説明

水洗トイレ用芳香洗浄剤及びその製造方法

【課題】液体成分の配合量を多くすると、保形性が悪くかつ洗浄剤が柔らかなってベトツクという問題を解決する水洗トイレ用洗浄剤を提供する。
【解決手段】少なくとも、界面活性剤、色素、香料からなる固形の水洗トイレ用芳香洗浄剤において、中心軸層を有し、各層の軸周りの周囲を次の層が順次覆う、2以上の層からなり、少なくとも一つの組み合わせの2層間で、層中の液体成分量(香料及び色素を除く)が異なる洗浄剤であって、最外層には液体成分(香料及び色素を除く)を配合しないことを特徴とする水洗トイレ用芳香洗浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗トイレ用芳香洗浄剤及びその製造方法、特に、中心軸層とその周囲を順次覆う2以上の層からなる水洗トイレ用芳香洗浄剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水洗トイレ用芳香洗浄剤は、主に界面活性剤、香料、色素からなる組成物であって、単一層の固形層で形成されているため、次のような不都合があった。例えば、これらの洗浄剤は、水洗タンク上の容器に設置して使用されるが、通常これらの洗浄剤は包装フィルムに包まれており、詰め替え時には包装フィルムを破いて取りだし前記容器に設置することになる。しかし、袋から出にくい柔らかい洗浄剤を取り出す場合や、また袋から出した洗浄剤が倒れるとそれを起こす場合に、洗浄剤に直接手が触れることがあり、その場合、手に付着した洗浄剤の色素は、石鹸等で洗浄しても取れにくいため、不快感が使用者に長期間残る問題があった。
【0003】
次に、液体成分の配合量を多くすると、保形性が悪くかつ洗浄剤が柔らかくベトツク問題があり、また香料を配合する場合は、固形層全体にほぼ均一に配合されるため、使用初期の香りを多くしたり、使用後期の香りを多くする対応が困難であった。さらに、色素を有する洗浄剤の場合、キレート剤や酵素といった微量成分を配合しても、その配合状態を使用者に認識させ、商品価値を高めることが困難であり、また便器の黄ばみを除去するための漂白剤と色素等は化学反応するため、単一の洗浄剤に配合することができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、取扱い時に色素の付着しやすい問題や液体成分の配合量を多くできない問題を解決できると共に、前記香りのコントロールが可能であって、しかも前記微量成分の配合による商品価値の向上と相互に化学反応する複数の成分の配合が可能な水洗トイレ用芳香洗浄剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するため、鋭意研究した結果、中心軸を有する複数の層からなる洗浄剤とし、任意の複数の層間で、層中の成分が異なるようにすれば、前記問題を解決できる洗浄剤が得られることを見出だし、また複数の中空の金型の組み合わせを工夫すれば、これらの洗浄剤を機械的に簡単に製造し得ることを見出だし、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明のうち第1の発明は、少なくとも、界面活性剤、色素、香料からなる固形の水洗トイレ用芳香洗浄剤において、中心軸層を有し、各層の軸回りの周囲を次の層が順次覆う、2以上の層からなり、少なくとも一つの組合わせの二層間で、層中の少なくとも一つの成分が異なることを特徴とする水洗トイレ用芳香洗浄剤である。
【0007】
ここで、「少なくとも一つの組合わせの二層間」の二層は、任意に選択でき、隣接する二層であっても、二層が離れていてもよい。例えば中心軸層と最外層であってもよい。また、「少なくとも一つの組合わせの二層」であるから、三つ以上の層で成分が異なっていてもよいし、複数の組合わせの二層間で成分が異なっていてもよい。一方、「一つの成分が異なる」とは、その成分の種類が異なる場合のみならず、種類が同じであっても、その成分の性質若しくは配合量が異なる場合も含む。その成分の有無による相違は勿論含まれる。また、「少なくとも一つ」であるから、複数の成分が異なっていてもよいのは勿論である。なお、2以上の層(好ましくは2以上であって数個〜数十個までの層)からなる洗浄剤の断面形状は問わない。例えば、円形、楕円形、三角形、四角形、多角形、星型、ハ−ト型等を含む。また、洗浄剤の各層の断面形状は、これらの断面形状の二以上の組合わせであってもよい。例えば、中心軸層が星型でその外側層が円形、中心軸層が星型でその次の層が三角でそのまた次の層が円形、中心軸層がハート型でその次の層が四角形等が例示される。
【0008】
本発明に用いる界面活性剤は、いわゆる、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、その他の界面活性剤のいずれであってもよいが、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤が好ましい。なお、これらの界面活性剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0009】
本発明に用いる色素は、水溶性の色素であれば特に限定されないが、具体的には、青色1号、青色2号、青色3号、黄色3号、黄色4号、黄色202号、赤色106号、赤色2号、赤色3号などが例示される。
【0010】
本発明に用いる香料は、特に限定されないが、具体的には、ローズ油、グレープフルーツ油、パイン油などの天然香料又はリモネンなどの合成香料及びこれらの混合物が例示される。
【0011】
本発明には、また、ビルダー、溶解調節剤、その他微量成分として、キレート剤、酵素、消臭剤、撥水剤等が配合されていてもよい。さらに、滑沢剤、離型剤等の他の配合剤が配合されていてもよい。
【0012】
本発明に用いるビルダーとしては、水溶性の充填剤であればいずれも使用できるが、具体的には、アルカリ金属の塩化物、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩等の水溶性無機充填剤、及び炭素数が2〜10のカルボン酸、炭素数が2〜10のヒドロキシカルボン酸、ポリカルボン酸やヒドロキシポリカルボン酸等の有機酸並びにそれらの塩、炭素数が2〜10のアミノカルボン酸、アミノポリカルボン酸若しくはポリアミノカルボン酸又はそれらの塩等水溶性有機充填剤が例示できる。なお、これらのビルダーは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0013】
本発明に用いる溶解調節剤としては、カルボキシメチルセルロース塩、水溶性であって熱可塑性のオリゴマーやポリマー、例えばゼラチン、寒天等を、例示することができる。
【0014】
このように構成すると、目的に応じ、各層に配合する成分の種類、性質、量を変えることができるので、以下に示すように、前記課題が解決できる。例えば、(1) 二つ以上の同心軸層の最外層に色素を配さず、それより内側の層に色素(例えば、青色)を配合すれば、洗浄水の色(青色)は確保できて、しかもこの洗浄剤に手が振れても、色素が付着しない効果が得られ、前記使用者に与える長期の不快感の問題を解決できる。
【0015】
また、(2) 液体成分(香料及び色素を除く、以下同じ)の配合量をより内側の層で多くし、より外側の層に固形成分を多く配合するようにすれば、液体成分は内層に閉じ込められるので、洗浄剤の保形性とベトツキの問題が解決でき、(3) 香料を配合する場合も、最外層により多くの香料を配合すれば使用初期の香りを多くし、より内側の層により多くの香料を配合すれば使用後期の香りを多くすることが可能である。また、(4) 最外層に色素を配合せず、色の付いた微量成分(キレート剤や酵素等)を配合すれば、その配合状態を使用者に認識させ、商品価値を高めることができ、(5) 二層の各層に化学反応成分を分離して配合し、その成分による化学反応を防止できる。さらに、これら(1) 〜(5) の配合の2以上の組み合わせも可能である。
【0016】
本発明のうち第2の発明は、第1の発明のうち、少なくとも一つの組合わせの二層間で、色素が異なることを特徴とする水洗トイレ用芳香洗浄剤である。このように、構成すれば、各層に配合する色が使用時の洗浄水中では混合色となり、商品には色層分離による意匠的効果を付与しつつ、使用時には、新鮮な混合色の洗浄水にすることができる。また、前記したように、最外層に色素を配合せず、より内側層に色素を配合すれば、洗浄剤に手が振れても、色素が付着しない効果が得られる。
【0017】
本発明のうち第3の発明は、第1の発明のうち、少なくとも一つの組合わせの二層間で、液体成分量及び/又は香料の量が異なることを特徴とする水洗トイレ用芳香洗浄剤である。このように、構成すれば、液体成分の配合量を通常より多くしたい場合でも、その成分をより内側の層に配合し、より外側の層(例えば、最外層)に固形成分を多く配合するようにすれば、従来の単一層の洗浄剤に生じた、柔らかくベトツク洗浄剤の問題が解決できる。香料については、例えばより外側の層により多くの香料を配合すれば香りの立上がりを早くし、より内側の層により多くの香料を配合すれば香りの立上がりを遅くすることが可能である。また、液体成分の配合量の異なる二層と香料の配合量の異なる二層との組み合わせも可能である。
【0018】
本発明のうち第4の発明は、第1の発明のうち、少なくとも一つの組合わせの二層間のより外側部分の層に、水洗トイレ用芳香洗浄剤の微量成分を配合したことを特徴とする水洗トイレ用芳香洗浄剤である。このように、構成すれば、その配合状態を使用者に認識させ、商品価値を高めることが可能である。例えば、最外層に色の着いた微量成分(キレ−ト剤、酵素消臭剤、撥水剤等)を配合し、その層に色素を配合せず、より内側の層に色素を配合した場合である。この場合、使用時の洗浄水の色を、内側層の色素により確保しつつ、洗浄剤の意匠的効果を高めることになる。
【0019】
本発明のうち第5の発明は、第1の発明のうち、少なくとも一つの組合わせの二層の一方と他方に、互いに化学反応する成分を分離して配合したことを特徴とする水洗トイレ用芳香洗浄剤である。以上のように構成すると、互いに化学反応する成分が洗浄剤中に含まれていても、それらの成分は二層に分離されているため化学反応しない。その結果、この洗浄剤は、化学反応による構成成分の機能変化が生ぜず長期間の保存が可能であり、しかも使用時にそれらの成分が流水に溶解しても、瞬時の一部混合であるため、それら成分間の反応はあまり起こらず、各成分の機能は維持される。例えば、漂白剤と色素を二つの層に分離して配合した洗浄剤の場合、便器の黄ばみ除去の漂白剤の機能と洗浄水に色をつける色素の機能がその洗浄剤の長期の保存状態においても、またその洗浄剤の使用時においても維持される。化学反応成分として、その他、酸と塩基の組合わせ等が例示される。
【0020】
本発明のうち第6の発明は、中心軸となる、中空の部分金型(以下、単に部分金型という)に、外側の部分金型の内径が隣接する内側の部分金型の外径より大きくなるようにして、部分金型を順次配置し、かつ前記外側の部分金型のそれぞれの出口部分が隣接する内側の部分金型の出口付近で先細になっている構成の金型を用い、押出成形することを特徴とする第1、2、3、4又は5発明記載の水洗トイレ用芳香洗浄剤の製造方法である。
【0021】
以上のように構成すると、各部分金型に、押出機から洗浄剤原料が圧入されると、その原料は金型内を通過して金型出口に達するが、その際、外側の部分金型のそれぞれの出口部分が隣接する内側の部分金型の出口付近で先細になっているため、出口までは金型壁で隔てられていた各層の原料は、出口付近で外側の層のものが内側の層へと圧縮されて成形されることになる。その結果、それぞれの層が同心軸状に一体的に積層され、各層間に隙間のない洗浄剤が連続して容易に形成される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の洗浄剤によれば、目的に応じ、各層に配合する成分の種類、性質、量を変えることができるので、従来解決できなかった前記課題を解決できる。例えば、 (1)二つ以上の層の同心軸層の最外層に色素を配さず、それより内側の層に色素(例えば、青色)を配合すれば、洗浄水の色(青色)は確保できて、しかもこの洗浄剤に手が振れても、色素が付着しない効果が得られ、前記使用者に与える長期の不快感の問題を解決できる。
【0023】
また、(2) 液体成分の配合量をより内側の層で多くし、より外側の層に固形成分を多く配合するようにすれば、液体成分は内層に閉じ込められるので、洗浄剤の保形性が確保されると共に洗浄剤が柔らかくベトツク問題も解決でき、また(3) 最外層により多くの香料を配合すれば使用初期の香りを多くし、より内側の層により多くの香料を配合すれば使用後期の香りを多くすること(又はその逆)が可能である。さらに、(4) 最外層に色素を配合せず、色の付いた微量成分(キレート剤や酵素等)を配合すればその配合状態を使用者に認識させることができ、商品価値を高めることや、(5) 二層の各層に化学反応成分を分離して配合し、化学反応を防止して、その成分の機能を維持することができる。さらに、これら(1) 〜(5) の配合の2以上の組み合わせも可能である。
【0024】
また、本発明の洗浄剤の製造方法によれば、中心軸となる部分金型及びその回りに順次配置した部分金型に、押出機から洗浄剤原料が圧入されると、その原料は金型内を通過して金型出口に達するが、その際、外側の部分金型のそれぞれの出口部分が隣接する内側の部分金型の出口付近で先細になっているため、出口までは金型壁で隔てられていた各層の原料は、それぞれの出口付近で外側の層のものが内側の層へと圧縮されて成形されることになる。その結果、それぞれの層が同心軸状に一体的に積層され、各層間に隙間のない洗浄剤が連続して容易に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る二層の同心軸層(中心軸層と外層)を形成する洗浄剤の斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る製造方法に用いる押出機の要部を示す概略図である。
【図3】原料成分の混練機と計量供給機を示す概略図である。
【図4】二層洗浄剤の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明するが、本発明はこの実施の形態に示す、洗浄剤とその製造方法に限定されるものではない。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る二つの層(中心軸層と外側層)を形成する洗浄剤の斜視図である。図2は本発明の第2の実施の形態に係る製造方法に用いる押出機の要部を示す概略図であり、1は金型、2は押出機本体である。1aは中心軸となる部分金型であり、1bはその外側の部分金型である。金型1bの内径は金型1aの外径より大きく、金型1aの出口部分で先細となっている。また2aは金型1aに連結された押出機本体であり、2bは金型1bに連結された押出機本体である。図3は原料成分の混練機と計量供給機を示す概略図であり、3は二軸混練機、4は粉体成分の定量供給器、5は液体成分の定量ポンプである。
【0027】
第1の実施の形態に係る二つの層(中心軸層と外側層)を形成する洗浄剤(以下、単に二層洗浄剤という)は、図2の押出機を用い、第2の実施の形態に係る次の方法にて製造する。すなわち、まず、原料の粉体成分は定量供給器4で計量し、液体成分は定量ポンプ5で計量して、二軸混練機3に送り、ここで十分攪拌混練する。この場合、成分の種類、性質、量を変えると原料組成の異なる種々の混練原料が得られる。次に、この混練原料のうち、洗浄剤の中心軸層となる原料は二軸混練機3から押出機本体2aを経由して金型1aに圧送され、外側層用の原料は二軸混練機3から押出機本体2bを経由して金型1bに圧送されるが、金型1bは金型1aの出口部分で先細となっているため、金型1b内の原料はそこで圧縮され、金型1aから出た原料に押しつけられる。その結果、双方の原料により形成される二層は、それまで双方を隔てていた金型1aの金型壁に起因する隙間が埋められることになり、二層間が密着した一体成形体となる。この成形体は、所望の大きさに切断して使用する。
【0028】
以上の如くして製造すれば、例えば、色素を配合した原料と配合していない原料の組み合わせ、異なる色素を配合した原料の組み合わせ、液体成分をより多く配合した原料と液体成分の少ない原料の組み合わせ、又は微量成分を配合した原料と配合していない原料の組み合わせによる、以下の実施例に示す二層洗浄剤を得ることができる。

【実施例】
【0029】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
(参考例1と比較例1)参考例1と比較例1は、中心軸層(表1において中心層という、以下、他の表において同じ)に色素を配合し、その外側層(表1において外層という、以下、他の表において同じ)に色素を配合しない二層洗浄剤に関するものである。参考例1の試料は、界面活性剤として椰子油混合脂肪酸塩(第一工業製薬株式会社製)とポリエチレングリコール(第一工業製薬株式会社製PEG6000P)、ビルダーとして中性無水芒硝(四国化成株式会社製)、溶解調節剤としてカルボキシメチルセルロース塩、色素として青色1号(三国住友化学株式会社製)、香料として香料混合物を用い、表1の如く配合して、前記第2の実施の形態に示す方法にて製造したものである。比較例1の試料も表1の配合に基づき、同様にして製造した。参考例1、比較例1の各試料のいずれも、外側層縁径が32mmであり、中心軸層縁径が22.6mm(体積比1:1)であって、長さ22.0mmのものが得られた。
【0031】
(参考例2、3、4)参考例2、3、4は中心軸層と外側層に異なる色素を配合した二層洗浄剤に関するものであり、各試料は、色素として黄色202号(1)(三国住友化学株式会社製)、赤色106号(三国住友化学株式会社製)を用い、表2に示す如く配合した以外は、前記参考例1の試料と同様にして製造した。なお、各試料の寸法は、いずれも、実施例1の試料の寸法と同じである。
【0032】
(実施例1と比較例2、3)実施例1と比較例2、3は、液体成分の配合量を中心軸層に増やした二層洗浄剤と、外側層に増やした二層洗浄剤に関するものであり、液体成分として椰子油脂肪酸ジエタノールアミド(第一工業製薬株式会社製ダイヤノールCDE)を用い、表3の如く配合した以外は前記参考例1の場合と同様にして製造した。また、各試料の寸法は、いずれも参考例1の試料の寸法と同じである。
【0033】
(参考例5)表1の参考例1の外側層の原料組成に、微量成分として褐色の酵素(長瀬産業株式会社製ビオプラーゼ)を該原料の1.0重量%の割合で配合した以外は、参考例1と同様の組成、同様の方法にて製造し、同様の寸法のものが得られた。
【0034】
(物性試験方法)表1の「洗浄剤による手の汚れ」、「洗浄剤のベトツキ」は、洗浄剤を指で軽く摘んだ時の、指への色素の着色の程度とベトツキ感で判断した。
【0035】
表2の洗浄剤による洗浄水の色は、図4の容器(上部及び下部に孔がある)に二層洗浄剤を入れ、水洗トイレの貯水タンク上で使用した場合の便器に流れる洗浄水の色を目視観察で評価した。なお、図4の容器を使用すると、上方からの流水は直接洗浄剤にかからず、容器の上部の孔から容器に入り内壁を伝って底部に流れ、また底部の孔からも水は容器内に入るので、洗浄剤は、水に漬かった底部の表面から溶け出すことになる。
【0036】
表3の「洗浄剤の保形性」は、10名のモニターにより、洗浄剤を指で軽く摘んだ時の変形度で評価した。
【0037】
【表1】

【0038】
表1に示すように、外側層に色素を配合していない参考例1は、明らかに手の汚れを生じないのに対し、外側層に色素を配合している比較例1は手に汚れを生じる。
【0039】
【表2】

【0040】
表2示すように、外側層に青色を中心軸層に黄色の色素を配合した参考例2からは緑色の洗浄水が、外側層に青色を中心軸層に赤色の色素を配合した参考例3からは紫色の洗浄水が、外側層に赤色を中心軸層に黄色の色素を配合した参考例4からはオレンジ色の洗浄水が得られ、外側層と中心軸層の色素をそれぞれ置き換えても同様の色の洗浄水が得られた。すなわち、各層に異なる色素を配合すれば、使用時の洗浄水中ではそれらの混合色となるので、二層洗浄剤には色層分離による意匠的効果を付与しつつ、使用時には、新鮮な混合色の洗浄水にすることができる。
【0041】
【表3】

表3に示すように、液体成分である椰子油脂肪酸ジエタノールアミドを中心軸層に多く配合した実施例1の保形性はよいが、それを外側層に配合した比較例3は不良となり、それを中心軸層と外側層に半分ずつ配した比較例2はやや不良となっている。このことは、従来液体成分が配合できなかった組成の原料でも、それを中心軸層に配合すれば、保形性が維持できた。また、ベトツキ感も実施例1には認められなかったが、比較例2、3には認められ、特に比較例3は著しかった。
【0042】
さらに、表1の外側層の原料組成(色素を配合していない)に微量成分として褐色の酵素を配合した参考例5の試料は、褐色の酵素が斑点状に二層洗浄剤の外側層の表面に表れ、その意匠的効果が認められた。
【符号の説明】
【0043】
1・・・ 金型、1a・・・ 中心軸となる部分金型、1b・・・ その外側の部分金型、2・・・ 押出機本体、2a・・・ 金型1aに連結された押出機本体、2b・・・ 金型1bに連結された押出機本体、3・・・ 混練機、4・・・ 粉体成分の定量供給器、5・・・ 液体成分の定量ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、界面活性剤、色素、香料からなる固形の水洗トイレ用芳香洗浄剤において、中心軸層を有し、各層の軸周りの周囲を次の層が順次覆う、2以上の層からなり、少なくとも一つの組み合わせの2層間で、層中の液体成分量(香料及び色素を除く)が異なる洗浄剤であって、最外層には液体成分(香料及び色素を除く)を配合しないことを特徴とする水洗トイレ用芳香洗浄剤。
【請求項2】
少なくとも一つの組み合わせの二層間で、色素が異なることを特徴とする請求項1記載の水洗トイレ用芳香洗浄剤。
【請求項3】
少なくとも一つの組み合わせの二層間で、香料の量が異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の水洗トイレ用芳香洗浄剤。
【請求項4】
中心軸となる、中空の部分金型(以下、単に部分金型という)に、外側の部分金型の内径が隣接する内側の部分金型の外径より大きくなるようにして、部分金型を順次配置し、かつ前記外側の部分金型のそれぞれの出口部分が隣接する内側の部分金型の出口付近で先細になっている構成の金型を用い、押出成形することを特徴とする請求項1,2又は3に記載の水洗トイレ用芳香洗浄剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−43264(P2010−43264A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197520(P2009−197520)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【分割の表示】特願平10−285374の分割
【原出願日】平成10年10月7日(1998.10.7)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】