ防止シートも、シート材とフレーム材からなる比較的簡易な構造であり、製造も容易で安価に製造することができる。更に、体調が良好で水様便が排泄される可能性が低い場合には通常の使い捨ておむつ等を使用し、下痢等で水様便が排泄されるおそれがある場合にのみ、本発明の水様便漏れ防止シートを使い捨ておむつ等に付設すればよいので、予め全ての使い捨ておむつ等に水様便対策の部材を付設しておく方法と比較して非常に経済的である。従って、極めて簡便かつ安価に水様便の漏れ対策を講ずることができる。また、尿についても液透過性シートを速やかに透過してトップシートに移行するので、水様便や軟便のみならず、尿が排泄された場合でも、その吸収性に問題を生ずることはない。
【0034】
[1−1]シート材:
本発明の水様便漏れ防止シートは、その構成部材としてシート材を備えている。このシート材は、使い捨ておむつ等のトップシートに代わり、着用者の肌に直接接触することになるシート状の部材である。そして、シート材の少なくとも一部は、液透過性シートによって構成されている。このような構成により、水様便をシート材の表面に滞留させることなく、速やかに使い捨ておむつ等のトップシート上に移行させることができる。
【0035】
なお、本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、シート材の「少なくとも一部」を液透過性シートによって構成すればよく、必ずしもシート材の全部を前記液透過性シートによって構成する必要はない。例えば、図2に示す水様便漏れ防止シート110は、シート材52の一部のみを液透過性シート56によって構成した例である。
【0036】
液透過性シートの構成は特に限定されるものではないが、水様便や軟便のような懸濁液を透過させ得る液透過性を備えたシートが好ましい。例えば、目が粗い不織布シートは、不織布を構成する繊維間の空隙を使って液体を通過させることができるため、エアスルー不織布、カードエンボス不織布、スパンボンド不織布等の従来公知の不織布の中から、そのような不織布を適宜選択して液透過性シートとして用いればよい。中でも、嵩高で空隙の多い処理を施し易いという理由からエアスルー不織布を好適に用いることができる。
【0037】
また、液透過性シートを開孔が形成されたパンチングシートによって構成することもできる。このようなパンチングシートは、その開孔を使って液体を通過させることができ、水様便や軟便のような懸濁液を透過させ得る液透過性に優れるため好ましい。
【0038】
例えば、図3に示す水様便漏れ防止シート120は、シート材52は開孔66が形成されたパンチングシートとなっており、シート材52の全体が液透過性シート56として構成された例である。
【0039】
このようにシート材に開孔を形成して液透過性シートとする方法は、前記のような不織布の目付け量を減ずることによって通液速度を確保する方法と比較して、目付け量等の不織布が本来的に有している性質や特性に拘らず、所定の通液速度を確保することができる。また、その開孔の面積や数によって通液速度を所望の値に制御可能である点において好ましい。
【0040】
開孔を形成するシート材は液不透過性シート又は撥水性シートとすることが好ましい。このような構成とすることにより、一旦、液透過性シートを通過しておむつ等のトップシートと液透過性シートの間の空間に流入した水様便が液透過性シートを浸透して逆戻りする事態を有効に防止することができる。中でも、液体の透過性を低下させることができるのは勿論のこと、長時間着用した際にもさらっとした触感(ドライ性)を維持することができる撥水性シートが好ましく、通気性に優れ、肌触りも良好な撥水性の不織布シートを用いることが更に好ましい。
【0041】
液不透過性シートとしては、例えば、使い捨ておむつのバックシートの構成材料として用いられるポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができる。
【0042】
撥水性シートとしては、スパンボンド不織布やカードエンボス不織布等の不織布を用いてもよいが、耐水圧が高いという理由から、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)不織布、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)不織布等の不織布を用いることが好ましい。
【0043】
液透過性シートとしては、低目付けの不織布シートやパンチングシートの他、シート自体がメッシュ状に構成されたメッシュシートを用いることも可能である。メッシュシートは、その網目状の空隙を使って液体を通過させることができ、水様便や軟便のような懸濁液を透過させ得る液透過性に優れるため好ましい。
【0044】
また、本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、シート材の少なくとも一部に、水様便や軟便の拡散を阻害し得るシート材を用いることも好ましい形態の一つである。このようなシート材を用いることにより、水様便の急激な拡散を阻害し、或いは遅滞させることができ、水様便や軟便の漏れを効果的に防止することができる。
【0045】
水様便や軟便の拡散を阻害し得るシート材としては、例えば、目付け量が大きく、嵩高い不織布シートを用いることができる。目付け量が大きく、嵩が高い不織布シートは、水様便や軟便を吸収してトラップする効果があり、拡散阻害性に優れるため、本発明の水様便漏れ防止シートにおけるシート材として好適に用いることができる。
【0046】
目付け量が大きく、嵩が高い不織布シートは、エアスルー不織布、カードエンボス不織布、スパンボンド不織布等の従来公知の不織布の中から、そのような不織布を適宜選択して用いればよい。中でも、嵩高で空隙の多い処理を施し易いという理由からエアスルー不織布を好適に用いることができる。
【0047】
また、本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、シート材の少なくとも一部が、その表面に複数の起伏が形成された起伏シートによって構成されていることも好ましい。シート表面に起伏が形成されていると、水様便や軟便の流動し難く、その拡散を阻害することができる。
【0048】
起伏の形態としては、シート表面に何らかの起伏が形成されており、水様便や軟便の拡散を阻害ないし遅滞させることが可能である限り、特に制限はない。例えば、シートの表面に複数の起伏が点在的に形成されていてもよいし、シートの表面に複数の起伏が連続的ないし断続的な線状に形成されていてもよい。また、シート表面を毛羽立たせた起毛シートもその毛羽立ちによって液体の拡散を阻害する効果を奏する。
【0049】
例えば、図4に示す水様便漏れ防止シート130は、シート材52が、その表面に複数の凸部82が形成された起伏シート84によって構成されている例である。この例では、シート材52が液透過性シート56によって構成されるとともに、そのシート材52の表面に円柱状の凸部82が縦方向及び横方向に規則正しく配列された起伏シート84を用いた例である。このような起伏シート84は、その配置方向に拘らず液体の拡散性を阻害することができるという特徴がある。
【0050】
また、図5に示す水様便漏れ防止シート140は、シート材52が、その表面に複数の凹部86が形成された起伏シート88によって構成されている例である。この例では、シート材52が液透過性シート56によって構成されるとともに、そのシート材52の表面に円柱状の空間が形成された凹部86(窪み)が縦方向および横方向に規則正しく配列された起伏シート88を用いた例である。このような起伏シート88も、その配置方向に拘らず液体の拡散性を阻害することができる。
【0051】
なお、図4に示す水様便漏れ防止シート130、図5に示す水様便漏れ防止シート140は、起伏シート84,88に凸部82ないし凹部86の一方のみを形成して起伏を形成した例であるが、凸部と凹部の双方を形成したものも本発明の範囲に含まれる。これらのシートは不織布シートに不織布からなる凸部材を貼付して凸部を形成する、不織布シートにエンボス加工を施すことにより凹部を形成する等の方法により形成することができる。「凸部」ないし「凹部」の形態について特に制約はない。例えば、円柱状、円錐状、角柱状、角錐状等の「凸部」又はこれと相補的な形状の「凹部」をシート表面に形成すればよい。
【0052】
また、図6に示す水様便漏れ防止シート150は、シート材52が、その表面に複数の畝90が形成された起伏シート92によって構成されている例である。この例では、シート材52が液透過性シート56によって構成されるとともに、そのシート材52の表面に起伏(畝90)がシート材52の長手方向(図面上下方向)と略直交するように配置されている。このような起伏シート92は、その長手方向を水様便漏れ防止シートの前後方向と一致させるように配置すると、水様便漏れ防止シートの前後方向への液体の拡散性を阻害することができる。
【0053】
更に、図7に示す水様便漏れ防止シート160は、その表面に複数の溝94が形成された起伏シート96によって構成されている例である。この例では、シート材52が液透過性シート56によって構成されるとともに、そのシート材52の表面に起伏(溝94)がシート材52の長手方向(図面上下方向)と略直交するように配置されている。このような起伏シート96も、その長手方向を水様便漏れ防止シートの前後方向と一致させるように配置すると、水様便漏れ防止シートの前後方向への液体の拡散性を阻害することができる。
【0054】
なお、図6に示す水様便漏れ防止シート150、図7に示す水様便漏れ防止シート160は、起伏シート92,96に畝90ないし溝94の一方のみを形成して起伏を形成した例であるが、畝と溝の双方を形成したものも本発明の範囲に含まれる。これらのシートは(不織布シートに不織布からなる凸部材を貼付して畝を形成する、不織布シートにエンボス加工を施すことにより溝を形成する)等の方法により形成することができる。
【0055】
「畝」ないし「溝」の形態について特に制約はない。例えば、畝や溝の断面形状としては、円形、三角形、四角形等を挙げることができる。また、図6や図7に示す例では、畝90や溝94が、シート材52の短手方向に向かって連続的に形成されている例を示したが、畝や溝が断続的に形成されているものであってもよい。
【0056】
また、図8に示す水様便漏れ防止シート170は、シート材52が、その表面が波型面98となっており、その波型面98によって複数の起伏が形成された起伏シート102によって構成されている例である。この例では、シート材52が液透過性シート56によって構成されるとともに、そのシート材52の表面が波型面98となっており、波の頂部98aと波の底部98bによって形成される起伏がシート材52の長手方向(図面上下方向)と略直交するように配置されている。このような起伏シート102は、その長手方向を水様便漏れ防止シートの前後方向と一致させるように配置すると、水様便漏れ防止シートの前後方向への液体の拡散性を阻害することができる。このような波型面が形成されたシート材は、例えば、不織布シートの表面に波状に弛ませた不織布シートを貼り合わせる等の方法により得ることができる。
【0057】
なお、図8に示す水様便漏れ防止シート170は、シート材52の一方の表面のみを波型面98とした例であるが、シート材52全体を波型に形成した場合、即ち、シート材52として波板状のシート材を利用した場合でもシート表面に起伏が形成されることになる。従って、そのようなものも本発明の範囲に含まれる。このような波板状のシート材は、例えば、フレーム材の表面を波状に加工し、その波状に加工されたフレーム材の表面に不織布シートを貼り合わせる等の方法により得ることができる。
【0058】
更に、図9に示す水様便漏れ防止シート180は、シート材52に皺104を寄せ(即ち、シート材52をクレープ状とし)、その皺104によって複数の起伏が形成された起伏シート106によって構成されている例である。この例では、シート材52が液透過性シート56によって構成されるとともに、そのシート材52に皺104を寄せ、その皺104によって形成される起伏がシート材52の長手方向(図面上下方向)と略直交するように配置されている。このような起伏シート106は、その長手方向を水様便漏れ防止シートの前後方向と一致させるように配置すると、水様便漏れ防止シートの前後方向への液体の拡散性を阻害することができる。図9に示す水様便漏れ防止シート180は、例えば、液透過性シート56に皺104を寄せ、クレープ状とした後に、フレーム材54によって挟み込み固定することで得ることができる。
【0059】
本発明の水様便漏れ防止シートは、前記シート材の少なくとも一部が、その表面に複数の凸部及び/又は凹部が形成された起伏シートによって構成されるとともに、前記起伏が、水様便漏れ防止シートの前後方向と交差する方向に向かって配置されていることが好ましい。このように起伏を形成することによって、水様便漏れ防止シートの前後方向への液体の拡散性をより効果的に阻害することができ、おむつの端部(特に、背側の端部)からの漏れを有効に防止することができる。
【0060】
「交差する方向」とは、水様便漏れ防止シートの前後方向と平行でない方向を意味する。水様便漏れ防止シートの前後方向への液体の拡散性を阻害する効果を確実に発生させる観点から、水様便漏れ防止シートの前後方向と直交する方向に対し、±45°の範囲内の方向であることが好ましく、±30°の範囲内の方向であることが更に好ましく、水様便漏れ防止シートの前後方向と直交する方向であることが特に好ましい。図6〜図9に示す水様便漏れ防止シート150,160,170,180は、いずれも起伏が水様便漏れ防止シートの前後方向と略直交するように配置されており、水様便漏れ防止シートの前後方向への液体の拡散性を阻害する効果に優れる点において好ましい。
【0061】
本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、前記シート材が水壊性シートによって構成されていることが好ましい。「水壊性シート」とは、水に濡れても破れない程度の強度を持っているが、大量の水中では崩壊し、細かく粉砕される性質を有するシート材を意味し、例えば、ウォータージェット法により繊維片を交絡させたスパンレース不織布等を挙げることができる。スパンレース不織布は、水に濡れても破れない程度の強度を持っているが、水洗式トイレに流すと大量の水流中で交絡された繊維片同士がほぐれて崩壊し、細かく粉砕される。このような水壊性シートによってシート材を構成すると、シート材の表面に固形便が排泄された場合でも、その固形便を水壊性シートともにトイレに廃棄することが可能となる。従って、廃棄の際の手間を軽減することができるという利点がある。
【0062】
このように、シート材を水壊性シートによって構成した場合には、水壊性シートのフレーム材によって包囲された領域に、その領域の少なくとも一部を切り取るための環状の切込線を形成しておくことが好ましい。環状の切込線を形成することにより、その切込線を破断して、水壊性シートの少なくとも一部を切り取ることが可能となる。このような構成により、水様便漏れ防止シート本体と便付着部分を簡便に分離することができ、先に述べた廃棄の際の手間がより一層軽減される。
【0063】
「切込線」は、シートの破断を容易にするために形成されるシートを貫通する切れ目を意味し、具体的には、ミシン目の他、「ジッパー」と称される切れ目が鉤形に屈曲した開封用破断線(包装産業の周知・慣用技術集第281頁参照、昭和53年12月20日特許庁発行)等を挙げることができる。このミシン目は2重線状に形成されたミシン目であってもよい。
【0064】
また、「環状」とは、ある領域を区画するように、線が連続的に又は断続的に結ばれた形状を意味し、いくつかの直線及び/又は曲線が連続的に又は断続的に結ばれた形状が含まれる。例えば、略長方形状、略長円形状、長楕円形状、長方形状、菱形状、又は多角形状等を挙げることができる。
【0065】
例えば、図10に示す水様便漏れ防止シート190は、シート材52全体が水壊性シート62によって構成されるとともに、水壊性シート62のフレーム材54によって包囲された領域に、その領域の少なくとも一部を切り取るための環状の切込線64が形成されている例である。この例では、水壊性シート62は開孔66が形成されたパンチングシートとなっており、シート材52の全体が液透過性シート56として構成されている。また、環状の切込線としてはミシン目が採用され、そのミシン目がフレーム材54の内縁に沿って略矩形状に配置されている。
【0066】
また、シート材が水壊性シートによって構成されている場合には、前記水壊性シートは、その縁部に引き剥がし用のタブを有しており、その一方の表面のみが前記フレーム材の表面に貼付されていることが好ましい。このような形態でも、水壊性シートをフレーム材から容易に剥離することができ、先に述べた廃棄の際の手間がより一層軽減される。
【0067】
例えば、図11に示す水様便漏れ防止シート200は、シート材52全体が水壊性シート62によって構成されるとともに、水壊性シート62の縁部に引き剥がし用のタブ108を有しており、その一方の表面のみがフレーム材54の表面に貼付されている例である。この例では、水壊性シート62は開孔66が形成されたパンチングシートとなっており、シート材52の全体が液透過性シート56として構成されている。
【0068】
なお、本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、シート材が1枚のシート材によって構成されている必要はない。具体的には、複数枚のシート材を個別にフレーム材に付設してもよいし、複数枚のシート材を継ぎ合せたり、積層したりしたものを液透過性シートとして使用してもよい。
【0069】
[1−2]フレーム材:
フレーム材は、前記シート材の外縁を包囲するように付設された補強材である。このフレーム材によって、水様便漏れ防止シート全体の強度が確保されるとともに、多様に変形する使い捨ておむつのトップシートの表面側に追従するように水様便漏れ防止シートを付設することが可能となる。
【0070】
フレーム材は、シート材の外縁を包囲するように付設される。この「包囲する」とは、図12に示す水様便漏れ防止シート210のように、シート材52の外縁を完全に包囲するようにフレーム材54が付設されている形態の他、図1に示す水様便漏れ防止シート100のように、シート材52の外縁とフレーム材54の外縁が一致するようにフレーム材54が付設されている形態や、図13に示す水様便漏れ防止シート220、図14に示す水様便漏れ防止シート230のように、シート材52の外縁とフレーム材54の外縁が一致してはいないが、シート材52の外縁に沿ってフレーム材54が付設されている形態をも包含する概念である。通常、矩形状に形成されたシート材を用いることが多いため、フレーム材もその形状に従って矩形状に配置することが好ましい。
【0071】
また、「包囲する」とは、必ずしもフレーム材が全て連続的に構成ないし配置されている必要はなく、図13に示す水様便漏れ防止シート220や図14に示す水様便漏れ防止シート230のように、フレーム材54によって一定の領域が区画形成されている限りにおいて、不連続ないし断続的に構成ないし配置されていてもよい。図13に示す水様便漏れ防止シート220は、矩形状に形成されたシート材52の四辺に沿って4つのフレーム材54が配置されており、矩形の四つの頂点の部分においてフレーム材54が不連続となり、不連続部70を形成している例である。また、図14に示す水様便漏れ防止シート230は、矩形状に形成されたシート材52の四辺に沿ってフレーム材54が略矩形状に配置されており、矩形の2本の長辺の一部においてフレーム材54が不連続となり、不連続部70を形成している例である。
【0072】
なお、図13に示す水様便漏れ防止シート220のように、矩形状に形成されたシート材52の四辺に沿って4つのフレーム材54が配置され、矩形の四つの頂点の部分においてフレーム材54を不連続とし、不連続部70を形成すると、おむつや尿パッド等の立体ギャザーの下面側に水様便漏れ防止シートを収めることが容易となり、ひいては水様便漏れ防止シートの付設が容易となるという利点がある。また、このように立体ギャザーの下面側に水様便漏れ防止シートを挿入した状態で固定すると、おむつ等の着用時に水様便漏れ防止シートのずれが生じ難くなる点においても好ましい。
【0073】
矩形状に形成されたシート材の四辺に沿って矩形枠状のフレーム材を配置し、その4つの頂点部分の一部を切除することも好ましい。例えば、図15に示す水様便漏れ防止シート240は、矩形状に形成されたシート材52の四辺に沿って矩形枠状のフレーム材54を配置し、その4つの頂点部分の一部を切除し、L字状の切り欠き部72を形成した例である。この切り欠き部72によって、おむつ等の立体ギャザーの下面側に水様便漏れ防止シートを収めることが容易となり、ひいては水様便漏れ防止シートの付設が容易となる。また、おむつ等の着用時に水様便漏れ防止シートがずれ難くなるという効果がある。
【0074】
本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、フレーム材は、その表面が前記シート材の少なくとも一方の表面から張り出すように付設され、前記シート材の少なくとも一方の表面と、前記フレーム材の表面との間に、2〜20mmの段差が形成されていることが好ましい。このような範囲内で段差を形成することによって、シート材(ひいては着用者の肌)とおむつのトップシートとの間に一定の空間が形成され、既に述べた本発明の水様便漏れ防止シートの効果が発揮される。一方、段差が2mm未満であると、形成される空間が狭すぎて、効果が不十分となる場合がある。また、20mmを超えると、おむつ等の立体ギャザーの下側に収まり難くなり、おむつ等の立体ギャザーの防漏効果が減殺されるおそれがある。また、着用感、フィット性が低下する場合がある。上記効果を確実に発揮させるためには、段差を5〜10mmとすることがより好ましい。
【0075】
本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、フレーム材は、前記シート材の少なくとも一方の表面から張り出した側の表面が粗面化されたものであることが好ましい。このような構成により、使い捨ておむつのトップシート表面とフレーム材(ひいては水様便漏れ防止シート)との摩擦係数が高くなり、着用者の動作によって水様便漏れ防止シートがおむつの内部でずれてしまう事態を有効に防止することができる。「粗面化」とは、フレーム材の表面が平滑でない状態とすることの全てを含む。例えば、フレーム材の表面に凹凸を付ける、或いはフレーム材の表面を波型とする等の形態を挙げることができる。
【0076】
フレーム材は、上記の機能を確保するため、柔軟である程度コシがある素材によって構成することが好ましい。例えば、フェルト、ウレタンフォーム、エアレイド不織布、ポリエチレン系樹脂等の樹脂、等の材料からなるものを好適に用いることができる。
【0077】
フレーム材は、他の吸収性物品に対して止着させ得るファスニング部材を備えていることが好ましい。ファスニング部材を備えていることによって、おむつや尿パッド等に水様便漏れ防止シートを確実に固定することができ、位置ズレによる水様便の漏れを効果的に防止することができる。前記ファスニング部材としては、例えば、粘着ファスナー、メカニカルファスナー等を挙げることができる。中でも、確実な止着を行うことができ、繰り返し使用にも耐え得るメカニカルファスナーが好ましい。
【0078】
また、本発明の水様便漏れ防止シートは、フレーム材の少なくとも一部を、メカニカルファスナーのフック材によって構成することが好ましい。フック材は樹脂製シートの表面に多数の突起(鉤状、きのこ状、錨状等)が形成された凸部材であり、適度な柔軟性とコシを備えているためフレーム材を構成する素材として好適に用いることができる。また、フック材はループ状の繊維が配置された凹部材(ループ材)や織布、不織布、フェルト、パイル等の繊維状の表面を有する素材からなるシート材に係合させることができ、これらの部材を剥離可能な状態に、かつ、強固に固着させることができる。従って、フレーム材の一部を構成するフック材を使い捨ておむつや尿パッドのトップシート等に係合させることによって、水様便漏れ防止シートがおむつ等の内部でずれてその機能を果たさなくなる事態を有効に防止することができる。
【0079】
既に述べたように、フレーム材はシート材の外縁を包囲するように配置され、シート材が略矩形状に形成されている場合には、フレーム材はシート材の四辺に沿って付設されていることが好ましい。そして、前記のようにフレーム材の少なくとも一部を、メカニカルファスナーのフック材によって構成する場合には、シート材の四辺のうち2本の長辺に沿ってフック材が付設されていることが好ましい。
【0080】
前記のような構成により、水様便漏れ防止シートの長手方向中央部における「よれ」を防止することができ、水様便漏れ防止シートがおむつの内部で捲れてその機能を果たさなくなる事態を有効に防止することができる。例えば、図13に示す水様便漏れ防止シート220は、略矩形状のシート材52の四辺に沿ってフレーム材54を付設し、そのうち2つの長辺に沿ってフック材68を付設した例である。但し、図14に示す水様便漏れ防止シート230のように、略矩形状のシート材52の四辺のうち2つの短辺に沿ってフック材68を付設した場合でも、水様便漏れ防止シートをおむつや尿パッドのトップシート等に係合させることができ、水様便漏れ防止シートのおむつ等の内部での「ずれ」を防止することが可能である。
【0081】
また、本発明の水様便漏れ防止シートは、フレーム材として、シート材の外縁を包囲するように付設されるもの以外のフレーム材を備えるものであってもよい。シート材が略矩形状に形成され、フレーム材として、シート材の四辺に沿って付設される外縁フレーム材と、四辺のうち2本の長辺に沿って配置された外縁フレーム材同士を連絡するように架け渡された架橋フレーム材とを備え、外縁フレーム材によって包囲された領域が、架橋フレーム材によって2つの領域に分割されているものが好ましい。
【0082】
例えば、図2に示す水様便漏れ防止シート110は、シート材52が矩形状に形成され、フレーム材54として、シート材の四辺に沿って付設される矩形枠状の外縁フレーム材54aと、四辺のうち2本の長辺に沿って配置された外縁フレーム材54aの中央部同士を連絡するように架け渡された架橋フレーム材54bとを備えている。そして、外縁フレーム材54aによって包囲された矩形状の領域が、架橋フレーム材54bによって2つの領域に分割されている例である。
【0083】
前記のような構成は、シート材が2つの領域に区分されているため、一方の領域にのみ液透過性シートを配置し、他方の領域には別の機能を備えたシート材を配置することが可能となる。従って、本発明の水様便漏れ防止シートにおいては、前記2つの領域のうち、一方の領域に前記液透過性シートが配置され、他方の領域には液不透過性シート又は撥水性シートが配置されていることが更に好ましい。
【0084】
例えば、図2に示す水様便漏れ防止シート110は、シート材52が架橋フレーム材54bの部分で2つの領域に分割されており、図面上側の領域にのみ液透過性シート56を配置し、図面下側の領域には撥水性シート60を配置した例である。このような水様便漏れ防止シートを、液透過性シートを配置した領域をおむつの後側、液不透過性シート又は撥水性シートを配置した領域をおむつの前側となるように配置すれば、着用者の臀部側では排泄された水様便が水様便漏れ防止シートを通過してトップシートと水様便漏れ防止シートの間の空間に流入する一方で、着用者の腹側ではシートを浸透して水様便が逆戻りし難い。従って、水様便が男性器、女性器に付着する事態を有効に防止することができ、非常に衛生的である。
【0085】
なお、図2に示す水様便漏れ防止シート110では、架橋フレーム材54bの部分で液透過性シート56と撥水性シート60とを区分しているが、架橋フレーム材の部分以外の部分で、液透過性シートと液不透過性シート又は撥水性シートとが区分されていても同様の効果を得ることができる。即ち、架橋フレーム材の位置と、液透過性シートと液不透過性シート等との分割位置がずれているものも、本発明の範囲に含まれる。
【0086】
更に、本発明の水様便漏れ防止シートは、前記シート材が略矩形状に形成され、前記フレーム材が前記シート材の四辺に沿って配置され、前記フレーム材のうち前記シート材の2本の長辺に沿って配置された部分の長手方向中央部に、フレーム材を横切るように凹溝ないし弱め線が形成されたものであることが好ましい。
【0087】
このような構成とすることにより、販売時には水様便漏れ防止シートを2つ折りにしてコンパクトな状態で包装することが可能となり、使用時には使用者がフレーム材を下にして水様便漏れ防止シートを広げるため、誤ってフレーム材が張り出した側の表面を上にして水様便漏れ防止シートを付設してしまう事態を有効に防止することができる。
【0088】
凹溝の形状はシートの折り曲げを容易とする形状であれば特に制限されないが、その断面が半円状、三角形状、四角形状等の形状を挙げることができる。例えば、図16に示す水様便漏れ防止シート250は、シート材52が略矩形状に形成され、フレーム材54がシート材52の四辺に沿って配置されたものであり、フレーム材54のうちシート材52の2本の長辺に沿って配置された部分の長手方向中央部に、フレーム材54を横切るように断面が三角形状の凹溝74が形成された例である。
【0089】
[1−3]その他:
本発明の水様便漏れ防止シートには、シート材の端縁に沿って、立体ギャザーを付設してもよい。このような構成により、万が一、水様便漏れ防止シートの表面を伝って水様便が拡散してしまった場合でも、立体ギャザーが防波堤となり、おむつの端部(特に背側の端部)からの漏れを有効に防止することができる。
【0090】
立体ギャザーは、着用者の排泄物の漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、シート材の一部に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
【0091】
[2]吸収性物品:
本発明の吸収性物品は、吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備え、前記トップシートの表面側に、本発明の水様便漏れ防止シートが付設されたものである。
【0092】
本発明の吸収性物品は、本発明の水様便漏れ防止シートが付設されている点に特徴があり、吸収性物品の本体の構造は前記吸収体、前記トップシート、前記バックシートを備えている限り、特に制限されるものではない。例えば、テープ型の使い捨ておむつであってもよいし、パンツ型の使い捨ておむつであってもよい。また、パンツ型使い捨ておむつの場合には、それが1ピースタイプのものであってもよいし、2ピースタイプのものであってもよい。更には、使い捨ておむつに限らず、尿パッド等であってもよい。
【0093】
なお、「テープ型使い捨ておむつ」とは、例えば、図17に示すテープ型使い捨ておむつ1のように、吸収体22と、吸収体22の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体22の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えるとともに、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成されており、後身頃6の左右の各側縁6a,6b(サイドフラップ8の側縁)から延出するように配置され、前身頃2と後身頃6とを固定するための止着テープ10を更に備え、止着テープ10によっておむつの前身頃と後身頃とを相互に固定し得る使い捨ておむつを意味するものとする。図示のテープ型使い捨ておむつ1は、ファスナー44として、メカニカルファスナーを備えており、止着テープ10の先端側領域にメカニカルファスナーのフック材44aが、おむつの前身頃2の部分にフロントパッチ12としてメカニカルファスナーのループ材44bが配置されている。
【0094】
また、「パンツ型使い捨ておむつ」とは、前身頃と後身頃の対応する側縁部同士を接合することによって、一つのウエスト周り開口部及び一対の脚周り開口部が形成され、予めパンツ型に構成されたおむつを意味するものとする。
【0095】
更に、「1ピースタイプ」とは、例えば、図17に示すテープ型使い捨ておむつ1のように、トップシート18、バックシート20、吸収体22を備えているが、吸収・保持機能を担う吸収体22がトップシート18とバックシート20の間に介装(内蔵)され、装着機能を担うトップシート18及び/又はバックシート20と一体的に構成されたタイプのおむつを意味するものとする。
【0096】
一方、「2ピースタイプ」とは、着用者の排泄物を吸収し、保持する機能(吸収・保持機能)を担う吸収性本体と、着用者の身体を被包する機能(装着機能)を担う外装部材とから構成され、外装部材の内側に吸収性本体が配置されたタイプのおむつを意味するものとする。ここで「吸収性本体」とは、吸収体、トップシート及びバックシートを構成要素として備えた部材である。
【0097】
図17は、本発明の吸収性物品の例を示す図であり。テープ型使い捨ておむつ1に、本発明の水様便漏れ防止シートを付設した例である。テープ型使い捨ておむつ1の股下部4から後身頃6の部分にかけて、水様便漏れ防止シート100が付設されており、立体ギャザー26(26a,26b)の下側に挟み込まれるようにして、水様便漏れ防止シート100が固定されたものである。なお、この図において、符号36,36a,36bは「立体ギャザー伸縮材」を、符号40は「脚周り伸縮材」を、符号42は「ウエスト周り伸縮材」を示している。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の水様便漏れ防止シート及び使い捨ておむつは、乳幼児用、或いは介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用の使い捨ておむつ及びその補助部材として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の水様便漏れ防止シートの一の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図2】本発明の水様便漏れ防止シートの別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図3】本発明の水様便漏れ防止シートの更に別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図4】本発明の水様便漏れ防止シートの更にまた別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図5】本発明の水様便漏れ防止シートの一の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図6】本発明の水様便漏れ防止シートの別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図7】本発明の水様便漏れ防止シートの更に別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図8】本発明の水様便漏れ防止シートの更にまた別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図9】本発明の水様便漏れ防止シートの一の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図10】本発明の水様便漏れ防止シートの別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図11】本発明の水様便漏れ防止シートの更に別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図12】本発明の水様便漏れ防止シートの更にまた別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図13】本発明の水様便漏れ防止シートの実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き底面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図14】本発明の水様便漏れ防止シートの別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き底面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図15】本発明の水様便漏れ防止シートの更に別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートのA−A’断面を示す断面図である。
【図16】本発明の水様便漏れ防止シートの更にまた別の実施形態を示す図であり、(a)図は、水様便漏れ防止シートの一部切り欠き上面図であり、(b)図は、(a)図に示す水様便漏れ防止シートの側面図である。
【図17】本発明の吸収性物品の実施形態を示す図であり、本発明の水様便漏れ防止シートが付設された使い捨ておむつを示す上面図である。
【符号の説明】
【0100】
1:テープ型使い捨ておむつ、2:前身頃、4:股下部、6:後身頃、6a,6b:側縁、8:サイドフラップ、10:止着テープ、12:フロントパッチ、18:トップシート、20:バックシート、22:吸収体、26,26a,26b:立体ギャザー、36,36a,36b:立体ギャザー伸縮材、40:脚周り伸縮材、42:ウエスト周り伸縮材、44:ファスナー、44a:フック材、44b:ループ材、100,110,120,130,140,150,160,170,180,190,200,210,220,230,240,250:水様便漏れ防止シート、52:シート材、54:フレーム材、54a:外縁フレーム材、54b:架橋フレーム材、56:液透過性シート、58:空間、60:撥水性シート、62:水壊性シート、64:切込線、66:開孔、68:フック材、70:不連続部、72:切り欠き部、74:凹溝、82:凸部、84,88,92,96,102,106:起伏シート、86:凹部、90:畝、94:溝、98:波型面、104:皺、108:タブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材と、前記シート材の外縁を包囲するように付設されたフレーム材とを備え、
前記シート材の少なくとも一部が、液透過性シートによって構成されている水様便漏れ防止シート。
【請求項2】
前記液透過性シートが、エアスルー不織布からなる不織布シートによって構成されている請求項1に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項3】
前記液透過性シートが、開孔が形成されたパンチングシート又はメッシュシートによって構成されている請求項1又は2に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項4】
前記シート材の少なくとも一部が、その表面に複数の起伏が形成された起伏シートによって構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項5】
前記シート材の少なくとも一部が、その表面に複数の凸部及び/又は凹部が形成された起伏シートによって構成されるとともに、
前記起伏が、水様便漏れ防止シートの前後方向と交差する方向に向かって配置されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項6】
前記シート材が水壊性シートによって構成されるとともに、
前記水壊性シートの前記フレーム材によって包囲された領域に、前記領域の少なくとも一部を切り取るための環状の切込線が形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項7】
前記シート材が水壊性シートによって構成されるとともに、前記水壊性シートはその縁部に引き剥がし用のタブを有しており、その一方の表面のみが前記フレーム材の表面に貼付されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項8】
前記フレーム材は、その表面が前記シート材の少なくとも一方の表面から張り出すように付設され、前記シート材の少なくとも一方の表面と、前記フレーム材の表面との間に、2〜20mmの段差が形成されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項9】
前記フレーム材は、前記シート材の少なくとも一方の表面から張り出した側の表面が粗面化されたものである請求項1〜8のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項10】
他の吸収性物品に対して止着させ得るファスニング部材を有している請求項1〜9のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項11】
前記フレーム材の少なくとも一部が、メカニカルファスナーのフック材によって構成されている請求項1〜10のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項12】
前記シート材が略矩形状に形成され、
前記フレーム材が前記シート材の四辺に沿って付設され、前記四辺のうち2本の長辺に沿って前記フック材が付設されている請求項11に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項13】
前記シート材が略矩形状に形成され、
前記フレーム材として、前記シート材の四辺に沿って付設される外縁フレーム材と、前記四辺のうち2本の長辺に沿って配置された外縁フレーム材同士を連絡するように架け渡された架橋フレーム材とを備え、
前記外縁フレーム材によって包囲された領域が、前記架橋フレーム材によって2つの領域に分割されている請求項1〜12のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項14】
前記2つの領域のうち、一方の領域に前記液透過性シートが配置され、他方の領域には液不透過性シート又は撥水性シートが配置されている請求項13に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項15】
前記シート材が略矩形状に形成され、前記フレーム材が前記シート材の四辺に沿って配置され、
前記フレーム材のうち前記シート材の2本の長辺に沿って配置された部分の長手方向中央部に、前記フレーム材を横切るように凹溝ないし弱め線が形成されたものである請求項1〜14のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項16】
吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備え、
前記トップシートの表面側に、請求項1〜15のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シートが付設された吸収性物品。
【請求項1】
シート材と、前記シート材の外縁を包囲するように付設されたフレーム材とを備え、
前記シート材の少なくとも一部が、液透過性シートによって構成されている水様便漏れ防止シート。
【請求項2】
前記液透過性シートが、エアスルー不織布からなる不織布シートによって構成されている請求項1に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項3】
前記液透過性シートが、開孔が形成されたパンチングシート又はメッシュシートによって構成されている請求項1又は2に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項4】
前記シート材の少なくとも一部が、その表面に複数の起伏が形成された起伏シートによって構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項5】
前記シート材の少なくとも一部が、その表面に複数の凸部及び/又は凹部が形成された起伏シートによって構成されるとともに、
前記起伏が、水様便漏れ防止シートの前後方向と交差する方向に向かって配置されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項6】
前記シート材が水壊性シートによって構成されるとともに、
前記水壊性シートの前記フレーム材によって包囲された領域に、前記領域の少なくとも一部を切り取るための環状の切込線が形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項7】
前記シート材が水壊性シートによって構成されるとともに、前記水壊性シートはその縁部に引き剥がし用のタブを有しており、その一方の表面のみが前記フレーム材の表面に貼付されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項8】
前記フレーム材は、その表面が前記シート材の少なくとも一方の表面から張り出すように付設され、前記シート材の少なくとも一方の表面と、前記フレーム材の表面との間に、2〜20mmの段差が形成されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項9】
前記フレーム材は、前記シート材の少なくとも一方の表面から張り出した側の表面が粗面化されたものである請求項1〜8のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項10】
他の吸収性物品に対して止着させ得るファスニング部材を有している請求項1〜9のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項11】
前記フレーム材の少なくとも一部が、メカニカルファスナーのフック材によって構成されている請求項1〜10のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項12】
前記シート材が略矩形状に形成され、
前記フレーム材が前記シート材の四辺に沿って付設され、前記四辺のうち2本の長辺に沿って前記フック材が付設されている請求項11に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項13】
前記シート材が略矩形状に形成され、
前記フレーム材として、前記シート材の四辺に沿って付設される外縁フレーム材と、前記四辺のうち2本の長辺に沿って配置された外縁フレーム材同士を連絡するように架け渡された架橋フレーム材とを備え、
前記外縁フレーム材によって包囲された領域が、前記架橋フレーム材によって2つの領域に分割されている請求項1〜12のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項14】
前記2つの領域のうち、一方の領域に前記液透過性シートが配置され、他方の領域には液不透過性シート又は撥水性シートが配置されている請求項13に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項15】
前記シート材が略矩形状に形成され、前記フレーム材が前記シート材の四辺に沿って配置され、
前記フレーム材のうち前記シート材の2本の長辺に沿って配置された部分の長手方向中央部に、前記フレーム材を横切るように凹溝ないし弱め線が形成されたものである請求項1〜14のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シート。
【請求項16】
吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備え、
前記トップシートの表面側に、請求項1〜15のいずれか一項に記載の水様便漏れ防止シートが付設された吸収性物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−220524(P2008−220524A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60838(P2007−60838)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】
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