説明

水洗トイレ用殺菌・洗浄装置

【課題】トイレを殺菌すると共に水洗トイレの貯水タンクを殺菌・洗浄し、給排水時に電気分解により生成された酸性水及びアルカリ性水の流出及び水道水の流入を防止する。また装置を小型化し、組立が容易な水洗トイレ用殺菌・洗浄装置を提供する。
【解決手段】貯水タンクに内蔵される有隔膜電解法により酸性水とアルカリ水とを生成する。電解質溶液から酸性水を生成する酸電解槽E1とアルカリ性水を生成するアルカリ電解槽E2とが板状の垂直隔壁32を介して併設され、その垂直隔壁32の下端部に設けられた隔膜2とからなる電解槽Eと、その上に飽和電解質溶液を一時貯蔵する補助槽Aと、該電解槽Eと該補助槽Aとの間に板状の水平隔壁31とが設けられる。前記酸電解槽E1内には酸給排水パイプと、前記アルカリ電解槽内にはアルカリ給排水パイプ42が備えられ、その下方に貯水タンクと連通する酸及びアルカリ給排水孔4を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌水でトイレを殺菌すると共に、洗浄水で水洗トイレに配設された貯水タンクを殺菌・洗浄する水洗トイレ用殺菌・洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塩素イオン含有水を電気分解して得られる殺菌性のある処理水で、トイレの使用後あるいは定期的にトイレを殺菌洗浄して、臭気や尿石等の固形分付着を防止する洗浄装置としては以下のものが知られている。
ビル等に取り付けられる殺菌水供給機能付便器ユニットは、塩素イオン含有水を電気分解する電気分解槽と、該電気分解槽で生成された殺菌水を貯留する殺菌水貯留槽と、その下流側に殺菌水をトイレに送り出す送出ポンプと、殺菌水の流出の開閉を行う電磁バルブとが備えられており、殺菌水制御装置により送出ポンプと電磁バルブ等を制御して、貯水タンクに貯留された殺菌水を適宜なタイミングでトイレに供給することにより、トイレを洗浄するものである(特許文献1参照)。
【0003】
また、家庭で一般的に使用されている貯水タンクを備えたトイレであって、そのトイレに設置された衛生洗浄機は、電解質が水に溶けた電解質溶液が貯留されている電解質貯留槽と、電解質溶液を電気分解する電解分解槽と、この電解分解槽で電気分解された処理液(次亜塩素酸イオン)をトイレ内に吐出する吐出口とこれらプロセスを制御する制御手段を備えており、トイレ内のトイレの壁面に設けられた前記吐出口から次亜塩素酸イオンを吐出することにより、トイレを洗浄するものである(特許文献2参照)。
さらに、殺菌水を得る電解装置では、電解質を含む水を電解すると、強酸性水陽極電極から発生する塩素ガスによって、人体や設備機器等へ悪影響が生ずるため、このような悪影響を極力防止するように、直流電源の陽極電極にて生成された塩素ガスをアルカリ性溶液と混合する混合手段を設けたものがある(特許文献3参照)。
【0004】
ところが、特許文献2に示すような一般的な水洗トイレには貯水タンクが設けられており、該貯水タンクは、上面に手洗いを兼ねた蓋を載置して貯水タンクを密閉したもので、その内部にはフロートや配管があるため清掃し難いために、貯水タンク内が汚れてカビが発生して、悪臭成分やカビ胞子がトイレ室内に飛散するという問題があるが、上記した特許文献1及び特許文献2の各装置は、電気分解により生成した殺菌水を直接トイレに放出して殺菌するので、貯水タンクを必要としないものであるために、このような問題に対処できないものである。また、電気分解により酸性水とアルカリ水を分離して取り出すものではないため、アルカリ水の洗浄機能を有効に活用できないという問題もある。
さらに、電解により陽極電解槽から発生する塩素ガスをアルカリ水で処理するものでは、酸性水を殺菌水として取り出すことを目的とするもので、処理後のアルカリ水は廃棄しており、前述した従来技術と同様にアルカリ水を有効に活用できないという問題がある。
【0005】
そこで、上記した問題を解決するために、本発明者は、特許文献4に示す水洗トイレ用殺菌・洗浄装置を開発した。この水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、該装置が水洗トイレの貯水タンクに内蔵され、電解質溶液から酸性水を生成する陽極電解槽及びアルカリ水を生成する陰極電解槽からなる電解槽と、隣接して飽和電解質溶液を一時貯蔵する付随槽とを備え、該電解槽及び付随槽の上に貯留槽が一体化して設けられており、前記電解槽と付随槽との間を下方に逆止弁が設けられた前後縦隔壁で分離し、前記陽極電解槽の側壁には流量の大きな酸性水用給排水パイプが、陰極電解槽の側壁に流量の異なるコの字状等の給排水パイプが設けられたものである。前記水洗トイレ用殺菌・洗浄装置が上記した構造、特に、流量の異なるコの字状等の給排水パイプを備えたことにより、酸性水がトイレへ排出されてトイレを殺菌し、一方、アルカリ水が貯水タンクTへゆっくりと排出されて貯水タンクを殺菌・洗浄するので、酸性水の殺菌機能とアルカリ水の洗浄機能を有効に活用することができる(特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平09−144103号公報
【特許文献2】特開2000−027263号公報
【特許文献3】特開平07−290060号公報
【特許文献4】特開2007−309089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は特許文献4に示す水洗トイレ用殺菌・洗浄装置を製品化に向けて試作品を作製して実用化テストを試みたところ、電気分解により生成された酸性水及びアルカリ性水が前記コの字状等の給排水パイプを通って電解槽から貯水タンクへ流出、又は、逆に水道水が貯水タンクから電解槽へ流入することがごく稀に発生し、貯水タンク内の酸性水及びアルカリ性水が希釈されてしまうことが判明した。
当初、前記コの字状給排水パイプの上方空間部に空気が溜まることで、水洗トイレ用殺菌・洗浄装置内の酸性水及びアルカリ性水が貯水タンクへ流出するのを防ぐものと考えていたが、前記貯水タンク内の酸性水及びアルカリ性水が希釈される原因は、水道水が貯水タンクから水洗トイレ用殺菌・洗浄装置内へ流入するときに、前記コの字状給排水パイプの上方空間部の空気が水道水と一緒になって流入するために、貯水タンクが満タンになった後に、電気分解により生成された酸性水及びアルカリ性水が、浸透圧作用により貯水タンクへ流出して水道水が水洗トイレ用殺菌・洗浄装置に流入するために生じるものと考えられる。
【0008】
また、該装置はその両側壁からコの字状又はU字状等の給排水パイプが吊下されているために横幅が広く、また、電解槽に隣接して付随槽が設けられているために奥行きが広く、そして、該電解槽及び付随槽の上に貯留槽が載置されているために高さが高くなり、全体として大型化するという問題があり、更に、前記前後縦隔壁の下方に逆止弁を設置し、前記両側壁に給排水パイプを吊下して設置する必要があるために、組み立ての作業効率が悪いという問題もあった。
【0009】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、効率よくトイレを殺菌すると共に水洗トイレの貯水タンクを殺菌・洗浄することができ、給排水時に電気分解により生成された酸性水及びアルカリ性水の流出及び水道水の流入を防止する水洗トイレ用殺菌・洗浄装置を提供することを第一の目的とし、装置の大きさを小型化し、組立が容易な水洗トイレ用殺菌・洗浄装置を提供することを第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的を達成するために、請求項1に係る水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、有隔膜電解法により酸性水とアルカリ水とを生成する水洗トイレ用殺菌・洗浄装置であって、前記水洗トイレ用殺菌・洗浄装置が水洗トイレの貯水タンクに内蔵され、電解質溶液から酸性水を生成する酸電解槽とアルカリ性水を生成するアルカリ電解槽とが板状の垂直隔壁を介して併設され、その垂直隔壁の下端部に設けられた隔膜とからなる電解槽と、その上に飽和電解質溶液を一時貯蔵する補助槽と、該電解槽と該補助槽との間に板状の水平隔壁とが設けられ、前記酸電解槽内にはH型状の内部空間を形成する外壁を有する酸給排水パイプと、前記アルカリ電解槽内にはH型状の内部空間を形成する外壁を有するアルカリ給排水パイプが備えられ、その酸及びアルカリ給排水パイプの下方に前記貯水タンクと連通する酸及びアルカリ給排水孔が設けられていることを特徴とする。
同様に、請求項2に係る水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、前記H型状の内部空間を形成する外壁が前記酸及びアルカリ給排水パイプの空間を垂直に2分割して両者を連通させる連通孔を有する中間板で形成されていることを特徴とする。
請求項3に係る水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、水道水供給の停止後の前記給排水パイプの水位が前記連通孔より下にあることを特徴とする。
請求項4に係る水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、前記給排水パイプの水位が前記連通孔の下端部から下中間板の高さの半分の位置から10mmの範囲にあることを特徴とする。
請求項5に係る水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、前記給排水パイプが前記外壁、前記連通孔を有する中間板、前記貯水タンクに通じる給排水孔及び前記酸及びアルカリ電解槽に通じる流出入孔からなることを特徴とする。
請求項6に係る水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、前記酸給排水孔の面積が前記アルカリ給排水孔のそれより大きいことを特徴とする。
請求項7に係る水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、前記酸給排水孔の形状が円形であることを特徴とする。
請求項8に係る水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、前記酸給排水孔の孔径が前記アルカリ給排水孔の孔径の2倍あることを特徴とする。
請求項9に係る水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、前記酸給排水孔の面積が前記アルカリ給排水孔の面積の4倍であることを特徴とする。
請求項10に係る水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、前記板状の垂直隔壁に塩素ガスを集めてアルカリ電解槽に排出する塩素ガス排出部を設けたことを特徴とする。
請求項11に係る水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、前記塩素ガス排出部が塩素ガスを集める庇状の塩素ガス集気板と、その塩素ガスをアルカリ電解槽に排出する塩素ガス通気口からなることを特徴とする。
請求項12に係る水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、前記電解槽と、前記補助槽と、前記酸及びアルカリ給排水パイプの外壁とが一体成形されていることを特徴とする。
請求項13に係る水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、前記水洗トイレ用殺菌・洗浄装置の形状が直方体であることを特徴とする。
請求項14に係る水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、前記水洗トイレ用殺菌・洗浄装置が連通パイプを介して塩ユニットに連通していることを特徴とする。
請求項15に係る水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、前記塩ユニットが塩の飽和溶液を貯蔵しておく容器であり、その容器には制御回路タイマーと水中ポンプが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、酸電解槽内にH型状の内部空間を有する酸給排水パイプを備えることで、H型状の内部空間に存在する空気が、水道水の供給が停止した後に電解槽内の液体と貯水タンク内の液体が給排水パイプを通って流出入するのを確実に防ぐことができる。そして、水洗トイレ用殺菌・洗浄装置の内部空間を連通孔の有る中間板で垂直に2分割することで、簡単にH型状の内部空間を形成することができ、水道水を供給するのを停止した後の、前記給排水パイプの水位が前記連通孔より下にあるように設計することが容易である。
【0012】
また、酸給排水孔の孔径がアルカリ給排水孔のそれより大きいことで、トイレ使用時に、殺菌成分を含む酸性水が貯水タンクに急速に排出されてトイレの殺菌を行うことができ、洗浄成分を含むアルカリ性水が貯水タンク内の水道水に徐々に排出されるので、貯水タンクの洗浄を行うことができる。そして、前記酸給排水孔の孔径が前記アルカリ給排水孔の孔径の2倍、あるいは、前記酸給排水孔の面積が前記アルカリ給排水孔の面積の4倍になるように設計すれば、確実に殺菌水でトイレを殺菌すると共に、洗浄水で貯水タンクを殺菌・洗浄することができる。
【0013】
更に、水洗トイレ用殺菌・洗浄装置が水洗トイレの貯水タンク内に内蔵されているので、電解槽で生成した酸性水及びアルカリ水は、トイレ使用時に、殺菌成分が含まれた酸性水によりトイレの殺菌が行われると共に、貯水タンクTに放出されたアルカリ水は、貯水タンクの洗浄作用とともに殺菌作用も行うことができ、水洗トイレの水回り部を常に清潔な状態に維持することができる。そして、前記水洗トイレ用殺菌・洗浄装置が電解槽及び補助槽からなり、給排水パイプが電解槽内に設置されているので、該水洗トイレ用殺菌・洗浄装置の大きさを小型化することができ、組立が容易にできる。
【0014】
そして、前記電解槽で生成した酸性水及びアルカリ水の給排水を行うのに、電磁バルブやポンプ等の装置を用いることなく、流量の異なる給排水パイプだけでトイレの殺菌と貯水タンクの殺菌・洗浄ができるので、製造費が大幅に軽減できる。
本発明の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置は、電解槽と、補助槽と、酸給排水パイプの外壁とが一体成形され、そして、その形状が直方体なので、大幅に小型化することができると共に、組み立て作業が必要なくなり生産性の向上が計られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置につき、添付の図面を参照して最良の実施形態を詳細に説明する。
図1は、水洗トイレ用殺菌・洗浄装置EQ(以下、「殺菌・洗浄装置EQ」という。)を内蔵した貯水タンクTの正面縦断面図である。
本発明の殺菌・洗浄装置EQは、図1に示すように、直方体の構造で形成され、水洗トイレの貯水タンクTに内蔵されるもので、貯水タンクTに設けた支持部材Sにより保持されている。貯水タンクTの底壁中央にはフロート弁Fが貯水タンクTの水を放出しないように封止しており、貯水タンクTの側壁に設けられた排水レバーLの操作によりチェーンを介してフロート弁Fが上方に浮上して水をトイレに放出する。浮玉、ボールタップ等の部品の構造は、従来の水洗トイレと同じなので説明を省略する。
【0016】
図2は水道水で希釈された飽和電解質溶液が電気分解されて生成された酸性水及びアルカリ水が、殺菌・洗浄装置EQに貯留された状態を示す概念図であり、前壁を取り除いた正面縦断面図を示している。
前記殺菌・洗浄装置EQは、耐酸性及び耐アルカリ性を有する樹脂を成形することで作製する。その殺菌・洗浄装置EQの幅の略半分の位置に隔膜3の仕切りとその上端部に設けた垂直状の板からなる垂直隔壁32が設けられ、その隔膜2の右側には電解質が陽極電極11で電気分解された酸性水を貯蔵する酸補助槽E1と、左側には電解質が陰極電極12で電気分解されたアルカリ水を貯蔵するアルカリ補助槽E2とからなる電解槽Eが設けられている。
この様に陽極電極11と陰極電極12の間に隔膜2で仕切を設けて酸性水とアルカリ水を生成する方式は、有隔膜電解法と呼ばれている。
【0017】
飽和電解質溶液を一時貯蔵する補助槽Aが前記電解槽Eの上に設けられ、電解槽Eと補助槽Aの間に水平状の板からなる水平隔壁31が、その水平隔壁31に2個の連通孔が設けられており、該2個の連通孔は飽和電解質溶液及び水道水が電解槽Eと補助槽A間を流出入する孔である。
図2に示すように断面がH型状の内部空間を有する給排水パイプPは、その外壁pの形状が直方体であり、前記電解槽Eの左右の側壁板内に設置されているが、前方の壁板又は後方の壁板に設置しても良いし、左右の側壁板又は前後方の壁板に設置せずに独立した位置に設置しても良い。
なお、本発明の実施形態の一例として外壁pの形状が直方体のものを説明するが、本発明はそれに限定されるものではなく、立方体、円柱体等の形状のもでも良い。
【0018】
前記殺菌・洗浄装置EQの底壁に、前記給排水パイプPと連通する形状が円形の酸性水用の酸給排水孔41、アルカリ水用のアルカリ給排水孔42がそれぞれ設けられており、酸給排水孔41の孔径がアルカリ給排水孔42のそれより大きく、孔径の大きさに差があることが重要である。前記給排水孔4は、殺菌・洗浄装置EQの底壁に設けたものを例として示したが、殺菌・洗浄装置EQの前後壁又は左右側壁の下方の位置に設けても良いが、その下方の位置は、前記底壁の上面の位置に設けることが最も好ましい。
そして、前記殺菌・洗浄装置EQの上壁には、その中に貯留された水道水が排出された時、その内部の圧力を大気圧下に保つために少なくとも2個の吸気口が設けられている。
【0019】
次に、図2に示すように、前記給排水パイプPには、外壁pの横幅の中間に中間板P′が設けられており、該給排水パイプPの内部空間は、該中間板P′により液体(水道水、酸性水又はアルカリ性水)が給排水孔4を通って流出入する部屋である給排水部屋PAと、液体が該給排水部屋PAと電解槽Eとの中間にあり、その両者へ液体を流出入する部屋である中間部屋PBに分割されており、その下の位置には液体が流出入される流出入孔P4が設けられている。図2に示すように、前記給排水パイプPの内部空間の断面構造は、H型状に形成されていることが分かる。
【0020】
前記中間板P′は、縦方向の途中の垂直方向に長方形状の連通孔P3が設けられ、その連通孔P3の位置より上の中間板P′を上中間板P′1、それより下の中間板P′を下中間板P′2と呼び、そして、その連通孔P3の位置より上の空間部分を上方部屋PC、その位置より下の空間部分を下方部屋PDと呼ぶ。即ち、前記上方部屋PCは、前記給排水部屋PA及び中間部屋PBの上方の空間部分を意味し、前記下方部屋PDは、前記給排水部屋PA及び中間部屋PBの下方の空間部分を意味している。
前記上中間板P′1が有する機能は、以下の(3)貯水タンクTから殺菌・洗浄装置EQへの水道水の流れ(段落〔0021〕〜〔0022〕参照)において説明する。
以上のように、給排水パイプPは、外壁p、中間板P′、連通孔P3、給排水孔4及び流出入孔P4から構成されている。
【0021】
ところで、図2の概念図は、水道水で希釈された飽和電解質溶液が電気分解された状態を示しており、隔膜2で仕切られた酸補助槽E1側には、以下の電気分解反応により強力な除菌効果を示す次亜塩素酸HClOが生成される。

隔膜2で仕切られたアルカリ補助槽E2側には、以下の電気分解反応によりタンパク質系汚れに洗浄効果を示すアルカリ性水が生成される。

【0022】
次に、図1に基づいて(1)貯水タンクTからトイレへの水道水及び酸性水の流れ、図2に基づいて(2)前記殺菌・洗浄装置EQから貯水タンクTへの酸性水及びアルカリ性水の流れ、(3)貯水タンクTから殺菌・洗浄装置EQへの水道水の流れを以下に詳細に説明する。
【0023】
(1)貯水タンクTからトイレへの水道水及び酸性水の流れ
図1に示すように、使用者が排水レバーLを操作すると、貯水タンクT底壁上のフロート弁Fが上方に持ち上げられて開き貯水タンクT内の水道水が排出され、その後、浮玉Uが下降して排出口を塞いで封鎖し、貯水タンクTの上部の蛇口から水道水が貯水タンクT内に流入する。フロート弁が開いてから封鎖されるまでの排水時間が数秒、例えば3秒程度なのに対して、封鎖後に水位が上昇してボールタップ弁が閉じて貯水タンクTへの給水を停止するまでの給水時間は、前記封鎖されるまでの排水時間の約15倍の約45秒程度と長い。排水時の水道水が排出される流量が多いので水位が急速に降下するのに対して、給水時の給水される水道水の流量が少ないので、水位がゆっくりと上昇していく。上記の排水レバーL、フロート弁F、浮玉Uの構造及び動作は、従来から用いられている貯水タンクTの構造及び動作と同じである。
【0024】
排水レバーLの操作により、水道水の水位が殺菌・洗浄装置EQの底部の位置まで下降すると、酸電解槽E1内の酸性水が孔径の大きい酸給排水孔41から流出して水道水に混入することで酸性化し、僅かな時間で希釈化された酸性水がトイレへ排水される。その僅かな時間の間に、殺菌・洗浄装置EQのアルカリ電解槽E2内のアルカリ性水は、孔径の小さいアルカリ給排水孔42からごく僅かの量が流出するが、大部分のアルカリ性水はアルカリ電解槽E2内に残留した状態で残っている。
【0025】
(2)前記殺菌・洗浄装置EQから貯水タンクTへのアルカリ水の流れ
上記浮玉Uの封鎖により給水された水位が殺菌・洗浄装置EQの底部の位置まで上昇する間の、殺菌・洗浄装置EQから貯水タンクTへのアルカリ性水の流れの状態を以下に説明する。
上記希釈化された酸性水がトイレへ排出されながらフロート弁Fが下降して排出口を塞ぎ、貯水タンクTの上部の蛇口から水道水が貯水タンクT内に流入する。しかし、開いたフロート弁Fが僅かな時間で閉じた後、貯水タンクTの水位が水道水の流入によりゆっくりと上昇し続ける。水位がゆっくりと上昇し続ける間、アルカリ性水が孔径の小さいアルカリ給排水孔42から流出し続けており、貯水タンクT内に流入してくる水道水に混入して希釈化されるので、この希釈化されたアルカリ性水が汚れた貯水タンクT内を洗浄する。水位が殺菌・洗浄装置EQの底部の位置まで達するまでに、アルカリ電解槽E2内のアルカリ性水は流出し終わっている。
【0026】
(3)貯水タンクTから殺菌・洗浄装置EQへの水道水の流れ
水道水の水位が殺菌・洗浄装置EQの底部の位置から上昇して、水道水を停止する水位15に到達して、飽和電解水溶液が連通パイプを通って補助槽Aに流入する間の、貯水タンクTから給排水パイプPへの水道水の流れの状態を以下に説明する。
図3は、水位が前記底部の位置から僅かに上昇した時から、貯水タンクTが水位15に到達して電気分解を開始するまでの、給排水パイプPへの水道水の流れの状態を示す説明図である。
【0027】
図3(a)は、水道水の水位が前記連通孔P3の下端部の位置より僅かに上まで上昇した時の、水道水の流れの状態を示す図である。
水位が殺菌・洗浄装置EQの底部の位置から上昇すると、その水位の上昇に伴って、水道水が給排水孔4から給排水部屋PAの下方部屋PDへ流入して、前記連通孔P3の下端部の位置(下中間板P′2の上端部の位置と同じ)に達し、その位置を超えると水道水が中間部屋PBの下方部屋PDへ流入して下方向へ流れて、流出入孔P4から電解槽E側へ流出する。そして、前記電解槽Eの水位が流出入孔P4の上端部の位置まで上昇すると、図3(a)に示すように、前記H型状の内部空間に存在する空気、即ち、給排水部屋PAの上方部屋PC及び中間部屋PBの内部空間に存在する空気が閉じこめられた状態で、電解槽Eの水位が上昇する。
【0028】
図3(b)は、前記水道水が停止する水位15の位置に上昇している、その流れの状態を示す図である。
前記中間部屋PBの水位は、貯水タンクTの水位の上昇につれて、前記給排水部屋PAの上方部屋PC及び中間部屋PBの内部空間に存在する空気が水圧により圧縮されるため、図3(a)の水位の位置より徐々に上昇するが、該中間部屋PBの水位は該給排水部屋PAの水位より低い位置の状態で水道水が流れ続ける。水道水の流れは、前記水道水を停止する水位15の位置にまで到達すると停止する。
【0029】
図3(c)は、水道水の供給が停止した後の前記中間部屋PBの水位と前記給排水部屋PAの水位の変化を示す図である。
水道水の供給の停止によって、給排水部屋PA及び中間部屋PB内の水道水がその位置のエネルギーを平衡に保つために、電解槽E内から水道水が流出入孔P4を通って中間部屋PBの下方部屋PDに流入して水位を押し上げ、一方、給排水部屋PAの下方部屋PDの水道水が給排水孔4を通って貯水タンクTへ流出して水位を押し下げ、前記水道水の位置エネルギーが平衡に保たれる位置で両者の水位が決まる。その位置は前記連通孔P3の下端の位置より下にあり、前記H型状の内部空間に存在する空気が電解槽E内の液体と貯水タンクT内の液体が給排水パイプPを通って流出入することを防いでいる。
【0030】
もし、前記上中間板P′1が給排水パイプPの上壁に設けられていなかったならば、特許文献4で説明したように、給排水パイプPの上方空間部の空気が水道水と一緒になって電解槽E内に流出することで、液体(酸性水、アルカリ性水及び水道水)が流出入することを防ぐ空気が存在しなくなり、水道水の供給が停止した後に、浸透圧作用により、電気分解された酸性水及びアルカリ性水が給排水孔を通って流出し、水道水が流入することが起こり、電解槽内で適切な濃度に保っている酸性水及びアルカリ性水が水道水により希釈され、また、貯水タンクT内に流出してしまい、強力な除菌効果を示す酸性水及び洗浄効果を示すアルカリ性水が得られない。
【0031】
このように、前記上中間板P′1が給排水パイプPの上壁に設けられたことで、空気が前記H型状の内部空間に残存するが、前記水道水の位置エネルギーが平衡に保たれる位置の決定の仕方について以下に説明する。
最初に、図3(a)で示すように、中間部屋PB及び給排水部屋PAの上方部屋PCの内部空間の体積を計算し、次に、その得られた体積を給排水パイプPに対して中間板Pを水平にカットして得られた面積で割った値(H′)を求める。そして、前記連通孔P3の下端部の位置(下中間板P′2の上端部の位置)から上壁までの高さ(h)が、前記H′の値より小さくなるように前記給排水パイプPの連通孔の下端部を設ける位置を設計する。
【0032】
上記のように設計する連通孔の下端部の位置(h)が図3(c)に示されているが、水位の位置から前記給排水パイプPの上壁までの高さ(H)は、上記したH′の値より僅かながら小さい値で、前記H型状の内部空間に残存する空気が水圧により圧縮されることにより、小さい値となっている。そのために、当然のことながら、通孔の下端部の位置(h)は、前記HがH′の値より僅かながら小さい値であることを考慮して決める必要がある。
【0033】
次に、貯水タンクT内の水道水が排出された時、酸性水及びアルカリ性水が電解槽Eから貯水タンクTへ排出される流れを以下に説明する。
最初に、塩の飽和水溶液が電解槽Eで電気分解により酸性水及びアルカリ性水に生成されるまでの工程を説明する。図示されていないが、貯水タンクTの外側又は離れた位置に塩の飽和水溶液を貯留する塩ユニットが備えられており、塩の飽和水溶液は水中ポンプにより連結パイプ5を通って補助槽Aに供給される。補助槽Aに供給された飽和水溶液は、図2に示すように、水平状の板からなる水平隔壁31の連通孔を通って酸及びアルカリ電解槽E1、E2に流入する。飽和水溶液は流入する間に水道水により希釈され、その希釈された飽和水溶液は、電解槽Eで電気分解により酸性水及びアルカリ性水を生成する。
【0034】
上述したように、使用者が排水レバーLを操作すると、貯水タンクT内の水道水がトイレへ排出され、水道水の水位15が下降して殺菌・洗浄装置EQの底部の位置に達する。水位が前記底部の位置に達すると、図3(c)に示すように、給排水部屋PAの下方部屋PDの水道水が給排水孔4を通って貯水タンクTへ流下して、続いて中間部屋PBの下方部屋PDの電解水(酸性水及びアルカリ性水)の水位が上昇して、電解水が連通孔P3を通って貯水タンクTへ流下していく。
ところで、前記酸給排水孔41の孔径は、アルカリ給排水孔42の孔径より大きいので、酸性水の排出流量はアルカリ性水よりはるかに多く、そのために、排水レバーLの操作と同時に酸性水は殺菌・洗浄装置EQから排出され、アルカリ性水は殺菌・洗浄装置EQに残留していることは上述したとおりである。
なお、給排水孔の形状を円形として説明したが円形に限定する必要はなく、形状が四角形、三角形、楕円形等の形状でも良い。但し、円形でない場合には、酸給排水孔の面積がアルカリ給排水孔の面積より大きいことが重要である。
【0035】
図4は、一つの実施形態である殺菌・洗浄装置の正面の側壁を取り払った正面縦断面図である。
図4の構造と上記した図3の構造との違いは、図4の構造は酸及びアルカリ補助槽A1、A2、フロートスイッチ7、塩素ガス排出部6及びクランク隔壁31を備えているが、図3の構造はそれらのものを備えていない点で相違し、他の構造は全て一致しているので、図3の構造で用いた符号を図4の同一部材に付与して示してある。
【0036】
殺菌作用を奏する酸性水はトイレに排出する時に大量に必要であるのに対して、洗浄作用を奏するアルカリ性水はトイレに排出する必要がないので、酸電解槽E1の容積はアルカリ電解槽E2のそれより大きく設計されている。そのために、隔膜2は中央の位置より左側に寄った位置に配置され、給排水パイプPは酸給排水パイプP1の横幅がアルカリ給排水パイプP2のそれより大きく設計されている。
前記隔膜2の上辺に沿って塩素ガス排出部6が設けられている。この塩素ガス排出部6は、酸電解槽E1で電気分解により発生した塩素ガスを集める庇状の塩素ガス集気板61と、その塩素ガスをアルカリ電解槽E2に排出する塩素ガス通気口62から構成されている。
【0037】
アルカリ電解槽E2に塩素ガスを排出することで、

となり、塩素ガスはアルカリ側で次亜塩素酸イオンと無害の塩化物イオンに変化する。
アルカリ電解槽E2で電気分解により生成された強アルカリ性水は、前記塩素ガス通気口62より逆流することを若干許し、酸電解槽E1のpH値が極端に酸性側によらないようにすることで、次亜塩素酸の濃度を高く保つことができる。
【0038】
図5は図4のA−A線から横断面に切断した横断面平面図である。
隔膜2の右側にある酸給排水パイプP1の中間の位置に中間板P′が設けられ、その右側に円形の酸給排水孔が設けられて、同様に、隔膜2の左側にあるアルカリ給排水パイプP2の中間の位置に中間板P′が設けられ、その左側に円形のアルカリ給排水孔が設けられ、酸及びアルカリ給排水パイプP1、P2の後方に陽極電極及び陰極電極が設けられている。
【0039】
ここで、図4に基づいて塩の飽和水溶液が電解槽Eで電気分解により酸性水及びアルカリ性水を生成するまでの工程を説明する。
最初に、水道水の水位が上昇して水位15に到達すると、フロートスイッチ7がその水位の感知により稼働して水道水を停止すると共に、水中ポンプ82が駆動して塩の飽和水溶液が連結パイプ5を通って酸補助槽A1に供給され、該酸補助槽A1に供給された飽和水溶液は、図4に示すように、クランク状の板からなるクランク隔壁31及び垂直隔壁32の連通孔を通って酸及びアルカリ電解槽E1、E2に流入する。飽和水溶液は流入する間に水道水により希釈され、その希釈された飽和水溶液は、酸及びアルカリ電解槽E1、E2で電気分解により酸性水及びアルカリ性水を生成する。
【0040】
図6は、塩の飽和溶液が貯留されている塩ユニット8から殺菌・洗浄装置EQへの飽和溶液の流れを示す説明図である。
前記塩ユニット8は塩の飽和溶液を貯蔵しておく容器であり、その容器には制御回路タイマー81と水中ポンプ82が設けられており、貯水タンクTの外側又は離れた位置に設けても良く、フロートスイッチ15の稼働により水中ポンプ82が駆動して適量の塩の飽和水溶液が連結パイプ5を通って酸補助槽A1に供給される。そのために塩ユニット8の水位が下がるが、サイホンの原理により殺菌・洗浄装置EQの液体が連通パイプ5を通って水位を一定に保つ。
【実施例】
【0041】
図7は殺菌・洗浄装置EQの給排水パイプPの一つの実施例を示す縦及び横断面図である。図7には、各部材に対して符号が示されていないが、図2、図4及び図5で示した符号と同じものを示しているものとして、以下の実施例を説明する。
前記殺菌・洗浄装置EQの横幅、高さ、奥行きの大きさは、82mm、145mm、34mmと非常に小型であり、図1に示すように水道水を供給するのを停止した後の水位の位置であれば、貯水タンクTの何れの場所にでも簡便に設置することができる。
図7は、酸給排水パイプP1とアルカリ給排水パイプP2の大きさを示す図である。
前記給排水パイプPは、外壁p、連通孔P3を有する中間板P′、貯水タンクTに通じる給排水孔4及び酸及びアルカリ電解槽E1、E2に通じる流出入孔P4からなることは既述したとおりである。前記外壁p及び中間板P′の厚さは3mmで、その外壁pと中間板P′で形成される前記酸給排水パイプのH型状の内部空間の大きさは、横幅、高さ、奥行きが26mm、50mm、17.5mmで、前記連通孔P3の高さは10mmで、前記給排水孔4の孔径及び流出入孔P4の高さは6mm及び5mmである。同様に、前記アルカリ給排水パイプのH型状の内部空間の大きさは、横幅、高さ、奥行きが21mm、50mm、15mmで、前記連通孔P3の高さは10mmで、前記給排水孔4の孔径及び流出入孔P4の高さは3mm及び5mmである。
【0042】
次に、水道水を供給するのを停止した後の給排水パイプ内の水位を上記した実施例に示したH型状の内部空間の大きさから求めてみる。
最初に、酸給排水パイプP1内の水位の求め方を説明する。図3(a)の酸給排水パイプP1のH型状の内部空間が示すように、空気は前記H型状の内部空間のうち水道水が占めている以外の空間を占めているから、その空気の占めている空間の大きさを求める。
そのために、最初に、(1)連通孔P3の下端部から上の給排水部屋PAの上方部屋PCを求め、次に、(2)流出入孔P4の上端部から上の中間部屋PBを求めて、これら求めた値を合計すれば前記空気が占める空間の大きさが算出できる。なお、前記空気が占める空間に対して、連通孔P3の空間の占める割合は非常に小さいので求めないこととする。その後に、(3)給排水パイプPの断面積のうち空気が占める空間の面積を求めて、上記算出された空気が占める空間の大きさを該空間の面積で割れば、給排水パイプPの上壁から水位までの距離が得られるので、給排水パイプPの上壁までの距離からその上壁から水位までの距離を引けば、前記水道水を供給するのを停止した後の給排水パイプ内の水位が得られる。
【0043】
上記(1)の値は3306.25mmであり、(2)の値は5951.25mmなので、前記空気が占める空間の大きさは5951.25mmである。上記(3)の値は264.5mmであるから、前記給排水パイプPの上壁までの距離は35mmである。従って、給排水パイプPの上壁までの距離、50mmから上壁から水位までの距離、35mmを引けば、前記給排水パイプ内の水位は15mmである。
同様に、アルカリ給排水パイプP2内の水位を求めてみる。
上記(1)の値は2025mmであり、(2)の値は4050mmなので、前記空気が占める空間の大きさは6075mmである。上記(3)の値は162mmであるから、前記給排水パイプPの上壁までの距離は37.5mmである。従って、給排水パイプPの上壁までの距離、50mmから上壁から水位までの距離、37.5mmを引けば、前記給排水パイプ内の水位は12.5mmである。
【0044】
以上のように、水道水を供給するのを停止した後の、酸給排水パイプP1内の水位15mm、アルカリ給排水パイプP2内の水位12.5mmから、酸給排水パイプP1の連通孔P3の下端部25mmより10mm下にあり、アルカリ給排水パイプP2の連通孔P3の下端部の位置25mmより12.25mm下、即ち、下中間板P′2の高さの半分の位置にあることが分かる。このことから、給排水パイプP内の水位は、連通孔P3の下端部より下中間板P′2の高さの半分の位置から10mmの範囲に設計すれば良い。
【0045】
上記実施例の給排水孔4の形状は円形であり、酸給排水孔41の孔径は6mmであるのに対して、アルカリ給排水孔42の孔径は3mmであるから、酸給排水孔41の孔径が2倍大きいことが分かる。しかしながら、給排水孔4の形状は、上記したように四角形、三角形、楕円形等の形状でも良いが、円形でない場合には、給排水孔の面積が重要であるが、給排水孔4の孔径がアルカリ給排水孔の孔径の2倍大きいことは、面積でいえば4倍大きいことを意味している。従って、円形以外の四角形、三角形、楕円形等の形状の給排水孔4を用いる場合には、酸給排水孔の面積がアルカリ給排水孔の面積の4倍に設計することが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】殺菌・洗浄装置を内蔵した貯水タンクの正面縦断面図である。
【図2】水道水で希釈された飽和電解質溶液が電気分解されて生成された酸性水及びアルカリ水が、殺菌・洗浄装置EQに貯留された状態を示す概念図である。
【図3】水位が前記底部の位置から僅かに上昇した時から、貯水タンクTが水位15に到達して電気分解を開始するまでの、給排水パイプPへの水道水の流れの状態を示す説明図である。
【図4】殺菌・洗浄装置の正面の側壁を取り払った正面縦断面図である。
【図5】図4のA−A線から横断面に切断した横断面平面図である。
【図6】塩ユニット8から殺菌・洗浄装置EQへ塩の飽和溶液の流れを示す説明図である。
【図7】殺菌・洗浄装置EQの給排水パイプPの一つの実施例を示す縦及び横断面図である。
【符号の説明】
【0047】
EQ …殺菌・洗浄装置
T …貯水タンク
E …電解槽
E1 …酸電解槽
E2 …アルカリ電解槽
A …補助槽
A1 …酸補助槽
A2 …アルカリ補助槽
P …給排水パイプ
P1 …酸給排水パイプ
P2 …アルカリ給排水パイプ
p …外壁
PA …給排水部屋
PB …中間部屋
PC …上方部屋
PD …下方部屋
P′ …中間板
P′1…上中間板
P′2…下中間板
P3 …連通孔
P4 …流出入孔
1 …電極
11 …陽極電極
12 …陰極電極
15 …水位線
2 …隔膜
3 …隔壁
31 …水平隔壁(クランク隔壁)
32 …垂直隔壁
4 …給排水孔
41 …酸給排水孔
42 …アルカリ給排水孔
5 …連通パイプ
6 …塩素ガス排出部
61 …塩素ガス集気板
62 …塩素ガス通気口
7 …フロートスイッチ
8 …塩ユニット
81 …制御回路タイマー
82 …水中ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有隔膜電解法により酸性水とアルカリ水とを生成する水洗トイレ用殺菌・洗浄装置であって、
前記水洗トイレ用殺菌・洗浄装置が水洗トイレの貯水タンクに内蔵され、電解質溶液から酸性水を生成する酸電解槽とアルカリ性水を生成するアルカリ電解槽とが板状の垂直隔壁を介して併設され、その垂直隔壁の下端部に設けられた隔膜とからなる電解槽と、その上に飽和電解質溶液を一時貯蔵する補助槽と、該電解槽と該補助槽との間に板状の水平隔壁とが設けられ、前記酸電解槽内にはH型状の内部空間を形成する外壁を有する酸給排水パイプと、前記アルカリ電解槽内にはH型状の内部空間を形成する外壁を有するアルカリ給排水パイプが備えられ、その酸及びアルカリ給排水パイプの下方に前記貯水タンクと連通する酸及びアルカリ給排水孔が設けられていることを特徴とする水洗トイレ用殺菌・洗浄装置。
【請求項2】
前記H型状の内部空間を形成する外壁が前記酸及びアルカリ給排水パイプの空間を垂直に2分割して両者を連通させる連通孔を有する中間板で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置。
【請求項3】
水道水供給の停止後の前記給排水パイプの水位が前記連通孔より下にあることを特徴とする請求項2に記載の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置。
【請求項4】
前記給排水パイプの水位が前記連通孔の下端部から下中間板の高さの半分の位置から10mmの範囲にあることを特徴とする請求項3に記載の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置。
【請求項5】
前記給排水パイプが前記外壁、前記連通孔を有する中間板、前記貯水タンクに通じる給排水孔及び前記酸及びアルカリ電解槽に通じる流出入孔からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置。
【請求項6】
前記酸給排水孔の面積が前記アルカリ給排水孔のそれより大きいことを特徴とする請求項1に記載の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置。
【請求項7】
前記酸給排水孔の形状が円形であることを特徴とする請求項6に記載の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置。
【請求項8】
前記酸給排水孔の孔径が前記アルカリ給排水孔の孔径の2倍あることを特徴とする請求項7に記載の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置。
【請求項9】
前記酸給排水孔の面積が前記アルカリ給排水孔の面積の4倍であることを特徴とする請求項6に記載の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置。
【請求項10】
前記板状の垂直隔壁に塩素ガスを集めてアルカリ電解槽に排出する塩素ガス排出部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置。
【請求項11】
前記塩素ガス排出部が塩素ガスを集める庇状の塩素ガス集気板と、その塩素ガスをアルカリ電解槽に排出する塩素ガス通気口からなることを特徴とする請求項10に記載の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置。
【請求項12】
前記電解槽と、前記補助槽と、前記酸及びアルカリ給排水パイプの外壁とが一体成形されていることを特徴とする請求項1に記載の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置。
【請求項13】
前記水洗トイレ用殺菌・洗浄装置の形状が直方体であることを特徴とする請求項12に記載の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置。
【請求項14】
前記水洗トイレ用殺菌・洗浄装置が連通パイプを介して塩ユニットに連通していることを特徴とする請求項1に記載の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置。
【請求項15】
前記塩ユニットが塩の飽和溶液を貯蔵しておく容器であり、その容器には制御回路タイマーと水中ポンプが設けられていることを特徴とする請求項14に記載の水洗トイレ用殺菌・洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−7281(P2010−7281A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165400(P2008−165400)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(504182303)株式会社アインテスラ (14)
【Fターム(参考)】