説明

水溶性の含窒素液状媒体をそれを含む溶媒又は水溶液から分離又は分離回収する方法、並びにそれらに用いる装置、それらに用いる分離又は分離回収剤

【課題】本発明の目的は、高収率、低コストかつ環境対策に優れた、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する方法及び水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液から該水溶性の含窒素液状媒体を分離回収する方法、並びにそれらに用いる装置、それらに用いる無機の吸着剤及び抽出剤のような分離又は分離回収剤を提供することにある。
【解決手段】水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する方法であって、該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒と、無機の吸着剤とを接触させて、該無機の吸着剤により該水溶性の含窒素液状媒体を吸着させて、該水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤と該水不溶性の溶媒とを分離する工程を含む方法、及びそのような分離回収する方法、並びにそれらに用いる装置、それらに用いる無機の吸着剤及び抽出剤のような分離又は分離回収剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する方法及び水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液から該水溶性の含窒素液状媒体を分離回収する方法、並びにそれらに用いる装置、それらに用いる無機の吸着剤及び抽出剤のような分離又は分離回収剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶媒又は水溶液中の水溶性の含窒素液状媒体を分離回収する方法においては、蒸留法が採用されているが、蒸留法は、水溶液中の水溶性の含窒素液状媒体の含有率が20%以上の場合に用いられることが多く、蒸留塔で大量の水を蒸発させるために、エネルギーコストが高く、また炭酸ガスが多く排出される。近年の炭酸ガス排出規制及び原油高を考慮すると、環境対策及び費用の面で問題がある。
【0003】
蒸留法以外の方法としては、水溶性の含窒素液状媒体の抽出処理による方法が知られている。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及びその加水分解物を低濃度で含有する水溶液を、塩化メチレンで抽出処理する方法が知られている(特許文献1)。しかし、この抽出法は高い抽出効率を示すものの、実用化には困難を伴う。抽出剤の塩化メチレンには発がん性が認められ、また自然環境下で難分解であるため、その排水への排出は0.2mg/Lに厳しく制限されている。しかし、抽出後の水に約12,800mg/Lが溶解しており、これの除去が困難である。また抽出剤の沸点が低い上、揮発性が高く大気中に逃げやすいため、環境問題を残す点で今日では抽出剤として使用できない問題がある。
【0004】
他方、DMFを置換フェノールで抽出する方法が知られている(特許文献2)。この方法では置換フェノールが使用される。しかし、塩化メチレン同様に置換フェノールは発がん性があり、さらに排水規制の問題があり、その使用には困難が伴う。また抽出後の抽出剤と水溶性の含窒素液状媒体の分離には蒸留法が使われているが、抽出剤の蒸留には、やはり多くのエネルギーを要するという欠点がある。
【0005】
また水溶性の含窒素液状媒体は有機溶媒中で金属原子と錯体となることが知られており、対象の金属としては、セリウム、ネオジム、ランタン、ウラニウム、マンガン、コバルト、ニッケル、カドミウム、サマリウム、ユーロピウム、銅などが知られている(非特許文献1、2、3及び4)。上記のいずれの文献においても、錯体になった後の水溶性の含窒素液状媒体の分離方法については示されていない。一般に錯体を形成した後の錯状物質からの分離は困難を伴うことが多く、例えば銅を含んだフェニルシロキサン系の触媒にDMFと錯体を作らせたものは、安定な反応触媒として知られている(非特許文献5)。
【0006】
抽出したN−アルキルアミド類を抽出剤から分離する方法として、蒸留法の他にイオン交換樹脂に吸着させて分離する方法が示されている(特許文献3)。しかしイオン交換樹脂は高価であること、吸着させたN−アルキルアミド類を分離、回収するためにさらなる処理が必要なことなど、コストがかかるという課題は解決されない。
【0007】
そこで、高効率でありながら、費用が安く、かつ環境に悪い影響を与え難い、溶液中の水溶性の含窒素液状媒体を分離する方法が求められている。
【特許文献1】特開2003−340441号公報
【特許文献2】特開昭53−77006号公報
【特許文献3】特開昭55−141450号公報
【非特許文献1】Polyhedron, 25(7), 1700-1706(2006).
【非特許文献2】Russian Journal of Coordination Chemistry (Translation of Koordinatsionnaya Khimiya), 28(3), 183-190(2002).
【非特許文献3】Chemical Communications (Cambridge), (18), 2043-2044(1998).
【非特許文献4】Thermochimica Acta, 307(2), 143-147(1997).
【非特許文献5】Kinetics and Catalysis (Translation of Kinetika i Kataliz), 41(3), 399-401(2000).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高効率、低コストかつ環境対策に優れた、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する方法及び水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液から該水溶性の含窒素液状媒体を分離回収する方法、並びにそれらに用いる装置、それらに用いる無機の吸着剤及び抽出剤のような分離又は分離回収剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する方法であって、
該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒と、無機の吸着剤とを接触させて、該無機の吸着剤により該水溶性の含窒素液状媒体を吸着させて、該水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤と該水不溶性の溶媒とを分離する工程を含む方法に関する。
【0010】
第1の本発明によれば、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒が、該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と水不溶性の溶媒とを接触させて、該水不溶性の溶媒により該水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、水相から該水溶性の含窒素液状媒体を含有する該水不溶性の溶媒を分離させて得ることが好ましい。
【0011】
第1の本発明によれば、さらに、該水溶性の含窒素液状媒体が吸着した該無機の吸着剤を加熱して、該水溶性の含窒素液状媒体を該無機の吸着剤から脱着させて回収する工程を含むことが好ましい。
【0012】
第2の本発明は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液から該水溶性の含窒素液状媒体を分離回収する方法であって、
(1)該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と水不溶性の抽出溶媒とを接触させて、該水不溶性の抽出溶媒により該水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、該水溶性の含窒素液状媒体を含む該水不溶性の抽出溶媒からなる抽出相と水相とを分離する工程、
(2)該抽出相と無機の吸着剤とを接触させて、該無機の吸着剤により該水溶性の含窒素液状媒体を吸着させて、該水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤と該水不溶性の抽出溶媒とを分離する工程、及び
(3)該水溶性の含窒素液状媒体が吸着した該無機の吸着剤を加熱して、該水溶性の含窒素液状媒体を該無機の吸着剤から脱着させて回収する工程
を含む方法に関する。
【0013】
第1及び第2の本発明によれば、無機の吸着剤が1種以上の無水の金属塩化物であることが好ましい。
【0014】
第1及び第2の本発明によれば、該金属塩化物が、無水の塩化第二銅及び無水の塩化カルシウムからなる群より選択される1種以上の金属塩化物であることが好ましい。
【0015】
第1及び第2の本発明によれば、無機の吸着剤の吸着助剤として、無水の金属水酸化物を用いることが好ましい。
【0016】
第1及び第2の本発明によれば、吸着助剤としての無水の金属水酸化物が、無水の水酸化アルミニウムであることが好ましい。
【0017】
第1及び第2の本発明によれば、水不溶性の溶媒又は水不溶性の抽出溶媒が、1種以上の液状の有機ハロゲン化物であることが好ましい。
【0018】
第1及び第2の本発明によれば、水不溶性の溶媒又は水不溶性の抽出溶媒としての有機ハロゲン化物が、1種以上の炭素数1〜3の臭化アルキルであることが好ましい。
【0019】
第1及び第2の本発明によれば、臭化アルキルが、臭化メチレン、臭化エチル、臭化n−プロピル、臭化イソプロピルからなる群から選択される1種以上のものであることが好ましい。
【0020】
第1及び第2の本発明によれば、水溶性の含窒素液状媒体が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ピリジンからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
【0021】
第1及び第2の本発明によれば、水溶性の含窒素液状媒体が、N,N−ジメチルホルムアミドであることが好ましい。
【0022】
第2の本発明によれば、さらに、工程(3)において回収した該水溶性の含窒素液状媒体を、抽出処理及び/又は蒸留処理に付して精製する工程を含むことが好ましい。
【0023】
第2の本発明によれば、さらに、工程(2)において分離された該水不溶性の抽出溶媒を回収し、水不溶性の抽出溶媒として再利用する工程を含むことが好ましい。
【0024】
第2の本発明によれば、さらに、工程(3)において該水溶性の含窒素液状媒体が脱着された該無機の吸着剤を回収し、無機の吸着剤として再利用する工程を含むことが好ましい。
【0025】
第3の本発明は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する装置であって、
該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒と、無機の吸着剤とを接触させて、該無機の吸着剤により該水溶性の含窒素液状媒体を吸着させて、該水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤と該水不溶性の溶媒とを分離する吸着分離部を含む装置に関する。
【0026】
第4の本発明は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液から該水溶性の含窒素液状媒体を分離回収する装置であって、
(A)該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と水不溶性の抽出溶媒とを接触させて、該水不溶性の抽出溶媒により該水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、該水溶性の含窒素液状媒体を含む該水不溶性の抽出溶媒からなる抽出相と水相とを分離する抽出分離部、
(B)該抽出相と無機の吸着剤とを接触させて、該無機の吸着剤により該水溶性の含窒素液状媒体を吸着させて、該水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤と該水不溶性の抽出溶媒とを分離する吸着分離部、及び
(C)該水溶性の含窒素液状媒体が吸着した該無機の吸着剤を加熱して、該水溶性の含窒素液状媒体を該無機の吸着剤から脱着させて回収する脱着回収部
を含む装置に関する。
【0027】
第5の本発明は、無水の塩化第二銅、無水の塩化カルシウム及び無水の水酸化アルミニウムからなる群より選択される1種以上を含む、水溶性の含窒素液状媒体の無機の吸着剤に関する。
【0028】
第6の本発明は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する方法であって、
該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と、水不溶性の抽出溶媒としての1種以上の炭素数1〜3の臭化アルキルとを接触させて、該水不溶性の抽出溶媒により該水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、該水溶性の含窒素液状媒体を含む該水不溶性の抽出溶媒からなる抽出相と水相とを分離する工程を含む方法に関する。
【0029】
第7の本発明は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する装置であって、
該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と、水不溶性の抽出溶媒としての1種以上の炭素数1〜3の臭化アルキルとを接触させて、該水不溶性の抽出溶媒により該水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、該水溶性の含窒素液状媒体を含む該水不溶性の抽出溶媒からなる抽出相と水相とを分離する抽出分離部を含む、装置に関する
【0030】
第8の本発明は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液からの該水溶性の含窒素液状媒体の抽出用としての、1種以上の炭素数1〜3の臭化アルキルからなる抽出剤に関する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、水溶性の含窒素液状媒体をそれを含む溶媒又は水溶液から高効率にかつ低コストで分離又は分離回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
第1の本発明は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する方法であって、該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒と、無機の吸着剤とを接触させて、該無機の吸着剤により該水溶性の含窒素液状媒体を吸着させて、該水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤と該水不溶性の溶媒とを分離する工程(吸着分離工程)を含む方法である。
具体的には、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒4(含窒素液状媒体を含有する溶媒)と無機の吸着剤5を、例えば図1中の吸着分離部20に導入し、水溶性の含窒素液状媒体(含窒素液状媒体)を含有する水不溶性の溶媒4と無機の吸着剤5とを、例えば撹拌・混合などの手段により、接触させる。あるいは、無機の吸着剤5を充填したカラムに、含窒素液状媒体を含有する溶媒4を通すことにより両者を接触させてもよい。接触により含窒素液状媒体を無機の吸着剤5に吸着させることができ、吸着後に、水不溶性の溶媒6から含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤7を例えばフィルターなどの公知の手段により分離することにより、含窒素液状媒体を含有する溶媒4から含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤7として含窒素液状媒体を分離できる。この操作によって、含窒素液状媒体を含有する溶媒4中の含窒素液状媒体の濃度は、おおむね十分の一以下に低下する。
【0033】
本発明において、水溶性の含窒素液状媒体とは、水溶性の、窒素を含有する、液体状の媒体(例えば有機溶媒)である。例えば、酸アミド類、ニトリル類、複素環式窒素化合物、ニトロ化合物、アルキルアミン類、アルキレンアミン類、アニリン、その他のアミン類が挙げられる。
酸アミド類は、例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドンが挙げられる。
ニトリル類は、例えば、アセトニトリル、アセトンシアンヒドリンが挙げられる。
複素環式窒素化合物は、例えば、ピリジン、メチルピリジン、ジメチルピリジン、キノリン、イソキノリン、モルホリン、エチルモルホリン、フェニルモルホリンが挙げられる。
ニトロ化合物は、例えば、ニトロアルカン、ニトロベンゼンが挙げられる。
アルキルアミン類は、例えば、モノ−、ジ−、トリメチルアミン、モノ−、ジエチルアミン、プロピルアミンが挙げられる。
アルキレンアミン類は、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミンが挙げられる。
その他のアミン類は、例えば、シクロヘキシルアミン、モノ−、ジ−、トリエタノールアミン、n−ブチルモノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンが挙げられる。
水溶性の含窒素液状媒体としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ピリジンであることが好ましく、特にN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0034】
本発明において、水不溶性の溶媒とは水溶性の含窒素液状媒体が溶け得る水不溶性の溶媒であれば、限定されない。例えば、液状の有機ハロゲン化物、有機酸エステル、ケトン及びこれらの混合物であることが好ましい。
有機酸エステルは、例えば、酢酸エステル類、プロピオン酸エステル類、酪酸エステル類及びこれらの混合物が挙げられる。
有機ハロゲン化物は、例えば、有機塩素化物、有機臭素化物及びこれらの混合物が挙げられる。有機臭素化物が好ましく、特に炭素数1〜3の臭化アルキル及びこれらの混合物であることが好ましい。炭素数1〜3の臭化アルキルとしては、例えば、臭化メチル、臭化メチレン、トリブロモメタン、臭化エチル、臭化エチレン、トリブロモエタン、臭化n−プロピル、臭化n−プロピレン、臭化イソプロピル、臭化イソプロピレン、トリブロモプロパン及びこれらの混合物が挙げられ、とりわけ特に臭化メチレンが好ましい。
【0035】
本発明において、水不溶性の溶媒中の水溶性の含窒素液状媒体の濃度は、広範囲にわたることができ、特に限定されないが、例えば0.005重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、特に0.1重量%以上である。かかる濃度の上限値は、水溶性の含窒素液状媒体の水不溶性の溶媒への飽和濃度である。水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒は、予めろ過などにより固体の不純物を除去してもよい。
【0036】
本発明において、吸着とは、広義の吸着をいい、物理的な吸着と、化学的な吸着の両方を含む。
【0037】
第1の発明によれば、水不溶性の溶媒は、水溶性の含窒素液状媒体を含み、さらに少量の水を含む場合がある。水不溶性の溶媒中の水溶性の含窒素液状媒体の濃度は、特に限定されないが、無機の吸着剤の使用量や工程の繰り返し回数をなるべく少なくするためには、この濃度を低くする。たとえば、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.2重量%以下である。
【0038】
無機の吸着剤は、水溶性の含窒素液状媒体を吸着し、水不溶性の溶媒に溶解しないものであれば限定されないが、例えば無水の金属塩化物が挙げられる。無水の金属塩化物としては、アルカリ土類及び遷移金属の塩化物が使用できる。
無水の金属塩化物としては、例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化マンガン、塩化コバルト、塩化第二鉄、塩化第二銅、塩化亜鉛等の二価及び三価の金属塩化物が好ましい。とりわけ、金属塩化物が、無水の塩化第二銅及び/又は無水の塩化カルシウムであることが好ましい。これらの無水の金属塩化物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、金属塩化物の多くは水和物を形成するが、金属塩化物の水和物は水溶性の含窒素液状媒体を吸着する性質が低いので、無水物として用いることが好ましい。
【0039】
本発明においては、無機の吸着剤に加えて、吸着助剤として、無水の金属水酸化物を用いることができる。吸着助剤としては、例えば第1族、第2族並びに第3族元素の水酸化物が使用できる。例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化第二鉄、水酸化銅、水酸化アルミニウム等の二価及び三価の金属水酸化物が好ましい。とりわけ無水の水酸化アルミニウムが好ましい。
これらの無水の金属水酸化物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。吸着助剤は、無機の吸着剤が有機臭素化物中の水溶性の含窒素液状媒体を吸着する効果を高める働きがある。また、吸着助剤は、水不溶性の溶媒中で水溶性の含窒素液状媒体を吸着した無機の吸着剤を凝集させる働きがあるため、無機の吸着剤と併用することによって、水不溶性の溶媒と、水溶性の含窒素液状媒体を吸着した無機の吸着剤とを容易に分離することができる。
また、吸着剤と、吸着助剤の組み合わせは、無水の塩化第二銅、無水の塩化カルシウム及び無水の水酸化アルミニウムであることが好ましい。
【0040】
水不溶性の溶媒は、水溶性の含窒素液状媒体を含むのみならず少量の水も取り込んでいる。無機の吸着剤による水溶性の含窒素液状媒体と水との吸着比率は水不溶性の溶媒の種類により異なるが、吸着後の無機の吸着剤には、水が水溶性の含窒素液状媒体に比べて3〜10倍程度含まれていることがある。従って、水と水溶性の含窒素液状媒体を取り込んでいる水不溶性の溶媒からの吸着分離に際して、使用する無機の吸着剤の使用量は、含まれる水溶性の含窒素液状媒体に見合う量である等量よりも多い方が充分な効果が得られる。
無機の吸着剤の量は、通常、水不溶性の溶媒の使用量の1〜15重量%を使用することが好ましい。
例えば、水不溶性の溶媒(有機臭素物)として臭化メチレン、無機の吸着剤としての無水の塩化第二銅を使用する場合において、水不溶性の溶媒(有機臭素物)中の水溶性の含窒素液状媒体の含有率が0.1重量%程度であれば、無機の吸着剤(無水の塩化第二銅)の使用比率は水不溶性の溶媒(有機臭素物)に対して3〜10重量%、すなわち、水溶性の含窒素液状媒体1重量に対し無機の吸着剤を30〜100重量倍接触させることが好ましい。
【0041】
一方、吸着助剤の望ましい使用比率は、使用する吸着助剤の種類及び粒子径によって異なるが、水不溶性の溶媒に対しておおむね0.1重量%以上、2%重量以下が望ましい。使用比率が低すぎると効果が小さく、高すぎると再利用するために加熱処理するときの熱エネルギーが無駄になる。また、吸着助剤は、水溶性の含窒素液状媒体1重量に対し吸着助剤を0.5〜10重量倍、好ましくは1〜2重量倍接触させることが好ましい。
【0042】
無機の吸着剤及び吸着助剤の使用量及び使用比率は、使用する無機の吸着剤及び吸着助剤の種類及び粒子径により、また、水不溶性の溶媒中の水溶性の含窒素液状媒体の濃度をどれだけ低減させたいかにより、水不溶性の溶媒中の含水率により、さらには水不溶性の溶媒と無機の吸着剤との接触方法によっても異なる。
【0043】
無機の吸着剤は、水不溶性の溶媒と接触することによって水不溶性の溶媒中の水溶性の含窒素液状媒体を吸着するので、より少ない量で効果を得ようとする場合は細かく粉砕して使用することが望ましい。しかし、例えば水不溶性の溶媒を通過させるカラムに充填するような場合は、無機の吸着剤の粒子径を大きくして液体を通過し易くすることも有効であるし、無機の吸着剤を所望の形状に成形して使用することも可能である。
【0044】
第1の発明によれば、場合によっては、水不溶性の溶媒から水溶性の含窒素液状媒体を吸着する工程を、水不溶性の溶媒中の水分を取り除く工程と、水溶性の含窒素液状媒体を吸着する工程とに分割して行うことも無機の吸着剤を効率的に用いる上で有効である。
本発明においては、必要により、工程を複数回繰り返すことができ、水不溶性の溶媒中の水溶性の含窒素液状媒体の濃度を例えば0.005重量%以下、特に0.002重量%以下とすることができる。
【0045】
第1の本発明によれば、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒が、該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と水不溶性の溶媒とを接触させて、該水不溶性の溶媒により該水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、水相から該水溶性の含窒素液状媒体を含有する該水不溶性の溶媒を分離させて得ることができる。つまり、抽出分離する工程(抽出分離工程)を水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒に予め施すことができる。
【0046】
本発明において、抽出条件(抽出分離条件)は、温度0℃〜抽出剤の沸点、好ましくは5〜30℃であり、抽出のために接触させる時間は特に限定されないが、例えば1〜20分である。抽出工程は、少なくとも1回行なうが、必要により2回以上行なってもよい。複数回抽出工程を行なうことは、特に、水溶液中の水溶性の含窒素液状媒体の濃度が高い場合や抽出後の水相中の水溶性の含窒素液状媒体濃度を低くする場合に有効である。抽出後の水相中の水溶性の含窒素液状媒体の濃度を0.1重量%以下にすると、水相を排水処理施設により直接処理可能となる。
【0047】
第1の本発明によれば、さらに、該水溶性の含窒素液状媒体が吸着した該無機の吸着剤を加熱して、該水溶性の含窒素液状媒体を該無機の吸着剤から脱着させて回収する工程(脱着回収工程)を含むことができる。
具体的には、水溶性の含窒素液状媒体が吸着している無機の吸着剤を、加熱する。それにより、吸着状態が解けて、水溶性の含窒素液状媒体及び含まれる水分は気体の状態となって、無機の吸着剤から離れる。離れた脱着気体(水溶性の含窒素液状媒体)を回収する。加熱条件は、大気圧下においては温度100〜300℃、好ましくは150〜250℃であり、時間は加熱温度により異なるが例えば10〜100分である。
【0048】
第2の本発明は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液から該水溶性の含窒素液状媒体を分離回収する方法であって、
(1)該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と水不溶性の抽出溶媒とを接触させて、該水不溶性の抽出溶媒により該水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、該水溶性の含窒素液状媒体を含む該水不溶性の抽出溶媒からなる抽出相と水相とを分離する工程、
(2)該抽出相と無機の吸着剤とを接触させて、該無機の吸着剤により該水溶性の含窒素液状媒体を吸着させて、該水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤と該水不溶性の抽出溶媒とを分離する工程、及び
(3)該水溶性の含窒素液状媒体が吸着した該無機の吸着剤を加熱して、該水溶性の含窒素液状媒体を該無機の吸着剤から脱着させて回収する工程
を含む方法に関する。この方法における用語において、第2の本発明の水不溶性の抽出溶媒は第1の本発明の水不溶性の溶媒と同様の意味を有し、同様なものが例示される。また、第2の本発明における、水溶性の含窒素液状媒体、無機の吸着剤、及び吸着助剤等の説明は第1の本発明における同じ語と同様の意味を有し、同様なものが例示される。その他条件等も、第1の本発明における上記の態様を参照することができる。
【0049】
第2の本発明の方法において、工程(1)は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と水不溶性の抽出溶媒とを接触させて、水不溶性の抽出溶媒により水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、水溶性の含窒素液状媒体を含む水不溶性の抽出溶媒からなる抽出相と水相とを分離する工程である。
具体的には、図2において、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液1を、図2中の抽出分離部10に導入し、水不溶性の抽出溶媒2と、例えば撹拌・混合手段等の公知の手段により、接触させる。それにより、水溶液から水溶性の含窒素液状媒体を水不溶性の抽出溶媒に抽出する。抽出後に、水相3と抽出相4とに相分離させる。相分離は、静置によって行なうことができるが、遠心分離等の他の公知の手段を用いることもできる。
【0050】
本発明において、水溶液中の水溶性の含窒素液状媒体の濃度は、広範囲にわたることができ、特に限定されないが、例えば0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上である。かかる濃度の上限値は、水溶性の含窒素液状媒体の水への飽和濃度である。水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液は、水不溶性の抽出溶剤による抽出の前に、例えば蒸留法により、水溶性の含窒素液状媒体を濃縮してもよい。
【0051】
本発明において、水不溶性の抽出溶媒とは、水に不溶であり、上述の水溶性の含窒素液状媒体の抽出に適した溶媒である。例えば、液状の有機ハロゲン化物、有機酸エステル、ケトン及びこれらの混合物であることが好ましい。
有機酸エステルは、例えば、酢酸エステル類、プロピオン酸エステル類、酪酸エステル類及びこれらの混合物が挙げられる。
有機ハロゲン化物は、例えば、有機塩素化物、有機臭素化物及びこれらの混合物が挙げられる。有機臭素化物が好ましく、特に炭素数1〜3の臭化アルキル及びこれらの混合物であることが好ましい。炭素数1〜3の臭化アルキルとしては、例えば、臭化メチル、臭化メチレン、トリブロモメタン、臭化エチル、臭化エチレン、トリブロモエタン、臭化n−プロピル、臭化n−プロピレン、臭化イソプロピル、臭化イソプロピレン、トリブロモプロパン及びこれらの混合物が挙げられ、とりわけ特に臭化メチレンが好ましい。
【0052】
本発明において、工程(2)は、該抽出相と無機の吸着剤とを接触させて、該無機の吸着剤により該水溶性の含窒素液状媒体を吸着させて、該水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤と該水不溶性の抽出溶媒とを分離する工程である。
具体的には、図2において、工程(1)で得られた抽出相4(すなわち、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の抽出溶媒)と無機の吸着剤5を、吸着分離部20に導入し、抽出相4と無機の吸着剤5とを、例えば撹拌・混合などの手段により、接触させる。あるいは、無機の吸着剤5を充填したカラムに、抽出相4を通すことにより両者を接触させてもよい。接触により水溶性の含窒素液状媒体を無機の吸着剤5に吸着させることができ、吸着後に、水不溶性の抽出溶媒6から水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤7を例えばフィルターなどの公知の手段により分離することにより、抽出相4から水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤7として水溶性の含窒素液状媒体を分離できる。この操作によって、抽出相4中の水溶性の含窒素液状媒体の濃度は、おおむね十分の一以下に低下する。この方法における各部の説明は、第1の本発明における上記の態様を参照することができる。
【0053】
工程(2)において、場合によっては、抽出相から水溶性の含窒素液状媒体を吸着する工程を、抽出相中の水分を取り除く工程と、水溶性の含窒素液状媒体を吸着する工程とに分割して行うことも無機の吸着剤を効率的に用いる上で有効である。
本発明においては、必要により、工程(2)を複数回繰り返すことができ、抽出相中の水溶性の含窒素液状媒体の濃度を例えば0.005重量%以下、特に0.002重量%以下とすることができる。
【0054】
本発明において、工程(3)は、該水溶性の含窒素液状媒体が吸着した該無機の吸着剤を加熱して、該水溶性の含窒素液状媒体を該無機の吸着剤から脱着させて回収する工程である。
具体的には、図2において、工程(2)で得られた、(水溶性の含窒素液状媒体が吸着している)無機の吸着剤7を、脱着回収部30に導入し、加熱する。それにより、吸着状態が解けて、水溶性の含窒素液状媒体及び含まれる水分は気体の状態となって、無機の吸着剤5から離れる。離れた脱着気体(水溶性の含窒素液状媒体)8を回収する。加熱条件は、大気圧下においては温度100〜300℃、好ましくは150〜250℃であり、時間は加熱温度により異なるが例えば10〜100分である。この方法における説明は、第1の本発明における上記の態様を参照することができる。
【0055】
本発明においては、さらに、第1の本発明の脱着回収工程又は第2の本発明の工程(3)において回収した脱着気体(水溶性の含窒素液状媒体)を、例えば図3中の第一の水抽出精製部50及び/又は第一の蒸留塔53に通して、さらに、抽出処理及び/又は蒸留処理に付して精製する工程(工程(4))を付加し、脱着気体中に含まれ得る水蒸気、その他の不純物溶媒を取り除いてもよい。
抽出条件は、温度0℃〜抽出剤の沸点、好ましくは10〜30℃であり、時間は1〜60分、好ましくは5〜10分である。
蒸留条件は、水溶性の含窒素液状媒体の沸点と抽出剤の沸点との間の温度、好ましくはそれらの中点付近の温度であり、時間は加熱温度により異なるが例えば10〜100分である。
【0056】
本発明においては、さらに、第1の本発明の吸着分離工程又は第2の本発明の工程(2)において分離された水不溶性の抽出溶媒を回収し、例えば図3中の抽出溶媒タンク40に溜め、例えば図3中の抽出分離部10に導入して、これを水不溶性の抽出溶媒として再利用する工程(工程(5))を付加してもよい。無機の吸着剤と接触させた後の水不溶性の抽出溶媒により、再び水溶液中の水溶性の含窒素液状媒体を抽出することができる。つまり、水不溶性の抽出溶媒は繰返し使用できる。
【0057】
本発明においては、さらに、第1の本発明の脱着回収工程又は第2の本発明の工程(3)において該水溶性の含窒素液状媒体が脱着された無機の吸着剤を例えば図3中の脱着回収部30から回収し、例えば図3中の吸着分離部20に再度導入し、無機の吸着剤として再利用する工程(工程(6))を付加することができる。脱着させた後の無機の吸着剤は、再び水溶性の含窒素液状媒体を吸着することができる。つまり、無機の吸着剤は繰り返し使用できる。
【0058】
本発明において、これらの工程以外に所望により、公知の手段を組み合わせることができ、本発明の方法の各工程間の流体を移送させるために、必要に応じて移送ポンプを用いることができる。また、必要に応じて、水溶液を予めろ過し、固形物を除去することができる。
【0059】
第3の本発明は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する装置であって、
該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒と、無機の吸着剤とを接触させて、該無機の吸着剤により該水溶性の含窒素液状媒体を吸着させて、該水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤と該水不溶性の溶媒とを分離する吸着分離部を含む装置に関する。
【0060】
第4の本発明は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液から該水溶性の含窒素液状媒体を回収する装置であって、
(A)該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と水不溶性の抽出溶媒とを接触させて、該水不溶性の抽出溶媒により該水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、該水溶性の含窒素液状媒体を含む該水不溶性の抽出溶媒からなる抽出相と水相とを分離する抽出分離部、
(B)該抽出相と無機の吸着剤とを接触させて、該無機の吸着剤により該水溶性の含窒素液状媒体を吸着させて、該水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤と該水不溶性の抽出溶媒とを分離する吸着分離部、及び
(C)該水溶性の含窒素液状媒体が吸着した該無機の吸着剤を加熱して、該水溶性の含窒素液状媒体を該無機の吸着剤から脱着させて回収する脱着回収部
を含む装置に関する。
【0061】
本発明の装置は、図2に示すように、抽出分離部10、吸着分離部20及び脱着回収部30を必須の構成として含む。図中の符号は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液1、水不溶性の抽出溶媒2、水相3、抽出相4、無機の吸着剤5、水不溶性の抽出溶媒6、水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤7、水溶性の含窒素液状媒体8、抽出分離部10、吸着分離部20及び脱着回収部30である。
【0062】
本発明の装置を、図3を用いて詳細に説明するが、図3に示された態様は単なる例示であり、任意の手段も含まれているが、このような態様に本発明を限定するものではない。
【0063】
水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液を、水溶液注入ライン101に導入し、移送ポンプP1を介して、水溶液注入ライン102及び103を経て、抽出分離部10に導入する。
【0064】
抽出分離部10からの抽出相は、水溶性の含窒素液状媒体を含む水不溶性の抽出溶媒(水溶性の含窒素液状媒体を含む抽出溶媒)からなり、抽出分離部10から抽出相移送ライン124を経て、吸着分離部20に導入され、無機の吸着剤と接触する。吸着分離部では、水溶性の含窒素液状媒体は無機の吸着剤に吸着され、水不溶性の抽出溶媒(抽出溶媒)と分離される。水溶性の含窒素液状媒体が吸着した無機の吸着剤を、脱着回収部30に、水溶性の含窒素液状媒体が吸着した無機の吸着剤移送ライン142を経て導入する。抽出溶媒は、抽出溶媒移送ライン125を経て、抽出溶媒タンク40に溜められ、これを抽出分離部10に再利用することができる。
【0065】
脱着回収部30では加熱が行われ、脱着気体と無機の吸着剤とに分けられる。無機の吸着剤は脱着後の無機の吸着剤移送ライン141を経て、再び吸着分離部20に戻される。
【0066】
脱着回収部30からの脱着気体は、水溶性の含窒素液状媒体の気体であり、これをそのまま回収することができる。また、冷却塔31に通して凝縮させて、水溶性の含窒素液状媒体を回収することもできる。
【0067】
脱着回収部30からの脱着気体を、第一の冷却塔31で凝縮させた後、水等の不純物の抽出精製を行うために、これを、水溶性の含窒素液状媒体と水移送ライン161を経て移送ポンプP6を介し、水溶性の含窒素液状媒体と水移送ライン162を経て、第一の水抽出精製部50に移送する。さらに水抽出精製相を、水抽出精製相移送ライン163を経て移送ポンプP7を介し、水抽出精製相移送ライン164を経て、第二の水抽出精製部51に、そして水抽出精製相移送ライン165を経て、移送ポンプP8を介し、水抽出精製相移送ライン166を経て、第三の水抽出精製部52に通すことができる。水等の不純物の抽出精製の抽出剤としては、例えば臭化メチレンを用いることができる。第三の水抽出精製部52からの抽出精製相は、抽出精製相移送ライン168を経て、第二の水抽出精製部51に移送される。第二の水抽出精製部51からの抽出精製相は、抽出精製相移送ライン169を経て、第一の水抽出精製部50に移送される。このような水抽出精製相及び抽出精製相の移送により、水等の不純物の抽出効率を上げることができる。
【0068】
第三の水抽出精製部52において、不純物を抽出精製された脱着気体の凝縮物を、抽出精製相移送ライン170を経て第一の蒸留塔53に、及び水溶性の含窒素液状媒体の移送ライン171を経て第二の冷却器54に移送し、水溶性の含窒素液状媒体移送ライン172を経て水溶性の含窒素液状媒体を回収することにより、抽出精製後蒸留精製を行い、残留する抽出溶媒のような不純物を蒸留により除くことができる。蒸留塔53で除かれた不純物抽出溶媒は、蒸留溶媒移送ライン173を経て、第三の水抽出精製部52に戻される。
【0069】
抽出分離部10からの水相はそのまま排出することもできるが、第二の抽出分離部11及び第三の抽出分離部12に、抽出分離部10からの水相を導入し、抽出操作を繰り返して、水溶性の含窒素液状媒体の抽出率(回収率)を高めることができる。その場合、水相移送ライン104を経て、移送ポンプP3を介し、水相移送ライン105を経て、抽出分離部10からの水相を第二の抽出分離部11に移送し、第二の抽出分離部11からの水相は水相移送ライン106を経て、移送ポンプP4を介し、水相移送ライン107を経て、第二の抽出分離部11からの水相を第三の抽出分離部12に導入し、第三の抽出分離部12からの水相は水相移送ライン108から排出される。同様に、抽出分離部10に、第二の抽出分離部11及び第三の抽出分離部12からの抽出相を導入し、抽出操作を繰り返すことができる。その場合、第三の抽出分離部12からの抽出相を、抽出相移送ライン122を経て、第二の抽出分離部11に移送し、第二の抽出分離部11からの抽出相を、抽出相移送ライン123を経て、抽出分離部10に移送する。
【0070】
第三の抽出分離部12からの水相は、移送ポンプP5を介して、そのまま排出することもできるが、任意に溶媒抽出精製部60での溶媒抽出精製により、抽出溶媒を除くことができる。抽出溶媒の抽出剤としては、例えばヘキサン、オクタンを用いることができる。蒸留精製により、抽出溶媒を除くには、移送ポンプP5を介し、水相移送ライン109を経て、溶媒抽出精製部60に導入され、水分(排水)のみが水相排出ライン110を経て排出される。溶媒抽出精製部60の溶媒抽出精製相は第二の蒸留塔61へ溶媒抽出精製相移送ライン181を経て移送され、第二の蒸留塔61からの抽出溶媒蒸気は蒸気移送ライン182を経て、溶媒抽出精製部60に戻される。第二の蒸留塔61からの抽出溶媒は、第三の冷却器62で冷却され、抽出溶媒移送ラインを経て、抽出溶媒タンク40に移送される。抽出溶媒タンク40に溜められた抽出溶媒は、移送ポンプP2を介して、抽出溶媒移送ライン121を経て、抽出分離部12に戻される。
【0071】
そして、第5の本発明は、無水の塩化第二銅及び無水の塩化カルシウムからなる群より選択される1種以上を含む、水溶性の含窒素液状媒体の吸着剤組成物に関する。
【0072】
第6の本発明は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する方法であって、
該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と、水不溶性の抽出溶媒としての1種以上の炭素数1〜3の臭化アルキルとを接触させて、該水不溶性の抽出溶媒により該水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、該水溶性の含窒素液状媒体を含む該水不溶性の抽出溶媒からなる抽出相と水相とを分離する工程を含む方法に関する。この方法における各部の説明は、第1及び第2の本発明における上記の態様を参照することができる。
【0073】
第7の本発明は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する装置であって、
該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と、水不溶性の抽出溶媒としての1種以上の炭素数1〜3の臭化アルキルとを接触させて、該水不溶性の抽出溶媒により該水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、該水溶性の含窒素液状媒体を含む該水不溶性の抽出溶媒からなる抽出相と水相とを分離する抽出分離部を含む、装置に関する。この装置における各部の説明は、第3の発明における上記の態様を参照することができる。
【0074】
第8の本発明は、水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液からの該水溶性の含窒素液状媒体の抽出用としての、1種以上の炭素数1〜3の臭化アルキルを含む抽出剤である。
この水溶性の含窒素液状媒体の抽出用としての臭化アルキルの説明は、上記の態様を参照することができる。
【実施例】
【0075】
水に均一に分散した可溶性の水溶性の含窒素液状媒体、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と略す。)の水溶液からの回収についての例を示す。
実施例中の水溶液中のDMF濃度及び臭化メチレン中のDMF濃度は、ガスクロマトグラフにより、内部標準法によって求めた。
【0076】
工程(1)(水中のDMFを臭化メチレンで抽出)についての例
【0077】
[実施例1]
DMFを1重量%含む水溶液200gを分液漏斗に取り、これに臭化メチレン2000gを加えて、続いて5分間振とうし、抽出操作(1回目)を行い臭化メチレン抽出相を水相から分離した。残った水相に、新たな臭化メチレンを2000g加えて、再度5分間振とうして抽出操作(2回目)を行い、臭化メチレン抽出相を分離した。同じ操作をさらに1回繰返した後(3回目)、水相中のDMF濃度は0.063重量%となった。
以上の操作の結果、3回の抽出による水溶液中のDMFの回収率は、93.7%に達した。
結果を、表1に示す。
【0078】
[実施例2〜4]
DMFを5重量%含む水溶液200gを分液漏斗に取り、これに臭化メチレン2000gを加えて、続いて5分間振とう抽出した後、分離した水相中のDMF濃度は2.03重量%となった。この結果、1回の抽出操作による水溶液中のDMFの回収率は、59.4%に達した。
同様に、水溶液中のDMFの濃度が異なる場合について、実施例2と同じ要領で行った結果を表1の実施例3、4に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
[実施例5〜10]
DMFを10重量%含む水溶液200gを分液漏斗に取り、これに臭化メチレン1000gを加えて、続いて5分間振とう抽出した後、分離した水相中のDMF濃度は5.30重量%となった。この結果、1回の抽出操作による水溶液中のDMFの回収率は、47.0%に達した。
同様に、水不溶性の抽出溶媒の種類が異なる場合について、実施例5と同じ要領で行った結果を表2の実施例6〜10に示す。
【0081】
【表2】

【0082】
[実施例11〜14]
DMFを10重量%含む水溶液200gを分液漏斗に取り、これに臭化メチレン2000gを加えて、続いて5分間振とう抽出した後、分離した水相中のDMF濃度は3.70重量%となった。この結果、1回の抽出操作による水溶液中のDMFの回収率は、63.0%に達した。この処理後の水相に新たな臭化メチレン2000gを加えて、同様の抽出操作を2〜4回繰り返した。
結果を、表3及び図4に示す。
図4中、抽出回数0回は抽出操作前のDMF濃度であり、1〜4回はそれぞれ順に実施例11〜14に対応する。
【0083】
【表3】

【0084】
[実施例15〜17]
DMFを10重量%含む水溶液200gを分液漏斗に取り、これに5倍重量の臭化メチレン1000gを加えて、続いて5分間振とう抽出した後、分離した水相中のDMF濃度は5.30重量%となった。この結果、1回の抽出操作による水溶液中のDMFの回収率は、47.0%に達した。
同様に、水溶液に対する臭化メチレンの重量倍率が異なる場合について、実施例15と同じ要領で行った結果を表4の実施例16〜17に示す。
【0085】
【表4】

【0086】
上記の結果から、臭化メチレンの水溶液に対する重量倍率が大きいほど、水溶液中のDMFの抽出効率は高くなる事がわかった。
【0087】
工程(2)(臭化メチレン中のDMFを金属塩化物で吸着)について
【0088】
[実施例18〜20]
実施例1で得られた抽出相200gをガラス容器に入れ、粉末状の無水塩化第二銅10gをこれに加えて5分間撹拌したところ、抽出相(臭化メチレン)中のDMF濃度は0.064重量%から0.003重量%に低下した。この吸着操作により、臭化メチレン中DMF濃度の低下率は95.3%となった。
実施例1の抽出操作で2回目、3回目のそれぞれの抽出液についても同様の操作を行い、実施例19及び20とした。
結果を、表5に示す。
【0089】
【表5】

【0090】
[実施例21及び22]
DMFを0.1重量%含む臭化メチレン200gをガラス容器に入れ、粉末状の無水塩化カルシウムの試薬20gをこれに加えて5分間撹拌したところ、臭化メチレン中DMF濃度は0.015重量%に低下した。この吸着操作により、臭化メチレン中DMF濃度の低下率は85%となった。無水塩化カルシウムの添加量を10gにした場合についても同様の操作を行った。
結果を、表6に示す。
【0091】
【表6】

【0092】
[実施例23〜26]
DMFを0.1重量%含む臭化メチレン200gをガラス容器に入れ、無水の塩化第二銅が10重量%、無水塩化カルシウムが90重量%となる粉末状の混合物20gをこれに加えて5分間撹拌したところ、臭化メチレン中DMF濃度は0.002重量%に低下した。この吸着操作により、臭化メチレン中DMF濃度の低下率は98.0%となった。無機の吸着剤の添加量を10g、6g、2gとした場合についても同様の操作を行った。
結果を、表7に示す。
【0093】
【表7】

【0094】
[実施例27]
DMFを0.1重量%含む臭化メチレン200gをガラス容器に入れ、無水塩化第二銅が20重量%、無水塩化カルシウムが80重量%の粉末状混合物10gを加えた。これに、2gの無水水酸化アルミニウムを加えて5分間撹拌したところ、臭化メチレン中のDMF濃度は0.002重量%に低下した。この吸着操作により、臭化メチレン中DMF濃度の低下率は98.0%となった。
【0095】
工程(3)(DMFを吸着した金属塩化物を加熱してDMFを分離)について
【0096】
[実施例28]
[実施例24]において、臭化メチレンから分離した無水塩化第二銅及び無水塩化カルシウムの混合物を、200℃で30分間加熱してDMF及び水を揮発させ、8.6gの無水塩化第二銅及び無水塩化カルシウムの混合物を得た。そして、回収されたDMFは、0.18gであった
さらに、1回吸着に使用し、加熱脱着させた上記無機の吸着剤8.6gを、再度使用し、DMFを0.1重量%含む臭化メチレン172gに加え、5分間撹拌したところ、臭化メチレン中のDMF濃度は0.004重量%に低下した。この吸着操作による臭化メチレン中DMF濃度の低下率は96.0%であり、未使用の無機の吸着剤を使用する場合と同等であった。
【0097】
[実施例29]
[実施例27]において、臭化メチレンから分離した無水塩化第二銅、無水塩化カルシウム及び無水水酸化アルミニウムの混合物を、200〜300mmHgの減圧下において120〜160℃で30分間加熱してDMFを揮発させ、10.5gの無水塩化第二銅、無水塩化カルシウム及び無水水酸化アルミニウムの混合物を得た。そして、回収されたDMFは、0.19gであった。
この混合物10.5gを無機の吸着剤として、DMFを0.1重量%含む臭化メチレン175gに加え、5分間撹拌したところ、臭化メチレン中のDMF濃度は0.002重量%に低下した。この吸着操作による臭化メチレン中DMF濃度の低下率は98.0%であり、未使用の無機の吸着剤を使用する場合と同等であった。
【0098】
以上の実施例28及び29から、DMFを吸着した金属塩化物を加熱した後に再度臭化メチレン中のDMFを金属塩化物に吸着させて、加熱によってDMFが分離するために金属塩化物が繰返し使用できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
第1〜5の本発明は、水溶性の含窒素液状媒体の分離又は分離回収限界が0.1%以下と低く、固−液分離であるので、水から分離しやすく、効率がよく、また環境への影響を与え難い。また、無機の吸着剤による汚染が少なく、水溶液中の水溶性の含窒素液状媒体の含有量を調整する必要がないので、水溶性の含窒素液状媒体が高濃度でも低濃度でも対応することができるため、水溶性の含窒素液状媒体をそれを含む水不溶性の溶媒又は水溶液から高効率にかつ低コストで分離又は分離回収することができる。とりわけ、本発明の方法に用いる水不溶性の(抽出)溶媒及び無機の吸着剤は再利用可能であるので、高収率、低コストかつ環境対策に優れる。
そして、第6〜8の本発明においては、臭化メチレンが水中からの除去が容易であり、例えばヘキサン・オクタン抽出で水溶性の含窒素液状媒体の濃度を測定限界以下まで除去できる(従来使用されている塩化メチレンはオクタン抽出で82ppm程度残留する)。また、臭化メチレンは排水規制がなく、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)の規制物質ではなく、また、光分解性及び生分解性を有し、環境に与える影響は非常に少ない。そして、臭化メチレン抽出終了後の分離が比重が2.5と大きいために容易であり、沸点も約97℃と取り扱いが容易であり、優れた水溶性の含窒素液状媒体の抽出剤である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の装置の一態様を示すシステムフロー図である。
【図2】本発明の装置の一態様を示すシステムフロー図である。
【図3】本発明の装置の一態様を示すシステムフロー図である。
【図4】本発明の実施例11〜14の抽出操作後の水相中のN,N−ジメチルホルムアミド濃度を示す図である。
【符号の説明】
【0101】
1 水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液
2 水不溶性の抽出溶媒、抽出溶媒
3 水相
4 水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒、抽出相
5 無機の吸着剤
6 水不溶性の溶媒、水不溶性の抽出溶媒、抽出溶媒
7 水溶性の含窒素液状媒体を吸着した無機の吸着剤
8 水溶性の含窒素液状媒体
10 抽出分離部
11 第二の抽出分離部
12 第三の抽出分離部
20 吸着分離部
30 脱着回収部
31 第一の冷却器
40 抽出溶媒タンク
50 第一の水抽出精製部
51 第二の水抽出精製部
52 第三の水抽出精製部
53 第一の蒸留塔
54 第二の冷却器
60 溶媒抽出精製部
61 第二の蒸留塔
62 第三の冷却器
P1 移送ポンプ
P2 移送ポンプ
P3 移送ポンプ
P4 移送ポンプ
P5 移送ポンプ
P6 移送ポンプ
P7 移送ポンプ
P8 移送ポンプ
101 廃液注入ライン
102 廃液注入ライン
103 廃液注入ライン
104 水相移送ライン
105 水相移送ライン
106 水相移送ライン
107 水相移送ライン
108 水相移送ライン
109 水相移送ライン
110 水相排出ライン
121 抽出溶媒移送ライン
122 抽出相移送ライン
123 抽出相移送ライン
124 抽出相移送ライン
125 抽出溶媒移送ライン
141 脱着後の無機の吸着材移送ライン
142 水溶性の含窒素液状媒体と無機の吸着剤移送ライン
161 水溶性の含窒素液状媒体と水移送ライン
162 水溶性の含窒素液状媒体と水移送ライン
163 水抽出精製相移送ライン
164 水抽出精製相移送ライン
165 水抽出精製相移送ライン
166 水抽出精製相移送ライン
167 水分移送ライン
168 抽出精製相移送ライン
169 抽出精製相移送ライン
170 抽出精製相移送ライン
171 水溶性の含窒素液状媒体の蒸気移送ライン
172 水溶性の含窒素液状媒体移送ライン
173 蒸留溶媒移送ライン
181 溶媒抽出精製相移送ライン
182 蒸気移送ライン
183 抽出溶媒移送ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する方法であって、
該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒と、無機の吸着剤とを接触させて、該無機の吸着剤により該水溶性の含窒素液状媒体を吸着させて、該水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤と該水不溶性の溶媒とを分離する工程を含む方法。
【請求項2】
水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒が、該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と水不溶性の溶媒とを接触させて、該水不溶性の溶媒により該水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、水相から該水溶性の含窒素液状媒体を含有する該水不溶性の溶媒を分離させて得られる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
さらに、該水溶性の含窒素液状媒体が吸着した該無機の吸着剤を加熱して、該水溶性の含窒素液状媒体を該無機の吸着剤から脱着させて回収する工程を含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液から該水溶性の含窒素液状媒体を分離回収する方法であって、
(1)該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と水不溶性の抽出溶媒とを接触させて、該水不溶性の抽出溶媒により該水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、該水溶性の含窒素液状媒体を含む該水不溶性の抽出溶媒からなる抽出相と水相とを分離する工程、
(2)該抽出相と無機の吸着剤とを接触させて、該無機の吸着剤により該水溶性の含窒素液状媒体を吸着させて、該水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤と該水不溶性の抽出溶媒とを分離する工程、及び
(3)該水溶性の含窒素液状媒体が吸着した該無機の吸着剤を加熱して、該水溶性の含窒素液状媒体を該無機の吸着剤から脱着させて回収する工程
を含む方法。
【請求項5】
無機の吸着剤が、1種以上の無水の金属塩化物である、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
金属塩化物が、無水の塩化第二銅及び無水の塩化カルシウムからなる群より選択される1種以上の金属塩化物である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
無機の吸着剤の吸着助剤として、無水の金属水酸化物を用いる、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
無水の金属水酸化物が、無水の水酸化アルミニウムである、請求項7項記載の方法。
【請求項9】
水不溶性の溶媒又は水不溶性の抽出溶媒が、1種以上の液状の有機ハロゲン化物である、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
有機ハロゲン化物が、1種以上の炭素数1〜3の臭化アルキルである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
臭化アルキルが、臭化メチレン、臭化エチル、臭化n−プロピル、臭化イソプロピルからなる群から選択される1種以上のものである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
水溶性の含窒素液状媒体が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ピリジンからなる群から選択される1種以上である、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
水溶性の含窒素液状媒体が、N,N−ジメチルホルムアミドである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
さらに、(4)工程(3)において回収した該水溶性の含窒素液状媒体を、抽出処理及び/又は蒸留処理に付して精製する工程を含む、請求項4〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
さらに、(5)工程(2)において分離された該水不溶性の抽出溶媒を回収し、水不溶性の抽出溶媒として再利用する工程を含む、請求項4〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
さらに、(6)工程(3)において該水溶性の含窒素液状媒体が脱着された該無機の吸着剤を回収し、無機の吸着剤として再利用する工程を含む、請求項4〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する装置であって、
該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水不溶性の溶媒と、無機の吸着剤とを接触させて、該無機の吸着剤により該水溶性の含窒素液状媒体を吸着させて、該水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤と該水不溶性の溶媒とを分離する吸着分離部を含む装置。
【請求項18】
水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液から該水溶性の含窒素液状媒体を分離回収する装置であって、
(A)該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と水不溶性の抽出溶媒とを接触させて、該水不溶性の抽出溶媒により該水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、該水溶性の含窒素液状媒体を含む該水不溶性の抽出溶媒からなる抽出相と水相とを分離する抽出分離部、
(B)該抽出相と無機の吸着剤とを接触させて、該無機の吸着剤により該水溶性の含窒素液状媒体を吸着させて、該水溶性の含窒素液状媒体を吸着した該無機の吸着剤と該水不溶性の抽出溶媒とを分離する吸着分離部、及び
(C)該水溶性の含窒素液状媒体が吸着した該無機の吸着剤を加熱して、該水溶性の含窒素液状媒体を該無機の吸着剤から脱着させて回収する脱着回収部
を含む装置。
【請求項19】
無水の塩化第二銅、無水の塩化カルシウム及び無水の水酸化アルミニウムからなる群より選択される1種以上を含む、水溶性の含窒素液状媒体の吸着剤組成物。
【請求項20】
水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する方法であって、
該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と、水不溶性の抽出溶媒としての1種以上の炭素数1〜3の臭化アルキルとを接触させて、該水不溶性の抽出溶媒により該水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、該水溶性の含窒素液状媒体を含む該水不溶性の抽出溶媒からなる抽出相と水相とを分離する工程を含む方法。
【請求項21】
水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液から該水溶性の含窒素液状媒体を分離する装置であって、
該水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液と、水不溶性の抽出溶媒としての1種以上の炭素数1〜3の臭化アルキルとを接触させて、該水不溶性の抽出溶媒により該水溶性の含窒素液状媒体を抽出し、該水溶性の含窒素液状媒体を含む該水不溶性の抽出溶媒からなる抽出相と水相とを分離する抽出分離部を含む、装置。
【請求項22】
水溶性の含窒素液状媒体を含有する水溶液からの該水溶性の含窒素液状媒体の抽出用としての、1種以上の炭素数1〜3の臭化アルキルからなる抽出剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−148729(P2009−148729A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330834(P2007−330834)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(598173915)株式会社創造化学研究所 (4)
【Fターム(参考)】