説明

水槽

【課題】水槽内からの組み立て作業を必要とせずに製造可能な水槽を提供すること。
【解決手段】少なくとも底板部材と、2つの側板部材と、対向する2枚の板状体とからなり、底板部材及び側板部材が連結され、底板部材及び側板部材に設けられた2本の凹溝にそれぞれ板状体が挿入されていることを特徴とする水槽。前記水槽において、前記対向する2枚の板状体の周縁部と、底板部材及び/又は側板部材とが、スペーサ枠材に接着されていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水槽に関する。
【背景技術】
【0002】
水槽の作製には、板状体同士を1液型又は2液型重合型接着剤で接着したり、アクリル板状体を使用する場合には、接着部分を溶剤で溶解膨潤させてから締め付けて、乾燥固化させる膨潤接着法が使用されている。このような方法で水槽を作製する場合、水槽内部からの組み立て作業、例えば、接着、補強、シーリング等が必要であり、内部からの作業が困難な薄型の水槽は、漏水の問題があるために製造が困難であった。
【0003】
特許文献1には、図13に示すように、合成樹脂等からなる底板101の前後左右の辺縁部に形成された各溝(不図示)に、シリコン等の接着シール剤を注入してから、合成樹脂製又はガラス製の側壁板102、102、103、103の各下端を嵌着し、互いに隣接関係にある側壁板102、103の4つのコーナー部に断面形状がL系の4つの縦枠104を外側からそれぞれにあてがった状態で、合成樹脂等の四角形の天枠105を側壁板102、102、103、103の各上端に嵌着し、内側から各コーナー部にシリコン等の接着シール剤を塗布して水密に構成する方法が開示されている。
また、特許文献2には、薄型の水槽が記載されているものの、具体的な水槽の水密構造については開示されていない。
【0004】
【特許文献1】特開2002−115号公報
【特許文献2】特開平11−103716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の水槽は、水槽内部から接着シール剤を塗布する必要があり、内部からの組み立て作業が困難な薄型水槽の製造には使用することができない。特に、水槽の高さが高い場合、水槽に液体を入れた場合に大きな水圧がかかるため、水密性を付与することが困難であった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、水槽内からの組み立て作業を必要とせずに製造可能な水槽を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は下記の<1>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>から<4>とともに以下に記載する。
<1> 少なくとも底板部材と、2つの側板部材と、対向する2枚の板状体とからなり、底板部材及び側板部材が連結され、底板部材及び側板部材に設けられた2本の凹溝にそれぞれ板状体が挿入されていることを特徴とする水槽、
<2> 前記対向する2枚の板状体の周縁部と、底板部材及び/又は側板部材とが、スペーサ枠材に接着されている、上記<1>に記載の水槽、
<3> 前記凹溝に挿入された板状体が、シリコン系接着剤により固定されている上記<1>又は上記<2>に記載の水槽、
<4> 前記凹溝の底面と、板状体との間に間隔を有する、上記<1>〜上記<3>いずれか1つに記載の水槽。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水槽内からの組み立て作業を必要とせずに製造可能な水槽を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
<水槽>
本発明の水槽は、少なくとも底板部材と、2つの側板部材と、対向する2枚の板状体とからなり、底板部材及び側板部材が連結され、底板部材及び側板部材に設けられた2本の凹溝に板状体が挿入されていることを特徴とする。
なお、以下の説明において、水槽の前後とは、対向する2枚の板状体の一方を前、他方を後とするものであり、水槽の左右とは、2つの側板部材間の方向を意味する。
【0009】
本発明において、「水槽」とは、水等の液体を収容する容器を意味し、収容する液体は水に限定されるものではなく、いずれの液体を選択することもできる。これらの中で、収容する液体としては、水又は水性の液体並びにこれらの混合物が好ましい。水性の液体としては、ポリグリセリン、グリセロール、グリコール等が例示できる。また、収容する液体は、防腐剤、防かび剤等を含有してもよいし、着色されていてもよい。水を入れる場合、純水や硬度10以下の軟水を用いると、水中のミネラルの結晶化によるガラスや水槽汚染が防止できて特に好ましい。
【0010】
以下、図を参照しながら、本発明の水槽について詳述する。
図1は、本発明の水槽の一実施態様を示す組み立て斜視図である。
図1において、水槽1は、底板部材2と、2つの側板部材3、3と、対向する2枚の板状体4、4とからなり、また、底板部材2と、側板部材3、3が連結される。
底板部材2には、板状体4、4を挿入するための2つの凹溝12、12が設けられている。また2つの側板部材3には、それぞれ板状体4、4を挿入するための2つの凹溝13、13が設けられている。
【0011】
図1において、対向する2枚の板状体4、4の下部周縁部と底板部材2は、スペーサ枠材22を介して接着される。また、対向する2枚の板状体4、4の左右の周縁部と側板部材3、3は、スペーサ枠材23、23を介して接着される。
【0012】
本発明の水槽の大きさは、適宜選択することができるが、特に薄型の水槽に好適である。本発明の水槽は、従来の水槽のように、水槽内部に人の手を入れての組み立て作業なしに製造することができるので、内部からの組み立て作業が困難な薄型の水槽に好適である。なお、組み立て作業とは、接着作業や、補強作業、シーリング作業等、水槽の製造時に必要とされる作業を広く意味するものである。
【0013】
本発明の水槽は、水槽外部の前後長さ(外部奥行き、図1において、aで表す。)は30mm以上であることが好ましく、より好ましくは50mm以上であり、さらに好ましくは60mm以上である。また、外部奥行きは、300mm以下であることが好ましく、より好ましくは150mm以下であり、さらに好ましくは120mm以下である。
また、対向する2枚の板状体間の長さ(水槽内部の前後長さ(内部奥行き)、図1において、bで表す。)は、20mm以上であることが好ましく、より好ましくは30mm以上であり、さらに好ましくは40mm以上である。また、275mm以下であることが好ましく、より好ましくは125mm以下であり、さらに好ましくは100mm以下である。
従来、上記のような薄型水槽は、内部からシーリング等を行うことが困難であることから、十分な水密性を得ることができなかった。本発明の水槽は、内部からの組み立て作業なしに十分な水密性を得ることができるので、このような薄型の水槽に特に好適である。
【0014】
本発明の水槽の左右の外部長さ(外部幅、図1において、cで表す。)は、特に限定されず、いずれの大きさとすることもできるが、300〜3,600mmであることが好ましく、より好ましくは600〜1,500mmである。
水槽の左右の外部長さが上記範囲内であると、十分な水密性を得ることができるので好ましい。
【0015】
また、本発明の水槽の上下方向の長さ(高さ)は特に限定されず、いずれの大きさとすることができるが、本発明の水槽は、特に水槽外部の上下方向の長さ(外部高さ、図1において、dで表す。)が300mm以上の水槽に好適に使用することができる。
水槽の上下方向の外部長さ(外部高さ)は、300〜1,600mmであることが好ましく、より好ましくは500〜1,200mmである。
従来、水槽の上下方向の長さが300mm以上であると、水圧が高くなり、十分な水密性を得ることができなかった。本発明の水槽は、水密性が高く、上下方向の長さが300mm以上の水槽にも好適に使用することができる。
【0016】
本発明の水槽内部のアスペクト比、すなわち、(水槽内部の上下方向の長さ):(水槽内部の前後方向の長さ)((内部高さ):(内部奥行き))は、1,800:10〜300:100(180〜3)が好ましく、1,200:20〜600:80がより好ましく、1,200:30〜600:70がさらに好ましい。
アスペクト比が大きな水槽、すなわち、薄型の水槽は、上述の通り水槽内部からの作業が困難であり、従来の方法では水密性の高い水槽を得ることが困難であった。本発明の水槽は、上記のアスペクト比を有する水槽に特に好適である。
【0017】
以下、水槽を構成する部材について詳述する。
<底板部材及び側板部材>
本発明において、底板部材及び側板部材は、板状体を挿入するための2本の凹溝を有する。なお、底板部材は左右方向に2本の凹溝を有し、側板部材は、上下方向に2本の凹溝を有する。
2本の凹溝は、求められる水槽の形状に応じて、適宜底板部材及び側板部材に設けられていればよい。例えば、底板部材には2本の平行な凹溝を設け、2つの側板部材には、それぞれ上部に従って凹溝間が広くなる逆ハ字形の2本の凹溝を設けることにより、上部に向けて断面積の広くなる水槽とすることもできる。
水槽の水密性を考慮すれば、2本の凹溝は略平行に設けることが好ましい。ここで、略平行とは、完全に平行である場合(2本の凹溝のなす角が0°)のみではなく、2本の凹溝のなす角が20°以下を意味する。2本の凹溝のなす角は10°以下であることが好ましく、2本の凹溝のなす角が0°、すなわち2本の凹溝が平行であることが特に好ましい。
【0018】
底板部材及び側板部材の材質は特に限定されないが、強度及び耐水性に優れ、また、加工性に優れる材質であることが好ましい。底板部材及び側板部材は、強度に優れる材質であることが好ましいことから、板状体よりも強度の高い材質であることが好ましい。後述するように、板状体としてはガラスが好ましく、底板部材及び側板部材は、ガラスよりも強度の高い材質であることが好ましい。
底板部材及び側板部材の材質としては、金属、樹脂が好ましく例示でき、加工性に優れることから、樹脂製であることがより好ましい。樹脂としては、アクリル樹脂が例示でき、ポリメタクリル酸メチル樹脂であることが好ましい。また、繊維強化プラスチック(FRP)を使用することもできる。金属のうちアルミニウムは加工がしやすく、特に好ましい。
【0019】
以下、図2及び図3を参照して、底板部材及び側板部材に設けられた凹溝について説明する。
図2は、底板部材及び/又は側板部材の一実施態様を示す断面図である。図2は、底板部材及び/又は側板部材に設けられた凹溝と直行する方向の断面図である。図1を参照すれば、底板部材2のX−X断面及び/又は側板部材3のY−Y断面を表す。
図2(a)に示すように、底板部材2及び側板部材3の凹溝12/13は、底板部材基板32及び側板部材基板33に切り欠き30を形成することによって設けてもよいし、図2(b)に示すように、底板部材基板32及び側板部材基板33に、断面上向きコ字形の凹溝形成部材34を2つ設けることによって形成されていてもよい。
底板部材及び側板部材の作製方法は特に限定されず、底板部材基板を所望の形状に切削して形成してもよいし、凹溝形成部材34を底板部材基板32又は側板部材基板33に固着させることによって形成してもよく、また、射出成形により作製してもよい。
なお、射出成形により底板部材及び側板部材を作製する際には、板状体を挿入する面と対向する面にも凹溝を設けた形状、すなわち断面形状が対称な形状とすることが好ましい。射出成形の場合には、溶融した樹脂(例えばアクリル樹脂)を金型に入れて、これを固化させるが、固化に伴う体積収縮により、歪みを生じる場合がある。断面が対称な形状とすることにより、歪みを緩和することができるので、板状体を挿入する面と対向する面にも凹溝を設けることが好ましい。
【0020】
凹溝は、図2(a)に示すように、底板部材基板及び側板部材基板に切り欠きを設けることによって形成されていることが好ましい。切り欠きを設けることにより形成されていると、得られる水槽の強度が高く、また、底板部材及び側板部材の加工が容易であるので好ましい。
さらに切り欠きを設けることによって形成されていると、スペーサ枠材を介して板状体の周縁部と底板部材及び/又は側板部材とを容易に接着することができるので好ましい。図2(b)に示す底板部材及び側板部材では、スペーサ枠材を介して板状体の周縁部と側板部材及び/又は側板部材とを接着する場合、十分な接着面積を得るためには、スペーサ枠材の形状を複雑にすることが求められる。
【0021】
図3は、凹溝が設けられた底板部材及び/又は側板部材の一実施態様を示す断面図である。図1を参照すれば、底板部材2のX−X断面及び/又は側板部材3のY−Y断面を表す。図3には、本発明で好適に使用される凹溝の断面形状が示されている。なお、凹溝の断面形状は、板状体を挿入可能であればこれに限定されるものではない。
図3(a)では、凹溝の断面形状は矩形である。好ましい凹溝の幅(図3のf)及び凹溝の深さ(図3のg)は、後述する。
また、図3(b)では、凹溝の断面形状は、水槽内側の側壁が、凹溝上部に向けて水槽内側に傾斜を有している。図3(c)では、凹溝の断面形状は、水槽外側の側面が凹溝上部に向けて水槽内側に傾斜を有している。
なお、凹溝の断面形状はこれに限定されるものではなく、凹溝が上部に向かって広くなる等脚台形であってもよく、これとは逆に、凹溝が下部に向かって広くなる等脚台形であってもよい。
【0022】
底板部材及び側板部材に設けられた凹溝の最小幅(図3のf)は特に限定されないが、凹溝に板状体を挿入する観点から、板状体の厚みよりも広い幅とする。凹溝の幅と板状体の厚みとの差は、0.01〜40mmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜20mmであり、さらに好ましくは1〜10mmである。
板状体の厚みと凹溝の幅との差が上記範囲内であると、良好な水密性が得られるとともに、強度に優れるので好ましい。
【0023】
凹溝の深さ(図3のg)は作製する水槽に求められる強度に応じて、適宜選択することができる。水槽の寸法が大きい場合には、これに液体を入れた場合にかかる水圧が高くなるので、凹溝の深さを深くすることが好ましい。一般的には、凹溝の深さが、1〜50mmであることが好ましく、3〜40mmであることがより好ましく、5〜30mmであることがさらに好ましい。
なお、凹溝の深さを深くすると、水密性及び強度は向上するが、底板部材及び側板部材の厚み(図3におけるh)が大きくなり、また、同じ外寸を有する水槽の場合には、視認可能な面積が小さくなる。
凹溝の深さが上記範囲内であると、強度及び水密性に優れ、また底板部材及び側板部材の厚みを好適な範囲とすることができるので好ましい。
【0024】
<板状体>
本発明の水槽は、2枚の板状体が対向して配されている。
板状体の少なくとも一方は透明又は半透明であり、外部から水槽内部が視認可能であることが好ましく、少なくとも一方が透明であることがより好ましく、両方が透明な板状体であることがさらに好ましい。ここで、透明であるとは、可視領域における光の透過率(透光率)が90%以上のことを意味し、95%以上であることがより好ましい。
なお、本発明において、板状体を着色された透明着色板状体とすることもできるし、板状体に模様が付されていてもよい。また、板状体の周縁部にのみ模様を付したり、着色することもできる。
【0025】
2枚の板状体の厚み(板状体の前後方向の長さ)は、それぞれ、1〜10mmであることが好ましく、より好ましくは3〜8mmであり、さらに好ましくは4〜7mmである。
板状体の厚みが上記範囲内であると、強度に優れ、かつ、水槽全体としての前後方向の長さを小さくすることができ、薄型の水槽とすることができるので好ましい。
【0026】
本発明において、板状体の材質は特に限定されるものではないが、必要とされる強度や性能(透視性、透光性)により、適宜選択することが好ましい。
板状体の材質としては、無機ガラス、有機ガラスが例示でき、有機ガラスとしてはアクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂等)及びポリカーボネート樹脂が例示できる。また、無機ガラスとしては、一般的な無機ガラスのほか、強化ガラスを併用することも好ましい。さらに、有機ガラス及び/又は無機ガラスを複数枚積層した、合わせガラスを使用することもでき、例えば、合わせガラスとしては無機ガラスの間に樹脂製の中間膜を挟んで接着したものが例示できる。
本発明の水槽は特に薄型の水槽に好適であり、この場合には板状体の厚みを薄くすることが肝要である。また、板状体表面に傷が生じにくい(耐傷性)であることが好ましい。これらの観点から、板状体としては、無機ガラスが特に好適である。
【0027】
また、板状体の表面(いずれかの面、又は両面、好ましくは外表面)に飛散防止フィルムを貼付することも好ましい。飛散防止フィルムを貼付することにより、板状体破損時の安全性を向上させることができ、また、板状体の強度を向上させることができるので好ましい。特に、飛散防止フィルムを貼付することにより、人体や物が板状体へ衝突した際や、地震等のガラスの歪みによって板状体が破損した場合に、板状体の破片による被害を少なくすることができるので好ましい。飛散防止フィルムとしては、ポリエステルフィルム又はポリ塩化ビニルフィルムに感圧粘着剤を塗布したものが例示でき、ポリエステルフィルムがより好ましい。また、飛散防止フィルムの外表面にさらにハードコート処理を行ってもよい。
各種の飛散防止フィルムが上市されており、具体的には、CLM−2HC、CLM−2X(三晶(株)製)が例示でき、CLM−2HC(ハードコート処理フィルム)が特に好ましい。
【0028】
<板状体の底板部材及び側板部材の凹溝への挿入>
本発明において、板状体は底板部材及び側板部材に設けられた凹溝に挿入され、また、挿入された状態で水密に固定される。板状体を凹溝に固定する方法は特に限定されず、凹溝に接着剤を注入して板状体を固定する方法や、板状体又は凹溝内面に両面テープを貼付し、板状体を固定する方法が例示できる。また、これらを組み合わせることもでき、例えば凹溝内壁の水槽外側面と、板状体とを両面テープで接着したのち、凹溝にシリコン系接着剤を注入する方法が例示できる。
【0029】
これらの中でも、凹溝に接着剤を注入して板状体を固定する方法が好ましい。接着剤の注入は、板状体の挿入前に行ってもよいし、板状体を凹溝に挿入した後、接着剤を注入してもよい。
【0030】
前記接着剤としては、板状体を水密に固定することができるものであれば特に限定されないが、シリコン系接着剤及びブチルゴムが好ましく例示でき、より好ましくはシリコン系接着剤である。シリコン系接着剤は水密に板状体を固定することができるので好ましい。なお、水槽に液体を入れると、水圧等により板状体に変形を生じる場合があるので、接着剤は弾性を有することが好ましく、底板部材及び側板部材よりも弾性の大きい材質とすることが好ましい。
シリコン系接着剤は上市されており、例えば、バスコーク、セメダインスーパーX、セメダインEP001(いずれもセメダイン社製)が例示できる。
【0031】
また、注入した接着剤に気泡が混入することを防ぐために、凹溝への注入時の粘度を低くすることも好ましい。具体的には、注入時にあらかじめ接着剤を加温しておく方法や、高温下で凹溝に注入する方法、接着剤に少量の揮発性溶媒を添加して粘度を調整する方法が例示できる。
また、注入時又は注入後に減圧処理により接着剤中の気泡を除去することも好ましい。具体的には、真空脱泡装置を使用する方法が例示できる。
さらに、接着剤に超音波振動を付与して脱気する方法も使用することができる。
【0032】
板状体を凹溝に固定する際の好ましい実施態様を、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、板状体を挿入されて固定された凹溝の断面を示す。図1を参照すれば、板状体4が挿入された底板部材2のX−X断面及び/又は板状体4が挿入された側板部材3のY−Y断面を表す。図4(a)及び図4(b)では、矩形の凹溝に板状体が挿入され、固定されている。また、図4(c)及び図4(d)では、凹溝の内側面の一面が垂直であり、他面が傾斜を有しており、該凹溝に板状体が挿入されて固定されている。
ここで、図4において、「IN」は、水槽内側を示し、「OUT」は、水槽外側を示す。
【0033】
本発明において、板状体4の端面40と底板部材2に設けられた凹溝12の底面42、及び、板状体4の端面40と側板部材3に設けられた凹溝13の底面43とは、直接接していないことが好ましい。すなわち、板状体4の端面40と、凹溝の底面42又は43との間に間隔を有することが好ましい。
板状体の端面と凹溝の底面との間に間隔を有し、さらに該間隔が固着されていることが好ましく、板状体の端面と凹溝の底面が接着剤45により固定されていることがより好ましい。
【0034】
板状体の端面と凹溝の底面との間に間隔を設けるために、凹溝の底面の一部に、突起を設けることが好ましい。図5は、突起を設けた凹溝を示す部分斜視図である。底板部材2又は側板部材3に設けられた凹溝12又は13の底面42又は43に2以上の突起50を設けることが、安定的に凹溝の底面と板状体の端面の間に間隔を保持させることができるので好ましい。突起50の高さは、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
なお、板状体の端面と凹溝の底面との間に間隔を設けることができればよく、凹溝の底面に突起を設ける態様に何ら限定されるものではない。例えば、球状や矩形の部材を凹溝に入れた後、板状体を挿入する態様であってもよい。また、板状体を溝の中で浮かせた状態で、接着剤で固めてもよい。
【0035】
板状体の端面と凹溝の底面との間に間隔を有し、ここに接着剤が存在すると、水密性が向上するので好ましい。
本発明者らは、鋭意検討した結果、水槽内からの水漏れは、板状体、底板部材、側板部材の壁面に沿って生じることを見出した。板状体の端面と凹溝の底面との間に間隔を有し、接着剤が存在すると、板状体下部の連続した2面以上を固着することができる。このように連続した2面以上を固着すると、高い水密性が得られるので好ましい。連続した3面を固着すると、さらに高い水密性を得ることができるので好ましい。
凹溝が矩形である場合、図4(b)においては、水槽内側から水槽外側に向けて2つの連続する面(A、B)が接着剤45により固着されている。一方、図4(a)においては、水槽内側から水槽外側に向けて、連続する3つの面(A、B、C)が接着剤45により固着されている。図4(a)に示すように連続する3つの面を接着剤により固着すると、より水密性を高くすることができる。B端面の接着剤量は非常に薄くても効果的である。
また、図4(c)及び図4(d)においても、連続する2つの面(図4(c)ではB、C、図4(d)ではA、B)が接着剤45により固着されている
【0036】
また、水槽内に液体を入れると、水槽外へ水圧が生じる。図4(b)及び図4(d)に示すように、凹溝内の水槽外側側面が鉛直に形成されている場合には、水槽外側に板状体が接するように板状体を挿入することも好ましい。凹溝内の水槽外側の内壁が板状体を支持し、水密性が高く、強度に優れるので好ましい。
また、図4(c)に示すように板状体を挿入すると、水圧で接着剤が水槽外側にずれることが抑制できるので好ましい。
【0037】
<スペーサ枠材>
本発明において、板状体の周縁部には、スペーサ枠材が設けられていることが好ましく、スペーサ枠材と板状体、並びに、スペーサ枠材と底板部材及び/又は側板部材とが接着されていることが好ましい。これにより、水槽の強度が向上し、特に水平方向やねじり方向の外力に対する強度を高めることができるので好ましい。
【0038】
スペーサ枠材の材質は、水槽に収容する液体を透過せず、収容する液体によって腐食されにくく、また、強度の高いものであることが好ましく、さらに加工に適する材質であることが好ましい。スペーサ枠材の材質としては、金属、ガラス、樹脂等が例示できる。また、耐水性向上等を目的として、スペーサ枠材に表面処理を行ってもよい。
これらの中でも、スペーサ枠材は金属製であることが好ましく、金属としては、アルミ、ステンレスが例示できる。これらの中でも、スペーサ枠材は、アルミ製であることが好ましい。アルミ製であると、スペーサ枠材は加工性に優れ、耐水性(水への耐腐食性)に優れるので好ましい。また、アルミ製のスペーサ枠材は強度に優れるので好ましい。
【0039】
スペーサ枠材の断面形状は特に限定されない。図1に示す水槽では、スペーサ枠材の断面形状は水槽内向きコ字形である。スペーサ枠材の断面形状としては、矩形及び略コ字形であることが好ましく、略コ字形であることがより好ましく、コ字形であることが特に好ましい。スペーサ枠材と板状体との接着面積は広いことが好ましい。また、スペーサ枠材と底板部材、スペーサ枠材と側板部材との接着面積も広いことが好ましく、スペーサ枠材の断面形状がコ字形である場合には、内向きコ字形とすることが好ましい。
【0040】
図6は、本発明に使用できるスペーサ枠材の例を示す断面図である。図6は、図1における底板部材のX−X断面図又は側板部材のY−Y断面図を示す。
図6(a)に示すように、スペーサ枠材22又は23を、断面が水槽内向きコ字形とすることもできるし、図6(b)に示すように、矩形とすることもできる。
また、スペーサ枠材は、断面がコ字形の1つの部材とすることもできるし、図6(c)に示すように、断面がL字形の2つの部材を組み合わせて形成することもできる。なお、この場合、図6(c)に示すように、L字形のスペーサ枠材同士を離して設けていてもよい。
【0041】
スペーサ枠材22又は23と板状体4、及び、スペーサ枠材22又は23と底板部材2又は側板部材3とは、それぞれ接着剤60及び61を介して接着されている。接着剤はスペーサ枠材と板状体を接着する十分な接着力を有していれば特に限定されない。本発明において、接着剤としては、感圧接着剤、各種の有機合成接着剤を使用することができる。
【0042】
有機合成接着剤としては、フェノール樹脂系、アミノ樹脂系、エチレン共重合体系、ポリ酢酸ビニル系、ポリビニルアセタール系、ポリウレタン系、エポキシ樹脂系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、ポリエステル系、シリコン系、ポリ塩化ビニル共重合体系、及び、それらを組み合わせたハイブリッド型シリコン系接着剤等を使用することもできる。
【0043】
感圧接着剤は、支持基材の両面に粘着剤を塗布した、所謂、両面テープが例示できる。支持基材としては、紙、ポリプロピレン、ガラス繊維で強化されたフィルムや紙、ポリエチレンを貼り合わせた布、アセテートフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、各種の不織布が例示できる。粘着剤の原材料としては、天然ゴム、ABA型のトリブロック共重合体(Aはポリスチレン、Bはポリジエン)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソブチレン、再生ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系(アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル等)−酢酸ビニル共重合体、シリコーンポリマー等が例示できるが、特に限定されない。
これらの中でも、両面テープ及びシリコン系接着剤を使用することが好ましく、両面テープを使用することがより好ましく、耐水性両面テープを使用することがさらに好ましい。
両面テープは上市されており、公知の両面テープから選択することができる。例えば、不織布にアクリル系接着剤が塗布された両面テープがあり、日東電工(株)製 500N(C)Bが例示できる。
また、シリコン系接着剤としては、公知のシリコン系接着剤から適宜選択することができ、例えば、セメダイン バスコークN(セメダイン(株)製)が例示できる。
【0044】
<水槽の組み立て方法>
本発明の水槽の組み立て方法は特に限定されないが、本発明の好ましい組み立て方法の一実施形態を図を参照しながら説明する。
図1において、底板部材2には、スペーサ枠材22が載置され、固定されている。スペーサ枠材の底板部材への固着方法は上述の通り特に限定されず、例えば、接着剤により固着する方法や、両面テープにより固着する方法が例示できる。
スペーサ枠材の前後方向の長さは、所望の水槽内部の前後方向の長さにより、適宜選択することができる。
また、スペーサ枠材の左右方向の長さは、図1においては、水槽内部の左右方向の長さと同じであるが、左右方向の長さは必ずしもこれに限定されるものではなく、水槽に必要とされる強度が得られればよい。図1では、1つのスペーサ枠材が底板部材に載置されているが、長さの短い複数のスペーサ枠材を載置してもよい。
【0045】
次に、スペーサ枠材の板状体と接する面に、両面テープを貼付する(図6(a)の60)。また、底板部材に設けられた2本の凹溝に接着剤を注入する。
その後、底板部材に設けられた凹溝に、板状体を挿入する。なお、凹溝の底面と板状体の下部端面に接着剤が存在するように、凹溝の底面と板状体の下部端面の間に間隔を有するように挿入されることが好ましい。
これにより、板状体と底板部材は、スペーサ枠材を介して接着される。また、凹溝に挿入された板状体は、接着剤によっても固着される。
【0046】
側板部材にも、同様にスペーサ枠材を固着し、また、スペーサ枠材の板状体と接する面に両面テープを貼付する。底板部材の側板部材挿入溝20及び側板部材に設けられた凹溝13に接着剤を注入し、板状体を側板部材の凹溝に挿入する。
また、底板部材の側板部材挿入溝20に、側板部材の下部を挿入することによって、底板部材と側板部材が連結される。
このようにして、本発明の水槽を製造することができる。なお、組み立て方法及びその手順はこれに限定されるものでないことはいうまでもない。
【0047】
また、本発明の水槽は、上記の説明に限定されるものではなく、当業者であれば適宜、各部材の形状や寸法を選択することができる。例えば、図1では、側板部材3に設けられた凹溝13は、側板部材3の端部まで設けられているが、これに限定されず、板状体を挿入可能な長さであれば、端部まで設ける必要はない。図7は、側板部材3の上部を水槽内側面から観察した平面図である。図7において、側板部材3には、2本の凹溝13が設けられている。凹溝13は、側板部材の端部までは設けられておらず、凹溝の端部(水槽上端部)には、接着剤溜め13’が形成されており、余分な接着剤を溜めることができるように、溝が大きく形成されている。
【0048】
また、本発明の水槽は、上部固定部材を有することが好ましい。上部固定部材とは、水槽の上部において、板状体を固定する部材を指す。特に、水槽高さが大きく、水槽内に液体を入れた場合に必要とされる耐圧性が大きい水槽(例えば、300mm以上)の場合には、上部固定部材を有することが好ましい。また、水槽幅が大きい場合にも、上部固定部材を有することが好ましい。一方、水槽に必要とされる耐圧性が低い場合には、必ずしも上部固定部材を必要としない。
【0049】
図8は、本発明の水槽に使用できる上部固定部材の例を示す斜視図である。
図8(a)は、上部固定部材80として使用できる蓋部材の斜視図である。蓋部材は、2枚の板状体(不図示)間の幅に合わせた2本の溝82、82を有する。水槽高さが小さく、水槽内に液体を入れた場合でも、必要とされる耐圧性が低い場合には、通常は蓋部材の溝82、82に板状体が挿入されるように、水槽上部に載置し、必要に応じて開閉してもよい。一方、水槽に必要とされる耐圧性が高い場合には、水槽左右長さの短い蓋部材を準備し、溝82、82に接着剤を注入し、これに板状体を挿入することで、板状体と蓋部材とを固着させてもよい。なお、一般に水槽は、上部に開口が必要とされるので、左右長さの短い蓋部材を使用することで、開口を確保することができる。この場合、水槽の中央部に蓋部材を固着することが特に好ましい。
【0050】
図8(b)は、上部固定部材80の他の例を示す斜視図である。図8(b)は、水槽上部の部分斜視図である。図8(b)では、上部固定部材80は、下向き断面コ字形であり、板状体4、4を外側から挟み込むように嵌入されている。これにより、水槽1内に水を入れた時に、水によって板状体4、4が外側へ広がろうとする力を抑制している。
【0051】
図8(c)は、上部固定部材80の他の例を示す斜視図である。図8(c)において、上部固定部材80の上面には、開口84が設けられている。また、上部固定部材80は、断面下向きコ字形である。上部固定部材80は、板状体(不図示)を外側から挟み込むように嵌入してもよいし、上部固定部材80の水槽前後側面86、86と、板状体とを固着させてもよい。上部固定部材80と板状体の固着は、いずれの方法で行ってもよく、特に限定されないが、接着剤で固着することが簡便であるので好ましい。
【0052】
図8(d)は、上部固定部材80の他の例を示す斜視図である。図8(d)において、上部固定部材80は、断面上向きコ字形であり、その下面に開口84が設けられている。上部固定部材80は、側面86、86と、板状体とを固着させることで水槽上部に固定される。
【0053】
本発明の水槽は、底板部材及び/又は側板部材を2以上の部材とすることもできる。図9は、本発明の水槽の他の一実施態様を示す組み立て斜視図である。図10は、底板部材を2つの部材から形成した場合の組み立て工程図である。図11は、2以上の部材からなる底板部材及び/又は側板部材の一実施態様を示す断面図である。
図9を参照すれば、底板部材2は、底板部材2aと底板部材2bからなり、側板部材3は、側板部材3aと側板部材3bからなる。
【0054】
本発明の水槽の他の好ましい組み立て方法について図9及び図10を参照して詳述する。
最初に、底板部材2a上にスペーサ枠材22を載置し、固定する。該スペーサ枠材22の底板部材2aへの接着方法は特に限定されず、適宜選択することができる。図10(a)では、接着剤(両面テープ)61を用いて接着している。
次に、スペーサ枠材22の紙面奥側の垂直面(板状体4aと接する面)に接着剤の塗布又は両面テープの貼付を行い、さらに、底板部材2aに設けられた凹溝12aに接着剤を注入し、板状体4aを挿入する。
図10(b)を参照すれば、スペーサ枠材22と板状体4aとを接着剤60aにより接着し、底板部材2aに設けられた凹溝12aに接着剤45aを注入し、接着剤の注入された凹溝12aに板状体4aを挿入している。なお、スペーサ枠材22と板状体4aの接着剤60としては、両面テープを使用することが好ましく、凹溝12aに注入する接着剤45aとしては、例えばシリコン系接着剤が例示できる。
【0055】
次に、水槽の側面に配置される2つのスペーサ枠材23を板状体4aに接着して固定する。スペーサ枠材23と板状体4aとの接着方法は特に限定されず、公知の方法から適宜選択することができる。
【0056】
さらに、スペーサ枠材23と側板部材3aとの接着、側板部材3aの側板部材挿入溝20への挿入、及び、板状体4aの凹溝13aへの挿入を同時に行う。なお、側板部材挿入溝20及び凹溝13aには、予め接着剤を注入しておくことが好ましい。また、スペーサ枠材23と側板部材3aは、接着剤や両面テープ等により接着することができる。
【0057】
次に、スペーサ枠材22の紙面手前の垂直面(板状体4bと接する面)、及び、スペーサ枠材23の紙面手前の垂直面(板状体4bと接する面)と、板状体4bとを接着する。板状体4bとスペーサ枠材22、及び、板状体4bとスペーサ枠材23との接着方法は特に限定されない。
図10(c)では、スペーサ枠材22と板状体4bとが、接着剤(両面テープ)60bにより接着され、固定されている。
【0058】
続いて、底板部材2aと底板部材2b、及び、側板部材3aと側板部材3bを、それぞれ接着する。底板部材2aと底板部材2b、及び、側板部材3aと側板部材3bとは、接着剤で固着することもできるし、両面テープ等を使用してもよく、特に限定されない。また、溶融接着することもできる。これにより、底板部材2には、凹溝12bが形成され、側板部材3には、凹溝13bが形成される。図10(d)では、底板部材2bと底板部材2aとは接着剤25により接着されている。なお、底板部材2aと底板部材2bの接着に際し、ネジ止めを併用することもできる。
最後に、凹溝12b及び凹溝13bに接着剤を注入する。図10(e)では、底板部材2a及び2bにより形成された凹溝12bに接着剤45bが注入されている。
これにより、本発明の水槽を作製することができる。
【0059】
上記の図1に示す水槽の組み立てにおいては、底板部材及び側板部材を連結した後、底板部材及び側板部材によって一体に形成された凹溝(12及び13)に板状体4を挿入するため、スペーサ枠材(22及び/又は23)を使用する場合には、スペーサ枠材(22及び/又は23)と板状体4との接着と、板状体4の凹溝(12及び13)への挿入を同時に行うことが困難となる場合がある。具体的には、側板部材3に固定されたスペーサ枠材23において、板状体4と接触する面に接着剤を塗布したり、両面テープを貼付すると、板状体4がスペーサ枠材23の接着剤等と接着するため、水槽の上部から板状体4を底板部材2の凹溝12の内底部まで挿入することが困難となる。
図9及び図10に示した組み立て方法によれば、底板部材及び側板部材を連結した後、板状体を上部から挿入することなく、組み立てることができ、組み立てが容易であるので好ましい。
【0060】
本発明の水槽は、図11(a)に示すように、底板部材2及び/又は側板部材3が2つの部材(2aと2b、及び/又は、3aと3b)から形成されていてもよいし、図11(b)に示すように、3以上の部材(2a〜2c、及び/又は、3a〜3c)を組み合わせて形成されていてもよい。2以上の部材から形成する場合には、各部材間を接着するための接着剤25は、水槽の水密性を考慮して適宜選択することができる。
なお、図1に示すように、底板部材及び/又は側板部材を一体に成型することができることはいうまでもない。
【0061】
本発明の水槽は、様々な用途に使用することができ、特に限定されない。
例えば、観賞用魚飼育用の水槽や、水中植物を配して観賞用水槽とすることができる。また、水槽の下部から気泡を発生させて、室内装飾具とすることもできる。室内装飾具としては、水槽内に水又は水と水混和性の溶媒(例えば、グリセリン、エチレングリコール等)に必要に応じて防腐剤、着色剤を添加し、水槽内に気泡を発生させる室内装飾具が例示できる。また、適宜照明を適用することも好ましい。
本発明の水槽は、そのままで壁掛けとしたり、水槽台に設置することも好ましい。また、座席同士の仕切りや、大型の間仕切り、パネル装置及びそれらの一部としても使用することができる。
使用用途に応じて、照明を配したり、送気ポンプ、水循環ポンプ等を適宜設けることが好ましい。
【0062】
特に、本発明の水槽は薄型かつ大型の水槽とすることが可能であり、パネル装置に一体に装着するために使用されることが好ましい。
パネル装置は、間仕切りとして使用することもできるし、装飾用の壁として使用することもできる。
本発明の水槽は、以下のパネル装置に特に好適に使用できる。
【0063】
<パネル装置>
本発明において、パネル装置は、左右1対の支柱を、上下方向に離間する複数の横フレームにより連結することによって、上下方向に1段又は多段状の方形の空間を有するパネル枠体を形成し、前記パネル枠体内に、少なくとも片側が透明な2枚の板状体を水密に対向させた水槽を装着したことを特徴とする。
【0064】
図12を参照して以下に詳述する。
図12は、本発明に好ましく使用できるパネル装置の一例を示す概略図である。
図12において、パネル装置600は、左右一対の支柱601、601’が、上下方向に離間する複数の横フレーム605〜608によって連結されており、上下方向に三段の方形空間を有するパネル枠体を形成している。ここで、パネル枠体とは、支柱と横フレームと必要に応じて天井又は床とで形成された方形空間を意味する。従って、図12では、パネル装置600は3つのパネル枠体を有している。
ここで、支柱601、601’の連結は、パネル装置の最端部で行う必要はなく、パネル枠の上部と天井や、パネル枠の下部と床の間に空間が存在してもよい。
支柱601、601’、横フレーム605〜608によりパネル枠体が形成され、図12において、パネル枠体に上下方向に3つのパネルが取り付けられている。
方形の空間は1以上であれば特に限定されるものではなく、適宜選択することができる。パネル装置に形成される方形の空間は、3〜6であることが好ましく、3〜5であることがさらに好ましい。方形の空間に取り付けられるパネルの数は特に限定されず、全ての方形の空間にパネルを取り付けることもできるし、枠材のみの空間を有していてもよい。
3以上の枠体とした場合には、図12に示すように、中央枠体内に水槽を装着して、隣接する上部枠体にエアポンプ660を収納することができ、また隣接する下部枠体内に、排水タンク640を収納することができるので便利である。
【0065】
また、本発明のパネル装置は、パネル枠体内に、少なくとも片側が透明な2枚の板状体を水密に対向させた水槽を装着している。図12において、パネル装置600は上下3つのパネル枠体に、それぞれ上部パネル610、中央部パネル620及び下部パネル630を有し、中央部パネル620は、透明な板状体を水密に対向させた水槽650を装着している。また、上部パネルには、エアポンプ660が配置されている。
【0066】
水槽を装着したパネル枠体の少なくとも前面周縁部には、不透光性の周縁枠が設けられていることが好ましい。図12中、中央部パネル620の前面には、周縁部が不透光性の周縁枠652が設けられている。
周縁枠を設けることにより、水槽に必要とされるエアポンプや排水等のための配管、配線等を目隠しすることができる。また、水槽のパネルへの固定部(下部受け座等)を目隠しすることもできるので好ましい。
また、図12では、周縁枠652は開口部を有する扉となっており、丁番656及び留め具658により開閉可能となっている。
周縁枠は少なくとも水槽が視認される側(前面)に設けられていることが好ましく、パネル装置の両面(前後)から水槽が視認可能である場合には、前後の両面に周縁枠を設けることが好ましい。
【0067】
また、水槽を装着したパネルの下に、水槽からの排水を貯留する排水タンクが備えられていることが好ましい。図12では、下部パネル630の内部に、水槽650からの排水を貯留する排水タンク640が設けられている。図12では、排水ポンプ645によって、水槽650から排水管646を通って、排水タンク640へと排水可能となっている。図12では、配水管は水槽の上部に取り付けられているが、水槽の底部に排水管を配置することも好ましい。
また、万が一、水槽が収容する液体の漏れが生じた場合にも、下部の排水タンク640に貯留させて、パネル装置外への液体の漏れを防止できるので好ましい。図12では、水槽の下部に排水タンク640へと液体を流す傾斜670が設けられている。
【0068】
なお、水槽650の前後の長さ(奥行き)は、パネル枠体の厚さ以下であることが好ましい。パネル枠体の厚さは特に限定されないが、30〜100mmであることが好ましく、50〜80mmであることがさらに好ましい。
従って、水槽650の外部厚さは、100mm以下であることが好ましく、より好ましくは80mm以下である。
【0069】
なお、パネル装置のその他の構成、例えば、パネルのパネル枠体への固定や、支柱とフレームの連結方法等は、公知のものを採用することができる。例えば、特開2004−316191号公報、特開2007−16492号公報等、オカムラ製作所「PUROVATO」パンフレット(YPCA−19−711、P.TP’07−01)(2007年版)等を参照することができる。
【0070】
パネルに装着される水槽は、撹拌手段、空気又は酸素供給手段、炭酸ガス供給手段、排水手段、餌供給手段、照明手段、水交換手段及び水質浄化手段よりなる群から選択される少なくとも1種を具備することが好ましい。
上記の手段は公知の水槽に使用されている各種の手段から適宜選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の水槽の一実施態様を示す組み立て斜視図である。
【図2】底板部材及び/又は側板部材の一実施態様を示す断面図である。
【図3】凹溝が設けられた底板部材及び/又は側板部材の一実施態様を示す断面図である。
【図4】板状体を挿入されて固定された凹溝の断面図である。
【図5】突起を設けた凹溝を示す部分斜視図である。
【図6】本発明に使用できるスペーサ枠材の例を示す断面図である。
【図7】側板部材の上部を水槽内側面から観察した平面図である。
【図8】本発明の水槽に使用できる上部固定部材の例を示す斜視図である。
【図9】本発明の水槽の他の一実施態様を示す組み立て斜視図である。
【図10】底板部材を2つの部材から形成した場合の組み立て工程図である。
【図11】2以上の部材からなる底板部材及び/又は側板部材の一実施態様を示す断面図である。
【図12】本発明に好ましく使用できるパネル装置の一例を示す概略図である。
【図13】従来の水槽を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
1 水槽
2 底板部材
3 側板部材
4 板状体
12 凹溝
13 凹溝
13’ 接着剤溜め
20 側板部材挿入溝
22 スペーサ枠材
23 スペーサ枠材
25 接着剤
30 切り欠き
32 底板部材基板
33 側板部材基板
34 凹溝形成部材
40 板状体の端面
42 底板部材に設けられた凹溝の底面
43 側板部材に設けられた凹溝の底面
45 接着剤
50 突起
60 接着剤
61 接着剤
80 上部固定部材
82 溝
84 開口
86 側面
101 底板
102 側壁板
103 側壁板
104 縦枠
105 天枠
600 パネル装置
601、601’ 支柱
605、606、607、608 横フレーム
610 上部パネル
620 中央部パネル
630 下部パネル
640 排水タンク
645 排水ポンプ
646 排水管
650 水槽
652 周縁枠
656 丁番
658 留め具
660 エアポンプ
670 傾斜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも底板部材と、2つの側板部材と、対向する2枚の板状体とからなり、
底板部材及び側板部材が連結され、
底板部材及び側板部材に設けられた2本の凹溝にそれぞれ板状体が挿入されていることを特徴とする
水槽。
【請求項2】
前記対向する2枚の板状体の周縁部と、底板部材及び/又は側板部材とが、スペーサ枠材に接着されている、請求項1に記載の水槽。
【請求項3】
前記凹溝に挿入された板状体が、シリコン系接着剤により固定されている請求項1又は2に記載の水槽。
【請求項4】
前記凹溝の底面と、板状体との間に間隔を有する、請求項1〜3いずれか1つに記載の水槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−201499(P2009−201499A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103079(P2008−103079)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(507233626)
【Fターム(参考)】