説明

水田用除草装置

【課題】作業車両に装着する水田用除草装置によって、当該作業車両1台による水田に生える雑草の除去と水田の溝切作業とを行なえるように構成して作業効率の向上を図る。
【解決手段】前輪12と後輪13に支持される走行機体14を有し、且つ植付けられた苗条を跨いで移動可能な乗用式作業車両11の後部に、横軸中心に回転する除草車30からなる回転式の除草手段31,32,33と、弾性を有するレーキ式の除草手段35,36とからなる水田用除草装置10を装着すると共に、該水田用除草装置10に支持した整地フロート27,27を取り外して、後輪13の後方位置に高さ調節可能な溝切機52,52を装着できるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植え後の水田に生える雑草を湛水状態で除去する水田用除草装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原動機、フレーム、及びハンドル等を兼用しながら、アタッチメントを交換することによって、水田に生える雑草の除去と水田の溝切作業とを1台の歩行式水田作業機で行なうことができるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、水田に植付けられた苗条を跨いで移動可能な一般的な乗用型田植機の本機部を利用した作業車両の後部に、横軸中心に回転する除草車からなる回転式の除草手段と、弾性を有するレーキ式の除草手段とからなる水田用除草装置を昇降自在に装着した乗用水田作業機を本出願人自ら出願している(特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開昭61−120307号公報(第4−9頁、第1図、第2図)
【特許文献2】特願2004−243820号公報(図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献2の作業車両は、特許文献1の歩行式水田作業機の如くアタッチメントを交換することにより、1台の作業機で水田に生える雑草の除去と水田の溝切作業とを行なえるようにしたものではなく、当該作業車両においても1台の作業車両で水田に生える雑草の除去と水田の溝切作業とを行なえるように構成すると共に、特に水田における除草作業の終盤期において、水田に生える雑草の除去と水田の溝切作業とを同時に行えるように構成することが期待されていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、前輪と後輪に支持される走行機体を有し、且つ植付けられた苗条を跨いで移動可能な作業車両に装着する水田用除草装置であって、該水田用除草装置に溝切機を装着したことを第1の特徴としている。
【0006】
そして、走行機体の後部に装着した水田用除草装置であって、後輪の後方位置に溝切機を装着したことを第2の特徴としている。
【0007】
そして、水田用除草装置に支持した整地フロートを取り外して、高さ調節可能に溝切機を装着したことを第3の特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、前輪と後輪に支持される走行機体を有し、且つ植付けられた苗条を跨いで移動可能な作業車両に装着する水田用除草装置であって、該水田用除草装置に溝切機を装着したことによって、1台の作業車両で水田に生える雑草の除去と水田の溝切作業とを行なえるようになり、特に水田における除草作業の終盤期においては、水田に生える雑草の除去と水田の溝切作業とを同時に行うことができるので作業効率が大幅に向上する。
【0009】
そして、請求項2の発明によれば、走行機体の後部に装着した水田用除草装置であって、後輪の後方位置に溝切機を装着したことによって、前記溝切機を後輪の走行溝に沿わせながら安定した状態で水田の溝切作業が行なえるようになる。
【0010】
また、請求項3の発明によれば、水田用除草装置に支持した整地フロートを取り外して、高さ調節可能に溝切機を装着したことによって、水田に生える雑草の除去と水田の溝切作業とを同時に行うことができると共に、溝切機の高さ調節により当該溝切機による単独での水田の溝切作業も行なえるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、水田用除草装置10を乗用式作業車両11の後方に取り付けた状態を示す側面図と平面図である。
【0012】
前記乗用式作業車両11は、一般的な乗用型田植機の本機部を利用したものであって、この乗用式作業車両11は、左右の前輪12及び後輪13に支持される走行機体14を有し、この走行機体14の前部にはボンネット15で覆われたエンジン16が搭載されると共に、ボンネット15の後方にはステアリングハンドル17や主変速レバー18等を備えた操縦部19、及び運転席21等が配設されており、水田に植付けられた苗条を跨いで移動することができる。
【0013】
そして、走行機体14の後部には昇降リンク機構22が設けられており、この昇降リンク機構22の終端部に装着したヒッチホルダ23を介して、水田用除草装置10を着脱可能に取り付けている。尚、昇降リンク機構22は油圧シリンダ24の伸縮動作により上下に昇降連動するが、これらの基本的な構成は何れも従来通りであり詳細な説明を省略する。
【0014】
次に水田用除草装置10の構成について説明する。水田用除草装置10は、ヒッチホルダ23にローリング可能に支承すると共に、作業車両11の幅方向(左右方向)に横設した角パイプ製のローリングフレーム25をベースとして支持した整地フロートとしてのセンタフロート26、左右のサイドフロート27、走行機体14の進行方向に対する横軸中心に自由回転可能な前後一対の除草車30,30からなる回転式の除草手段31,32,33、及びレーキ式の除草手段であるレーキ35,36等から構成している。尚、前記除草車30は田面との接地抵抗によって走行機体14の進行方向に転動する。
【0015】
更に詳しくは、ローリングフレーム25の左右両側には、支持フレーム41,41が後方に向けて延設してあり、この支持フレーム41,41に所定の前後間隔を存して横設したレーキ取り付けバー42,42に、前記レーキ35,36を所定の間隔を存して幅方向に取り付けることができるようになっている。また、支持フレーム41,41の終端部には、水田用除草装置10を接地姿勢で支持する左右一対のスタンド43,43を収納状態に退避可能に設けている。
【0016】
そして、センタフロート26は、ヒッチホルダ23の下部に延設した支持部材23aに上下揺動可能に支承すると共に、乗用式作業車両11である乗用型田植機の本機部に備える従来の油圧感知機構45を利用して、田面の湛水状態や土質に応じた水田用除草装置10の高さ調節が自動的に行えるようになっている。
【0017】
一方、左右のサイドフロート27は、支持フレーム41,41の基端部近傍において、ローリングフレーム25に螺設した取り付けブラケット51,51(図3参照)に垂下状態で取着してなる支持部材46,46の下端部に上下揺動可能に支承されると共に、左右の前輪12及び後輪13と走行機体14の幅方向でラップする位置に配設してあって、当該前輪12及び後輪13の車輪後消し作用も兼ねている。
【0018】
また、上述した回転式の除草手段31は、センタフロート26の後方に配置すべく、ローリングフレーム25の幅方向中間位置から垂下する支持部材47に取り付けてある。つまり、回転式の除草手段31は、図2において、植え付けられた苗条に便宜上付与した記号N1〜N8のうち、中央の苗条N4とN5の条間で除草手段として作用する。
【0019】
同様に、回転式の除草手段32は、センタフロート26の左側に隣接する苗条N4とN3との条間、及びセンタフロート26の右側に隣接する苗条N5とN6との条間に配置すべく、ローリングフレーム25から垂下する支持部材47に取り付けてある。つまり、回転式の除草手段32は、苗条N4とN3との条間、及び苗条N5とN6との条間で除草手段として作用する。
【0020】
更に、回転式の除草手段33は、左側のサイドフロート27の外側に隣接する苗条N2とN1との条間、及び右側のサイドフロート27の外側に隣接する苗条N7とN8との条間に配置すべく、ローリングフレーム25から垂下する支持部材47に取り付けてある。つまり、回転式の除草手段33は、苗条N2とN1との条間、及び苗条N7とN8との条間で除草手段として作用する。
【0021】
また、前側のレーキ取り付けバー42には、苗条N2、N3、N4,N5,N6,N7,N8に対応して、これらの苗条の株を挟み込むような先端形状を備えて弾性を有するレーキ35を螺着してあり、このレーキ35が苗条の株間で除草手段として作用する。
【0022】
そして、後側のレーキ取り付けバー42には、回転式の除草手段31の後方で中央の苗条N4とN5との条間、左側回転式の除草手段32の後方で苗条N3とN4との条間、右側回転式の除草手段32の後方で苗条N5とN6との条間、最左側回転式の除草手段33の後方で苗条N1とN2との条間、及び最右側回転式の除草手段の33後方で苗条N7とN8との条間に対応し、これら条間の除草手段として作用する末広がりの先端形状を備えて弾性を有するレーキ36を螺着してある。
【0023】
尚、上述したローリングフレーム25から垂下する支持部材47に取り付けられている回転式の除草手段31,32,33は、何れもローリングフレーム25と支持部材47
との間で高さ調節できる構成になっており、またレーキ式の除草手段35,36も前後のレーキ取り付けバー42,42に対して高さ調節可能な取り付け構成になっている。
【0024】
また、左右の後輪13の後方、即ち苗条N2とN3との条間及び苗条N6とN7との条間には、当該後輪13のラグによる田面の泥土の巻き込み作用によって得られる除草効果と、その後方に配設したサイドフロート27による車輪後消し作用による整地効果が期待できることから特別な除草手段を設けていない。
【0025】
以上説明したように構成した水田用除草装置10は、横軸中心に回転する前後一対の除草車30,30からなる回転式の除草手段31,32,33と、弾性を有するレーキ式の除草手段であるレーキ35,36とで構成すると共に、前記回転式の除草手段31,32,33がレーキ式の除草手段35,36より作業車両11に近接する状態で、両除草手段31,32,33,35,36を前後に並べて配置したことによって、植付けられた苗条に沿って移動する作業車両11が水田の耕盤の変化等により左右に蛇行したとしても、前後一対の除草車30,30からなる回転式の除草手段31,32,33は、作業車両11に近接する状態で配置されているので左右に大きく振れることがなく、この回転式の除草手段31,32,33によって苗が押し倒されて損傷が発生するといった不具合が起こり難い。
【0026】
また、回転式の除草手段31,32,33よりも作業車両11から離れた位置に配置されているレーキ式の除草手段35,36は弾性を有しており、作業車両11が左右に蛇行することによりレーキ式の除草手段35,36の先端が苗に接触しても、当該除草手段35,36の弾性によって苗の折れや引き抜きが発生することを回避できる。
【0027】
更に、前記水田用除草装置10を、苗条の条間で作用する回転式の除草手段31,32,33と、苗条の株間で作用するレーキ式の除草手段35と、苗条の条間で作用するレーキ式の除草手段36とで構成し、且つその順に作業車両11の後部に配置して構成したことによって、苗条の条間に生える雑草を二種類の除草手段、即ち回転式の除草手段31,32,33とレーキ式の除草手段35でもって確実に除去することができると共に、苗条の株間に生える雑草を効率的にレーキ式の除草手段36で除去することができる。
【0028】
そして、苗条の株間で作用するレーキ式の除草手段35は、苗条の条間で作用するレーキ式の除草手段36よりも作業車両11に近接するように配置してあるので、作業車両11が左右に蛇行した場合でも苗条の株間で作用するレーキ式の除草手段35の先端と苗の根部との不要な接触が起こり難くなり、両者の接触によって苗の根部の損傷が発生することを軽減できるようになっている。
【0029】
また、前記水田用除草装置10は、水田に植付けられた苗条を跨いで移動可能な乗用式作業車両11の後部に備える昇降リンク機構22を介して取り付けた牽引方式の除草装置であって、当該水田用除草装置10を構成する回転式の除草手段31,32,33、及びレーキ式の除草手段35,36を、強制的に回転または揺動させる駆動機構を特別に設けなくて済むので製作コストの低減が図れる。
【0030】
そして、前記水田用除草装置10による除草は、植付けられた苗が活着した状態の水田の湛水深さを除草後の雑草が浮き上がる程度の深さとし、且つ苗条の条間及び株間に植生している雑草の根部の土壌を、水田用除草装置10を構成する回転式の除草手段31,32,33の除草車30,30と、レーキ式の除草手段であるレーキ35,36で撹拌しながら、当該雑草を引き抜くことができるように水田用除草装置10の高さを適宜調節することによって、湛水面に浮き上げられた雑草を枯死させて精度の高い除草作業が能率的に行えるようになる。
【0031】
即ち、図1に示すように、回転式の除草手段31,32,33を構成する除草車30,30の掻き込み爪30a(図4参照)の先端と、その後方で苗条の株間で作用するレーキ式の除草手段を構成するレーキ35の先端を略同高さに調節して、当該レーキ35の先端と苗の根部との不要な接触を回避すると共に、更にその後方において苗条の条間で作用するレーキ式の除草手段を構成するレーキ36の先端を、前記レーキ35の先端よりも深く調節することによって当該レーキ36による能率的な除草作業が行えるようになっている。
【0032】
ところで、図3は、左右のサイドフロート27を一体的に支承する支持部材46,46を、その取り付けブラケット51,51から取り外した後に、水田の溝切作業を行うことができる溝切機52,52を、支持部材53,53を介して当該取り付けブラケット51,51に装着した状態を示したものである。
【0033】
更に詳しくは、取り付けブラケット51,51は、ローリングフレーム25を側面視で前後に挟み込んだ状態でボルト54,54を介して螺設すべく、コの字状断面を有する前後の挟持部材51a,51b備えると共に、後側の挟持部材51bには、支持部材53を挿通可能な支持枠51cを一体的に固設している。そして、支持枠51cに支持部材53を挿通した状態で、位置決めピン55と固定ボルト56によって溝切機52を所望の高さ位置で固定することができるようになっている。
【0034】
また、溝切機52,52は、上方及び後方へ拡開する左右の側板52a,52bの下端部を連結する共に、その先端には、支持部材53,53の取り付け座52cを立設している。この取り付け座52cの下部と支持部材53の下端とをボルト57を介して連結すると共に、該ボルト57を中心(回動支点)とする取り付け座52cの上部に設けた円弧状の長孔Hが許容する溝切機52,52の回動調整が可能であり、所望の位置に溝切機52,52を回動させた後、ボルト58を介して当該溝切機52,52を位置決め固定することができるようになっている。尚、図4は、溝切機52,52を水田用除草装置10に装着した状態を示す平面図である。
【0035】
以上説明したように、乗用式作業車両11の後部に装着する水田用除草装置10を、横軸中心に回転する前後一対の除草車30,30からなる回転式の除草手段31,32,33と、弾性を有するレーキ式の除草手段35,36とで構成すると共に、当該水田用除草装置10に溝切機52,52を装着可能に構成したことによって、1台の乗用式作業車両11で水田に生える雑草の除去と水田の溝切作業とを行なえるようになり、特に水田における除草作業の終盤期においては、水田に生える雑草の除去と水田の溝切作業とを同時に行うこともできるので作業効率が大幅に向上する。
【0036】
即ち、水田用除草装置10に支持し、且つ左右の後輪13の後方位置に配されている左右のサイドフロート(整地フロート)27を取り外して、高さ調節可能な溝切機52を装着することによって、この溝切機52を左右の後輪13の走行溝に沿わせながら安定した状態で水田の溝切作業が行なえるようになり、更に水田に生える雑草の除去と水田の溝切作業とを同時に行うことができると共に、溝切機52の高さ調節により当該溝切機52による単独での水田の溝切作業も行なえることから作業効率を大幅に向上させることができる。
【0037】
また、回転式の除草手段31,32,33を構成する前後一対(二連式)の除草車30,30は、複数の掻き込み爪30a(図5参照)と田面との接地抵抗によって走行機体14の進行方向に転動するが、両除草車30,30が単独で転動することにより、その掻き込み爪30aが同期して転動する場合があり、その場合は、両除草車30,30による
十分な除草効果が得られなくなるので、図5に示すように、両除草車30,30を歯数の異なるスプロケットS1,S2によりチェン伝動させて、両除草車30,30に周速差が生じるように構成してもよい。
【0038】
即ち、前側除草車30のスプロケットS1と後側除草車30のスプロケットS2の歯数を、S1<S2とすると共に両スプロケットS1,S2にチェン61を巻回することにより、前側の除草車30に対する後側の除草車30の周速が遅くなるように構成して、この後側の除草車30のブレーキ作用により田面の撹拌効果を向上させてもよい。尚、上述したチェン伝動による前側除草車30と後側除草車30の掻き込み爪30aのセット位置に位相差を設けて、両者30,30の掻き込み爪30aが同期して転動しないように構成することも可能である。
【0039】
また、図6及び図7に示すように、昇降リンク機構22の終端部に装着したヒッチホルダ23の下部中央には、ローリング軸23aが後方に向けて突設してあり、このローリング軸23aにツールホルダ62をローリング可能に支承すると共に、当該ツールホルダ62の上部アーム63に固設した上方に凹の断面形状を有する支持部材63aと、該支持部材63aに支持した角パイプ製のローリングフレーム25を上方から挟持して螺着すべく、下方に凹の断面形状を有する固定部材64を備えている。
【0040】
そして、上述した上部アーム63は、平面視でコの字状の曲げ形状を有し、その両側前端部をツールホルダ62の前フレーム62aの略中間部から突設させた支軸62bに支承すると共に、当該上部アーム63の終端部には、除草手段31の支持部材47を挿通可能な支持枠63bを一体的に固設してあって、この支持枠63bに支持部材47を挿通した状態で、位置決めピン65と固定ボルト66によって回転式の除草手段31を所望の高さ位置で固定することができるようになっている。
【0041】
更に、ツールホルダ62の前フレーム62a下部の左右両側には、支持アーム62c,62cが後方に向けて延設してあり、この支持アーム62c,62cの後端に横設した支軸67と、該支軸67の中間部に連結すると共に、上部アーム63の前後方向略中間部に横設した支軸68の中間部に螺合するネジ式調節機構を備えるハンドル69によって、支軸62bを支点とする当該上部アーム63の上下揺動手段71を構成している。即ち、この上下揺動手段71によって支軸62bを支点とする除草手段31の高さ調節が可能になる。
【0042】
尚、上述したツールホルダ62の上部アーム63には、図8に示すような断面形状を有するバランスウェイト72,72を、左右対称に上方から容易に嵌着できるようになっており、またバランスウェイト72,72の嵌着位置が水田用除草装置10の略重心位置に相当するので安定性が良好である。
【0043】
また、図9に示すように、支持フレーム41,41の終端部に取り付けたブラケット73のガイド孔73aに挿通してなる左右一対のスタンド43,43は、実線で示す上方に退避した除草作業姿勢と二点鎖線で示す水田用除草装置10の支持姿勢(スタンド姿勢)とに変更することができる。更に両スタンド43,43の前方で機体幅方向の略同一位置に設けられている左右のサイドフロート27,27も、実線で示す除草作業姿勢と二点鎖線で示す水田用除草装置10の支持姿勢とに変更できるので、両スタンド43,43と左右のサイドフロート27,27による4本足の安定した状態での水田用除草装置10の支持が可能になり、それによって当該水田用除草装置10を昇降リンク機構22を介して下降させる際やヒッチホルダ23から取り外したりする際に、誤って回転式の除草手段31,32,33の除草車30、即ち掻き込み爪30aが破損するといった不具合が起こり難くなる。
【0044】
尚、左右一対のスタンド43,43には、その上下方向に三箇所のピン孔43a,43b,43cが設けてあって、除草作業時には、ブラケット73のガイド孔73aにスタンド43を挿通した状態で、ブラケット73の上方において下段の穴43cにピン74を嵌挿し、次いでスタンド43を自由降下させながらピン74をブラケット73に当接させることによってスタンド43の下げストッパーとして作用させ、この状態(上方に退避した除草作業姿勢)で固定ボルト75を介してスタンド43を位置固定することができるようにしている。
【0045】
一方、両スタンド43,43を支持姿勢(スタンド姿勢)に位置決めする際は、ブラケット73のガイド孔73aにスタンド43を挿通した状態で、ブラケット73の下方において中段の穴43bにピン74を嵌挿し、次いでスタンド43をブラケット73のガイド孔73aに案内しながら上昇させてピン74がブラケット73に当接した時、固定ボルト75を介してスタンド43を位置固定すればよい。
【0046】
また、ブラケット73のガイド孔73aにスタンド43を挿通した状態で、当該スタンド43に設けた上段の孔43aにピンまたはボルトを常時嵌挿しておけば、当該スタンド43を除草作業姿勢と支持姿勢(スタンド姿勢)に調節固定する際の脱落防止手段として作用する。尚、同様の脱落防止手段を左右のサイドフロート27,27を支持する支持部材46の上部に構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】水田用除草装置を作業車両の後方に取り付けた状態を示す側面図。
【図2】同上平面図。
【図3】溝切機の装着状態を示す側面図。
【図4】水田用除草装置に溝切機を装着した状態を示す平面図。
【図5】除草手段の構成を示す側面図。
【図6】ツールホルダへの除草手段の取り付け構成を示す側面図
【図7】図5におけるA矢視図。
【図8】図5におけるB−B断面図。
【図9】スタンドとサイドフロートの高さ位置調整方法を示す側面図。
【符号の説明】
【0048】
10 水田用除草装置
11 作業車両
12 前輪
13 後輪
14 走行機体
27 整地フロート(サイドフロート)
52 溝切機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(12)と後輪(13)に支持される走行機体(14)を有し、且つ植付けられた苗条を跨いで移動可能な作業車両(11)に装着する水田用除草装置(10)であって、該水田用除草装置(10)に溝切機(52,52)を装着したことを特徴とする水田用除草装機。
【請求項2】
走行機体(14)の後部に装着した水田用除草装置(10)であって、後輪(13)の後方位置に溝切機(52)を装着した請求項1に記載の水田用除草装置。
【請求項3】
水田用除草装置(10)に支持した整地フロート(27)を取り外して、高さ調節可能に溝切機(52)を装着した請求項1または請求項2に記載の水田用除草装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−116992(P2007−116992A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313911(P2005−313911)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】