水洗便器
【課題】便蓋を開けることなく便器内部が意図した位置や角度からは視認でき、かつ通常の使用時の位置や角度からは不快感を与えることがない水洗便器を提供する。
【解決手段】便蓋5や便器本体の使用材料について、光を透過させる第1の面とその第1の面と方向が異なり、かつ光を散乱させる第2の面とが交互に形成されることにより構成された複数の溝を一方の面に有する選択性透明部を設けた材料にて便器、便蓋など主要な部材を構成した。
【解決手段】便蓋5や便器本体の使用材料について、光を透過させる第1の面とその第1の面と方向が異なり、かつ光を散乱させる第2の面とが交互に形成されることにより構成された複数の溝を一方の面に有する選択性透明部を設けた材料にて便器、便蓋など主要な部材を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器、特に水洗便器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に水洗便器に限らず、便器は不透明な陶器で製造されている。また、最近では、軽量化及び低コスト化を図るために、樹脂製の水洗便器も使用されるようになってきているが(例えば、特許文献1)、透明な樹脂で作製されているものはない。
また、一般的に便器は透明である必要はなく、むしろ不透明である方が不快感がなく好まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−328827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、排泄者の健康状態の確認、清掃時の汚れの確認等、便器内部を視認したい場合がある。
その場合、例えば、便蓋を開けることなく便器内部が視認できれば便利である。
【0005】
そこで、本発明は、便蓋を開けることなく便器内部が視認できかつ通常の使用時に不快感を与えることがない水洗便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するために、本発明に係る水洗便器は、光を透過させる第1の面とその第1の面と方向が異なりかつ光を散乱させる第2の面とが交互に形成されることにより構成された複数の溝を一方の面に有する選択性透明部を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る水洗便器では、前記選択性透明部において、前記一方の面に対向する他方の面に対する前記第1の面の角度が、便器使用者が視認する方向、視認すべき便器内部の位置及び前記選択性透明部を構成する部材の屈折率に基づいて設定されていることが好ましい。
【0008】
前記選択性透明部において、前記他方の面に対する前記第2の面の角度が、便器使用者が視認する方向、視認すべき便器内部の位置及び前記選択性透明部を構成する部材の屈折率に基づいて設定されていることが好ましい。
【0009】
前記第1の面は表面粗度を細かくして前記第2の面より光の透過性を向上させた面であってもよい。
【0010】
前記選択性透明部において、前記第1の面は互いに平行であり、前記第2の面は互いに平行であってもよい。
【0011】
前記選択性透明部において、前記第1の面及び前記第2の面の少なくとも一方の角度を順次変化させてもよい。
【0012】
前記一方の面は、便器内面であってもよい。
【0013】
前記選択性透明部を構成する複数の溝を覆う平坦な透明板を設けてもよい。
【0014】
前記選択性透明部が便蓋に設けられていてもよい。
【0015】
前記選択性透明部が便蓋に回転可能に設けられていることが好ましい。
【0016】
前記選択性透明部が便器本体に設けられていてもよい。
【0017】
前記便器内部が視認できない方向は、使用者が便器正面に立つ位置に基づいて設定されていることが好ましい。
【0018】
前記便器内部が視認できる方向は、便器使用者が便器を上又は横から見る目の位置に基づいて設定されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上のように構成された本発明に係る水洗便器は、光を透過させる第1の面とその第1の面と方向が異なりかつ光を散乱させる第2の面とが交互に形成されることにより構成された複数の溝を一方の面に有する選択性透明部を備えているので、所定の方向から見ると便蓋を開けることなく便器内部が視認できかつ通常の使用時には内部が視認できないようにできる。
したがって、本発明によれば、便蓋を開けることなく便器内部が視認できかつ通常の使用時に不快感を与えることがない水洗便器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る実施形態1の水洗便器の構成を示す断面図である。
【図2A】実施形態1の水洗便器において、斜め前から見たときの見え方を示す斜視図である。
【図2B】実施形態1の水洗便器において、上から便蓋5を介して便器内部を見たときの見え方を示す平面図である。
【図2C】実施形態1の水洗便器において、便蓋5を開けた状態で上から便器内部を見たときの見え方を示す平面図である。
【図3A】実施形態1において、便蓋5を構成する選択性透明部の構造を模式的に示す断面図であり、上から見たときの光の経路を示している。
【図3B】実施形態1において、便蓋5を構成する選択性透明部の構造を模式的に示す断面図であり、斜め前から見たときの光の経路を示している。
【図4】実施形態1において、便蓋5を構成する選択性透明部の構造を模式的に示す断面図であり、上から見たときの光が屈折する様子を示している。
【図5A】実施形態1において、傾斜溝角度Zが60度である場合の傾斜溝構造を示す断面図である。
【図5B】実施形態1において、傾斜溝角度Zが45度である場合の傾斜溝構造を示す断面図である。
【図5C】実施形態1において、斜溝角度Zが30度である場合の傾斜溝構造を示す断面図である。
【図6】本発明に係る実施形態2の水洗便器の構成を示す断面図である。
【図7A】実施形態2において、回転テーブルを通常位置としたときの場合の見え方を示す斜視図である。
【図7B】実施形態2において、回転テーブルを通常位置から90度回転させたときの見え方を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る変形例の水洗便器の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施形態の水洗便器について説明する。
実施形態1.
図1は、本発明に係る実施形態1の水洗便器の構成を示す断面図である。
この図1には、例えば、樹脂からなる水洗便器を例示しており、便器本体は、ボウル部1とスカート部2とリム部3とを含む。そして、その便器本体には、便座4が取り付けられて、その上に便蓋5が取り付けられる。
【0022】
ボウル部1は、図1に示すように、下方に向かって開口径が徐々に小さくなっており、上方に洗浄水を供給する洗浄水供給口とそれに繋がる洗浄水流路を有し、下端に排水管部1aを有する。このボウル部1において、洗浄水供給口から供給された洗浄水は、洗浄水流路端の吐出口から吐出されてボウル部1の内壁を洗浄する。
【0023】
スカート部2は、ボウル部1を所定の高さ及び位置に保持し、便器全体の強度を強化するものである。このスカート部2には、より強度を高めるために必要に応じ適宜補強リブを設けるようにしてもよい。また、スカート部2の内部には、ボウル部1の洗浄水供給口に繋がる給水管及び排水管部に接続される排水管を取り付けるスペースが確保される。
尚、図1において、20の符号を付して示すものは、排水経路ボックスである。
【0024】
リム部3は、ボウル部1の上端部に接合される環状部材であり、この上面に便座4が載置される。尚、リム部3に洗浄水流路を形成してもよい。
【0025】
このボウル部1とスカート部2とリム部3は、例えば、合成樹脂を用いて射出成形等により作製することができ、合成樹脂製のボウル部1、スカート部2、リム部3は溶着により水漏れがないように一体化できる。
【0026】
ここで、特に、本実施形態1の水洗便器では、便蓋5が便器内部が視認できる方向と便器内部が視認できない方向とを持った選択性透明部により構成されていることを特徴とする。例えば、便器内部が視認できる方向と便器内部が視認できない方向とは使用者の便宜を考えて設定されている。
尚、便器内部が視認できる方向及び便器内部が視認できない方向は、特定の一方向を言うのではなく、それぞれ一定の範囲内にある方向をいう。すなわち、視認方向が選択性透明部の構造により定まるある一定の範囲内にあるときには便器内部を視認することができ、その範囲外の方向から見たときには便器内部が視認できないという意味である。
【0027】
図2A〜図2Cには、視認方向により便器内部の見え方が異なる様子を示している。
例えば、図2Aには、斜め前に立った使用者が実施形態1の水洗便器を見た場合には便器内部が見えないことを示している。ここで、本明細書において、便器の前後は、通常、男性が小用をたす側を前といい、給排水管が設けられる側を後ろという。また、図2Bには、真上から選択性透明部からなる便蓋5を介して視認した場合の便器内部の見え方を示している。さらに、図2Cには、便蓋5を開けた状態で、選択性透明部を介在させることなく視認した場合の便器内部の見え方を示している。
【0028】
図2Bと図2Cとを比較することにより明らかなように、便蓋(選択性透明部)4を介して視認した場合、便蓋5を開けた状態より、排水管1aの内部をより奥の方まで見ることができる。これは選択性透明部の構造に起因するものであり、その点を含め、選択性透明部の構造を以下に説明する。
【0029】
<選択性透明部>
図3A及び図3Bは、本実施形態1において、便蓋5を構成する選択性透明部の構造を模式的に示す断面図(図1のA部を拡大して示す断面図)である。図3A等に示すように、本発明に係る選択性透明部は、光を透過させる第1の面11とその第1の面と方向が異なりかつ光を散乱させる第2の面12とが交互に形成された面を一方の主面に有している。言い換えれば、一方の主面には所定の角度で対向する第1の面11と第2の面12とによって構成される溝(傾斜溝とも言う。)10が複数平行に形成されており、この複数の溝によって選択透過性が実現される。
【0030】
より具体的には、本実施形態1では、真上から選択性透明部からなる便蓋5を介して視認した場合に便器内部の見えるようにするための一例として、光を散乱させる不透明な第2の面12をほぼ垂直に形成し、光を透過させる第1の面11を垂直方向から傾けて形成している。
【0031】
このように第1の面11及び第2の面12(溝10)を形成することにより、便蓋5を真上から見たときには、図3Aに示すように、第1の面11から出射される光によって便器内部を見ることができる。ここで、不透明な第2の面12を垂直に形成した場合には、真上から垂直方向に見下ろしたときに透過光が最大となり、便器内部が最も良く見える。
【0032】
これに対して、視認方向を垂直方向から傾けていくと、図3Bに示すように、徐々に不透明な第2の面12によって光が遮られるようになり、視認方向が垂直方向からある一定の角度(臨界角)以上になると便器内部が全く見えなくなる。尚、この臨界角は、溝10の形状因子、すなわち、第1の面11と第2の面12の最大傾斜方向の長さ(以下、最大傾斜長)、第1の面11と第2の面12とが成す角度(以下、頂角という。)によって決まる。すなわち、第1の面11の最大傾斜長、第2の面12の最大傾斜長及び第1の面11と第2の面12とが成す角度(以下、頂角という。)を適切に設定することにより、所望の視認可能範囲(又は視認が不可能な範囲)が実現できる。
【0033】
また、選択性透明部は、透明板の一方の面50aに複数の溝10を平行に並置して形成することにより構成されるので、透明板の屈折率と大気の屈折率の差に応じて大気との界面で屈折が起こる。図3Aに示すように、便器内の斜め下からの光は選択性透明部の他方の面50b(溝が形成されている一方の面に対向する面)で一度屈折され、さらに第1の面11を透過する際にもう一度屈折される。その結果、便蓋5を介して真上から便器内を見ると、便器内を斜めから除き込んだときのように見え、排水管1aの奥の方まで見ることができる(図2A)。このようにして、本実施形態では、例えば、図2Aに示すように、排水管部1aの奥のほうまでのぞくことができる。
尚、図3Aでは、一方の面50aを溝10の底を結んで示しているが本発明はこれに限定されるものではなく、一方の面が溝10の頂点を含む面であっても良いし、またそれらの間に位置する面であってもよい。
【0034】
図4には、真上から見たときに便器内部のどの方向から来た光が見えるか模式的に示している。図4に示すように、第1の面11の傾きが水平面からZ度であるとすると、第1の面11から垂直方向(真上)に出射される光の出射角は、Z度である。尚、第2の面12をほぼ垂直に形成する場合おいて、Zを傾斜溝角度という。第1の面11から出射角Zで出射されるためには、その光の第1の面11への入射角Rは、選択性透明部を構成する材料の屈折率をNとすると、次の(1)式又は(2)式を満たす必要がある。
SIN(Z)=N × SIN(R)・・・(1)
R=SIN−1((SIN(Z))/N)・・・(2)
【0035】
また、選択性透明部の他方の主面が水平であるとすると、第1の面11に対して入射角Rで入射する光は、他方の主面を通過するときの出射角Qは、図4から明らかなように、(Z−R)となる。したがって、他方の主面から出射角Qで出射される光の他方の主面への入射角をWとすると、当該他方の主面では次の関係式(3)、(4)又は(5)式を満足する必要がある。
SIN(W)=N×SIN(Q)・・・(3)
W=SIN−1(N × SIN(Q))・・・(4)
W=SIN−1(N × SIN(Z−R))・・・(5)
【0036】
例えば、選択性透明部を屈折率Nが1.49であるアクリルを用いて形成した場合、上記式より、例えば、Z=45度の場合はW=25.3度であり、Z=30度の場合はW=15.6度となる。上記式から明らかなように、傾斜溝角度Zが大きいほど光線の曲がり角度が大きくなる。すなわち、より斜めから見たように見え、例えば、排水管をより奥までみることができる。
【0037】
しかしながら、傾斜溝角度Zが大きくなると、第2の面12の面積が大きくなる結果、より多くの光が第2の面12によって遮られるようになり、視認可能範囲が狭くなるとともに便器内部が視認しにくくなる。
【0038】
例えば、傾斜溝角度Zが60度である場合、図5Aに示すように、傾斜溝幅200μm、傾斜溝高さ346.4 μmとすると、第2の面12で遮られることなく第1の面11から出射される有効出射範囲は235.6μm、光が透過しない範囲(無効出射範囲)は164.4 μmとなり、第1の面11全体に対して58%の光が透過することになる。
この場合は使用者の目から見ると傾斜面全体に対して42%が拡散面に遮られて全体として見えにくくなる。視認角度を垂直から傾けていくとさらに見えにくくなる。
【0039】
また、図5Bには、傾斜溝幅が200μmで傾斜溝角度Zが45度である場合を図示している。図5Bに示すように、この場合には、第2の面の12の最大傾斜方向長、すなわち、傾斜溝高さも200μmとなり、第2の面12で遮られることなく第1の面11から出射される有効出射範囲は217μm、光が透過しない範囲(無効出射範囲)は65μmとなり、第1の面11全体に対して76%の光が透過することになる。
この場合には、図5Aに比較して、使用者の目にはアクリル部材の向こう側がほぼはっきりと見える。
【0040】
さらに、図5Cには、傾斜溝幅が200μmで傾斜溝角度Zが30度である場合を図示している。図5Cに示すように、この場合には、第2の面の12の最大傾斜方向長、すなわち、傾斜溝高さも115μmとなり、第2の面12で遮られることなく第1の面11から出射される有効出射範囲は209μm、光が透過しない範囲(無効出射範囲)は21.9μmとなり、第1の面11全体に対して91%の光が透過することになる。
この場合には、図5A及び図5Bに比較して、使用者の目にはアクリル部材の向こう側がよりはっきりと見える。
しかしながら、傾斜溝角度Zが30度である場合には、屈折により曲がってみえる角度がW=15.6度となり、図5A及び図5Bに比較して曲がりが少なくなる。
【0041】
このように、曲がり効果及び使用者から内部がどの程度はっきり見えるようにするか等、使用目的に応じて傾斜溝幅及び傾斜溝角度Zが設定される。その際、例えば、金型による加工性などの製造方法も考慮することは言うまでもない。
【0042】
例えば、便蓋5全体を選択性透明部構造とし、その傾斜溝幅が200μmで傾斜溝角度Zが45度である図5Bの構造を適用した場合、以下のような見え方になる。
便器使用者が便器の正面に立つと使用者の位置からは便蓋に透過性があっても、傾斜溝の第2の面12による乱反射のために内部が白っぽく見え、便器内は見えない。しかしながら、便器の真上方向から見ると、使用者は便器内部が見える。通常、蓋を開けて、上から見ると排水口が見えにくいが、蓋を閉めると傾斜溝構造の屈折により排水口内が斜めからみたように見える。これにより便器内の汚物や汚れが観察しやすくなる。
【0043】
ここで、選択性透明部において、第1の面11は、例えば、表面粗度を小さくして光を透過させ、第2の面12は、例えば、表面粗度を粗くして光を散乱させることができる。
このように、第2の面12の表面粗度を粗くして光を散乱させるようにすると、第2の面による光の反射、散乱により色の変化が生じたり光って見えたりして外観のデザイン性を向上させることが可能になるというさらなる効果が得られます。
【0044】
以上の実施形態1の便蓋は便蓋5の上面(一方の面)に傾斜溝を形成するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、便蓋5の下面(他方の面)に傾斜溝を形成するようにしてもよい。
【0045】
また、以上の実施形態1では、傾斜溝構造全体を覆うように平らな透明板(フラットの透明板)を重ねた2重構造にしてもよい。このようにすると傾斜溝の汚れを防止できる。
【0046】
さらに、以上の実施形態1では、複数の第1の面11は互いに平行になり、複数の第2の面12は互いに平行になるように形成した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、第1の面11及び前記第2の面12の少なくとも一方の角度を順次変化させてもよい。このようにすると、視認方向が同じであっても、溝の位置によって見え方が変わり、外観のデザイン効果を向上させることができる。
【0047】
実施形態2.
本発明に係る実施形態2の水洗便器は、便蓋5全体が選択性透明部により構成されているのではなく、便蓋5の一部を回転可能な回転テーブルとし、その回転テーブル5aを選択性透明部としている。実施形態2の水洗便器のその他の構成については、実施形態1の水洗便器と同様に構成されている。
【0048】
このように構成された実施形態2の水洗便器では、実施形態1の水洗便器と同様の作用効果が得られる上にさらに以下のような効果が得られる。
例えば、実施形態1と同様、便器使用者が便器の斜め前に立ったときに、内部が視認できない通常位置(図7A)から、便蓋5を開けることなく回転テーブル5aを90度回転させると、図7Bに示すように、斜め前の位置から回転テーブル5a(選択性透明部)を介して便器内部を見ることが可能になる。
尚、回転テーブル5aを回転させる角度は、90度に限定されるものではなく、視認したい方向に応じて自由に選択することができる。
【0049】
変形例.
以上の実施形態1及び2では、便蓋5に選択性透明部を形成した例について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図8に示すように、便器の側面等の便器本体に形成するようにしてもよい。例えば、図8に示すように便器の側面に選択性透明部5bを形成するとスカート部2内の配管構造の視認が見る方向によって可能になる。
【0050】
さらに、本発明では、ボウル部1の一部に選択性透明部を形成するようにしてもよい。
この場合、例えば、便器使用者が便器正面に立った時に便器内部が見えないようにし、便器を真横から見た時には便器を透過して便器内部が視認できるようにする。
このようにすると、便器の汚れ確認や、便器配管が詰まった時の確認が可能となる。この時には排水経路の部品も透過性のある部品を使用するようにしてもよい。
【0051】
この変形例において、便器内部が視認できる方向は、便器使用者が便器を横から見る目の位置に基づいて設定され、例えば、使用者が通常立つ位置からは便器内部が視認できないように設定される。このようにすると、使用者が通常立つ位置からは便器内部が視認できないので、使用者に不快感を与えることはない。
【符号の説明】
【0052】
1 ボウル部、1a 排水管部、2 スカート部、3 リム部、4 便座、5 便蓋、5a 回転テーブル、5b 選択性透明部、10 溝(傾斜溝)、11 第1の面、12 第2の面、20 排水経路ボックス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器、特に水洗便器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に水洗便器に限らず、便器は不透明な陶器で製造されている。また、最近では、軽量化及び低コスト化を図るために、樹脂製の水洗便器も使用されるようになってきているが(例えば、特許文献1)、透明な樹脂で作製されているものはない。
また、一般的に便器は透明である必要はなく、むしろ不透明である方が不快感がなく好まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−328827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、排泄者の健康状態の確認、清掃時の汚れの確認等、便器内部を視認したい場合がある。
その場合、例えば、便蓋を開けることなく便器内部が視認できれば便利である。
【0005】
そこで、本発明は、便蓋を開けることなく便器内部が視認できかつ通常の使用時に不快感を与えることがない水洗便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するために、本発明に係る水洗便器は、光を透過させる第1の面とその第1の面と方向が異なりかつ光を散乱させる第2の面とが交互に形成されることにより構成された複数の溝を一方の面に有する選択性透明部を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る水洗便器では、前記選択性透明部において、前記一方の面に対向する他方の面に対する前記第1の面の角度が、便器使用者が視認する方向、視認すべき便器内部の位置及び前記選択性透明部を構成する部材の屈折率に基づいて設定されていることが好ましい。
【0008】
前記選択性透明部において、前記他方の面に対する前記第2の面の角度が、便器使用者が視認する方向、視認すべき便器内部の位置及び前記選択性透明部を構成する部材の屈折率に基づいて設定されていることが好ましい。
【0009】
前記第1の面は表面粗度を細かくして前記第2の面より光の透過性を向上させた面であってもよい。
【0010】
前記選択性透明部において、前記第1の面は互いに平行であり、前記第2の面は互いに平行であってもよい。
【0011】
前記選択性透明部において、前記第1の面及び前記第2の面の少なくとも一方の角度を順次変化させてもよい。
【0012】
前記一方の面は、便器内面であってもよい。
【0013】
前記選択性透明部を構成する複数の溝を覆う平坦な透明板を設けてもよい。
【0014】
前記選択性透明部が便蓋に設けられていてもよい。
【0015】
前記選択性透明部が便蓋に回転可能に設けられていることが好ましい。
【0016】
前記選択性透明部が便器本体に設けられていてもよい。
【0017】
前記便器内部が視認できない方向は、使用者が便器正面に立つ位置に基づいて設定されていることが好ましい。
【0018】
前記便器内部が視認できる方向は、便器使用者が便器を上又は横から見る目の位置に基づいて設定されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上のように構成された本発明に係る水洗便器は、光を透過させる第1の面とその第1の面と方向が異なりかつ光を散乱させる第2の面とが交互に形成されることにより構成された複数の溝を一方の面に有する選択性透明部を備えているので、所定の方向から見ると便蓋を開けることなく便器内部が視認できかつ通常の使用時には内部が視認できないようにできる。
したがって、本発明によれば、便蓋を開けることなく便器内部が視認できかつ通常の使用時に不快感を与えることがない水洗便器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る実施形態1の水洗便器の構成を示す断面図である。
【図2A】実施形態1の水洗便器において、斜め前から見たときの見え方を示す斜視図である。
【図2B】実施形態1の水洗便器において、上から便蓋5を介して便器内部を見たときの見え方を示す平面図である。
【図2C】実施形態1の水洗便器において、便蓋5を開けた状態で上から便器内部を見たときの見え方を示す平面図である。
【図3A】実施形態1において、便蓋5を構成する選択性透明部の構造を模式的に示す断面図であり、上から見たときの光の経路を示している。
【図3B】実施形態1において、便蓋5を構成する選択性透明部の構造を模式的に示す断面図であり、斜め前から見たときの光の経路を示している。
【図4】実施形態1において、便蓋5を構成する選択性透明部の構造を模式的に示す断面図であり、上から見たときの光が屈折する様子を示している。
【図5A】実施形態1において、傾斜溝角度Zが60度である場合の傾斜溝構造を示す断面図である。
【図5B】実施形態1において、傾斜溝角度Zが45度である場合の傾斜溝構造を示す断面図である。
【図5C】実施形態1において、斜溝角度Zが30度である場合の傾斜溝構造を示す断面図である。
【図6】本発明に係る実施形態2の水洗便器の構成を示す断面図である。
【図7A】実施形態2において、回転テーブルを通常位置としたときの場合の見え方を示す斜視図である。
【図7B】実施形態2において、回転テーブルを通常位置から90度回転させたときの見え方を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る変形例の水洗便器の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施形態の水洗便器について説明する。
実施形態1.
図1は、本発明に係る実施形態1の水洗便器の構成を示す断面図である。
この図1には、例えば、樹脂からなる水洗便器を例示しており、便器本体は、ボウル部1とスカート部2とリム部3とを含む。そして、その便器本体には、便座4が取り付けられて、その上に便蓋5が取り付けられる。
【0022】
ボウル部1は、図1に示すように、下方に向かって開口径が徐々に小さくなっており、上方に洗浄水を供給する洗浄水供給口とそれに繋がる洗浄水流路を有し、下端に排水管部1aを有する。このボウル部1において、洗浄水供給口から供給された洗浄水は、洗浄水流路端の吐出口から吐出されてボウル部1の内壁を洗浄する。
【0023】
スカート部2は、ボウル部1を所定の高さ及び位置に保持し、便器全体の強度を強化するものである。このスカート部2には、より強度を高めるために必要に応じ適宜補強リブを設けるようにしてもよい。また、スカート部2の内部には、ボウル部1の洗浄水供給口に繋がる給水管及び排水管部に接続される排水管を取り付けるスペースが確保される。
尚、図1において、20の符号を付して示すものは、排水経路ボックスである。
【0024】
リム部3は、ボウル部1の上端部に接合される環状部材であり、この上面に便座4が載置される。尚、リム部3に洗浄水流路を形成してもよい。
【0025】
このボウル部1とスカート部2とリム部3は、例えば、合成樹脂を用いて射出成形等により作製することができ、合成樹脂製のボウル部1、スカート部2、リム部3は溶着により水漏れがないように一体化できる。
【0026】
ここで、特に、本実施形態1の水洗便器では、便蓋5が便器内部が視認できる方向と便器内部が視認できない方向とを持った選択性透明部により構成されていることを特徴とする。例えば、便器内部が視認できる方向と便器内部が視認できない方向とは使用者の便宜を考えて設定されている。
尚、便器内部が視認できる方向及び便器内部が視認できない方向は、特定の一方向を言うのではなく、それぞれ一定の範囲内にある方向をいう。すなわち、視認方向が選択性透明部の構造により定まるある一定の範囲内にあるときには便器内部を視認することができ、その範囲外の方向から見たときには便器内部が視認できないという意味である。
【0027】
図2A〜図2Cには、視認方向により便器内部の見え方が異なる様子を示している。
例えば、図2Aには、斜め前に立った使用者が実施形態1の水洗便器を見た場合には便器内部が見えないことを示している。ここで、本明細書において、便器の前後は、通常、男性が小用をたす側を前といい、給排水管が設けられる側を後ろという。また、図2Bには、真上から選択性透明部からなる便蓋5を介して視認した場合の便器内部の見え方を示している。さらに、図2Cには、便蓋5を開けた状態で、選択性透明部を介在させることなく視認した場合の便器内部の見え方を示している。
【0028】
図2Bと図2Cとを比較することにより明らかなように、便蓋(選択性透明部)4を介して視認した場合、便蓋5を開けた状態より、排水管1aの内部をより奥の方まで見ることができる。これは選択性透明部の構造に起因するものであり、その点を含め、選択性透明部の構造を以下に説明する。
【0029】
<選択性透明部>
図3A及び図3Bは、本実施形態1において、便蓋5を構成する選択性透明部の構造を模式的に示す断面図(図1のA部を拡大して示す断面図)である。図3A等に示すように、本発明に係る選択性透明部は、光を透過させる第1の面11とその第1の面と方向が異なりかつ光を散乱させる第2の面12とが交互に形成された面を一方の主面に有している。言い換えれば、一方の主面には所定の角度で対向する第1の面11と第2の面12とによって構成される溝(傾斜溝とも言う。)10が複数平行に形成されており、この複数の溝によって選択透過性が実現される。
【0030】
より具体的には、本実施形態1では、真上から選択性透明部からなる便蓋5を介して視認した場合に便器内部の見えるようにするための一例として、光を散乱させる不透明な第2の面12をほぼ垂直に形成し、光を透過させる第1の面11を垂直方向から傾けて形成している。
【0031】
このように第1の面11及び第2の面12(溝10)を形成することにより、便蓋5を真上から見たときには、図3Aに示すように、第1の面11から出射される光によって便器内部を見ることができる。ここで、不透明な第2の面12を垂直に形成した場合には、真上から垂直方向に見下ろしたときに透過光が最大となり、便器内部が最も良く見える。
【0032】
これに対して、視認方向を垂直方向から傾けていくと、図3Bに示すように、徐々に不透明な第2の面12によって光が遮られるようになり、視認方向が垂直方向からある一定の角度(臨界角)以上になると便器内部が全く見えなくなる。尚、この臨界角は、溝10の形状因子、すなわち、第1の面11と第2の面12の最大傾斜方向の長さ(以下、最大傾斜長)、第1の面11と第2の面12とが成す角度(以下、頂角という。)によって決まる。すなわち、第1の面11の最大傾斜長、第2の面12の最大傾斜長及び第1の面11と第2の面12とが成す角度(以下、頂角という。)を適切に設定することにより、所望の視認可能範囲(又は視認が不可能な範囲)が実現できる。
【0033】
また、選択性透明部は、透明板の一方の面50aに複数の溝10を平行に並置して形成することにより構成されるので、透明板の屈折率と大気の屈折率の差に応じて大気との界面で屈折が起こる。図3Aに示すように、便器内の斜め下からの光は選択性透明部の他方の面50b(溝が形成されている一方の面に対向する面)で一度屈折され、さらに第1の面11を透過する際にもう一度屈折される。その結果、便蓋5を介して真上から便器内を見ると、便器内を斜めから除き込んだときのように見え、排水管1aの奥の方まで見ることができる(図2A)。このようにして、本実施形態では、例えば、図2Aに示すように、排水管部1aの奥のほうまでのぞくことができる。
尚、図3Aでは、一方の面50aを溝10の底を結んで示しているが本発明はこれに限定されるものではなく、一方の面が溝10の頂点を含む面であっても良いし、またそれらの間に位置する面であってもよい。
【0034】
図4には、真上から見たときに便器内部のどの方向から来た光が見えるか模式的に示している。図4に示すように、第1の面11の傾きが水平面からZ度であるとすると、第1の面11から垂直方向(真上)に出射される光の出射角は、Z度である。尚、第2の面12をほぼ垂直に形成する場合おいて、Zを傾斜溝角度という。第1の面11から出射角Zで出射されるためには、その光の第1の面11への入射角Rは、選択性透明部を構成する材料の屈折率をNとすると、次の(1)式又は(2)式を満たす必要がある。
SIN(Z)=N × SIN(R)・・・(1)
R=SIN−1((SIN(Z))/N)・・・(2)
【0035】
また、選択性透明部の他方の主面が水平であるとすると、第1の面11に対して入射角Rで入射する光は、他方の主面を通過するときの出射角Qは、図4から明らかなように、(Z−R)となる。したがって、他方の主面から出射角Qで出射される光の他方の主面への入射角をWとすると、当該他方の主面では次の関係式(3)、(4)又は(5)式を満足する必要がある。
SIN(W)=N×SIN(Q)・・・(3)
W=SIN−1(N × SIN(Q))・・・(4)
W=SIN−1(N × SIN(Z−R))・・・(5)
【0036】
例えば、選択性透明部を屈折率Nが1.49であるアクリルを用いて形成した場合、上記式より、例えば、Z=45度の場合はW=25.3度であり、Z=30度の場合はW=15.6度となる。上記式から明らかなように、傾斜溝角度Zが大きいほど光線の曲がり角度が大きくなる。すなわち、より斜めから見たように見え、例えば、排水管をより奥までみることができる。
【0037】
しかしながら、傾斜溝角度Zが大きくなると、第2の面12の面積が大きくなる結果、より多くの光が第2の面12によって遮られるようになり、視認可能範囲が狭くなるとともに便器内部が視認しにくくなる。
【0038】
例えば、傾斜溝角度Zが60度である場合、図5Aに示すように、傾斜溝幅200μm、傾斜溝高さ346.4 μmとすると、第2の面12で遮られることなく第1の面11から出射される有効出射範囲は235.6μm、光が透過しない範囲(無効出射範囲)は164.4 μmとなり、第1の面11全体に対して58%の光が透過することになる。
この場合は使用者の目から見ると傾斜面全体に対して42%が拡散面に遮られて全体として見えにくくなる。視認角度を垂直から傾けていくとさらに見えにくくなる。
【0039】
また、図5Bには、傾斜溝幅が200μmで傾斜溝角度Zが45度である場合を図示している。図5Bに示すように、この場合には、第2の面の12の最大傾斜方向長、すなわち、傾斜溝高さも200μmとなり、第2の面12で遮られることなく第1の面11から出射される有効出射範囲は217μm、光が透過しない範囲(無効出射範囲)は65μmとなり、第1の面11全体に対して76%の光が透過することになる。
この場合には、図5Aに比較して、使用者の目にはアクリル部材の向こう側がほぼはっきりと見える。
【0040】
さらに、図5Cには、傾斜溝幅が200μmで傾斜溝角度Zが30度である場合を図示している。図5Cに示すように、この場合には、第2の面の12の最大傾斜方向長、すなわち、傾斜溝高さも115μmとなり、第2の面12で遮られることなく第1の面11から出射される有効出射範囲は209μm、光が透過しない範囲(無効出射範囲)は21.9μmとなり、第1の面11全体に対して91%の光が透過することになる。
この場合には、図5A及び図5Bに比較して、使用者の目にはアクリル部材の向こう側がよりはっきりと見える。
しかしながら、傾斜溝角度Zが30度である場合には、屈折により曲がってみえる角度がW=15.6度となり、図5A及び図5Bに比較して曲がりが少なくなる。
【0041】
このように、曲がり効果及び使用者から内部がどの程度はっきり見えるようにするか等、使用目的に応じて傾斜溝幅及び傾斜溝角度Zが設定される。その際、例えば、金型による加工性などの製造方法も考慮することは言うまでもない。
【0042】
例えば、便蓋5全体を選択性透明部構造とし、その傾斜溝幅が200μmで傾斜溝角度Zが45度である図5Bの構造を適用した場合、以下のような見え方になる。
便器使用者が便器の正面に立つと使用者の位置からは便蓋に透過性があっても、傾斜溝の第2の面12による乱反射のために内部が白っぽく見え、便器内は見えない。しかしながら、便器の真上方向から見ると、使用者は便器内部が見える。通常、蓋を開けて、上から見ると排水口が見えにくいが、蓋を閉めると傾斜溝構造の屈折により排水口内が斜めからみたように見える。これにより便器内の汚物や汚れが観察しやすくなる。
【0043】
ここで、選択性透明部において、第1の面11は、例えば、表面粗度を小さくして光を透過させ、第2の面12は、例えば、表面粗度を粗くして光を散乱させることができる。
このように、第2の面12の表面粗度を粗くして光を散乱させるようにすると、第2の面による光の反射、散乱により色の変化が生じたり光って見えたりして外観のデザイン性を向上させることが可能になるというさらなる効果が得られます。
【0044】
以上の実施形態1の便蓋は便蓋5の上面(一方の面)に傾斜溝を形成するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、便蓋5の下面(他方の面)に傾斜溝を形成するようにしてもよい。
【0045】
また、以上の実施形態1では、傾斜溝構造全体を覆うように平らな透明板(フラットの透明板)を重ねた2重構造にしてもよい。このようにすると傾斜溝の汚れを防止できる。
【0046】
さらに、以上の実施形態1では、複数の第1の面11は互いに平行になり、複数の第2の面12は互いに平行になるように形成した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、第1の面11及び前記第2の面12の少なくとも一方の角度を順次変化させてもよい。このようにすると、視認方向が同じであっても、溝の位置によって見え方が変わり、外観のデザイン効果を向上させることができる。
【0047】
実施形態2.
本発明に係る実施形態2の水洗便器は、便蓋5全体が選択性透明部により構成されているのではなく、便蓋5の一部を回転可能な回転テーブルとし、その回転テーブル5aを選択性透明部としている。実施形態2の水洗便器のその他の構成については、実施形態1の水洗便器と同様に構成されている。
【0048】
このように構成された実施形態2の水洗便器では、実施形態1の水洗便器と同様の作用効果が得られる上にさらに以下のような効果が得られる。
例えば、実施形態1と同様、便器使用者が便器の斜め前に立ったときに、内部が視認できない通常位置(図7A)から、便蓋5を開けることなく回転テーブル5aを90度回転させると、図7Bに示すように、斜め前の位置から回転テーブル5a(選択性透明部)を介して便器内部を見ることが可能になる。
尚、回転テーブル5aを回転させる角度は、90度に限定されるものではなく、視認したい方向に応じて自由に選択することができる。
【0049】
変形例.
以上の実施形態1及び2では、便蓋5に選択性透明部を形成した例について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図8に示すように、便器の側面等の便器本体に形成するようにしてもよい。例えば、図8に示すように便器の側面に選択性透明部5bを形成するとスカート部2内の配管構造の視認が見る方向によって可能になる。
【0050】
さらに、本発明では、ボウル部1の一部に選択性透明部を形成するようにしてもよい。
この場合、例えば、便器使用者が便器正面に立った時に便器内部が見えないようにし、便器を真横から見た時には便器を透過して便器内部が視認できるようにする。
このようにすると、便器の汚れ確認や、便器配管が詰まった時の確認が可能となる。この時には排水経路の部品も透過性のある部品を使用するようにしてもよい。
【0051】
この変形例において、便器内部が視認できる方向は、便器使用者が便器を横から見る目の位置に基づいて設定され、例えば、使用者が通常立つ位置からは便器内部が視認できないように設定される。このようにすると、使用者が通常立つ位置からは便器内部が視認できないので、使用者に不快感を与えることはない。
【符号の説明】
【0052】
1 ボウル部、1a 排水管部、2 スカート部、3 リム部、4 便座、5 便蓋、5a 回転テーブル、5b 選択性透明部、10 溝(傾斜溝)、11 第1の面、12 第2の面、20 排水経路ボックス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗便器において、複数の溝を一方の面に有する選択性透明部を備え、前記溝はそれぞれ光を透過させる第1の面とその第1の面と方向が異なりかつ光を散乱させる第2の面とが交互に形成されてなることを特徴とする水洗便器。
【請求項2】
前記選択性透明部において、前記一方の面に対向する他方の面と前記第1の面との角度が、便器使用者が視認する方向、視認すべき便器内部の位置及び前記選択性透明部を構成する部材の屈折率に基づいて設定されている請求項1記載の水洗便器。
【請求項3】
前記選択性透明部において、前記他方の面と前記第2の面との角度が、便器使用者が視認する方向、視認すべき便器内部の位置及び前記選択性透明部を構成する部材の屈折率に基づいて設定されている請求項2記載の水洗便器。
【請求項4】
前記第1の面は表面粗度を細かくして前記第2の面より光の透過性を向上させた面である請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項5】
前記選択性透明部において、前記第1の面は互いに平行であり、前記第2の面は互いに平行である請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項6】
前記選択性透明部において、前記第1の面及び前記第2の面の少なくとも一方の角度を順次変化させた請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項7】
前記一方の面は、便器内面である請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項8】
前記選択性透明部を構成する複数の溝を覆う平坦な透明板を設けた請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項9】
前記選択性透明部が便蓋に設けられている請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項10】
前記選択性透明部が便蓋に回転可能に設けられている請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項11】
前記選択性透明部が便器本体に設けられている請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項12】
前記便器内部が視認できない方向は、使用者が便器正面に立つ位置に基づいて設定された請求項1〜11のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項13】
前記便器内部が視認できる方向は、便器使用者が便器を上又は横から見る目の位置に基づいて設定された請求項1〜11のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項1】
水洗便器において、複数の溝を一方の面に有する選択性透明部を備え、前記溝はそれぞれ光を透過させる第1の面とその第1の面と方向が異なりかつ光を散乱させる第2の面とが交互に形成されてなることを特徴とする水洗便器。
【請求項2】
前記選択性透明部において、前記一方の面に対向する他方の面と前記第1の面との角度が、便器使用者が視認する方向、視認すべき便器内部の位置及び前記選択性透明部を構成する部材の屈折率に基づいて設定されている請求項1記載の水洗便器。
【請求項3】
前記選択性透明部において、前記他方の面と前記第2の面との角度が、便器使用者が視認する方向、視認すべき便器内部の位置及び前記選択性透明部を構成する部材の屈折率に基づいて設定されている請求項2記載の水洗便器。
【請求項4】
前記第1の面は表面粗度を細かくして前記第2の面より光の透過性を向上させた面である請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項5】
前記選択性透明部において、前記第1の面は互いに平行であり、前記第2の面は互いに平行である請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項6】
前記選択性透明部において、前記第1の面及び前記第2の面の少なくとも一方の角度を順次変化させた請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項7】
前記一方の面は、便器内面である請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項8】
前記選択性透明部を構成する複数の溝を覆う平坦な透明板を設けた請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項9】
前記選択性透明部が便蓋に設けられている請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項10】
前記選択性透明部が便蓋に回転可能に設けられている請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項11】
前記選択性透明部が便器本体に設けられている請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項12】
前記便器内部が視認できない方向は、使用者が便器正面に立つ位置に基づいて設定された請求項1〜11のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【請求項13】
前記便器内部が視認できる方向は、便器使用者が便器を上又は横から見る目の位置に基づいて設定された請求項1〜11のうちのいずれか1つに記載の水洗便器。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【公開番号】特開2010−236254(P2010−236254A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84997(P2009−84997)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]