説明

水産練り製品

【課題】化学的に合成された澱粉を使用することなく、耐熱性、煮込み耐性、冷凍耐性、経時安定性、食感及び風味に優れた水産練り製品を提供すること。
【解決手段】湿熱処理タピオカ澱粉を含有する水産練り製品。水産練り製品全体に対する固形分換算で、湿熱処理タピオカ澱粉の含有量が0.5〜30.0重量%である前記水産練り製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学的に合成された澱粉を用いずに、健康的で安全な湿熱処理タピオカ澱粉を用いて、耐熱性、煮込み耐性、冷凍耐性及び経時安定性に優れた水産練り製品を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
水産練り製品に耐熱性、煮込み耐性、冷凍耐性及び経時安定性を持たせることはコーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉等天然澱粉を用いても困難であった。現在は前記の欠点を改良するために化学的に合成された澱粉が各用途に対応して用いられている。
【0003】
例えば、水産練り製品に経時安定性を持たせるためにアセチル化アジピン酸架橋澱粉、酢酸澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋澱粉等が水産練り製品に用いられている。
【0004】
又水産練り製品にレトルト耐性や煮込み耐性を持たせるために、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、及びリン酸架橋澱粉が用いられている。
これらの化学的に合成された澱粉を用いて作成した水産練り製品は物性的には改良できているが、風味の点では天然澱粉を用いたものと比較して劣っている。
【0005】
そして、食品の安全性や身体への影響に関する関心の高まりから、化学的合成品ではなく、天然の素材を使用することが求められるようになった。
【0006】
一方、化学的に処理された澱粉とはことなり、水と熱だけを使用して物理的に処理された澱粉として、湿熱処理澱粉が知られている(特許文献1参照)。
【0007】
湿熱処理澱粉は加熱しても糊化しない程度の水分を含む澱粉粒子を適当な水分を加熱することにより得られるものであり、解重合などの化学的変化をほとんど伴わず、安全性の高い食品として認識されている(非特許文献1及び2参照)。
【0008】
しかし、安全性だけでなく、耐熱性、煮込み耐性、冷凍耐性、経時安定性、食感及び風味に優れた水産練り製品が強く求められるようになってきた。
【特許文献1】特許第2996707号
【非特許文献1】福井俊郎、「澱粉科学実験法」、朝倉書店、1979年、242−245頁
【非特許文献2】蔵橋嘉樹、「澱粉科学の事典」、朝倉書店、2003年、417−421頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は化学的に合成された澱粉を使用することなく、耐熱性、煮込み耐性、冷凍耐性、経時安定性、食感及び風味に優れた水産練り製品を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は化学的に合成された澱粉を使用することなく、耐熱性、煮込み耐性、冷凍耐性、経時安定性、食感及び風味に優れた水産練り製品を得ることを課題として鋭意研究を重ねた。
【0011】
その結果、湿熱処理を行なったタピオカ澱粉を使用することにより、耐熱性、煮込み耐性、冷凍耐性、経時安定性、食感及び風味に優れた水産練り製品が得られることを見出し、更に研究を重ねて本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち本発明は以下の水産練り製品に関する。
【0013】
項1)湿熱処理タピオカ澱粉を含有する水産練り製品。
【0014】
項2)水産練り製品全体に対する固形分換算で、湿熱処理タピオカ澱粉の含有量が0.5〜30.0重量%である項1記載の水産練り製品。
【0015】
項3)湿熱処理タピオカ澱粉が、固形分濃度6.0重量%でアミログラフ測定する場合の50℃から95℃までの昇温時の最高粘度と95℃達温時の粘度の差が200BU以下であることを特徴とする項1及び項2記載の水産練り製品。
【0016】
以下本発明について、より詳細に説明する。
【0017】
1.湿熱処理タピオカ澱粉
湿熱処理タピオカ澱粉はタピオカ澱粉を湿熱処理することによって得られるものである。
【0018】
湿熱処理の手法は特に限定されず、適宜公知の方法に従って行なうことができる。
【0019】
例えば特許第2996707号に記載の方法に従って、内圧、外圧共に耐圧性の密閉できる容器を用い、この容器内に天然澱粉を入れ、減圧とした後、蒸気を導入して加圧加熱し、あるいはこの操作を繰り返し、該澱粉を所定時間加熱した後、冷却する方法で処理することができる。
【0020】
また、L.SAIRにより報告された方法(シリアルケミストリィ、44巻1月号、8〜26頁 1964)に従って、天然澱粉を2cm程度の薄い層に広げて、相対湿度100%の加圧容器に入れ、約90〜100℃で約16時間加熱することにより処理してもよい。
【0021】
このうち特に工業的規模で実施する場合には、特許第2996707の方法に従って、湿熱することが好ましい。該方法を用いることにより、湿熱処理を効率良く行なうことができる。
【0022】
湿熱処理は相対湿度100%の条件下で95〜135℃、好ましくは100〜130℃程度で行うことが適当である。
【0023】
加熱温度が95℃未満の場合は耐熱性が少なくなる。一方、加熱温度が135℃以上になると分解がおこり、それを用いて水産練り製品を作成するとゼリー強度が低くなる。
湿熱処理の時間は、温度条件等により適宜設定することができ、とくに限定されないが、通常3分間〜5時間程度、好ましくは3分間〜3時間程度である。
【0024】
湿熱処理タピオカ澱粉を用いた場合には、耐熱性、煮込み耐性、冷凍耐性、経時安定性、食感及び風味に優れた水産練り製品が得られる。
【0025】
特に、湿熱処理したタピオカ澱粉が固形分濃度6.0%でアミログラフ測定する場合に50℃から95℃までの昇温時の最高粘度と95℃達温時の粘度の差が200BU以下、好ましくは150BU以下であるものが、耐熱性、煮込み耐性、冷凍耐性及び経時安定性に優れた水産練り製品を作成することができる点で好ましい。
【0026】
尚、50℃から95℃までの最高粘度とは、50℃から95℃までの昇温粘度曲線において最も高い値となる粘度を意味する。従って、昇温粘度曲線がピークを有し、ピーク粘度が95℃達温時の粘度より大きい場合は、ピーク粘度が最高粘度となる。つまり、最高粘度と95℃達温時の粘度の差は換言すると、ピーク粘度と95℃達温時の粘度の差ともいえる。一方、昇温粘度曲線がピークを有しないか、またはピークを有するがピーク粘度が95℃達温時の粘度より小さい場合は、95℃達温時の粘度が最高となる。
つまり、最高粘度と95℃達温時の粘度の差は0となる。
【0027】
湿熱処理タピオカ澱粉の含有量は水産練り製品の種類や用途により適宜認定し得るが、水産練り製品全体に対し、固形分換算で、0.5〜30.0重量%程度、好ましくは0.8〜28.0重量%程度、更に好ましくは1.0〜25.0重量%程度、特に1.2〜23.0重量%程度である。
【0028】
この範囲であると、耐熱性、煮込み耐性、冷凍耐性、経時安定性、食感および風味に優れる点で好ましい。
【0029】
2.水産練り製品
2−1水産練り製品の製造方法
本発明の水産練り製品は公知の水産練り製品の製造方法に従って、製造することができる。
【0030】
例えば澱粉を含有する公知の水産練り製品の製造方法において、他の澱粉に代えて、湿熱処理タピオカ澱粉を用いることにより、製造することができる。
【0031】
2−2水産練り製品における他の成分
本発明の水産練り製品には、所望に応じて、食材や調味料、添加剤等の他の成分を適宜含有させることができる。
【0032】
また本発明の水産練り製品には本発明の効果が奏される範囲内で、適宜設定することができる。
【0033】
また、本発明の水産練り製品には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、湿熱処理タピオカ澱粉以外の他の湿熱処理澱粉または天然澱粉を混合することもできる。
【0034】
2−3水産練り製品の用途
本発明の水産練り製品の種類は特に限定されず、各種蒲鉾、魚肉ソーセージ、竹輪、かに足蒲鉾、等として用いることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の水産練り製品は、化学的に合成された澱粉ではなく、湿熱処理タピオカ澱粉を使用しているため、安全性に優れる。
【0036】
さらに、本発明の水産練り製品は耐熱性に優れており、高温で殺菌しても、ゼリー強度が低くならず、煮詰めても湯で伸びせず、冷凍耐性に優れ、経時安定性に優れ、かつ食感及び風味にも優れている。
【0037】
このように、本発明は安全性が高く、かつ優れた品質を有する水産練り製品を提供するものである。
【発明を実施する為の最良の形態】
【0038】
以下、本発明をより具体的に説明する為に、実施例及び比較例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。
尚、以下で特に断りのない限り、「%」は重量%を表す。
実施例、比較例において、澱粉の粘度変化はアミログラフ(Brabender社、Viscograph)によって測定した。
BUはブラベンダーユニットを表す。
【実施例1】
【0039】
湿熱処理タピオカ澱粉の性質と水産練り製品の特性
1−1)湿熱処理タピオカ澱粉の作成
湿熱処理タピオカ澱粉はタピオカ澱粉(General Starch株式会社製造、タイ国)を特許第2996707号に記載の方法に従って処理することにより得た。
【0040】
具体的に直径40センチメートル、奥行き80センチメートルで内圧・外圧に耐圧の円筒形の容器(日阪製、内:外圧に耐圧のレトルト殺菌機)の内部に縦25センチメートル×横32センチメートル×深さ10センチメートルのステンレス製バットを設置し、バット上に厚さ5センチメートルになるようにタピオカ澱粉を入れた。密閉後、まず真空ラインを開放し、約10分後60トールの減圧となった時、真空ラインを閉じ、加圧蒸気ラインを開放して蒸気を導入し、各種条件で加熱を行った。加熱終了後、圧力を開放し、容器から取り出し、乾燥し、粉砕し、40メッシュの篩を通した。
なお、水分は12.5%に調製した。
【0041】
湿熱処理条件を変えて湿熱処理タピオカ澱粉を各種作成した。表1に湿熱処理条件を示す。
また得られた各種湿熱処理タピオカ澱粉及び未処理のタピオカ澱粉について、固形分濃度6.0%として、ブラベンダー社の粘度測定機であるアミログラフを用いて、50℃から95℃まで30分間で昇温し、昇温粘度曲線を求め、50℃から95℃までの昇温粘度曲線における最高粘度と95℃達温時の粘度の差を求めた。
【0042】
表1に固形分濃度6.0%において、アミログラフで測定した時の50℃から95℃までの昇温時の最高粘度(A)、95℃達温時の粘度(B)及び最高粘度と95℃達温時の粘度の差(A−B)を示す。
【0043】
【表1】

【0044】
1−2)水産練り製品の作成
冷凍の魚肉擂り身(SA級)をカットしたもの68.40%を擂潰機に投入して15分間すり潰す。その後食塩1.37%及びグルタミン酸ソーダ0.68%を加え20分間すり潰す。次に試料澱粉6.84g、砂糖2.05%及びソルビン酸カリウム0.14%及び氷水20.52%をよく混合したものを加え23分間すり潰す。その後ケーシングを行い、恒温水槽に入れ96℃で30分間加熱を行った後、流水中にて冷却を行い、仕上がりとした。そしてそれを各種評価試験に供した。
1−3)水産練り製品の特性
1−3a)耐熱性
耐熱性試験はレトルト殺菌を想定している。
【0045】
1−2に記した作成法において、擂潰機より取り出しケーシングを行なったものをさらにガムテープで補強し、それをオートクレーブにて120℃で40分間加熱した。
その後流水中にて冷却を行い、テクスチュロメーターを用いて物性(硬さ)を調べた。
そして、1−2で作成したものと比較した。(それをレトルト前とした。)
結果を表2に示した。
【0046】
なお、表中の食感評価は◎非常に良好、○良好、△普通、×悪い、の4段階で示している。以下で特に断りのない限り、食感評価は上記4段階で示した。
【0047】
【表2】

【0048】
表2より、湿熱処理したタピオカ澱粉は未処理のタピオカ澱粉と比較して硬さの数値が低くなりにくいことと食感が悪くならないことから耐熱性に優れていることが分かった。
又、A−Bが200BU以下の場合は更に優れていることが分かった。
【0049】
1−3b)煮込み耐性
水産練り製品の仕上がり後1日間冷蔵保存した直径32mmのソーセージ状の水産練り製品を厚さ12mmにカットしたものを直径62mmのステンレス製の球形の金網に入れ、それを98℃に加熱した温水中に入れ、3時間煮込み、その後取り出して速やかに水をふき取り、重量測定を行ない、その増加率及び食感を調べた。
増加率(%)=[(煮込み後の試料の重量/煮込み前の試料の重量)−1]×100
【0050】
試験の結果を表3に示した。
【0051】
【表3】

【0052】
表3に示した結果より、湿熱処理タピオカ澱粉を使用した水産練り製品は増加率が大きくなりにくいことと食感が悪くなりにくいことから、煮込み耐性があることが分かった。
又、A−Bが200BU以下の場合は更に優れていることが分かった。
【0053】
1−3c)冷凍耐性
水産練り製品の仕上がり後、ケーシングしたフイルムを取り除いた後、ポリエチレンの袋に入れ、直ちに冷凍し、3日後に室温にて自然解凍し、その1部を用いて、次に記す評価試験を実施した。
【0054】
▲1▼指で試料を圧して離水の有無を見る。
▲2▼圧出水分の測定 濾紙No.2使用、圧力10kg/cm、20秒
圧出水分の多い程、離水が多い。
▲3▼テクスチュロメーターによる物性の測定(硬さ、回復性、咀嚼性)
測定条件 試料の高さ 12mm、クリアランス2.0mm、
プランジャー直径13mm
硬さはゼリーの強さ及び弾力性を表している。
回復性は噛んだ時の復元性を表している。
咀嚼性は噛み砕くのに要する力を表している。
【0055】
試験結果を表4に示した。
【0056】
【表4】

【0057】
表4より、未処理のタピオカ澱粉と比較して、湿熱処理タピオカ澱粉は離水が無いこと、圧出水分が少ないこと、テクスチュロメーターによる測定結果から回復性と咀嚼性が悪くならないこと、及び食感が悪くならないことから、冷凍耐性に優れていることが分かった。又、A−Bが200BU以下の場合は更に優れていることが分かった。
【0058】
1−3d)経時安定性
冷蔵保存時の経時安定性
【0059】
練り製品の仕上がり後、ケーシングした状態で2週間冷蔵保存し、テクスチュロメーターで物性を調べ冷蔵保存1日後のものと比較した。
1日後と比較して硬さが増すほど老化が進んでいると判定する。
【0060】
試験結果を表5に示した。
【表5】

【0061】
表5より、本発明品である湿熱処理タピオカ澱粉を使用した水産練り製品は未処理のタピオカ澱粉と比較して3週間後に硬くなりにくく、食感も悪くなりにくいので、経時安定性に優れていることが分かった。
【実施例2】
【0062】
澱粉質の種類と水産練り製品の特性
本発明による湿熱処理タピオカ澱粉及び他の種類の澱粉を用いて水産練り製品を作成し、その特性の比較を行なった。
【0063】
2−1)試料澱粉
原料の澱粉は以下のものを用いた。
【0064】
タピオカ澱粉(General starch株式会社製 タイ国)
コーンスターチ(三和澱粉工業株式会社)
馬鈴薯澱粉(東部十勝農産加工農業共同組合連合会製)
小麦澱粉(三和澱粉工業株式会社製)
甘藷澱粉(そお鹿児島農業共同組合製)
アセチル化燐酸架橋澱粉(原料 タピオカ澱粉)
【0065】
2−2)湿熱処理澱粉
湿熱処理澱粉としては、実施例1の表1に示すタピオカ澱粉IVを用いた。
【0066】
また、上記1−1において、原料の澱粉を代える以外は、同様の方法にて、湿熱処理コーンスターチ、湿熱処理小麦澱粉、湿熱処理甘藷澱粉を作成した。
【0067】
湿熱処理の温度と時間は、コーンスターチと小麦澱粉を用いる場合は温度120℃、時間30分とした。馬鈴薯澱粉及び甘藷澱粉を用いる場合は温度120℃、時間15分とした。
【0068】
2−3)水産練り製品の作成
実施例A
冷凍の魚肉擂り身(SA級)をカットしたもの68.40%を擂潰機に投入して15分間すり潰す。その後食塩1.37%及びグルタミン酸ソーダ0.68%を加え20分間すり潰す。次に湿熱処理タピオカ澱粉IV6.84g、砂糖2.05%及びソルビン酸カリウム0.14%及び氷水20.52%をよく混合したものを加え23分間すり潰す。その後ケーシングを行い、恒温水槽に入れ96℃で30分間加熱を行った後、流水中にて冷却を行い、仕上がりとした。そしてそれを各種評価試験に供した。
【0069】
比較例B
湿熱処理タビオカ澱粉に代えて、湿熱処理コーンスターチとする以外は実施例Aと同様にして、水産練り製品を作製した。
【0070】
比較例C
湿熱処理タピオカ澱粉に代えて、湿熱処理小麦澱粉とする以外は実施例Aと同様にして、水産練り製品を作製した。
【0071】
比較例D
湿熱処理タピオカ澱粉に代えて、湿熱処理馬鈴薯澱粉とする以外は実施例Aと同様にして、水産練り製品を作製した。
【0072】
比較例E
湿熱処理タピオカ澱粉に代えて、湿熱処理甘藷澱粉とする以外は実施例Aと同様にして、水産練り製品を作製した。
【0073】
比較例F
湿熱処理タピオカ澱粉に代えて、未処理のコーンスターチとする以外は実施例Aと同様にして、水産練り製品を作製した。
【0074】
比較例G
湿熱処理タピオカ澱粉に代えて、末処理の小麦澱粉とする以外は実施例Aと同様にして、水産練り製品を作製した。
【0075】
比較例H
湿熱処理タピオカ澱粉に代えて、未処理の馬鈴薯澱粉とする以外は実施例Aと同様にして、水産練り製品を作製した。
【0076】
比較例I
湿熱処理タピオカ澱粉に代えて、未処理の甘藷澱粉とする以外は実施例Aと同様にして、水産練り製品を作製した。
【0077】
比較例J
湿熱処理タピオカ澱粉に代えて、アセチル化リン酸架橋澱粉とする以外は実施例Aと同様にして、水産練り製品を作製した。
【0078】
2−4)耐熱性比較
上記実施例A及び比較例B〜Jで作成した水産練り製品について、耐熱性(レトルト耐性)試験を行った。試験方法は1−3aと同じ。
【0079】
結果を表6及び表7に示した。
【0080】
【表6】

【0081】
【表7】

【0082】
表6及び表7の結果より、湿熱処理タピオカ澱粉を用いた本発明品である水産練り製品は他の澱粉の湿熱処理品、他の澱粉の未処理品及び化工澱粉を用いたそれと比較して、レトルト耐性が優れていることが分かった。
【0083】
2−5)煮込み耐性比較
上記実施例A及び比較例B〜Jで作成した水産練り製品について、煮込み耐性試験を行った。試験方法は1−3bと同じ。
【0084】
結果を表8及び表9に示した。
【0085】
【表8】

【0086】
【表9】

【0087】
表8及び表9の結果より、湿熱処理タピオカ澱粉を用いた本発明品である水産練り製品は他の澱粉の湿熱処理品、他の澱粉の未処理品及び化工澱粉を用いたそれと比較して、煮込み耐性が優れていることが分かった。
【0088】
2−6)冷凍耐性比較
上記実施例A及び比較例B〜Jで作成した水産練り製品について、冷凍耐性試験を行った。試験方法は1−3cと同じ。
【0089】
結果は表10及び表11に示した。
【0090】
【表10】

【0091】
【表11】

【0092】
表10及び表11の結果より明らかなように、湿熱処理タピオカ澱粉を用いた本発明品である水産練り製品は他の澱粉の湿熱処理品、他の澱粉の未処理品及び化工澱粉を用いたそれと比較して、冷凍耐性が優れていることが分かった。
【0093】
2−7)経時安定性比較
上記実施例A及び比較例B〜Jで作成した水産練り製品について、冷蔵保存時の経時安定性の試験を行った。試験方法は1−3cと同じ。
【0094】
結果は表12及び13に示した。
【0095】
【表12】

【0096】
【表13】

【0097】
表12及び表13の結果より明らかなように、湿熱処理タピオカ澱粉を用いた本発明品である水産練り製品は他の澱粉の湿熱処理品、他の澱粉の未処理品及び化工澱粉を用いたそれと比較して、経時安定性が優れていることが分かった。
【0098】
表6〜表13の結果から明らかなように他の湿熱処理澱粉、未処理澱粉を使用した水産練り製品と比較して、湿熱処理タピオカ澱粉を使用した本発明の水産練り製品は耐熱性、煮込み耐性、冷凍耐性、経時安定性、食感及び風味が優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿熱処理タピオカ澱粉を含有する水産練り製品。
【請求項2】
水産練り製品全体に対する固形分換算で、湿熱処理タピオカ澱粉の含有量が0.5〜30.0重量%ある請求項1記載の水産練り製品。
【請求項3】
湿熱処理タピオカ澱粉が、固形分濃度6.0重量%でアミログラフ測定する場合の50℃から95℃までの昇温時の最高粘度と95℃達温時の粘度の差が200BU以下であることを特徴とする請求項1及び請求項2記載の水産練り製品。

【公開番号】特開2010−227084(P2010−227084A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102403(P2009−102403)
【出願日】平成21年3月29日(2009.3.29)
【出願人】(505337456)
【Fターム(参考)】