説明

水流交絡加工繊維における噴流線条を減少させるためのシステムおよび方法

布地材料を、その中の噴流線条の発生を減少させながら水流交絡加工するためのシステムが提供されている。本発明の様々な実施形態は、前記布地材料から間隔が開けられた、加工方向に垂直な実質的に布地の全幅にわたって伸びる細長い水流交絡加工用ジェットストリップを提供している。前記ストリップは、各々が第1径を有する第1列の開口部を画定している。前記第1複数の開口部は、前記細長いストリップの全幅に沿って間隔が開けられている。前記ストリップは、加工方向において前記第1複数の開口部から下流に配置され、前記細長いストリップの全幅に沿ってそれらから片寄っている第2複数の開口部を画定している。前記第2複数の開口部の各々は、それによって生成される流体流が前記第1複数の開口部によって生成される流体流より対応して小さな衝撃力を前記布地材料に付与するように、前記第1径より小さな第2径を画定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の様々な実施形態は、概して、不織布を製造するための水流交絡加工プロセスの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
水流交絡(hydroentanglement)もしくは「スパンレーシング」は、布地を直接的に形成するためにばらばらな繊維のウェブを機械的にボンディングさせるために使用されるプロセスである。そのようなクラスの布地は、人工的に作り出される布地の「不織布」ファミリーに属している。水流交絡加工の基礎にある機序は、繊維に高速の流体流の連続的な塊によって作り出される不均質な圧力場を受けさせることである。繊維が隣接繊維と接触している間に流体流が繊維に及ぼす衝撃は、隣接繊維を移動させるとともに回転させ、それによって繊維の交絡を引き起こすことである。これらの繊維の相対移動中に繊維の一部は他の繊維に巻き付き、および/または他の繊維と絡み合って、少なくとも一部には相互作用している繊維間の摩擦力に起因して、強力な構造を形成するものである。結果として生じる生成物は、交絡加工繊維から形成される高度に圧縮された均質な布地である。そのような水流交絡加工布は、しばしば高度に柔軟性でありながら、極めて強度があり、概して織物およびニット布に比して性能の優れた対応物である。そこで水流交絡加工プロセスは、布地を製造する他の方法にとっての高速かつ低コストの代替法である。水流交絡加工機械は、例えば、1分間当たり約700メートル以上という高速で布地を製造できるが、このとき布地の幅は約1〜約6メートルであってよい。作動中、水流交絡加工プロセスは、流体流を形成すべく、開口部(オリフィス)を通して選択された圧力で水を分注するためのマニホールドと係合したストリップ内に規定された開口部を通して加圧水を方向付けることによって生成されるコヒーレント高速流体流の特性に左右されることになる。
【0003】
従来型の水流交絡加工システムでは、単一マニホールドストリップが、実質的に同一の流体流を作り出すために同一サイズの2列の開口部を画定している。さらに、一連のマニホールドを利用するのが典型的であるが、このとき各マニホールドは、先行流体流より高い圧力によって駆動される水流交絡加工用流体流を生じさせている。しかし、そのような従来型システムでは、整列した流体流は不織布において「噴流線条(jet streak)」を作り出している。詳細には、最終列の流体流は不織布において線条を作り出すが、なぜなら最終列の流体流は最大圧力で作動し、したがって不織布に最大力で衝撃を与え、完成布地110において流体流の衝撃領域間の間腔において畝(リッジ)300(すなわち、「噴流線条」)(図3を参照)を作り出すからである。同様に、そのような従来型システム内の最終マニホールドの後には加工要素および/または流体流が存在しないので、最終セットの流体流によって作り出された噴流線条は乱されないままで残存し、そのようなシステムによって生成された完成不織布製品中に存在することになる。
【0004】
従来型水流交絡加工システムによって作られる畝300および/または噴流線条は、製造された布地の審美性および構造的完全性が重要であるほとんどの用途において望ましくない。例えば、畝は、例えばウィンドトリートメント(窓廻り装飾)または室内装飾用途におけるように、布地が光線に曝されると明白に目に見ることが可能である。しかし、水流交絡加工布における噴流線条を排除および/または減少させることは、不織布の製造業者にとって依然として厄介な問題であった。水流交絡加工布上に一様な表面を得るための1つの従来方法は、流体流カーテン内に規則的間隔で横振動を導入することを含んでいる(例えば、米国特許第6,105,222号を参照)。この方法は、マニホールドを横方向(布地の加工方向に垂直)に振動させる工程を含んでいる(本明細書でより詳細に説明されている)。そのような技術における振動運動は、マニホールドを往復運動装置(例えば、振動器)に接続することによって調節されることになる。この方法は、高額の資本投資ならびに重いマニホールドを振動させるための追加のエネルギー源を必要とする。さらに、そのような技術の最終的結果は、線状隆起もしくは噴流線条を「ジグザグ」パターンへ変化させはするが、現実にはそのような線条を排除することなく、および/または高さを低下させることはない。業界において実践されているまた別の従来法は、ねじれ形配列にある、同一径のノズルを有する4列式ノズルストリップの導入を含んでいる(例えば、米国特許第6,571,441号を参照)。この方法にもまた、幾つかの技術的問題がある。第1に、すべてのノズルが同一径を有しているので、結果として生じる流体流は同一衝撃エネルギーを有し、最終列のノズルによって惹起される噴流線条は永続的に布地上に残ったままになる。また第2に、そのような技術は、指定マニホールドの水消費量を4倍に増加させることになる。
【0005】
完成不織布における噴流線条を減少させ、および/または防止する追加の試みについてはほんの少数の報告がある。しかし、これらの水流交絡加工システムは、商業的に実行するには非効率であるか、または費用がかかり過ぎるかのいずれかであることが実証されている。これらには、米国特許第6,877,196号(垂直方向に対して(布地の両側に向かって)2つの反対オフセット角を備える流体流が開示されている);米国特許第6,253,429号(布地が、布地に対して様々な角度に配置されたマニホールドを備える一連の回転ドラム上を移動するシステムを開示している);および米国特許第6,557,223号(振動マニホールドと結合されたドラムの上方で布地を横に移動させるシステムを開示している)に開示された方法が含まれている。
【0006】
そこで従来型水流交絡加工システムに固有の技術的問題を考慮に入れると、不織布製品における噴流線条の発生および/または大きさを確実に減少させる経済的かつ実践的システムおよび方法に対する必要性が存在する。
【発明の開示】
【0007】
本発明の実施形態は、上記に列挙した必要を満たし、以下に記載する他の長所を提供するものである。本発明の実施形態は、不織布を形成するために加工方向に移動する1シートの布地材料を水流交絡加工するためのシステムを含むことが可能である。詳細には、一部の実施形態では、本システムは、複数のノズル開口部を含む細長い水流交絡加工用ジェットストリップを備えており、前記複数のノズル開口部の各々は、水流交絡加工用流体の流れを前記シートの布地材料に向けるために動作可能に配置することが可能である。前記複数のノズル開口部は、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って間隔が開けられた第1列のノズル開口部を備えている。さらに、第1列のノズル開口部内のノズル開口部の各々は第1径を有している。
【0008】
複数のノズル開口部は、加工方向において前記第1列のノズル開口部から下流に配置された第2列のノズル開口部をさらに備えている。一部のシステム実施形態では、前記第2複数の開口部は、加工方向において前記第1複数の開口部から前記第1複数の開口部の隣接対の各中心間の距離の約2分の1の距離で間隔が開けられて(すなわち、下流に配置されて)いてよい。第2列のノズル開口部もまた、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って間隔が開けられているが、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って前記第1列のノズル開口部から選択された距離で片寄っている。さらに、第2列のノズル開口部のノズル開口部の各々は、前記第1径より小さい第2径を有している。本明細書に記載するように、前記第1列のノズル開口部から出る水流交絡加工用流体の流れは、前記シートの布地材料に畝(「噴流線条」としても知られる)を作り出している。本発明の様々な実施形態によると、第2列のノズル開口部は、前記第2列のノズル開口部から出る水流交絡加工用流体の流れが畝の高さを低下させ、それによって完成不織布における「噴流線条」の発生を低下させるように、動作可能に配置されている。
【0009】
本発明の様々なシステムの実施形態によると、第1および第2径(各々、第1列および第2列のノズル開口部に対応する)は、様々な径および/または径関係で提供することが可能である。例えば、このような実施形態は、第2径が第1径の少なくとも約30%である実施形態、第2径が第1径の少なくとも約50%である実施形態、第2径が第1径の少なくとも約65%である実施形態、第2径が第1径の少なくとも約95%である実施形態、第2径が第1径の約90%以下である実施形態、および第2径が第1径の約85%以下である実施形態を含むことが可能であるが、それらに限定されない。様々なシステム実施形態は、開口部が選択された最適な径によって画定される第1および第2列のノズル開口部もまた提供することが可能である。例えば、このような実施形態には、第1径が約120μm〜160μmであり、かつ第2径が80μm〜140μmである実施形態、第1径が約130μmであり、かつ第2径が約110μmである実施形態、および第1径が約110μmであり、かつ第2径が約90μmである実施形態が含まれるが、それらに限定されない。
【0010】
一部のシステムも実施形態によると、第2列のノズル開口部は、前記第2列のノズル開口部の各々の中心が第1列の最も近い対のノズル開口部の中心間と実質的に等距離であるように、前記第1複数の開口部から選択された距離で片寄っていてもよい。他の実施形態では、選択された距離(本明細書で記載するように、第2列のノズル開口部の片寄りを決定する)は、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って、前記第1列のノズル開口部の少なくとも1つの開口部の中心から、前記第2列のノズル開口部の最も近い1つの開口部の中心から加工方向に延びる線まで測定可能である。より詳細には、一部の実施形態では、選択された距離は、前記第1列のノズル開口部の各々の中心を通って延びる第1線および前記第2列のノズル開口部の各々の中心を通って延びる第2線の間で規定された距離と実質的に同等であってよい。一部の実施形態では、選択された距離は、第1径の2分の1および第2径の2分の1の和以上である選択された距離、第1径以上の選択された径、第1径および第2径の和以上である選択された径を含むことができるが、それらに限定されない数値を含んでいてよい。
【0011】
さらに、一部のシステムの実施形態では、複数のノズル開口部は、加工方向において第2列のノズル開口部から下流に配置された複数の列のノズル開口部をさらに備えていてもよい。本明細書でさらに説明するように、複数の列のノズル開口部の各々は、同様に細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って間隔が開けられていてもよい。さらに、連続的複数の列のノズル開口部の各々は、細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って上流列のノズル開口部から選択された距離で片寄っていてもよい。さらに、複数の列のノズル開口部の各々は、第2径以下である第3径を有していてもよい。
【0012】
また、本発明の様々な実施形態は、不織布を形成するために加工方向に移動する1シートの布地材料を水流交絡加工するための方法をさらに提供することが可能である。一部の実施形態では、本方法が、布地材料を加工方向に前進させる工程と、前記布地材料に第1複数の流体流を受けさせる工程とを含んでいる。第1複数の流体流は、加工方向に対して実質的に垂直に前記布地材料の全幅に沿って相互から間隔が開けられている。さらに、第1複数の流体流は、前記第1複数の流体流の各々の間で前記不織布の全長に沿って延びる複数の畝を有する不織布を形成するために第1力の強度で前記布地材料に衝撃を与えるために構成されている。様々な方法の実施形態は、前記不織布に第2複数の流体流を受けさせる工程をさらに含んでいてよい。前記第2複数の流体流は、前記加工方向において前記第1複数の流体流から下流に配置され、前記布地材料の全幅に沿って前記第1複数の流体流から選択された距離で片寄っている。そこで、そのような実施形態によると、前記第2複数の流体流は、前記不織布における前記複数の畝の各々の高さを少なくとも部分的に低下させることができるように、前記第1力の強度より小さい第2力の強度で前記複数の畝に衝撃を与えていてもよい。
【0013】
本明細書で本発明の様々なシステムの実施形態に関して概して説明するように、布地材料に第1複数の流体流を受けさせる工程は、前記布地材料の全幅にわたって延びる細長い水流交絡加工用ジェットストリップにおいて規定された第1複数の開口部を通して流体を強制的に流す工程をさらに含むことが可能である。さらに、前記不織布に第2複数の流体流を受けさせる工程は、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップ内に画定されて前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って前記第1複数の開口部から選択された距離で片寄っている第2複数のノズル開口部を通して前記流体を強制的に流す工程をさらに含むことが可能である。一部のそのような実施形態によると、第1複数の開口部の各々は第1径を含んでおり、この場合、第2複数の開口部の各々は前記第1径より小さい第2径を含んでいる。様々な方法の実施形態は、第1および第2力強度を各々有する流体流を発生させるために、上記で言及した前記第1および第2径間の特定の関係を利用してもよい。
【0014】
そこで、本発明の様々な実施形態は、その中に形成される畝および/または噴流線条の発生が減少した不織布を形成すべく、布地材料を水流交絡加工するためのシステムおよび方法を提供し、改良された頑丈さおよび/または引裂強度を有する不織布を形成すべく、布地材料を水流交絡加工するためのシステムおよび方法を提供し、および前記不織布の全幅にわたって概してより平滑なテクスチャを有する不織布を形成すべく、布地材料を水流交絡加工するためのシステムおよび方法を提供すること、を含むことが可能であるが、それらに限定されない多数の長所を提供する。
【0015】
これらの長所および当業者には明白である他の長所は、本発明の様々なシステムおよび方法の実施形態において提供されている。
【0016】
本発明を一般的用語で説明してきたが、以下では添付の図面を参照されたい。これらの図面は、必ずしも縮尺では描かれていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下では、本発明の全部ではないが一部の実施形態が図示されている添付の図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。実際に、これらの発明は多数の相違する形態で具体化することが可能であるので、本明細書に記載した実施形態に限定されると見なすべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供されている。類似の番号は、本明細書を通して類似の要素を指している。
【0018】
本発明の様々な実施形態は、細長い水流交絡加工用ジェットストリップ(例えば、図1A、図1Bおよび図2の要素10を参照)のための有利な設計であって、ノズル開口部は2つ以上の(例えば)列12,14に配列され、完成不織布110において畝300(すなわち、「噴流線条」)を最小限に抑えるために構成されている設計を提供することを理解されたい。一部の実施形態では、各列12,14内のノズルは、固定キャピラリー径(例えば、図2に示したようなd1)を有していてもよい。本明細書で詳細に説明するように、これらの径は、第1列のノズル開口部12(布地材料100へ最初に衝撃を与える流体流を作り出す列)から第3および第4列16(例えば、図1Aを参照)(布地材料100へ最後に衝撃を与える列)に向かって減少するが(すなわち、例えば、d1>d2>d3=d4)、このときd1〜d4は、各々第1〜第4列におけるノズルのキャピラリー径を表している。
【0019】
さらに、ノズル開口部の列12,14,16を形成する個々のノズルは、様々な実施形態では、「コーンダウン(cone−down)」(概して、例えば図8Bおよび図4を参照)または「コーンアップ(cone−up)」配置で構成されていてもよく、好ましくは概して図1Aに示すように「ねじれ形(staggered)」構成で配列されている。実験によって、畝300(および/または「噴流線条」)は、水流交絡加工において布地材料100が対応する列のノズル開口部(例えば、要素12を参照)にて生成される流体流の特定の「カーテン」により衝撃を与えられる度に再形成されることが観察されている。したがって、完成不織布110において明白になる可能性がある畝300は、水流交絡加工システムにおける最終マニホールド40によって引き起こされる可能性がある(例えば、図3のマニホールド5を参照)。この結果は、最終マニホールドが「上流」マニホールドの圧力より高い圧力で作動する(およびそれによって布地材料100へ最高圧力で衝撃を与える流体流を作り出す)従来型プロセスにおいては特に明白である。このため、本発明の様々なシステムおよび方法実施形態は、流体流を作り出すために細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10と協働する、実質的に「下流」(すなわち、(例えば、図1Bに示したように)加工方向5に沿って)に配置された1つまたは複数のマニホールドと併せて使用可能となる。
【0020】
本明細書に記載した様々な水流交絡加工システムおよび方法の実施形態は、1組の畝300および谷(例えば、流体流と同一場所に位置する)を作り出すものであり、対応する流体流を生成する第1列のノズル開口部12を画定する細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10を提供している。さらに、本明細書で詳細に説明するように、第2列のノズル開口部14(より小さいノズル開口部径を有し、ねじれ形の「オフセット」構成で配列されている(例えば、図1A、図1Bおよび図2に示した))によって作り出される流体流は、第1列のノズル開口部12の流体流によって形成される畝300の「ピーク」に衝撃を与えている。より小さい径を有するノズル開口部は、新しい顕著な線条を全く作り出すことなく最初の畝300を緩和することを理解されたい(例えば、本発明の実験例に提示した、ならびに例えば図11A、図11B、図13Aおよび図13Bに示した共起(co−occurrence)分析の結果を参照)。さらに、他の実施形態(概して図1Aに示した実施形態など)は、第2列のノズル開口部14内のノズル開口部より小さな径を有する第3および第4列のノズル開口部16を含んでいてよく、さらに第2列のノズル開口部14から生じる可能性がある既に減少した畝300および/または噴流線条をさらに減少させることが可能である。
【0021】
図1Bに示したように、一部の実施形態は、不織布110を形成するために加工方向5に移動する1シートの布地材料100を水流交絡加工するためのシステムを提供している。図1Aに示したように、本システムは、各々のノズル開口部が水流交絡加工用流体の流れを前記シートの布地材料100に向けるために動作可能に配置されている(概して、複数のノズル構成に対応する複数の相違する流れプロファイルを示している図6を参照)、複数の列のノズル開口部12、14、16を含む細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10を備えている。図2に示したように、細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10内に画定された複数のノズル開口部は、一部の実施形態では、細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10の全幅に沿って間隔が開けられている第1列のノズル開口部12を含んでいてもよい。第1列のノズル開口部12のノズル開口部の各々は、第1径d1を有している。前記複数のノズル開口部は、加工方向5における第1列のノズル開口部12から下流に配置された第2列のノズル開口部14をさらに含んでいる。第2列のノズル開口部14もまた、細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10の全幅に沿って間隔が開けられていてもよい。さらに、図2に示したように、第2列のノズル開口部14は、細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10の全幅に沿って第1列のノズル開口部12から選択された距離(例えば、S/2)で片寄っていてよいが、これは第2列の各ノズル開口部の中心が前記第1列の各ノズル開口部の中心に比較して前記水流交絡加工用ジェットストリップ10の全幅に沿って横方向に片寄っていることを意味している。これを言い換えると、加工方向に平行である第2列14のノズル開口部の中心を通る線は、第1列12の最も近いノズル開口部の中心を通る類似の線から選択された距離で横方向に片寄っている。さらに、第2列のノズル開口部14の各々は、前記第1径d1より小さい第2径d2を有している。
【0022】
様々な従来型水流交絡加工システムに関して本明細書で説明するように、第1列のノズル開口部12から出る水流交絡加工用流体の流れ(例えば、図6を参照)は、加工中に1シートの布地材料100内に畝300を作り出す可能性がある。しかし、本発明の様々な実施形態によると、第2列のノズル開口部14は、第2列のノズル開口部14から出る水流交絡加工用流体の流れが畝300の高さを低下させるように、(例えば、選択された距離S/2によって特徴付けられる片寄りで)動作可能に配置されている。例えば、図10A〜図10Bは、例えば本発明の1つまたは複数のシステム実施形態を用いて製造されたサンプル不織布110bと比較した、コントロール不織布110a(その中に複数の畝300を呈している)を示している。
【0023】
一部のシステム実施形態では、概して図2に示したように、第2列のノズル開口部14は、当該第2列のノズル開口部14の各々の中心が第2列のノズル開口部14の各々に最も近く位置する第1列12の1対のノズル開口部の各々の中心から実質的に等距離にあるように、第1複数の開口部12から選択された距離S/2で片寄っていてもよい。したがって、そのような実施形態によると、第1列のノズル開口部12内の1対の隣接ノズル開口部の各中心間の距離を距離Sであると特徴付けると、第2列のノズル開口部14の片寄りの選択された距離は選択された距離S/2であると特徴付けることが可能である。さらに、図2に示したように、一部の実施形態では、第2複数の開口部14は、加工方向5において第1複数の開口部12から、当該第1複数の開口部12の隣接対の各中心間の距離Sの約2分の1の距離Lで間隔が開けられていてもよい。
【0024】
一部の追加のシステムの実施形態(概して図1A、図1Bおよび図2に示したもの)では、選択された距離(例えば、S/2)は、細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10の全幅に沿って第1列のノズル開口部12の少なくとも1つの中心から、第2列のノズル開口部14の最も近い1つのノズル開口部の中心から加工方向5に延びる線まで測定することが可能である。より詳細には、一部の実施形態において、選択された距離は、第1列のノズル開口部の各々の中心を通って延びる第1線と、第2列のノズル開口部の各々の中心を通って延びる第2線との間で規定された距離と実質的に同等であってもよい(例えば、図2に示したもの)。一部の実施形態では、選択された距離は、実質的にS/2(例えば、Sは、隣接ノズル開口部間の距離に対応している)より短くてもよい、または長くてもよい。例えば、一部の実施形態では、選択された距離は、加工方向5に平行に伸びる線が第1列のノズル開口部12の1つの開口部の最も右の限度への接線であり、同様に第2列のノズル開口部14の1つの最も左の限度への接線であるように、第1径d1の2分の1および第2径d2の2分の1の和以上であってよい。他のシステム実施形態では、選択された片寄りの距離は、第1径d1以上、および第1径d1および第2径d2の和以上であってもよい距離を含むことが可能であるが、それらに限定されない。
【0025】
本明細書で図2に関して説明するように、例えば、第1列のノズル開口部12の各々は第1径d1を有し、第2列のノズル開口部14は第1径d1より小さな第2径d2を有している。第1列12および第2列14のノズル開口部におけるノズル開口部の様々な径d1,d2は、少なくとも一部には、不織布110を形成するためにノズル開口部によって生成される各流体流が布地材料100に衝撃を与える衝撃力を決定するものである。本明細書で詳細に説明するように、第2(および横方向に片寄った)列のノズル開口部14内のノズル開口部の径d2は、第2列のノズル開口部14が、例えば畝300の高さおよび/または振幅を低下させられるように第1列のノズル開口部12によって形成されるそのような畝300のほぼ側方の場所で布地材料100に衝撃を与える流体流を生成できるように、好ましくは対応する第1列のノズル開口部12内のノズル開口部の径d1より小さい。方程式(2)に対して本明細書で説明するように、流体流の衝撃力は流体流が発生させられる対応するノズル開口部の径の二乗に比例していることを見て取ることができる。さらに、本明細書で考察するように、ノズル開口部径と結果として生じる流体流の衝撃力との比例関係を使用すると、不織布110の表面上に形成される畝300(「噴流線条」)を最適に水平にし、および/または低下させることが可能である(例えば、従来型水流交絡加工システムを使用して製造された(およびその中に明確に視認できる畝300を呈している)コントロール不織布110aを示している図10Aおよび本発明の1つの実施形態による4列システム(概して図1Aに示した)を用いて製造された不織布110bを示している図10Bを参照)。
【0026】
一部の実施形態では、例えば図2に示したように、第1列のノズル開口部12の各々は約130μmの径d1を有することが可能であり、第2列のノズル開口部14の各々は約100μm〜130μmの径d2を有することが可能である。図2に示した径の寸法d1,d2は単なる典型であることを理解されたい。一部の実施形態において、第1径d1および第2径d2は、第2径d2が第1径d1の少なくとも約30%である実施形態、第2径d2が第1径d1の少なくとも約50%である実施形態、第2径d2が第1径d1の少なくとも約65%である実施形態、第2径が第1径d1の約95%以下である実施形態、第2径d2が第1径d1の約90%以下である実施形態、および第2径d2が第1径d1の約85%以下である実施形態を含むことができるが、それらに限定されない関係を用いてサイズ設定されている。他のシステム実施形態において、第1径d1は、約120μm〜160μm(120μm、121μm、122μm、123μm、124μm、125μm、126μm、127μm、128μm、129μm、130μm、131μm、132μm、133μm、134μm、135μm、136μm、137μm、138μm、139μm、140μm、141μm、142μm、143μm、144μm、145μm、146μm、147μm、148μm、149μm、150μm、151μm、152μm、153μm、154μm、155μm、156μm、157μm、158μm、159μm、および160μmの第1径d1を含む)であってもよい。さらに、一部の実施形態において、第2径d2は、約80μm〜140μm(80μm、81μm、82μm、83μm、84μm、85μm、86μm、87μm、88μm、89μm、90μm、91μm、92μm、93μm、94μm、95μm、96μm、97μm、98μm、99μm、100μm、101μm、102μm、103μm、104μm、105μm、106μm、107μm、108μm、109μm、110μm、111μm、112μm、113μm、114μm、115μm、116μm、117μm、118μm、119μm、120μm、121μm、122μm、123μm、124μm、125μm、126μm、127μm、128μm、129μm、130μm、131μm、132μm、133μm、134μm、135μm、136μm、137μm、138μm、139μm、および140μmの第2径d2を含む)であってもよい。他のシステム実施形態において、第1径d1は、より好ましくは約130μmであってもよく、第2径d2は、より好ましくは約110μmであってもよい。他のシステム実施形態において、第1径d1は、より好ましくは約110μmであってもよく、第2径d2は、より好ましくは約90μmであってもよい。
【0027】
図1Aおよび図1Bを参照すると、一部のシステム実施形態では、細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10内に規定された複数のノズル開口部は、加工方向5において第2列のノズル開口部14から下流に配置された複数の列のノズル開口部16をさらに含んでいてもよい。複数の列のノズル開口部16の各々内のノズル開口部の各々は、細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10の全幅に沿って(例えば、距離Sで)間隔が開けられていてもよい。さらに、複数の列のノズル開口部16の各々は、細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10の全幅に沿って上流列のノズル開口部から選択された距離(例えば、S/2)で片寄っていてもよい。図1Aに示したように、複数の列のノズル開口部16の各々は、第2径以下である径d3,d4を有していてもよい。したがって、第2列のノズル開口部14から(加工方向5における)実質的に下流に配置された複数の列のノズル開口部16は、直前(すなわち、上流)列のノズル開口部によって布地材料110内に形成された畝300を減少させることのできる対応する流体流を生成可能である。
【0028】
本発明の様々な実施形態は、不織布110を形成するために加工方向5に移動する1シートの布地材料100を水流交絡加工するための方法をさらに提供している。1つの実施形態において、本方法は、布地材料100を加工方向5に前進させる工程を含んでいる。概して図3に示すように、前進させる工程は、布地材料100を運ぶために構成されたコンベヤーベルト25を用いて遂行してもよい。また、布地材料100(およびそこから結果として生じる不織布100)は、完成不織布110をドライヤーまたは他の下流加工工程へ運ぶことのできる一連のドラム20上に取り上げる工程によって前進させることも可能である。本方法は、布地材料100に第1複数の流体流を受けさせる工程をさらに含んでいる。様々なシステムの実施形態に関して本明細書に記載したように、第1複数の流体流は、対応する第1列のノズル開口部12によって生成することが可能である(図2を参照)。したがって、第1複数の流体流は、加工方向5に対して実質的に垂直に前記布地材料100の全幅に沿って相互から間隔が開けられていてよい。第1複数の流体流は、前記第1複数の流体流の各々の間で前記不織布110の全長に沿って延びる複数の畝300(例えば、図9を参照)を有する不織布110を形成するために、第1力強度で前記布地材料100に衝撃を与えるように構成されていてもよい。
【0029】
本発明の方法の実施形態は、加工方向5において第1複数の流体流から下流に配置された第2複数の流体流を不織布110に受けさせる工程をさらに含んでいる。第2複数の流体流は、不織布110における複数の畝300の各々の高さを少なくとも部分的に減少させられるように、前記第2複数の流体流が、前記複数の畝300に第1力強度より低い第2力強度で衝撃を与えるように、前記布地材料110の全幅に沿って前記第1複数の流体流から選択された距離で横方向に片寄っている。
【0030】
本明細書に記載した様々な方法の実施形態の工程は、例えば、本明細書に記載したシステムの実施形態を用いて遂行可能である。例えば、一部の方法実施形態では、布地材料に第1複数の流体流を受けさせるための工程は、布地材料100の全幅にわたって伸びる細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10内に画定された第1複数の開口部12を通して流体を強制的に流す工程をさらに含んでいてもよい(例えば、典型的な細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10を示している図2を参照)。さらに、前記不織布に第2複数の流体流を受けさせる工程は、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10内に画定されて前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10の全幅に沿って前記第1複数の開口部12から選択された距離(例えば、図2における距離S/2を参照)で片寄っている第2複数のノズル開口部14を通して前記流体を強制的に流す工程をさらに含んでいてもよい。本発明の様々なシステムの実施形態に関して上記で記載したように、第2複数のノズル開口部14は、第1複数のノズル開口部12から前記第1複数のノズル開口部12(および/または(加工方向5において)実質的に上流に配置された他の流体流「カーテン」)にて生成される流体流により形成される様々な畝300(「噴流線条」)の高さを減少させ、および/または最小限に抑えることができるように、第1複数のノズル開口部12(図2を参照)に対して(選択された距離(例えば、S/2)で規定された片寄りで)動作可能に配置されていてもよい。
【0031】
本明細書に記載するように、本発明の様々な実施形態は、そのような流体流カーテンを利用して水流交絡加工プロセスを遂行するものである。流体流から布地材料100の表面への効率的エネルギー移動は、総合的繊維交絡加工プロセスにおける効率性に寄与することを理解されたい。効率的エネルギー移動のためには、「高品質」流体流を生成できるノズルおよびノズル開口部を提供することは有用な可能性がある。本明細書の状況では、「高品質」流体流は、概して、相当に長い無傷長さ(長い崩壊長さ)を呈す流体流、および/または例えば30〜400barの水流交絡加工において使用できる範囲のマニホールド圧に対して平行化されたままである流体流を意味している(図6A〜図6Fを参照)。そのような高品質流体流は、実質的層流および外見上はガラス状外観を特徴とする「圧縮されたウォータージェット」を生成するために構成され、分離されたノズル流の結果として生じることが多い。必要な圧範囲にわたり実質的に層流のままである流体流を入手するためには、ノズルを通る水流をかき乱す大部分が壁誘発性の摩擦および/または渦度を軽減および/または緩和しなければならない。これは、ノズル内の流れがノズルの内壁から分離されている場合に可能である(図4を参照)。そのような分離は、流体の流れが水流交絡加工用ジェットストリップ10内に画定されたノズルに進入すると、突然強制的に90度回転させられる場合に達成可能となる。動作圧範囲にある圧縮されていない流体流は、それらがノズル開口部を出るとすぐにそれらのエネルギーが容易に分散されるように、急速に噴霧に変化させてもよいことに留意されたい。
【0032】
本発明の様々な実施形態によると、様々な列のノズル開口部12,14,16を構成するノズル開口部は、高品質および/または高度に平行化された流体流(例えば、図6A〜図6Fに描かれた流体流など)を生じさせる「圧縮された流体流」を生成するために構成されている水流交絡加工用ジェットストリップ10(例えば、図8Bに示したノズル断面を参照)内に画定されたノズルと流体連絡していてもよい。そのような一部の実施形態において、ノズルは、参照により全体として本明細書に組み込まれる、「Hydroentangling Jet Strip Device Defining An Orifice」と題する米国特許公開第2006−0124772号に開示されている構成などのノズル構成を含んでいてもよい。
【0033】
さらに、圧縮された流体流の径dは、
【数1】

(式中、C≒0.62は、圧縮された流体流を生成する好ましくは縁の薄いキャピラリーノズルの吐出係数であり、dはノズル入口径である)と表すことができる。従来型の最も多く使用されるノズルの入口径dは、約100μmの径の流体流を生じさせる130μmである(例えば、図5を参照)。上述したように、高品質水流交絡加工用流体流は、相当に長い崩壊長さを備えて生成できる。それらが布地材料100に衝突する瞬間の流体流の径(例えば、ノズル開口部の出口から約5cm)は、ノズル開口部の出口平面での流体流の径
【数2】

とほぼ同一である。流体流の衝撃力Fは、それが噴霧に崩壊しない限り、その速度Vおよび流量
【数3】

に対して線形比例している可能性がある。
【数4】

(式中、
【数5】

である)。圧縮された流体流の速度は十分な精度で、Bernoulliの方程式
【数6】

によってその岐点圧(stagnation pressure)から計算できる。ここでpおよびρは各々、マニホールドのゲージ圧および液体比重である。方程式(2)から、流体流によって付与される衝撃力はその径の二乗に比例している(およびそれによりノズル開口部の径の二乗に比例している)ことを見て取ることができる。本明細書で考察するように、この流体流の衝撃力と流体流の径との関係を使用すると、水流交絡加工不織布110の表面上に形成された畝300の高さを減少させることができる。詳細には、本発明の様々な実施形態は、噴流線条を形成する畝300に衝撃を与え、連続的により小さな径を有する流体流を含む一連の流体流カーテンを生成するように構成されている。
【0034】
しかし、ノズル開口部の径(および結果として生じる流体流)を減少させるとより短い崩壊長さを有する流体流の形成を生じさせる可能性があることに留意されたい。本明細書で考察するように、噴流の無傷長さは、一部の実施形態では、崩壊する前に布地材料100に到達するためには少なくとも5cmでなければならない。このため、効果的な水流交絡加工用ジェットストリップ10を設計するために使用できる径の範囲を試験するために、単一流体流プロファイルの製造およびイメージングを可能にする試験セットアップを設計かつ構築した。この試験セットアップを使用すると、様々なノズル開口部(およびそれと連絡しているノズル)からそれらの軸に沿った相違する圧力ならびにそれらの衝撃力で流出する流体流のプロファイルを試験することが可能となる。図5A〜図5Bは、100barの圧力で65μm(図5Aを参照)および130μm(図5Bを参照)の相違する入口径を有する2つの類似ノズルから流出する2つの相違する流体流のプロファイルを示している。65μmの入口径を備えるノズルから流出する流体流は5cmを超える見掛けの崩壊長さを有することを見て取ることができる。したがって、約65μmを超えるほとんどのノズル入口径は、使用可能なノズル入口径の範囲内に含まれるはずである。
【0035】
布地材料100に与える様々な流体流の衝撃力を測定して運動量方程式(方程式(2))によって本発明者らの理論予測値を比較するため、実験装置には、(1)圧縮ロードセル、(2)正確な高さ調節能力を有するロードセルホルダー、および(3)パーソナルコンピューターもしくは他のコンピューター装置によって制御されるデータ収集システム、を備えることが可能である。様々な典型的な流体流の衝撃力をそれによって測定し、図7にプロットした。平板(移動する布地材料110の相当に平坦な面を表す)を用いた衝撃後に流体流が90度偏向することを想定して、これらの流体流の理論的衝撃力を計算し、比較のために図7にプロットした。上述したように、噴流が崩壊すると、その運動量は何千個もの微細液滴に分割され、その衝撃力は分散される。図7に示した結果は、ノズル出口から特定距離だけ離れた後の65μmの径を有するノズルからの噴流の衝撃力における低下を明らかにしていることを留意されたい。それでもなお、この噴流の衝撃力は依然としてその長さの最初の10cm(すなわち、その「無傷」長さ)については方程式(2)の理論的結果と一致している。
【0036】
布地材料100への流体流の衝撃力は、平板について入手された上記のデータとは数値的に相違することを理解されたい。しかし、上記の衝撃力とノズル開口部径との比例関係は依然として有効であり、これらの結果は1つまたは複数の列12,14,16のノズル(対応するノズル開口部と連絡している)を画定する最適な細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10を設計するために定性的に使用可能である。
【0037】
また、本発明は、本発明の方法によって調製された水流交絡加工不織布110をさらに提供している。本発明の布地は、噴流線条の減少した高さ、したがって噴流線条の減少した光学視認性によって特徴付けられている。これらの布地は、公知の水流交絡加工不織布と比較して長所である引張強度特性および引裂強度特性もまた有している。例えば、一部の実施形態では、様々な方法および/またはシステムの実施形態において、少なくとも1つの水流交絡加工用ジェットストリップ10に隣接させて加工方向5に1シートの布地材料100を移動させることによって製造された不織布を提供することが可能である。そのような一部の実施形態において、それによって製造された不織布110は、加工方向5に対して実質的に平行に延び、減少した高さ(例えば、不織布110の光学的「スジむら(streakiness)」における50%〜80%の減少(例えば、図16および17に図示した)によって指示できる)を有する複数の畝300を含んでいてもよい。この「スジむら」の減少は、各畝300と前記畝300の横方向に隣接して配置された各「谷」との間のグレースケールコントラストの減少として視認および/または定量することが可能である。より特別には、典型的には「明るい」畝300と、布地材料100に衝撃を与える1つまたは複数の流体流によって「谷」の指標となることがある隣接する「暗い」領域との間のコントラストの減少を定量するためには共起分析を実施することが可能である。本発明の一部の実施形態によって達成される畝300の減少の定量的尺度を入手するためには、共起テクスチャ分析法を利用可能である。例えば、不織布110サンプルは、イメージして、例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるShim,E.,and Pourdeyhimi,B.,(2005)によるTextile Research Journal 75(7):569−577に記載された共起法を用いて分析することができる。そのような典型的な分析の結果は、(本明細書に提示した実験例に記載したように)図11A、図11B、図13A、および図13Bに示した。
【0038】
一部の実施形態では、不織布110は、(従来型水流交絡加工法を用いて製造されたコントロール布地と比較した場合に)引裂強度の実質的増加を示す可能性がある。例えば、実験例に関して本明細書において記載したように、本発明の様々な実施形態を用いて製造されたサンプル不織布110は、従来型水流交絡加工法を用いて製造されたコントロール不織布より約15%〜約50%高い引裂強度を示した。さらに、そのような一部の実施形態では、不織布110は従来型水流交絡加工法を用いて製造された不織布が示した匹敵する引張強度より実質的に小さくない、加工方向5に対して実質的に平行な方向の引張強度を示すことが可能である。
【0039】
以下の実験例は、例として提示するものであり、限定するためではない。
【実施例】
【0040】
本発明の様々なシステムおよび方法の実施形態の性能を試験するために、15μmの平均径を有するナイロン/PET複合繊維のスパンボンドウェブは、ノースカロライナ州ローリーに所在するノースカロライナ州立大学(NCSU)の不織布共同研究センター(NCRC)の不織布研究室において調製された。スパンボンディングは、繊維製造および布地製造が結合されているので、原料100(熱可塑性ポリマー)から完成不織布110を製造するための一段階プロセスを提供する製造技術である。スパンボンド布地の基本重量W(単位面積質量として規定された)は、典型的には10〜200g/mの間にある。ここで製造された布地110は、約150g/mの基本重量を有している。
【0041】
本発明の1つの特定の実施形態の概念を証明するために、布地材料100が通過する最終マニホールド(例えば、図2におけるマニホールド3番)内の4列の細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10であった(例えば、図1Aに示したジェットストリップなど)(このとき、d1=130μm、d2=110μm、d3=d4=100μm)。このマニホールドのために考察された動作圧は200barであった。スパンボンドウェブは、概して図3に示したシステムを通る3回の通過について4つのマニホールド(図2に示したマニホールド2番から5番)およびそれと係合する、対応する水流交絡加工用ジェットストリップを用いて150barの圧力で予備交絡させた。本実施例では、マニホールド1番(図3を参照)は、より良好な交絡加工のために布地材料100を「予備湿潤」させるために使用され、全実験ランを通して30barの動作圧で作動させたことに留意されたい。約150g/mの基本重量を有する商業的水流交絡加工布地は、通常は、許容できる交絡度を達成するために10〜15個のマニホールドを用いて処理されることを理解されたい。このため、布地材料100を予備交絡させるために3×4個のマニホールドが含まれた。この実験例(コントロール布地およびサンプル布地が比較された)に使用した動作圧は、200bar(図3におけるマニホールド5番)であった。図10は、4列の細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10(概して図1Aに示した)を用いた処理の前(コントロール布地)および後の結果として生じる不織布110を示している。細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10を使用すると、完成不織布110内の畝300(「噴流線条」)が顕著に減少することを見て取ることができる。
【0042】
本発明の一部の実施形態によって達成される畝300の減少の定量的尺度を入手するために、テクスチャ分析法を利用した。例えば、各不織布110のサンプルの5つの相違する領域をイメージして、例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるShim,E.,and Pourdeyhimi,B.,(2005)によるTextile Research Journal 75(7):569−577に記載された共起法を用いて分析することが可能である。不織布110は、より良好な視認性を得るためにマクロ暗視野照明を用いて照明した。畝300の周期性を評価するためには、空間的共起分析を実施した。共起分析を実施する前に、画像をグレースケールに変換させ、分析のために400ピクセル×400ピクセルのサイズを有する中心部分を選択した。
【0043】
共起分析の結果(例えば、図11A〜図11Bに示した)、コントロール不織布において畝300について約600μmの期間で発生する主ピークの存在を明らかにしている。図11に示したように、本発明の1つの実施形態によるシステムを用いて処理したサンプル不織布110から入手した対応する共起分析の結果は、統計的有意に減少した高さおよび/または振幅を有する畝300を示す共起分析の結果を示している。
【0044】
本明細書で記載するように、連続列のノズル開口部12,14,16内のノズル開口部の径(d1,d2)の様々な組み合わせを使用すると、完成不織布110内の畝300(「噴流線条」)の高さの全体的減少を最適化することが可能である。噴流線条の除去を改善する径の組み合わせを調査するために、単純化された2列の細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10(例えば、図2を参照)について考察した。この特定の実験例の目的で、第1列のノズル開口部12内のノズル開口部の径d1はd1=130μmで一定に維持したが、第2列のノズル開口部14内のノズル開口部の径d2は10μmの増分で100μm〜130μmに変動させた(例えば、図2を参照)。
【0045】
便宜性のために、本発明のシステムの2列実施形態を用いて製造された完成不織布110を以下では「サンプル」と呼ぶ。図12A〜図12Eは、「2列」の細長い水流交絡加工用ジェットストリップ10(概して、図2に示した)を用いて製造されたサンプル不織布110の一連の画像を示している。図12A〜図12Eに図示したように、畝300の噴流線条の減少は裸眼で視認できる。さらに、図13Aに示した共起分析の結果は、不織布110内の畝300の高さにおける定量的減少が有意であることを確証している(例えば、「サンプル110」内の各畝300と隣接「谷」との間の光学的コントラストにおける実質的減少を参照)。図13Bに示した出力値は、概して、完成不織布110内の畝300の噴流線条の強度を表している。入手した出力曲線は、不織布110内の畝300の周期性(例えば、600μm毎に発生する)を表し、各曲線の高さはその優勢性を示している。これを要約すると、「出力」は、概して対応するコントラスト曲線から入手した振幅を示している。したがって、図13Bは、本発明の典型的な実施形態が完成不織布110内の「噴流線条」の強度を顕著に減少させたことを強く示している。
【0046】
一般に、不織布内の噴流線条の存在が布地の引裂抵抗を弱化させる可能性があることは知られている。図14A〜図14Dは、不織布の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示している。これらのSEM画像は、繊維がこれらの領域から押し出されるにつれて布地の厚さが隣接畝300(「噴流線条」)間に配置された「谷」内で減少することを明白に示している。さらに、ノズル開口部によって生成された流体流の衝撃によって作り出される約600μmの間隔を備えるコントロール布地内の深い溝(図14A〜図14B)にもまた注目されたい。600μmは、さらに本研究で使用したノズル開口部間の間隔でもあることに留意されたい。これらの谷もしくは溝は、不織布110内で応力集中を引き起こし、これにより、加工方向5における布地110の引裂抵抗を減少させる可能性がある。そのような不均質性は、不織布110の繊維がより良好に拡散させられるので、本発明のシステムおよび方法実施形態を用いて製造される「サンプル110」内では非常に減少させられることになる(例えば、図14C〜図14Dを参照)。
【0047】
不織布110の強度を改善する際の本発明の実施形態の定量的効果について試験するために、加工方向5においてサンプルの引裂抵抗を評価し、コントロール布地の対応する引裂強度と比較した。引裂試験は、試験前に引裂が開始されている布地試料を引裂くために必要とされる力を測定するものである。より特別には、ASTM D2261−96の「タング(シングルリップ)法による布地の引裂強度の標準試験方法(定速伸長引張試験機)」に従って、不織布110の長方形の試験片(75mm×200mm)は、2枚舌形または「ズボン形」試験片を形成するために長縁の中央をプレカットした。1枚の舌は機械の下つかみ具内にクランプし、他方の舌は上つかみ具内にクランプした。測定中に、つかみ具間の距離は増加し、布地に適用される力は、つかみ具が移動するために、引裂を伝播させる。図15A〜図15Bは、コントロールおよび「サンプル110」の不織布110内の破断伝播を表している2枚の試験片を示している。破断は、コントロール布地の場合には畝300(「噴流線条」)に沿って伝播することを見て取ることができる(図15Aを参照)。これは、噴流線条が、概して加工方向5に整列している最小抵抗の領域を作り出すためである。しかし、サンプル110(図15Bを参照)の場合には破断フロントは直線状で伝播しなかった。この場合の引裂は、必ずしも加工方向5にはない最小抵抗の進路に従う傾向がある。
【0048】
引裂試験中には、クランプを移動させるために必要とされる力もまた記録した。図16は、コントロールおよび「サンプル110」の不織布110の5つの複製物について引裂試験を実施する工程から入手した力歪み曲線を示している。結果は、より良好に比較するためにコントロール布地の平均抵抗を用いて標準化した。本発明の実施形態を用いて製造された布地の引裂抵抗における約25%(および、一部の場合には50%まで)の改良は明白である。類似の試験は、同様に本発明の様々な実施形態を用いて製造された「サンプル100」、「サンプル120」、および「サンプル130」についても実施した。これらの結果は、概して共起実験の結果と一致し、「サンプル110」が最も一様な表面および最高の引裂抵抗を有することを明らかにしている。荷重値は歪みとともに急速に増加し、約100%の伸長後にプラトーに達し、そこから試験片の不織布110が完全に破断されるまで変動し始める。荷重値における初期増加は、破断フロントの移動を伴わずに布地に張力をかけるために必要とされる力である。引裂抵抗は、破断が発生するまで、破断フロントが試験片の末端(すなわち、約100%の伸長)に向かう移動を開始する点から平均化される。コントロール布地の平均荷重値を使用すると、よりよく比較するために全サンプルの引裂抵抗を標準化することができる。サンプルの平均標準化引裂抵抗および対応する標準偏差は、以下の表1に示される。
【0049】
【表1】

【0050】
当業者であれば理解できるように、水流交絡加工布地は引張荷重に対する強さを保持することが重要である。布地の引裂抵抗を改良することが布地の引張特性を損なわせないことを保証するのに重要である。この理由から、本発明の典型的な実施形態を用いて製造された全不織布110サンプルは、「繊維製品の破断荷重および伸長についての標準試験方法(ストリップ法)」と題するASTM D5035−95に記載された引張試験方法を用いて試験した。この試験は、引張方向に繊維製品試験片を引裂くために必要とされる力を報告するものである。本方法に従うと、不織布110の長方形の試験片(25mm×150mm)は、長手を加力の方向に平行にして引張試験機の上および下つかみ具上に取り付けられている。つかみ具間の距離は、試験片に加えられる力によって引き起こされる布地の破断が発生するまで増加させられる。繊維製品試験片を破断させるために必要とされる力および試験片の伸長が測定中に報告される。
【0051】
図17は、コントロールおよびサンプル110の不織布110の5つの複製物について上記に参照した引裂試験を実施する工程から入手した力歪み曲線を示している。これらの結果は、より良好に比較するためにコントロール不織布の最大平均引張強度を用いて標準化した。図17は、加工方向5におけるサンプル110の引張特性に実質的変化はないことを明らかにしている。サンプル110、サンプル120、およびサンプル130の標準化平均引張強度を比較のために表2に示した。これらの数値は、より良好に比較するためにコントロール布地の平均最大(破断時)引張強度を用いて標準化した。サンプル布地が引張特性における実質的な減少を全く示していないことは明白である。
【0052】
【表2】

【0053】
上記の説明および関連する図面に提示した教示の利点を有する、本明細書に記載した本発明の多数の変形およびその他の実施形態は、これらの発明が関係する当業者であれば思いつく。このため、本発明は、本明細書に開示した特定の実施形態には限定されないこと、変形およびその他の実施形態は添付の特許請求項の範囲内に含まれることが意図されると理解されたい。本明細書では特定の用語を使用しているが、それらは包括的かつ説明的意味でのみ使用され、限定する目的で使用されているものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1A】本発明の1つの実施形態によるもので、不織布を形成するために加工方向に移動している1シートの布地材料を水流交絡加工するためのシステムの非限定的な略上面図である。
【図1B】本発明の1つの実施形態によるもので、不織布を形成すべく、加工方向に移動している1シートの布地材料を水流交絡加工するためのシステムの非限定的な略上面図である。
【図2】本発明の1つの実施形態によるもので、複数のノズル開口部を含む細長い水流交絡加工用ジェットストリップの非限定的な概略図である。
【図3】本発明の1つの実施形態による、不織布を形成するために様々な水流交絡加工用流体の流れを1シートの布地材料に向けるための対応する複数の水流交絡加工用ジェットストリップと流体連絡していてよい複数のマニホールドを含む水流交絡加工もしくは「スパンレーシング」システムの非限定的な概略図である。
【図4】本発明の1つの実施形態によるもので、水流交絡加工ノズル内の典型的な高品質流体流の流れの非限定的な概略図であり、この場合、前記流れはノズルの内壁から分離されている。
【図5A】本発明の1つの実施形態によるもので、100barの圧力で実質的には約65μmの入口径を有するノズルから出てくる流体流の非限定的プロファイルを示した図である。
【図5B】本発明の1つの実施形態によるもので、100barの圧力で実質的には約130μmの入口径を有するノズルから出てくる流体流の非限定的プロファイルを示した図である。
【図6】(a)35bar、(b)70bar、(c)100bar、(d)135bar、(e)170bar、および(f)200barを含む様々な圧力で130μmの径を有する典型的な水流交絡加工ノズル開口部によって生成される流体流(すなわち、「ウォータージェット(waterjet)」)の非限定的プロファイルを示した図である。
【図7】本発明の1つの実施形態によるもので、100barの圧力で、各々65μmおよび130μmの径を有するノズル開口部によって生成される流体流(すなわち、「ウォータージェット」)によって付与される衝撃力強度の非限定的プロットを示した図である。
【図8A】実質的に約130μmの入口径を有する水流交絡加工ノズルの非限定的な走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示した図である。
【図8B】水流交絡加工ノズルの非限定的な走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示した図である。
【図8C】所定の出口径を有する水流交絡加工ノズルの非限定的な走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示した図である。
【図9】従来型の水流交絡加工システムによって形成される可能性があり、その表面上で視認可能な畝および/または噴流線条を有する水流交絡加工布の非限定的な写真である。
【図10A】従来型水流交絡加工システムを使用して製造されたコントロール不織布の非限定的な画像である。
【図10B】本発明の様々なシステムおよび方法実施形態の1つを用いて製造されたサンプル不織布の非限定的な画像である。
【図11A】図10A〜図10Bに示したコントロールおよびサンプル不織布に対応する非限定的な共起曲線を示した図である。出力値は、コントロール不織布の出力値を用いて標準化されている。
【図11B】図10A〜図10Bに示したコントロールおよびサンプル不織布に対応する周期性曲線を示した図である。出力値は、コントロール不織布の出力値を用いて標準化されている。
【図12A】従来型水流交絡加工システムを使用して製造されたコントロール不織布で非限定的な画像である。
【図12B】本発明の様々なシステムおよび方法の実施形態の1つを用いて製造されたサンプル不織布100の非限定的な画像である。
【図12C】本発明の様々なシステムおよび方法の実施形態の1つを用いて製造されたサンプル不織布110の非限定的な画像である。
【図12D】本発明の様々なシステムおよび方法の実施形態の1つを用いて製造されたサンプル不織布120の非限定的な画像である。
【図12E】本発明の様々なシステムおよび方法の実施形態の1つを用いて製造されたサンプル不織布130の非限定的な画像である。
【図13A】コントロール不織布ならびにサンプル不織布100、サンプル不織布110、サンプル不織布120、およびサンプル不織布130の非限定的な共起曲線を示した図である。出力値は、コントロール不織布の出力値を用いて標準化されている。
【図13B】コントロール不織布ならびにサンプル不織布100、サンプル不織布110、サンプル不織布120、およびサンプル不織布130の非限定的な周期性曲線を示した図である。出力値は、コントロール不織布の出力値を用いて標準化されている。
【図14A】「コントロール不織布」および「サンプル不織布」の非限定的な倍率30倍のSEM画像であって、「コントロール不織布」の断面画像および等角画像が示されている。
【図14B】「コントロール不織布」および「サンプル不織布」の非限定的な倍率30倍のSEM画像であって、「コントロール不織布」の断面画像および等角画像が示されている。
【図14C】「コントロール不織布」および「サンプル不織布」の非限定的な倍率30倍のSEM画像であって、「サンプル不織布」の断面画像および等角画像が示されている。
【図14D】「コントロール不織布」および「サンプル不織布」の非限定的な倍率30倍のSEM画像であって、「サンプル不織布」の断面画像および等角画像が示されている。
【図15A】加工方向における引裂試験後のコントロール不織布の非限定的な画像である。
【図15B】加工方向における引裂試験後のサンプル不織布110の非限定的な画像である。
【図16】コントロール不織布およびサンプル不織布110の5回の反復実験についての標準化した引裂強度試験結果対歪みの非限定的プロットであり、データは、コントロール不織布の平均引裂抵抗を用いて標準化されている。
【図17】コントロール不織布およびサンプル不織布110の5回の反復実験についての標準化した引張強度試験結果対歪みの非限定的プロットであり、結果は、コントロール不織布の平均最高引張抵抗を用いて標準化されている。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布を形成すべく加工方向に移動する1シートの布地材料を水流交絡加工するためのシステムであって、前記システムは、水流交絡加工用流体の流れを前記シートの布地材料に向けるように各々が動作可能に配置された、複数のノズル開口部を含む細長い水流交絡加工用ジェットストリップを備え、前記複数のノズル開口部は、
前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って間隔が開けられた第1列のノズル開口部であって、前記第1列内の前記ノズル開口部の各々が第1径を有するノズル開口部と、
前記加工方向において前記第1列のノズル開口部から下流に配置され、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って間隔が開けられた第2列のノズル開口部であって、前記第2列のノズル開口部は前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って前記第1列のノズル開口部から選択された距離で片寄り、前記第2列内の前記ノズル開口部の各々は前記第1径より小さい第2径を有する第2列のノズル開口部とを含んでいるシステム。
【請求項2】
前記第1列のノズル開口部から出る前記水流交絡加工用流体の流れは前記シートの布地材料内に畝を作り出し、前記第2列のノズル開口部は、前記第2列のノズル開口部から出る前記水流交絡加工用流体流が前記畝の高さを減少させるように動作可能に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2列のノズル開口部は、前記第2列のノズル開口部の各々の中心が前記第2列のノズル開口部の各々に最も近く位置する前記第1列の1対のノズル開口部の各々の中心から実質的に等距離にあるように、前記第1複数の開口部から選択された距離で片寄っている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2径は、前記第1径の少なくとも約30%である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2径は、前記第1径の少なくとも約50%である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2径は、前記第1径の少なくとも約65%である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2径は、前記第1径の約95%以下である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2径は、前記第1径の約90%以下である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2径は、前記第1径の約85%以下である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1径は約120μm〜160μmであり、前記第2径は約80μm〜140μmである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1径は約130μmであり、前記第2径は約110μmである、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1径は約110μmであり、前記第2径は約90μmである、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2複数の開口部は、前記加工方向において前記第1複数の開口部から、前記第1複数の開口部の隣接対の各中心間の距離の約2分の1の距離で間隔が開けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数のノズル開口部は、前記加工方向において前記第2列のノズル開口部から下流に配置された1つまたは複数の追加列のノズル開口部をさらに含んでおり、前記1つまたは複数の追加列のノズル開口部の各々は前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って間隔が開けられ、前記1つまたは複数の追加列のノズル開口部の各々は前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って最も近い上流列のノズル開口部から選択された距離で片寄り、前記1つまたは複数の追加列のノズル開口部の各々は前記第2径以下の径を有している、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記選択された距離は、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って前記第1列のノズル開口部の少なくとも1つの中心から、前記第2列のノズル開口部の最も近い1つの中心から前記加工方向に延びる線まで測定され、かつ前記選択された距離は前記第1径の2分の1および前記第2径の2分の1の和以上である、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記選択された距離は、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って前記第1列のノズル開口部の少なくとも1つの中心から、前記第2列のノズル開口部の最も近い1つの中心から前記加工方向に延びる線まで測定され、かつ前記選択された距離は前記第1径以上である、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記選択された距離は、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って前記第1列のノズル開口部の少なくとも1つの中心から、前記第2列のノズル開口部の最も近い1つの中心から前記加工方向に延びる線まで測定され、かつ前記選択された距離は前記第1径および前記第2径の和以上である、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記選択された距離は、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って前記第1列のノズル開口部の少なくとも1つの中心から、前記第2列のノズル開口部の最も近い1つの中心から前記加工方向に延びる線まで測定され、かつ前記選択された距離は、前記第1列のノズル開口部の各々の中心を通って延びる第1線と、前記第2列のノズル開口部の各々の中心を通って延びる第2線との間に画定された距離と同一である、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
不織布を形成すべく加工方向に移動する1シートの布地材料を水流交絡加工するための方法であって、
前記布地材料を前記加工方向に前進させる工程と;
前記布地材料に第1複数の流体流を受けさせる工程であって、前記第1複数の流体流は前記加工方向に実質的に垂直である前記布地材料の全幅に沿って相互から間隔が開けられ、前記第1複数の流体流は前記第1複数の流体流の各々の間で前記不織布の全長に沿って延びる複数の畝を有する前記不織布を形成すべく前記布地材料に第1力強度で衝撃を与えるように構成されている工程と、
前記不織布に第2複数の流体流を受けさせる工程であって、前記第2複数の流体流は前記加工方向において前記第1複数の流体流から下流に配置され、前記第2複数の流体流は、前記不織布内の前記複数の畝の各々の高さを少なくとも部分的に減少させられるように、前記第2複数の流体流が前記複数の畝に前記第1力強度より小さい第2力強度で衝撃を与え、前記布地材料の全幅に沿って前記第1複数の流体流から選択された距離で片寄っている工程とを含む方法。
【請求項20】
前記布地材料に前記第1複数の流体流を受けさせる工程は、前記布地材料の全幅にわたって延びる細長い水流交絡加工用ジェットストリップ内に画定された第1複数の開口部を通して流体を強制的に流す工程をさらに含み、かつ前記不織布に前記第2複数の流体流を受けさせる工程は、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップ内に画定され、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って前記第1複数の開口部から前記選択された距離で片寄っている第2複数のノズル開口部を通して前記流体を強制的に流す工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1複数の開口部の各々は第1径を有しており、前記第2複数の開口部の各々は前記第1径より小さい第2径を含んでいる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第2径は、前記第1径の少なくとも約30%である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第2径は、前記第1径の少なくとも約50%である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第2径は、前記第1径の少なくとも約65%である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記第2径は、前記第1径の約95%以下である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記第2径は、前記第1径の約90%以下である、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記第2径は、前記第1径の約85%以下である、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記第1径は約120μm〜160μmであり、前記第2径は約80μm〜140μmである、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記第1径は約130μmであり、前記第2径は約110μmである、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記第1径は約110μmであり、前記第2径は約90μmである、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記選択された距離は、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って前記第1列のノズル開口部の少なくとも1つの中心から、前記第2列のノズル開口部の最も近い1つの中心から前記加工方向に延びる線まで測定され、かつ前記選択された距離は前記第1径の2分の1および前記第2径の2分の1の和以上である、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記選択された距離は、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って前記第1列のノズル開口部の少なくとも1つの中心から、前記第2列のノズル開口部の最も近い1つの中心から前記加工方向に延びる線まで測定され、かつ前記選択された距離は前記第1径以上である、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記選択された距離は、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って前記第1列のノズル開口部の少なくとも1つの中心から、前記第2列のノズル開口部の最も近い1つの中心から前記加工方向に延びる線まで測定され、かつ前記選択された距離は前記第1径および前記第2径の和以上である、請求項20に記載の方法。
【請求項34】
前記選択された距離は、前記細長い水流交絡加工用ジェットストリップの全幅に沿って前記第1列のノズル開口部の少なくとも1つの中心から、前記第2列のノズル開口部の最も近い1つの中心から前記加工方向に延びる線まで測定され、かつ前記選択された距離は、前記第1列のノズル開口部の各々の中心を通って延びる第1線と、前記第2列のノズル開口部の各々の中心を通って延びる第2線との間に画定された距離と同一である、請求項20に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2009−531563(P2009−531563A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503251(P2009−503251)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/065375
【国際公開番号】WO2007/112441
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(507326836)ノース・キャロライナ・ステイト・ユニヴァーシティ (6)
【Fターム(参考)】