説明

水溶液中でのコア/シェル型半導体ナノ結晶の生成

本発明は、半導体物質のコア/シェル型ナノ結晶を形成する方法に関する。典型的には、コアは、CdTeを含み、シェルは、CdSとすることができる。シェルは、水溶液中でコア上に合成される。この方法において、前もって合成されているコアは、水溶液中に置かれ、シェルを形成する反応物および3−メルカプトプロピオン酸(MPA)などのチオールが加えられ、混合物は、シェルが所望の厚さで完成するまで還流される。シェルの合成は、コアとシェルとの間の格子不整合が低減されるようにシェルとコアとの間に界面領域を設けることにより補助される。界面領域は、例えば、コア中心に比べて表面のところで硫黄レベルを高めた傾斜合金コアを形成する方法を使用して生成することができる。それとは別に、界面領域は、均質なコア上の独立した層とすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[方法]
本発明は、コア/シェル型半導体ナノ結晶(NC)または量子ドット(QD)を形成する方法、これらの方法を使用して形成されるNC/QD、およびこのようなNC/QDの使用に関する。
【0002】
半導体ナノ結晶(NC、量子ドット(QD)とも呼ばれる)は、数百から数千個の原子からなる半導体物質の一部である。ナノ結晶/量子ドットは、粒子を構成する物質のボーア励起半径よりも小さい粒子中に発生する、量子閉じ込めからもたらされる有用な興味深い光学特性を有する。ナノ結晶/量子ドットの特性の範囲は、例えば、国際公開第2004/039830号パンフレットおよび国際公開第2004/054923号パンフレットで説明されているように、光電子工学分野における技術的応用の範囲内に反映されている。例えば、発光半導体ナノ結晶は、サイズ可変放射特性を有するため、現在、広範に研究されている1〜4。ナノ結晶のサイズを変化させて、吸収特性を類似のままに保ちつつ、放射波長を変えることができる。したがって、一定範囲のサイズ(したがって、放射波長)の粒子の同時励起のために単一光源を使用することができる。高発光半導体ナノ結晶の合成の進歩により、生体イメージングを含むさまざまな分野においてその応用が促進される5〜8。NC調製には2つの一般的戦略、つまり、前駆体の高温加熱分解に基づく有機金属合成9,10およびさまざまなチオールを安定化剤として使用する水中合成11,12がある。高温有機金属アプローチでは、より良好な結晶化度およびより高いルミネッセンス量子収量(QY)を有する高品質のNCが得られるが、水中合成法は、単純であり、安全であり、安価であり、再生産可能であり、用途が広く、拡大が容易である。それに加えて、水中合成アプローチでは、水溶性NCを形成し、適切な遊離官能基を有する安定化メルカプト化合物を変えるだけで、NCの表面特性を改質することができる。これらは、水溶性NCと、生体分子結合のための用途の広い官能基とを必要とする生物学的応用にとって重要な利点である。CdTe NCの水中合成が最初に報告された1996年以降11、チオール被覆CdTe NCの調製に著しい進歩があった。しかし、高ルミネッセンス量子収量および光安定性を持つ所望の品質のNCを欠いていることで、多くの有望な応用が妨げられている。発光NCの光学特性を増強する最も一般的な方法は、有機合成法を使用してコア粒子に高バンドギャップシェルを被覆することであり、ZnSまたはCdSなどの無機シェルの薄層がコアの上にあると、シェルによってコア表面トラップがなくなるため、量子収量も光安定性も劇的に高まる13,14。他の光電子工学用途に関しては、低バンドギャップシェルを具備することが望ましい。しかし、NCの光学特性を改善するために類似のコア/シェル型NCを水溶液中で調製できるかどうかは、今のところ明らかではない。
【0003】
近年、CdTe/ZnSおよびCdHgTe/ZnSが水−有機ハイブリッド法によって合成されることに成功した15。この方法では、シェルを被覆するのに先立って、水中法で合成されたコアが水溶液から有機溶媒に移された。理想的方法であれば、水溶液中でコア成長とシェル被覆の両方のプロセスを完了させることができるであろう。
【0004】
我々は、水溶液中でのシェル被覆を報告する。例えば、水溶液中でCdTe NCをCdSで被覆し、光寿命がCdTe NCの少なくとも10倍長い光安定性のCdTe/CdSコア/シェル型NCを形成する単純な方法を提示する。有利な反応条件により生成されるCdTeコアのCdSリッチな前表面層(CdS−rich pre−surface layer)であれば、格子不整合を最小限に抑えることによりCdSシェル成長を促進する作用に重要な役割を果たしうると考えられる。シェル成長は、コアに比べてこれらのNCのルミネッセンス量子収量と光化学的安定性の両方を劇的に高めた。この方法により調製されたCdTe/CdSのコア/シェル型NCは、水性条件で合成されたすべてのNCのうちで最高の量子収量(>50%)を示した。この方法は、さらに、他のII−VI族半導体コア/シェル型NCの水溶液中合成に応用することもできる。重要なのは、コア粒子の表面層の前修飾により、この方法は例えば光安定性高ルミネッセンスコア/シェル型NCを水溶液中で合成するために容易に使用することができるという点である。これらの研究結果は、より環境に優しい化学的アプローチを使用して、さまざまな生物工学的応用のためにNCを合成するのに役立つ。
【0005】
本発明の第1の態様では、水媒体中で前もって合成されているコア上にシェルを合成する工程を含む、半導体ナノ結晶コア上にシェルを具備させる方法を提示する。
【0006】
半導体ナノ結晶は、光電子工学的ナノ結晶とすることができる。半導体ナノ結晶は、発光半導体ナノ結晶とすることができる。
【0007】
シェルは、ナノ結晶の光学特性をかなり増強すると考えられる。例えば、シェルは、ルミネッセンス量子収量を高めると考えられる。シェルは、さらに、光化学的安定性も高めると考えられている。例えば、CdSシェルを傾斜合金CdTeSナノ結晶上に具備させると、実施例に示されているように、ルミネッセンス量子収量と光化学的安定性の両方が劇的に高まった。
【0008】
水媒体中でのシェルの合成は、例えば、コスト、複雑度、大規模化のしやすさ、および環境受容性に関して、有機媒体中での合成に勝る利点を有すると考えられる。さらに、水媒体中でのシェルの合成は、水溶性ナノ結晶を生成すると考えられ、異なる遊離官能基を与える(例えば、適切な遊離官能基を有する異なる安定化メルカプト化合物を使用する)ことにより表面特性を改質することが可能である。ナノ結晶の水溶性および遊離官能基によって、生体分子をナノ結晶に結合させやすくなる。
【0009】
一実施形態では、前もって合成されているコアは、さらに、水媒体中でも合成される。水媒体での合成の利点は、上で指摘されている。
【0010】
シェルの水中合成は、コアの表面とシェルとの間の格子不整合を減らすことで進むと考えられる。これは、例えば、適当に整合するコアおよびシェルの組成物の選択、後述のように、傾斜合金コアを具備すること、または、コアの内側(中心)に比べてシェルとの格子不整合の低い表面層が具備されている改質されたコアを備えることにより実現できる。後者の2つの場合において、その結果は、シェルとシェルが具備される表面との間の予測される格子不整合がシェルとコアの内側(中心)との間の予測される格子不整合に対して相対的に低減されるようにシェルとコアの内側との間に界面領域を具備することと考えられる。これは、シェルの形成を助長するものと考えられる。
【0011】
したがって、本発明の実施形態は、水媒体中で前もって合成されているコア上にシェルを合成する工程を含む半導体ナノ結晶(例えば、発光半導体ナノ結晶)コア上にシェルを具備させる方法を提示し、そこでは界面領域は、シェルと界面領域との間の格子不整合がシェルとコアの内側(中心)との間の格子不整合よりも小さいと予測されるように、前もって合成されているコアの表面に具備される。
【0012】
界面領域は、例えば、傾斜合金コア、つまりコアの中心と表面との間に合金組成の連続傾斜があるコアを形成する方法を使用してコアを合成することにより具備することができる。この場合、界面領域とコアの中心物質との間にはっきり区別できる境界はないことがある。水中法は、傾斜合金コアを合成する際に特に有用である場合がある。
【0013】
それとは別に、界面領域は、コア、例えば均質コア上にさらなる層を合成することにより形成することができる。例えば、コアは、非水中法を使用して合成することもできる。次いで、界面領域は例えば水中法を使用してコア上に合成され、コアの内側の場合に比べて低いと予測されるシェルとの格子不整合を生じることがある。
【0014】
予測される格子不整合の許容レベルは、異なる予測格子不整合を持つコアおよびシェルの組合せを試験することにより決定されうる。コアの表面(つまり、存在する場合には、界面領域の表面)とシェルとの間の予測される格子不整合は、20%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%、4%、3%、または2%未満であるべきと考えられる。
【0015】
界面領域の組成を、シェルの組成と被覆されるコアの組成との中間にすることで、格子不整合を低くすることができる。そのため、例えば、界面領域の硫黄またはSeの割合を、シェルと被覆されるコアとの中間にすることができる。
【0016】
したがって、本発明の実施形態は、水媒体中で前もって合成されているコア上にシェルを合成する工程を含む、半導体ナノ結晶(例えば、発光半導体ナノ結晶)コア上にシェルを具備する方法を提示し、そこではシェルとコアの表面との予測される格子不整合は、20%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満である。
【0017】
格子不整合は、コアおよびシェルの格子定数を使用して予測することができる。例えば、Terheggen et al (2004)Interface Science 12,259−266を参照。格子不整合は、さらに、通常のx線回折法を使用してコアとシェルの格子定数をそれぞれ決定することにより計算することもできる。
【0018】
コアおよびシェルの組合せは、シェルを合成できる十分に低いレベルの格子不整合を達成し、また、例えばルミネッセンスQYおよび光化学的安定性に関する所望の特性をもたらすことが可能かどうかにより決定されうる。
【0019】
コアおよびシェルは、同じ元素を具備するか、または同じ元素からなるようにできる。元素の相対的割合は、典型的には、コアおよびシェルにおいて異なる。コアおよびシェルは、その格子構造に関して異なることがある。シェルは、強発光ナノ結晶/QDの生成のためにコアに比べて高いバンドギャップを有してもよく、または他の光電子工学的用途に適しているナノ結晶/QDの生成のためにコアに比べて低いバンドギャップを有してもよい。典型的には、コアおよびシェルは、異なる組成を有していてもよい。
【0020】
一実施形態では、コアは、II−VI族半導体を含む。多数のII−VI族半導体が、水媒体中で合成されてきた。コアは、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、またはZnSeを含むことができる。シェルは、CdS、ZnS、CdSe、ZnSeを含むことができる。
【0021】
それとは別に、コアは、IIB−VI族半導体を含むことができる。例えば、コアは、CdおよびTeを含むことができる。コアは、カチオン(Zn、Cd、Hg)、およびアニオン(S、Se、Te)を含むことができる。Zn、Cd、Hg、S、Se、およびTe。コアは、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、またはこれらの混合物を含むことができる。コアは、上記元素を含む三元または四元合金ナノ結晶とすることができる。コアは、例えば、CdTeSの傾斜合金を含むことができる。シェルは、CdS、ZnS、CdSe、またはZnSe、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0022】
例えば、前もって合成されているコアは、塩基媒体中の過剰なチオールで長時間還流する工程を含む方法を使用して合成することができる。この長時間還流により、チオールの部分的加水分解が引き起こされ、その後チオール分子からの硫黄が成長するナノ粒子中に組み込まれると考えられる。これにより、傾斜合金コアが形成され、例えば、コア内に硫黄の勾配が生じ、コアの中心に対して相対的に表面の硫黄レベルが増大することがある。還流時間が長ければ長いほど、硫黄分が多くなりうる。還流の長さで、ナノ結晶コアのサイズおよび光学的特性が制御されるが、所定のサイズのナノ結晶を得るために必要な還流の長さは、異なる合成系、例えば、異なる安定化剤または異なるpHによって、数分から数日の範囲で大きく異なる可能性がある。還流時間は、シェルを被覆することが可能なコアをもたらすように選択される。還流時間が十分に長くない場合、シェルを形成することは可能でない(シェルは元素分析またはサイズ分析により、例えば透過電子顕微鏡法(TEM)を使用して測定される)。長時間の還流は、シェル格子との格子不整合が低いコア表面を生成すると考えられる。
【0023】
したがって、前もって合成されているコアは、コアの表面とシェルとの格子不整合が20%未満、好ましくは10%または5%未満であると予測されるように傾斜合金化されうる。
【0024】
同様に、セレン含有コア、例えば、CdSeコアを作るために、水素化ホウ素ナトリウムとセレン粉末との反応によりNaHSeを形成することができ、これはAldrichから入手できる。この反応は、水素化ホウ素ナトリウムとテルル粉末との反応と類似の方法で実行することができる。次いで、NaHSeを実施例のNaHTe/CdClと同じ方法でCdClと反応させることができる。MPA(3−メルカプトプロピオン酸)が使用される場合(実施例の場合のように)、CdS含有CdSeコアが得られる。アルカリ条件の下で、実施例において使用されているように、少量のSが放出され、Cdと反応してCdSを析出すると我々は考えている。MPAをこの反応で対応するセレンプロピオン酸に置き換えると、CdSeコアが得られる。しかし、セレンプロピオン酸は、猛毒性であり、水中での安定性が悪く、したがって、安定化剤としての使用には推奨されない。
【0025】
硫黄含有シェルの代わりに、Se含有シェルを形成することができる。Se含有シェルは、コアの格子と整合しうると考えられる。
【0026】
CdSeシェルを作るために、実施例で使用されている方法と類似の方法を使用することができる。NaSは、NaSe(セレン化ナトリウム)で置き換えることができる。シェル形成工程で使用されるMPAを対応するセレンプロピオン酸で置き換えることが望ましい場合もあるが、これは不可欠であるというわけではない。なぜなら、CdSeは、CdSよりもかなり速く形成されうるため、MPAを安定化剤として使用するとごくわずかの硫黄含有量しかないからである。MPAが使用される場合は、シェル内にわずかの硫黄分がある。セレンプロピオン酸は、CdSeシェル中にS分が必要でない場合に使用することができる。しかし、MPAをセレンプロピオン酸で置き換えることは、本質的とは考えられない。
【0027】
本発明の他の態様では、CdTe(S)ナノ結晶の合成で3−メルカプトプロピオン酸(MPA)を使用することを規定している。
【0028】
他の代替手段では、コアは、III−V族半導体、例えば、GaAs、GaP、InGaAs、InP、InAs、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0029】
コアは、国際公開第2004/054923号パンフレットで説明されているような合金を含むことができる。そのため、コアは、組成M11−xM2Aを有する均質な三元合金を含むことができるが、ただし、a)M1およびM2は、AはPSEの主族VIの元素を表すときに、元素の周期系(PSE)の亜族IIb、亜族VIIa、亜族VIIIa、亜族Ib、または主族IIの元素から独立に選択されるか、またはb)M1およびM2は両方とも、AがPSEの主族(V)の元素を表すときに、PSEの主族(III)の元素から選択され、ただし、これは、i)ナノ結晶の生成に適している形態の元素M1を含有する反応混合物を適当な温度T1まで加熱し、この温度で、ナノ結晶の生成に適している形態の元素Aを加え、二元ナノ結晶M1Aを形成するのに適している温度で十分な時間をかけて反応混合物を加熱し、次いで反応混合物を冷ますことにより前記二元ナノ結晶M1Aを形成することと、ii)反応混合物を、形成された二元ナノ結晶M1Aを沈殿または単離することなく、適当な温度T2まで再加熱し、この温度で反応混合物にナノ結晶の生成に適している形態の十分な量の元素M2を加え、次いで三元ナノ結晶M11−xM2Aを形成するのに適している温度で十分な時間をかけて反応混合物を加熱し、次いで反応混合物を室温まで冷まし、前記三元ナノ結晶M11−xM2Aを単離することとを含むプロセスにより得ることができる。
【0030】
それとは別に、コアは、組成M11−xM21−を有する均質な三元合金(国際公開第2004/054923号パンフレットでも説明されている)を含むことができるが、ただし、a)M1およびM2は、ASおよびBは両方ともPSEの主族VIの元素を表すときに、元素の周期系(PSE)の亜族IIb、亜族VIIa、亜族VIIIa、亜族Ib、または主族IIの元素から独立に選択されるか、またはb)M1およびM2は、AおよびBが両方ともPSEの主族(V)の元素を表すときに、PSEの主族(III)の元素から独立に選択され、ただし、これは、a.それぞれナノ結晶の生成に適している形態の元素M1、M2、A、およびBを含有する反応混合物を形成することと、b.前記四元ナノ結晶M11−xM21−yを形成するのに適している温度で十分な時間をかけて反応混合物を加熱し、次いで、反応混合物を冷ますことと、c.四元ナノ結晶M11−xM21−yを単離することとを含むプロセスにより得ることができる。
【0031】
これらのコア組成に関する優先順序は、国際公開第2004/054923号パンフレットで規定されているとおりである。
【0032】
コアが、II−VI族半導体を含む場合、シェルは、CdSを含むことができる。この場合、この方法は、前もって合成されているコア、Cd塩、硫化物、およびチオールを水媒体中で組み合わせる工程を含むことができる。加える順序は、重要ではない。次いで、所望のシェル厚さが得られるまで、反応混合物を還流させることができる。これは、TEMにより、または光学的特性の評価、例えば、量子収量(QY)、光ルミネッセンス安定性、または放射波長シフトの評価により測定することができる。このような評価および好適な測定技術の例は、実施例に示されている。
【0033】
それとは別に、シェルは、CdSe、ZnS、またはZnSeを含むことができ、その場合、Cd塩は、Zn塩で置き換えられ、硫化物は、相当する(複数の)Se化合物で置き換えられる。チオールは、生体分子と結合するために官能基を具備する必要がある(必要な場合)。チオールは、シェル(シェルの外側)に連結されると考えられるが、シェルと一体である一部分を形成するとは考えられない。
【0034】
チオールは、3−メルカプトプロピオン酸(MPA)とすることができる。一般に、水溶性チオール分子は、安定化剤として使用することができる。好適な実施例は、Gaponik et al(2002)J Phys Chem B,106,7177−7185で示されている。適切な遊離官能基を持つ異なるチオールを使用して、生体分子との結合を補助することができる。例えば、QD−COOH/HN−タンパク質、QD−NH/HOOC−タンパク質、QD−NH−OPH−DNA、QD−COOH/HN−[小分子]、QD−NH/HOOC−[小分子]である。
【0035】
本発明の他の態様では、本発明の方法により得られるコア/シェル型ナノ結晶(例えば、発光半導体ナノ結晶)を実現する。本発明の方法により得られるコア/シェル型ナノ結晶(例えば、発光半導体ナノ結晶)は、傾斜合金コアおよびシェルを含むことができるか、または均質なコア、界面領域、およびシェルを含むことができる。本発明の方法により得られるコア/シェル型ナノ結晶は、非水性技術を使用して得られるコア/シェル型ナノ結晶に比べて結晶化度が低い場合があるが、水性方法により得られるナノ結晶/QD(例えば、発光半導体ナノ結晶)の品質は、すべてではないとしても、ほとんどの用途について十分によいと考えられる。
【0036】
本発明の方法またはコア/シェル型ナノ結晶(典型的には発光半導体ナノ結晶)は、当業者にとっては明らかなように、多くの生体標識および生体イメージング用途で使用することができる。水中シェル合成は、上述のように、生体分子をナノ結晶に結合させるのを補助する。生体標識および生体イメージング用途の実施例は、例えば、米国特許第6,207,392号および国際公開第2004/039830号パンフレット(例えば、段落0018〜0020、0070〜0082)で説明されている。他の実施例は、国際公開第2004/054923号パンフレットで説明されている。
【0037】
そのため、一実施形態では、本発明方法は、さらに、コア/シェル型ナノ結晶に、所定の検体に対する結合親和性を有する分子を結合する工程を含む。本発明は、さらに、所定の検体に対する結合親和性を有する分子がコア/シェル型ナノ結晶に結合されている本発明の方法により得られるコア/シェル型ナノ結晶を実現する。所定の検体に対する結合親和性を有する分子への結合により、(本発明の結合していないコア/シェル型ナノ結晶については)好ましくは電磁スペクトルの可視光線または近赤外線範囲の放射線を放出する標識またはタグとして本発明のコア/シェル型ナノ結晶が使用されるようなマーカー化合物またはプローブが形成される。これは、所定の検体の検出に使用することができる。
【0038】
適当な検体および特定の結合パートナーの詳細は、当業者には明らかであり、例えば、国際公開第2004/054923号パンフレット、例えば段落0065〜0068(参照により本明細書に組み込まれている)で説明されている。
【0039】
本発明のナノ結晶をその検体に対する結合活性を有する分子に結合する際に使用することができる連結剤の実施例も、国際公開第2004/054923号パンフレット、例えば、段落069で説明されており、さらに、連結剤の使用の仕方についても説明されている。例えば、国際公開第2004/05923号パンフレットで指摘されているように、適当な連結剤の実施例は、二官能性連結剤エチル−3−ジメチルアミノカルボジイミド(EDC)である。EDCを使用する結合は、室温で実行できる。
【0040】
本発明のナノ結晶は、さらに、国際公開第2004/054923号パンフレットの段落0070および0071で説明されているような組成物またはデバイスにおいて使用することもできる。したがって、本発明は、本発明の少なくとも1つのコア/シェル型ナノ結晶を含む組成物(例えば、プラスチックまたはラテックスビーズ)を実現する。本発明は、さらに、本発明のコア/シェル型ナノ結晶または組成物を備える検出キットを実現する。本発明は、1)本発明のコア/シェル型ナノ結晶または組成物と、2)結合試薬(上述、例えばEDC)および3)所定の検体に対する結合親和性を有する分子(上述、実施例は抗体または抗体断片または核酸分子を含む)のいずれかまたは両方とを含む部分のキットを実現する。このキットは、例えば、所定の検体に対する結合親和性を有する複数の種類の分子、例えば、それぞれ異なる所定の検体に対する結合親和性を有する複数の種類の分子を備えることができる。このキットは、さらに、本発明の複数の種類のコア/シェル型ナノ結晶または組成物を備えることもできる。
【0041】
そこで、本発明は、非制限的な図および実施例を参照することによりさらに詳しく説明される。本明細書で参照されているすべての文書は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
[実施例1]高ルミネッセンスおよび光化学的安定性を有するCdTe/CdSコア/シェル型ナノ結晶の水中合成。
【0043】
水溶液中でのシェル被覆を報告する。例えば、水溶液中でCdTe NCをCdSで被覆し、光寿命がCdTe NCの少なくとも10倍長い光安定性を有するCdTe/CdSのコア/シェル型NCを形成する単純な方法を提示する。CdTeコアは、すでに報告されているアプローチの修正による安定化剤としての3−メルカプトプロピオン酸(MPA)の存在下で、pH8.4のN飽和CdCl溶液に、新しく調製されたNaHTe溶液を注入することにより水中で合成された11。還流時間を制御することにより、サイズの異なるCdTeコアが得られた。典型的な実験において、12時間の還流後に、2−プロパノールとともに、直径約3.4nmのCdTeコアを沈殿させた。次いで、コアを洗浄し、次いで、シェルを被覆するために水中に再溶解させた。シェル合成については、CdCl、NaS、およびMPAからなる溶液が、CdTeコアを含む水溶液中に注入され、次いで、所望のシェル厚さでシェルが完成するまで、反応混合物が還流された。
【0044】
CdTe/CdSコア/シェル型NCのTEM画像(図1a)は、これらのNCが相対標準偏差15%の狭いサイズ分布を有することを示している。シェル成長反応が24時間(h)の間許された場合、粒子サイズは、直径3.4nmから5.0nmまで増大したが、これは、0.8nmのCdSシェルで元のコアを被覆したことを示唆している。HRTEM画像は、CdTe/CdS NCが十分な分解能の格子縞を有し、シェル成長の後も完全な結晶性を有していることを示している(図1b)。量子収量は、ほぼ同一サイズの5nmで30%(コア)から50%超(シェルを含む)まで増大した。QYの増大に伴って、CdTe/CdSのエミッションは、シェル成長の後、550nmから590nmまで40nmだけ赤方偏移されたが、これは、同じサイズのCdTe NC(607nm)のと比べて17nmだけ小さい。しかし、CdTe/CdS NCの光ルミネッセンスピークの半値全幅(fwhm)は、ほとんどコアの半値全幅と同じであり、これは、シェル成長反応が、NCサイズ分布の著しいバラツキを引き起こさなかったことを示している。
【0045】
すでに説明されている手順により測定されたCdTe/CdS NC(図2)の光ルミネッセンス安定性が、コアの1h以内(正規化されたPL強度≧90%)からコア/シェル型NCの10h超まで、劇的に改善されたことを指摘することは印象的である16。この現象は、完全な外側CdSシェルは、おそらく、CdTeコアの周りに形成され、これが、CdTeコアの表面不飽和Te原子の光酸化を抑制したことを示唆している。不飽和Te原子は、光検出磁気共鳴17により正孔トラップとして識別されており、酸化の影響を非常に受けやすいことが知られている18。シェル成長の証拠は、さらに、誘導結合プラズマ原子吸光を使用した元素分析により得られた。CdTeおよびCdTe/CdS NCのCd:Te:Sのモル比は、24時間還流で約3:1:2および約5:1:4であることが判明し、次いで、96時間の長い還流後に、約4:1:3および約11:1:10にそれぞれ変化した。CdTe/CdS NCのCdおよびS含有率は、同じ還流時間範囲内でCdTeコアに比べてかなり高く、比較的厚いCdSシェルがCdTeコア上に成長したことを示唆している。XRDパターン(図3)は、CdTeとCdTe/CdS NCとの間にいくつかの相違点があることを示している。CdTeおよびCdTe/CdS NCの両方のXRD反射の位置は立方CdTe相の値と立方CdS相の値の間にあるが、CdTe/CdS NCのすべてのピークは、CdTe NCのパターンよりも立方CdSのパターンの方に近く(図3、aおよびb)、CdTe/CdS NCがCdTeの特性からCdSの特性にシフトする傾向は、96時間の長時間にわたる還流の後、より明白である(図3、cおよびd)。
【0046】
我々の修正された方法を使用して調製されたCdTe NCは、純粋なCdTe結晶質でなかったが、XRDパターン分析に基づけば、たぶん混合CdTe(S)ナノ結晶のようであった(図3、aおよびc)。文献19によれば、塩基性媒体中の過剰なチオールの存在下でCdTeナノ結晶の水性コロイド溶液を長時間還流すると、チオールが部分的加水分解し、その後、チオール分子からの硫黄が成長ナノ粒子に組み込まれた。この研究では、コア調製は、少なくとも12時間の間、pH8.2〜8.4においてMPAの存在下で実施された。したがって、この研究で合成されたCdTe NCは、傾斜合金CdTeS NCであり、Teリッチコアおよびコアから表面への傾斜的に増大する硫黄分布を有すると推測することは理にかなっている。これは、合成されたCdTeコアが高い比率のS元素を含有していたという上述の元素分析と一致している。長時間還流すると、CdTe NC中のSおよび(Teより高い)Cdの含有率がさらに高まったことを指摘しておくことは重要であり、このことは、相対的にCdSリッチな粒子表面の形成を示唆している。
【0047】
多くのII−IV属半導体コア/シェル型NCは、高温非水中アプローチで調製されてきたが、水中法で合成されたものはなかった。その大きな理由は、コア物質とシェル物質との間に格子不整合があったため、水中合成で適用される温度が低すぎてコア上のシェルのエピタキシャル成長を促進できなかったということであろう。この考え方と一致するが、我々は、水性条件の下で、CdSシェルを、(2時間と短い還流時間内で調製された)ほぼ純粋なCdTeコア上に被覆しようとする最初の試みに、おそらく約10%の大きな格子不整合のために失敗した。しかし、上述のように、水性条件の下で、完全なCdSシェルをCdSリッチな前表面(CdS−rich pre−surface)を持つ傾斜合金CdTeS NC上に形成することができる。これらの結果に基づき、我々は、格子不整合が0に近いため、これらNCのCdSリッチな表面が外側のCdSシェルのエピタキシャル成長を促進するということを提案する。
【0048】
(材料および方法)
化学物質。テルル粉末(200メッシュ、99.8%)、塩化カドミウム(99%)、水素化ホウ素ナトリウム(98%)、3−メルカプトプロピオン酸(MPA)(99%)、2−プロパノール、およびNaSをAldrichから購入した。すべての化学物質は、これ以上精製することなく使用された。
【0049】
測定。元素分析測定は、Thermal Jarrell Ash Duo Iris誘導結合プラズマ発光分光器上で実施された。XRDパターンは、Philips Analytical XPert X線回折計に記録された。TEM画像は、Philips FE CM300透過電子顕微鏡により撮像された。
【0050】
NaHTeの調製。水素化ホウ素ナトリウム(92mg)を小さなフラスコに移し、次いで、超純水2.4mLおよびテルル粉末127.6mgを後から加えた。反応は、室温で実行された。約5時間後、黒色のテルル粉末が消えて、四ホウ酸ナトリウムの白色沈殿物がフラスコの底に出現した。その結果透明な上清中のNaHTeを分離し、CdTe NCの調製で使用した。
【0051】
(CdTe/CdSコア/シェル型NCの合成)
CdTeコア合成:新しく調製されたNaHTe溶液を、安定化剤としてのMPAの存在下でpH8.4のN飽和CdCl溶液に加えることにより、CdTe NCの一連の水性コロイド溶液を合成した。簡潔に言うと、超純水100mlに1.25mMのCdClおよび3.0mMのMPAを含む溶液を、0.5MのNaOHでpH8.4に調整した。この溶液を三つ口フラスコに加えて、室温で30分間Nにより脱気した。溶液をN下で100℃まで加熱した後、新しく調製された無酸素NaHTe溶液125μlを、勢いよく攪拌しつつ、急速注入した。その結果得られた混合物を、還流して、コア成長を所望のサイズまで促進した。
【0052】
CdSシェル合成:CdTeコロイド溶液を4倍に濃縮し、次いで、沈殿させ、2−プロパノールで2回洗浄した。CdTeコアを、1.25mMのCdCl、1.0mMのNaS、および6.0mMのMPAを含むpH8.4の溶液中に分散させた。混合物を30分間Nで脱気し、所望のシェル厚さでシェルが完成するまで加熱して還流した。
【0053】
CdTeおよびCdTe/CdSコア/シェル型NCの特徴付け。XRD研究のため、NCを次の手順で沈殿させた。まず、溶液を真空中で4倍に濃縮し、溶液が濁ってくるまで2−プロパノールを垂らし、(10,000rpmで10分間)遠心分離でナノ粒子を回収し、2−プロパノールで2回洗浄し、一晩真空中で乾燥させた。元素分析のため、上記NC粉末をHCl−HNO溶液に温浸させた。無色の溶液を得た。誘導結合プラズマ(ICP)原子吸光により、透明溶液におけるCd、Te、Sの含有率を検出した。サイズ分布分析のため、ナノ結晶の溶液を水で希釈した。TEMで溶液を分析し、ナノ結晶の直径をコンピュータで測定した。合計、174個のナノ結晶を数えた。
【0054】
(参考文献)
(1)Heglein,A.Chem.Rev.1989,89,1861−1873.
(2)Alivisatos,A.P.J.Phy.Chem.1996,100,13226−13239.
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(13)Peng,X.G;Schlamp,M.C.;Kadavanich,A.V.;Alivisatos,A.P.J.Am.Chem.Soc.1997,119,7019−7029.
(14)Dabbousi,B.O.;Rodriguez−Viejo,J.;Mikulec,F.V.;Heine,J.R.;Mattoussi,H.;Ober,R.;Jensen,K.F.;Bawendi,M.G.J.Phys.Chem.B1997,101、9463−9475.
(15)Tsay,J.M.;Pflughoefft,M.;Bentolila,L.A.;Weiss,S.J.Am.Chem.Soc.2004,126,1926−1927.
(16)Aldana,J.;Wang,Y.A.;Peng,X.G J.Am.Chem.Soc.2001,123,8844−8850.
(17)Glozman,A;Lifshitz,E.;Hoppe,K.;Rogach,A.L.;Weller,H.;Echymuller,A.Isr.J.Chem.2001,41,39−44.
(18)Resch,U.;Weller,H.;Henglein,A.Langmuir1989,5,1015−1020.
(19)Rogach,A.L.Mat.Sci.Eng.B.2000,69−70,435−440.
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】CdTe/CdS NCsのTEM概要(a)および単一のCdTe/CdSナノ結晶のHRTEM像(b)。
【図2】大気中の紫外線下におけるCdTeおよびCdTe/CdS NCの光化学的安定性。
【図3】CdTeおよびCdTe/CdS NCの粉末X線回折パターンの時間発展。(a)CdTe 24時間還流、(b)CdTe/CdS 24時間還流、(c)CdTe 96時間還流、(d)CdTe/CdS 96時間還流。直線スペクトルは、バルク立方晶CdS(上)および立方晶CdTe(下)の反射を示す。
【図4】CdTeSコアおよびCdSシェルにより例示されている、傾斜合金コアおよびシェルの略図。
【図5】均質なコア、界面領域、およびシェルの略図。
【図6】水中法により合成された異なるサイズのナノ粒子群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ナノ結晶コア上にシェルを具備させる方法であって、水媒体中で前もって合成されているコア上に前記シェルを合成する工程を含む方法。
【請求項2】
前記シェルの水中合成は、前記コアの表面と前記シェルとの間の格子不整合を減らすことで助長される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
界面領域が、前記シェルと前記界面領域との間の格子不整合が前記シェルと前記コアの内側(中心)との間の格子不整合に比べて小さいと予測されるように、前もって合成されている前記コアの表面に具備される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記界面領域は、傾斜合金コアを形成する方法を使用して前記コアを合成することにより具備される請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記界面領域は、さらなる層をコア上に合成することにより具備される請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記さらなる層は、傾斜合金を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前もって合成されている前記コアは、水媒体中で合成される請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記シェルと前記コアの表面との間の前記予測される格子不整合は、20%、10%、または5%よりも小さい請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前もって合成されている前記コアは、塩基性媒体中の過剰なチオールで長時間還流する工程を含む方法を使用して合成される請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記コアは、IIB−VI族半導体を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記コアは、CdおよびTeを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コアは、CdTeSを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記シェルは、CdSを含む請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記コアは、III−V族半導体を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記コアは、組成M11−xM2Aを有する均質な三元合金を含み、
a)AがPSEの主族VIの元素を表すときに、M1およびM2は元素の周期系(PSE)の亜族IIb、亜族VIIa、亜族VIIIa、亜族Ib、または主族IIの元素から独立に選択されるか、または
b)AがPSEの主族(V)の元素を表すときに、M1およびM2は両方ともPSEの主族(III)の元素から選択され、
i)ナノ結晶の生成に適している形態の前記元素M1を含有する反応混合物を適当な温度T1まで加熱し、この温度で、ナノ結晶の生成に適している形態の前記元素Aを加え、二元ナノ結晶M1Aを形成するのに適している温度で十分な時間をかけて前記反応混合物を加熱し、次いで前記反応混合物を冷ますことにより前記二元ナノ結晶M1Aを形成する工程と、
ii)前記反応混合物を、形成された前記二元ナノ結晶M1Aを沈殿または単離することなく、適当な温度T2まで再加熱し、この温度で前記反応混合物にナノ結晶の生成に適している形態の十分な量の前記元素M2を加え、次いで前記三元ナノ結晶M11−xM2Aを形成するのに適している温度で十分な時間をかけて前記反応混合物を加熱し、次いで前記反応混合物を室温まで冷まし、前記三元ナノ結晶M11−xM2Aを単離する工程とを含むプロセスにより得ることができる請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記コアは、組成M11−xM21−を有する均質な三元合金を含み、
a)ASおよびBが両方ともPSEの主族VIの元素を表すときに、M1およびM2は元素の周期系(PSE)の亜族Iib、亜族VIIa、亜族VIIIa、亜族Ib、または主族IIの元素から独立に選択されるか、または
b)AおよびBが両方ともPSEの主族(V)の元素を表すときに、M1およびM2はPSEの主族(III)の元素から独立に選択され、
a.それぞれナノ結晶の生成に適している形態の前記元素M1、M2、A、およびBを含有する反応混合物を形成する工程と、
b.前記四元ナノ結晶M11−xM21−yを形成するのに適している温度で十分な時間をかけて前記反応混合物を加熱し、次いで、前記反応混合物を冷ます工程と、
c.前記四元ナノ結晶M11−xM21−yを単離する工程とを含むプロセスにより得ることができる請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、前もって合成されている前記コアを含む水媒体中に、Cd塩、硫化物、およびチオールを導入する工程を含む請求項9に記載の方法。
【請求項18】
チオールは、3−メルカプトプロピオン酸(MPA)である請求項14に記載の方法。
【請求項19】
さらに、前記コア/シェル型ナノ結晶に、所定の検体に対する結合親和性を有する分子を結合する工程を含む請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
コアおよびシェルを含む請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法により得ることができるナノ結晶。
【請求項21】
前記コアと前記シェルとの間に傾斜合金界面領域を更に具備する請求項20に記載のナノ結晶。
【請求項22】
所定の検体に対する結合親和性を有する分子が、前記コア/シェル型ナノ結晶に結合される請求項21に記載のナノ結晶。
【請求項23】
請求項20、21、または22に記載の少なくとも1つのコア/シェル型ナノ結晶を含む組成物。
【請求項24】
請求項20、21、または22に記載のコア/シェル型ナノ結晶または請求項23に記載の組成物を具備する検出キット。
【請求項25】
1)請求項20、21、または22に記載のコア/シェル型ナノ結晶または請求項23に記載の組成物と、2)結合試薬および3)所定の検体に対する結合親和性を有する分子のいずれかまたは両方とを具備する部分のキット。
【請求項26】
CdTe(S)ナノ結晶の合成における3−メルカプトプロピオン酸(MPA)の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−520799(P2008−520799A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542992(P2007−542992)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【国際出願番号】PCT/SG2005/000382
【国際公開番号】WO2006/054952
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(503231882)エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ (179)
【Fターム(参考)】