説明

水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置

【課題】不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合し、懸濁状態で反応させて脱アルカリ処理した後、脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する前処理を行う廃液処理において、廃液中の固形物の系内蓄積による運転障害を防止して、長期に亘り安定かつ効率的な処理を行う。
【解決手段】不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を添加混合して脱アルカリ処理するに先立ち、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液に含まれる不溶解成分を除去するか或いは破砕して、不溶解成分を除去した液又は不溶解成分が破砕された液を脱アルカリ工程に導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を無害化するための処理方法および装置に係り、詳しくは、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分とアルカリ成分とを含むと共に、不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液、特に半導体や電子部品の製造工程で発生するレジスト含有廃液等の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を、安定かつ高度に処理するための方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体や電子部品の製造工程から排出される廃液の一つに、ドライフィルムレジストを使用した製造工程から排出される水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液がある。この廃液は、ドライフィルムレジストを貼り付けた基板に回路パターンを露光してレジストを硬化させた後、露光されず硬化していないレジストをアルカリ水溶液で洗浄して除去する際、レジスト中の樹脂成分が水溶性となってアルカリ水溶液に溶解して発生したものである。この種の廃液中の水溶性樹脂成分には、アルカリ性の状態では水溶性であるが、pHが低下し、酸性になると不溶化して不溶性樹脂成分が析出するものがある。
【0003】
このような水溶性樹脂成分は、生物難分解性物質を主成分とするため、活性汚泥処理等の生物処理では処理することができない。このため、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液は焼却、超臨界または亜臨界水熱処理などの加熱を伴う処理で処理されているが、これらの処理に先立って、濃縮による減容化が行われる。この減容化のために、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を蒸発濃縮等により濃縮する場合、アルカリ性の状態では装置に悪影響が及ぶので、通常は酸により中和して濃縮、減容化が行われる。
【0004】
しかし、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液に単に中和剤として酸を添加して中和すると塩が生成し、酸由来の無機イオンが増加する。このような中和液を濃縮すると、濃縮により塩濃度が高くなりすぎ、このため、濃縮装置や超臨界水酸化処理装置において塩類が析出して閉塞を招くことがある。また、pHが低下したり、塩濃度が高くなることなどにより、水溶性樹脂成分などの溶解成分が不溶化する場合があり、蒸発濃縮装置に析出成分が蓄積したり、粘着性を有する析出物が配管等を閉塞してしまうことがある。このようなことは蒸発濃縮の場合だけではなく、透過膜による濃縮の場合にも、程度の差はあるが、同様のことが起こり得る。
【0005】
この問題は、廃液に中和剤を添加して中和するのではなく、廃液中のアルカリ成分を除去することによりpHを調整することができれば、回避することができる。廃液中のアルカリ成分は、ナトリウムイオン、カルシウムイオン等のカチオンであり、これらを除去するためには、イオン交換技術が考えられる。イオン交換は水中のイオンのうち、特定のイオンを除去できる代表的な技術であり、用水分野では最も一般的な技術の一つになっている。
【0006】
イオン交換による水処理方法としては、イオン交換樹脂を充填した樹脂塔に被処理水を通水して、水中のイオンをイオン交換除去するカラム通水方式が一般的である。しかし、H形カチオン交換樹脂を充填した樹脂塔に水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を通水すると、溶解していた水溶性樹脂成分が不溶化して大量に析出し、析出物が樹脂塔内の特定の部分に付着することにより樹脂塔内の流れが不均一化し、イオン交換処理ができなくなる課題があった。また、このような流れの不均一化を防止するために、通水流速を高めてイオン交換樹脂が流動化している状態で処理しても、同様に析出した樹脂成分が樹脂塔上部に付着・堆積し、処理を継続することができなくなる課題があった。
【0007】
この課題を解決するために、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合し、懸濁状態で反応させてアルカリ成分をイオン交換により吸着させることにより、水溶性樹脂成分の析出なしに容易にアルカリ成分を除去し、これにより塩類濃度を低下させ、pH調整を行って、塩類および水溶性樹脂成分の析出なしに効率よく水溶性樹脂成分の処理を行う技術が提案されている(特許文献1)。
【0008】
図4は、特許文献1に記載される水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置の系統図であり、図4において、1は脱アルカリ槽、2は分離再生槽、3は樹脂成分処理装置、4は樹脂槽、5は計量槽、6は再生剤槽である。
【0009】
この装置では、まず、弁V1、V2を開き、ラインL1、L1’を経て所定量の被処理廃液を脱アルカリ槽1に導入して撹拌機7で混合する。次に、弁V3を開き、樹脂槽4からラインL2を通して計量槽5にH形カチオン交換樹脂を導入して計量し、弁V2を閉じ、弁V4、V5を開き、ラインL1,L3を経て供給される被処理廃液で計量槽5で計量された樹脂をラインL2’,L1’を経て脱アルカリ槽1に移送し、撹拌機7で混合する。こうして、脱アルカリ槽1内で被処理廃液をH形カチオン交換樹脂と混合し、懸濁状態で反応させることにより、被処理廃液からイオン交換によりアルカリ成分を除去する。これにより、水溶性樹脂成分の析出なしに塩類濃度を低下させて、被処理液をpH調整することができる。
【0010】
撹拌を継続して廃液のpHが安定した段階で、弁V6、V7を開き、脱アルカリ槽1からカチオン交換樹脂を含む脱アルカリ液をラインL4を経て分離再生槽2に導入し、カチオン交換樹脂の分離を行う。分離再生槽2ではストレーナ8で濾過することにより、目的のpHとなった脱アルカリ処理液とカチオン交換樹脂を分離し、分離液はラインL5,L5’を経て樹脂成分処理装置3に送給する。樹脂成分処理装置3においては、分離液が濃縮等で処理された後、必要に応じて分解等の処理が施され、処理物がラインL10より系外へ排出される。
【0011】
分離再生槽2で分離したカチオン交換樹脂は、この分離再生槽2内で再生する。再生は弁V8〜V11を開き、ラインL6から水を送給すると共に、再生剤槽6からラインL7を通して再生剤(酸)を送り、水で希釈した酸を分離再生槽2に導入し、カチオン交換樹脂層9を通過させて再生を行う。再生廃液はラインL8から系外へ排出する。その後、弁V9を閉じ、水のみを送って、押出し洗浄を行う。再生終了後、V11を閉じ、弁V8、V10、V7、V12、V13を開き、ラインL6,L5,L6’を経て分離再生槽2に水を送り、再生済みのカチオン交換樹脂をラインL9から樹脂槽4に移送する。
【0012】
特許文献1の技術であれば、このように被処理廃液にカチオン交換樹脂を添加混合して懸濁状態で反応させる方法を採用することにより、水溶性樹脂成分の析出による流れの不均一化や閉塞などの問題が防止される。
【0013】
即ち、アルカリ成分の除去のために、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液をH形カチオン交換樹脂塔に通水すると、通水初期の処理水はNaイオン等のアルカリ成分が大量に除去されて、pHが3〜4まで低下して酸性になり、溶解していた水溶性樹脂成分が不溶化して大量に析出する。
これに対して、廃液にH形カチオン交換樹脂を混合して懸濁させ、被処理廃液の入れ替えを行うことなくバッチ式でイオン交換反応によりアルカリ成分を除去することにより、過度にpHを低下させることなく、アルカリ成分を除去することができ、これにより水溶性樹脂成分を析出させることなく、脱アルカリ処理することが可能となる。
【特許文献1】特開2004−283746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記特許文献1の技術では次のような課題があった。
【0015】
半導体や電子部品の製造工程で発生するレジスト含有廃液等のように、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分とアルカリ成分とを含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液には、過飽和となって溶解し得なかったレジストフィルムの残渣が固形物として混在する。
この固形物は大きいもので2mm四方のフィルム滓である。
【0016】
このような固形物が、廃液とカチオン交換樹脂とを混合して処理する脱アルカリ槽1に流入すると、脱アルカリ処理後、分離再生槽2において、カチオン交換樹脂(直径約600μm)との分離を完全に行うことが困難であるため、運転を継続するに従って、この固形物がカチオン交換樹脂と共に装置系内を移送されて循環することにより、系内に大きな塊となって蓄積し、送液不良、配管閉塞を引き起こし、運転を継続することが不可能になる。また、これらの固形物が脱アルカリ槽1に到るまでの配管や計量槽5において、壁面に付着して蓄積することにより、同様の問題を引き起こす可能性もある。この場合には、運転を停止し、装置を開放点検して清掃することとなり、運転効率の低下のみならず、人手とコストの増加を招く。
【0017】
本発明は、不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合し、懸濁状態で反応させて脱アルカリ処理した後、脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する前処理を行う廃液処理において、上述のような廃液中の固形物の系内蓄積による運転障害を防止して、長期に亘り安定かつ効率的な処理を行う方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明(請求項1)の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を添加混合してアルカリ成分を除去する脱アルカリ工程と、該脱アルカリ工程からの脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離工程と、該分離工程で分離された分離液中の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理工程とを含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法において、該水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液に含まれる不溶解成分を除去する不溶解成分除去工程を有し、該不溶解成分除去工程で不溶解成分を除去した液を前記脱アルカリ工程に導入することを特徴とする。
【0019】
請求項2の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、請求項1において、前記不溶解成分除去工程で除去された不溶解成分を、前記水溶性樹脂成分処理工程において、前記分離液と共に処理するか、或いは、前記分離液の濃縮物と共に処理することを特徴とする。
【0020】
請求項3の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、請求項1又は2において、前記不溶解成分除去工程が、スクリーン又は膜を用いる分離工程であり、不溶解成分の分離に用いたスクリーン又は膜を前記分離液で逆洗する逆洗工程を有することを特徴とする。
【0021】
本発明(請求項4)の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を添加混合してアルカリ成分を除去する脱アルカリ工程と、該脱アルカリ工程からの脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離工程と、該分離工程で分離された分離液中の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理工程とを含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法において、該水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液に含まれる不溶解成分を破砕する不溶解成分破砕工程を有し、該不溶解成分破砕工程で不溶解成分を破砕した液を前記脱アルカリ工程に導入することを特徴とする。
【0022】
請求項5の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記水溶性樹脂成分処理工程は、前記分離液を濃縮する濃縮工程を有することを特徴とする。
【0023】
請求項6の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液は、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分とアルカリ成分とを含むことを特徴とする。
【0024】
請求項7の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、請求項6において、前記水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液がレジスト含有廃液であることを特徴とする。
【0025】
請求項8の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、請求項1ないし7のいずれか1項において、前記分離工程で分離したカチオン交換樹脂を、再生して前記脱アルカリ工程に供給する再生工程を有することを特徴とする。
【0026】
本発明(請求項9)の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置は、不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を添加混合してアルカリ成分を除去する脱アルカリ手段と、該脱アルカリ手段からの脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離手段と、該分離手段で分離された分離液中の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理手段とを含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置において、該水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液に含まれる不溶解成分を除去する不溶解成分除去手段と、該不溶解成分除去手段で不溶解成分が除去された液を前記脱アルカリ手段に導入する手段とを有することを特徴とする。
【0027】
請求項10の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置は、請求項9において、前記不溶解成分除去手段で除去された不溶解成分を、前記水溶性樹脂成分処理手段に送給する手段を有することを特徴とする。
【0028】
請求項11の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置は、請求項9又は10において、前記不溶解成分除去手段が、スクリーン又は膜を用いる分離手段であり、不溶解成分の分離に用いたスクリーン又は膜を前記分離液で逆洗する逆洗手段を有することを特徴とする。
【0029】
本発明(請求項12)の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置は、不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を添加混合してアルカリ成分を除去する脱アルカリ手段と、該脱アルカリ手段からの脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離手段と、該分離手段で分離された分離液中の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理手段とを含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置において、該水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液に含まれる不溶解成分を破砕する不溶解成分破砕手段と、該不溶解成分破砕手段で不溶解成分が破砕された液を前記脱アルカリ手段に導入する手段とを有することを特徴とする。
【0030】
請求項13の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置は、請求項9ないし12のいずれか1項において、前記水溶性樹脂成分処理手段は、前記分離液を濃縮する濃縮手段を有することを特徴とする。
【0031】
請求項14の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置は、請求項9ないし13のいずれか1項において、前記分離手段で分離したカチオン交換樹脂を、再生して前記脱アルカリ手段に供給する再生手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、脱アルカリ処理に先立ち、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液中の不溶解成分を予め除去することにより、或いは、カチオン交換樹脂と十分に分離し得る程度の大きさに破砕することにより、この不溶解成分が系内に蓄積することを防止することができる。このため、このような廃液中の固形物の系内蓄積による運転障害を防止して、長期に亘り安定かつ効率的な処理を行うことができる。
【0033】
本発明においては、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液から除去した不溶解成分を、水溶性樹脂成分処理工程において、脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離して得られる分離液と共に処理するか、或いは、この分離液の濃縮物と共に処理することが好ましい(請求項2,10)。
【0034】
また、不溶解成分は、スクリーン又は膜を用いて分離することが好ましく、この場合、不溶解成分の分離に用いたスクリーン又は膜を、脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離して得られる分離液で逆洗することが好ましい(請求項3,11)。
【0035】
本発明は、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を脱アルカリ処理後、水溶性樹脂成分を濃縮する処理を行う場合に特に有効に適用される(請求項5,13)。
【0036】
また、本発明は、脱アルカリ液から分離したカチオン交換樹脂を再生して、脱アルカリ処理に再利用する場合に有効に適用される(請求項8,14)。
【0037】
本発明が適用される水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液としては、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分とアルカリ成分とを含む廃液が挙げられ(請求項6)、具体的には、レジスト含有廃液が挙げられる(請求項7)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に本発明の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0039】
本発明は、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を添加混合して廃液中のアルカリ成分を懸濁状態でH形カチオン交換樹脂にイオン交換吸着させて除去するに先立ち、廃液中に含まれる不溶解成分を予め除去するか、或いはこの不溶解成分を、カチオン交換樹脂と分離可能な程度に破砕することを特徴とする。
【0040】
<水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液>
本発明において処理対象となる被処理水は、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液、すなわち水溶性樹脂成分を含有するアルカリ性の廃液であって、不溶解成分を含むものである。
このような廃液としては、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分およびアルカリ成分を含み、更に、前述のレジストフィルムの残渣等の固形物を含む廃液が挙げられ、特に半導体や電子部品の製造工程で発生するレジスト含有廃液などが処理対象として好適である。
このような水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液のpHは通常10〜14程度であり、またそのTOC濃度は通常100〜2000mg/L程度である。
【0041】
廃液中の、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分としては、例えばカルボキシル基を有する樹脂成分のように、アルカリ性では水溶性であるが、pHが例えば6未満に低下すると析出する樹脂成分が挙げられる。
【0042】
また、不溶解成分としては、該レジストフィルムの残渣のように、0.2mm以上の大きさで、脱アルカリ処理に用いるH形カチオン交換樹脂と分離し難く、カチオン交換樹脂と共に系内を循環して経時的に系内に蓄積されるようなフィルム滓が挙げられる。なお、ここで不溶解成分の粒径とは、この不溶解成分を篩分けした際、不溶解成分が通過し得る篩目の最も小さい寸法をさす。
本発明においては、特に、このようなレジストフィルムの残渣等の不溶解成分を100mg/L以上、例えば100〜1000mg/L程度含み、処理を継続することにより系内での不溶解成分の蓄積が問題となるような廃液の処理に有効である。
【0043】
なお、本発明において樹脂成分とは、高分子有機重合体である樹脂そのものの他に、このような樹脂を製造するための単量体その他の原料、および/または樹脂の分解物を含む。レジスト、塗料、インキに含まれる樹脂成分は、単量体その他の樹脂原料を含む組成物で、樹脂組成物と称されており、本発明の樹脂成分に含まれる。またポジ形レジストに含まれる樹脂が受光により分解して生成する水溶性の分解生成物も樹脂組成物を構成するものであり、本発明の樹脂成分に含まれる。
【0044】
<不溶解成分の除去処理>
水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液に含まれる不溶解成分を除去する方法としては特に制限はないが、
(1) 遠心分離装置等を用いて固液分離する方法
(2) スクリーン又は分離膜を用いて濾過分離する方法
などが挙げられる。
【0045】
一般に、廃液の脱アルカリ処理に用いられるカチオン交換樹脂の粒径は0.2〜1.8mm程度であり、従って、廃液中の粒径0.2mm以上の不溶解成分を除去することができれば、これよりも小さい不溶解成分は、脱アルカリ処理後の脱アルカリ液からのカチオン交換樹脂の分離の際に、分離液側に移行し、カチオン交換樹脂と共に処理系内を循環することがない。
従って、不溶解成分の除去に際しては、粒径0.2mm以上の不溶解成分を除去し得るように、用いるスクリーンの目開きや膜の孔径、遠心分離装置の運転条件等を設定することが好ましい。
【0046】
なお、この不溶解成分の除去処理で廃液から分離された不溶解成分は、系外へ排出することもできるが、後述の濃縮廃液と共に処理することが好ましい。
即ち、例えば、遠心分離装置等の固液分離装置で廃液から固液分離された不溶解成分は、後述の水溶性樹脂成分処理工程において濃縮された濃縮廃液と共に必要に応じて分解処理等の処理を施した後系外へ排出し、廃棄するか焼却処分することが好ましい。
【0047】
また、スクリーンや分離膜で捕捉された不溶解成分は、このスクリーンや分離膜を逆洗することにより逆洗排水中に取り出し、この不溶解成分を含む逆洗排水を後述の脱アルカリ液からの分離液と共に、水溶性樹脂成分処理工程において濃縮処理し、濃縮廃液を必要に応じて更に分解処理等の処理を施した後、系外へ排出して廃棄するか焼却処分することが好ましい。
なお、このスクリーンや分離膜の逆洗には、後述の脱アルカリ液を用いることが、系内の水を有効利用して、節水と処理の効率化を図る上で好ましい。
【0048】
<不溶解成分の破砕処理>
水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液に含まれる不溶解成分を破砕する方法としては特に制限はないが、破砕ポンプを用い、破砕ポンプで廃液を送液すると共に、廃液中の不溶解成分を破砕する方法が好ましい。
【0049】
この不溶解成分の破砕においても、破砕された不溶解成分が、脱アルカリ処理後、脱アルカリ液からのカチオン交換樹脂の分離の際に、分離液側に移行し、カチオン交換樹脂と共に処理系内を循環することがないような大きさに破砕することが好ましい。従って、不溶解成分の破砕に際しては、破砕ポンプの仕様を適宜設定することにより、不溶解成分の粒径が0.2mm以下となるように不溶解成分を破砕することが好ましい。
【0050】
<脱アルカリ処理>
廃液中の不溶解成分を除去又は破砕した後の廃液の脱アルカリ工程においては、廃液にH形カチオン交換樹脂を添加混合して懸濁させ、液の入れ替えを行うことなくバッチ式でイオン交換反応によりNaイオン等のアルカリ成分をH形カチオン交換樹脂にイオン交換吸着させる。これにより、過度にpHを低下させることなくアルカリ成分を除去することができ、水溶性樹脂成分を析出させることなく、容易に塩類濃度を低下させてpH調整することができる。
【0051】
脱アルカリ工程に用いるH形カチオン交換樹脂の量は、被処理廃液に含まれるアルカリの種類および量により変化するが、上記のイオン交換反応により、脱アルカリ液のpHが6〜9、特に6.5〜8になる程度の量とすることが好ましい。
【0052】
脱アルカリ処理に用いる脱アルカリ手段としては、バッチ式のイオン交換装置が挙げられ、例えば、被処理廃液とH形カチオン交換樹脂とを混合して懸濁させ、イオン交換反応させる容器、および攪拌手段を含むものが用いられる。
【0053】
カチオン交換樹脂は、強酸性カチオン交換樹脂でも、弱強酸性カチオン交換樹脂でもよい。このカチオン交換樹脂は酸によりH形に再生したものを用いる。
【0054】
攪拌手段は、水流による攪拌手段でも、機械的攪拌手段でもよい。
撹拌時間は廃液の性状や用いるカチオン交換樹脂の量やその他の処理条件により、所望のpHの脱アルカリ液が得られるように適宜決定されるが、通常3〜30分程度である。
【0055】
<カチオン交換樹脂の分離>
上述の脱アルカリ処理で得られる、カチオン交換樹脂を含む脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離するための分離手段としては、沈降分離装置、濾過分離装置などを採用することができる。この分離工程により、アルカリ成分が除去されてpH調整された液と、アルカリ成分を吸着したカチオン交換樹脂とが分離される。
【0056】
<水溶性樹脂成分の処理>
分離工程で脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離して得られる分離液は、被処理廃液のアルカリ成分が除去され、水溶性樹脂成分を含むものである。この水溶性樹脂成分は、濃縮、分解等で処理される。
【0057】
濃縮を行う場合、濃縮方法としては、蒸発濃縮、透過膜による濃縮などが採用できる。
分解を行う場合、超臨界または亜臨界水熱処理、焼却などの加熱を伴う処理による分解などが採用できる。
これらの処理は、それぞれ単独で行ってもよく、また組み合わせて行ってもよいが、分解を行う場合は、通常、それに先立ち濃縮処理が行われる。
これらの処理に用いる処理装置は、従来より用いられている装置が採用できる。
【0058】
<カチオン交換樹脂の再生>
脱アルカリ処理後に分離工程で分離されたカチオン交換樹脂は、再生して廃液の脱アルカリ処理に再利用することが好ましい。この場合、カチオン交換樹脂の再生剤として酸が用いられる。酸としては、塩酸、硫酸等が使用でき、通常のカチオン交換樹脂の再生と同様の条件、装置で再生することができる。再生はバッチ式でなくてもよく、また、カチオン交換樹脂の分離装置を再生装置と兼用して分離装置に再生剤を通液して再生することもできる。
【0059】
<装置の具体例>
以下に図1〜3を参照して本発明の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置の実施の形態を具体的に説明する。
図1〜3は、本発明の装置の実施の形態を示す系統図であり、図1〜3において、図4におけると同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
【0060】
図1の装置は、廃液中の不溶解成分の除去手段として固液分離装置(遠心分離装置等)11を用いたものであり、廃液貯留槽10内の被処理廃液は、ラインL21より固液分離装置11で不溶解成分が分離され、不溶解成分が除去された分離液がラインL1,L1’を経て、或いはラインL1,L3よりH形カチオン交換樹脂と共に脱アルカリ槽1に送給され、分離された不溶解成分はラインL22より抜き出される。図示はしないが、この不溶解成分は、樹脂成分処理装置3に送給して濃縮廃液と共に処分ないし処理することが好ましい。
図1において、固液分離装置1で不溶解成分が分離された分離液の処理は、前述の図4におけると同様であり、同様に脱アルカリ槽1における脱アルカリ処理、分離再生槽2におけるカチオン交換樹脂の分離および再生、並びに樹脂成分処理装置3における分離液の処理等が行われる。
【0061】
図2の装置は、廃液中の不溶解成分の除去手段として濾過装置(ストレーナー又は膜分離装置等)12を用いたものであり、廃液貯留槽10内の被処理廃液は、ラインL21より濾過装置11で不溶解成分が分離され、不溶解成分が除去された分離液がラインL1,L1’を経て、或いはラインL1,L3よりH形カチオン交換樹脂と共に脱アルカリ槽1に送給される。フィルター12で捕捉された不溶解成分は、ラインL23を経て供給される脱アルカリ液の分離液により逆洗されることにより逆洗排水中に含まれて、ラインL24より樹脂成分処理装置3に送給されて処理される。即ち、不溶解成分を含む逆洗排水は、樹脂成分処理装置3において、脱アルカリ液の分離液と共に濃縮処理された後、処分ないし処理される。V20は三方弁であり、分離再生槽2で脱アルカリ液からカチオン交換樹脂が分離された分離液の移送先を樹脂成分処理装置3又はフィルター12に切り換えるものである。
図2において、濾過装置12で不溶解成分が分離された分離液の処理は、前述の図4におけると同様であり、同様に脱アルカリ槽1における脱アルカリ処理、分離再生槽2におけるカチオン交換樹脂の分離および再生、並びに樹脂成分処理装置3における分離液の処理等が行われる。
【0062】
図3の装置は、廃液中の不溶解成分の破砕手段として破砕ポンプ13を用いたものであり、廃液貯留槽10内の被処理廃液は、ラインL21より破砕ポンプ13で不溶解成分が破砕された後、ラインL1,L1’を経て、或いはラインL1,L3よりH形カチオン交換樹脂と共に脱アルカリ槽1に送給される。
図3において、破砕ポンプ13で不溶解成分が破砕された分離液の処理は、前述の図4におけると同様であり、同様に脱アルカリ槽1における脱アルカリ処理、分離再生槽2におけるカチオン交換樹脂の分離および再生、並びに樹脂成分処理装置3における分離液の処理等が行われる。
【実施例】
【0063】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下の実施例および比較例で処理した水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液は、ポリメタクリル酸系の水溶性樹脂成分を含むアルカリ性のレジスト液であり、この廃液中には、粒径0.2〜2.0mm程度の大きさの不溶解性のレジストフィルムの残渣が160mg/L程度含まれている。
説明の便宜上まず比較例を挙げる。
【0064】
[比較例1]
図4に示す装置により、レジスト廃液50Lと、計量槽5で計量したH形弱酸性カチオン交換樹脂(ランクセス社製「レバチットCNP80WS」粒径0.3〜1.6mm)5Lとを脱アルカリ槽1に導入し、30分間撹拌した。30分後、撹拌を停止し、脱アルカリ槽1内の液を樹脂再生槽2に抜き出し、脱アルカリ液をストレーナ8で濾過した。濾過により得られた分離液の水質を、被処理廃液の水質と共に、表1に示す。
表1より、脱アルカリ処理により、有機物(TOC)を殆ど除去することなく、アルカリ成分(Na)のみをイオン交換により除去して、pHを低下させることができたことが分かる。
【0065】
【表1】

【0066】
上記の脱アルカリ液の濾過後、樹脂再生槽2内に分離されたカチオン交換樹脂の再生を行った後、再生樹脂を樹脂槽4に戻し、再度、計量槽5で5Lを計量して被処理廃液50Lと共に脱アルカリ槽1に導入し、脱アルカリ処理し、その後、分離再生槽2で濾過し、カチオン交換樹脂の分離と再生を行う一連の処理をバッチ運転で繰り返し行った。
その結果、運転を継続することにより、廃液に含まれるフィルム滓が系内に蓄積し、半月に1回の頻度で運転を停止し、装置を開放して点検、清掃する必要があった。
【0067】
[実施例1]
図1に示す装置を用い、レジスト廃液を固液分離装置11として設けた遠心分離装置(タナベウィルテック社製、バスケット型遠心分離機(Co型))で固液分離したこと以外は、比較例1と同様にして処理を行った。廃液を遠心分離装置で固液分離した後の分離液中には、粒径0.2mm以上の固形物は存在しなかった。
その結果、一ヶ月間安定に運転を継続することができた。
なお、遠心分離装置で分離した固形物は、樹脂成分処理装置3の濃縮廃液と共に焼却処分した。
【0068】
[実施例2]
図2に示す装置を用い、レジスト廃液を濾過装置(目開き0.3mmのステンレスストレーナー)12で固液分離したこと以外は、比較例1と同様にして処理を行った。その結果、一ヶ月間安定運転を継続することができた。
なお、フィルター12は、脱アルカリ液を分離再生槽2でカチオン交換樹脂と分離して得られた分離液を用いて定期的に逆洗し、固形分を含む逆洗排液は樹脂成分処理装置3に送給し、樹脂成分処理装置3に導入された分離液と共に濃縮処理した後焼却処分した。
【0069】
[実施例3]
図3に示す装置を用い、レジスト廃液を破砕ポンプ(小松ゼノア社製ディスインテグレーター)13に通して廃液中の固形分を破砕したこと以外は、比較例1と同様にして処理を行った。この破砕ポンプで破砕した後の廃液中には粒径0.2mm以上の固形物は存在しなかった。
その結果、一ヶ月間安定運転を継続することができた。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施の形態に係る水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置を示す系統図である。
【図2】他の実施の形態に係る水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置を示す系統図である。
【図3】他の実施の形態に係る水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置を示す系統図である。
【図4】従来の装置を示す系統図である。
【符号の説明】
【0071】
1 脱アルカリ槽
2 分離再生槽
3 樹脂成分処理装置
4 樹脂槽
5 計量槽
6 再生剤槽
7 攪拌機
8 ストレーナ
9 カチオン交換樹脂層
10 廃液貯留槽
11 固液分離装置
12 濾過装置
13 破砕ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を添加混合してアルカリ成分を除去する脱アルカリ工程と、
該脱アルカリ工程からの脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離工程と、
該分離工程で分離された分離液中の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理工程と
を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法において、
該水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液に含まれる不溶解成分を除去する不溶解成分除去工程を有し、該不溶解成分除去工程で不溶解成分を除去した液を前記脱アルカリ工程に導入することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
【請求項2】
請求項1において、前記不溶解成分除去工程で除去された不溶解成分を、前記水溶性樹脂成分処理工程において、前記分離液と共に処理するか、或いは、前記分離液の濃縮物と共に処理することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記不溶解成分除去工程が、スクリーン又は膜を用いる分離工程であり、不溶解成分の分離に用いたスクリーン又は膜を前記分離液で逆洗する逆洗工程を有することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
【請求項4】
不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を添加混合してアルカリ成分を除去する脱アルカリ工程と、
脱アルカリ工程からの脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離工程と、
分離工程で分離された分離液中の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理工程と
を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法において、
該水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液に含まれる不溶解成分を破砕する不溶解成分破砕工程を有し、該不溶解成分破砕工程で不溶解成分を破砕した液を前記脱アルカリ工程に導入することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記水溶性樹脂成分処理工程は、前記分離液を濃縮する濃縮工程を有することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液は、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分とアルカリ成分とを含むことを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
【請求項7】
請求項6において、前記水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液がレジスト含有廃液であることを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、前記分離工程で分離したカチオン交換樹脂を、再生して前記脱アルカリ工程に供給する再生工程を有することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
【請求項9】
不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を添加混合してアルカリ成分を除去する脱アルカリ手段と、
該脱アルカリ手段からの脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離手段と、
該分離手段で分離された分離液中の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理手段と
を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置において、
該水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液に含まれる不溶解成分を除去する不溶解成分除去手段と、該不溶解成分除去手段で不溶解成分が除去された液を前記脱アルカリ手段に導入する手段とを有することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置。
【請求項10】
請求項9において、前記不溶解成分除去手段で除去された不溶解成分を、前記水溶性樹脂成分処理手段に送給する手段を有することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置。
【請求項11】
請求項9又は10において、前記不溶解成分除去手段が、スクリーン又は膜を用いる分離手段であり、不溶解成分の分離に用いたスクリーン又は膜を前記分離液で逆洗する逆洗手段を有することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置。
【請求項12】
不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を添加混合してアルカリ成分を除去する脱アルカリ手段と、
該脱アルカリ手段からの脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離手段と、
該分離手段で分離された分離液中の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理手段と
を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置において、
該水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液に含まれる不溶解成分を破砕する不溶解成分破砕手段と、該不溶解成分破砕手段で不溶解成分が破砕された液を前記脱アルカリ手段に導入する手段とを有することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置。
【請求項13】
請求項9ないし12のいずれか1項において、前記水溶性樹脂成分処理手段は、前記分離液を濃縮する濃縮手段を有することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置。
【請求項14】
請求項9ないし13のいずれか1項において、前記分離手段で分離したカチオン交換樹脂を、再生して前記脱アルカリ手段に供給する再生手段を有することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−285610(P2009−285610A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143023(P2008−143023)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】