説明

水溶性ポリマー粒子

【課題】 構成モノマー成分中のスルホン酸基を有するモノマー又はその塩の含有量が多く、高分子量の水溶性ポリマー粒子及びその製造方法の提供。
【解決手段】 全モノマー中のスルホン酸基を有するモノマー又はその塩の割合が60〜100モル%であるモノマーの水溶液、疎水性分散媒及びアゾ系ラジカル重合開始剤を用いた逆相懸濁重合法によって得られる、平均分子量が400万以上、平均粒径が20〜2000μmの水溶性ポリマー粒子、及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホン酸基を有するモノマー又はその塩を主構成成分とする高分子量の水溶性ポリマー粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、AMPSという)ナトリウム塩等のスルホン酸基を有するモノマー又はその塩の重合体又は共重合体は、分散剤、凝集剤等として用いられており、これらの効果は特に高分子量のポリマーにおいて顕著である。
【0003】
スルホン酸基を有するモノマー又はその塩を主構成成分とする水溶性ポリマーの製造法として、特許文献1には、水溶液重合法を用いた、AMPSナトリウム塩の重合体又は共重合体の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、ゲル重合法を使用した分子量50〜2000万のAMPS又はその塩の製造方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、逆相懸濁重合法により高分子凝集剤を製造する方法が開示されており、この方法によれば、疎水性分散媒により容易に重合熱が除去できるため一定温度で重合することができ、高分子量で比較的分子量分布がシャープなポリマーが得られる旨の記載がある。
【特許文献1】特開平8−217826号公報
【特許文献2】特開2004−323617号公報
【特許文献3】特開2004−181449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に記載の方法では得られるポリマーは塊状であるため、粒子状ポリマーを得るためには粉砕を行う必要があり、その結果、得られた粒子の形状はなめらかでなく、粉体の取り扱いに不都合があった。
【0006】
これに対し、特許文献3の方法では、なめらかな形状の粒子を得ることができるが、ラジカル重合用連鎖移動剤を使用しているため、ポリマー分子鎖の成長が断たれ、高分子量化が困難であった。更に、スルホン酸基を有するモノマー又はその塩の含有量が多い共重合体においては、安定したポリマーを製造することは困難であった。
【0007】
本発明の課題は、構成モノマー成分中のスルホン酸基を有するモノマー又はその塩の含有量が多く、高分子量の水溶性ポリマー粒子及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、全モノマー中のスルホン酸基を有するモノマー又はその塩の割合が60〜100モル%であるモノマーの水溶液、疎水性分散媒及びアゾ系ラジカル重合開始剤を用いた逆相懸濁重合法によって得られる、平均分子量が400万以上、平均粒径が20〜2000μmの水溶性ポリマー粒子、及びその製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、構成モノマー成分中のスルホン酸基を有するモノマー又はその塩の含有量が多く、高分子量の水溶性ポリマー粒子を得ることができる。また、本発明のポリマーの水溶液は粘度が高く、曳糸性を呈するため、衣料用洗剤等に配合した場合、衣料の滑り性を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[モノマー水溶液]
本発明に用いられるスルホン酸基を有するモノマー又はその塩としては、スチレンスルホン酸等の芳香族不飽和スルホン酸又はその塩;ビニルスルホン酸等の脂肪族不飽和スルホン酸又はその塩;2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有(メタ)アクリレート又はその塩;2−(メタ)アクリルアミド−2−アルキル(アルキル基の炭素数1〜4)プロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド又はその塩;アルキル(メタ)アリルスルホコハク酸エステル又はその塩等が挙げられ、重合性が高く、高分子量体を得やすいことから、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)又はこれらの塩が好ましく、AMPS又はその塩が特に好ましい。
【0011】
塩としては、金属、アンモニウム、総炭素数1〜22のアルキルもしくはアルケニルアンモニウム、炭素数1〜22のアルキル若しくはアルケニル置換ピリジニウム、総炭素数1〜22のアルカノールアンモニウム、塩基性アミノ酸等の塩が挙げられ、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が好ましい。
【0012】
本発明に用いられるモノマー成分は、スルホン酸基を有するモノマー又はその塩単独、あるいはこれと共重合可能なモノマーとの混合物であるが、全モノマー中のスルホン酸基を有するモノマー又はその塩の割合は60〜100モル%であり、好ましくは66〜100モル%、更に好ましくは85〜100モル%、特に好ましくは95〜100モル%である。
【0013】
スルホン酸基を有するモノマー又はその塩と共重合可能なモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、スチレンカルボン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸モノアミド、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー又はその塩;(メタ)アクリロイルオキシアルキル(アルキル基の炭素数1〜4)リン酸、ビニルホスホン酸等のリン酸基を有するモノマー又はその塩;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−t-ブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の無置換又は置換(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。
【0014】
また、本発明では、水溶性を損なわない範囲において、架橋性のモノマーを併用してもよい。架橋性モノマーとしては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基等の重合性不飽和基を分子中に2個以上有するモノマーが挙げられ、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルエチレン尿素等のジビニル化合物;ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル等のポリアリル化合物等が挙げられる。
【0015】
架橋性モノマーの割合は、全モノマー成分に対し、0.05モル%以下が好ましく、0.001モル%以下が更に好ましい。
【0016】
本発明に用いられるモノマー水溶液中のモノマー濃度は、該水溶液の重量に基づいて、高重合度の高分子量体を得るという観点から、50重量%以上が好ましく、55重量%以上がより好ましく、58重量%以上が特に好ましく、60重量%以上が最も好ましい。また、液滴中のモノマー拡散速度を大きくして高重合度の高分子量体を得るという観点から、90重量%以下が好ましく、85重量%以下がより好ましく、70重量%以下が特に好ましい。
【0017】
[疎水性分散媒]
本発明に用いられる疎水性分散媒としては、より重合度の大きい高分子量体を得る観点、また製造時の取り扱い易さの観点から、脂肪族炭化水素又は脂環式炭化水素が好ましい。脂肪族炭化水素としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン等が挙げられる。脂環式炭化水素としては、例えばシクロヘキサン、メチルシクロへキサン等が挙げられる。これらの疎水性分散媒は1種又は2種以上の混合物として使用しても良い。
【0018】
疎水性分散媒の使用量は、全モノマー水溶液重量に基づいて、モノマー液滴が融着・凝集していない粒子を得るという観点から0.5倍以上が好ましく、0.7倍以上がより好ましく、0.9倍以上が最も好ましい。また、疎水性分散媒のコスト効率の良さの観点から6倍以下が好ましく、4倍以下がより好ましく、2倍以下が最も好ましい。
【0019】
[ラジカル重合開始剤]
本発明において用いられるラジカル重合開始剤は、より重合度の大きい高分子量体を得る観点から、アゾ系ラジカル重合開始剤であり、水不溶成分を生成し難いという点から、水溶性のアゾ系ラジカル重合開始剤が好ましい。水溶性アゾ系ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスアミジノプロパン(塩)、アゾビスシアノバレリン酸(塩)等が挙げられる。
【0020】
本発明において、ラジカル重合開始剤の使用量は、重合度の大きい高分子量体を得るという観点から、モノマー全量に基づいて、0.005重量%以上が好ましく、0.03重量%以上が更に好ましい。また、1.0重量%以下が好ましく、0.5重量%以下が更に好ましい。
【0021】
[逆相懸濁重合法]
本発明の逆相懸濁重合法は、上記のようなモノマー水溶液、疎水性分散媒及びアゾ系ラジカル重合開始剤を用いて行うが、分散剤を用いることが好ましい。
【0022】
分散剤としては特に限定されず、例えばソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エーテル等の非イオン性界面活性剤、セルロースエステル、セルロースエーテル、α―オレフィンと無水マレイン酸の共重合体又はそれらの誘導体等のカルボキシル基含有高分子等、もしくはポリエーテル変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等の変性シリコーンが挙げられる。
【0023】
これらのうち、HLB2〜14の非イオン性界面活性剤が好ましく、HLB2〜14のソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテルが更に好ましく、これらの1種又は2種以上を併用しても良い。
【0024】
分散剤の使用量は分散安定性の観点から、モノマー水溶液全量に対して、0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上が更に好ましく、0.5重量%以上が特に好ましい。また、10重量%以下が好ましく、5重量%以下が更に好ましく、2重量%以下が特に好ましい。
【0025】
本発明の逆相懸濁重合法において、モノマー水溶液、疎水性分散媒、アゾ系ラジカル重合開始剤、分散剤等の添加順序は特に制限はないが、次の方法が好ましい。
【0026】
即ち、疎水性分散媒に分散剤を分散又は溶解させて、重合すべき所定温度に保持し、窒素ガスを通じて脱酸素する。モノマー水溶液にアゾ系ラジカル重合開始剤を添加し均一に混合する。アゾ系ラジカル重合開始剤を含有するモノマー水溶液を、攪拌している疎水性分散媒中に添加する。この時、モノマー水溶液の投入は、一括で投入しても滴下しながら徐々に投入しても良い。滴下時間は、好ましくは0.5〜10時間、更に好ましくは1〜5時間である。
【0027】
本発明においては、より重合度の大きい高分子量体を得るという観点から連鎖移動剤は使用しない方が好ましいが、重合度に影響しない程度であれば添加しても良い。添加する場合、その量はモノマーの全重量に対し、0.01重量%以下が好ましく、0.001重量%以下が更に好ましく、0重量%が特に好ましい。
【0028】
本発明の逆相懸濁重合の温度はより重合度の大きい高分子量体を得るという観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは30℃以上、特に好ましくは50℃以上であり、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、特に好ましくは65℃以下である。
【0029】
重合温度は、疎水性分散媒の沸点又は疎水性分散媒と水との共沸点を利用することが温度調節の容易性と安定性より好適である。沸点又は共沸点は、溶媒の種類を適宜選択することにより設定できる。反応圧力は常圧でも良いが、減圧にすることで、同一分散媒においても反応温度をさらに自在に設定することが可能になる。
【0030】
本発明の逆相懸濁重合終了後のポリマーは、含水ポリマー粒子となっている。この含水ポリマー粒子は、還流下で分散媒と水との共沸により、所定量の含水率まで水を留去する。その後、分散媒を乾燥させる。ポリマー粒子の乾燥法としては、熱風乾燥、赤外線乾燥、間接加熱乾燥(真空乾燥、攪拌型の乾燥機、ドラムドライヤー)等が挙げられ、攪拌型の乾燥機が好ましい。
【0031】
本発明の重合法を採用することにより、形状が真球状の粒子が得られ、流動性がよく、得られた粒子のハンドリング性が良好である。また真球状の粒子が固まった凝集物を含むことがある。
【0032】
[水溶性ポリマー粒子]
本発明に係わるポリマー粒子は水溶性ポリマー粒子である。本発明において、水溶性とは、下記方法で測定された水不溶解分量が0.5%以下のものをいう。
【0033】
<水不溶解分量の測定法>
500mLビーカー中で、ポリマー1gを水499gに5時間攪拌溶解させる。得られたポリマー水溶液を、あらかじめ秤量した目開き100μmのメッシュを用いてろ過し、500mLの水で上から洗い流す。残渣をメッシュとともに120℃、減圧乾燥機で6時間乾燥させ、下記式(I)により水不溶解分量を求める。
【0034】
水不溶解分量(%)=
[乾燥後のポリマー残渣量(g)]/[溶解時のポリマー量(g)]×100 (I)
本発明のポリマー粒子の平均分子量は、良好な曳糸性を有する観点から、400万以上であり、450万以上が好ましく、500万以上が更に好ましく、600万以上が特に好ましい。また、水溶解性の観点から、2000万以下が好ましく、1400万以下が更に好ましく、1000万以下が特に好ましい。
【0035】
尚、本明細書において、ポリマー粒子の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下の条件で測定し、ポリエチレングリコール換算のピークトップ分子量を平均分子量とした。
【0036】
<GPC測定条件>
カラム:GMPWXL+ GMPWXL(東ソー(株)製)
展開溶媒:0.2Mリン酸バッファー/CH3 CN=9/1(重量比)
ポリマー濃度:0.05mg/mL
流速:0.5mL/min
温度:40℃。
【0037】
本発明のポリマー粒子の平均粒径は、製品のハンドリング性の点から、20μm以上であり、好ましくは50μm以上、更に好ましくは125μm以上である。また、2000μm以下であり、好ましくは710μm以下、更に好ましくは300μm以下である。
【0038】
なおポリマー粒子の平均粒径は、JIS Z 8801に規定の篩を用いて求めた。目開きが2000μm、1400μm、1000μm、710μm、500μm、355μm、250μm、180μm、125μm、106μmである10段の篩と受け皿を用い、ロータップマシーン(HEIKO SEISAKUSHO製)に取り付け、100gの試料を10分間振動(タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)して篩い分けを行った後、受け皿および各篩上に残った粒子重量を測定する。微粉側から積算の重量割合が50%以上となる篩の目開きをaμmとし、またaμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの重量割合の積算をc%、またaμmの篩上の重量割合をd%とした場合、平均粒径は、以下の式(II)で求める。
【0039】
平均粒径=10A (II)
〔ここで、A=[50−(c−d/(log b−log a)×log b)]/[d/(log b−log a)]である。〕。
【0040】
本発明の水溶性ポリマー粒子は、衣料用洗剤に配合して衣料の滑り性を向上させる観点から、その水溶液が曳糸性を呈することが好ましい。水溶液の曳糸性は、例えば、以下の方法で確認することができる。
【0041】
<曳糸性の確認法>
25℃において、得られたポリマーの1.0重量%水溶液を先端内径1mmのパスツールピペット(ガラス、例えばASAHITECHNO GLASS、IK-PAS-5P)を用いて100mmの高さから静かに滴下した際に、パスツールピペットの先端から20mm以上の糸を曳いた様子が目視観察されるものを曳糸性を呈する水溶液とする。
【0042】
また、本発明の水溶性ポリマー粒子の重合度の指標として、ポリマーの1.0重量%水溶液の粘度を用いることができる。粘度は以下の方法で測定する。
【0043】
<粘度の測定方法>
200mLビーカーを用い、ポリマー2gを水198gでママコにならないように12時間かけて攪拌溶解させる。調製した水溶液を恒温水槽中で25℃±0.5℃に調節した後、B型粘度計を用いて25℃、回転数12rpmの条件で測定する。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例および比較例にて更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら限定されるものではない。
【0045】
実施例1
シュガーエステル(S−770、三菱化学フーズ(株))6.00gをn−ヘキサン950gに溶解させて窒素雰囲気下、約62℃で還流したところに、AMPSナトリウム塩665g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ジヒドロクロライド(V−50、和光純薬工業(株)製)0.80g(0.1重量%対モノマー)をイオン交換水590gに溶解させたものを1 時間かけて滴下し分散させ、更に30分攪拌した。共沸還流液から水相のみを分離し、含水率30重量%まで低減したところで放冷し、得られた固形粒状物を減圧乾燥し、無色粒状のAMPSナトリウム塩ホモポリマー664g(収率99.8%)を得た。得られたポリマーの走査型電子顕微鏡で観察される粒子形状はほぼ真球状であった。また得られた粒子はさらさらしており、流動性が高かった。
【0046】
実施例2
シュガーエステル(S−770、三菱化学フーズ(株))6.00gをシクロヘキサン800gに溶解させて窒素雰囲気下、約62℃で還流したところに、AMPS600g、水酸化ナトリウム160g、アクリル酸10g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ジヒドロクロライド(V−50、和光純薬工業(株)製)2.40g(0.3重量%対モノマー)をイオン交換水510gに溶解させたものを1時間かけて滴下し分散させ、更に30分攪拌した。実施例1と同様に共沸脱水/乾燥後、無色粒状のポリマー(AMPSナトリウム塩/アクリル酸ナトリウム=95:5(モル比)の共重合体)672g(99.4%)を得た。得られたポリマーの走査型電子顕微鏡で観察される粒子形状はほぼ真球状であった。また得られた粒子はさらさらしており、流動性が高かった。
【0047】
実施例3
シュガーエステル(S−770、三菱化学フーズ(株))6.00gをn−ヘキサン800gに溶解させて窒素雰囲気下、約62℃で還流したところに、AMPS600g、水酸化ナトリウム160g、アクリル酸10g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ジヒドロクロライド(V−50、和光純薬工業(株)製)0.80g(0.1重量%対モノマー)をイオン交換水510gに溶解させたものを1時間かけて滴下し分散させ、更に30分攪拌した。実施例1と同様に共沸脱水/乾燥後、無色粒状ポリマー(AMPSナトリウム塩/アクリル酸ナトリウム=95:5(モル比)の共重合体)674g(99.7%)を得た。得られたポリマーの走査型電子顕微鏡で観察される粒子形状はほぼ真球状であった。また得られた粒子はさらさらしており、流動性が高かった。
【0048】
実施例4
シュガーエステル(S−770、三菱化学フーズ(株))2.00gをn−ヘキサン950gに溶解させて窒素雰囲気下、約62℃で還流したところに、AMPSナトリウム塩440g、ポリエチレングリコールジメタクリレート(NKエステル23G、新中村化学工業(株))0.011g(0.0005モル%対モノマー)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ジヒドロクロライド(V−50、和光純薬工業(株)製)0.50g(0.1重量%対モノマー)をイオン交換水390gに溶解させたものを1時間かけて滴下し分散させ、更に30分攪拌した。実施例1と同様に共沸脱水/乾燥後、無色粒状ポリマー(AMPSナトリウム塩架橋ポリマー)438g(収率99.5%)を得た。得られたポリマーの走査型電子顕微鏡で観察される粒子形状はほぼ真球状であった。また得られた粒子はさらさらしており、流動性が高かった。
【0049】
実施例5
シュガーエステル(S−770、三菱化学フーズ(株))6.00gをシクロヘキサン800gに溶解させて窒素雰囲気下、60kPaまで減圧して、約55℃で還流したところに、AMPS600g、水酸化ナトリウム160g、アクリル酸10g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ジヒドロクロライド(V−50、和光純薬工業(株)製)0.80g(0.1重量%対モノマー)をイオン交換水560gに溶解させたものを1時間かけて滴下し分散させ、更に30分攪拌した。実施例1と同様に共沸脱水/乾燥後、無色粒状ポリマー(AMPSナトリウム塩/アクリル酸ナトリウム=95:5(モル比)の共重合体)674g(99.7%)を得た。得られたポリマーの走査型電子顕微鏡で観察される粒子形状はほぼ真球状であった。また得られた粒子はさらさらしており、流動性が高かった。
【0050】
比較例1
シュガーエステル(S−770、三菱化学フーズ(株))1.00gをn−ヘキサン185gに溶解させたものに、AMPS20.0g、水酸化ナトリウム2.70g、過硫酸アンモニウム0.055g(0.25重量%対モノマー)をイオン交換水20gに溶解させたものを分散させ、窒素雰囲気下で62℃に昇温し3時間攪拌した。共沸還流液から水相のみを分離し、含水率30重量%まで低減したところで放冷し、得られた固形粒状物を減圧乾燥し、無色粒状ポリマー(AMPSナトリウム塩のホモポリマー)22.0g(収率99.1%)を得た。得られたポリマーの走査型電子顕微鏡で観察される粒子形状はほぼ真球状であった。また得られた粒子はさらさらしており、流動性が高かった。
【0051】
比較例2
シュガーエステル(S−770、三菱化学フーズ(株))0.77gをn−ヘキサン234gに溶解させて窒素雰囲気下、約62℃で還流したところに、AMPSナトリウム塩165g、アクリル酸2.4g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ジヒドロクロライド(V−50、和光純薬工業(株)製)3.90g(2.2重量%対モノマー)をイオン交換水170gに溶解させたものを1時間かけて滴下し分散させ、さらに30分攪拌した。実施例1と同様に共沸脱水/乾燥後、無色粒状ポリマー168g(収率97.7%)を得た。得られたポリマーの走査型電子顕微鏡で観察される粒子形状はほぼ真球状であった。また得られた粒子はさらさらしており、流動性が高かった。
【0052】
比較例3
シュガーエステル(S−770、三菱化学フーズ(株))0.77gをn−ヘキサン234gに溶解させて窒素雰囲気下、約62℃で還流したところに、AMPSナトリウム塩165g、アクリル酸2.4g、メルカプトエタノール(シグマアルドリッチ ジャパン(株)製)0.34g(0.6モル%対モノマー)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ジヒドロクロライド(V−50、和光純薬工業(株)製)0.20g(0.1重量%対モノマー)をイオン交換水170gに溶解させたものを1時間かけて滴下し分散させ、さらに30分攪拌した。実施例1と同様に共沸脱水/乾燥後、無色粒状ポリマー164g(収率96.3%)を得た。得られたポリマーの走査型電子顕微鏡で観察される粒子形状はほぼ真球状であった。また得られた粒子はさらさらしており、流動性が高かった。
【0053】
実施例1〜5及び比較例1〜3の重合条件及び得られたポリマー粒子の物性を表1にまとめて示す。
【0054】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
全モノマー中のスルホン酸基を有するモノマー又はその塩の割合が60〜100モル%であるモノマーの水溶液、疎水性分散媒及びアゾ系ラジカル重合開始剤を用いた逆相懸濁重合法によって得られる、平均分子量が400万以上、平均粒径が20〜2000μmの水溶性ポリマー粒子。
【請求項2】
モノマー水溶液中のモノマー濃度が50〜90重量%である、請求項1記載の水溶性ポリマー粒子。
【請求項3】
アゾ系ラジカル重合開始剤の存在下、全モノマー中のスルホン酸基を有するモノマー又はその塩の割合が60〜100モル%であるモノマーの水溶液と疎水性分散媒を用いて、逆相懸濁重合を行う、平均分子量が400万以上、平均粒径が20〜2000μmの水溶性ポリマー粒子の製造方法。
【請求項4】
連鎖移動剤を用いずに重合を行う請求項3記載の製造方法。

【公開番号】特開2007−2146(P2007−2146A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−185917(P2005−185917)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】